説明

接点電極

【課題】回転体の接地を確実に行うことができる接触端子を提供する。
【解決手段】導電性の薄板状部材100からなり、薄板状部材100は、回転体200を支持する軸孔300と、この軸孔300から放射状に延び軸孔300に作用する当接圧を増強させる切欠400とを設ける。さらに、切欠400を、軸孔300と連通させるとともに、薄板状部材100の外周端部から軸孔300に向かって徐々に狭くなるように形成して、回転体200を軸孔300に支持させることにより、回転体200の接地を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の軸の接地を確実に行う接点電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、接点電極として特許文献1のようなものが挙げられる。この構成は、図2に示すように、導電性の線材を曲げ加工してマウント部3と屈曲部2を形成し、屈曲部2の外側の頂点2aで相手電極10に点接触するものである。
【特許文献1】特開平09−312112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この接点電極は、相手電極に対し、屈曲部の頂点で点接触するため、繰り返し装着脱毎に、この点接触の圧が弱くなり、結果として、電気的接触がとれなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明は、請求項1記載の発明においては、導電性の薄板状部材からなり、薄板状部材は、回転体を支持する軸孔と、この軸孔から放射状に延び軸孔に作用する当接圧を増強させる切欠とが設けられ、軸を軸孔に支持させることにより、回転体の接地を確実に行うようにしたことを特徴とする。
【0005】
また、請求項2記載の発明においては、切欠を、軸孔とつなげて、薄板状部材の外周端部から軸孔に向かって徐々に狭くなるように形成することを特徴とする。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明においては、回転体を支持部材により回転支持し、支持部材に回転体を支持する支持軸を設け、回転体に、薄板上部材を収容するとともに支持軸を装着する軸収容部が設けられていることを特徴する。
【0007】
さらに、また、請求項4記載の発明においては、薄板状部材の周縁に軸収容部の内壁に食い込む突起を二つ以上設けられていることを特徴とする。
請求項5記載の発明においては、支持軸の反対側に、回転体を接地するアース線Eを取り付ける取付部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1は、導電性の薄板状部材で構成することにより、プレス加工等により大量に一体成形することが可能となり、製造コストを低減することができる。また、薄板上部材に回転体を支持する軸孔と、この軸孔から放射状に延びた切欠とを設けることにより、軸孔に作用する当接圧が増強し、回転体の接地を確実に行うことができる。
【0009】
請求項2は、切欠を、軸孔とつなげて、薄板状部材の外周端部から軸孔に向かって徐々に狭くなるように形成することにより、軸孔に作用する当接圧を増強させ、回転体の接地を確実に行うことができる。
【0010】
請求項3は、薄板状部材を収容するとともに回転体を支持部材の支持軸に装着する軸収容部を回転体に設けることにより、接触端子を適用する構成を具体化し、回転体の接地を確実に行うことができる。
【0011】
請求項4は、薄板状部材の周縁に軸収容部の内壁に食い込む突起を二つ以上設けて、回転体の回転に伴って薄板状部材も回転させることにより、軸収容部内での薄板状部材の設置位置を固定して、軸孔と支持軸との接触を確実にし、回転体の接地を確実に行うことができる。
【0012】
請求項5は、支持軸の反対側に、回転体を接地するアース線を取り付ける取付部を設けることにより、アース線の引き出し作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の接触端子を適用した装置の概略図。
【図2】図1の矢視A方向から見た図。
【図3】本発明の接触端子の詳細を示す図であり、(a)は正面図、(b)はb_b断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明の接触端子を適用した装置の概略図を示す。図1に示すように、この装置は、画像形成部10、転写部20、定着部とからなる。
【0015】
この構成のもと、図示しない給紙手段から用紙Sを繰り出し、転写部20により、画像形成部10で形成されたトナー像を用紙Sに転写して、次いで、用紙Sに転写されたトナー像を定着部により定着するものである。画像形成部10は、像担持体11とイレーサ12と帯電手段13と露光手段14と転写手段12とを備える。
【0016】
像担持体11は、例えば、矢印で示す方向、すなわち反時計方向に回転し、アルミニウム等のドラム状基体表面に電子感光体を備えた構成よりなる。感光体としては、OPC(有機光導電体)感光体やアモルファスシリコン感光体等の周知のものを使用し得る。
【0017】
像担持体11の周辺には、像担持体上の残留電荷を消去するためのイレーサ12、像担持体11の表面を特定極性に一様に帯電するための帯電手段13、帯電された像担持体11の表面に光情報を入射(像露光)して像担持体11の表面に静電潜像を形成する露光手段14、像担持体11の表面に現像剤を供給することにより静電潜像を現像して現像剤像を形成するための現像装置(図示せず)、像担持体11上に形成された各トナー像を用紙Sに転写するための転写手段12が配置されている。
【0018】
なお、この実施の形態において、本発明の接触端子をモノクロの電子写真方式を開示しているが、これに限定されることはなく、例えば、図示しない給紙手段から用紙を繰り出し、順次、用紙にトナー像をベルトからなる中間転写部に転写してカラー画像を形成し、次いで、このカラー画像をコロナ転写装と剥離装置とを備えた転写部により用紙Sに一括転写して、図示しない定着手段で定着するものであってもよい。
【0019】
転写手段12は、転写ローラであり、本発明の回転体に該当する。以下、この転写ローラを回転体と呼ぶ。回転体200は、像担持体11と同様に、アルミニウム等のドラム状基体表面に導電性ゴムを設けたものである。
【0020】
回転体200は後に述べる支持部材500に装着されるとともに、アース線Eで外部に接地されている。支持部材500は、絶縁性材料からなり円弧状の形状となっている。回転体200の両側には、支持部材500が装着する軸収容部600を設けている。
【0021】
図2、3に示すように、支持部材500は、その中央はフレームFに軸支され、その一端は回転体200が装着するように構成され、その他端は付勢手段60が取り付けられている。なお、図1において、回転体200は像担持体11に図示されているが、他の各色対応した画像形成部にも設けられている。
【0022】
フレームFに軸支された支持部材500の適宜位置には、アース線Eを回転体200側に通す挿通孔50が設けられている。この構成により、装置を構成する要素、例えば、回転体200等にアース線Eが接触しないように、アース線Eを迂回する必要がなく、配線を正しく整った状態にすることができる。
【0023】
支持部材500の一端は、回転体200を装着する側には支持軸600が設けられ、さらに、回転体200を装着する反対側には回転体200を接地するアース線Eを取り付ける取付部900が設けられている。
【0024】
さらに、図2に示すように、支持軸600の先端の根元は、取付部900側の表面に露出した状態で貫通し、さらに、その根元は、アース線Eを電気的に接続するネジ孔901が設けられている。アース線Eと支持軸600との電気的接続は、取付部900とアース線Eの端子とを介して、ネジをネジ孔901に嵌め合わせて行う。
【0025】
この構成により、回転体200の接地は、回転体200の装着時であっても、回転体200の装着前でも行うことが可能となり、さらに、回転体200の外側から行うことが可能となるため、回転体200の接地作業を容易に行うことができる。
【0026】
付勢手段60は、回転体200が装着された側61と、その反対側62の二つに設けられている。この構成により、装置の駆動時に中間転写部20が波打ったときにその振動を付勢手段60で吸収させて、像担持体と回転体200と中間転写部20との接触圧や、中間転写体部20を介した像担持体11と回転体200とのニップ幅を一定にして、各像担持体11に形成されたトナー像を中間転写体部20に転写ずれなく効率よく転写することができる。
【0027】
さらに、図3に示すように、軸収容部700には、接触端子を介して軸受40が設けられている。接触端子は、軸収容部700と軸受40とにより圧接した状態で設けられている。
【0028】
接触素子は、導電性の薄板状部材100からなる。図3に示すように、薄板状部材100は、回転体200を支持する軸孔300と切欠400とからなる。
【0029】
軸孔300は、支持部材500の支持軸600を受けるものである。切欠400は、支持軸600が軸孔300に当接した時に、軸孔300に作用する当接圧を増強させるものである。
【0030】
具体的に、切欠400は軸孔300に連通し、薄板状部材100の周縁に向かって徐々に大きくなって、軸孔300から放射状に延びている。
【0031】
これにより、切欠400と切欠400との間に舌のような片(以下、「舌片410」とよぶ)が形成される。舌片410は、切欠400とは逆に、薄板状部材100の周縁から軸孔300に向かって幅が逓減する形状となる。
【0032】
さらに、薄板状部材100の外周縁は、軸収容部700内で食い込むように二つ以上の突起900が設けられている。また、図3(b)に示すように、薄板状部材100は支持軸600が受けやすいように支持軸600の装着方向に凹んでいる。
【0033】
以上の構成のもと、支持軸600の回転体200を装着すると、回転体200の接地の構成は次のようになる。
【0034】
先ず、軸受40を介して支持軸600の先端を軸孔300に挿入させる。図3(a)に示すように、各切欠400は、薄板状部材100の外周縁に向かって徐々に大きくなっていることと、先に述べたように図3(b)に示すように薄板状部材100が支持軸600の装着方向(進入方向)に凹んだ形状となっていることにより、切欠400間に形成された舌片410の先端が変形しながら支持軸600の進入方向に押される。
【0035】
支持部材500への回転体200の装着が終了すると、図3に示すように、軸収容部600内に所定量の支持軸600の進入が止まる。
【0036】
そうすると、図3(a)に示すように、薄板状部材100の剛性と、舌片410の幅が軸孔300側から薄板状部材100の外周縁側に向かって幅が逓増していく形状とにより、舌片410の基端(薄板状部材100の外周面側)を支点として、舌片410の先端が元の位置に戻ろうとする力が働く。
【0037】
薄板状部材100は、突起900により軸収容部600に食い込んでいるとともに、軸収容部700と軸受40とにより圧接した状態で設けられていることにより、この力は、軸孔300に向かって均等に支持軸600に作用する。この結果、回転体200の接地を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
100 薄板状部材
200 回転体(転写ローラ)
300 軸孔
400 切欠
500 支持部材
600 支持軸
700 軸収容部
800 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の薄板状部材からなり、
前記薄板状部材は、回転体を支持する軸孔と、この軸孔から放射状に延び軸孔に作用する当接圧を増強させる切欠とが設けられ、軸を軸孔に支持させることにより、前記回転体の接地を確実に行うようにしたことを特徴とする接点電極。
【請求項2】
前記切欠は、前記軸孔とつながり、前記薄板状部材の外周端部から前記軸孔に向かって徐々に狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の接点電極。
【請求項3】
前記回転体は支持部材により回転支持され、
前記支持部材は、前記回転体を支持する支持軸を有し、
前記回転体は、前記薄板状部材を収容するとともに前記支持軸に装着する軸収容部が設けられたことを特徴する請求項1または2記載の接点電極。
【請求項4】
前記薄板状部材の周縁には前記軸収容部の内壁に食い込む突起が二つ以上設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれか記載の接点電極。
【請求項5】
前記支持軸の反対側には、前記回転体を接地するアース線を取り付ける取付部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれか記載の接点電極。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−43550(P2012−43550A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181291(P2010−181291)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】