説明

採集容器アッセンブリ

【課題】比較的少量の血液サンプルおよび他の生物流体標本を採集する標本採集容器アッセンブリで、標準外寸法で低減された内部容量の採集容器アッセンブリを提供する。
【解決手段】頂部分と、閉塞した底部分と、前記頂部分から前記底部分に延在する側壁とを備える容器と、前記底部分から開口する擬似底部領域を画定する擬似底部端まで延在する環状スカートと、前記擬似底部領域と係合する頂端部と、前記頂端部が前記擬似底部領域と係合した際に前記擬似底部領域に少なくとも部分的に丸み付けられた湾曲面を有する底部を付与するための、丸み付けられた形状をもつ連続部分を有する底端部とを備える延長体とを備える。取り外し可能な丸味を帯びた底端部102を有する容器を備えた採集容器アッセンブリ50は、容器の外寸法が標準寸法化された血液採集管と実質的に同じであるが、少量のサンプリングのための低減された内部容量94を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は標本採集容器アッセンブリ、より詳しくは、生物の流体標本を採集するための採集容器に関し、ここでは、容易に収容されおよび/または標準の臨床的装置または器具と適合性を有するに充分な寸法を維持しながら、少量の流体が容器内に採集かつ保持され得る。
【背景技術】
【0002】
血液サンプルおよび他の生物流体標本は種々の医療目的のために、病院および臨床的状況において日常的に採取され分析されている。これらのサンプルの採集、取扱および試験には、種々の医療試験器具を使用することが典型的に必要とされる。血液および流体標本は、通常、標準寸法の採集管内に採集され、サンプルを試験するのに用いられる医療器具はこれらの標準寸法の採集管を収容すべくデザインされている。
【0003】
多くの臨床的状況において用いられている従来の血液採集管は、半球形すなわち丸味を帯びた部分によって閉鎖された一端部と反対の開口端部とを有している。開口端部は弾性キャップまたはストッパでシールされてもよい。管は、血液サンプルを採集し保持する採集内部を画成している。これらの血液採集管の最も一般的な寸法は、おおよそ10mlの血液または他の生物流体サンプルを収容すべくデザインされている。かかる血液採集管の実例は、1 Becton Drive, Franklin Lakes, NJ のBecton, Dickinson and Company により販売されているVACUTAINERブランド(Becton, Dickinson and Company の登録商標)の血液採集管がある。
【0004】
静脈採血士または他の医療技術者は、この分野でよく知られた技術によって患者の血液の標本を管内に典型的に取得している。その管はそれから適切にラベルが貼られ、採集場所から管の内容物が分析される試験所や他の場所に移送される。採集および分析の間、管は種々の医療器具によって支持され得る。得られた血漿または血清は、手操作、半自動または自動的に処理かつ分析される。ある場合には、標本は最初に採集管からサンプル試験管またはキュベットに分配されねばならない。
【0005】
ある状況では、血液または他の生物流体標本の少量を取得することが必要であるのみである。これらの状況は、小児または老人の患者および多量の血液サンプルが要求されない他の場面を含み得る。少量の血液は上述のように標準の採血管には容易には採集され得ない。何故なら、かかる容器内のサンプルレベルは分析前の回収に対しては適切でないからである。かかる少量の流体はまた、より大きな容器に保管されたとき著しく蒸発する傾向を有し、かくて内部の化学および酵素成分を濃縮させる。これは誤った分析結果となるかもしれず、診断および患者に与えられる処置に悪影響を与える可能性がある。従って、保管物についての蒸発と試験室での微少な流体サンプルの分配を実質的に防ぐ小容量の容器を採用することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
「疑似底部」を取り入れたもののような種々の標本用容器が、標準の外寸法に関連付けられて減少された容量を達成するのに提案されている。しかしながら、これらの種々の標本用容器は、それらのデザインの故に、標準の臨床設備および器具類と適合性がない。特に、これらの標本用容器は概ね平らで平面の底端部を備える疑似底部と円形の開口とを有している。
【0007】
他の標本用容器は、血液が内部容量の一部のみを満たすように部分的に真空引きされ標準の外寸法を有する部分抜き出し管を含んでいる。しかしながら、部分抜き出し管はサンプルの抜き出し速度における低下を示し、これはかかる管の採集効率を低下させる。加えて、部分抜き出し管は試験結果を変え得る充填容量の不安定さに帰するかもしれない。さらに、かかる部分抜き出し管では正確なサンプル量を決定することが困難である。というのも、低速度のサンプル抜き出しは安定的に計測できないからである。
【0008】
臨床的使用においては、平面の底部の代わりに、かかる標本用容器は標準寸法化された採血管の形態に近似する丸味を帯びた底部形態を有することが望ましい。丸味を帯びた底部形態は臨床設備および器具類との適合性を容易にする。
【0009】
従って、比較的少量の血液サンプルおよび他の生物流体標本を採集する標本採集容器アッセンブリを提供する必要性が存し、ここで、このアッセンブリは標準の臨床設備および/または器具類に収容されおよび/または適合性があり、かつ、サンプルおよび標本の一体性が保管および移送中に維持される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、容器を備える採集アッセンブリである。容器は好ましくは、開口した頂部分、底部分および開口した頂部分から底部分に延在する側壁を備えている。底部分は閉鎖底端部すなわち真の底部と閉鎖底端部から下方底部分の停止端部まで延在する環状スカートとを備えている。アッセンブリはさらに容器の下方底部分に固着され、かつ取り外され得る延長体を備えている。
【0011】
最も好ましくは、延長体は頂部分、底部分および頂部分から底部分に延在する管状のコラムを備えている。管状のコラムは内表面、外表面を備え、外表面はコラムの外表面に関連付けられたリブを備える。好ましくは、延長体は管状のコラムと底部分との間に平らな肩部をさらに含んでいる。最も好ましくは、底部分は充分に丸められ、すなわちほぼ半球形状である。
【0012】
代わりに、管状のコラムは固体の内部コア、外表面および外表面に関連付けられたリブを有する中実のコラムであってもよい。
【0013】
容器の環状スカートはアッセンブリに疑似底部効果をもたらし、そして、延長体は容器が標準の臨床設備および器具類と適合性を有するよう修正されることを許容する手段をもたらす。
【0014】
延長体は、管状のコラムが環状スカート内に摩擦力すなわち嵌合によって挿入されて、容器に取り外し可能に固着される。これにより、延長体はアッセンブリに丸味を帯びた疑似底端部をもたらす。延長体は容器と同じまたは異なる材料であってもよい。使用者が容器と延長体とを逆の回転方向に捻り容器から延長体を取り外すことにより、延長体は容器から取り外し可能に固着解除される。
【0015】
真の底部は、容器と同じ材料または異なる材料であってもよく、かつ、容器と一体または別の部材であってもよい。加えて、真の底部は少なくとも部分的に丸味を帯びた真の底部分を有する、標本採集のための内部容量をもたらすべく弧形状または円錐形状であってもよい。
【0016】
加えて、アッセンブリはさらに容器の開口した端部にキャップまたはストッパのような閉鎖体を備えてもよい。
【0017】
好ましくは、容器および延長体を含むアッセンブリの外寸法は標準サイズまたは完全抜き出し式血液採集容器アッセンブリとほぼ同じである。標準寸法化されたまたは完全抜き出し式血液採集容器アッセンブリは約13ないし約16ミリメータの外径、約75ないし約100ミリメータの長さおよび約6ないし10ミリリットルの内部容量を有している。
【0018】
最も好ましくは、本発明のアッセンブリは真空引きされるかまたは真空引きされなくてもよい。望ましくは、アッセンブリはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルまたはそれらのコポリマーから作られる。
【0019】
本発明のアッセンブリの利点は、低減された内部容量を有するが、標準寸法化された血液採集容器アッセンブリとほぼ同じ外寸法を備えた完全抜き出し式血液採集容器アッセンブリをもたらすことである。
【0020】
本発明のアッセンブリのさらなる利点は、種々の臨床設備および器具類と普遍的に適合性のある標本収集容器をもたらすことである。
【0021】
本発明のアッセンブリは、標準の外寸法を有する標準寸法化された血液採集管を取り扱うべく形成された装置によって容易に取り扱われ得る。
【0022】
最も注目すべきは、本発明のアッセンブリは完全抜き出し式血液採集管と比べて、完全抜き出し式外寸法を有するが低減された内部容量を備える血液採集管をもたらす。
【0023】
従って、本発明のアッセンブリは、標準寸法化された血液採集管の外寸法を呈する完全抜き出しサイズで小容量の血液採集容器アッセンブリの必要性に取り組んでいる。
【0024】
本発明のアッセンブリは、標準寸法化された血液採集管を用いるのと比べて、血液または生物流体の少量のサンプルを信頼性よく採集し保管および移送中にサンプルの一体性を維持するように用いられ得る。加えて、本発明のアッセンブリはまた標準寸法化された血液採集、移送、保管および診断装置に収容され得る。さらに、本発明のアッセンブリは部分圧力下に置かれることなく、少量の血液サンプルないしは生物流体を信頼性をもって採集するのに用いられ得る。
【0025】
最も注目すべきは、本発明のアッセンブリは、完全に丸味を帯びた底部を備える標準寸法化された血液採集管に近似する丸味を帯びた底部形状をもたらす。容器の特徴の全てとの関連でこの特異な特徴は、平らな平面の底部を有する標本容器から区別する。
【0026】
本発明のアッセンブリはまた、現存の器具類、ラベルおよびバーコード読み取り器に適合し、かつ、より少量のまたはサイズ変更された管または平らな平面底部を備える管について要求される新しい器具類および取扱装置または手順の必要性を不要とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の疑似底標本管の斜視図である。
【図2】図1の管の2−2線に沿った縦断面図である。
【図3】本発明のアッセンブリの斜視図であり、延長体が容器から固着解除されている。
【図4】図3のアッセンブリの4−4線に沿った縦断面図であり、延長体が容器の底部分に取り外し可能に固着されている。
【図5】図3の延長体の5−5線に沿った上面図である。
【図6】延長体のアッセンブリからの取り外しを示している図である。
【図7】本発明の替わりの実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は他の特定の形態で具体化され得、単なる例示である、詳細に説明される特定の実施例には限定されない。種々の他の改造は当業者には明らかであり、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者によって容易になされよう。本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの均等物によって判断されよう。
【0029】
いくつかの図に亘り同一符号が同一部位を意味している図面を参照するに、図1および図2は先行技術の疑似底部の標本容器10を示し、容器10は外表面14および内表面16を有する側壁12を有している。側壁12は上方部分18から下方部分20に延在している。上方部分18は開口端部22およびリム24を含んでいる。下方部分20は閉鎖底端部26を備えている。環状スカート28が下方部分20および外表面14から平らな平面底端部30まで延在し、疑似底部36を形成している。内部容量部34はリム24および閉鎖底端部26間に延在している。
【0030】
いくつかの図に亘り同一符号が同一部位を意味している図面を参照するに、図3および図4は本発明の好ましい実施例のアッセンブリ50を示している。アッセンブリ50は外表面64および内表面66を有する側壁62を有する、疑似底部の標本容器である。側壁62は上方部分68から下方部分70に延在している。上方部分68は開口端部72およびリム74を含んでいる。下方部分70は閉鎖底端部すなわち真の底部76を備えている。外表面82および内表面84を有する環状スカート78が下方部分70および外表面64から底端部すなわち疑似底端部86まで延在し、開口した疑似底部領域88および平坦なリム表面92を形成している。加えて、延長体100が開口した疑似底部領域88内に挿入され得る。内部容量部94はリム74および閉鎖底端部76間に延在している。
【0031】
閉鎖底端部76はリム74の下方の如何なる点に位置されてもよく、かくて、可変の内部容量部94をもたらす。閉鎖底端部76は一般に平坦または平面形状であってもよく、内部容量部94に対して平坦な底表面をもたらす。代わりに、閉鎖底端部76は弧形状であってもよく、内部容量部94に対して少なくとも部分的に丸味を帯びた底表面をもたらす。最も好ましくは、閉鎖底端部76は一般に円錐形状であり、内部容量部94に対して円錐で先の尖った底表面をもたらす。加えて、閉鎖底端部76は側壁62と一体であってもよく、または別部材であってもよい。好ましくは、閉鎖底端部76は側壁62と一体に形成される。
【0032】
図3、図4および図5に示されるように、延長体100は底部分102、頂部分104および底部分から頂部分に延在するコラム106を含んでいる。コラム106は管状であってもよく、それ故に、内表面112および外表面114を含む側壁108を備える。コラム106は管状のものとして示されているが、コラム106が代わりに中実であり得ることも本発明の認識範囲内である。複数のリブ116が外表面114上に関連付けられている。延長体は底部分をコラムから分けている平らな肩表面118をさらに含んでいる。底部分102は完全に丸味付けられ、すなわちほぼ半球形状である。
【0033】
図4に示されるように、アッセンブリ50は、約13ミリメータの外径A、リム74から延長体100の底部分102まで測ったとき約75ミリメータの長さB、および約1ないし3ミリリットルの内部容量部94を有している。アッセンブリ50が約13ないし約16ミリメータの外径、約75ないし約100ミリメータの長さ、および約1ないし3ミリリットルの内部容量部を有し得ることはこの発明の認識範囲内である。
【0034】
環状スカート78は容器が平坦な表面上に直立して置かれるのを許容する手段をもたらすと共に、延長体を備えるアッセンブリを標準寸法化された血液採集管とほぼ同じ外寸法に変換する手段をもたらしている。
【0035】
図4および図6に示されるように、延長体6は開口した疑似底部領域86に容易に適合可能である。開口した疑似底部領域86は内表面84およびリブ116が締まり填めをもたらし、および、平らな肩表面118が平坦なリム表面92に係合することにより、延長体のコラム106を受け入れる。
【0036】
図6に示されるように、延長体は、使用者が容器および延長体を逆方向に僅かに捻り延長体を容器から取り外すことにより、アッセンブリから取り外され得る。
【0037】
本発明は、図7に示されるように、図3、図4の構成部品と実質的に同一の多くの構成部品を含んでいる。従って、同様の機能を遂行する同様の構成部品は、図7における同様の構成部品を特定するのに添字「a」が用いられる以外は、図3、図4の構成部品と同様に番号付けられる。
【0038】
図7に図解されるように、本発明のさらなる実施例は閉鎖体160を含むアッセンブリ150である。
【0039】
図7の実施例は、真空引きされるかまたは真空引きされなくてもよい。アッセンブリ150が真空引きされるときは、内部容量部94aは典型的には、大気より低い内部圧力に維持されており、その結果、血液採集プローブが閉鎖体を貫通して内部容量部94aを患者の循環系に連通させると、内部容量部94aの大気より低い内部圧力が患者から管内に血液を抜き出すであろう。アッセンブリ150は、完全抜き出し血液採集管として説明され得る。というのも、内部容量部94aの内部圧力は内部容量部94aの容量にほぼ等しい血液量を抜き出すに充分な程低いからである。
【符号の説明】
【0040】
50 アッセンブリ
62 側壁
68 上方部分
70 下方部分
72 開口端部
74 リム
76 閉鎖底端部
78 環状スカート
86 開口底端部
88 開口疑似底部領域
94 内部容量部
86 弧状肩部
100 延長体
102 底部分
104 頂部分
106 コラム
116 リブ
118 肩表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部分と、閉塞した底部分と、前記頂部分から前記底部分に延在する側壁とを備える容器と、
前記底部分から開口する擬似底部領域を画定する擬似底部端まで延在する環状スカートと、
前記擬似底部領域と係合する頂端部と、前記頂端部が前記擬似底部領域と係合した際に前記擬似底部領域に少なくとも部分的に丸み付けられた湾曲面を有する底部を付与するための、丸み付けられた形状をもつ連続部分を有する底端部とを備える延長体と、
を備えることを特徴とする採集容器アッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−131405(P2010−131405A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298017(P2009−298017)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2008−225312(P2008−225312)の分割
【原出願日】平成10年9月14日(1998.9.14)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】