説明

接着剤

【課題】プライマーを有していない非処理面で優れた接着力および凝集力を示し、接着剤として使用できる組成物を提供する。
【解決手段】高飽和カルボキシル化ニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)をベースにする接着剤であり、HXNBRが、ニトリル基含量(アクリロニトリルとして計算される)10〜60重量%、HXNBRの残留二重結合含量が0〜20%、HXNBRのカルボキシル基含量(対応するモノマーカルボン酸として計算される)が1〜20重量%であり、前記カルボキシル基が、ポリマー主鎖中にランダムに分布しているカルボン酸基を含有する共重合性酸の形態で存在することを特徴とする接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ金属、ゴム、プラスチック、ガラス、皮革、木材、および他の材料を結合するための、高飽和カルボキシル化ニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)並びに他の充填剤および添加剤を含有する新規な接着剤、その調製法、使用法、並びに本組成物で結合させることによって異なる材料から製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
使用される材料の表面に特殊な前処理を施す必要がなく、異なる材料を結合させるのに使用できる組成物の必要性が高い。典型的には、現在市販されている系では、許容可能な結合強度を達成するため、基材の表面に、費用のかかる洗浄および/又はプライミング処理を施さなければならない。これは、特に、ゴム基材の金属への結合、又は金属の金属への結合に当てはまる。まさにこの使用分野では、使用される接着剤原材料が天然ゴム又は合成ゴムをベースにするハロゲン化化合物(例えば、(特許文献1)に記載されるもの)、EPDMをベースにするハロゲン化ポリマー(例えば、(特許文献2)に記載されるもの)、又は、他のハロゲン化ポリマー((特許文献3)に記載されるような、アクリレートでグラフト化された塩素化スチレン−オレフィンブロック共重合体など)である場合にしか、良好な接着は達成されない。このようなハロゲン含有製品は、毒物学的および生態学的な理由から批判的に捉えられている。
【0003】
現在市販されているゴム/金属結合剤は、様々な製品を製造するため、異なるエラストマー(例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホニルエチレンゴム、ウレタン−シリコーンゴム、アクリルゴムおよびフッ素化ゴム)を金属(例えば、鉄、鋼、アルミニウム、真鍮など)又は多くのプラスチック(ポリアミド、ポリエポキシド、ポリオキシメチレン、およびポリフルオロエチレンなど)、並びに、ガラスおよび織布に結合するのに使用されている。これらは、主に、あらゆる種類の振動吸収要素(エンジンマウント、連結要素、様々なベアリング、様々なガスケット、ロール、ローラー、レール要素、およびブリッジ要素など)の製造に使用されている。
【0004】
従来、まず、ゴム混合物を調製し、ゴム混合物と結合する金属に前処理を施した後、結合剤、又は、プライマーおよび結合剤で金属部品をコーティングする。
【0005】
金属部品を、例えば、クロロハイドロカーボン蒸気(パークロロエチレン、トリクロロエタン、又は1,1,1−トリクロロエタン)又はアセトン中で脱脂した後、チルド鋳鉄ショット又はコランダムでブラスト処理する。ブラスト材料は、鋼表面にはチルド鋳鉄ショット、他の非鉄金属(アルミニウム又は真鍮など)にはコランダムを使用する。異なる金属には異なる方法を使用しなければならないため、金属の化学的前処理は複雑である。そのため、例えば、アルミニウムシートは、結合の準備のため、リン酸塩−ホウ酸塩をベースにするシリケート非含有アルカリ性脱脂剤もしくはリン酸を含有するスコーリング(scouring)グリースを用いて、又は酸洗い法(DIN 53281、第1部)により化学洗浄される。これらの方法は、酸洗い浴の適切な処理に関して重大な問題を生み出す。
【0006】
プラスチック表面の前処理には、単純な洗浄と、場合によっては必要に応じてブラスト処理を行えば、通常は十分である。ポリオキシメチレンおよびポリフルオロエチレンの場合、表面を化学的に前処理しなければならない。形成される酸化物層によって結合が破壊される可能性があるため、ブラスト処理後、金属表面を長時間保存しないように留意しなければならない。このため、ブラスト処理後、できるだけ早く、金属部品をプライマーでコーティングしなければならない。
【0007】
従って、前処理されていない基材にも良好に接着し、市場の生態学的要求の高まりに応じてハロゲンを含有していない接着剤が至急必要とされている。
【0008】
(特許文献4)には、一般に、繊維、金属、ガラス、木材、ウール、絹、合成繊維、およびポリマー、並びに極性プラスチック材料へのHXNBRの良好な接着が記載されている。高温でも良好な接着力が、優れた特性として記載されている。特定の用途として、伝動ベルトおよび制御ベルトが記載されている。異なっていてもよい2つの基材を結合させる接着剤としての用途、および、この目的に必要な処方は開示されていない。
【0009】
(特許文献5)には、ローラーコアの金属表面への接着が優れている、コーティング混合物および接着剤混合物として(例えば、紙用のローラーに)使用される、HXNBRとアクリル酸金属塩、液体アクリレート、カーボンブラックおよび/又はシリカ、並びに、ゴム業界で通常使用されているイオウベースおよび過酸化物ベースのゴム架橋系との混合物が記載されている。ここでも、それは、異なっていてもよい2つの基材を結合するための接着剤の用途ではない。
【0010】
ゴム材料の金属への接着を改善するため、ジアクリル酸亜鉛などの金属補助剤の使用が知られている((非特許文献1))。これらの混合物は、油でコーティングされている金属表面にも接着できることが記載されている。結合系および/又は接着系として、これらの系をカルボキシル化ゴム、とりわけHXNBRと共に使用することは記載されていない。
【0011】
(特許文献6)には、金属とゴム混合物を結合させるため、成分としてエラストマーを有する接着剤が記載されている。とりわけ、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムが挙られているが、HXNBRは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP−A 0 545 593号明細書
【特許文献2】EP−A 0 427 954号明細書
【特許文献3】特開平04−175308号公報
【特許文献4】国際公開第01/77185号
【特許文献5】EP−A 1 083 197号明細書
【特許文献6】国際公開第00/43131号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ラバー・ワールド(Rubber World)、1998年11月、18〜30頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、プライマーを有していない非処理面で優れた接着力および凝集力を示し、接着剤として使用できる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、ハロゲン非含有、高飽和カルボキシル化ニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)を接着剤処方中にエラストマー成分として使用すると、前処理されていない基材上でも優れた接着が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従って、本発明の目的は、HXNBRを0.1〜98重量%、好ましくは0.5〜95重量%、添加剤、任意に充填剤および/又は溶媒を2〜99.9重量%、好ましくは5〜99.5重量%含有する組成物によって達成され、添加剤は、架橋できる少なくとも1種類の添加剤を含むことが必要である。前記組成物は、接着剤として有利に使用できる。
【0017】
架橋できる添加剤は、過酸化物、酸化還元系、エポキシド、イオウ化合物、多価イオン、アミン、ホルムアルデヒド樹脂、およびイソシアネートを含む群から選択され、これらの添加剤は全て、接着剤材料に必要な硬化反応を実施することができる。
【0018】
本発明による接着剤は、他の添加剤又は充填剤としてアクリル酸金属塩および/又はメタクリル酸金属塩を最大80重量%まで含有することができる。
【0019】
本発明による接着剤は、他の添加剤又は充填剤として、多価金属イオンを有機塩(例えば、ステアリン酸アルミニウム)の形態で最大20重量%まで含有することができる。多価金属イオンは、塗布される接着剤の降伏強度、並びに、金属および分極性基材、およびイオン相互作用を経ることができる基材(例えば、ポリアミド、ポリウレタン、およびポリカーボネート)に対する接着を増大させるため、接合される基材によっては、そのような添加剤の存在は有利である。従来、当業者は、接合される基材に関する予備実験に基づいて、好適な添加剤および充填剤の選択を行う。このような実験の構成に関する他の指示および提案は、下記の実施例に見出すことができる。
【0020】
本発明により使用されるHXNBRは、好ましくは、ニトリル基含量(アクリロニトリル(ACN)として計算される)が好ましくは10〜60重量%、残留二重結合含量が0〜20%、および、カルボキシル基含量(対応するモノマーカルボン酸として計算される)が、COOH基1〜20重量%の高飽和HXNBRであり、前記COOH基は、ポリマー主鎖中にランダムに分布しているカルボン酸基を含有する共重合性の酸の形態で存在し、これらのカルボキシル基の一部又は全部は金属塩の形態で存在することが可能である。
【0021】
本発明による接着剤は、ペースト、フィルム、薄層、水分散体、又は有機溶媒中の分散体又は溶液の形態で有利に使用される。
【0022】
本発明による接着剤は、金属、ガラス、ゴム、熱可塑性樹脂、木材、セラミック、皮革、石、コンクリート、プラスチック、繊維、並びに、天然繊維、合成繊維、ガラス/鉱物繊維、および金属繊維で製造される織物、並びに、これらの材料の互いのあらゆる可能な組み合わせへの、金属又はゴムの結合に有利に使用される。
【0023】
また、本発明は、本発明による接着剤で接合された2種類以上の材料から構成されている製品も提供する。このような製品の例には、エンジンベッドおよびサイレントブロック型のゴム−金属接続、軸継手、ハーディディスク(Hardy discs)、伝動ベルト、空気タイヤ、ケーブル、ロール、および補強シールがある。
【0024】
本発明による接着剤組成物は、好ましくは、カルボキシル化ニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)を0.5〜95重量%含有する。ニトリル基は、好ましくは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびα−クロロアクリロニトリルから誘導される繰返し単位を意味するものと理解される。アクリロニトリルから誘導される繰返し単位が特に好ましい。
【0025】
水素化カルボキシル化ニトリル−ブタジエンゴムのカルボキシル化部分を構成するのに使用されるカルボン酸基を含有する共重合性酸は、α,β−不飽和酸である。アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、および/又はイタコン酸を使用することが好ましい。アクリル酸およびメタクリル酸が特に大変好ましい。
【0026】
また、カルボキシル基の一部又は全部が、金属塩−COOMe(式中、Meは金属イオン)の形態で存在することも可能である。好ましくは、カルボキシル基の最大60%まで、特に好ましくは5〜25%が金属塩の形態で存在する。使用できる金属イオンは、全て、周期表の一価、二価、三価および四価の金属であり、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、並びに、Ti、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Sn、AlおよびSiが好ましい。
【0027】
特に好ましくは、本発明による接着剤中に含有される高飽和HXNBRのニトリル基含量(アクリロニトリルとして計算する)は18〜43重量%であり、残留二重結合含量は0.1〜5%である。
【0028】
HXNBRのブタジエン基は、1,3−ブタジエンから誘導される繰返し単位であり、その大部分は水素化されている形態である。
【0029】
カルボキシル化ニトリル−ブタジエンゴムの水素化は、国際公開第01/77185号(5頁13行目〜6頁28行目)に記載の触媒/助触媒系を用い、該特許に記載されている反応条件(6頁29行目〜7頁22行目)で実施される。
【0030】
本発明による接着剤組成物は、他の充填剤、添加剤、および追加のポリマーを2〜98重量%、好ましくは5〜95重量%、および、特に好ましくは20〜85重量%含有することができる。他の充填剤および添加剤は、カーボンブラック、シリケート、粘土、チョーク、熱安定剤および老化防止剤、架橋剤、補助剤、可塑剤および加工油、即ち、一般に、ゴムおよびプラスチック業界で通常使用されている他の配合成分を意味するものと理解される。挙げてもよい追加のポリマーには、フリーラジカル重合および/又はイオン重合並びに重縮合又は付加重合によって得られる任意の化合物(例えば、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂)および、グラフト化などのポリマー−類似体反応によってこれらから得られる任意の化合物である。また、接着剤の活性化中にポリマーに転換される前駆体を挙げてもよい。
【0031】
接着剤組成物は、既に記載したポリマー、充填剤および添加剤に加えて、好ましくは、他のアクリル酸金属塩および/又はメタクリル酸金属塩を5〜80重量%、特に好ましくは、10〜50重量%含有することができる。好ましい(メタ)アクリル酸金属塩は、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛である。
【0032】
本発明による接着剤組成物は、他の多価金属イオンを無機塩、酸化物、又は有機塩(例えば、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、トリ(メタ)アクリル酸アルミニウム、酸化亜鉛、四塩化チタン、チタンテトラアルコラート(titanium tetraalcoholate)、四ステアリン酸チタン、硫酸マグネシウム)の形態で、好ましくは最大20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%含有する。
【0033】
本発明による接着剤は、混合ミル又はゴムマスチケーターなどの慣用的なミキサ中で、および/又は、溶液/分散体/懸濁液/エマルション中で構成要素を混合することによって調製される。
【0034】
本組成物を接着剤として使用する本発明の使用法により、様々な材料の結合が可能になる。そのため、類似の極性を有する基材又は非極性基材を一体に結合させることができ、極性基材を、さもなければ非適合性の非極性基材と組み合わせることができる。本組成物で結合できる極性基材には、例えば、木材、ガラス、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、および皮革が挙げられる。本組成物で結合できる非極性基材の例には、金属がある。
【0035】
また、本発明による接着剤は、本発明による接着剤について前述した量を守るようにして、HXNBRを現行技術の結合系に添加することによっても得られる。
【0036】
本発明による接着剤は、現行技術の結合系よりも優れている。次の列記は、本発明による接着剤の様々な用途の例を示すが、限定を含意するものではない。
【0037】
− 例えば、ポリクロロプレン、ポリイソシアネート、ポリウレタン、およびポリ酢酸ビニルをベースにするディスパコル(Dispercoll)(登録商標)、デスモドゥア(Desmodur)(登録商標)、デスモメルト(Desmomelt)(登録商標)、およびレバメルト(Levamelt)(登録商標)型のもの(バイエル社(Bayer AG))、などの現存の溶媒ベースの接着剤系および/又は加熱硬化型接着剤系、および、たとえば、ケモシル(Chemosil)(登録商標)(ヘンケル社(Henkel KGaA))をベースにする接着剤系に、HXNBRを添加することによって、「反応性」基材(例えば、皮革、木材、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなど)への接着が、現行技術の系のものよりも明らかに優れている、本発明による接着剤配合物が得られる。
− 本発明による接着剤は、ガラスおよびガラス繊維に対する親和性が高い。ガラス−金属、ガラス−ガラス、およびガラス−ゴムの接合にそれらを使用すると、広い温度範囲で高い強度が得られる。
− エポキシ樹脂およびアクリル酸金属塩を含有する本発明による接着剤は、高温でも極めて高い剪断強度を示す。このようにして得られる接着は、約−20℃の温度でも尚、安定で機能性がある。この結合は、酸素および化学物質に対して優れた耐性を示す。
− また、本発明による接着剤は、慣用的な接着剤系について既知の接着剤特性を著しく損なうことなく、油で汚れた前処理されていない基材を直接結合させることができる。
− エポキシ、エラストマーおよびアクリル系の場合に知られているように、本発明による接着剤の架橋温度を広い温度範囲で調節することができる。更に、多価金属イオンを追加で使用することにより、接着および強度を広い範囲で調節することができる。
【0038】
本発明による接着剤には、更に多くの利点がある。それらは、結合面の洗浄又は当業者に既知の他の任意の前処理を施す必要がなく、多くの異なる基材を結合させるのに好適である。他の利点は、本発明による接着剤の使用範囲が広いことであり、非常に様々な極性又は非極性材料を一体に結合することができる。本発明による選択された接着剤は、オゾンおよび他の物質の両方に対して化学的耐性があり、健康に対する害がない。本発明による接着剤は最高150℃の温度まで連続的に使用することができる。
【実施例】
【0039】
A.使用する物質
【0040】
【表1A】

【表1B】

【0041】
結合される基材
−工具鋼(X12CrNi18 8)製のサンドブラスト処理された鋼プレート(60×25×2mm)
−工具鋼(X12CrNi18 8;材料番号1.4300)製の磨き鋼パレット(接触面積直径12mm)
−マクロロン(Makrolon)(登録商標)2205(バイエル社(Bayer AG))ポリカーボネート
−ポーカン(Pocan)(登録商標)(バイエル社(Bayer AG))ポリエチレン/ブチレンテレフタレート
【0042】
次の試験油を使用した:
−モービル製のプフィンダ(Pfinder)オイル(プフィンダ(PFINDER)P160、特殊冷却油)
−ツェラー+グメリン社(ZELLER+GMELIN GmbH)製のディビノル(Divinol)オイル(エンジンオイル、ディビノル・マルチマックス(DIVINOL Multimax)HDC3 15W40)
−エスト(Oest)製のプラチノル(Platinol)オイル(エスト・プラチノル(OEST PLATINOL)B804/3C、深絞り加工油)
【0043】
B.測定方法
剪断強度の決定:
混合物をローラーで薄層に引き伸ばし(厚さ約1mm)、2枚の鋼シート間に塗布し(重なり12mm)、異なる時間、異なる温度で5バールで加硫する。シートは最初にアセトンで脱脂するか、又は様々なオイルに浸漬した。
【0044】
ツビック(Zwick)1475試験機(万能試験機、接着剤技術における標準試験機)の前端分離装置(frontal separating device)で、100mm/分のドローオフ速度を用いて様々な温度で接着強度を測定した。強度はN/mmで記載する。
【0045】
C.実施例
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
HXNBRをベースにする本発明による処方DおよびEの、オイルコーティングされた前処理されていないシートへの接着(表2および表3)は、HNBRをベースにする比較混合物Fの接着(表4)よりも明らかに大きい。
【0051】
【表6】

【0052】
【表7】

【0053】
【表8】

【0054】
HXNBRをベースにする本発明による処方Bの、オイルコーティングされた前処理されていないシートへの接着(表6)は、高い試験温度でも、HNBRをベースにする比較混合物Gの接着(表7)より明らかに著しく大きい。
【0055】
【表9】

【0056】
処方D、HおよびJ、並びに比較混合物FおよびKをパレットと金属シート基材の間に薄層として塗布し、180℃で20分間、鋼プレートに5バールの圧力を加えた。シートは最初にTHFで脱脂した。
【0057】
THF中の10%溶液/分散体を用いて、パレットと基材の間で、処方D、H、J、FおよびK(ポーカン(Pocan))、並びに、D、JおよびF(マクロロン(Makrolon))をもう一方の基材(ポーカン(Pocan)、(マクロロン(Makrolon))に塗布し、140℃で30分間、約1バールの僅かな圧力でテンパリングし(tempered)、溶媒を蒸発させた。
【0058】
ツビック(Zwick)1445試験機の前端分離装置で1mm/分のドローオフ速度を用いて接着強度を測定した。強度は、N/mmで記載する。
【0059】
示されるように、異なる温度における接着強度を決定する。
【0060】
【表10A】

【表10B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
HXNBRを0.1〜98重量%含有する接着剤。
【請求項2】
前記HXNBRが、ニトリル基含量(アクリロニトリルとして計算される)10〜60重量%の高飽和HXNBRであることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記HXNBRの残留二重結合含量が0〜20%であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記HXNBRのカルボキシル基含量(対応するモノマーカルボン酸として計算される)が1〜20重量%であり、前記カルボキシル基が、前記ポリマー主鎖中にランダムに分布しているカルボン酸基を含有する共重合性酸の形態で存在することを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項5】
前記カルボキシル基の一部又は全部が金属塩の形態で存在することを特徴とする、請求項4に記載の接着剤。
【請求項6】
前記接着剤が、アクリル酸金属塩および/又はメタクリル酸金属塩を最大80重量%まで含有することを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項7】
前記接着剤が、ホルムアルデヒド樹脂を形成する成分を最大30重量%まで含有することを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項8】
前記接着剤が、多価金属イオンを無機塩、酸化物又は有機塩の形態で最大20重量%まで含有することを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項9】
前記接着剤が、過酸化物、酸化還元系、エポキシド、イオウ化合物、アミン、イソシアネート、および多価イオンを含む群から選択される架橋剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項10】
ペースト、フィルム、薄層、分散体、溶液又はラテックスの形態の、請求項1に記載の接着剤。
【請求項11】
金属、ガラス、ゴム、熱可塑性樹脂、木材、セラミック、皮革、石、コンクリート、プラスチック、繊維、並びに、天然繊維、合成繊維、ガラス/鉱物繊維、および金属繊維から製造される織物を含む群から選択される基材に金属を結合させるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着剤の使用法。
【請求項12】
ガラス、ゴム、熱可塑性樹脂、木材、セラミック、皮革、石、コンクリート、プラスチック、繊維、並びに、天然繊維、合成繊維、ガラス/鉱物繊維、および金属繊維から製造される織物を含む群から選択される基材にゴムを結合させるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着剤の使用法。
【請求項13】
金属、ガラス、ゴム、熱可塑性樹脂、木材、セラミック、皮革、石、コンクリート、プラスチック、繊維、並びに、天然繊維、合成繊維、ガラス/鉱物繊維、および金属繊維から製造される織物を含む群から選択される材料を任意の所望の組合せで結合させるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着剤の使用法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着剤の使用によって得られる複合材料製品。
【請求項15】
混合ミル又はゴムマスチケーターなどの慣用的なミキサ中で、および/又は、溶液/分散体/懸濁液/エマルション中で処方の構成要素を混合することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着剤の調製方法。

【公開番号】特開2011−46957(P2011−46957A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237734(P2010−237734)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【分割の表示】特願2006−515836(P2006−515836)の分割
【原出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】