説明

採点支援プログラム

【課題】正方形状又は長方形状に区画され且つ識別表示が附された解答欄が複数設けられたテストの答案用紙に解答欄へ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援する採点支援プログラムを提供する。
【解決手段】手書きの筆跡を答案用紙上の座標データとして連続的に出力するペン型の入力手段が予め接続されたコンピュータを、解答欄同士の境界上に沿って筆記されることにより入力手段から入力される境界線の座標データを解析し各解答欄の答案用紙上の位置を特定する位置特定手段、解答欄の区画内へ入力手段で筆記されることにより解答欄が指定されたことを認識し且つ解答欄の識別表示が入力されることによって各解答欄の識別表示を特定する識別表示特定手段、特定された各解答欄の答案用紙上の位置と各解答欄の識別表示とを照合し各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを出力するデータ作成手段として機能させるプログラムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれに識別表示が附された解答欄が複数設けられているテストの答案用紙にそれぞれの解答欄へ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援するための採点支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、テストの採点作業は、作業者がテストの答案用紙の解答欄に記載された解答と、他の用紙等に記載された正答とを見比べて、答案用紙の解答欄毎にその正誤等を赤ペン等の筆記具を用いて筆記する作業を答案用紙毎にそれぞれ行うと共に、テストの全体の平均点、大問毎の平均点や答案用紙の各解答毎の正答率等の種々のデータを得るために、更に別の用紙や表計算ソフトを用いてその正誤や点数等を手動で入力することにより集計しなければならず、非常に手間と時間が掛かる負担が大きい作業であった。
【0003】
そこで、このような採点作業に掛かる負担を軽減すべく、例えば入力用ペンを用いて表示パネル上でのペン入力が行えると共に、上記表示パネルに入力用ペンのペン先を当接したときに、入力用ペンに搭載された赤外線送信手段及び超音波送信手段から同時に発信される赤外線信号及び超音波信号を表示パネル外に設けた赤外線受信手段及び少なくとも2個の超音波受信手段にてそれぞれ受信し、上記赤外線受信手段による赤外線信号受信時を基準として上記少なくとも2個の超音波受信手段による時間遅れの超音波信号の受信結果から表示パネルに対するペン先の当接位置を演算して求めるペン入力表示装置(例え、特許文献1参照。)等の如く、採点作業の際の手書きの筆跡を座標やストローク等のデータとして連続的に出力することができる入力手段とコンピュータとを用いて採点作業を行う方法が開発された。
【0004】
具体的には、例えば電子ペンを利用した採点システムにおいて、前記電子ペンを利用して答案用紙に入力された採点データを受け取るデータ入力手段と、前記採点データから、採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段と、個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶部と、前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する記号を認識し、認識結果を生成する認識手段と、前記認識結果に基づいて、採点結果を出力する制御手段とを備える採点システム(例え、特許文献2参照。)等の如く、採点作業の際の手書きの筆跡を座標やストローク等のデータとして連続的に出力することができる入力手段とコンピュータとで、テストの採点作業における各解答欄の正誤や点数等を自動的に集計するシステム等が存在する。
【0005】
しかしながら、このようなシステムでは、テストの採点作業における各解答欄の点数や正誤等を自動的に集計することができるものの、テストの採点作業における各解答欄の正誤や点数等を自動的に集計する作業を円滑に行うための最も重要なデータである、各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータについては、それぞれ予め各解答欄についてその答案用紙上の位置を計測して特定すると共にそのデータを手動で入力しなければならないという欠点があった。
【0006】
即ち、テストの採点作業における各解答欄の正誤や点数等を自動的に集計するシステムにおいては、各解答欄の識別表示(例えば、問1、問題1等)やその答案用紙上の位置が把握されていないと、仮に正誤等を認識できたとしても、その認識された正誤等が何れの解答欄のものであるかを判定することが一切できないため、結果的に自動的にテストの採点作業における各解答欄の正誤や点数等を自動的に集計することができないので、このようなシステムでは、各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータが予め入力されていることが必要なのであり、そしてこのようなデータは、作業者が予め計測して特定すると共に入力しなければならなく非常に作業者の負担が大きいという欠点があった。
【0007】
また、新たなテストを実施する毎にその答案用紙の解答欄の配置,解答欄の数や解答欄の識別表示も変ってしまうため、作業者は毎回それぞれ予め各解答欄についてその答案用紙上の位置を計測して特定すると共に各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを手動で入力する作業を行わなくてはならなず、非常に効率が悪いという欠点があるばかりでなく、学校や塾等の如く頻繁にテストを行うような現場では、その作業に膨大な時間を浪費してしまうという欠点もあり、更にはテストの答案用紙が複数に亘る場合には、1枚の答案用紙毎に前記の如き作業を行わなくてはならないという欠点もあった。
【0008】
更に、予め各解答欄についてその答案用紙上の位置を計測して特定すると共に各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを手動で入力する作業を行う際には、総ての手作業で行われるものであるため、例えば各解答欄の答案用紙上の位置の計測が間違ってしまったり、そのデータの入力を間違ってしまったりすることによって、各解答欄の正誤や点数等を自動的に集計することができないかったり、その集計結果自体が誤ってしまったりする危険性があるという欠点もあった。
【0009】
【特許文献1】特開2004−310598号公報
【特許文献2】特開2004−206295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消し、それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれに識別表示が附された解答欄が複数設けられているテストの答案用紙にそれぞれの解答欄へ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援するための採点支援プログラムであって、特に答案用紙上の各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを効率良く自動的に提供することができると共に作業者の負担を格段に軽減させることができる採点支援プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれに識別表示が附された解答欄が複数設けられているテストの答案用紙にそれぞれの解答欄へ正誤等を筆記するテストの採点作業を行う際には、手書きの筆跡を答案用紙上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段が予め接続されたコンピュータを用いられていることに着目し、このような入力手段で解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記することにより入力されたそれぞれの境界線の座標データを解析することによって、各解答欄の答案用紙上の位置を特定すると共に、このような入力手段で解答欄の区画内へ筆記することにより解答欄が指定されたことを認識させその解答欄の識別表示を入力することによって各解答欄の識別表示を特定することができるプログラムであれば、答案用紙上の各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを効率良く自動的に提供することができると共に作業者の負担を格段に軽減させることができることを究明して本発明を完成したのである。
【0012】
即ち本発明は、それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれに識別表示が附された解答欄が複数設けられているテストの答案用紙にそれぞれの解答欄へ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援するために、手書きの筆跡を答案用紙上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段が予め接続されたコンピュータを、
解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記されることにより入力手段から連続的に入力されるそれぞれの境界線の座標データを解析することによって、各解答欄の答案用紙上の位置を特定する位置特定手段、
それぞれの解答欄についてその区画内へ入力手段で筆記されることにより解答欄が指定されたことを認識し且つ該解答欄の識別表示が入力されることによって各解答欄の識別表示を特定する識別表示特定手段、
前記位置特定手段で特定された各解答欄の答案用紙上の位置と前記識別表示特定手段で特定された各解答欄の識別表示とを照合することにより各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを出力するデータ作成手段、
として機能させるための採点支援プログラムである。
【0013】
そして、本発明に係る採点支援プログラムにおいて、位置特定手段が、解答欄同士のそれそれの境界線自体に固有の識別情報を付与すると共に、それぞれの解答欄を区画する境界線の識別情報と、解析された境界線の座標データとで各解答欄の答案用紙上の位置を特定すると共に、データ作成手段が、各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータとして、各解答欄についてその識別表示とその区画する境界線の識別情報とが、及び各境界線についてその識別情報とその座標データとがそれぞれ対応したデータテーブルを出力するものである態様や、位置特定手段が、解答欄を区画する境界線の座標データから解答欄の領域の座標データを算出することにより各解答欄の答案用紙上の位置を特定すると共に、データ作成手段が、各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータとして、各解答欄についてその識別表示とその領域の座標データとが対応したデータテーブルを出力する態様等が存在するので、コンピュータに予め接続された入力手段の性能や特性等に合わせて適宜選択することができて好ましいことも究明したのである。
【0014】
また、位置特定手段が、解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記することにより入力手段から連続的に入力されるそれぞれの境界線の座標データが座標軸の方向と平行な直線状になるように補正を行うものであれば、作業者は定規等を用いて入力手段で解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記することなく、座標軸の方向と平行な直線状である境界線の座標データを簡単に入力することができて好ましいことも究明したのである。
【0015】
更に、識別表示特定手段が、識別表示として大問と小問とを認識するものを用いると共に入力手段に別途設けられたスイッチが押下された際に発信される押下信号を受信するものであって、入力手段のスイッチの押下信号を受信すると大問が追加されたこと認識し、しかる後に解答欄の区画内へ入力手段で筆記されることにより解答欄が指定されたことを認識すると、指定された解答欄を指定された順でこの大問の小問として認識することによって各解答欄の識別表示を特定するものであれば、キーボードやマウス等を用いることなく簡単に各解答欄の識別表示を特定することができて好ましいことも究明したのである。
【0016】
更に、コンピュータを更に、それぞれの解答欄の区画内に入力手段で筆記された数字を解析し、解析された数字をその解答欄の配点として認識することにより各解答欄の配点を指定する配点指定手段、
として機能させると共に、
データ作成手段が、位置特定手段で特定された各解答欄の答案用紙上の位置と識別表示特定手段で特定された各解答欄の識別表示と配点指定手段で指定された各解答欄の配点とを照合することにより各解答欄の識別表示,その答案用紙上の位置及びその配点を判別できるデータを出力するものであれば、各解答欄の配点のデータをも同時に自動的に提供することができて好ましいことも究明したのである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る採点支援プログラムは、前記した構成より成るものであるから、コンピュータに予め接続されている、手書きの筆跡を答案用紙上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段を用いて、解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記すると共に、解答欄の区画内へ筆記することにより解答欄を指定してその識別表示を入力するという簡単な作業だけで、答案用紙上の各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを効率良く自動的に提供することができるため、従来の如く予め各解答欄についてその答案用紙上の位置を計測して特定すると共に各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを手動で入力する作業を行う必要が一切ないので、作業者の負担を格段に軽減させることができる。
【0018】
そして、本発明に係る採点支援プログラムでは、前記の如く簡単な作業で答案用紙上の各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを効率良く自動的に提供することができるから、特に学校や塾等の如く頻繁にテストを行うような現場であっても、従来の手作業と比して格段に効率良く短時間で作業を行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る採点支援プログラムでは、各解答欄の答案用紙上の位置を特定する作業,解答欄の識別表示を特定する作業や解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータを出力する作業がプログラムによって正確に自動的に行われるから、従来の如く各解答欄の答案用紙上の位置の計測が間違ってしまったり、そのデータの入力を間違ってしまったりすることによって、各解答欄の点数や正誤を自動的に集計することができなかったり、その集計結果自体が誤ってしまったりする危険性が一切ないので、誤りにより時間や経費を浪費してしまうことがないばかりでなく、常に正確な集計結果を得ることができる。
【0020】
そして、このような本発明に係る採点支援プログラムにおいて、位置特定手段が、解答欄同士のそれそれの境界線自体に固有の識別情報を付与すると共に、それぞれの解答欄を区画する境界線の識別情報と、解析された境界線の座標データとで各解答欄の答案用紙上の位置を特定すると共に、データ作成手段が、各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータとして、各解答欄についてその識別表示とその区画する境界線の識別情報とが、及び各境界線についてその識別情報とその座標データとがそれぞれ対応したデータテーブルを出力するものである態様や、位置特定手段が、解答欄を区画する境界線の座標データから解答欄の領域の座標データを算出することにより各解答欄の答案用紙上の位置を特定すると共に、データ作成手段が、各解答欄の識別表示及びその答案用紙上の位置を判別できるデータとして、各解答欄についてその識別表示とその領域の座標データとが対応したデータテーブルを出力する態様等が存在するので、コンピュータに予め接続された入力手段の性能や特性等に合わせて適宜選択することができて好ましいばかりでなく、本発明に係る採点支援プログラムにより出力されるデータを利用する採点集計用のプログラムや表計算プログラム等の他のプログラムが、利用し易いデータ形式に合わせることができるので好ましい。
【0021】
また、位置特定手段が、解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記することにより入力手段から連続的に入力されるそれぞれの境界線の座標データが座標軸の方向と平行な直線状になるように補正を行うものであれば、作業者は定規等を用いて入力手段で解答欄同士のそれそれの境界上に沿って筆記することなく、座標軸の方向と平行な直線状である境界線の座標データを簡単に入力することができて好ましいばかりでなく、フリーハンドで入力することができるので、その作業効率も向上して好ましい。
【0022】
更に、識別表示特定手段が、識別表示として大問と小問とを認識するものを用いると共に入力手段に別途設けられたスイッチが押下された際に発信される押下信号を受信するものであって、入力手段のスイッチの押下信号を受信すると大問が追加されたこと認識し、しかる後に解答欄の区画内へ入力手段で筆記されることにより解答欄が指定されたことを認識すると、指定された解答欄を指定された順でこの大問の小問として認識することによって各解答欄の識別表示を特定するものであれば、キーボードやマウス等を用いることなく簡単に各解答欄の識別表示を特定することができて好ましいばかりでなく、その作業効率を格段に向上させることができて好ましい。
【0023】
更に、コンピュータを更に、それぞれの解答欄の区画内に入力手段で筆記された数字を解析し、解析された数字をその解答欄の配点として認識することにより各解答欄の配点を指定する配点指定手段、
として機能させると共に、
データ作成手段が、位置特定手段で特定された各解答欄の答案用紙上の位置と識別表示特定手段で特定された各解答欄の識別表示と配点指定手段で指定された各解答欄の配点とを照合することにより各解答欄の識別表示,その答案用紙上の位置及びその配点を判別できるデータを出力するものであれば、各解答欄の配点のデータをも同時に自動的に提供することができて好ましいばかりでなく、本発明に係る採点支援プログラムにより出力されるデータを利用する採点集計用のプログラムや表計算プログラム等の他のプログラムにおいて、各解答欄の配点を手動で入力することなく簡単に採点結果を得ることができるので好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面により本発明に係る採点支援プログラムについて詳細に説明する。
図1は本発明に係る採点支援プログラムの1の実施例を示す概略説明図、図2は本発明に係る採点支援プログラムの1の実施例を示すフローチャート、図3は本発明に係る採点支援プログラムの他の実施例を示すフローチャート、図4は本発明に係る採点支援プログラムの更に他の実施例を示すフローチャート、図5は本発明に係る採点支援プログラムの識別表示特定手段の1例を示すフローチャートである。
【0025】
初めに、本発明に係る採点支援プログラムに用いられるテストの答案用紙Tは、それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれにが附された解答欄Kが複数設けられている一般的なものであり、この答案用紙Tとしては、図1に示す如く解答欄K同士を区画する境界線Lが予め印刷等されているものであっても、図示しないが解答欄K同士を区画する境界線Lを示すものが印刷等されていないものの架空の境界線Lが存在するものものであってもよい。
【0026】
この答案用紙Tとしては、図1に示す如く少なくとも後述する入力手段1で認識可能な領域内に複数の解答欄Kが設けられていると共に、入力手段1で認識可能な材質・形状等より成るものであるが、通常は一般的な紙が用いられる。
【0027】
この答案用紙Tの解答欄Kには、図1に示す如くそれぞれの識別表示Sが附されており、この識別表示Sとしては、少なくとも答案用紙T上の個々の解答欄Kを識別することができるものであれば何でもよく、例えば問1,問題1,四角の枠内に1(図1に示す如きもの)等の数字よりなるもの、問A,○の枠内に「あ」等のように記号や他の文字からなるもの、問1(1),問題1−1,四角の枠内に1(1)(図1に示す如きもの)等の大問と小問を組合わせたもの等々を例示することができる。
【0028】
そして、本発明はこのようなテストの答案用紙Tにそれぞれの解答欄Kへ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援するためのプログラムであり、具体的にはテストの採点作業における各解答欄Kの正誤や点数等を自動的に集計する作業を円滑に行うために最も重要なデータである、各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを効率良く自動的に提供するためのものである。
【0029】
即ち、本発明により最終的に出力されるデータは例えば採点集計用のプログラム等の他の採点支援プログラムへ提供されるものであり、このような採点支援プログラムでは、例えば本発明においても用いられるようなコンピュータ2に接続された後述する入力手段1を用いて、作業者がテストの答案用紙Tの特定の識別表示Sが附された解答欄Kに記載された解答と、他の用紙等に記載されたこの特定の識別表示Sが附された正答とを見比べながら、答案用紙Tの特定の識別表示Sが附された解答欄Kに正解(例えば、「○(まる)」等。),不正解(例えば、「×(バツ)」や「/(斜線)」等。),一部正解(例えば、「△(三角)」等。)のマークや、部分点が存在する場合にはその部分点の点数等を筆記することを解答欄K毎に順々に行うことによって、解答欄K毎の採点結果が入力手段1を介して次々と入力される。
【0030】
このように前記の如き他の採点支援プログラムでは、解答欄K毎の採点結果が入力手段1を介して次々と入力されるのであるが、作業者が実際にどの識別表示Sが附された解答欄Kについて、マークや数字等を後述する入力手段1で筆記したかについて他の採点支援プログラム側において自動的に認識するためには、本発明により効率良く自動的に提供されるような、各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータが予め必要となる。
【0031】
しかして、本発明に係る採点支援プログラムは、前記の如く他の採点支援プログラムで採点作業を行う前において必要となる各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを効率良く自動的に提供するものであるから、テストを作成する際やテストの採点作業を行う直前までに用いればよい。
【0032】
次に図面中、1は後述するコンピュータ2に予め接続されているペン型の入力手段であり、手書きの筆跡を答案用紙T上の座標データとして連続的に出力することができる。
【0033】
この入力手段1は、例えば図1に示す如くペン型の送信部とコンピュータ2に直接ケーブル等で接続され答案用紙Tの側縁に沿って位置せしめられる受信部とから構成されており、少なくとも採点作業の際の手書きの筆跡を答案用紙T上の座標データとして連続的に出力することができるものであれば特に限定されない。
【0034】
この入力手段1としては、具体的には一般のボールペンと同様に筆記することが可能なペン先が突出している先端に続いて赤外線発信部と超音波発信部とが設けられ更にペン先の筆圧を検知するセンサ,制御手段や電源等が内蔵されているこのペン型の送信部と、赤外線受信部と少なくとも2つ以上の超音波受信部とを備えた受信部とから成り、送信部が筆圧を検知すると、受信部が受信した赤外線信号受信時を基準として2つの超音波受信部が受信したそれぞれの超音波受信時との間の遅れを検出し答案用紙T上の送信部のペン先が当接している座標の位置を演算することによって、手書きの筆跡を答案用紙T上の座標データとして連続的に出力するものを例示することができる。
【0035】
また、この入力手段1としては、前記の如く採点集計用のプログラム等の他の採点支援プログラムがインストールされてると共に手書きの筆跡を答案用紙T上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段1が予め接続されている後述するコンピュータ2を用いる場合には、この採点作業用のための入力手段1を使用すればよい。
【0036】
そして、図1に示す如く入力手段1に、押下された際に押下信号を識別表示特定手段へ発信するスイッチ1aが別途設けられていると共に、識別表示特定手段が、識別表示Sとして大問と小問とを認識するものを用いるものであって、このスイッチ1aの押下信号を受信すると大問が追加されたこと認識し、しかる後に解答欄Kの区画内へ入力手段1で筆記されることにより解答欄Kが指定されたことを認識すると、指定された解答欄Kを指定された順で大問の小問として認識することによって各解答欄Kの識別表示Sを特定するものであれば、キーボードやマウス等を用いることなく簡単に各解答欄Kの識別表示Sを特定することができて好ましいばかりでなく、その作業効率を格段に向上させることができて好ましい。
【0037】
この入力手段1のスイッチ1aとしては、押下された際に押下信号を識別表示特定手段へ発信するものであれば特に限定されないが、例えば図1に示す如く入力手段1がペン型の送信部とコンピュータ2に直接ケーブル等で接続され答案用紙Tの側縁に沿って位置せしめられる受信部とから構成されている場合において、この受信部にペン型の送信部の先端から突出したペン先で直接押下できるような形状を成していれば、作業者はペン型の送信部を把持した状態でそのペン先でスイッチ1aを直接押下することができるので、その作業効率が向上して好ましい。
【0038】
2は図1に示す如く手書きの筆跡を答案用紙T上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段1が予め接続されたコンピュータであり、それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれに識別表示Sが附された解答欄Kが複数設けられているテストの答案用紙Tにそれぞれの解答欄Kへ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援するため、即ち各解答欄Kの識別表示Sとを照合することにより各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを提供するために機能させられるものである。
【0039】
このコンピュータ2は、具体的にはペン型の入力手段1以外にも例えばキーボードやマウス等の入力手段がその入力部に予め接続されており、ハードディスクドライブやCD−ROMドライブ等から構成された記憶部に各手段における演算処理の元となるプログラムデータを記憶されていると共に、CPUやメインメモリ等から構成された演算処理部を位置特定手段,識別表示特定手段,データ作成手段や配点指定手段として機能させられるものであり、データ作成手段から出力されるデータは、このコンピュータ2内で起動させられている採点集計用のプログラム等の他の採点支援プログラムや、表計算プログラム等に出力されたり、直接モニタ等に出力されたり、記憶部にデータファイルとして記憶されたりしてもよい。
【0040】
位置特定手段は、解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記されることにより入力手段1から連続的に入力されるそれぞれの境界線Lの座標データを解析することによって、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定するものであり、データ作成手段に対して特定した各解答欄Kの答案用紙T上の位置の情報を提供する役目を果たす。
【0041】
この位置特定手段が解析するそれぞれの境界線Lの座標データは、図1に示す如く解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記されることにより入力手段1から連続的に入力されるものであり、具体的には例えば入力手段1が、その認識可能な領域の最も上方左側の点を原点とし且つ横軸をx、縦軸をyとした座標データを出力する場合には、例えば境界線Lの座標データとして、単に座標データを算出するもの(例えば、[x=0〜300,y=100])や、軸方向を判定しその長さの範囲と共に表示するもの(例えば、[縦,50〜150])等を例示することができる。
【0042】
そして、この位置特定手段が、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する方法としては、前記のそれぞれの境界線Lの座標データを解析して各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定することが可能な方法であれば特に限定されないが、例えば解答欄K同士のそれそれの境界線L自体に固有の識別情報を付与すると共に、それぞれの解答欄Kを区画する境界線Lの識別情報と、解析された境界線Lの座標データとで各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する方法や、解答欄Kを区画する境界線Lの座標データから解答欄Kの領域の座標データを算出することにより各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する方法等を例示することができる。
【0043】
前者の態様では、具体的には、例えば解答欄K同士のそれそれの境界線L自体に例えば入力順に通し番号を割り当て且つその方向が縦軸方向又は横軸方向であるかを識別する情報を与えることにより固有の識別情報を付与すると共に、それぞれの解答欄Kを区画する境界線Lの内、それぞれの解答欄Kの下側及び右側に位置する2つの境界線Lの識別情報で、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する方法等を例示することができる。
【0044】
より詳細には、先ず解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記されることにより入力手段1から連続的に入力されるそれぞれの境界線Lの座標データを解析し、入力された順に、例えば「01,縦,座標0〜100」,「02,横,座標50〜150」等の如くそれぞれの境界線Lに2桁の通し番号,方向情報及び座標データ(長さ情報)を組合わせた固有の識別情報を付与し、次に或る解答欄Kを特定する際には解答欄Kを区画する境界線Lの内、先ず下側の境界線Lを検出し、存在する場合にはその識別情報の通し番号を抽出し、存在しない場合には「99」等の特定の空き番号を付与した後に、右側の境界線Lを検出し、存在する場合にはその識別情報の通し番号を抽出し、存在しない場合には「99」等の特定の空き番号を付与し、しかる後に各解答欄Kに下側の境界線Lの識別情報の2桁の通し番号と右側の境界線Lの識別情報の2桁の通し番号とを組合わせた固有の4桁の番号、例えば或る解答欄Kを区画する下側の境界線Lの識別情報の通し番号が「03」で右側の境界線Lの識別情報の通し番号が「01」であるときは「0301」,或る解答欄Kを区画する下側の境界線Lが存在せず右側の境界線Lの識別情報の通し番号が「04」であるときは「9904」の如き固有の番号を各解答欄Kについて付与ことにより、各解答欄Kの下側及び右側に位置する2つの境界線Lの識別情報で、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する。
【0045】
一方、後者の態様としては、例えば解答欄Kを区画する境界線L同士の交点の座標データと、この交点が位置する解答欄Kの角の対角に存在する境界線L同士の交点の座標データとを解析することにより算出されるものであり、具体的には例えばこの交点の座標が「x=100,y=150」で且つこの交点の対角に位置する交点が「x=0,y=100」である場合には、解答欄Kの領域の座標データを「x=0〜100,y=100〜150」の如く算出することによって、解答欄Kを区画する境界線Lの座標データから解答欄Kの領域の座標データを算出することにより各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する方法等を例示することができる。
【0046】
この際、境界線L同士の交点が存在しない場合には、入力手段1の認識可能な領域の側端縁をそれぞれ境界線Lと仮定して交点の座標を算出すればよい。
【0047】
そして、位置特定手段が、解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記することにより入力手段1から連続的に入力されるそれぞれの境界線Lの座標データが座標軸と平行な直線状になるように補正を行うものであれば、作業者は定規等を用いて入力手段1で解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記することなく、座標軸の方向と平行な直線状である境界線Lの座標データを簡単に入力することができて好ましいばかりでなく、フリーハンドで入力することができるので、その作業効率も向上して好ましい。
【0048】
この位置特定手段による補正の方法としては、例えば入力手段1で横軸方向と平行に境界線Lを筆記しようとした場合には、筆記された境界線Lの始点の縦方向の座標データと終点の縦方向の座標データを抽出し、この始点の縦方向の座標データ及び終点の縦方向の座標データの略中間に当たる縦方向の座標データを算出した後に、境界線Lの始点の縦方向の座標データ及び終点の縦方向の座標データをそれぞれ算出された前記略中間へと補正す、しかる後にこの補正された2点間を直線で結んだ線を境界線Lの補正値として出力するものを例示することができる。
【0049】
また、位置特定手段としては、前記の補正以外にも例えば、入力手段1で入力された境界線Lがその始点及び/又は終点が、他の境界線Lに接続したり、入力手段1で認識可能な領域の側端縁まで至ったりすることない位置に存在する場合において、その始点及び/又は終点を、一番近くに位置する他の境界線Lに至るまでか、又は入力手段1で認識可能な領域の側端縁に至るまで延長する補正を行うものであれば、入力手段1で認識可能な領域内で各解答欄Kをそれぞれ明確に区画させることができるため、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する際に例外的な処理を行う必要がなくなるので好ましい。
【0050】
識別表示特定手段は、それぞれの解答欄Kについてその区画内へ入力手段1で筆記されることにより解答欄Kが指定されたことを認識し且つこの解答欄Kの識別表示Sが入力されることによって各解答欄Kの識別表示Sを特定するものであり、データ作成手段に対して特定した各解答欄Kの識別表示Sの情報を提供する役目を果たす。
【0051】
この識別表示特定手段は、その区画内へ入力手段1で筆記されることにより指定された解答欄Kについてその識別表示Sが入力さることにより、指定された解答欄Kの識別表示Sを特定するものであり、ここで先ず解答欄Kを入力手段1で指定す方法としては、例えば入力手段1の先端で解答欄Kを軽く点を筆記する方法等を示すことができる。
【0052】
そして、識別表示特定手段が解答欄Kの識別表示Sが入力する方法としては、例えばキーボードにより直接入力する方法,予め登録されたものをマウスやキーボード等により選択する方法や,入力手段1により数字等を筆記で入力して認識させる方法等が存在する。
【0053】
この識別表示特定手段において、解答欄Kを入力手段1で指定する作業と解答欄Kの識別表示Sを入力する作業とは、前記の如き方法を適宜組合わせることにより行われるものであり、そして何れの作業を先に行ってもよく、また交互に行ったり、解答欄Kの識別表示Sを入力する作業に先に行った後で入力手段1で一気に指定してもしたりよい。
【0054】
そして、この識別表示特定手段が、識別表示Sとして大問と小問とを認識するものを用いると共に入力手段1に別途設けられたスイッチ1aが押下された際に発信される押下信号を受信するものであって、入力手段1のスイッチ1aの押下信号を受信すると大問が追加されたこと認識し、しかる後に解答欄Kの区画内へ入力手段1で筆記されることにより解答欄Kが指定されたことを認識すると、指定された解答欄Kを指定された順で大問の小問として認識することによって各解答欄Kの識別表示Sを特定するものであれば、キーボードやマウス等を用いることなく簡単に各解答欄Kの識別表示Sを特定することができて好ましいばかりでなく、その作業効率を格段に向上させることができて好ましい。
【0055】
データ作成手段は、位置特定手段で特定された各解答欄Kの答案用紙T上の位置と識別表示特定手段で特定された各解答欄Kの識別表示Sとを照合することにより各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力するものであり、採点集計用のプログラム等の他の採点支援プログラムや、表計算プログラム等へ各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを提供する役目を果たす。
【0056】
このデータ作成手段は、位置特定手段から提供される各解答欄Kの答案用紙T上の位置の情報と、識別表示特定手段から提供される各解答欄Kの識別表示Sの情報とを照合することにより、各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力するものであり、より具体的には例えば各解答欄Kの識別表示Sとその答案用紙T上の位置を判別できるような指標とが照合されたデータテーブルを出力するものである。
【0057】
このデータ作成手段としては、位置特定手段や識別表示特定手段と協働して、各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力することができるものであれば特に限定されないが、例えば位置特定手段が、解答欄K同士のそれそれの境界線L自体に固有の識別情報を付与すると共に、それぞれの解答欄Kを区画する境界線Lの識別情報と、解析された境界線Lの座標データとで各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定するものである場合には、データ作成手段は、各解答欄Kについてその識別表示Sとその区画する境界線Lの識別情報とが、及び各境界線Lについてその識別情報とその座標データとがそれぞれ対応したデータテーブルを出力する。
【0058】
具体的には、各境界線Lについてその識別情報とその座標データとが対応したデータテーブルとしては、例えば位置特定手段により解析された入力手段1から連続的に入力されるそれぞれの境界線Lの座標データを入力された順に、例えば「01,縦,座標0〜100」,「02,横,座標50〜150」等の如くそれぞれの境界線Lに2桁の通し番号,方向情報及び座標データ(長さ情報)を組合わせた固有の識別情報を付与したものをデータテーブルとしたもの等を、そして各解答欄Kについてその識別表示Sとその区画する境界線Lの識別情報とが対応したデータテーブルとしては、例えば識別表示特定手段により特定された「問1」や「問題1」の如きその識別表示Sと、位置特定手段により前記の如き境界線Lを識別する固有の2桁の通し番号を用いて、位置特定手段により解答欄Kを区画する2つの境界線Lで特定するために付与された「0301」や「9904」の如きの固有の番号とが対応したデータテーブル等を例示することができる。
【0059】
そして、例えば位置特定手段が、解答欄Kを区画する境界線Lの座標データから解答欄Kの領域の座標データを算出することにより各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定するものである場合は、データ作成手段は、各解答欄Kについてその識別表示Sとその領域の座標データとが対応したデータテーブルを出力する。
【0060】
具体的には、各解答欄Kについてその識別表示Sとその領域の座標データとが対応したデータテーブルとしては、例えば識別表示特定手段により特定された「問1」や「問題1」の如きその識別表示Sと、位置特定手段により特定された例えば「x=0〜100,y=100〜150」の如き解答欄Kの領域の座標データとが対応したデータテーブル等を例示することができる。
【0061】
これらの位置特定手段,識別表示特定手段やデータ作成手段は、最終的に各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力することができるように構成されていれば、それぞれの手段における処理の順番については限定されるものではなく、例えば各解答欄Kについての総ての位置特定手段おける処理が終わった後に、次いで各解答欄Kについての総ての識別表示特定手段おける処理を行い、しかる後にデータ作成手段で各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力するものであってもよく、また各解答欄K毎に位置特定手段おける処理及び識別表示特定手段おける処理を並行的に進め、しかる後にデータ作成手段で各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力するものであってもよい。
【0062】
このような構成の本発明に係る採点支援プログラムにおいて、コンピュータ2を更に、それぞれの解答欄Kの区画内に入力手段1で筆記された数字を解析し、解析された数字をその解答欄Kの配点として認識することにより各解答欄Kの配点を指定する配点指定手段、として機能させると共に、データ作成手段が、位置特定手段で特定された各解答欄Kの答案用紙T上の位置と識別表示特定手段で特定された各解答欄Kの識別表示Sと配点指定手段で指定された各解答欄Kの配点とを照合することにより各解答欄Kの識別表示S,その答案用紙T上の位置及びその配点を判別できるデータを出力するものであれば、各解答欄Kの配点のデータをも同時に自動的に提供することができて好ましいばかりでなく、本発明に係る採点支援プログラムにより出力されるデータを利用する採点集計用のプログラムや表計算プログラム等の他のプログラムにおいて、各解答欄Kの配点を手動で入力することなく簡単に採点結果を得ることができるので好ましい。
【0063】
この配点指定手段が配点の数字を認識する方法としては、例えばそれぞれの解答欄Kの区画内に入力手段1で筆記された数字を筆記することにより入力手段1から連続的に入力される座標データ、即ち等時間毎に採取した複数の座標データを、数字を認識するのためのライブラリに設定することにより解析しその解析された値によってその点数が何点であるのかを判別してその点数の値を出力する方法、等時間毎に採取した複数の座標データを解析しその画数によりその点数が何点であるかを判別してその数字の値を出力する方法、等時間毎に採取した複数の座標データからその数字の形状を描写しそれぞれの数字のパターンとマッチングすることにより解析しその解析された値によってその点数が何点であるのかを判別してその点数の値を出力する方法や、更にはこれらの方法を適宜組合わせる方法等を例示することができる。
【0064】
そして、配点指定手段では、このように解析した配点の数字をその解答欄Kの配点として認識することにより各解答欄Kの配点を指定するものであり、具体的には例えば入力手段1で配点の数字を筆記する際に位置特定手段で特定された各解答欄Kの答案用紙T上の位置の情報を参照することによりその配点の数字が筆記された解答欄Kの位置を特定すると共に、識別表示特定手段で特定された各解答欄Kの識別表示Sの情報を参照することによりその配点の数字が筆記された解答欄Kの識別表示Sを特定することにより、各解答欄Kの配点を指定する方法等を例示することができる。
【0065】
次いで、このような構成の本発明に係る採点支援プログラムの使用方法及びその一連の処理の流れについて説明する。
初めに準備として、図1に示す如く手書きの筆跡を答案用紙T上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段1を予めコンピュータ2に接続すると共に、本発明に係る採点支援プログラムをインストールする作業を行う。
【0066】
このような準備が完了した後に、図2〜図4のフローチャートに示すような一連の処理を行う。初めに、図2及び図3のフローチャートに示す態様について説明する。
先ず、作業者が解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記することによって、それぞれの境界線Lの座標データを入力する処理を行う。
【0067】
この処理は、図1に示す如く作業者が解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記することによって行われるのであり、このような処理を答案用紙T上の総ての境界線Lについて行う。
【0068】
この際、答案用紙T上の総ての境界線Lの座標データが入力が終了したことを認識させるために、入力手段1に別途設けられたスイッチ、キーボードやマウス等を操作することにより入力が終了したことを知らせる信号を送信してもよく、そして位置特定手段が、解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記することにより入力手段1から連続的に入力されるそれぞれの境界線Lの座標データが座標軸と平行な直線状になるように補正等の境界線Lの座標データの補正を行う態様の場合には、好ましくは前記の信号をきっかけとしてそれぞれの境界線Lの座標データの補正を行うように構成しておく。
【0069】
次に、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定する処理、及び解答欄Kが指定し且つその解答欄Kの識別表示Sを入力してその識別表示Sを特定する処理がそれぞれ行われるのであるが、これらの処理の順番については種々の態様が存在する。
【0070】
この際、図2のフローチャートに示す態様では、前記処理によって入力されたそれぞれの境界線Lの座標データを一度に解析することによって、各解答欄Kの答案用紙T上の位置を総て特定する処理を行った後に、それぞれの解答欄Kについてその区画内へ入力手段1で筆記することによって、解答欄Kを指定し且つその指定された解答欄Kの識別表示Sを入力することを繰り返すことにより各解答欄Kの識別表示Sを総て特定する。
【0071】
またこの際、図3のフローチャートに示す態様では、前記処理によって入力されたそれぞれの境界線Lの座標データについて、先ず入力手段1で解答欄Kを指定すると共にその解答欄Kの識別表示Sを入力する処理と行った後に、この指定された解答欄Kについてその答案用紙T上の位置を特定すると共にその識別表示Sを特定する処理とを順に、各解答欄K毎に繰り返すことによって、各解答欄Kの答案用紙T上の位置及びその識別表示Sを総て特定する。
【0072】
最後に、前記処理により特定された各解答欄Kの答案用紙T上の位置と特定された各解答欄Kの識別表示Sとを照合することにより各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを出力する処理を行う。
【0073】
この操作では、このコンピュータ2内で起動させられている採点集計用のプログラム等の他の採点支援プログラムや、表計算プログラム等に出力されたり、直接モニタ等に出力されたり、記憶部にデータファイルとして記憶されたりするために提供される、各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータ、例えば各解答欄Kについてその識別表示Sとその区画する境界線Lの識別情報とが、及び各境界線Lについてその識別情報とその座標データとがそれぞれ対応したデータテーブルや、各解答欄Kについてその識別表示Sとその領域の座標データとが対応したデータテーブル等が出力される。
【0074】
次に、図4のフローチャートに示す態様について説明する。
先ず、前述と態様と同様に作業者が解答欄K同士のそれそれの境界上に沿って筆記することによって、それぞれの境界線Lの座標データを入力する処理を行う。
【0075】
この際、境界線Lの座標データが入力されると、境界線Lが入力される毎にその境界線L自体に固有の識別情報を付与すると共にその座標データを算出する処理が行われるのであるが、図4に示す如き態様では、境界線Lの固有の識別情報として境界線Lに2桁の通し番号,方向情報及び座標データ(長さ情報)を組合わせた固有の識別情報(例えば、「01,縦,座標0〜100」,「02,横,座標50〜150」等)が付与される。
【0076】
次に、前記処理が各境界線Lの総てについて終了した後に、入力手段1で解答欄Kを指定し且つその識別表示Sを入力する処理を行うことによって、指定された解答欄Kを区画する境界線Lを検出し、検出された境界線Lで解答欄Kの答案用紙T上の位置を特定すると共にその識別表示Sをも特定する。
【0077】
そして、この入力手段1で解答欄Kを指定し且つその識別表示Sを入力する処理を各解答欄K毎に総て繰り返すことによって、各解答欄Kの答案用紙T上の位置及びその識別表示Sを総て特定する。
【0078】
最後に、特定された各解答欄Kの答案用紙T上の位置と特定された各解答欄Kの識別表示Sとを照合することによって、各解答欄Kについてその識別表示Sとその区画する境界線Lの識別情報とが、及び各境界線Lについてその識別情報とその座標データとがそれぞれ対応したデータテーブルを出力する。
【0079】
次いで、識別表示特定手段が、識別表示Sとして大問と小問とを認識するものを用いると共に入力手段1に別途設けられたスイッチ1aが押下された際に発信される押下信号を受信するものであって、入力手段1のスイッチ1aの押下信号を受信すると大問が追加されたこと認識し、しかる後に解答欄Kの区画内へ入力手段1で筆記されることにより解答欄Kが指定されたことを認識すると、指定された解答欄Kを指定された順で大問の小問として認識することによって各解答欄Kの識別表示Sを特定する態様の一連の処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0080】
先ず、初期値として大問数のカウントN及び小問数のカウントnをそれぞれ「0」にする設定処理を行った後に、入力手段1のスイッチ1aを押下することにより大問を1つ追加する処理を行う。
【0081】
この処理では、大問数が1つ追加されることによって、具体的には例えば大問数のカウントNに1を加算する処理を行うことによって、次に入力手段1のスイッチ1aを押下することにより新たな大問を追加するまでの間に指定された解答欄Kを、その大問の小問として認識するのである。
【0082】
次に、解答欄Kの区画内へ入力手段1で筆記することによりその解答欄Kを指定する処理を行う。
この処理では、入力手段1で解答欄Kが指定されると、前記処理により追加された大問について、入力手段1で指定された順に新たな小問を追加するものであり、具体的には例えば先ず入力手段1で1つの解答欄Kが指定されると、小問数nに1を追加する処理を行う。
【0083】
次いで、前記処理により指定された解答欄Kの識別表示Sとして大問No.をNに、小問No.をnにそれぞれ特定することによって、指定された解答欄Kの識別表示Sを特定すると共にその識別表示Sである大問No.及び小問No.を出力する処理を行う。
【0084】
この処理では、この処理の直前までの処理でカウントされた大問数Nと小問数nとを、指定された解答欄Kの識別表示Sである大問No.及び小問No.として出力するものである。
【0085】
次いで、大問について新たな小問を追加する場合には、入力手段1で解答欄Kを指定すればよく、その際には前記と同様に指定された解答欄Kの識別表示Sである大問No.及び小問No.として出力されるので、所望の小問数となった後にまた新たに大問を追加する処理、即ち入力手段1のスイッチ1aを押下する処理を行い、しかる後にまた新たに順に入力手段1で解答欄Kを指定する処理を行えばよい。
【0086】
この際、大問について小問が1つしかない場合には、その識別表示Sとして例えば問1(1)であってもよく、また単に問1としてもよい。
【0087】
かくして、本発明に係る採点支援プログラムによって各解答欄Kの識別表示S及びその答案用紙T上の位置を判別できるデータを得た後に、そのデータを採点集計用のプログラム等の他の採点支援プログラムへ提供することにより、テストの採点作業における各解答欄Kの正誤や点数等を自動的に集計する作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は本発明に係る採点支援プログラムの1の実施例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に係る採点支援プログラムの1の実施例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る採点支援プログラムの他の実施例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る採点支援プログラムの更に他の実施例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る採点支援プログラムの識別表示特定手段の1例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 入力手段
1a スイッチ
2 コンピュータ
T 答案用紙
K 解答欄
S 識別表示
L 境界線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ正方形状又は長方形状に区画され且つそれぞれに識別表示(S)が附された解答欄(K)が複数設けられているテストの答案用紙(T)にそれぞれの解答欄(K)へ正誤等を筆記するテストの採点作業を支援するために、手書きの筆跡を答案用紙(T)上の座標データとして連続的に出力することができるペン型の入力手段(1)が予め接続されたコンピュータ(2)を、
解答欄(K)同士のそれそれの境界上に沿って筆記されることにより入力手段(1)から連続的に入力されるそれぞれの境界線(L)の座標データを解析することによって、各解答欄(K)の答案用紙(T)上の位置を特定する位置特定手段、
それぞれの解答欄(K)についてその区画内へ入力手段(1)で筆記されることにより解答欄(K)が指定されたことを認識し且つ該解答欄(K)の識別表示(S)が入力されることによって各解答欄(K)の識別表示(S)を特定する識別表示特定手段、
前記位置特定手段で特定された各解答欄(K)の答案用紙(T)上の位置と前記識別表示特定手段で特定された各解答欄(K)の識別表示(S)とを照合することにより各解答欄(K)の識別表示(S)及びその答案用紙(T)上の位置を判別できるデータを出力するデータ作成手段、
として機能させるための採点支援プログラム。
【請求項2】
位置特定手段が、解答欄(K)同士のそれそれの境界線(L)自体に固有の識別情報を付与すると共に、それぞれの解答欄(K)を区画する境界線(L)の識別情報と、解析された該境界線(L)の座標データとで各解答欄(K)の答案用紙(T)上の位置を特定すると共に、データ作成手段が、各解答欄(K)の識別表示(S)及びその答案用紙(T)上の位置を判別できるデータとして、各解答欄(K)についてその識別表示(S)とその区画する境界線(L)の識別情報とが、及び各境界線(L)についてその識別情報とその座標データとがそれぞれ対応したデータテーブルを出力する請求項1に記載の採点支援プログラム。
【請求項3】
位置特定手段が、解答欄(K)を区画する境界線(L)の座標データから解答欄(K)の領域の座標データを算出することにより各解答欄(K)の答案用紙(T)上の位置を特定すると共に、データ作成手段が、各解答欄(K)の識別表示(S)及びその答案用紙(T)上の位置を判別できるデータとして、各解答欄(K)についてその識別表示(S)とその領域の座標データとが対応したデータテーブルを出力する請求項1に記載の採点支援プログラム。
【請求項4】
位置特定手段が、解答欄(K)同士のそれそれの境界上に沿って筆記することにより入力手段(1)から連続的に入力されるそれぞれの境界線(L)の座標データが座標軸と平行な直線状になるように補正を行う請求項1から3までの何れか1項に記載の採点支援プログラム。
【請求項5】
識別表示特定手段が、識別表示(S)として大問と小問とを認識するものを用いると共に入力手段(1)に別途設けられたスイッチ(1a)が押下された際に発信される押下信号を受信するものであって、該入力手段(1)のスイッチ(1a)の押下信号を受信すると大問が追加されたこと認識し、しかる後に解答欄(K)の区画内へ入力手段(1)で筆記されることにより該解答欄(K)が指定されたことを認識すると、指定された該解答欄(K)を指定された順で該大問の小問として認識することによって各解答欄(K)の識別表示(S)を特定する請求項1から4までの何れか1項に記載の採点支援プログラム。
【請求項6】
コンピュータ(2)を更に、それぞれの解答欄(K)の区画内に入力手段(1)で筆記された数字を解析し、解析された数字をその解答欄(K)の配点として認識することにより各解答欄(K)の配点を指定する配点指定手段、
として機能させると共に、
データ作成手段が、位置特定手段で特定された各解答欄(K)の答案用紙(T)上の位置と識別表示特定手段で特定された各解答欄(K)の識別表示(S)と配点指定手段で指定された各解答欄(K)の配点とを照合することにより各解答欄(K)の識別表示(S),その答案用紙(T)上の位置及びその配点を判別できるデータを出力する請求項1から5までの何れか1項に記載の採点支援プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−55540(P2010−55540A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222404(P2008−222404)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(592106591)株式会社日本コスモトピア (5)
【Fターム(参考)】