説明

接着方法、及び、該接着方法に用いる研磨材含有接着剤

【課題】 簡単な作業工程で強い接着力を得ることができるようにする。
【解決手段】 接着成分2に、この接着成分2を用いて一対の被着材4と5を接着する際に最適な接着強度が得られる接着剤層厚に対応する粒径の研磨材3を混入して研磨材含有接着剤1を形成する。被着材4と5の接着面4aと5a同士を、間に研磨材含有接着剤1を介在させた状態で合わせ、次に、被着材4と5同士を、押付力を作用させた状態で摺り合せる。これにより、研磨材含有接着剤1中の研磨材3により各被着材4と5の接着面4aと5aの粗面化を行うと共に、研磨材3をスペーサーとして機能させて各被着材4と5の間隔を接着成分2の最適な接着強度が得られる接着剤層厚に対応する距離に管理した状態で、研磨材含有接着剤1の接着成分2を硬化させて、各被着材4と5の接着面同士を接合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、プラスチック、コンクリート、セラミック、ゴムやその他各種の被着材の接着に用いるための接着方法、及び、該接着方法に用いる研磨材含有接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の被着材同士を接合するための手段としては、被着材同士が金属の場合は溶接があり、被着材の一方又は双方が金属以外の場合は様々な接着剤を用いた接着が広く一般的に行われている。
【0003】
上記のような接着剤を用いた所要の被着材同士の接着を実施する場合、通常は、以下のような手順に沿って行うようにしてある。
【0004】
すなわち、先ず、各被着材の接着面を研磨材等で粗面化(目荒らし)する。次に、上記各被着材の接着面に付着している粗面化に用いた上記研磨材等と、発生した研磨滓を清掃する。次いで、上記各被着材のいずれか一方又は双方の接着面に接着剤を塗布した後、該接着剤を介在させた状態で上記各被着材の接着面同士を合わせた状態で位置固定して、上記接着剤を硬化させ、これにより、上記各被着材の接着面同士を、硬化した接着剤を介して接合するようにしている。
【0005】
なお、一対の被着体、たとえば、はんだ層を備えた一対の胴板同士を、導電性を備えた状態で接合するための手法として、上記はんだ層を備えた胴板上に、導電性粉末と研磨材粉末とバインダとからなる導電性接着剤を塗布し、次いで、上記胴板のはんだ層同士を重ねて配置した状態で、上記各銅板に超音波振動を与え、この際生じる剪断応力により、上記導電性接着剤に含まれている研磨材粒子による上記各銅板のはんだ層について表面の酸化膜の研磨を行わせて、純粋なはんだ層を露出させ、しかる後、該純粋なはんだ層が露出された各銅板同士を、上記導電性粉末を含んだ導電性接着剤を介して接合するようにすることが従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−170054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した従来一般的に行われている接着剤を用いた接着手法では、各被着材の接着面について、接着作業の前処理として、粗面化処理と、粗面化された接着面の清掃処理が必要になるため、手間がかかるというのが実状である。
【0008】
又、被着材の接着面の粗面化によって発生した研磨滓の清掃が不十分で、上記被着材の接着面に研磨滓が残留している場合は、該接着面に残留している研磨滓によって被着材の接着面に対する接着剤の直接の付着が妨げられるため、接着力が低下してしまう。
【0009】
更に、上記各被着材の粗面化された接着面の清掃処理の後に水分や油分が残ると、該接着面に対する接着剤の付着性が低下し、このことによっても、接着力が低下してしまうことがある。
【0010】
更に、上記各被着材の接着面同士をすり合わせたときに、両者の接着面にわずかな凸部があると、該凸部以外の部分では接着剤の層が厚くなるが、この接着剤の層が厚くなる個所では、接着力が低下する虞が懸念される。
【0011】
しかも、上記各被着材の接着面の粗面化を行うときには、接着面の範囲を超えて研磨が行われることが多いため、外観が悪化することもある。
【0012】
上記特許文献1に示された手法で用いられる導電性接着剤は、導電性粉末による導電性を得ることが必須の目的であり、そのために、研磨材粉末の粒径が、たとえば、平均粒径3μmと小さい。
【0013】
そのために、はんだ層を備えた銅板の表面に膜厚を130μmで塗布する場合は、そのままでは導電性接着剤に含まれる研磨材粉末のうち、銅板のはんだ層の表面近傍に存在するものが少ないため、上記導電性接着剤を塗布した後のはんだ層を備えた銅板を、該銅板が外周に位置する姿勢で遠心処理することにより、上記導電性接着剤中に含まれる研磨材粉末を銅板のはんだ層の表面へ集めなければならず、そのための遠心装置が必要になることから、実施可能な環境が限定されてしまい、現場作業に向かないという問題がある。
【0014】
又、上記導電性接着剤に含まれる研磨材粉末の粒径が小さいために、研磨効果が低いというのが実状である。
【0015】
更に、一般に、接着剤の強度は、層厚に影響され、層厚が厚すぎても薄すぎても強度が下がるため、接着剤の種類毎に最適な層厚があるが、上記したように粒径の小さい研磨材粉末では、被着体であるはんだ層を備えた胴板同士の間に設ける導電性接着剤の膜厚の中でスペーサーとして機能させることはできず、よって、上記研磨材は、粉末接着剤の層厚の管理には何ら寄与していないというのが実状である。
【0016】
しかも、特許文献1に示されたものでは、導電性接着剤層を介して配置した一対のはんだ層を備えた銅板同士に、超音波振動を加えるのみで研磨材粉末による胴板のはんだ層表面の酸化膜を研磨させるようにしているため、上記研磨材粉末の研磨対象である各銅板のはんだ層に対する押付力が弱い。そのため、研磨材粉末による研磨力を高めることは困難である。
【0017】
そこで、本発明は、被着材の接着面の粗削り研磨による粗面化を行うことができると共に、被着材同士の間における接着剤層厚の管理を容易に行うことができて、被着材同士を強い接着力で接着することができ、更に、上記被着材の接着面の粗面化に伴う清掃処理を不要にできて、被着材の接着に要する手間を削減することができるようにするための接着方法、及び、該方法で用いる研磨材含有接着剤を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、接合すべき2つの被着材の接着面の一方又は双方に、接着成分に研磨材を混入してなる接着剤を塗布させて、該各被着材の接着面同士を合わせ、次いで、上記各被着材に互いに押し付けあう方向の押付力を作用させた状態で摺り合わせ処理を行いながら被着材の接着面を研磨させ、その後、上記研磨材含有接着剤の接着成分を硬化させて、該硬化した接着成分により上記各被着材の接着面同士を接合するようにする接着方法とする。
【0019】
又、上記構成において、接着成分に混入する研磨材として、接合すべき2つの被着材を上記接着成分により接着する際に該接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径のものを用いるようにする。
【0020】
更に、請求項3に対応して、接着成分に、接合すべき2つの被着材を上記接着成分を介して接着する際に該接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径の研磨材を混入してなる構成を有する研磨材含有接着剤とする。
【0021】
更に又、上記構成において、接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径の研磨材を、10μm〜1000μmの粒径を有するものとした構成とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)接合すべき2つの被着材の接着面の一方又は双方に、接着成分に研磨材を混入してなる接着剤を塗布させて、該各被着材の接着面同士を合わせ、次いで、上記各被着材に互いに押し付けあう方向の押付力を作用させた状態で摺り合わせ処理を行いながら被着材の接着面を研磨させ、その後、上記研磨材含有接着剤の接着成分を硬化させて、該硬化した接着成分により上記各被着材の接着面同士を接合するようにする接着方法としてあるので、各被着材の接着面同士を、それぞれ研磨による粗面化が行われた状態で、研磨材含有接着剤の接着成分を介して接合することができる。
(2)各被着材の接着面における研磨材含有接着剤中の研磨材による研磨が行われるときに生じる研磨滓は、上記各被着材同士の摺り合わせ操作に伴って上記研磨材含有接着剤に巻き込まれるようになるため、各被着材の接着面に研磨滓が残留する虞を防止できる。又、上記研磨滓は、各被着材と同じ材質であるため、この研磨滓の巻き込みによって上記研磨材含有接着剤の接着成分の接着強度が低下する虞も防止できる。
(3)更に、各被着材の接着面に対する前処理として従来行っていた粗面化処理及び清掃処理は不要なため、各被着材の接着面に油分や水分が残る虞を防止できる。
(4)更には、研磨材含有接着剤の接着成分が硬化するときには、研磨材及び研磨滓が骨材として機能するようになるため、各被着材同士の接着強度を高めることができる。
(5)したがって、各被着材同士を強い接着力により接着することが可能になる。
(6)又、各被着材の接着面に対する前処理として従来行っていた粗面化処理及び清掃処理が不要なため、上記各被着材の接着に伴う作業工程を簡単なものとして、接着作業に要する手間を削減することができる。
(7)接着成分に混入する研磨材として、接合すべき2つの被着材を上記接着成分により接着する際に該接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径のものを用いるようにすることにより、研磨材含有接着剤中の研磨材がスペーサーとしての役割を果たすことにより、各被着材の各接着面同士の間に配された研磨材含有接着剤の層厚を、その接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に調整することができる。
(8)しかも、研磨材含有接着剤中の研磨材による各被着材の接着面に対する研磨効果を高めることができて、上記各被着材の各接着面について、粗削りの研磨による粗面化を効率よく行うことができる。よって、各被着材同士の接着強度を更に高める効果が期待できる。
(9)接着成分に、接合すべき2つの被着材を上記接着成分を介して接着する際に該接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径の研磨材を混入してなる構成を有する研磨材含有接着剤としてあるので、上記(1)の接着方法を実施に用いる研磨材含有接着剤を容易に実現することができる。
(10)接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径の研磨材を、10μm〜1000μmの粒径を有するものとした構成とすることにより、研磨材含有接着剤中の研磨材による各被着材の接着面に対する研磨効果を高めることができて、上記各被着材の各接着面について、粗削りの研磨による粗面化を効率よく行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の接着方法及び該接着方法に用いる研磨材含有接着剤の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】図1の研磨材含有接着剤を用いて被着材同士を接着した状態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1及び図2は本発明の接着方法、及び、該接着方法に用いる研磨材含有接着剤の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0026】
すなわち、本発明の接着方法の実施に用いる研磨材含有接着剤1は、接着成分2に、該接着成分2を介して被着材4と5を接着する際に該接着成分2に応じて最適な接着強度が得られる接着剤層厚に対応する粒径として、たとえば、10μm〜1000μmの粒径を有する研磨材3を混入してなる構成とする。
【0027】
詳述すると、上記接着成分2は、たとえば、カゼイン接着剤、膠、デンプンのり(デンプン系接着剤)、その他各種の天然系接着剤として知られている成分や、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、その他各種の合成系接着剤として知られている成分、更には、セメントやパテ等、上記被着材4と5の材質に応じて、該各被着材4と5に対して所要の接着強度を発揮可能な接着成分2を適宜選定して用いるようにすればよい。
【0028】
上記研磨材3は、上記被着材4と5の材質に応じた硬度を有するそれぞれの接着面4aと5aを研磨(切削)でき、且つ上記接着成分2との接着強度が得られるように、金属や非金属等を削ったり、磨いたりするために従来用いられている高硬度物質を適宜選定して用いるようにすればよい。
【0029】
以上の構成としてある本発明の研磨材含有接着剤1を使用する場合は、図1に示すように、先ず、被着材4の接着面4aと被着材5の接着面5aのいずれか一方又は双方に、上記本発明の研磨材含有接着剤1を塗布した後、該本発明の研磨材含有接着剤1を介在させた状態で上記各被着材4と5の接着面4aと5a同士を合わせた状態に配置する。
【0030】
次に、上記各被着材4と5に、該各被着材4と5同士を押し付ける方向の押付力を作用させる。具体的には、たとえば、図1に示すように、架台(図示せず)上に載置した被着材5の上側に本発明の研磨材含有接着剤1を介して被着材4を積層配置した状態で、該被着材4の上側より、人力やその他所要の加圧手段によって、矢印F方向の押付力を0.98Pa〜980Paの大きさとして作用させる。
【0031】
次いで、上記矢印F方向の押付力を作用させた状態のまま、上記被着材4を、図1に矢印Aと矢印Bで示した方向へ所要の振幅で交互移動させるようにしたり、あるいは、円を描くようにして、上記被着材4と被着材5との相対的な摺り合わせを行う。
【0032】
これにより、上記各被着材4と5のそれぞれの接着面4aと5aは、図2に示すように、上記本発明の研磨材含有接着剤1に含まれている研磨材3により研磨(研削)されるようになる。この際、上記研磨材3は、各被着材4と5を接着する際に最適な接着強度が得られる接着剤層厚に対応させて10μm〜1000μmと粒径を大きく設定してあるため、研磨効果が高い。更に、上記被着材4と被着材5との相対的な摺り合わせを行うときには、該各被着材4と5同士を押し付ける方向の押付力を作用させているため、このことによっても、上記研磨材3による各被着材4と5の接着面4aと5aの研磨効果が高められる。よって、上記各被着材4と5の各接着面4aと5aは、上記研磨材3による粗削りの研磨が効率よく行われて、粗面化が行われた状態となる。
【0033】
その後は、上記各被着材4と5の相対的な摺り合わせ操作を終了してから、上記各被着材4と5同士の各接着面4aと5aを所定の接着位置に配置した状態で、上記本発明の研磨材含有接着剤1における接着成分2を硬化させるようにする。
【0034】
以上により、上記各被着材4と5の接着面4aと5aは、それぞれ粗面化が行われた状態で、上記本発明の研磨材含有接着剤1における硬化した接着成分2を介して互いに接合されるようになる。
【0035】
この際、上記したように、本発明の研磨材含有接着剤1の研磨材3は、各被着材4と5を接着する際に最適な接着強度が得られる接着剤層厚に対応させた粒径に設定してあるため、上記したように被着材4と5同士に押付力を作用させた状態では、上記研磨材3が両被着材4と5の間でスペーサーとしての役割を果たすことで、該各被着材4と5との間隔が上記研磨材3の粒径と対応する距離まで近接する。これにより、上記各被着材4と5の各接着面4aと5a同士の間に存在する本発明の研磨材含有接着剤1の層厚は、最適な接着強度が得られる接着剤層厚に調整されるようになるため、上記各被着材4と5は、最適な接着強度が得られる接着剤層厚に調整された状態の本発明の研磨材含有接着剤1によって接合されるようになる。
【0036】
このように、本発明の接着方法、及び、該接着方法に用いる研磨材含有接着剤1によれば、各被着材4と5の各接着面4aと5a同士を、それぞれの接着面4aと5aの粗削り研磨による粗面化が行われた状態で、本発明の研磨材含有接着剤1の接着成分2を介して接合することができる。
【0037】
この際、上記各被着材4と5の接着面4aと5aにおける上記本発明の研磨材含有接着剤1の研磨材3による粗削り研磨が行われるときに生じる研磨滓は、上記各被着材4と5の摺り合わせ操作時に、上記本発明の研磨材含有接着剤1に巻き込まれるようになるため、上記各被着材4と5の接着面4aと5aに研磨滓が残留する虞は防止される。
【0038】
又、上記研磨滓は、上記各被着材4,5と同じ材質であるため、この研磨滓の巻き込みによって上記本発明の研磨材含有接着剤1の接着成分2の接着強度が低下する虞はない。
【0039】
更に、上記各被着材4と5の接着面4aと5aに対する従来と同様の粗面化処理及び清掃処理は不要であるため、各被着材4と5の接着面4aと5aに油分や水分が残る虞も防止できる。
【0040】
更には、上記本発明の研磨材含有接着剤1の接着成分2が硬化するときには、上記研磨材3及び研磨滓が骨材として機能するようになるため、上記各被着材4と5同士の接着強度を高めることができる。
【0041】
しかも、上記各被着材4と5の各接着面4aと5a同士の間に配置された本発明の研磨材含有接着剤1の層厚を、該接着剤1に混入してある研磨材3の粒径を基に管理して、接着成分2による最適な接着強度が得られる所定の接着剤層厚に調整することができる。
【0042】
なお、上記各被着材4と5の接着面4aと5aに当初わずかな凸部が存在していたとしても、該凸部は、上記各被着材4と5同士の摺り合わせ操作時に、上記研磨材3によって削られるようになるため、上記各接着面4aと5a同士の間の本発明の研磨材含有接着剤1の層厚に影響することはない。
【0043】
以上により、本発明の研磨材含有接着剤により、上記各被着材4と5の強い接着力を得ることが可能になる。
【0044】
なお、特に、平滑な表面を有するプラスチックを被着材とする場合には、通常、そのままの表面に接着剤を適用しても、強い接着強度を得ることは難しいが、上記本発明の研磨材含有接着剤による接着方法を適用することにより、大幅な手間の増加を抑えた状態で、接着強度を効率よく高める効果が期待できる。
【0045】
又、上記したように、各被着材4と5の接着面4aと5aに対する従来と同様の粗面化処理及び清掃処理は不要になるため、上記各被着材4と5の接着に伴う作業工程を簡単なものとして、接着作業に要する手間を削減することができる。
【0046】
更に、上記各被着材4と5同士の摺り合わせ操作時には、押付力を手作業で付与するようにすれば、別途特別な装置を必要とすることはなく、現場作業で人間の感覚で程好い押付力を作用させることができるようになる。
【0047】
更に又、上記各被着材4と5において上記摺り合わせ操作によって粗面化が行われる領域は、上記各接着面4a,5a同士を上記摺り合わせ操作時に動かした範囲に限定されるため、互いの接着面4a,5a以外で粗面化が行われる領域を狭く抑えることができて、外観が悪くなる虞を低減する効果も期待できる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図1及び図2に示した被着材4,5の厚み寸法と、本発明の研磨材含有接着剤1の層厚や研磨材3の粒径は、図示するための便宜的なサイズであり、それぞれの実寸法を反映したものではない。
【0049】
又、本発明の接着方法、及び、該接着方法の実施に用いる研磨材含有接着剤は、複数の被着材を接着剤を介して接合するようにしてある形式の接着部分であれば、図示した以外のいかなる形式の接着部分、更には、金属製の被着材同士の接着にも適用することができる。
【0050】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 研磨材含有接着剤
2 接着成分
3 研磨材
4 被着材
4a 接着面
5 被着材
5a 接着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合すべき2つの被着材の接着面の一方又は双方に、接着成分に研磨材を混入してなる接着剤を塗布させて、該各被着材の接着面同士を合わせ、次いで、上記各被着材に互いに押し付けあう方向の押付力を作用させた状態で摺り合わせ処理を行いながら被着材の接着面を研磨させ、その後、上記研磨材含有接着剤の接着成分を硬化させて、該硬化した接着成分により上記各被着材の接着面同士を接合するようにすることを特徴とする接着方法。
【請求項2】
接着成分に混入する研磨材として、接合すべき2つの被着材を上記接着成分により接着する際に該接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径のものを用いるようにする請求項1記載の接着方法。
【請求項3】
接着成分に、接合すべき2つの被着材を上記接着成分を介して接着する際に該接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径の研磨材を混入してなる構成を有することを特徴とする研磨材含有接着剤。
【請求項4】
接着成分による最適な接着強度を得るために所望される接着剤層厚に対応する粒径の研磨材を、10μm〜1000μmの粒径を有するものとした請求項3記載の研磨材含有接着剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−190375(P2011−190375A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58597(P2010−58597)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】