説明

採光断熱窓

【課題】採光断熱材と窓ガラスとの間の隙間からの水分の浸入を抑制することができる構造が備えられた採光断熱窓を提供する。
【解決手段】窓ガラス2の屋内側に隙間を隔てて固定的に採光断熱材4が配置されており、採光断熱材4が間に空気層を隔てて対向されている複数の合成樹脂フィルム41と、複数の合成樹脂フィルム41間に配置されたスペーサ42とを有し、採光断熱材4の外周と窓ガラス2との間の隙間を封止するようにコーキング材6が設けられている、採光断熱窓1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋などの建物に構成される採光断熱窓に関し、より詳細には、複数枚の合成樹脂フィルムが空気層を介して対向されている構造を有する採光断熱材を用いた採光断熱窓に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の窓部では、断熱性が損なわれやすい。他方、窓部では採光に優れていることが求められている。
【0003】
そこで、下記の特許文献1には、窓における採光性を損なわず、かつ高い断熱性を付与する採光断熱材が開示されている。特許文献1に記載の採光断熱材は、窓ガラスの内側に窓ガラスと対向するように配置される。この採光断熱材は、ポリカーボネート、塩化ビニルおよび/またはポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂からなる複数枚の合成樹脂フィルムを有する。この複数枚の合成樹脂フィルムが空気層を挟んで対向するように配置されている。空気層には複数のスペーサが配置されている。該スペーサにより空気層を挟んで対向している合成樹脂フィルム同士が接合されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、この種の採光断熱材をガラス窓に取り付けてなる簡易断熱窓が開示されている。この簡易断熱窓では、採光断熱材の外周縁に断面コの字状の補強材が固定されている。この補強材を介して採光断熱材が窓ガラスに隙間を隔てて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第45468705号公報
【特許文献2】特開2011−32721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載のように、従来、窓の断熱性を高めるために、上記採光断熱材が用いられている。採光断熱材により断熱性を高めるためには、採光断熱材が空気層を有するだけでなく、採光断熱材と窓ガラスとの間に空気層を挟んで採光断熱材が窓ガラスに対向するように採光断熱材を固定する必要がある。この場合、採光断熱材の外周部分と、窓ガラスとの間に隙間が生じがちであった。そのため、採光断熱材の周囲から結露等による水分が採光断熱材内部、あるいは採光断熱材と窓ガラスとの隙間に浸入するおそれがあった。水が浸入すると、断熱性や採光が大幅に低下する。また、甚だしき場合には、採光断熱材を構成している合成樹脂フィルムが剥離したり、採光断熱材自体が剥がれるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、採光断熱材と窓ガラスとの間の隙間からの水分の浸入を抑制することを可能とする採光断熱窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る採光断熱窓は、窓ガラスと、前記窓ガラスの室内側の面に空気層を隔てて配置されている採光断熱材とを備える。本発明では、上記採光断熱材は、前記採光断熱材が、間に空気層を介して対向されている複数の合成樹脂フィルムと、前記複数の合成樹脂フィルム間に配置された複数のスペーサとを有する。本発明では、前記採光断熱材と窓ガラスとの隙間を封止するコーキング材がさらに備えられている。
【0009】
本発明に係る採光断熱窓のある特定の局面では、前記採光断熱材の外周縁の少なくとも一部に取り付けられており、前記採光断熱材の外周側面に対向されている第1の補強面部と、前記第1の補強面部の屋内側端部から前記採光断熱材の屋内側表面に至っている第2の補強面部と、前記第1の補強面部の屋外側端部から前記採光断熱材の屋外側表面に至っている第3の補強面部とを有する補強材がさらに備えられている。この場合には、採光断熱材を窓ガラスに対して直接または間接により確実に固定することができるとともに、採光断熱材の外周縁部分を補強することができる。
【0010】
本発明に係る採光断熱窓の他の特定の局面では、前記補強材が前記コーキング材を介して直接または間接に前記窓ガラスに固定されている。この場合には、採光断熱材が補強材を介してコーキング材により窓ガラスに確実に固定される。加えて、窓ガラスの屋内側の面と補強材との隙間が確実に封止される。
【0011】
本発明に係る採光断熱窓のさらに他の特定の局面では、前記窓ガラスの外周を囲むように前記窓ガラスに外挿されているフレーム材がさらに備えられており、前記フレーム材と前記採光断熱材との間の隙間が前記コーキング材により封止されている。この場合には、フレーム材が取り付けられているので、窓ガラスの施工が容易である。加えて、フレーム材と補強材との間の隙間がコーキング材で封止されているので、水分の採光断熱材側への浸入をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る採光断熱窓では、コーキング材により採光断熱材の外周部分と窓ガラスとの間の隙間が封止されているため、水分の採光断熱材内部への浸入や窓ガラスと採光断熱材との隙間への浸入を確実に抑制することができる。そのため、長期間使用したとしても、断熱性や採光性の低下が生じ難く、かつ採光断熱材における合成樹脂フィルムの剥離や採光断熱材自体の部分的な剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態にかかる採光断熱窓の屋内側から見た正面図及び(a)中のB−B線に沿う部分の部分切欠き拡大断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の採光断熱窓における採光断熱材に補強材を取り付ける工程を説明するための分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の採光断熱窓においてコーキング材を充填する前の状態の屋内側から見た正面図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態で用いられる採光断熱材を示す斜視図及びその要部を略図的に示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に用いられる採光断熱材及び補強材を示す正面図である。
【図6】(a)〜(c)は、補強材の変形例を示す各側面図である。
【図7】本発明のさらに他の変形例における補強材と採光断熱材との接合構造を示す部分切欠き断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる採光断熱窓の部分切欠き側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0015】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態にかかる採光断熱窓の屋内側から見た正面図であり、(b)は(a)中のB−B線に沿う部分の部分切欠き断面図である。
【0016】
図1(b)に示すように、採光断熱窓1では、窓ガラス2の外周縁にフレーム3が固定されている。フレーム3が取り付けられた窓ガラス2が、建築物の窓部に固定される。
【0017】
フレーム3は、アルミニウムなどの金属からなる。もっとも、フレーム3は、金属以外の材料で構成されていてもよい。フレーム3を用いることにより、窓ガラス2を建物の窓部に強固に固定することができる。フレーム3は、窓ガラス2の全外周を覆うように窓ガラス2の外周に外挿されている。
【0018】
フレーム3は、矩形枠状の形状を有し、内周面に凹部3aを有する。この凹部3aに窓ガラス2の外周縁部分が挿入されている。好ましくは、凹部3aと窓ガラス2の外表面との間に隙間がないように凹部3aを構成することが望ましい。それによって、屋外からの水分の浸入を窓ガラス2と凹部3aとが密着している部分により防止することができる。もっとも、本実施形態では、後述するコーキング材6により内部への水分の浸入を確実に抑制することができる。
【0019】
フレーム3は、窓ガラス2よりも屋内側にも至っており、屋内側に至っている内周面部分3bに囲まれている部分に採光断熱材4が配置されている。採光断熱材4は、窓ガラス2に対して空気層Aを隔てるように、窓ガラス2の屋内側表面2aに対向されている。
【0020】
上記採光断熱材4の構造を図4を参照して説明する。図4(a)及び(b)に示すように、採光断熱材4は、複数枚の合成樹脂フィルム41を有する。複数枚の合成樹脂フィルム41は、複数本のロッド状のスペーサ42を介して接合されている。このスペーサ42の径に相当する厚みの空気層Bが合成樹脂フィルム41間に形成されることになる。このような採光断熱材4は公知であり、例えば、前述した特許第4546870号公報に記載されている。
【0021】
採光断熱材4を構成する合成樹脂フィルム41は透明性を有する限り特に限定されるものではない。好ましくは、ポリカーボネート、塩化ビニルおよび/またはポリエチレンテレフタレートにより合成樹脂フィルム41を形成することができる。
【0022】
また、スペーサ42は、同じく透明性を有する適宜の合成樹脂からなる。このような合成樹脂として、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0023】
上記採光断熱材4は、合成樹脂フィルム41上に、スペーサ42を構成する合成樹脂を溶融押出し、しかる後次の合成樹脂フィルム41を積層する工程を繰り返すことにより得ることができる。
【0024】
採光断熱材4では、複数の合成樹脂フィルム41及びロッド状のスペーサ42が透明性を有するため、十分な採光性を有する。しかも、複数枚の合成樹脂フィルム41間に設けられている空気層Bにより高い断熱性能を発現する。
【0025】
なお、本実施形態では、ロッド状の複数本のスペーサ42が用いられているが、格子状のスペーサなどを用いてもよい。すなわち、スペーサ42の形状は特に限定されるものではない。
【0026】
採光断熱材4では、複数枚の合成樹脂フィルム41が空気層Bを介して積層されている。従って、外周縁部において、複数の合成樹脂フィルム41間の隙間が外部に向かって開いている。この部分については、適宜の封止材を封入することにより封止してもよい。それによって、採光断熱材4内への水分の浸入をより確実に防止することができる。
【0027】
採光断熱材4の厚みについては、特に限定されないが、3mm〜20mmの範囲が望ましい。3mm未満では、十分な断熱性を得られないことがある。20mmを超えると、通常用いられているフレーム3の屋内側端部よりも内側に採光断熱材4がはみ出るおそれがある。その場合には、後述するコーキング材6による固定が困難となるおそれがある。
【0028】
本実施形態では、採光断熱材4は全体が略矩形板状の形状を有する積層体である。採光断熱材4の矩形を構成している外周の4辺には、図1(a)で示すように、それぞれ補強材5が固定されている。
【0029】
補強材5を構成する材料は特に限定されない。アルミニウムまたはステンレスなど金属を用いてもよい。あるいは、木材や竹を用いてもよい。さらに、プラスチック、ゴムまたはFRPなどのプラスチック複合材料を用いてもよい。もっとも、上記補強材5は採光性を損なわないために、並びに意匠性を高めるために、透明または半透明であることが望ましい。もっとも、補強材5は不透明であってもよく、着色されていてもよい。
【0030】
透明である場合、完全に透明であるだけでなく、薄い色を呈していてもよい。不透明である場合、見栄えをよくするためには、白またはアイボリー系の色であることが望ましい。
【0031】
さらに、上記補強材5の色は、前述したフレーム3の色に応じた色であることが望ましい。例えば、フレーム3の色と同一の色としたり、フレーム3の色と組み合わさって意匠性を高める色であることが望ましい。また、上記フレーム3や補強材5の表面に、木目調の印刷を施してもよい。
【0032】
上記補強材5を構成するプラスチックとしては、透明性を高める上では、ASA樹脂、AES樹脂、塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレンまたはポリスチレンなどを好適に用いることができ、特に、透明性に優れ、かつ十分な強度を有するため、ASA樹脂が好ましい。また、安価であり、施工が容易であるため、塩化ビニル系樹脂も好適に用いることができる。
【0033】
上記補強材5は、断面コの字状の形状を有する。図1(b)に示すように、補強材5は、採光断熱材4の外周側面4aに対向されている第1の補強面部5aと、第1の補強面部5aの屋内側端部から採光断熱材4の屋内側表面に至っている第2の補強面部5bと、第1の補強面部5aの屋外側端部から採光断熱材4の屋外側表面に至っている第3の補強面部5cとを有する。本実施形態では、第2,第3の補強面部5b,5cが互いに平行とされており、それぞれ、採光断熱材4の主面上に接触するように設けられている。なお、第1の補強面部5aの内面は、採光断熱材4の外周側面4aと当接されているが、両者の間に隙間が形成されていてもよい。
【0034】
なお、上記補強材5の肉厚については特に限定されないが、0.5〜2.0mmの範囲が望ましい。0.5mm未満の場合には、材料にもよるが、補強効果を得るための剛性が不足するおそれがある。2.0mmを超えると、採光断熱材4の表面と補強材5の第2,第3の補強面部5b,5cの外表面との間の段差が大きくなる。そのため、コーキング材6による封止性が損なわれるおそれがある。
【0035】
本実施形態では、補強材5は、図1(a)に示すように、矩形の板状の採光断熱材4の各辺に沿って設けられている。従って、隣り合う補強材5,5間に矢印Cで示す隙間が存在している。このような隙間を無くすように、各補強材5の長さを調整することが好ましい。
【0036】
上記補強材5の第1の補強面部5aと、フレーム3の内周面部分3bとの隙間を充填するようにコーキング材6が充填されている。それによって、窓ガラス2と採光断熱材4との間の隙間が封止されている。この隙間の大きさは特に限定されるものではないが、施工が容易であり、かつコーキング材6の充填及びコーキング材6による封止を確実に行うには2mm〜7mm程度の寸法とすることが望ましい。本実施形態では、この寸法は5mmとされている。
【0037】
コーキング材6は、窓ガラス2と採光断熱材4との間の隙間を封止し得る限り特に限定されるものではない。すなわち、水分の内部への浸入を防止するように液密封止を果たし得る適宜のコーキング材を用いることができる。このようなコーキング材としては、シリコン系シーラント、アクリル樹脂系シーラント、ウレタン樹脂系シーラントなどを挙げることができる。
【0038】
このような公知のシーラントは、流動性を有し、上記隙間に容易に充填することができ、かつ常温であるいは加熱することにより硬化させ、上記隙間を確実に封止することができる。
【0039】
本実施形態では、上記コーキング材6は、窓ガラス2の屋内側表面2aと上記補強材5の外表面との間の隙間を封止するように、かつ補強材5と上記フレーム3の内周面部分3bとの間の隙間を封止するように設けられている。従って、水分が窓ガラス2と採光断熱材4との間の空気層Aに浸入し難い。また、採光断熱材4の内部すなわち合成樹脂フィルム41間の空気層Bにも浸入し難い。従って、水分の浸入による採光性の低下や断熱性の低下が生じ難い。
【0040】
また、上記コーキング材6は、前述した公知のシーラントにより形成されているため、施工に際しては、上記隙間にコーキング材6を容易に充填することができる。従って、隙間を容易にかつ確実に封止することができる。すなわち、施工性を低下させることなく、採光断熱材4と窓ガラス2との間の隙間を封止することができる。上記コーキング材6により採光断熱材4をフレーム3内に固定することも可能である。すなわち、他の固定用材料を用いることなく、採光断熱材4をフレーム3の内側において、窓ガラス2と対向するように固定することができる。
【0041】
好ましくは図2に示すように、補強材5を採光断熱材4の外周に固定する。次に、図3に示すように、上記複数の補強材5が取り付けられた採光断熱材4を窓ガラス2に対し固定する。固定に際しては、補強材5の前述した第3の補強面部5cと窓ガラス2とを両面粘着テープなどを用いて仮固定することが望ましい。このような両面粘着テープとしては、基材を有せず透明性に優れているものが望ましい。その状態で、上記コーキング材6を補強材5と窓ガラス2との間の隙間に充填することが望ましい。
【0042】
なお、上記両面粘着テープについては、基材を有する両面粘着テープを用いてもよい。その場合には、基材が透明であることが望ましい。
【0043】
また、上記両面粘着テープを用いて仮固定する場合、両面粘着テープは、全ての補強材部分に貼り合わせる必要はなく、補強材5の一部にのみ貼り合わせてもよい。
【0044】
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる採光断熱窓に用いられる採光断熱材4A及び複数の補強材51〜58を示す正面図である。本実施形態では、適用される窓にクレセント錠が設けられている。従って、このクレセント錠を露出させるために、採光断熱材4Aは一方の端辺側に矩形の切欠き4bを有する。このように、採光断熱材4Aのように、適用される窓ガラスに錠を設けられている場合、錠を露出するように切欠き4bを設けることが望ましい。切欠き4bの形状は露出させる錠に応じて選択すればよい。
【0045】
本実施形態では切欠き4bが形成されているため、全体が略矩形の採光断熱材4Aの一対の長辺及び一方の端辺にそれぞれ補強材51,53,52が固定されているだけでなく、切欠き4bが設けられている端辺側に複数の補強材54〜58が設けられている。このように、補強材の設けられる位置は、採光断熱材4Aの外周縁の形状に応じて適宜選択すればよい。
【0046】
第1の実施形態の採光断熱窓では、上記補強材5は、断面略コの字状であり、第2,第3の補強面部5b,5cは互いに平行に延ばされていた。もっとも、この補強材5の断面形状は適宜変形することができる。図6(a)に示すように、第1の補強面部5aに連ねられている第2,第3の補強面部5b,5cは先端に行くに連れて両者の間が近づく形状とされていてもよい。この場合には、補強材5を弾性変形し得る材料で構成することにより、第2,第3の補強面部5b,5c間の先端を押し広げて採光断熱材4を挿入すればよい。第2,第3の補強面部5b,5cの弾性復元力により、補強材5を他の材料を用いることなく採光断熱材4に確実に固定することができる。
【0047】
また、図6(b)に示すように、第2の補強面部5bと第3の補強面部5cの長さ、すなわち第1の補強面部5a側端部から反対側の端部に向かう寸法を異ならせてもよい。なお、第3の補強面部5cの長さを、第2の補強面部5bの長さよりも逆に短くしてもよい。
【0048】
また、図6(c)に示すように、一方の補強面部5cの長さを相対的に長くし、さらに補強面部5cを補強面部5bと非平行に配置してもよい。このように、補強材5の第2,第3の補強面部5b,5cの上記断面形状は適宜変形することができる。
【0049】
図7は、本発明の採光断熱窓のさらに他の変形例を説明するための部分切欠き断面図である。本変形例では、採光断熱材4に接着剤7,8を用いて補強材5が固定されている。このような接着剤としては、ホットメルトタイプの接着剤や湿気硬化型接着剤などの適宜の接着剤を用いることができる。また、接着剤7,8に代えて、前述したコーキング材と同様の材料を用いてもよい。さらに、接着剤に限らず、基材を有する両面粘着テープまたは基材を有しない両面粘着テープを用いてもよい。また、ピン、ビスまたは釘等の固定部材により補強材5を採光断熱材4に固定してもよい。さらに、接着力を有しないブチルゴムテープなどを介して補強材5を採光断熱材4に固定してもよい。
【0050】
また、図7では、採光断熱材4の屋外側表面及び屋内側表面の双方に接着剤7,8を配置したが、一方側にのみ接着剤を配置してもよい。すなわち、補強材5を採光断熱材4に固定する部分は適宜変形することができる。
【0051】
図8は、第3の実施形態にかかる採光断熱窓を説明するための部分切欠き断面図である。第1及び第2の実施形態では補強部材を用いたが、図8に略図的に示すように、上記補強部材を省略してもよい。図8に示す採光断熱窓11では、フレーム3の内周面部分3bと採光断熱材4の外周側面4aとの間の隙間にコーキング材6が充填されて、該隙間が封止されている。このように、補強材5を省略し、コーキング材6により直接窓ガラス2あるいは窓ガラス2に及ぶフレーム3と、採光断熱材4との間の隙間を封止し、かつ固定してもよい。この場合においても、窓ガラス2に対し、採光断熱材4を例えば図示しない両面粘着テープ等により仮固定しておくことが望ましい。
【符号の説明】
【0052】
1…採光断熱窓
2…窓ガラス
2a…屋内側表面
3…フレーム
3a…凹部
3b…内周面部分
4,4A…採光断熱材
4a…外周側面
4b…切欠き
5…補強材
5a…第1の補強面部
5b…第2の補強面部
5c…第3の補強面部
6…コーキング材
7,8…接着剤
11…採光断熱窓
41…合成樹脂フィルム
42…スペーサ
51〜58…補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスと、前記窓ガラスの室内側の面に空気層を隔てて配置されている採光断熱材とを備え、
前記採光断熱材が、間に空気層を介して対向されている複数の合成樹脂フィルムと、前記複数の合成樹脂フィルム間に配置された複数のスペーサとを有し、
前記採光断熱材と前記窓ガラスとの隙間を封止しているコーキング材をさらに備える、採光断熱窓。
【請求項2】
前記採光断熱材の外周縁の少なくとも一部に取り付けられており、前記採光断熱材の外周側面に対向されている第1の補強面部と、前記第1の補強面部の屋内側端部から前記採光断熱材の屋内側表面に至っている第2の補強面部と、前記第1の補強面部の屋外側端部から前記採光断熱材の屋外側表面に至っている第3の補強面部とを有する補強材をさらに備える、請求項1に記載の採光断熱窓。
【請求項3】
前記補強材が前記コーキング材を介して直接または間接に前記窓ガラスに固定されている、請求項1または2に記載の採光断熱窓。
【請求項4】
前記窓ガラスの外周を囲むように前記窓ガラスに外挿されているフレーム材をさらに備え、前記フレーム材と前記採光断熱材との間の隙間が前記コーキング材により封止されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の採光断熱窓。
【請求項5】
前記窓ガラスの一部に錠が設けられており、前記採光断熱材が該錠の部分を露出させる切欠きを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の採光断熱窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−188818(P2012−188818A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51307(P2011−51307)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】