説明

掛け布団及び掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロック

【課題】軟質ポリウレタンフォームを詰め物とし、一般に高級品とされている羽毛を詰め物とした掛け布団に匹敵する軽量性、保温性、感触を有する掛け布団並びに該掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを提供する。
【解決手段】袋状に形成された外側生地の内部に、密度が12〜25kg/m、硬さが10〜30Nの軟質ポリウレタンフォームの小ブロックが収容されている掛け布団とする。軟質ポリウレタンフォームは、開始剤にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させたポリエーテルポリオールを構成成分とし、前記ポリエーテルポリオール中のエチレンオキサイド単位の含有率が20〜90重量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状に形成された外側生地の内部に軟質ポリウレタンフォームを充填した掛け布団並びに該掛け布団に充填する軟質ポリウレタンフォーム小ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
掛け布団用の詰め物としては羽毛、羊毛、真綿、綿などの天然繊維素材やポリエステル綿などの合成繊維素材が使用されている。これらの中でも軽量で保温性に優れていることから、羽毛が高級グレードの掛け布団の詰め物として使用されている。軟質ポリウレタンフォームは、これまでマットレスや敷き布団用の詰め物として広く使用されてきたが、掛け布団用詰め物としては、公知ではある(特許文献1、2)が、実際には実用化はされていない。
【0003】
特許文献1には、掛け布団の詰め物とした場合に、ドレープ性を付与するために短尺の切り込みを全面にわたって多数形成した軟質ポリウレタンフォーム及び紐状に形成した軟質ポリウレタンフォームが開示されている。
【0004】
特許文献2には、病院において使用する歳に雑菌による感染の防止を目的とした、表面凹凸に構成された掛け布団用の軟質ポリウレタンフォームが開示されている。
【特許文献1】特開2003−38320号公報
【特許文献2】特開平6−105871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1において使用されている軟質ポリウレタンフォームは、密度が30kg/m以下であって軽量ではあるが、硬さが70Nを超えるものであり、羽毛掛け布団と比較するとソフト感において大きく劣るものである。
【0006】
また特許文献2に開示された軟質ポリウレタンフォームは、病院において使用する掛け布団用であり、雑菌繁殖防止のために洗濯、乾燥、消毒等の容易性を目的としたものであって、軽量でソフトな感触は問題とされていない。
【0007】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームを詰め物とし、一般に高級品とされている羽毛を詰め物とした掛け布団に匹敵する軽量性、保温性、ソフトな感触を有する掛け布団並びに該掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の掛け布団は、袋状に形成された外側生地の内部に、密度が12〜25kg/m、硬さが10〜30Nの軟質ポリウレタンフォームの小ブロックが収容されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成の掛け布団は、軟質ポリウレタンフォームを詰め物としつつ、一般に高級品とされている羽毛を詰め物とした掛け布団に匹敵する軽量性、保温性、感触やドレープ性を有する掛け布団である。
【0010】
密度が12kg/m未満の軟質ポリウレタンフォームはへたりが大きくて掛け布団の詰め物としては満足できるものではなく、密度が25kg/mを超えると得られる掛け布団の軽量感が低下する。軟質ポリウレタンフォームの硬さが10N未満の場合もフォームのへたりが大きくて掛け布団の詰め物としては満足できるものではなく、30Nを超えるとソフトな感触が低下する。また軟質ポリウレタンフォームを小ブロックとすることによって、ドレープ性が大きく改善され、しかも小ブロック間に空隙が形成される結果、軽量性と保温性がさらに改善されたものとなった。
【0011】
上記の掛け布団においては、前記軟質ポリウレタンフォームは、開始剤にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させたポリエーテルポリオールを構成成分とし、前記ポリエーテルポリオール中のエチレンオキサイド単位の含有率が20〜90重量%であることが好ましい。
【0012】
上記構成の軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを使用することにより、使用時に人体から放散される水分を効果的に吸収すると共に不使用時や乾燥時には吸収した水分を急速に放出するので、羽毛を詰め物とした掛け布団以上に快適な掛け布団が形成できる。
【0013】
本発明の掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロックは、密度が12〜25kg/m、硬さが10〜30Nであり、袋状に形成された外側生地の内部に収容して掛け布団とすることを特徴とするものである。
【0014】
係る掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロックの使用により、一般に高級品とされている羽毛を詰め物とした掛け布団に匹敵する軽量性、保温性、ソフトな感触やドレープ性を有する掛け布団が得られる。
【0015】
上記の掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを構成する軟質ポリウレタンフォームは、開始剤にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させたポリエーテルポリオールを構成成分とし、前記ポリエーテルポリオール中のエチレンオキサイド単位の含有率が20〜90重量%であることが好ましい。
【0016】
上記構成の軟質ポリウレタンフォーム小ブロックは、空気中の水分を効果的に吸収すると共に乾燥時には吸収した水分を急速に放出するので、快適な掛け布団が形成可能な詰め物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の軟質ポリウレタンフォームはポリエーテルポリオール化合物、発泡剤、整泡剤及び触媒を含むポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを反応させることにより製造する。
【0018】
ポリエーテルポリオール化合物は、多官能性アルコール系化合物を開始剤とし、これにアルキレンオキサイドを付加させて得られる。
【0019】
開始剤である多官能性アルコール系化合物としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンを例示できる。開始剤は2種以上を使用してもよい。
【0020】
多官能性アルコール系化合物に付加重合するアルキレンオキサイドとしては炭素数2以上のものがあげられ、たとえば、エチレンオキサイド(EO)、1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイドなどを例示できる。これらアルキレンオキサイドのなかでも、プロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール化合物、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール化合物の少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0021】
上記ポリオール化合物の中でも、上述のようにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体ポリエーテルポリオール化合物であってエチレンオキサイドの含有率が20〜90重量%のポリオール化合物を使用することが好ましい。ポリオール化合物のエチレンオキサイド含有率は、多すぎるとフォームの強度や圧縮永久歪が低下し、少なすぎると吸放湿性能が十分ではなくなる。ポリオール化合物のエチレンオキサイド含有率は、30〜85重量%であることがより好ましく、50〜80重量%であることがさらに好ましい。プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体ポリオール化合物は、ランダム重合体、ブロック重合体のいずれでもよいが、末端の水酸基がエチレンオキサイド単位に基づく第1級水酸基の割合が全末端水酸基の15〜40%であることが好ましく、20〜35%であることが、フォーム製造時における発泡と樹脂形成のバランスがよく、より好ましい。
【0022】
ポリオール化合物としては、他のポリエーテルポリオール化合物を併用して物理特性などを調整してもよいが、ポリオール化合物全量中のエチレンオキサイド単位を上記のように20〜90重量%の範囲に設定することが好ましい。
【0023】
ポリオール化合物は、平均官能基数は2.5〜4であることが好ましく、水酸基価は20〜100mgKOH/gであることが好ましい。
【0024】
本発明の掛け布団の詰め物である軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを構成する軟質ポリウレタンフォーム構成材料として、低分子量多価アルコールを架橋剤として使用してもよい。係る架橋剤である低分子量多価アルコールとしては、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、ジメチルペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタンテトロール等の多価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0025】
ポリイソシアネート化合物としては、軟質ポリウレタンフォームの製造に通常使用される、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系の各種のポリイソシアネート化合物、さらにはこれらポリイソシアネート化合物を変性して得られる変性ポリイソシアネート化合物を使用できる。また、ポリイソシアネート化合物は2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記のポリイソシアネート化合物の具体例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(精製ジフェニルメタンジイソシアネート(p−MDI)やクルードMDI(c−MDI)がある)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートがあげられ、その変性物としては、ポリイソシアネート化合物のプレポリマー型変性体、イソシアヌレート型変性体、ウレア型変性体、カルボジイミド型変性体などがあげられる。これらのなかでも、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが、反応性が高いこと、低コストであること等の理由で好ましい。トルエンジイソシアネートは、2,4−置換体と2,6−置換体とがあるが、これらの混合物の使用が好ましく、2,4−置換体/2,6−置換体混合比が90/10(TDI−90)〜60/40(TDI−60)の混合物の使用が好適である。ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物との反応におけるNCO/OH当量比は、0.9〜1.2であることが好ましい。
【0027】
本発明において使用する触媒としては、公知のウレタン反応触媒を限定なく使用することができる。ウレタン反応触媒としては、具体的にはジブチル錫ジラウレートやオクチル酸錫等の錫系触媒や第3級アミン触媒が使用可能であり、第3級アミン触媒としては、トリエチレンジアミン(DABCO,TEDA33LV等)、Toyocat−ET(東ソー)等が例示される。
【0028】
発泡剤としては、公知の発泡剤を使用することができるが、水、メチレンクロライド等が例示され、特に水又は水とメチレンクロライドを併用した発泡剤を使用することが好ましい。
【0029】
本発明においては、必要に応じて、整泡剤、着色剤、酸化防止剤などの他の添加剤を使用することが可能である。
【0030】
整泡剤としては、連続気泡軟質ポリウレタンフォームの製造において公知の整泡剤を限定なく使用することができ、具体的にはSF2965,SF2962,SF2904,SF2908,SRX294A,SZ1923,SH−192,SH−193、L−5366,L−5309等(東レダウコーニングシリコン製)、B8680等(ゴールドシュミット社製)等の市販品の使用が好適である。
【0031】
軟質ポリウレタンフォームの硬さは、例えばフォームを構成するポリウレタン重合体におけるイソシアネート化合物単位の重量比率により調整することができる。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明の掛け布団に詰め物として収容する軟質ポリウレタンフォームの小ブロックを例示した斜視図である。(a)は平面視の形状が六角形、(b)は十字形状である。小ブロックの形状は特に限定されるものではなく、不定形のものであってもよく、図1に例示した一定の形状を有するものであってもよい。一定形状の小ブロックを複数種併用してもよい。これらの中でも、(b)や星型、梅花型等のように凹部と凸部とを有する形状の小ブロックを掛け布団用詰め物として使用すると、小ブロック間により大きな空隙が形成され、充填密度が小さく、軽量になり、また保温性も優れた掛け布団となるので好適である。軟質ポリウレタンフォーム小ブロックの製造は、いわゆるスラブフォームをチッパーにてチッピング加工、裁断加工、シート状に裁断したスラブフォームの打抜き加工などの公知の製造方法により行うことができる。掛け布団の詰め物として使用するに際しては、2種以上の形状の軟質ポリウレタンフォームの小ブロックを混合して使用してもよい。
【0033】
小ブロックの大きさは限定されるものではないが、最大径が5〜30mm、体積が0.5〜30cmであることが好ましい。例えば、図1(a)の小ブロックにおいては、正六角形の1辺が5〜20mm,厚さが5〜30mmであり、(b)の形状ではL1,L2が5〜10mmであり、厚さが5〜30mmである。掛け布団の詰め物として使用するに際しては、大きさや体積の異なる軟質ポリウレタンフォームの小ブロックを混合してもよく、例えば大きなブロックと小さなブロックを組み合わせると大きなブロックにより形成される空隙に小さなブロックが位置することによって充填密度と空隙の大きさを調整することができる。
【0034】
図2は、図1(b)に示した小ブロックの製造方法を例示した平面図である。小ブロックは、スラブフォームより裁断して製造したシート状の軟質ポリウレタンフォームを打ち抜くことにより製造することができる。打抜き加工は、トムソン刃により行うことが簡便である。打抜きは平面配置されたトムソン刃にてバッチ方式で行ってもよく、ロール表面にトムソン刃を配置して回転させながら連続供給される軟質ポリウレタンシートを打ち抜いてもよい。この場合、図1(b)の形状の小ブロック以外にa,bのような形状のブロックが生じるが、そのまま使用可能である。
【実施例2】
【0035】
(軟質ポリウレタンフォーム製造例1)
グリセリンを開始剤とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させた水酸基価52mgKOH/gのポリエーテルポリオールEP−505S(エチレンオキサイド単位の含有量70重量%:三井武田ケミカル(株))70重量部、グリセリンを開始剤とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させた水酸基価45mgKOH/gのポリエーテルポリオールEP−455S(エチレンオキサイド単位の含有量10重量%:三井武田ケミカル(株))30重量部(ポリオール化合物全量中のエチレンオキサイド単位:52重量%)、発泡剤として水とメチレンクロライド、整泡剤、アミン触媒、金属触媒を配合したポリオール組成物とTDI−80イソシアネートを混合して発泡させ連続製造ラインを使用してスラブフォームを製造した。NCO/OH当量比は105、フォーム中のイソシアネート化合物含有比率は32重量%であった。得られた軟質ポリウレタンフォームは、密度が20kg/m,硬さは20Nであった。
硬さの測定方法は、以下のとおりである。
a)試験片:スラブフォームから50×380×380(mm)のものを1個採取する。
b)試験機:垂直方向に毎分100±20mmの一定速度で動く加圧板と固定した支持板の間で試験片を圧縮できるもので、荷重を±1%又は±1N以上の精度で、荷重下の試験片の厚さを±0.25mmの精度で測定できるものを使用する。
・支持板:他に規定されていない場合試験片より大きく水平で平滑な固い表面をもつものとする。また、試験片の下から空気を逃がすために約6mmの直径で、約20mm間隔の通気孔をもつものとする。
・加圧板:垂直移動で自由に動くようにボールジョイントが取り付けられており、
直径200+3−0mmの平らな円盤で下部のエッジは1.0+5−0mmの半径であること。
加圧板の下部表面は、磨き加工をしていない平滑な表面であること。
c)測定方法:試験片を試験機の台上の中央に平らに置き、加圧板を試験片の上面に載せて荷重を5+0−2Nにしたときの厚さを0.1mmまで読み取り、これを初めの厚さとする。
次に加圧板を毎分100±20mmの速さで初めの厚さの25±1%押し込み、静止後20秒経過した時の荷重を1Nまで読み取り、硬さ、(H)は読み取った荷重とする。
測定は1回とし、硬さはJIS−Z−8401によって数値を丸める。
【0036】
連続ラインで製造した上記のスラブフォームを裁断して厚さt=10mmのシート状の軟質ポリウレタンフォームとし、トムソン刃にて図1(b)の形状の小ブロックを作製した。L1=L2=6mmとした。
【0037】
(軟質ポリウレタンフォーム製造例2)
製造例1にて使用したポリエーテルポリオール化合物(A)10重量部とグリセリンを開始剤とし、プロピレンオキサイドを開環付加させた水酸基価56mgKOH/gのポリエーテルポリオールボラノール3022J(ダウケミカル日本(株))90重量部(ポリオール化合物全量中のエチレンオキサイド単位=1重量%)をポリオール化合物とした以外は製造例1と同様にして軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを製造した。
【0038】
(評価)
<吸放湿性評価>
(実験例1)
上記製造例1にて得られた軟質ポリウレタンフォーム小ブロック8.9gを温度40℃、相対湿度98%の恒温恒湿槽内に4時間放置し、1時間ごとに重量を測定して吸湿性を評価し、次いで温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に入れて同様に1時間ごとに重量を測定して放湿性を評価した。結果を図3に示した。
【0039】
(実験例2)
上記製造例2にて得られた軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを使用し、実験例1と同様の評価を行った。
【0040】
(実験例3〜5)
実験例3として市販の羽毛掛け布団に充填されている羽毛を、実験例4として市販の掛け布団に充填されている羊毛を、実験例5として市販の掛け布団に充填されているポリエステル繊維製の合成繊維綿を、それぞれ使用し、実験例1と同様にして吸放湿性を評価した。結果を図3に併せて示した。
【0041】
図3の結果より、本発明の軟質ポリウレタンフォーム小ブロックは、吸湿性が羽毛よりも高く、乾燥条件では急速に水分を放出するものであり、同じ軽さで羽毛以上に快適な掛け布団を構成する詰め物であった。その他の詰め物材料の吸放湿性は、羊毛>従来の軟質ポリウレタンフォーム(実験例2)>ポリエステル樹脂綿の順であった。
【0042】
<寝床内環境評価>
(実験例6)
袋状に形成した長さ2100mm、幅1500mmの綿製の外側生地の内部に実験例1に使用した軟質ポリウレタンフォーム小ブロックを1400g充填して掛け布団を調整し、敷き布団上に寝かせた人体と同様な温度変化と水分の放出を行うように設定されたサーマルマネキンに掛け布団として掛け、一般的な人の就寝時の体温変化と水分の放出を行わせて寝床内環境の変化を測定した。結果を図4に示した。
【0043】
(実験例7、8)
実験例7として実験例3に使用した羽毛を、実験例8として実験例5に使用したポリエステル綿を、それぞれ軟質ポリウレタンフォーム小ブロックと同重量充填した掛け布団を使用して実験例6と同じ寝床内環境変化を測定した。結果は図4に併せて示した。
【0044】
図4の結果より、本発明の掛け布団は、保温性、吸放湿性能が羽毛に匹敵するものであることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の掛け布団に詰め物として収容する軟質ポリウレタンフォームの小ブロックを例示した斜視図
【図2】軟質ポリウレタンフォームの小ブロックの製造方法を例示した平面図
【図3】軟質ポリウレタンフォームの吸放湿性能を示したグラフ
【図4】サーマルマネキンを使用して評価した寝床内環境の測定結果を示したグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成された外側生地の内部に、密度が12〜25kg/m、硬さが10〜30Nの軟質ポリウレタンフォームの小ブロックが収容されている掛け布団。
【請求項2】
前記軟質ポリウレタンフォームは、開始剤にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させたポリエーテルポリオールを構成成分とし、前記ポリエーテルポリオール中のエチレンオキサイド単位の含有率が20〜90重量%である請求項1に記載の掛け布団。
【請求項3】
密度が12〜25kg/m、硬さが10〜30Nであり、袋状に形成された外側生地の内部に収容して掛け布団とする、掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロック。
【請求項4】
開始剤にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを開環付加させたポリエーテルポリオールを構成成分とし、前記ポリエーテルポリオール中のエチレンオキサイド単位の含有率が20〜90重量%である請求項3に記載の掛け布団用軟質ポリウレタンフォーム小ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−263053(P2006−263053A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83635(P2005−83635)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】