説明

接着剤組成物

【課題】時間の経過に伴う粘度の上昇を抑制した接着剤組成物を提供する。
【解決手段】固形成分を溶剤に溶解してなる接着剤組成物であって、上記固形成分の含有量が当該固形成分及び上記溶剤の総量に対して20重量%以上であり、上記固形成分がシクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂を含み、上記溶剤が炭素−炭素間二重結合を含まないものであり、当該溶剤に含まれるアルコールの含有量が当該溶剤の総量に対して0.48重量%以下であることを特徴とする接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤組成物に関するものであり、例えば、半導体ウエハ等の基板を加工する際に、当該基板をガラス板及びフィルム等の支持体に一時的に仮止めするにあたり好適に使用することができる接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄型半導体シリコンチップは、例えば、高純度シリコン単結晶等を薄くスライスしてウエハとした後、フォトレジストを利用してウエハ表面に所定の回路パターンを形成し、次いで、得られた半導体ウエハの裏面に研削加工を施した後、所定の厚さに研削した半導体ウエハにダイシング加工を施してチップ化することにより、製造される。このような製造工程においては、薄板化したウエハ自体が脆く破損しやすいため、これを補強する必要がある。さらに、例えば研削加工で生じた研磨屑などによってウエハ表面に形成した回路パターンが汚染されるのを防ぐ必要もある。そこで、ウエハの破損を防止し、ウエハ表面の回路パターンを保護する方法として、ウエハに支持体を接着剤層で仮止めした状態で研削加工し、その後、支持体を剥離する手法(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)、及び、ウエハ表面の回路パターン面に接着剤層を備えた粘着フィルムを貼り付けた状態で研削加工し、その後、粘着フィルムを剥離する手法(例えば、特許文献3、及び特許文献4参照)などが知られている。
【0003】
近年、電子機器の小型化、薄型化、及び高機能化への要望が高まっている。そのなかで、例えばシステム・イン・パッケージ(SiP)における電極(バンプ)と回路基板との配線方法として、従来主流であったワイヤ・ボンディング技術に代え、貫通電極形成技術が注目されている。貫通電極形成技術は、貫通電極を形成したチップを積層し、チップの裏面にバンプを形成する手法を用いた技術である。この貫通電極形成技術を適用するには、所定の厚さに研削した半導体ウエハに貫通電極を形成して、貫通電極を備えたチップを製造する必要がある。そのためには、高温プロセス及び高真空プロセスを含む多数の工程を経る必要がある。
【0004】
特許文献1〜4の手法において、半導体ウエハに支持体又は粘着フィルムを取り付けたうえで研削加工を施し、その後、貫通電極を形成しようとした場合には、貫通電極を形成する際のプロセスで接着剤層が高温に曝されることになる。しかしながら、特許文献1〜4の手法における、支持体を仮止めするための接着剤層に使用されている接着剤、及び粘着フィルムを貼着するための接着剤層に使用されている接着剤は、充分な耐熱性を有していない。そのため、接着剤層が高温に曝されることにより、接着剤層の樹脂に劣化が生じて接着強度が低下したり、接着剤層が吸湿した水分が高温下でガスとなり、これが接着剤層に泡状の剥れを生じさせて接着不良を招いたりするといった問題がある。さらに、接着剤層を剥離(支持体又は粘着フィルムを剥離)する際にも、接着剤層が一旦高温に曝されていると、剥離時に残渣物が残存するなどの剥離不良が起こりやすいという問題がある。また、貫通電極形成に高温高真空環境下でのプロセスを要する場合には、高温下で接着剤層自体が分解して発生したガスや接着剤層の水分から発生したガスは、上述したように接着不良を招くだけでなく、真空環境の保持を妨げる原因にもなる。
【0005】
そこで、良好な耐熱性を有し高温環境下において充分な接着強度を発揮する接着剤組成物として、特定のアクリル系樹脂を主成分とする接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、電子部品や基板の接着に使用することを目的とする耐熱性を備えた接着性樹脂組成物として、特定の分子量を有する脂環式構造含有重合体と特定の分子量を有する低分子量化合物とを含む接着剤組成物も提案されている(特許文献6)。
【0006】
ところで、ノルボルネン系樹脂は、透明性、耐熱性、低吸湿性、低複屈折性、及び成形性などに優れていることが知られており、光ディスク基板、ならびに位相差補償フィルム及び偏光板保護フィルムなどの光学フィルムなどの成形に用いられることが報告されている(例えば、特許文献7〜9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−224270号公報(1995年8月22日公開)
【特許文献2】特開平9−157628号公報(1997年6月17日公開)
【特許文献3】特開2003−173993号公報(2003年6月20日公開)
【特許文献4】特開2001−279208号公報(2001年10月10日公開)
【特許文献5】特開2008−133405号公報(2008年6月12日公開)
【特許文献6】特開平11−269394号公報(1999年10月5日公開)
【特許文献7】特開平5−279554号公報(1993年10月26日公開)
【特許文献8】特開2000−304920号公報(2000年11月2日公開)
【特許文献9】特開2003−003048号公報(2003年1月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィンポリマーを有機溶剤に溶解して接着剤として用いる場合、シクロオレフィンポリマーは有機溶剤中での経時安定性が悪く粘度が上昇するという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は時間の経過に伴う粘度の上昇を抑制した接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る接着剤組成物は、固形成分を溶剤に溶解してなる接着剤組成物であって、上記固形成分の含有量が当該固形成分及び上記溶剤の総量に対して20重量%以上であり、上記固形成分がシクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂を含み、上記溶剤が炭素−炭素間二重結合を含まないものであり、当該溶剤に含まれるアルコールの含有量が当該溶剤の総量に対して0.48重量%以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、時間の経過に伴う粘度の上昇を抑制した接着剤組成物を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る接着剤組成物は、固形成分を溶剤に溶解してなる接着剤組成物であって、上記固形成分の含有量が当該固形成分及び上記溶剤の総量に対して20重量%以上であり、上記固形成分がシクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂を含み、上記溶剤が炭素−炭素間二重結合を含まないものであり、当該溶剤に含まれるアルコールの含有量が当該溶剤の総量に対して0.48重量%以下である。
【0013】
本発明者らは上記問題の解決のために鋭意検討した。その結果、溶剤に不純物として含まれる成分の中で、特にアルコールが、経時安定性、即ち時間の経過に伴う粘度の上昇に影響を及ぼすことを発見した。本発明は、この全く新たな知見に基づいて想到されたものである。
【0014】
〔固形成分〕
本発明に係る接着剤組成物に含まれる固形成分は、シクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂を含む。
【0015】
シクロオレフィンモノマーとしては、特に限定されるものではないが、ノルボルネン系モノマーであることが好ましい。ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであればよく、例えば、ノルボルネン及びノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン及びジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、及びテトラシクロペンタジエンなどの七環体、ならびにこれら多環体のアルキル(メチル、ブチル、プロピル及びブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、及びアリール(フェニル、トリル、及びナフチルなど)置換体などが挙げられる。これらの中でも、溶解性及び接着性の観点から、下記一般式(I)で表されるような、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及びこれらのアルキル置換体が特に好ましい。シクロオレフィンモノマーは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
【化1】

【0017】
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0又は1である。)
樹脂を製造するために用いられる単量体組成物は、シクロオレフィンモノマーのほかに、シクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよい。他のモノマーとしては、非脂環式脂肪族オレフィンモノマーを含有することができ、非脂環式脂肪族オレフィンモノマーとしては、例えば、下記一般式(II)で表されるオレフィンモノマー(a2)を含有することができる。
【0018】
【化2】

【0019】
(一般式(II)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
オレフィンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。オレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、及び1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。オレフィンモノマーは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
樹脂を製造するための単量体組成物が、シクロオレフィンモノマー以外のモノマーを含有している場合には、シクロオレフィンモノマーの含有量が単量体組成物全体の50重量%以上であることが好ましく、シクロオレフィンモノマーの含有量が単量体組成物全体の60重量%以上であることがより好ましい。シクロオレフィンモノマーの含有量が単量体組成物全体の50重量%以上である場合には、接着剤組成物の高温環境下における接着強度をより高めることができる。
【0021】
また、本発明に係る接着剤組成物に含まれる固形成分はシクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂のみからなるものであることが好ましい。このような樹脂であれば高い耐熱性を有する。
【0022】
上記の単量体組成物を重合する際の重合方法、及び重合の条件などについては、特に制限はなく、従来公知の方法に従い適宜選択すればよい。なお、樹脂として、後述する市販の樹脂を用いてもよい。
【0023】
(分子量)
樹脂の重量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値)は、50,000以上、200,000以下であり、より好ましくは、50,000以上、150,000以下であり、さらに好ましくは、70,000以上、120,000以下である。樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であれば、高温プロセス下での耐熱性が優れ、且つ溶解性を保つことが可能となる。
【0024】
また、樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0以上、5.0以下であることが好ましく、1.0以上、3.0以下であることがより好ましい。樹脂の分子量分布が上記範囲内であれば、脱ガス量を低減させることができる。
【0025】
(熱分解温度)
樹脂の熱分解温度は、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが特に好ましい。樹脂の熱分解温度が250℃以上であると、耐熱性がより一層高まり、接着剤組成物の高温環境下における劣化を防止し、脱ガス量を低減させることができる。
【0026】
(ガラス転移点)
樹脂のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが特に好ましい。樹脂のガラス転移点が60℃以上であると、接着剤組成物が高温環境に曝されたときであっても軟化することを抑えることができ、接着不良の発生を抑えることができる。
【0027】
(樹脂のその他の特性)
樹脂は、極性基を有していない樹脂であることが好ましい。樹脂が極性基を有していないことにより、接着剤組成物における高温環境下でのガスの発生を抑制することができ、接着剤組成物及び当該接着剤組成物によって形成される接着剤層の劣化を防ぐことができる。
【0028】
樹脂として用いることのできる市販品としては、例えば、ポリプラスチックス社製の「TOPAS」(商品名)、三井化学社製の「APEL」(商品名)、日本ゼオン社製の「ZEONOR」(商品名)及び「ZEONEX」(商品名)、及びJSR社製の「ARTON」(商品名)などが挙げられる。
【0029】
〔溶剤〕
本発明に係る接着剤組成物において、固形成分を溶解する溶剤は、炭素−炭素間二重結合を含まないものであり、当該溶剤に含まれるアルコールの含有量が当該溶剤の総量に対して0.48重量%以下である。
【0030】
炭素−炭素間二重結合を含まないものとは、換言すれば飽和脂肪族炭化水素系溶剤である。例えば、p−メンタン、ピナン等が挙げられ、中でもp−メンタンが好ましい。
【0031】
溶剤に含まれるアルコールの含有量が当該溶剤の総量に対して0.48重量%以下であればよいが、より好ましくはアルコールの含有量が上記溶剤の総量に対して0.25重量%以下である。アルコールの含有量を溶剤の総量に対して0.48重量%以下とすることにより、時間の経過に伴う接着剤組成物の粘度変化を抑えることができ、0.25重量%以下とすることで、粘度変化をより抑制することができる。アルコールの含有量は低ければ低いほどよい。つまり、アルコールの含有量は0重量%以下であることが好ましい。
【0032】
〔固形成分の濃度〕
本発明に係る接着剤組成物において、固形成分の溶剤に対する含有量は固形成分及び溶剤の総量に対して20重量%以上であれば、目的に応じて適宜決定することができる。半導体ウエハを支持体上に仮止めする用途に用いる場合には、半導体ウエハ上に15μm以上の膜が形成されるように塗布することが好ましいので、この場合、20重量%以上、40重量%以下が好ましく、25重量%以上、35重量以下がより好ましい。
【0033】
〔その他の成分〕
本発明の接着剤組成物には、固形成分及び溶剤のほかに、必要に応じて、例えば、可塑剤及び酸化防止剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることもできる。
【0034】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【実施例】
【0035】
〔粘度変化の評価〕
以下の実施例では次の方法で粘度変化を評価した。
【0036】
まず、各実施例で得た接着剤組成物の粘度を毛管粘度計VMC−252(離合社製)を用い、25℃の恒温槽にて、キャノンフェンスケ粘度管に15mlサンプリングを行い、細い管の中を自重で通過する速度(時間)によって測定した。
【0037】
次に、当該接着剤組成物を5℃の環境下に3日間静置した(実施例3では2週間又は4週間)。
【0038】
その後、再度粘度を測定した。
【0039】
粘度の変化が3%以下であれば「○」と評価し、3%より大きければ「×」と評価した。
【0040】
〔実施例1:固形成分の濃度と粘度変化1〕
固形成分として、ノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製「TOPAS(商品名)6013」、ノルボルネン:エチレン=50:50(重量比)、Mw:83,300、Mw/Mn:1.72を用いた。この固形成分を表1に示す割合で各溶剤に溶解させて得た接着剤組成物の粘度変化を測定した。結果を表1に示す。なお、溶剤としては、日本テルペン化学社製のp−メンタン、日本テルペン化学社製のピナン、ヤスハラケミカル社製社製のD−リモネン、丸善石油化学社製の「スワクリーン」(商品名)、日本テルペン化学社製の「ジペンテンT」(商品名)、日本テルペン化学社製のテレピン油、脂肪族系炭化水素の混合物であるExxon Mobil社製の「PEGASOL 3040」(商品名)、ナフテン系炭化水素の混合物であるExxon Mobil社製の「EXXSOL D−40」(商品名)を用いた。なお、p−メンタン及びピナンは炭素−炭素間二重結合を含まないものであり、それ以外の溶剤は炭素−炭素間二重結合を含むものである。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示すように炭素−炭素間二重結合を含まない溶剤(飽和脂肪族炭化水素系溶剤)において、粘度変化を抑制できることが確認できた。なお、表1において「(ゲル化した)」とは接着剤組成物がゲル化したことを示す(表2において同じ)。
【0043】
〔実施例2:固形成分の濃度と粘度変化2〕
固形成分として、ノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス社製「TOPAS(商品名)8007」、ノルボルネン:エチレン=65:35(重量比)、ガラス転移点:70℃、Mw:98,200、Mw/Mn:1.69、熱分解温度:459℃を用いた。この固形成分を表2に示す割合で各溶剤に溶解させて得た接着剤組成物の粘度変化を測定した。結果を表2に示す。なお、使用した溶剤は実施例1と同じである。
【0044】
【表2】

【0045】
表2に示すように炭素−炭素間二重結合を含まない溶剤(飽和脂肪族炭化水素系溶剤)において、粘度変化を抑制できることが確認できた。
【0046】
〔実施例3:アルコールの濃度と粘度変化〕
固形成分として「TOPAS(商品名)8007」を用いた。溶剤としてはp−メンタンを用いた。p−メンタンとしては日本テルペン社製(純度98.2%)、ヤスハラケミカル社製(純度96.0%、商品名:ウッディリバー#10)、HUNAN SONGYUAN CHEMICAL社製(純度95.1%)のものを用いた。また、日本テルペン社製のp−メンタンにメタノール又はイソプロパノール(IPA)を添加してアルコールの影響を評価した。添加したアルコールの濃度は、p−メンタン及びアルコールの総量に対して1重量%、0.5重量%、0.45重量%、0.25重量%(それぞれ、p−メンタンのみの量に対して0.99重量%、0.49重量%、0.44重量%、0.25重量%)とした。また、粘度変化の測定については2週間又は4週間、5℃の環境下に静置して測定した。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
表3に示すようにアルコールの含有量が溶剤の総量に対して0.45重量%であるとき極めて良好な結果(粘度変化が極めて少ない結果)を示した。
【0049】
〔実施例4:p−メンタン中のアルコールの確認〕
実施例3で用いたp−メンタンのうちHUNAN SONGYUAN CHEMICAL社製のものに含まれるアルコール成分をGC/MS(Perkin Elmer社製)、H−NMRにより、分子量が140〜150の3種類のアルコール成分が検出された。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る接着剤組成物は半導体ウエハ等の加工に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形成分を溶剤に溶解してなる接着剤組成物であって、
上記固形成分の含有量が当該固形成分及び上記溶剤の総量に対して20重量%以上であり、
上記固形成分がシクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂を含み、
上記溶剤が炭素−炭素間二重結合を含まないものであり、当該溶剤に含まれるアルコールの含有量が当該溶剤の総量に対して0.45重量%以下であることを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
上記アルコールの含有量が上記溶剤の総量に対して0.25重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
上記溶剤がp−メンタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
上記固形成分がシクロオレフィンモノマーを含む単量体組成物を重合してなる樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
上記シクロオレフィンモノマーがノルボルネン系モノマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。


【公開番号】特開2012−1605(P2012−1605A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136465(P2010−136465)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】