説明

接合材貼付検査装置、実装装置、電気部品の製造方法

【課題】電気的接続に支障をきたす接合材の欠けを精度よく判定できる接合材貼付検査装置を提供する。
【解決手段】接合材貼付検査装置111は、接合材認識カメラ19と、第2の搬送機構8Bと、制御装置とを備える。制御装置は、液晶パネル121上の貼付予定範囲の全域を撮影すべく接合材認識カメラ19と第2の搬送機構8Bとを制御する。また、制御装置は、接合材認識カメラ19が撮影した画像内の貼付予定範囲の周縁部において、電極が並ぶ方向に沿う縁部全域に電極間ピッチPと同じ幅の検査範囲を設定し、検査範囲内における異方性導電フィルムSの欠け部分の割合を検出し、欠け部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて異方性導電フィルムに異常があるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶パネルなどのガラス基板に貼り付けられた異方性導電フィルムなどの接合材の貼付状態を検査する接合材貼付検査装置に関する。また、例えば液晶パネルなどのガラス基板に貼り付けられた異方性導電フィルムなどの接合材の貼付状態を検査する接合材貼付検査装置を備える実装装置に関する。また、例えば液晶パネルなどのガラス基板に貼り付けられた異方性導電フィルムなどの接合材の貼付状態を検査する接合材貼付検査工程を備える電気部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶パネルなどの電子部品は、各種処理を施す複数のユニットを備える実装システムによって、半導体チップやフレキシブル基板が実装される。
【0003】
実装システムは、液晶パネルを供給するユニットと、液晶パネルに半導体チップを実装するユニットと、半導体チップが実装された液晶パネルにフレキシブル基板を実装するユニットと、上記各種実装作業が施された液晶パネルを回収するユニットとなどを備えている。液晶パネルは、順次、半導体チップを供給するユニット、フレキシブル基板を供給するユニット、回収するユニットへ送られ、各種作業が施される。
【0004】
液晶パネルに半導体チップを実装するユニットと、液晶パネルにフレキシブル基板を実装するユニットとは、各部品を液晶パネルに実装する実装装置を備えている。実装装置は、液晶パネルの電極上に異方性導電フィルムなどの接合材を貼り付ける接合材貼付装置と、接合材上に半導体チップやフレキシブル基板を圧着する圧着装置となどを備えている。接合材は、電極と半導体チップおよびフレキシブル基板とを電気的に接続すべく、電極と半導体チップおよびフレキシブル基板との間に介装されている。
【0005】
接合材は、例えば粘着性のないベーステープに巻き付けられてリール状に保持されており、必要な長さだけ切り取られて液晶パネル上に貼り付けられた後、ベーステープが剥がされる。
【0006】
貼り付けられた接合材に欠けが生じると、当該欠け部分では、液晶パネルの電極と半導体チップおよびフレキシブル基板との間に接合材が介装されなくなる。特に、液晶パネルに接合材を貼り付けた後でベーステープを取り外す際に、接合材の周縁部分が欠けやすくなる。
【0007】
電極と半導体チップおよびフレキシブル基板との間に接合材が介装されていない場合、当該部位における電気的接続が解除されやすくなる。電気的接続に支障をきたす大きさの欠けが接合材に形成されることは、好ましくない。
【0008】
このため、半導体チップやフレキシブル基板などを実装する実装装置は、接合材に生じた欠けが支障をきたす大きさであるか否かを検査する検査装置を備えている。当該装置を用いて、半導体チップやフレキシブル基板が実装される前に接合材の欠けの大きさが正常な範囲内であるか否かの検査が行われる。
【0009】
この種の検査装置は、カメラを備えている。カメラによって、ガラス基板において接合材が位置すべき範囲を撮影する。接合材に欠けがある場合、撮影された画像における欠け部分での輝度は、接合材が正常に貼り付けられた部分の輝度と異なる。
【0010】
検査装置は、撮像された画像における各部分の輝度を、閾値を用いて、異常がある部分(欠けなどがある部分)と正常な部分とに分ける。そして、検査装置は、例えば正常な部分を黒くし、欠けがある部分を白くするなどの2値化処理を施している。検査装置は、異常がある部分の画素数を検出し、その総数を閾値と比べることによって、接合材に形成された欠けが正常な範囲内であるか否かの判定をしている。
【0011】
接合材は、貼り付けられる際に切断され、かつ、切断された端部からベーステープが剥がされるので、上記端部に欠けが生じやすい。このため、接合材を検査する際には、当該接合材の両端部のみを検査することが行われていた。
【0012】
しかしながら、両端部以外の部位であっても欠けが発生することが考えられるので、接合材の全体を検査することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−21333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一方、液晶パネルに貼り付けられた接合材に形成される欠けは、閾値以上の大きさを有していても、電気的接続に支障をきたす形状と、そうでない形状がある。この点について、具体的に説明する。
【0014】
液晶パネルに形成される電極は、複数形成されるとともに、互いに一方向に並んで配置されている。このため、欠けが複数の電極が並ぶ方向に延びており、かつ、各電極において欠けと重なる部分が小さい場合は、欠けの大きさが閾値以上であっても、電気的接続には支障をきたさない場合がある。
【0015】
これに対して、欠けの大きさが閾値以上の場合であって、かつ、当該欠けが例えば1つの電極と重なるような形状であると、この電極が半導体チップおよびフレキシブル基板と電気的に接続できなくなる。この場合は、電極と半導体チップおよびフレキシブル基板との電気的接続に支障が生じる。
【0016】
特許文献1で開示されている検査装置および検査方法であると、貼り付けられた接合材の異常を、欠けを示す画素の総数で判定している。このため、上記したように、欠けの形状が電気的接続に支障をきたさない形状であっても、接合材に異常があると判定されてしまうことが考えられる。
【0017】
欠けが電気的接続に支障をきたさない場合に、接合材に異常があると判定されることは、好ましくない。
【0018】
したがって、本発明の目的は、電気的接続に支障をきたす接合材の欠けを精度よく判定できる接合材貼付検査装置を提供することである。本発明の他の目的は、電気的接続に支障をきたす接合材の欠けを精度よく判定できる接合材貼付検査装置を備える実装装置を提供することである。本発明の他の目的は、電気的接続に支障をきたす接合材の欠けを精度よく判定できる電気部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の接合材貼付検査装置は、撮影部と、移動部と、制御部とを備える。前記撮影部は、複数の電極が所定の電極間ピッチを有して並んで配置される基板の貼付予定範囲を含むように撮影する。前記貼付予定範囲は、前記電極と電気的に接続される被接続部品との間に介装される接合材が位置すべき範囲を示す。前記移動部は、前記撮影部の視野内に前記基板を導く。前記制御部は、前記貼付予定範囲の全域を撮影すべく前記撮影部と前記移動部とを制御する。また、前記制御部は、前記撮影部が撮影した画像内の前記貼付予定範囲の周縁部において、前記電極が並ぶ方向に沿う縁部全域に前記電極間ピッチと同じ幅の検査範囲を設定し、前記検査範囲内における前記接合材の欠け部分の割合を検出し、前記欠け部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて前記接合材に異常があるか否かを判定する。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、複数の前記検査範囲のうち、前記貼付予定範囲の前記各電極が並ぶ方向の両端と隣り合う前記検査範囲内に、前記接合材の貼付公差と同じ幅の検査しない範囲を設定する。
【0021】
他の発明の実装装置は、接合材貼付部と、接合材貼付検査部と、取付部とを備える。前記接合材貼付部は、複数の電極が所定の電極間ピッチを有して並んで配置される基板の前記電極上に接合材を貼り付ける。前記接合材貼付検査部は、前記接合材の貼付状態を検査する。前記取付部は、前記基板との間に前記接合材を介して被接合部品を取り付ける。前記接合材貼付検査部は、撮影部と、移動部と、制御部とを備える。前記撮影部は、貼付予定範囲を含むように撮影する。前記貼付予定範囲は、前記電極と電気的に接続される被接続部品との間に介装される接合材が位置すべき範囲を示す。前記移動部は、前記撮影部の視野内に前記基板を導く。前記制御部は、前記貼付予定範囲の全域を撮影すべく前記撮影部と前記移動部とを制御する。また、前記制御部は、前記撮影部が撮影した画像内の前記貼付予定範囲の周縁部において、前記電極が並ぶ方向に沿う縁部全域に前記電極間ピッチと同じ幅の検査範囲を設定し、前記検査範囲内における前記接合材の欠け部分の割合を検出し、前記欠け部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて前記接合材に異常があるか否かを判定する。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、複数の前記検査範囲のうち、前記貼付予定範囲の前記各電極が並ぶ方向の両端と隣り合う前記検査範囲内に、前記接合材の貼付公差と同じ幅の検査しない範囲を設定する。
【0023】
他の発明の電気部品の製造方法は、接合材貼付検査工程を備える。前記接合材貼付検査工程は、基板上において複数の電極が並んで配置される範囲を含むように設定される、接合材が位置すべき範囲を示す貼付予定範囲、の全域を撮影し、撮影された画像内における貼付予定範囲の周縁部において、前記電極が並ぶ方向に沿う範囲全域に、電極間ピッチと同じ幅を有する検査範囲を設定し、予め設定された閾値との比較に基づいて、前記検査範囲内の前記接合材のある部分とない部分とを判別し、前記検査範囲内において、前記接合材がない部分の割合を検出し、前記接合材がない部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて、前記検査範囲内に欠けがあると判定する。
【0024】
本発明の好ましい形態では、複数設定される検査範囲のうち、前記貼付予定範囲の前記電極が並ぶ方向の両端に隣り合う検査範囲内には、前記接合材の貼付公差と同じ幅の検査されない部分を設定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電気的接続に支障をきたす接合材の欠けを精度よく判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係る実装装置110を、図1〜19を用いて説明する。図1は、液晶パネル121に、半導体チップHやフレキシブル基板61を実装する実装システム100を示す概略図である。
【0027】
図1に示すように、実装システム100は、液晶パネル121を供給する液晶パネル供給ユニット120と、液晶パネル121を洗浄する洗浄ユニット130と、液晶パネル121に半導体チップHを実装するIC実装ユニット140と、バッファユニット150と、液晶パネル121にフレキシブル基板61を実装するFPC実装ユニット160と、IC実装ユニット140に半導体チップHを供給するIC供給ユニット142と、FPC実装ユニット160にフレキシブル基板61を供給するFPC供給ユニット162と、上記各処理が施された液晶パネル121を回収する液晶パネル回収ユニット170と、制御装置113とを備えている。
【0028】
なお、液晶パネル121は、本発明で言う基板の一例である。半導体チップHとフレキシブル基板61とは、本発明で言う被接続部材の一例である。
【0029】
液晶パネル供給ユニット120は、図中左側に配置されている。洗浄ユニット130、IC実装ユニット140、バッファユニット150、FPC実装ユニット160、液晶パネル回収ユニット170は、図中、液晶パネル供給ユニット120から順に右側に配置されている。IC供給ユニット142は、IC実装ユニット140の側方(図中上側)に配置されている。FPC供給ユニット162は、FPC実装ユニット160の側方(図中上側)に配置されている。
【0030】
洗浄ユニット130は、液晶パネル供給ユニット120より供給された液晶パネル121を洗浄する。IC実装ユニット140は、洗浄ユニット130によって洗浄された液晶パネル121に、IC供給ユニット142から供給された半導体チップHを実装する。
【0031】
バッファユニット150は、IC実装ユニット140で半導体チップHが実装された液晶パネル121を、後述されるFPC実装ユニット160での加工点に空きができるまで滞留させる。そして、バッファユニット150は、FPC実装ユニット160の加工点に空きができると、液晶パネル121をFPC実装ユニット160に順次投入する。
【0032】
FPC実装ユニット160は、バッファユニット150を通過した液晶パネル121に、FPC供給ユニット162から供給されたフレキシブル基板61を実装する。液晶パネル回収ユニット170は、フレキシブル基板61が実装された液晶パネル121を回収する。制御装置113は、各ユニット120〜170に接続されており、各ユニット120〜170を制御する。
【0033】
IC実装ユニット140とFPC実装ユニット160とには、本発明の実装装置110が用いられている。IC実装ユニット140とFPC実装ユニット160とに用いられる実装装置110は、略同じ構造でよいので、IC実装ユニット140に用いられる実装装置110を代表して説明する。
【0034】
図2は、IC実装ユニット140を示す斜視図である。図2に示すように、IC実装ユニット140は、実装装置110を備えている。
【0035】
実装装置110は、基台1と、プリアライメント装置2と、接合材貼付装置3と、接合材貼付検査装置111と、仮圧着装置4と、本圧着装置5と、排出装置6と、第1の搬送機構8A〜8Dと、IC搬送装置7とを備えている。なお、実装装置110が備える各装置2,3,111,4,5,6,7,8A〜8Dは、制御装置113によって制御される。このため、制御装置113は、各装置2,3,111,4,5,6,7,8A〜8Dを構成する一部となる。
【0036】
なお、接合材貼付装置3は、本発明で言う接合材貼付部の一例である。接合材貼付検査装置111は、本発明で言う接合材貼付検査部の一例である。仮圧着装置4と本圧着装置5とは、本発明で言う取付部の一例を構成している。
【0037】
これら、プリアライメント装置2と、接合材貼付装置3と、接合材貼付検査装置111と、仮圧着装置4と、本圧着装置5と、排出装置6と、IC搬送装置7と、第1〜4の搬送機構8A〜8Dとは、基台1上に配置されるとともに、図中左側端から右側端に亘って、順次、所定の間隔を存して配置される。
【0038】
ここで、プリアライメント装置2と、接合材貼付装置3と、仮圧着装置4と、本圧着装置5と、排出装置6とが並ぶ方向をX方向とする。平面上においてX方向と交差する方向(奥行方向)をYとする。高さ方向をZ方向とする。
【0039】
なお、洗浄ユニット130は、図2中IC実装ユニット140の左奥側(図示せず)に位置している。バッファユニット150は、右奥側(図示せず)に位置している。仮圧着装置4の装置奥側には、IC供給ユニット142が配置されている。IC供給ユニット142は、仮圧着装置4と互いにY方向に位置が揃えられている。
【0040】
プリアライメント装置2と接合材貼付装置3との間には、第1の搬送機構8Aが介設されている。接合材貼付装置3と仮圧着装置4との間には、第2の搬送機構8Bが介設されている。仮圧着装置4と本圧着装置5との間には、第3の搬送機構8Cが介設されている。本圧着装置5と排出装置6との間には、第4の搬送機構8Dが介設されている。
【0041】
プリアライメント装置2は、洗浄ユニット130から供給される液晶パネル121を後述するようにして支持するファーストステージ10と、ファーストステージ10上の液晶パネル121を撮像する認識カメラ11と、基準位置からファーストステージ10上の液晶パネル121までの高さ(距離)を測定するレーザ変位計12と、ファーストステージ10をXY方向およびZ方向に移動自在とするとともに、水平面内での回転方向(θ方向)に移動自在な駆動機構13とを備えている。
【0042】
認識カメラ11と、当該認識カメラ11の撮像画像信号を取り込んで認識する制御装置113に備えられる画像取込装置113a(図1に示す)と、画像取込装置113aからの認識信号を受けて所定の方向に駆動制御される駆動機構13とで、位置補正機構Gが構成される。
【0043】
なお、レーザ変位計12の代用として、オートフォーカス機能を備えた非接触式の光学センサや、赤外線を用いた光学センサ、あるいは機械式の接触センサなど、種々のものを用いてもよい。
【0044】
図3(A)〜(E)は、液晶パネル121に半導体チップHを実装する工程を示す図である。図3(A)は、液晶パネル121の構成を示している。図3(A)に示すように、上流に配置されるユニット(本実施形態では、洗浄ユニット130)からIC実装ユニット140の実装装置110のプリアライメント装置2に供給される液晶パネル121は、平面視で矩形状に形成される2枚のガラス板a1,a2と、これらガラス板の表面と裏面に接着される偏光板b1,b2とを備えている。ガラス板a1,a2間には、図示しない電極が形成されるとともに、液晶素材が介在される。
【0045】
ガラス板a1,a2と偏光板b1,b2との3辺の端縁は同一に揃えられるが、ガラス板a2の一側部のみ、他方のガラス板a1および偏光板b1,b2の端縁よりも突出している。ガラス板a2の突出部一面(ここでは上面)に電極が形成される。
【0046】
図4は、ガラス板a2において、外部に露出する電極122が設けられる部位を拡大して示す平面図である。図4は、電極122の一部を示している。図4に示すように、電極122は、複数用いられており、液晶パネル121がファーストステージ10に設置された際のY方向に離間して2つの群を形成している。各群において各電極122は、X方向に互いに所定間隔、例えば0.2mm離間して並んでいる。つまり、電極間ピッチPは、0.2mmとなる。なお、図中、電極122は、誇張して大きく書かれている。
【0047】
この電極122に後述するようにして接合材の一例である異方性導電フィルムSが貼着される。異方性導電フィルムSを介して半導体チップHが実装される。
【0048】
異方性導電フィルムSは、テープ状に形成されている。異方性導電フィルムSは、接着、導電、絶縁という3つの機能特性を併せもつ接続材料である。異方性導電フィルムSは、熱圧着することにより、膜の厚み方向に導電性、面方向に絶縁性を備える電気的異方性を持つ高分子膜である。なお、異方性導電フィルムSは、本発明で言う接合材の一例であるが、これに限定されない。
【0049】
図2に示すように、接合材貼付装置3は、X方向に沿って互いに並設される2組の貼付けステージ15と、2組のバックアップステージ16と、2組の貼付ヘッド17と、2組の接合材供給機構18と、を備えている。
【0050】
貼付けステージ15は、液晶パネル121を吸着固定し、かつ、X方向とY方向およびZ方向に移動自在である。バックアップステージ16は、貼付けステージ15に設けられていて、貼付けステージ15とともにY方向に移動する。
【0051】
貼付ヘッド17は、バックアップステージ16の直上方部に設けられていて、バックアップステージ16に対して所定の加熱温度と加圧力をもって作用するよう、Z方向に昇降自在に支持される。接合材供給機構18は、リールに巻装されたテープ状の異方性導電フィルムSをバックアップステージ16と貼付ヘッド17との間に供給する。
【0052】
接合材貼付検査装置111は、第2の搬送機構8Bと、接合材認識カメラ19と、制御装置113とを備えている。接合材貼付検査装置111は、後述するように、異方性導電フィルムSの欠けを検出し、この欠けの大きさに基づいて異方性導電フィルムSに異常があるか否かを判定する。接合材認識カメラ19は、接合材貼付検査装置111と仮圧着装置4との間に配置されている。
【0053】
なお、第2の搬送機構8Bは、本発明で言う移動部の一例である。接合材認識カメラ19は、本発明で言う撮影部の一例である。制御装置113は、本発明で言う制御部の一例である。
【0054】
仮圧着装置4は、単体の仮圧着ステージ20と、この仮圧着ステージ20に近接した位置に配置されるバックアップステージ21と、仮圧着ヘッド22および認識カメラ23とを備えている。
【0055】
仮圧着ステージ20は、液晶パネル121を吸着固定する。仮圧着ステージ20は、X方向とY方向およびZ方向に移動自在であるとともに、水平面内で回転方向(θ方向)に移動自在な駆動機構を備えている。バックアップステージ21は、仮圧着ステージ20に近接した位置に設けられていて、いずれの方向にも移動せず固定的に設けられる。
【0056】
仮圧着ヘッド22は、バックアップステージ21の直上方部に設けられている。仮圧着ヘッド22は、X方向とY方向およびθ方向に移動自在であるとともに、バックアップステージ21に対して所定の加熱温度と加圧力をもって作用するよう、Z方向に昇降自在に支持される。
【0057】
認識カメラ23は、仮圧着ステージ20に受け渡される液晶パネル121の認識と、後述されるIC搬送装置7から供給される半導体チップHの認識を行い、互いの認識結果から位置ずれを矯正して、半導体チップHを液晶パネル121の実装部位に正確に実装させるためのものである。
【0058】
IC搬送装置7を、図9および図17(A)〜(C)に示す。図9は、実装装置110の背面側を示す斜視図である。図17(A)〜(C)は、IC搬送装置7の作用を順に示す図である。
【0059】
IC搬送装置7は、IC供給ユニット142から半導体チップHを受け取り、仮圧着装置4に搬送する。IC搬送装置7は、チップ反転機構24と、チップステージ25と、チップ搬送機構26とを備えている。
【0060】
チップ反転機構24は、IC供給ユニット142から上面にバンプが設けられた状態の半導体チップHを受けて吸着する吸着部27と、吸着部27を180度回転して半導体チップHを上下(天地)逆の姿勢に換える半回転機構28と、半回転機構28を吸着部27ごと昇降駆動する昇降機構29とからなる。
【0061】
チップステージ25は、チップ反転機構24から半導体チップHを受けて吸着支持する。チップ搬送機構26は、チップステージ25を仮圧着装置4へ搬送し、かつチップステージ25に支持された半導体チップHを仮圧着ヘッド22と対向する位置へ搬送する。
【0062】
なお、チップステージ25とチップ搬送機構26とは、必ずしもチップ反転機構24を介して半導体チップHを受けるばかりでなく、チップ反転機構24を省略して直接、半導体チップHもしくは他の電子部品を受け、仮圧着装置4へ搬送することが可能である。
【0063】
図2に示すように、本圧着装置5は、X方向に沿って並設される3組の本圧着ステージ30と、本圧着ステージ30に近接した位置に配置されるバックアップステージ31と、バックアップステージ31に対向して設けられる3組の本圧着ヘッド32と、保護テープTを供給する保護テープ供給機構33とを備えている。なお、本圧着ステージ30は、本実施形態では、3つ用いられるがこれに限定されるものではない。
【0064】
本圧着ステージ30は、液晶パネル121を吸着固定するとともにX方向とY方向およびZ方向に移動自在である。バックアップステージ31は、本圧着ステージ30に近接した位置に設けられていて、いずれの方向にも移動せず固定的に設けられる。本圧着ヘッド32は、バックアップステージ31の直上方部に設けられていて、バックアップステージ31に対して所定の加熱温度と加圧力をもって作用するよう、Z方向に昇降自在に支持される。
【0065】
保護テープ供給機構33において、供給リール34から繰り出される保護テープTは、本圧着ヘッド32が半導体チップHに対して作用するときに、本圧着ヘッド32と半導体チップHとの間に介在される。
【0066】
排出装置6は、X方向に本圧着装置5の下流側に設置される。排出装置6は、本圧着装置5から受け渡される半導体チップHを実装した液晶パネル121を受ける排出ステージ35を備えている。この排出ステージ35は、図示しない下流のユニット(本実施形態では、バッファユニット150)との受け渡し位置へX方向に沿って移動し、液晶パネル121を下流装置へ受け渡すことができる。
【0067】
このようにして構成される実装装置110では、上流のユニット(本実施形態では、洗浄ユニット130)から図3(A)で示した液晶パネル121がプリアライメント装置2に供給される。
【0068】
プリアライメント装置2では、後述するようにして液晶パネル121に対する位置補正をする工程が行われる。図3(B)に示すように、ついで、接合材貼付装置3では、ガラス板a2の突出部分に異方性導電フィルムSを貼付ける接合材貼付け工程が行われる。図3(C)に示すように、ついで、接合材貼付検査装置111では、異方性導電フィルムSの貼付状態を検査する接合材検査工程が行われる。
【0069】
図3(D)に示すように、ついで、仮圧着装置4では、液晶パネル121に接着される異方性導電フィルムSに対して、電子部品である半導体チップHを位置決めして仮圧着する仮圧着工程が行われる。図3(E)に示すように、ついで、本圧着装置5では、半導体チップHを液晶パネル121に本圧着して実装する本圧着工程が行われる。そのあと、液晶パネル121は排出装置6から下流のユニットへ搬出される。
【0070】
なお、実装装置110は、1組のプリアライメント装置2と、2組の接合材貼付装置3と、1組の接合材貼付検査装置111と、1組の仮圧着装置4と、3組の本圧着装置5と、1組の排出装置6とを構成となっている。これは、仮圧着装置4における仮圧着工程の所要時間を基準にして設定したことによる。
【0071】
すなわち、仮圧着工程が5秒かかるとき、所要時間が10秒かかる接合材貼付け工程を2ヶ所で行うために接合材貼付装置3を2組備え、所要時間が15秒を要する本圧着工程を3ヶ所組で行うために本圧着装置5を3組備えことにより、最適タクトを5秒とすることができ、生産性の拡大化をはかっている。
【0072】
以下、電子部品の実装装置110の動作を詳細に説明する。
【0073】
図5(A)は、プリアライメント装置2の概略構成を示す斜視図である。図5(B)は、液晶パネル121に設けられる基準マークMを示す平面図である。図6は、プリアライメント装置2の基板高さ測定工程を説明する側面図である。
【0074】
図2(A)で示した構成の液晶パネル121は、上流のユニット(ここでは、洗浄ユニット130)からプリアライメント装置2のファーストステージ10に供給される。このときの液晶パネル121の姿勢は、各電極122が並ぶ方向がX方向にそう姿勢である。そして、液晶パネル121は、プリアライメント装置2で、位置補正機構Gの作用によって、受け渡された際の位置ずれが補正される。
【0075】
すなわち、液晶パネル121は、洗浄ユニット130からプリアライメント装置2のファーストステージ10上に載置される。そして、タイミングをとってステージに設けられる吸着機構が作動し、液晶パネル121がファーストステージ10上面に真空吸着して固定される。
【0076】
この状態で、液晶パネル121を構成する突出部分の無いガラス板a1と2枚の偏光板b1,b2の端縁が、ファーストステージ10の先端縁と略揃い、一方のガラス板a2の突出部分がファーストステージ10の端縁から突出する。
【0077】
図5(B)に示すように、液晶パネル121には、予め左右2個の基準マークMが形成されている。認識カメラ11は、液晶パネル121の搬送方向(X方向のうち下流側へ向かう方向)が図中矢印方向であるとき、はじめに右側(液晶パネル121の進行方向において先に配置される方)の基準マークMを撮像する。
【0078】
ついで、ファーストステージ10に設けられる駆動機構13が作動され、液晶パネル121をステージごとX方向に所定量移動する。左側の基準マークMが認識カメラ11の下方部位に位置した状態で駆動機構13が停止され、認識カメラ11は、左側の基準マークMを撮像する。認識カメラ11の撮像範囲は、ハッチングを描いた丸印Kで示している。
【0079】
認識カメラ11が撮像した基準マークMの撮像信号は、制御装置113へ送られるとともに制御装置113が備える画像取込装置113aに取り込まれる。制御装置113は、これらの認識結果から、ファーストステージ10上に吸着固定される液晶パネル121の位置と、予めファーストステージ10に設定された基準位置とのずれ量を演算する。
【0080】
この演算結果にもとづいて、ファーストステージ10に備えられる駆動機構13が作動し、液晶パネル121を水平方向(XY方向)および水平面内での回転方向(θ方向)に移動する。このことによって、上流のユニットである洗浄ユニット130から液晶パネル121が受け渡された際の液晶パネル121の位置ずれが吸収され、液晶パネル121をファーストステージ10における予め設定された基準位置に位置補正できる。
【0081】
このように、認識カメラ11によって液晶パネル121に設けられる基準マークMを認識した結果から液晶パネル121の位置を補正するので、液晶パネル121における位置決め精度が、従来のように基板の外縁形状のばらつきに影響されることがない。
【0082】
液晶パネル121を、ファーストステージ10における予め設定された基準位置に位置補正することで、第1の搬送機構8Aはその基準位置から液晶パネル121を受け取り、隣設される接合材貼付装置3におけるステージ15の予め設定された基準位置に液晶パネル121を受け渡すことができる。
【0083】
上述したように、第1の搬送機構8A〜第4の搬送機構8Dは、それぞれが各装置2〜6におけるステージ15,20,30,35の予め定められた基準位置の2点間で液晶パネル121を搬送するようになっている。
【0084】
したがって、プリアライメント装置2のファーストステージ10で液晶パネル121を予め定めた基準位置に位置決め補正したので、第2の搬送機構8B〜第4の搬送機構8Dにおける受け取り位置と受け渡し位置とが正確に定まる。それゆえ、後述する各工程が正確に行われるので、信頼性の向上化を得られる。
【0085】
図6に示すように、プリアライメント装置2のファーストステージ10において、液晶パネル121に対する位置決め補正の工程と同時に、液晶パネル121の高さ位置を補正する工程が行われる。
【0086】
具体的に説明すると、認識カメラ11が液晶パネル121に設けられる基準マークMを認識した後に、ファーストステージ10上の液晶パネル121に対して、プリアライメント装置2の下部に設けられたレーザ変位計12が液晶パネル121の高さ位置を測定する。
【0087】
レーザ変位計12は、液晶パネル121を構成するガラス板a2の突出部分裏面にレーザ光を照射して、その測定信号を制御装置113へ送る。制御装置113では、測定信号に基づいて基準位置(たとえば架台1上面)から液晶パネル121のガラス板a2突出部分裏面までの距離L1を算出する。
【0088】
この算出結果から、ファーストステージ10上に吸着固定される液晶パネル121の高さ位置と、予め設定された液晶パネル121の基準高さ位置とのずれ量を演算して、ファーストステージ10に備えられる駆動機構13を作動し、液晶パネル121を高さ方向(Z方向)に移動させて、基準の高さ位置に揃える。
【0089】
この結果も、後述する以降の工程において各々の液晶パネル121と1対1で対応する。そして、液晶パネル121が搬送される各装置3〜6では、各装置3〜6がその時点で保持している個々の液晶パネル121に対する測定結果にしたがってステージ15,20,30,35の高さが補正され、全てのステージ高さが同一に揃えられる。そして、液晶パネル121の高さ測定の動作は、液晶パネル121の位置決め認識動作の間に終了するため、装置タクトに影響を与えることがない。
【0090】
プリアライメント装置2において液晶パネル121に対する位置補正および高さ位置の制御が完了した時点で、第1の搬送機構8Aが駆動され、ファーストステージ10の搬送基準位置に位置決め補正された液晶パネル121の受け渡し位置へと移動する。
【0091】
図7(A)〜(C)は、第1の搬送機構8Aがプリアライメント装置2のファーストステージ10から液晶パネル121を受け渡される作用を順に説明する概略図である。
【0092】
図7(A)に示すように、プリアライメント装置2のファーストステージ10は、液晶パネル121を真空吸着したまま、第1の搬送機構8Aの直下部に位置する。第1の搬送機構8Aは、断面が逆L字状に形成されていて、この基端部にはリニアモータを構成する磁石部36が設けられ、かつ直動ガイド37に支持される。また、第1の搬送機構8Aの水平片部には、外部の図示しない真空源と連通する吸着路38が設けられていて、この吸着路38は水平片部下面において開放される。
【0093】
図7(B)に示すように、ファーストステージ10を上昇駆動して所定位置で停止する。液晶パネル121と第1の搬送機構8Aが接触した状態で外部の真空源が駆動され、液晶パネル121は第1の搬送機構8Aに真空吸着される。
【0094】
つぎに、図7(C)に示すように、プリアライメント装置2のファーストステージ10における真空吸着作用が解除され、かつファーストステージ10が下降駆動されることで、液晶パネル121を第1の搬送機構8Aへ受け渡しする工程が完了する。第1の搬送機構8Aは、液晶パネル121を真空吸着したままリニアモータ機構が作動してX方向へ移動し、接合材貼付装置3の貼付けステージ15に予め定められた基準の位置に対向して停止する。
【0095】
このようにして、第1の搬送機構8Aは、液晶パネル121をプリアライメント装置2のファーストステージ10から接合材貼付装置3の貼付けステージ15へ搬送する。また、第2〜第4の第2の搬送機構8B〜8Dの構造は、全て第1の搬送機構8Aと同一であり、かつ以下に述べる各装置3,4,5、6のステージ15,20,30,35に対する第2〜第4の第2の搬送機構8B〜8Dの液晶パネル121の受け渡し作用は、先に説明したのと全く同様の手順で実施されるので、各第2の搬送機構8B〜8Dの詳細な作用説明は省略する。
【0096】
図2に示すように、第1の搬送機構8Aは、プリアライメント装置2から液晶パネル121を吸着固定してY方向へ移動し、接合材貼付装置3との対向位置に到達して停止する。この接合材貼付装置3に備えられる2組の貼付けステージ15のうち、一方の貼付けステージ15が一旦、装置奥側から前面側まで、すなわちY方向に移動してから上昇駆動され、第1の搬送機構8Aから液晶パネル121が受け渡される。このときの液晶パネル121の受け渡し作用は、先に図7(A)〜(C)で説明した動作に対して全く逆の動作が行われる。
【0097】
第1の搬送機構8Aは、プリアライメント装置2のファーストステージ10に戻り、新たに位置決め補正された次の液晶パネル121を吸着保持して、接合材貼付装置3の他方の貼付けステージ15に、その液晶パネル121を受け渡す。
【0098】
液晶パネル121を吸着固定した接合材貼付装置3の貼付けステージ15は、所定の接合材貼付け位置に向うため装置奥側であるY方向へ移動する。そして、貼付けステージ15は、この接合材貼付装置3に備えられるバックアップステージ16と近接位置まで移動してから降下する。
【0099】
図8は、接合材貼付装置3における異方性導電フィルムSの貼付け工程を説明する図である。先に説明したプリアライメント装置2のファーストステージ10に対する液晶パネル121の載置位置と同様、接合材貼付装置3における貼付けステージ15に対する液晶パネル121の載置位置も、液晶パネル121を構成するガラス板a2の突出部分のみステージ15端縁から突出し、他方のガラス板a1と2枚の偏光板b1,b2端縁とステージ端縁の位置が揃えられた状態で、液晶パネル121は貼付けステージ15に吸着固定される。
【0100】
そして、貼付けステージ15は、液晶パネル121の突出部分裏面がバックアップステージ16上面と接触する高さ位置まで下降する。このときの接合材貼付けステージ15の降下量は、先に説明したプリアライメント装置2のファーストステージ10上に支持された液晶パネル121に対してレーザ変位計12が測定した結果に基づいて制御される。したがって、液晶パネル121の突出部分は常に水平に保持され、バックアップステージ16の上面と液晶パネル121の裏面とが面同士で、均一状態で接触する。
【0101】
図2に示すように、異方性導電フィルムSは、テープ状となってセパレータをはさんでリールに巻回されており、接合材供給機構18に取り付けられている。そして、異方性導電フィルムSは、接合材供給機構18から貼付け位置へ供給される。
【0102】
ハーフカットユニットで貼付け長さに切込みを入れた異方性導電フィルムSに対して貼付ヘッド17が降下駆動され、所定の荷重および温度を加えて、異方性導電フィルムSを液晶パネル121に貼付ける。このとき、液晶パネル121の実装部位は水平に保持されているため、裏面に貼付けられた偏光板b2の厚さバラツキに起因する液晶パネル121の傾きや加圧時に生じる撓み変形に起因する異方性導電フィルムSの貼付け位置のずれが生じることがない。
【0103】
図9に示すように、異方性導電フィルムSを貼付けたあとのセパレータは、吸引機構40に吸引されて、接合材貼付装置3の背面側に配置される廃棄箱41内へ導かれ、廃棄処分される。
【0104】
図2に示すように、接合材貼付けステージ15において異方性導電フィルムSが貼付けられた液晶パネル121は、第2の搬送機構8Bによって、仮圧着装置4に搬送される。この際、第2の搬送機構8Bは、接合材貼付検査装置111の接合材認識カメラ19と対向する位置を通過する。言い換えると、接合材認識カメラ19は、第2の搬送機構8Bによって搬送される液晶パネル121上に配置されている。そして、接合材貼付装置3から仮圧着装置4に搬送される際に、接合材貼付検査装置111によって、異方性導電フィルムSに剥れや欠けがあるか否かの検査が行われる。
【0105】
異方性導電フィルムSの一部に剥れや欠けを有する状態で仮圧着装置4や本圧着装置5に至ると、液晶パネル121の電極122と半導体チップHの電極との接合が不十分で不良となることが考えられる。したがって、異方性導電フィルムSを液晶パネル121に貼付けた後、異方性導電フィルムSの貼付け状態を検査する必要がある。このため、接合材貼付検査装置111は、異方性導電フィルムSの貼付状態を検査する。
【0106】
接合材貼付検査装置111は、液晶パネル121において異方性導電フィルムSが貼り付けられるべき位置(範囲)を示す貼付予定範囲200の全てを撮影するとともに、撮影された画像内の貼付予定範囲200の周縁部201においてX方向(各電極122が並ぶ方向)に沿う部分の全域に検査範囲202を設定する。そして、検査範囲202を1つずつ検査し、当該検査結果に基づいて、異方性導電フィルムSに欠けが生じているか否かを判定する。
【0107】
このとき、貼付予定範囲200が接合材認識カメラ19の視野19a(図12に示す)よりも大きい場合は、貼付予定範囲200を数回撮影して貼付予定範囲200をすべて撮影する。そして、撮影された画像ごとに検査が行われる。なお、接合材認識カメラ19の視野19aとは、接合材認識カメラ19の1度の撮影によって撮影される範囲である。以下、接合材貼付検査装置111の動作を具体的に説明する。
【0108】
なお、図10に示すように、制御装置113は、液晶パネル121に貼り付けられる異方性導電フィルムSの位置や大きさのデータを予め有している。また、制御装置113は、液晶パネル121上において異方性導電フィルムSが貼り付けられる貼付予定範囲200のデータを予め有している。貼付予定範囲200の位置を示すデータは、例えば基準マークからのX方向とY方向との座標データである。なお、図10中では、液晶パネル121上の貼付予定範囲200と異方性導電フィルムSとが重なっている。
【0109】
図11は、接合材貼付検査装置111の動作を示すフローチャートである。上記のように、液晶パネル121上の貼付予定範囲200は、全て撮影される。それゆえ、図11のフローチャートに示すように、ステップST1において、制御装置113は、予め保持している貼付予定範囲200の大きさのデータと、接合材認識カメラ19の視野19aのデータとから、貼付予定範囲200を全て撮影するために必要な総撮影回数を算出する。総撮影回数をMsとする。
【0110】
図12は、貼付予定範囲200と、接合材認識カメラ19の視野19aとを概略的に示す平面図である。図12中では、貼付予定範囲200は、2点鎖線で示されるとともにはハッチングをして示している。接合材認識カメラ19の視野19aは、2点鎖線で示されている。図11に示すように、本実施形態では、貼付予定範囲200を全て撮影するために、接合材認識カメラ19は、貼付予定範囲200の一端部203と、他端部204と、両端部203,204間の中間部分205との3回撮影する。
【0111】
つまり、Ms=3となる。なお、図中、205は、前回撮影した画像と、その次に撮影した画像との重なるオーバーラップ部分を示している。オーバーラップ部分206については、後で詳細に説明される。なお、図中X方向を図示しており、接合材認識カメラ19の視野19aはX方向に隣り合っている。
【0112】
ついで、図11に示すように、ステップST2に進む。ステップST2では、接合材認識カメラ19による撮影数Mを初期状態、つまりM=0に設定する。ついで、ステップST3に進む。ステップST3では、貼付予定範囲200を接合材認識カメラ19で1回撮影する。まずは、貼付予定範囲200において第2の搬送機構8Bの進む方向(X方向下流側)の先端部である一端部203が撮影される。第2の搬送機構8Bは、接合材認識カメラ19が一端部203を撮影できるように移動される。
【0113】
図13は、接合材認識カメラ19で撮影された一端部203の画像210を示している。なお、図13中の貼付予定範囲200には、異方性導電フィルムSが貼り付けられているので、図中の貼付予定範囲200と異方性導電フィルムSとは、互いに重なっている。図中、異方性導電フィルムSは、ハッチングが施されて示されている。
【0114】
図13に示すように、本実施形態では、貼付予定範囲200の両端部203,204は、両端203a,204aが接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心に位置決められた状態で撮影される。
【0115】
このため、制御装置113の制御によって、第2の搬送機構8Bの進む方向(X方向下流側)の先端にある一端203aが、接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心と重なるように、第2の搬送機構8Bが駆動される。なお、この際の第2の搬送機構8Bの駆動の制御は、上記されたように、制御装置113に予め保持されている液晶パネル121上の貼付予定範囲の位置データに基づいて行われている。
【0116】
一端203aが接合材認識カメラ19の視野19aの中心に到達すると、接合材認識カメラ19によって、貼付予定範囲200の一端部203が撮影される。撮影された一端部203の画像210は、制御装置113に送信される。制御装置113では、送信された画像210を、画像取込装置113a内に保存する。ついで、図11に示すように、ステップST4に進む。
【0117】
ステップST4では、制御装置113が、画像取込装置113a内に保存された画像210内に設定される検査範囲202の数を求める。検査範囲202は、上記されたように、貼付予定範囲200の周縁部201において第2の搬送機構8Bの移動方向であるX方向に沿う部分に設定される。
【0118】
そして、検査範囲202は、1つずつ順番に検査される。つまり、1つの画像内の検査範囲202の数は、当該画像内での検査回数を示している。制御装置113は、一端部203の画像210内の貼付予定範囲200の大きさと、1つの検査範囲202の形状との関係より、画像210内に設定される検査範囲202の数、つまり画像210内での検査回数Msを求める。検査範囲202の形状は、矩形状であって、X方向の幅L2は電極間ピッチに設定される。本実施形態では、電極間ピッチは、0.2mmである。
【0119】
なお、検査範囲202が貼付予定範囲200の周縁部201において第2の搬送機構8Bの移動方向つまりX方向に沿う部分に設定される理由は、異方性導電フィルムSの周縁部に欠けが発生しやすいためである。なお、図中、下方に位置する検査範囲の集まりを下検査範囲群211とし、上方に位置する検査範囲の集まりを上検査範囲群212とする。本実施形態では、貼付予定範囲200においてY方向中間部、つまり下検査範囲群211と上検査範囲群212との間の範囲は、検査されない。これは、上記した理由による。
【0120】
ついで、図11に示すように、ステップST5に進む。ステップST5では、検査数を初期化する、つまりN=0と設定する。
【0121】
ついで、ステップST6に進む。上記したように、検査範囲202は、1つずつ順番に検査される。このため、ステップST6では、実際に検査する1つの検査範囲202の座標を、接合材認識カメラ19によって撮影される画像内に設定される基準点213を基準に算出する。具体的には、検査される1つの検査範囲202の4隅の座標を算出する。
【0122】
図13に示すように、基準点213は、接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心であって、Y方向に貼付予定範囲200とずれた位置に設定されている。本実施形態では、基準点213は、図中、貼付予定範囲200よりも下方に位置している。言い換えると、貼付予定範囲200の両端203a,204aは、画像内のX方向において基準点213と重なる位置に設置される。
【0123】
本実施形態では、図13中に矢印Bで示すように、例えば下検査範囲群211内の検査範囲202が検査された後、上検査範囲群212内の検査範囲202が検査される。上下検査範囲群211,212内では、X方向中心からX方向両側に向かって順番に検査範囲202の座標が設定されて、検査される。
【0124】
なお、上記のように下検査範囲群211から検査されることに限定されていない。また、検査範囲の検査される順番は、限定されておらず、それゆえ、上記のように、X方向に沿って順番に検査されることに限定されていない。検査範囲の検査される順番は、適宜適切に設定される。
【0125】
貼付予定範囲200の両端部203,204では、上記されたように両端203a,204aが接合材認識カメラ19の視野19a内のX方向中心に位置決められるため、上下検査範囲群211,212内では、端203a,204aから一方向にのみ検査範囲が設定される。
【0126】
なお、貼付予定範囲200のX方向の両端203a,204aから1つ目の検査範囲202内には、検査されない部分202aが設定される。検査されない部分202aのX方向に沿う幅L3は、異方性導電フィルムSの貼付公差と同じに設定されている。
【0127】
貼付予定範囲200のX方向両端203a,204aから1つ目の検査範囲202内に、貼付公差と同じ幅L2を有する検査されない部分202aが設定されることによって、図14に示すように、許容範囲内(交差内)の異方性導電フィルムSの貼付誤差は、欠けと判定されなくなる。なお、図14は、貼付予定範囲200に対して、異方性導電フィルムSの貼付位置が公差分だけずれた状態を示す平面図である。
【0128】
このため、上下検査範囲群211,212において貼付予定範囲200のX方向両端203a,204aから1つ目の検査範囲202にいては、検査されない部分202aを示す(検査されない部分202aの4隅)座標も算出される。
【0129】
つぎに、図11に示すように、ステップST7に進む。ステップST7では、ステップST6で検出された座標内、つまりステップST6で座標が設定された1つの検査範囲202内の画像に基づいて、制御装置113は、異方性導電フィルムSがある部分と異方性導電フィルムSがない部分とを判別する。
【0130】
具体的には、検査範囲202内では、異方性導電フィルムSがある部分は、輝度が小さい。また、欠け部分など異方性導電フィルムSがない部分は、輝度が大きい。このため、検査範囲202内の各部分の輝度と予め設定された閾値と比較することによって、異方性導電フィルムSがある部分と、ない部分とを判別する。さらに、異方性導電フィルムSがあると判定された部分を黒くし、異方性導電フィルムSがないと判定された部分を白くする2値化処理が施される。
【0131】
ついで、ステップST8に進む。ステップST8では、検査された検査範囲202内の異方性導電フィルムSがないと判定された部分の画素数、つまり白い部分の画素数を検出するとともに、検査範囲202内の総画素数に対する白い部分の画素数の割合を算出する。
【0132】
ついで、ステップST9に進む。ステップST9では、ステップST8で算出された値が、電極122と半導体チップHとの電気的接合に不具合を生じる値であると判定される判定値以上であるか否かが判定される。異方性導電フィルムSがないと判定された部分の割合が判定値以上であると、ステップST10に進む。
【0133】
ステップST10では、ステップST7で検査された検査範囲202内に、電極122と半導体チップHとの電気的接続に不具合を生じる欠けがあると判定されて、異方性導電フィルムSに異常があると判定される。
【0134】
ステップST9において、異方性導電フィルムSがないと判定された部分の割合が、判定値未満であると、ステップST11に進む。ステップST11では、異方性導電フィルムSがないと判定された部分の割合が判定値未満であると、ステップST7で検査された検査範囲202内には、電極122と半導体チップHとの電気的接続に不具合を生じる欠けがないと判定される。
【0135】
ついで、ステップST10,11を経て、ステップST12に進む。なお、ステップST6〜ST11において、1つの検査範囲202の検査が行われる。このため、ステップST12では、検査数N=N+1となり、検査数が1つ増える。ついで、ステップST13に進む。
【0136】
ステップST13では、画像210内に設定された複数の検査範囲202全てが検査された否かを判定する。このため、ステップST13では、検査数Nが、ステップST4で設定された総検査回数Nsに達したか否かを判定する。
【0137】
一端部203の画像210内に設定された検査範囲202が全て検査されないうちは、ステップST6にもどって、検査範囲202の検査が1つずつ行われ続ける。このとき、上記したように、画像210内に設定される検査範囲202は、下検査範囲群211から検査され、下検査範囲群211の検査が終了すると上検査範囲群212が検査される。そして、上下検査範囲群211,212内の検査範囲202においては、X方向中心からX方向に沿って順番に検査される。
【0138】
一端部203の画像210内の検査範囲202が全て検査されると、検査数N=Nsとなり、ステップST13からステップST14に進む。ここでは、貼付予定範囲200全ての検査が終了したか否かが判定される。それゆえ、ステップST14では、接合材認識カメラ19による撮影数MがステップST1で設定された総撮影回数MSに達したか否かが判定される。
【0139】
一端部203内の検査範囲202の検査が終了した時点では、本実施形態では、貼付予定範囲200の他端部204の検査と、中間部分205の検査とが残っているので、ステップS15に進む。ステップST15では、撮影数M=M+1となり、撮影数が1つ増えてM=1となる。ついで、中間部分205の検査に移る。
【0140】
中間部分205の検査を行うため、ステップST16に進む。ステップST16では、制御装置113は、中間部分205のX方向中心が、接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心に重なるように、第2の搬送機構8Bを駆動する。なお、制御装置113は、貼付予定範囲200の大きさおよび位置と、接合材認識カメラ19の視野19aの大きさのデータを有しているため、中間部分205を接合材認識カメラ19の視野19a内に収容すべく、第2の搬送機構8Bを駆動することができる。
【0141】
ここで、上記された、撮影範囲のオーバーラップ部分206について詳細に説明する。図12に示すように、貼付予定範囲200の大きさによっては、接合材認識カメラ19の数回にわたる撮影によってもちょうど全領域が撮影されることなく、貼付予定範囲200の一部(接合材認識カメラ19の視野19aよりも小さい範囲)が残る場合がある。
【0142】
上記されたように、本実施形態では、貼付予定範囲200の両端部203a,204aは、端203a,204aが接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心に位置決められた状態で撮影される。このため、制御装置113は、貼付予定範囲200の一部が残る場合では、両端203a,204aが接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心に位置決められるように、貼付予定範囲200内において隣り合う撮影範囲どうし一部が重なるように、第2の搬送機構8Bの駆動を補正する。互いに重なるオーバーラップ部分206は、均等になるように制御される。なお、図13,15,16内では、オーバーラップ部分206は、誇張して大きくかかれている。
【0143】
ついで、ステップST3に戻る。ステップST3では、中間部分205が接合材認識カメラ19で撮影される。図15は、中間部分205の画像216である。画像216は、制御装置113の画像取込装置113a内に保存される。
【0144】
ついで、ステップST4に進む。ステップST4では、中間部分205内に設定される検査範囲202の数、つまり中間部分205の検査係数Nsを求める。ついで、ステップST5に進む。ステップST6では、検査数を初期化する。つまり、N=0となる。ついで、ステップST6に進む。
【0145】
ステップST6では、ステップST7で検査される1つの検査範囲202の座標を算出する。なお、図15に示すように、中間部分205の画像216内の貼付予定範囲200は、両端部203,204の画像内の貼付予定範囲200と異なり、接合材認識カメラ19の視野19aのX方向中心(基準点213)を挟んで両側にも存在している。
【0146】
本実施形態では、中間部分205は、図中矢印で示すように、基準点213から一方向例えばX方向のうち下流へ向かう方向に順番に検査した後、基準点213から他方向例えばX方向のうち上流へ向かう方向に順番に検査する。中間部分205であっても、各検査範囲202は、一端部203と同様に、ステップST6〜ST13にしたがって、1つずつ検査される。それゆえ、中間部分205におけるステップST6〜ST13の説明は、省略する。
【0147】
中間部分205内の貼付予定範囲200の検査範囲202の検査が全て終了すると、ステップST4において撮影数M=M+1となり、M=2となる。これで、中間部分205の検査が終了する。ついで、他端部204の検査に移る。
【0148】
他端部204の検査に移るため、ステップST3に戻る。ステップST3では、制御装置113の制御によって、他端部204の端204aが接合材認識カメラ19の視野19a内のX方向に基準点213と重なるように、第2の搬送機構8Bが駆動される。ついで、ステップST4に進む。
【0149】
ステップST3では、他端部204が撮影される。図16は、他端部204の画像214である。画像214は、制御装置113の画像取込装置113a内に保存される。他端部204内の貼付予定範囲200の検査におけるステップST4〜ST13は、一端部203内の貼付予定範囲200の検査と同様に行われるので、説明を省略する。
【0150】
他端部204内の検査範囲202の検査が全て終了すると、ステップST14で撮影数M=3となり、M=Msとなる。ついで、ステップST17に進む。ステップST17では、一端部203,他端部204,中間部分205内の各検査範囲202(貼付予定範囲200内の全ての検査範囲202)の検査結果に基づいて、異方性導電フィルムSに異常があるか否か出力される。
【0151】
上記検査結果は、制御装置113に接続されるモニター113b(図1に示す)などの出力装置によって、出力される。なお、ステップST10において複数の検査範囲202のうち1つでも異常があると判定されると、ステップST17において、異方性導電フィルムSに異常があると出力される。
【0152】
なお、本実施形態では、貼付予定範囲200は、接合材認識カメラ19による3回の撮影によって全範囲が撮影される大きさである。それゆえ、貼付予定範囲は、一端部203、他端部204,中間部分205の3つの部分に分けられる。しかしながら、貼付予定範囲200の大きさによっては、3つではなく、4つや5つに分けられる場合がある。この場合、一端部、他端部のほかに複数の中間部分に分けられることになる。これら各中間部分は、互いに同様に検査される。
【0153】
図2に示すように、接合材貼付検査装置111による異方性導電フィルムSの検査において異常がないと判断された液晶パネル121は、第2の搬送機構8Bによって、仮圧着装置4へ搬送される。仮圧着装置4内では、液晶パネル121は、仮圧着ステージ20へ受け渡される。
【0154】
接合材貼付検査装置111によって異方性導電フィルムSに異常があると判断されると、実装装置110が停止する。そして、作業員などによって異常と判定された液晶パネル121が取り外されるなどする。
【0155】
仮圧着ステージ20は、実装装置110の奥側からY方向へ移動し、一旦、装置の前面側に出て第2の搬送機構8Bから液晶パネル121が受け渡される。
【0156】
ここでも、ステージ20の端縁に対して、液晶パネル121を構成するガラス板a2を除くガラス板a1および2枚の偏光板b1,b2端縁との位置が揃えられ、かつガラス板a1の突出部分が仮圧着ステージ20端縁から突出した状態で、液晶パネル121は、仮圧着ステージ20に吸着固定される。仮圧着ステージ20は、液晶パネル121を吸着保持して装置奥側(Y方向)へ移動し、バックアップステージ21に近接するとともに、この上方部位へ移動する。
【0157】
仮圧着ステージ20は、液晶パネル121の突出部分裏面がバックアップステージ21と接触する高さ位置まで下降する。このときも、先に説明したプリアライメント装置2におけるファーストステージ10での高さ測定結果にもとづいて制御されるので、バックアップステージ21の上面と液晶パネル121の突出部裏面とが面同士で均一状態に接触し、液晶パネル121は常に水平に保持される。
【0158】
一方、半導体チップHがIC供給ユニット142からIC搬送装置7へ受け渡される。半導体チップHに形成される電極(バンプ)が上面側に向いた状態で供給される場合は、図17に示すように、半導体チップHはIC搬送装置7を構成するチップ反転機構24の吸着部27が受けて真空吸着する。
【0159】
そして、図17(B)に示すように、半回転機構28が駆動され、吸着部27を180度回転して停止する。吸着部27の半導体チップHに対する吸着作用は継続しているので、半導体チップHは上下(天地)逆の姿勢に換って保持される。
【0160】
つぎに、図17(C)に示すように、昇降機構29が駆動して半回転機構28を吸着部27ごと降下駆動し、半導体チップHがチップ搬送機構26のチップステージ25上に載った位置で停止する。
【0161】
チップ搬送機構26のチップステージ25は半導体チップHを真空吸着により固定し、ついでチップ反転機構24の吸着部27における真空吸着を解除する。したがって、半導体チップHはチップ反転機構24からチップステージ25へ受け渡されることになる。このタイミングをとってチップ搬送機構26が駆動され、半導体チップHごとチップステージ25を仮圧着装置4へ搬送する。
【0162】
チップ反転機構24の昇降機構29を駆動して上昇させるとともに、半回転機構28を逆方向に半回転させる。チップ反転機構24は、はじめの姿勢に戻ってつぎに供給される半導体チップHの供給を待機する。一方、チップステージ25に支持された半導体チップHが仮圧着ヘッド22と対向する位置へ搬送された状態で、チップ搬送機構26が停止する。
【0163】
なお、生産する品種によっては、チップ供給手段から渡される電子部品の実装面が下向きの場合もあり得る。その際には、電子部品のチップ反転機構24への供給を省略して、その電子部品を直接、チップ搬送機構26のチップステージ25へ受け渡すことができ、生産性の拡大化を図れる。
【0164】
半導体チップHを吸着固定したチップ搬送機構26のチップステージ25が仮圧着ヘッド22と対向する位置で停止すると、今度は仮圧着ヘッド22が下降して、チップステージ25上の半導体チップHに接触する。ついで、チップステージ25の吸着作用が停止され、かつ仮圧着ヘッド22の半導体チップHに対する真空吸着作用が開始されて、半導体チップHは仮圧着ヘッド22に受け渡しされる。
【0165】
そして、図2に示すように、仮圧着ヘッド22は、上昇駆動されるとともにXY方向に移動して認識カメラ23の上方部で、この撮像範囲内に停止する。そして、認識カメラ23が半導体チップHに設けられる認識マーク(図示せず)を撮像する。続いて、仮圧着ステージ20から突出する液晶パネル121の実装部分も認識カメラ23の撮像範囲に移動し、認識カメラ23は液晶パネル121の基準マークMを撮像する。
【0166】
制御装置113に設けられる画像取込装置113aは、認識カメラ23からの撮像信号を受けて、半導体チップHの認識マークと液晶パネル121の基準マークMとを用いて、予め設定された半導体チップHと液晶パネル121の正規の位置に対する位置ずれ量を演算する。
【0167】
その演算結果にもとづいて、半導体チップHを下向きにして吸着支持する仮圧着ヘッド22が、水平方向(XY方向)および水平面内での回転方向(θ方向)に移動して、液晶パネル121に対する半導体チップHの位置合せをなす。
【0168】
仮圧着ヘッド22は、タイミングをとってバックアップステージ21上の液晶パネル121へ向かって下降し、所定の荷重および温度によって異方性導電フィルムSを介し半導体チップHを液晶パネル121の実装面へ仮圧着する。これで、仮圧着工程が終了する。
【0169】
このように、仮圧着装置4における認識カメラ23によって、半導体チップHと液晶パネル121との位置認識をなして互いの位置ずれ量を演算し、その結果にもとづき位置補正をなすことにより、液晶パネル121に対する半導体チップHの位置決めを極めて高精度になす。同時に、液晶パネル121の高さ位置を補正して水平に保持するので、液晶パネル121の傾きや加圧により撓みから半導体チップHが位置ずれすることがなく仮圧着できる。
【0170】
仮圧着工程が完了すると、第3の搬送機構8Cが作動して半導体チップHを仮圧着した液晶パネル121を仮圧着装置4から取出し、本圧着装置5へ搬送する。液晶パネル121は、本圧着装置5において、装置奥側から前面側へY方向に移動してきた本圧着ステージ30へ受け渡される。
【0171】
第3の搬送機構8Cは、3組あるうちのいずれかの本圧着ステージ30に液晶パネル121を受け渡したあと、直ちに仮圧着装置4へ戻って次位の液晶パネル121を他の本圧着ステージ30へ受け渡す。そして、再び仮圧着装置4へ戻って液晶パネル121を残りの空いている本圧着ステージ30へ受け渡す。
【0172】
液晶パネル121を受け渡された本圧着ステージ30は、再び装置奥側(Y方向)へ移動してから降下し、バックアップステージ31上に半導体チップHを仮圧着した液晶パネル121の実装面が載った位置で停止する。このときの本圧着ステージ30の降下量も、先にプリアライメント装置2のレーザ変位計12が測定した結果にもとづくものであり、液晶パネル121の実装部位は常に水平に保持される。
【0173】
このあと、本圧着ヘッド32がバックアップステージ31の液晶パネル121実装面に向かって下降し、仮圧着工程時よりも高温の加熱温度および大きな荷重条件にもとづき、保護テープTを介して半導体チップHを液晶パネル121に本圧着する、本圧着工程をなす。これにより、半導体チップHの電極と液晶パネル121の電極が、異方性導電フィルムSである異方性導電膜に含まれる導電粒子を介して電気的に接続され、実質的な実装が行われる。
【0174】
本圧着工程を終えた液晶パネル121を第4の搬送機構8Dが吸着して、排出装置6へ搬送し、液晶パネル121を排出ステージ35へ受け渡す。排出ステージ35は、下流のバッファユニット150との受け渡し位置へ移動(X方向)して、液晶パネル121をバッファユニット150へ受け渡す。これにより、一連の液晶パネル121に対する半導体チップHの実装工程の全てが終了する。
【0175】
このように構成される実装装置110では、検査範囲202の幅L2が、電極間ピッチに合わせられている。このため、接合材貼付検査装置111は、電極122と半導体チップHとの電気的接続に不具合を生じる欠けを異常と判定できるようになる。
【0176】
この点について、具体的に説明する。図18は、検査範囲202の幅L2が電極間ピッチと同じ場合において、異方性導電フィルムSに欠け220が生じている状態を示す平面図である。図18中、異方性導電フィルムSは、ハッチングが施されて示されている。電極122は、点線で示されている。検査範囲202は、2点鎖線で示されている。
【0177】
図18に示すように、欠け220は、1つの電極122を全て覆うとともに、略2つの検査範囲202を覆う大きさを有している。
【0178】
図19は、検査範囲202の幅L2が電極間ピッチよりも大きく設定された場合を示している。なお、図19に示される欠け220は、図18に示される欠け220と同じ大きさ・形状である。図19では、欠け220は、1つの電極122を全て覆うが、検査範囲202の一部を覆うのみである。
【0179】
このため、図19の場合では、1つの電極122が欠け220によって覆われていても、検査範囲202内での欠け202の占める割合が閾値以下である場合は、正常であると判定される。
【0180】
これに対して図18の場合では、検査範囲202の幅L2が電極間ピッチであることによって、1つの電極122を覆ってしまう大きさを有する欠け220は、検査範囲202も大きく覆うことになる。この結果、異常と判定されるようになる。
【0181】
以上のことより、検査範囲202の幅L2が電極間ピッチであることによって、電極122と半導体チップHとの電気的接続に不具合を生じる欠けを精度よく判定できるようになる。
【0182】
また、貼付予定範囲200に端203a,204aに隣り合う検査範囲202内には、検査されない部分202aが設定される。この結果、異方性導電フィルムSの公差内の貼付誤差が異常と判定されなくなるので、電極122と半導体チップHとの電気的接続に不具合を生じる欠けを精度よく判定できるようになる。
【0183】
なお、本実施形態では、IC実装ユニット140の実装装置110を代表して説明したが、実装装置110は、IC実装ユニット140に用いられることに限定されない。例えば、FPC実装ユニット160に用いられてもよい。この場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明の一実施形態に係る実装装置を備える実装システムの概略を示す平面図。
【図2】図1に示されたIC実装ユニットを示す斜視図。
【図3】図3(A)〜(E)は、図2に示された実装装置における、液晶パネルに半導体チップを実装する工程を示す概略図。
【図4】図3に示されたガラス板において、外部に露出する電極が設けられる部位を拡大して示す平面図。
【図5】図5(A)は、図2に示されたプリアライメント装置の構成を示す斜視図。図5(B)は、図4に示された液晶パネルに設けられる基準マークを示す平面図。
【図6】図5に示されたプリアライメント装置の基板高さ測定工程を説明する側面図。
【図7】図7(A)〜(C)は、図2に示された第1の搬送機構がプリアライメント装置のファーストステージから液晶パネルを受け渡される作用を順に説明する概略図。
【図8】図2に示された接合材貼付装置における異方性導電フィルムSの貼付け工程を概略的に説明する側面図。
【図9】図2に示された実装装置の背面側を示す斜視図。
【図10】図4に示された液晶パネル上の貼付予定範囲を示す平面図。
【図11】図2に示された接合材貼付検査装置の動作を示すフローチャート。
【図12】図10に示された貼付予定範囲と、接合材認識カメラの視野とを概略的に示す平面図。
【図13】図2に示された接合材認識カメラで撮影された貼付予定範囲の一端部の画像を示す平面図。
【図14】図10に示された貼付予定範囲に対して、異方性導電フィルムの貼付位置が公差分だけずれた状態を示す平面図。
【図15】図2に示された接合材認識カメラで撮影された貼付予定範囲の中間部分の画像を示す平面図。
【図16】図2に示された接合材認識カメラで撮影された貼付予定範囲の他端部の画像を示す平面図。
【図17】図17(A)〜(C)は、図9に示されたIC搬送装置の作用を順に示す概略図。
【図18】検査範囲の幅が電極間ピッチと同じ場合において、異方性導電フィルムに欠けが生じている状態を示す平面図。
【図19】検査範囲の幅が電極間ピッチよりも大きく設定された場合において、異方性導電フィルムに欠けが生じている状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0185】
3…接合材貼付装置(接合材貼付部)、4…仮圧着装置(取付部)、5…本圧着装置(取付部)、8B…第2の搬送機構(移動部)、19…接合材認識カメラ(撮影部)、19a…視野、61…フレキシブル基板(被接続部品)、111…接合材貼付装置(接合材貼付部)、113…制御装置(制御部)、121…液晶パネル(基板)、122…電極、200…貼付予定範囲、201…周縁部、202…検査範囲、202a…検査されない部分、210…画像、214…画像、216…画像、220…欠け部分、H…半導体チップ(被接続部品)、P…電極間ピッチ、S…異方性導電フィルム(接合材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が所定の電極間ピッチを有して並んで配置される基板の、前記電極と電気的に接続される被接続部品との間に介装される接合材が位置すべき範囲を示す貼付予定範囲、を含むように撮影する撮影部と、
前記撮影部の視野内に前記基板を導く移動部と、
前記貼付予定範囲の全域を撮影すべく前記撮影部と前記移動部とを制御するとともに、前記撮影部が撮影した画像内の前記貼付予定範囲の周縁部において、前記電極が並ぶ方向に沿う縁部全域に前記電極間ピッチと同じ幅の検査範囲を設定し、前記検査範囲内における前記接合材の欠け部分の割合を検出し、前記欠け部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて前記接合材に異常があるか否かを判定する制御部と
を具備することを特徴とする接合材貼付検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記検査範囲のうち、前記貼付予定範囲の前記各電極が並ぶ方向の両端と隣り合う前記検査範囲内に、前記接合材の貼付公差と同じ幅の検査しない範囲を設定することを特徴とする請求項1に記載の接合材貼付検査装置。
【請求項3】
複数の電極が所定の電極間ピッチを有して並んで配置される基板の前記電極上に接合材を貼り付ける接合材貼付部と、
前記接合材の貼付状態を検査する接合材貼付検査部と、
前記基板との間に前記接合材を介して被接合部品を取り付ける取付部と
を具備し、
前記接合材貼付検査部は、
前記電極と電気的に接続される被接続部品との間に介装される接合材が位置すべき範囲を示す貼付予定範囲、を含むように撮影する撮影部と、
前記撮影部の視野内に前記基板を導く移動部と、
前記貼付予定範囲の全域を撮影すべく前記撮影部と前記移動部とを制御するとともに、前記撮影部が撮影した画像内の前記貼付予定範囲の周縁部において、前記電極が並ぶ方向に沿う縁部全域に前記電極間ピッチと同じ幅の検査範囲を設定し、前記検査範囲内における前記接合材の欠け部分の割合を検出し、前記欠け部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて前記接合材に異常があるか否かを判定する制御部と
を具備することを特徴とする実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、複数の前記検査範囲のうち、前記貼付予定範囲の前記各電極が並ぶ方向の両端と隣り合う前記検査範囲内に、前記接合材の貼付公差と同じ幅の検査しない範囲を設定することを特徴とする請求項3に記載の実装装置。
【請求項5】
基板上において複数の電極が並んで配置される範囲を含むように設定される、接合材が位置すべき範囲を示す貼付予定範囲、の全域を撮影し、
撮影された画像内における貼付予定範囲の周縁部において、前記電極が並ぶ方向に沿う範囲全域に、電極間ピッチと同じ幅を有する検査範囲を設定し、
予め設定された閾値との比較に基づいて、前記検査範囲内の前記接合材のある部分とない部分とを判別し、
前記検査範囲内において、前記接合材がない部分の割合を検出し、
前記接合材がない部分の割合と予め設定された閾値との比較に基づいて、前記検査範囲内に欠けがあると判定する
接合材貼付検査工程を具備することを特徴とする電気部品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電気部品の製造方法において、
複数設定される検査範囲のうち、前記貼付予定範囲の前記電極が並ぶ方向の両端に隣り合う検査範囲内には、前記接合材の貼付公差と同じ幅の検査されない部分を設定する
ことを特徴とする電気部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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