説明

接続端子切落し装置

【課題】接続端子付きの電線における接続端子部を効率良く切離すことができるようにする。
【解決手段】刃先部11が上方を向くように略直立状に設置されるニッパ1と、ニッパ1を駆動するものであって高圧エアにて作動するアクチュエータ2と、ニッパ1及びアクチュエータ2全体を覆うように設けられるものであって上記ニッパ1の刃先部11を覆うところには接続端子91を挿入するのに十分な平面形態を有する開口部31を有するとともに当該開口部31に連続するところには線状部材99が挿入されるには十分な幅を有するものであって作業者の指幅よりは小さな値の幅を有するように形成された隙間部32を有する形態からなるカバー3と、ニッパ1の作動を開始させるように機能するものであってレバー状の形態からなるスイッチ機構5と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆電線等の端末部に取付けられている接続端子等を、その端子接続部のところから切落として、残りの被覆電線内に含まれる銅線(ワイヤ)を効率良く回収することのできるようにした接続端子切落し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電線切断装置、特にニッパ型の切断装置としては、例えば特開平8−17543号公報記載のもの等が挙げられる。このものは、所定の高圧エアにて駆動されるエアニッパを所定の制御手段を介して適宜作動させ、電線あるいはワイヤを所定の位置あるいは所定の長さ等に手際良く切断するようにしているものである。ところで、上記従来の自動切断装置は、エアニッパ装置等を自動的に作動させるための作動制御装置等が必要とされる等、装置としては大掛りなものとならざるを得ず、その製造コストも高くならざるを得ないと言う問題点がある。このような観点から、従来においては、接続端子装着後における被覆電線等において、その端子装着状態が不良なもの、すなわち、不良端子付きの電線等については、作業者等が別途手動ニッパ等を用いた手作業にて端子の部分を切落として残りの電線部分を回収するか、あるいは、このような端子切落し作業を省略して、不良端子付き電線を、そのまま産業廃棄物として投棄していたものである。
【特許文献1】特開平8−17543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような問題点を解決するために、簡単な操作にて、接続端子を、その電線への取付部のところから切離して、この接続端子の部分のみを廃棄するようにするとともに、残りの電線部分については、当該電線内に含まれる銅線部分を効率良く回収することできるようにした接続端子切落し装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、接続端子切落し装置に関して、刃先部が上方を向くように設置されるニッパと、当該ニッパを駆動するものであって電磁力または高圧エアにて作動するアクチュエータと、これらアクチュエータ及びニッパを所定のアタッチメントを介して一体的に支持するとともに上記ニッパ及びアクチュエータ全体を覆うように設けられるものであって上記ニッパの刃先部を覆うところには接続端子を挿入するのに十分な平面形態からなる開口部を有し、更に、当該開口部に連続するところには線状部材が挿入されるには十分な幅を有するものであって作業者の指幅よりは小さな値の幅を有するように形成された隙間部を有する形態からなるカバーと、当該カバーのところに設けられた上記開口部及び隙間部のところに接続端子付きの線状部材が設置された状態において、上記ニッパの作動を開始させるように機能するものであってレバー状の形態からなるスイッチ機構と、からなるようにした構成を採ることとした。
【0005】
また、請求項2記載の発明である第二の発明においては、請求項1記載の接続端子切落し装置に関して、上記開口部の一方の端部であって上記隙間部が設けられる側とは反対側のところに、接続端子の先端部が当接するストッパ部を設けるとともに、当該ストッパ部のところから上記隙間部が形成される側へ向って接続端子の長さ分だけ隔たったところに、上記ニッパの刃先部が来るように上記ニッパを設置するようにした構成を採ることとした。
【0006】
また、請求項3記載の発明である第三の発明においては、請求項1または請求項2記載の接続端子切落し装置に関して、上記ニッパ及びアクチュエータを内部に包含した状態で一体的に形成されるカバーの下方部のところに、通常は当該カバーを載置して上記ニッパにて切落された接続端子を一時的に溜め置くとともに、適宜、上記カバーを取外して上記溜め置かれた接続端子を排出させることのできるように形成されたコンテナボックスを設けるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0007】
第一の発明によれば、接続端子の付いた電線を、その接続端子の部分をカバーに設けられた開口部のところに設置するとともに、そのような状態において、作業者がレバー状のスイッチ機構を操作することによって本装置を形成するニッパを作動させると、これによって上記接続端子は電線の先端部のところから簡単に切落される(切離される)こととなる。すなわち、従来において行なわれていた手動ニッパによる切断作業等とは異なり、小さな力にてスイッチ機構を形成するレバーを作動させることによって接続端子の切落し作業が行なわれるようになり、切落し作業を連続的に進めることができるようになる。その結果、不良端子の取付けられた状態のものであって従来は廃棄処分とされていた電線等から、銅線部分を効率良く回収することができるようになる。
【0008】
また、第二の発明のものにおいても、上記第一の発明の場合と同様、不良接続端子付きの電線から銅線部分を効率良く回収することができるようになる。特に、本発明のものにおいては、接続端子の挿入される開口部のところに接続端子が当接されるものであって接続端子の切落とし位置(切離し位置)を決めるストッパ部が設けられるようになっていることより、接続端子の切落し作業時に、このストッパ部のところに接続端子の先端部を接触させた状態で固定することによって、自動的に、接続端子の電線への接続部の付け根部近傍のところから上記接続端子を切落す(切離す)ことができるようになる。その結果、電線における銅線部分をできる限り長く残した状態で上記接続端子の切落し作業(切離し作業)を行なうことができるようになり、銅線部分の回収効率をより高めさせることができるようになる。
【0009】
また、第三の発明のものにおいても、不良接続端子の切落し作業(切離し作業)、及び被覆電線からの銅線部分の回収作業を効率良く進めることができるようになる。特に、本発明のものにおいては、切落された接続端子は自動的にコンテナボックス内に収容されることとなるので、切落し作業を連続的に、かつ、効率良く進めることができるようになる。そして、ある一定時間切落し作業が進められた状態において、切落された接続端子がコンテナボックス内にある程度量溜まった状態においては、コンテナボックス上に搭載されているものであってニッパ等を内蔵するカバーを取外して、コンテナボックス内に収容された接続端子を回収して、別の場所へと送り出すことができる。これによって、接続端子を形成する金属類等を別途回収することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図3を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、図1及び図2に示す如く、刃先部11が上方を向くように略直立状に設置されるニッパ1と、当該ニッパ1を駆動するものであって高圧エアにて作動するアクチュエータ2と、これらアクチュエータ2及びニッパ1を支持し、かつ、固定するアタッチメント8と、当該アタッチメント8を介して一体的に設けられた上記ニッパ1及びアクチュエータ2全体を覆うように設けられるものであって上記ニッパ1の刃先部11を覆うところには接続端子91挿入用の開口部31を有するとともに線状部材99が挿入される隙間部32を有する形態からなるカバー3と、当該カバー3のところに設けられた上記開口部31及び隙間部32のところに接続端子91を有するワーク9が設置された状態において、上記ニッパ1の作動を開始させるように機能するものであってレバー状の形態からなるスイッチ機構5と、からなることを基本とするものである。そして、このような構成からなる上記カバー3の側壁部35の下方部のところにはブラケット33が適宜設けられるようになっているものである。また、このようなブラケット33を介して、内部にニッパ1及びアクチュエータ2を一体的に有するカバー3がコンテナボックス6上に設置(載置)されるようになっているものである。
【0011】
次に、このような構成からなる上記カバー3内に収納(設置)されるニッパ1及びアクチュエータ2等の設置状態について、図2を基に説明する。まず、図2に示す如く、カバー3を形成する、その側壁部35の一部のところにはアタッチメント8を介してニッパ1及びアクチュエータ2が取付けられるようになっている。なお、このように取付けられるアクチュエータ2としては、電磁ソレノイドにて駆動されるソレノイド方式のものも考えられるが、本実施の形態においては、一般に工場内に設けられる高圧エアを利用できるよう、エアアクチュエータが採用されるようになっている。すなわち、このようなエアアクチュエータ2のところには、図2に示す如く、工場内にて生成された高圧エアがホースまたはチューブ22等を介して、更には途中に設けられた切換バルブ25等を介して導入されるようになっているものである。
【0012】
次に、このようにして工場内高圧エア等の導入されるアクチュエータ(エアアクチュエータ)2のところには、図2に示す如く、アタッチメント8を介して取付けられたニッパ1が一体的に設置されるようになっているものである。そして、当該ニッパ1は、上記エアアクチュエータ2を形成するピストンにて駆動されるカム機構28の作動等を介して、その刃先部11のところが駆動されるようになっているものである。また、このような構成からなる上記切換バルブ25のところには、図2に示す如く、当該切換バルブ25をON/OFF作動させるためのスイッチボタン51が設けられるようになっており、このスイッチボタン51のところには、カバー3の上方部に設けられたヒンジポイント(O)を支点にして回転自在なように取付けられるレバー55が設けられるようになっているものである(図1参照)。すなわち、このようなレバー55、スイッチボタン51等をもってスイッチ機構5が形成されるようになっているものである。このようなスイッチ機構5を形成する上記レバー55を作業者等が作動させることによって、切換バルブ25がON作動をし、アクチュエータ2内に高圧エアが導入され、これによってニッパ1が駆動され、接続端子91付きの電線(ワーク)9が適宜切断されるようになっているものである。
【0013】
また、このような構成からなるカバー3の上方部のところには、図1及び図3に示す如く、電線(ワーク)9の先端部が挿入される挿入用開口部が設けられるようになっている。この電線挿入用の開口部について説明する。このものは、図3に示す如く、電線の最先端部に設けられた接続端子91が挿入されるのに十分な広さの開口面積を有する開口部31と、当該開口部31に連続して形成されるものであって電線等の線状部材99の部分が挿入される幅を有する隙間部32と、からなるものである。なお、上記隙間部32の幅は電線等のワーク9を形成する線状部材99の線径の値よりは大きく、かつ、作業者の指幅よりは狭く設定されているものである。このような値(幅)に設定することによって、作業者が作業中に誤って指を隙間部32に挿入してしまうようなことの無いようにしているものである。また、上記開口部31の先端部のところには、ワーク9挿入時に接続端子91の先端部が接触して、ワーク9の切断位置(切落し位置)を決めることのできるように形成されたストッパ部311が設けられるようになっている。そして、このようなストッパ部311を基準にして、当該ストッパ部311のところから上記隙間部32が形成される側へ向って、接続端子91の長手方向の値(長さ分)Lだけ隔たったところに、上記ニッパ1の刃先部11が来るように上記ニッパ1が設置されるようになっているものである(図3参照)。
【0014】
次に、このような構成からなる本装置を用いての接続端子切落し作業(切離し作業)について説明する。まず、図3に示す如く、作業者は、接続端子91の付いた電線(ワーク)9を、接続端子91の先端部がストッパ部311のところに接するようにして接続端子91を開口部31のところへ挿入する。引続いて接続端子91の後方部に形成される線状部材99を隙間部32内へ挿入する。このような状態において、作業者はワーク9を把持している手等をもってスイッチ機構5を形成するレバー55を下方へ押下げる(図3参照)。これによって、スイッチボタン51が作動し、切換バルブ25がON作動をする。その結果、高圧エアがエアアクチュエータ2に導入され、ニッパ1が駆動され、その刃先部11が切断作業を開始する(図2参照)。このとき、接続端子91の先端部はストッパ部311のところに接触して接続端子91の位置決めが成されるようになっていることより、接続端子91の切落とし位置は自動的に設定されることとなる。従って、ワーク9は接続端子91の線状部材(電線)99への接続部の付け根部近傍部のところから切断され、上記接続端子91は切落される(切離される)こととなる。その結果、電線における銅線部分をできる限り長く残した状態で上記接続端子91の切落し作業(切離し作業)が行なわれるようになり、銅線部分の回収効率がより高められることとなる。
【0015】
このようにして切落された接続端子91は、図1に示す如く、コンテナボックス6内へ自動的に収容されることとなる。従って、接続端子切落し作業を連続的に、かつ、効率良く進めることができるようになる。そして、ある一定時間切落し作業が進められた状態において、切落された接続端子91がコンテナボックス6内にある程度量溜まった状態においては、コンテナボックス6上に設置されるものであってニッパ1等を内蔵するカバー3を、上記コンテナボックス6から取外して、上記コンテナボックス6内に収容された接続端子91を回収して、別の場所へと送り出すことができる。このようにして回収された接続端子91については、当該接続端子91を形成する金属類等を別途回収することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の全体構成を示す展開斜視図である。
【図2】本発明の主要部をなすニッパ、アクチュエータ、カバー等の配置状態を示す斜視図である。
【図3】接続端子付き電線を開口部内に設置して切落し作業を行なう状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ニッパ
11 刃先部
2 アクチュエータ
22 チューブ(ホース)
25 切換バルブ
28 カム機構
3 カバー
31 開口部
311 ストッパ部
32 隙間部
33 ブラケット
35 側壁部
5 スイッチ機構
51 スイッチボタン
55 レバー
6 コンテナボックス
8 アタッチメント
9 ワーク(電線)
91 接続端子
99 線状部材






【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃先部が上方を向くように設置されるニッパと、当該ニッパを駆動するものであって電磁力または高圧エアにて作動するアクチュエータと、これらアクチュエータ及びニッパをアタッチメントを介して一体的に支持するとともに上記ニッパ及びアクチュエータ全体を覆うように設けられるものであって上記ニッパの刃先部を覆うところには接続端子を挿入するのに十分な平面形態からなる開口部を有し、更に、当該開口部に連続するところには線状部材が挿入されるには十分な幅を有するものであって作業者の指幅よりは小さな値の幅を有するように形成された隙間部を有する形態からなるカバーと、当該カバーのところに設けられた上記開口部及び隙間部のところに接続端子付きの線状部材が設置された状態において、上記ニッパの作動を開始させるように機能するものであってレバー状の形態からなるスイッチ機構と、からなることを特徴とする接続端子切落し装置。
【請求項2】
請求項1記載の接続端子切落し装置において、上記開口部の一方の端部であって上記隙間部が設けられる側とは反対側のところに、接続端子の先端部が当接するストッパ部を設けるとともに、当該ストッパ部のところから上記隙間部が形成される側へ向って接続端子の長さ分だけ隔たったところに、上記ニッパの刃先部が来るように上記ニッパを設置するようにした構成からなることを特徴とする接続端子切落し装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の接続端子切落し装置において、上記ニッパ及びアクチュエータを内部に包含した状態で一体的に形成されるカバーの下方部のところに、通常は当該カバーを載置して上記ニッパにて切落された接続端子を一時的に溜め置くとともに、適宜、上記カバーを取外して上記溜め置かれた接続端子を排出させることのできるように形成されたコンテナボックスを設けるようにしたことを特徴とする接続端子切落し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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