説明

接続具

【課題】バルーンカテーテルのバルーン内に流体を供給するための流体供給具を正確に接続することができる接続具を提供する。
【解決手段】本体シャフト1の先端部に膨張収縮可能なバルーンに一体的に設け且つ基端部内にバルーン内に流入した流体の流出を阻止する栓体3が一体的に設けられたバルーンカテーテルの基端部に流体供給具5を接続するための接続具4であって、接続具本体41の先端部に刺通用針42が一体的に設けられていると共に、流体供給具5を接続するための供給具接続部43が刺通用針42に連通した状態に形成されており、更に、接続具本体41の先端部には、内面が本体シャフト1の基端外周面に擦接するガイド面44aに形成された筒状のガイド体44が一体的に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに流体供給具を接続するための接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、カテーテルや内視鏡を用いた低侵襲治療法が広く用いられており、血管、気管、消化管などの生体腔の狭窄部の拡張や組織の剥離を行うことを目的として各種バルーンカテーテルが提案され用いられている。
【0003】
そして、特許文献1には、ゴム状弾性体で製せられた容易に膨張可能な容器に薬液を圧入し、膨張した該容器の収縮する力を利用して該容器に圧入された薬液を吐出させて体内に注入する用具において、前記容器は薬液の注入と吐出のための共通の通路を有しており、該共通の薬液通路は、その口部が導液針を刺通可能なゴム状弾性体の栓体で液密にシールされるとともに、該栓体より内側の薬液通路部分に薬液の吐出を妨害する手段が設けられてなることを特徴とする薬液注入用具が提案されており、バルーン部内に薬液を圧入するに際しては、導液針を栓体に突き刺し貫通させて、導液針を通じてバルーン内に流体を供給している。
【0004】
しかしながら、導液針を栓体に突き刺すにあたっては、導液針を栓体に薬液通路の軸芯に沿った状態に行う必要があるものの、薬液通路は非常に径が小さく且つ導液針も極めて細いことから、導液針を薬液通路の軸芯に対してずれた状態、即ち、斜行した状態に栓体に突き刺してしまうことがあり、このような事態が生じると、導液針が薬液通路を突き破ってしまい、バルーン内に供給した流体が薬液通路に生じた貫通孔から漏出してしまい、バルーンの膨張に支障をきたすと共に、バルーン内に供給するための流体が体内に流入し患者に負担を与える虞れがあるといった問題点を有していた。
【0005】
【特許文献1】特開平2−95379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、検査や治療のために生体内に挿入して、狭窄部の拡張及びその拡張状態の維持、組織の剥離及びその剥離状態の維持、並びに、組織の持ち上げ或いはこの持ち上げ状態の維持を円滑に行なうことができるバルーンカテーテルのバルーン内に流体を供給するための流体供給具を正確に接続することができる接続具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接続具は、本体シャフトの先端部に膨張収縮可能なバルーンを一体的に設け且つ基端部内に上記バルーン内に流入した流体の流出を阻止する栓体が一体的に設けられたバルーンカテーテルの基端部に流体供給具を接続するための接続具であって、接続具本体の先端部に刺通用針が一体的に設けられていると共に、上記流体供給具を接続するための供給具接続部が上記刺通用針に連通した状態に形成されており、更に、上記接続具本体の先端部には、内面が上記本体シャフトの基端外周面に擦接するガイド面に形成された筒状のガイド体が一体的に設けられていることを特徴とする。
【0008】
又、上記接続具において、刺通用針の先端が筒状体の先端面よりも基端側に没入していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の接続具は、上述の如き構成を有しているので、接続具の刺通用針を本体シャフトの栓体に突き刺し或いは引き抜くにあたって、接続具のガイド体のガイド面を本体シャフトの基端外周面に擦接させながら、接続具のガイド体を本体シャフトの基端部外周面に被嵌或いは離脱させることができ、よって、接続具の刺通用針を本体シャフトの軸芯に確実に沿った状態で本体シャフトの栓体に突き刺し或いは引き抜くことができ、接続具の刺通用針を誤って本体シャフトに突き刺したりすることはない。
【0010】
そして、上記接続具において、刺通用針の先端が筒状体の先端面よりも基端側に没入している場合には、ガイド体によって刺通用針の先端に接触しにくいように構成されており、使用中に誤って刺通用針を手に刺し或いは患者の皮膚に接触し、更には、刺したりしてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の接続具の一例を図面を参照しつつ説明する。バルーンカテーテルAを構成している本体シャフト1は、図1に示したように、生体腔内に円滑に挿入することができるように可撓性を有し且つ基端部での操作力を先端側に円滑に伝達できる剛性を備えた一定の長さ及び外径を有する円筒状体からなり、その内部には全長に亘ってルーメン11が形成されている。
【0012】
なお、本体シャフト1を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリブロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料が挙げられ、ポリウレタン、ポリアミドが好ましい。
【0013】
上記本体シャフト1の先端部には、図1に示したように、膨張、収縮可能なバルーン2が一体的に設けられている。具体的には、長さ方向及び直径方向に均一に伸長自在な弾性材料からなる円筒状のバルーン2が、その先端開口部及び基端開口部を本体シャフト1の基端部外周面に気密的に固着一体化されており、バルーン2内に存する本体シャフト1にその内外周面間に亘って貫通した状態に形成された流体供給口12を通じて、バルーン2内と本体シャフト1内とが連通している。そして、本体シャフト1のルーメン11及び流体供給口12を通じてバルーン2内に流体を供給、排出することによって、バルーン2が膨張、収縮するように構成されている。なお、上記流体としては、空気などの気体や、水、生理食塩水、ゲル状の薬剤などの液体が挙げられる。
【0014】
なお、上記バルーン2を本体シャフト1の先端部外周面に一体化させる方法としては、特に限定されず、熱融着による方法、接着剤を用いる方法、糸で縛る方法などが挙げられる。
【0015】
又、上記バルーン2を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム;シリコーンゴム;ウレタンゴム;ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイソプレンなどが挙げられ、生体腔内でバルーンの膨張、収縮が容易に行なえることから、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましい。
【0016】
なお、バルーン2の厚みは、薄いと、バルーン2の強度が低下する一方、厚いと、バルーンカテーテルの生体腔内への挿入性が低下するので、50〜300μmが好ましい。
【0017】
そして、本体シャフト1の基端部内における基端開口端から所定長さだけ先端側に入った部分に弾性材料から形成された栓体3が一体的に設けられており、常態においては、本体シャフト1の基端開口部は栓体3によって気密的に閉塞されている。上記栓体3は、後述する接続具4の刺通用針42を刺通可能、即ち、刺通用針42を突き刺し、貫通させることができると共に、刺通用針42を除去すると刺通用針42の貫通孔が自然に閉塞して本体シャフト1の基端開口部を気密的に閉塞することができるように構成されている。なお、栓体3は、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴムなどの弾性材料から形成されている。
【0018】
上述のように構成されたバルーンカテーテルAのバルーン2内に流体を供給してバルーン2を膨張させるには、バルーンカテーテルAの本体シャフト1の基端部に接続具4を介して流体供給具5を着脱自在に装着し、この流体供給具5から本体シャフト1内に流体を供給する。すると、バルーンカテーテルAの本体シャフト1のルーメン11及び流体供給口12を通じてバルーン2内に流体が圧入されてバルーン2が膨張する。上記流体供給具5としては、特に限定されず、例えば、注射器などが挙げられる。
【0019】
この注射器5は、図2に示したように、円筒状のシリンダー51と、このシリンダー51内を可動するピストン52とからなり、シリンダー51の先端部は先端になるにしたがって縮径する截頭円錐形状の流体吐出部51aに形成されており、この流体吐出部51a内には、該流体吐出部51aの先端面に開口し且つシリンダー51内に連通する流体流通路51bが形成されている。なお、以下の説明においては、流体供給具5として注射器を用いた場合を例に挙げて説明する。
【0020】
そして、接続具4は、図2に示したように、一定長さを有し且つバルーンカテーテルAの本体シャフト1の外径よりも大径な円柱状の接続具本体41には、その先端面中央部に接続具本体41の軸芯に沿って、長さ方向に流体の流路42aが貫通状態に形成された刺通用針42が一体的に突設されていると共に、この刺通用針42の流路42aに連通し且つ先端から基端に向かって徐々に拡径して接続具本体41の基端面に開口する円錐形状の凹部からなる供給具接続部43が形成されており、注射器5の流体吐出部51aを供給具接続部43内に受け入れた状態においては、注射器5の流体吐出部51aの外周面と、これに対向する供給具接続部43の内周面とが全面的に密着するように形成されている。
【0021】
更に、接続具4の接続具本体41の先端面には、内径が本体シャフト1の基端部外径に合致してなる円筒状のガイド体44が先端側に向かって突設され、刺通用針42は、ガイド体44の先端面から基端側に向かって没入した状態に構成されている。
【0022】
そして、図3に示したように、接続具4のガイド体44をバルーンカテーテルAにおける本体シャフト1の基端部に着脱自在に合致させると、ガイド体44の内周面が本体シャフト1の基端部外周面にその全周に亘って擦接した状態となり、ガイド体44の内周面をガイド面44aとして、接続具4のガイド体44を本体シャフト1の基端部外周面に円滑に被嵌、装着させることができるように構成されている。
【0023】
次に、上記バルーンカテーテルAの使用要領について説明する。以下では、このバルーンカテーテルAを用いて血管、気管、消化管などの生体腔内の狭窄部の拡張を行う場合を例に挙げて説明する。
【0024】
先ず、図1に示したように、バルーンカテーテルAをそのバルーン2を収縮させた状態にして生体腔内に挿入し、生体腔の狭窄部にバルーンカテーテルAの先端部を位置させる。
【0025】
しかる後、接続具4のガイド体44の先端部を本体シャフト1の基端部に合致させ、接続具4のガイド体44の先端部を本体シャフト1の基端部に被嵌させる。この状態においては、接続具4のガイド体44のガイド面44aがその全周に亘って本体シャフト1の基端外周面に当接した状態となっていると共に、接続具4の刺通用針42が本体シャフト1の軸芯上に位置している。
【0026】
この状態から、接続具4を本体シャフト1に対して相対的に先端側に徐々に移動させることによって、バルーンカテーテルAの本体シャフト1の基端部に接続具4のガイド体44を順次、被嵌させていく。この際、接続具4のガイド体44のガイド面44aがその全周に亘って本体シャフト1の基端外周面に擦接しており、接続具4のガイド体44が本体シャフト1の基端部に、接続具4の軸芯と本体シャフト1の軸芯とが合致した状態に、着脱自在に被嵌される。
【0027】
この接続具4のガイド体44の本体シャフト1の基端部への被嵌工程において、接続具4の刺通用針42は、本体シャフト1の軸芯上に位置した状態を維持しながら、本体シャフト1の基端部内に挿入され、本体シャフト1の基端部内に一体的に配設された栓体3に本体シャフト1の軸芯方向に突き刺さり貫通した状態となる。この工程中において、接続具4の刺通用針42は本体シャフト1の軸芯上に常時、位置しているので、接続具4の刺通用針42は栓体3に本体シャフト1の軸芯に沿って確実に刺通し、刺通用針42が誤って本体シャフト1に突き刺さるようなことはない。
【0028】
しかる後、注射器5のシリンダー51内に流体を収納した上で、接続具4の供給具接続部43に注射器5の流体吐出部51aを着脱自在に挿入、装着し、シリンダー内のピストン52を先端側に移動させ、シリンダー51内の流体を流体吐出部51aの流体流通路51b、及び、接続具4の刺通用針42の流路42aを通じて本体シャフト1のルーメン11内に供給し、本体シャフト1の流体供給口12を通じてバルーン2内に流体を圧入してバルーン2を膨張させる。
【0029】
次に、接続具4をバルーンカテーテルAの本体シャフト1に対して相対的に基端側に移動させることによって本体シャフト1の基端部から離脱させる。すると、接続具4の刺通用針42も本体シャフト1の軸芯上を基端側に向かって移動し、本体シャフト1内の栓体3から引き抜かれ、栓体3における接続具4の刺通用針42が刺さっていた部分が自動的に閉塞し、本体シャフト1の基端開口部を気密的に閉塞してバルーン2内の流体が外部に流出するのを防止し、バルーン2の膨張状態を確実に維持することができる。
【0030】
このように、接続具4の刺通用針42を本体シャフト1の栓体3に突き刺し或いは引き抜くにあたって、接続具4のガイド体44のガイド面44aを本体シャフト1の基端外周面に擦接させながら、接続具4のガイド体44を本体シャフト1の基端部外周面に被嵌或いは離脱させているので、接続具4の刺通用針42を本体シャフト1の軸芯上に確実に位置させた状態で本体シャフト1の栓体3に突き刺し或いは引き抜くことができ、接続具4の刺通用針42を誤って本体シャフト1に突き刺したりすることはない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】バルーンカテーテルを示した断面図である。
【図2】本発明の接続具、並びに、流体供給具及びバルーンカテーテルの本体シャフトの基端部を示した縦断面図である。
【図3】本発明の接続具を介してバルーンカテーテルの本体シャフトの基端部に流体供給具を装着した状態を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 本体シャフト
11 ルーメン
12 流体供給口
2 バルーン
3 栓体
4 接続具
41 接続具本体
42 刺通用針
43 供給具接続部
44 ガイド体
44a ガイド面
5 流体供給具
51 シリンダー
51a 流体吐出部
51b 流体流通路
52 ピストン
A バルーンカテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体シャフトの先端部に膨張収縮可能なバルーンを一体的に設け且つ基端部内に上記バルーン内に流入した流体の流出を阻止する栓体が一体的に設けられたバルーンカテーテルの基端部に流体供給具を接続するための接続具であって、接続具本体の先端部に刺通用針が一体的に設けられていると共に、上記流体供給具を接続するための供給具接続部が上記刺通用針に連通した状態に形成されており、更に、上記接続具本体の先端部には、内面が上記本体シャフトの基端外周面に擦接するガイド面に形成された筒状のガイド体が一体的に設けられていることを特徴とする接続具。
【請求項2】
刺通用針の先端が筒状体の先端面よりも基端側に没入していることを特徴とする請求項1に記載の接続具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−86625(P2008−86625A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272505(P2006−272505)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】