説明

掘起し体と該掘起し体を備えた植物抜根機と植物の掘り起こし作業方法

【課題】たばこ収穫後の残幹と根など植立植物を圃場から抜き取り易く、雑草も巻き込み難い作業性の良い植物抜根機と該植物抜根機に用いる圃場上に植立する植物を根から掘り起こす掘起し体と前記植物抜根機を用いる植物の掘り起こし作業方法を提供すること。
【解決手段】掘起し体24は左右方向の回転軸心24aを中心として回転する左右の支持部材24bの間に掛け渡したロータリー刃24cで圃場上に押し倒された植物を根から掘り起こすことができる。またトラクタの前方に設けたドーザ15で押し倒した植立植物を、トラクタの後方に設けた回転する前記掘起し体24のロータリー刃24cで押し倒された植物の根から掘り起こすことができる植物抜根機である。
ドーザ15で残幹を倒しておくことにより、堀起し体24単体だけを用いるよりも残幹が引き込みやすくなり、スムーズな抜根作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこ収穫後の残幹と根など、圃場から植物を抜き取る植物抜根機と該植物抜根機に用いる圃場上に植立する植物を根から掘り起こす掘り起こし体と前記植物抜根機を用いる植物の掘り起こし作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ収穫後の残幹と根を共に圃場から抜き取るたばこ抜根機として、実開平6−13402号公報記載の考案が知られている。当該公報記載のたばこ抜根機はトラクタに連結された前後機枠の前部に左右一対のスクリュー刃体を回転自在に設け、その後方に設けた抜根したたばこの残幹と根を掻き込み回転体で掻き込み、さらに掻き込み回転体の後方にある粉砕用カッターで粉砕する構成からなる。
【特許文献1】実開平6−13402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記実開平6−13402号公報記載のたばこ抜根機は、多大な労力が必要なたばこ収穫後の残幹と根を機械力で圃場から抜き取ることができるので、省力化技術として優れた農作業機である。
【0004】
しかし、上記たばこ抜根機では左右一対のスクリュー刃体で残幹と根を圃場から抜き取るため、石も掻き込むことがある。そのため、スクリュー刃体が破損することがあるだけでなく、たばこ栽培箇所の圃場面の周囲に植生する雑草も巻き込み易い。そのためスクリュー刃体などに巻き込まれたり、このスクリュー刃体の回転軸に巻き付いたりした雑草の処理に手間がかかることがある。
【0005】
本発明の課題は、たばこ収穫後の残幹と根など植立する植物を圃場から抜き取る作業能率が高く、雑草も巻き込み難い作業性の良い植物抜根機と該植物抜根機に用いる圃場上に植立する植物の根から掘り起こす掘起し体と前記植物抜根機を用いる植物の掘り起こし作業方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸心(24a)を中心として回転する左右の支持部材(24b,24b)を設け、該左右の支持部材(24b,24b)の間に掛け渡し、圃場の植物を根から掘り起こすロータリー刃(24c)を設けた掘起し体である。
【0007】
請求項2記載の発明は、圃場の植物を押し倒す押倒し体(15)を走行車両の前方に設け、掘起し体(24)を前記走行車両の後方に設け、前記掘起し体(24)には走行車両の進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸心(24a)を中心として回転する左右の支持部材(24b,24b)を設け、該左右の支持部材(24b,24b)の間に掛け渡し、前記押倒し体(15)で圃場上に押し倒された植物を根から掘り起こすロータリー刃(24c)とを設けた植物抜根機である。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の植物抜根機の走行車両の前方に設けた押倒し体(15)によって、圃場の植物を押し倒し、引き続き走行車両の後方に設けた掘起し体(24)により圃場上に押し倒された植物を根から掘り起こす植物の掘り起こし作業方法である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、掘起し体(24)が雑草を巻き込み難いため、植物の圃場からの掘り起こし作業能率がよい。また左右の支持部材(24b,24b)の間が作業範囲となるため、植物の抜根の確実性を従来より高めることができる。
【0010】
請求項2、3記載の発明によれば、前方の押倒し体(15)で植物の残幹を倒しておくことにより、掘起し体(24)によって掘り起こした植物の残幹が連続的に後方へ放出され、スムーズな植物の抜根作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書では農業用トラクタを走行車両として用いて、たばこの残幹と根を抜根するたばこ抜根機を例に説明する。またトラクタの前進する方向を前、後退する方向を後といい、前進方向に向かって左側と右側をそれぞれ左右という。
【0012】
たばこ抜根機の側面図を図1に示し、正面図を図2(a)に示す。たばこ抜根機は、その機体の側方前後に、前輪2と後輪3を設け、前後輪2,3間を主フレーム4及び伝動ケース6で連結している。伝動ケース6は図示しないクラッチハウジングや、フロント、ミッド、リヤミッションケース等からなり、ボルト、ナット等の締付具を介して組付けた前後方向の枠体であって、主フレーム4の上方のエンジン(図示せず)廻りは開閉自在のボンネット7で覆われ、ボンネット7の後部にはハンドル8とハンドルコラム10などが取り付けられる。
【0013】
左右の後輪3の間の伝動ケース6の上方には運転席11が設けられ、左右後輪3の上方から前方部と内側方はフェンダー12で覆われ、作業機昇降用のレバー(図示せず)が運転席11の右側方に臨み、運転席11の左側には走行変速用レバー13が配置されている。上記構成を本実施例では走行車両ということにする。
【0014】
主フレーム4の前方にはたばこ残根を前方に押し倒すためのドーザ15と該ドーザ15を上下動させる平行リンク機構16と該平行リンク機構16を上下回動させる昇降シリンダ17が設けられている。
【0015】
ドーザ15は図2(a)の正面図に示すように、その底面が山形の窪みを持ち、底面の先端縁部は、図2(b)の断面図に示すように丸棒、丸パイプ又は曲面体であり、残幹がひっかかりにくいような先端部形状を有している。また、たばこ抜根機が旋回中はドーザ15は昇降シリンダ17で上昇位置に保持される。
【0016】
伝動ケース6の後方には図示しない油圧シリンダを内部に配置した油圧シリンダケースを設け、該油圧シリンダケースの左右両側には一対のリフトアーム(図示省略)を回動自由に枢支している。リフトアームとロワーリンク21,21との間にはリフトロッド(図示省略)が連結され、このうち一方のリフトロッドは図示しない伸縮可能な複動の油圧シリンダーで構成されていて、前記の油圧シリンダと該油圧シリンダによりロータリ式掘起し体24が昇降自在及び左右にローリング自在に連結されている。
掘起し体24を含む前記走行車両の後方に連結される農作業用の装置を本実施例では作業機ということにする。
【0017】
掘起し体24は伝動ケース6から後方に向けて突き出されるPTO軸25に接続した伝動ケース30から該伝動ケース30により駆動されるチェーンケース27内のチェーン伝動機構に動力伝達され回転駆動する構成である。
また、伝動ケース30はその左右両側に連結した連結フレーム22を介してヒッチ35及びトップリンク20に連結している。
【0018】
図3の作業機付近の背面図と図4の作業機付近の側面図に示すように、ロータリ式掘起し体24は走行車両の進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸心24a(図3の一点鎖線24a)と、該回転軸心24aを中心として回転する左右の支持部材24bを設け、該左右の支持部材24bの間に掛け渡し、前記ドーザ15で押し倒した植物を、その根から掘り起こす帯板(ロータリ刃)24cを備え、径が掘起し体24の仕切板24bの径より大きい仕切板24dと、掘り起し体24の左右方向の中間部には補強板24eを配置する。また前記掘起し体24の左右方向の幅よりも広い幅のジョイントカバー28と前端部に残幹押さえ29を有するガイドカバー43とをロータリ式掘起し体24の一部として取り付ける。チェーンケース27の対向側には軸受部材27’が配置されている。
【0019】
掘起し体24の回転軸心24aは、チェーンケース27内のチェーン伝動機構により駆動される駆動軸の回転中心であり、該チェーンケース27は左右方向に配置された伝動ケース30と一体であり、駆動用チェーンには伝動ケース6からの動力が伝動ケース30内の図示しない動力伝動機構により伝達される構成であり、掘起し体24は図4の矢印A方向に回転する。掘起し体24の回転方向は車輪2,3の前進回転方向とは逆方向であり、この方向に掘起し体24が回転することで、車輪2,3の前進回転方向と同じ方向に回転する場合に比べて、より確実に残幹と根を掘り起こすことができる。また、掘起し体24の回転により、その帯板(ロータリ刃)24cでドーザ15で押し倒された残幹と根を圃場から掘り起こすことができる。
【0020】
また、ロータリ式掘起し体24の前方にはロアリンク21の下方に、ジョイントカバー28が設けられている。このカバー28はロータリ式掘起し体24が掘り起こした根がロアリンク21などに当たって、これらの部材を損傷させることがないように保護することができる。また、残幹押さえ29はその前端縁部で残幹を再び押し倒すと共に掘起し体24で掘り起こされた残幹と根が作業機の上方側に巻き込まれないようにするためのものであり、掘起し体24の上部に取り付けられている。
【0021】
また、掘り起し体24の高さ位置は内軸26aと外軸筒26bからなる高さ調節ハンドル26により調節される。
【0022】
図5(a)に掘起し体24の側面図を示すように掘起し体24の外周部に均等な間隔で回転軸心24aと平行な方向にローター刃24cを複数本(本実施例では4本)左右の支持部材24bに掛け渡すが、例えば図5(b)に示す掘起し体24’(回転軸心24a’と左右の支持部材24b’とロータリ刃24c’を備えている)に示すように構成すると回転軸心24a’方向に向いたロータリー刃24c’の先端側の傾斜面で土を持ち上げて、土の持ち上げ量が比較的多くなってしまう。しかし本実施例では図5(a)に示すように構成すると回転軸心24aの反対方向に向いたロータリー刃24cの先端側の傾斜面で掘起し体24の外側に土を持ち上げるので、土の持ち上げ量が比較的少なくなり、ロータリー刃24cによる残幹、根の掘り起こし効率が従来より向上した。
掘起し体24のロータリー刃24cに対して爪体(図示せず)の先端部が突出するように互いの間隔をそれぞれ順次変えて取り付けることで根や雑草がロータリー爪24cに巻き付かなくなる。
【0023】
図6に作業機付近の背面図を示すように、掘起し体24の左右幅方向をほぼ3分割するように径が掘起し体24の支持部材24bの径より大きい仕切板24dを配置する。前記仕切板24dで仕切られた領域を通り後方に残幹と根が排出されるので、残幹などが掘起し体24の左右外側に排出することが無くなる。また、なお掘起し体24の幅方向を2つの仕切板24d,24dで仕切られる中央部分の間隔(長さL1)は長めとし、仕切板24dと掘起し体24の端部との間隔(長さL2)を短めに(L1>L2)することで掘起し作業の有効幅を拡げると共に、掘り起こした残幹及び根を畦上に整列させることができる。
【0024】
また、ロータリー刃24cの中央部に折れ曲がり部を設けることでロータリ刃24cで掘り起した残幹などが畦上の中央部に集まり易くなり、その掘り起こされて畦上に排出された残幹の回収作業を容易にする。
【0025】
さらに、図7(a)に示す作業機付近の側面図と図7(b)の作業機要部の平面図に示すように図3、図4で示す掘起し体24の後方に圃場上に掘り起こされて残存する残幹と根をかき集めるための部材であるレーキ31の複数個をレーキ支持ヘッド32に取り付けても良い。レーキ支持ヘッド32は伝動ケース30側のステーに一端が軸着されたレーキ支持アーム33の他端の先端部に固着され、該レーキ支持ヘッド32は中央部が車両後方に突出した折れ曲がり形状であり、レーキ支持ヘッド32には複数のレーキ31が並列配置されている。該レーキ31は側面視で圃場に接する先端部が熊手状に折れ曲がり形状であり、該レーキ31により圃場上に掘り起こされて残存している残幹と根を畦上の中央側にかき集めることができる。
【0026】
また、レーキ支持アーム33の中間部に油圧シリンダ34のピストン34aの一端が回動自在に連結し、油圧シリンダ34の他端が掘起し体24の支持部側のブラケット36の頂部に回動自在に支持されている。従って、車両を旋回させるときに油圧シリンダ34のピストン34aを縮めてレーキ31を上昇位置に保持させることができる。
【0027】
また、図7(a)に示すようにレーキ支持アーム33の中間部にはレーキ31の設置高さ合わせ用の補助輪37の高さを調節できるよう補助輪高さ調節アーム38を取り付けている。補助輪高さ調節アーム38は複数の取付穴38aを有するので、適宜の取付穴38aを介して補助輪高さ調節アーム38をレーキ支持アーム33に支持させることで補助輪37の高さを調節することができる。
【0028】
また、図8に作業機付近の側面図と図9に作業機付近の側面図を示す実施例は、レーキ支持アーム33の先端に車体の左右幅方向にバケット40の一対の支持フレーム41を設けて該バケット支持フレーム41の一対の支持ボス間にバケット40を配置し、油圧シリンダ34のピストン34aの先端をバケット40の側面に固着した部材42と回動自在に連結しておき、油圧シリンダ34を伸縮させてバケット40の側面に固着した部材42の下端に設けたバケット回動支点42aを中心にバケット40を回動させることができる。なお、この図8と図9に示す実施例は図7の実施例のレーキ31を取り外してバケット40を取り付ける構成である。
【0029】
また図9に示すようにバケット40の前方中央部には中割れ部40aがあり、該中割れ部40aにチェーンコンベア45が設置されている。このチェーンコンベア45で、掘り起こし体24で掘り起して後方へ放出される残幹と根をバケット40に搬送する。この搬送中に残幹、根とこれらに付着した土とを分離することができる。
【0030】
また図10(a)の作業機部分の側面図と図10(b)の図10(a)の矢印A方向から見た図に示すように掘起し体24の後方に回転ドラム47を連結する構成を採用しても良い。この構成では掘起し体24により掘り上げられた残幹と根を回転ドラム47で後方へ引き出すことにより確実に畝の上に出すことができる。
このとき掘起し体24と回転ドラム47の上方にカバー48を設けることにより、土などは圃場上に落下させても、残幹と根はカバー48が有るため、回転ドラム47まで確実に引き継がせることができる。また、掘起し体24の外周の回転速度より回転ドラム47の外周の回転速度を高くすると掘起し体24によって掘り上げられた残幹と根が、この堀起こし体24と回転ドラム47との間で詰まりにくくすることができる。
【0031】
図11の作業機部分の側面図と図12の作業機部分の背面図に示すように、掘起し体24のカバー50の前方に突出するように残幹押え体51を設けた構成を採用すると次のような効果がある。
【0032】
すなわち、残幹押え体51で残幹を前方に押し倒すことができ、残幹が作業機の各所に当たらない状態で根を掘り上げることができ、根の掘り上げ作業性が良くなる。このとき残幹押え体51の先端部に回転体51aを取り付けると、残幹押え体51に残幹が引っかかり難くなり、スムーズに残幹を前方に押しつけることができる。また、残幹押え体51の下側が掘起し体24の外周面の接線S方向に一致するようにカバー50に残幹押え体51を取り付けると、残幹押え体51の基部側で図示のようにカバー50の前方が前記接線Sより間隔L分だけ上方にあることになるので、残幹がカバー50と掘起し体24の間を通り、後方への排出がスムーズに行える。
【0033】
残幹押え体51の前後方向への長さを調節できる構成にすると残幹の長さに応じて残幹押え体51の長さを調節できる。例えば、長すぎる残幹の場合には残幹押え体51の長さを通常より長くする等の調節ができる。
【0034】
また図13の作業機部分の側面図に示すように、掘起し体24の上方に取り付けられたカバー50の前端部に残幹押え体51(回転体51aを備えても良い)を一体的に設けた構成にすると、製作性が良く製造コストが比較的廉価となる。 またカバー50の内側表面には何も設けないことでスムーズに残幹を後方に排出できる。さらに、カバー50と掘起し体24の外周面との間隔はカバー頂部付近(間隔A)が一番狭く、前方に行くに従い順次広くなるような構成(間隔B)にすると、残幹をカバー50と掘起し体24の外周面との間に導入し易くなる。さらにカバー50と掘起し体24の外周面との間隔は最後方部位(間隔C)が一番広くなるような構成にすると残幹などの排出性が高くなる。
【0035】
またこのとき、掘起し体24のロータリー刃24cは幅方向に直線形状のものを使用し、仕切板24dの形状を図14(a)に示すようにひれ状の突起を外周に均等配置(図14では4個)することで、残幹の搬送力を向上させることができる。また図14(b)に示すようにひれ状の突起部分にロータリー刃24cを保持する穴を開けても強度を保つことができる。
【0036】
また、図15(a)の作業機部分の側面図に示すように、掘起し体24の上方に設けるカバー52の前端部自体を丸パイプ上に巻くなどして残幹押え体的な機能を有する形状にし、さらに図15(b)の作業機部分の正面図と図15(c)の図15(a)の矢印A方向からカバー52を見た図に示すように門型形状であり、その門型形状は後ろ側になるほど横幅が狭くなるようにし、さらに掘起し体24の後方では上方に向けて残幹を誘導する傾斜面を有する構成にしても良い。
【0037】
上記構成により、残幹押え体で残幹を前方に押しつけることができ、残幹が作業機の各所に当たらない状態で根を掘り上げることができて根の掘り上げ作業性が良くなるだけでなく、門型形状のカバー52で残幹を掘起し体24の中央部に寄せながら後方に搬送でき、掘起し体24の後方の傾斜面では畦の中央部に寄せながら後方へ排出できる作用効果があるので、残幹を後方へスムーズに排出して畦上に整列させることができる。
【0038】
図16(a)のたばこ抜根機の側面図と図16(b)のたばこ抜根機の背面図に示す構成を採用しても良い。
残幹掘起し用の作業機として左右幅方向に長手方向が配置された折れ曲がり形状のロータリー刃24cを備えた掘起し体24が各後輪3の後方にそれぞれ装着されている。圃場上の残幹は後輪3で押し倒し、押し倒された残幹と根は各掘起し体24で掘り起こされる。一対の掘起し体24の駆動は一対の掘起し体24,24の間にあるチェーンケース27からの動力で行われる。また掘起し体24の幅方向には複数の仕切板24dを配置する。また、掘起し体24の円筒部外周の幅方向両端部に円筒部より半径方向外側に突出するロータ爪54を取り付けている。このロータ爪54は先端部が外側に反った形状であるので、掘起し体24のロータリ刃24cでできた畝U上の溝の覆土ができる。
【0039】
図17(a)のたばこ抜根機の背面図に示すように、たばこ抜根機の左右全幅に亘りロータリー刃24c付きの単一の円筒部からなる掘起し体24を設けた構成でも良い。なお図17(b)には図17(a)の掘起し体24の側面図を示す。
【0040】
また、図18(a)の掘り起し体24の背面図と図18(a)の外側の耕耘爪56を省略して示す側面図である図18(b)に示す構成を採用しても良い。この実施例は残幹と根の抜根作業をしながら回りの雑草の除去も同時に行うことができる構成である。
掘起し体24の駆動用チェーンケース27の外側及び/又は内側に耕耘爪56を取り付けた構成であり、たばこ幹の周囲の雑草を取り除きながらより幅広く畝間の耕耘を可能とした。
【0041】
図19のたばこ抜根機の側面図に示すようにトラクタの前方に掘起し体24を設け、トラクタの後方にたばこ幹と根の回収装置を設けた構成を採用しても良い。
【0042】
車体フレーム4の前方には掘起し体24を含む作業機58と該作業機58のブーム59と該ブーム59を上下回動する昇降用のブームシリンダ60が設けられている。また、ブーム59の中間部には作業機昇降用シリンダ62の基部が回動自在に接続され、作業機昇降用シリンダ62の先端部は作業機58の背面上方部に連結部材63を介して連結しており、作業機昇降用シリンダ62の伸縮により作業機58の上下方向の回動が行われる。
【0043】
この構成によりたばこ抜根だけを掘起体24で行う構成(回収装置がない構成)としてもよい。掘り起し体24を昇降して圃場の所定箇所だけの抜根作業ができ、トラクタを走行させながらの連続的抜根作業もできる。
【0044】
掘起し体24の回転軸(図示せず)の支持を兼ねるチェーンケース27内には図示しないモータがあり、該モータで駆動する掘起し体24で掘り起こした残幹と根を圃場上に倒すので、トラクタの腹下に残幹が接触することはない。そしてトラクタ後方で圃場上に掘り起こした残幹と根がフロート65で拾い上げられ、回収バケット40内のベルトコンベア66でバケット40の後方部に搬送される。
【0045】
なお、回収バケット40は、その下部には連れ回りする後方ゲージ車輪67が設けられている。また、掘起し体24のチェーンケース27に取付られたはコ字状の支持フレーム69の両先端部に畝溝上を走行する前方ケージ輪70,70を設けた。後方ゲージ車輪67と前方ケージ輪70,70はそれぞれ掘り起し体24を適正高さに保持する機能がある。
【0046】
また、掘起し体24と前方ケージ輪70の支持フレーム69で掘起し体24の支持力を補強することができ、掘起し体24を適正位置に保持して安定した抜根作業ができる。
【0047】
前方ケージ輪70を機体の正面視でコ字状のフレームで掘起し体24を左右継ぐように構成したので掘起し体24の強度が高く、掘り起し体24の支持強度が高く、安定した抜根作業が行える。
【0048】
なお、以上の記載において、掘り起し体24の回動中心を回転軸心24aとして、実態としての回転中心軸を備えないものについて説明したが、この回転軸心24aに実体としての回転中心軸を設けて、掘り起し体24の強度を高めても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、農業用のトラクタを汎用性あるものとすることができ、有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例のたばこ抜根機を装置したトラクタの側面図である。
【図2】図1のたばこ抜根機の正面図(図2(a))とドーザの底面先端部の断面図(図2(b))である。
【図3】図1のたばこ抜根機の作業機付近の背面図である。
【図4】図1のたばこ抜根機の作業機付近の側面図である。
【図5】図1のたばこ抜根機の掘起し体の側面図(図5(a))と従来の掘起し体の側面図(図5(b))である。
【図6】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機付近の背面図である。
【図7】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機付近の側面図(図7(a))と平面図(図7(b))である。
【図8】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機付近の側面図である。
【図9】図8の作業機付近の背面図である。
【図10】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機部分の側面図(図10(a))と図10(a)の矢印A方向から見た図(図10(b))である。
【図11】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機部分の側面図である。
【図12】図11の作業機部分の背面図である。
【図13】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機付近の側面図である。
【図14】本発明の実施例のたばこ抜根機の掘起し体の仕切板の形状(図14(a))と仕切板にロータリー刃保持穴を設けた場合の形状(図14(b))である。
【図15】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機部分の側面図(図15(a))と正面図(図15(b))と図15(a)の矢印A方向からカバーを見た図(図15(c))である。
【図16】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の側面図(図16(a))と背面図(図16(b))である。
【図17】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の背面図(図17(a))と掘起し体の側面図(図17(b))である。
【図18】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の作業機の背面図(図18(a))と側面図(図18(b))である。
【図19】本発明の他の実施例のたばこ抜根機の側面図である。
【符号の説明】
【0051】
2 前輪 3 後輪
4 主フレーム 6 伝動ケース
7 ボンネット 8 ハンドル
10 ハンドルコラム 11 運転席
12 フェンダー 13 走行変速用レバー
15 ドーザ 16 平行リンク機構
17 リンク昇降シリンダ 20 トップリンク
21 ロワーリンク 22 連結フレーム
24 ロータリ式掘起し体 24a 掘起し体回転軸心
24b 掘起し体支持部材 24c ロータリー刃(帯板)
24d 仕切板 24e 補強板
25 PTO軸 26 高さ調節ハンドル
27 チェーンケース 28 ジョイントカバー
29 残幹押さえ 30 伝動ケース
31 レーキ 32 レーキ支持ヘッド
33 レーキ支持アーム 34 油圧シリンダ
34a ピストン 35 ヒッチ
36 ブラケット 37 補助輪
38 補助輪高さ調節アーム 38a 取付穴
40 バケット 40a バケット中割れ部
41 バケット支持フレーム 42 固着した部材
45 チェーンコンベア 47 回転ドラム
48 カバー 50 掘起し体カバー
51 残幹押え体 51a 残幹押え体の回転体
52 門型形状のカバー 54 ロータ爪
56 耕耘爪 58 作業機
59 ブーム 60 ブーム昇降用シリンダ
62 作業機昇降用シリンダ 63 連結部材
65 フロート 66 ベルトコンベア
67 後方ゲージ車輪 69 コ字状の支持フレーム
70 前方ケージ輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸心(24a)を中心として回転する左右の支持部材(24b,24b)を設け、該左右の支持部材(24b,24b)の間に掛け渡し、圃場の植物を根から掘り起こすロータリー刃(24c)を設けたことを特徴とする掘起し体。
【請求項2】
圃場の植物を押し倒す押倒し体(15)を走行車両の前方に設け、掘起し体(24)を前記走行車両の後方に設け、
前記掘起し体(24)には走行車両の進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸心(24a)を中心として回転する左右の支持部材(24b,24b)を設け、該左右の支持部材(24b,24b)の間に掛け渡し、前記押倒し体(15)で圃場上に押し倒された植物を根から掘り起こすロータリー刃(24c)とを設けたことを特徴とする植物抜根機。
【請求項3】
請求項2記載の植物抜根機の走行車両の前方に設けた押倒し体(15)によって、圃場の植物を押し倒し、引き続き走行車両の後方に設けた掘起し体(24)により圃場上に押し倒された植物を根から掘り起こすことを特徴とする植物の掘り起こし作業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−116927(P2007−116927A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310541(P2005−310541)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】