説明

接続端子台および電力量計

【課題】 電線を短絡させることなく着脱することのできる接続端子台を実現して、コストを掛けることなく、交換作業などを安全に行うことのできる電力量計を提供すること。
【解決手段】 入力端子21〜23および出力端子25〜27が、接続する電線120の差込または引抜する方向にずらされて、外側ほど本体部11に近接するとともに、境界12a側ほど本体部11から離隔するV字形状に配列されている接続端子台12を電力量計10に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子台および電力量計に関し、例えば、電線同士が接触して短絡してしまう事故を起こすことなく、商用電源側からの電線と負荷装置側への電線を外して電力量計を交換などする作業を安全に行い得るようにするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源線を機器装置(負荷装置)に接続する場合には、複数の接続用端子をその電源線毎に準備して接続するのが、一般的である。例えば、商用電源側からの供給電力量に応じて課金などするために、図5に示すように、その電源線のそれぞれを端子接続する電力量計100を、その商用電源からの供給電力を消費する負荷装置を設備する各戸(各家庭)毎などに設置することが行われている。
【0003】
電力量計100は、使用された供給電力を積算(計測)する本体部101と、商用電源と各戸の負荷装置との間の電線の途中に本体部101が介在するようにその電線を接続する接続端子台(接続端子部)102と、が配置されている。この電力量計100は、不用意に触れてしまわないように接続端子台102をカバー103が覆っており、このカバー103を外すことにより、図6に示すように、商用電源からの入力電線(電源線)を本体部101に接続する入力端子111〜113と、負荷装置側のブレーカーへの出力電線を本体部101に接続する出力端子115〜117と、を露出させることができる。この接続端子台102は、これら端子111〜113、115〜117に電線を接続したり外すことにより、例えば、この電力量計100を交換することができるように設計されている。
【0004】
このような電力量計100は、図7に示すように、電線120の先端側の被覆120cを剥いだ導電線120mを接続端子台102の端子111〜113、115〜117にネジ119により接続するが、電力量計100を外す際に、特に、入力電線121〜123の導電線120c同士を接触させると短絡事故が発生してしまい危険である。このことから、短絡事故を発生させることなく、作業を行い得るように、作業標準が定められている。ここで、図7は、図6に示す接続端子台102をデフォルメして簡易に図示するものである。
【0005】
また、このような電力量計100としては、接続端子台102の端子111〜113、115〜117にコネクタを着脱可能にして、このコネクタに入力電線121〜123や出力電線125〜127を接続することにより、電線120同士の短絡事故を起こすことなく、その電力量計100の交換作業などを安全に行い得るようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−248020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の電力量計の接続端子部にあっては、作業標準が決められているといっても、近年の電化に伴って電力量計に接続する電線も大容量化されて(線径が太くなって)きており、電力量計に着脱する電線を個別に下方に引き下げて絶縁テープを巻くなどの作業を行うことが不可能になってきている。
【0007】
また、上記文献1に記載の電力量計にあっては、頻繁に行うことのない電力量計の交換作業などのためのみに、コネクタを電力量計毎に設置するのは費用が掛かる。また、電力事情に応じて電力量計を交換する際にもそのコネクタも交換しなければならない場合もあって、コスト高になってしまう、という問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、電線を短絡させることなく着脱することのできる構成を実現して、コストを掛けることなく、交換作業などを安全に行うことのできる電力量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する接続端子台の発明は、電源線を複数本接続する接続端子台であって、電源線毎の接続端子は、接続する電源線を差込または引抜する方向にずらした位置に配列されていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明では、接続端子台に接続するために、被覆を剥がされた電源線の先端の導電線は、その長さ方向の位置が前後にずれている。したがって、その電源線は、接続端子に差込または引抜する際に、その先端の導電線同士を接近させてしまうことなく、接続端子に接続し、また、その接続端子から外すことができる。
【0011】
上記課題を解決する電力量計の第1の発明は、商用電源から供給される電力量を計測する電力量計であって、商用電源側からの入力電線を接続する入力端子と電力消費側への出力電線を接続する出力端子とが配列されている接続端子部は、該入力端子および出力端子をそれぞれ複数備えており、当該端子は、接続する電線を差込または引抜する方向にずらした位置に配列されていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明では、接続端子部に接続するために、被覆を剥がされた入力電線や出力電線の先端の導電線は、その長さ方向の位置が前後にずれている。したがって、入力電線や出力電線は、接続端子部の入力端子や出力端子に差込または引抜する際に、その先端の導電線同士を接近させてしまうことなく、接続端子部に接続し、また、その接続端子部から外すことができる。
【0013】
上記課題を解決する電力量計の第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記接続端子部の入力端子および出力端子は、別個に区画された隣接位置に配列されていることを特徴とするものである。
【0014】
この発明では、入力電線と出力電線の先端の導電線は、入力端子向けと出力端子向けとに分けられた状態で、その長さ方向の位置が前後にずれている。したがって、特に、入力電線は、商用電源側であるためにチャージアップしていて、その先端の導電線同士が接触すると短絡事故になるが、接続端子部の入力端子に差込または引抜する際には、先端の導電線同士を接近させてしまうことなく、その入力端子に接続し、また、その入力端子から外すことができる。また、出力電線は、電力を消費する負荷側に接続されることから、チャージアップせずに導電線同士が接触しても短絡事故にならないとともに、対応する入力電線と本体部内で導通されていて同電位であることから、その導電線同士が接触しても短絡事故にならない。
【0015】
上記課題を解決する電力量計の第3の発明は、上記第2の発明の特定事項に加え、前記接続端子部の入力端子および出力端子は、外側ほど本体部に近接して境界側ほど本体部から離隔するV字形状に配列されていることを特徴とするものである。
【0016】
この発明では、入力電線と出力電線の先端の導電線がその長さ方向の位置が前後にずれているとともに、入力端子と出力端子は、外側から内側に向かって本体部から順次に離隔することにより、側面側が広い空間側に露出する状態にある。このことから、接続端子部の入力端子や出力端子に導電線を接続する作業を正面側に限らずにその側面側でも可能にすることができる。したがって、線径の大きな電線でも、下方に引き下げることなく、本体部の正面(前面)側あるいは側面側に接離させる方向に曲げて、接続端子台の入力端子や出力端子に接続したり、その接続端子台の入力端子や出力端子から外す作業を行うことができる。
【0017】
上記課題を解決する電力量計の第4の発明は、上記第2の発明の特定事項に加え、前記接続端子部の入力端子および出力端子は、外側ほど本体部および背面側に近接して境界側ほど本体部および背面側から離隔するV字形状に配列されていることを特徴とするものである。
【0018】
この発明では、入力電線と出力電線の先端の導電線がその長さ方向の位置が前後にずれているとともに、入力端子と出力端子は、外側から内側に向かって本体部から順次に離隔するのと同時に、その本体部の背面側からも離隔することにより、側面側が広い空間側に露出する状態にある。このことから、接続端子部の入力端子や出力端子に導電線を接続する作業を正面側に限らずにその側面側でも可能にすることができる。したがって、線径の大きな電線でも、下方に引き下げることなく、本体部の正面側あるいは側面側に接離させる方向に曲げて、接続端子台の入力端子や出力端子に接続したり、その接続端子台の入力端子や出力端子から外す作業を行うことができる。
【0019】
上記課題を解決する電力量計の第5の発明は、上記第3または第4の発明の特定事項に加え、前記接続端子部の入力端子および出力端子は、入力電線および出力電線を導体部にネジ止めするように構成されており、当該端子は、ネジの螺合作業位置が側面側に設定されているとともに、接続する電線を正面側から挿脱可能に切り欠かれていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明では、境界側ほど本体部から離隔するV字形状に配列されている場合には、入力端子と出力端子のネジは、側面側から見て、外側から内側に向かって本体部から順次に離隔して露出する状態にある。このことから、接続端子部の入力端子や出力端子に導電線をネジ止めする位置をその側面側で内側から外側に向かって順次にずらしてネジ止めする作業を行うことができる。一方、境界側ほど本体部および背面側から離隔するV字形状に配列されている場合には、入力端子と出力端子のネジは、側面側から見て、外側から内側に向かって本体部から順次に離隔して露出するのと同時に、その本体部の背面側からも順次に離隔して露出する状態にある。このことから、接続端子部の入力端子や出力端子に導電線をネジ止めする位置の内側や外側からの順序に関係なくその側面側でネジ止めする作業を行うことができる。また、その導電線は、ネジの設置位置にされることなく開口する正面側の挿脱口から挿入(差込)してネジ止め接続し、また、そのネジ止めを緩めて挿脱口から離脱させることができる。したがって、線径の大きな電線でも、下方に引き下げることなく、本体部の正面側に接離させる方向に曲げて、接続端子台の入力端子や出力端子に接続することができ、また、その接続端子台の入力端子や出力端子から外す作業を行うことができる。
【0021】
上記課題を解決する電力量計の第6の発明は、上記第3または第4の発明の特定事項に加え、前記接続端子部の入力端子および出力端子は、入力電線および出力電線を導体部にネジ止めするように構成されており、当該端子は、ネジの螺合作業位置が正面側に設定されているとともに、接続する電線を側面側から挿脱可能に切り欠かれていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明では、境界側ほど本体部から離隔するV字形状に配列されている場合には、入力端子と出力端子への挿脱口は、側面側から見て、外側から内側に向かって本体部から順次に離隔して露出する状態にある。このことから、接続端子部の入力端子や出力端子の側面側の挿脱口に挿脱させる導電線は、内側の挿脱口から挿入して正面側からネジ止め接続し、また、そのネジ止めを緩めて外側の挿脱口から外すことができる。一方、境界側ほど本体部および背面側から離隔するV字形状に配列されている場合には、入力端子と出力端子への挿脱口は、側面側から見て、外側から内側に向かって本体部から順次に離隔して露出するのと同時に、その本体部の背面側からも順次に離隔して露出する状態にある。このことから、接続端子部の入力端子や出力端子の側面側の挿脱口に挿脱させる導電線は、内側や外側からの順序に関係なくその側面側の挿脱口から挿入して正面側からネジ止め接続し、また、そのネジ止めを緩めて挿脱口から外すことができる。したがって、線径の大きな電線でも、下方に引き下げることなく、本体部の側面側に接離させる方向に曲げて、接続端子台の入力端子や出力端子に接続することができ、また、その接続端子台の入力端子や出力端子から外す作業を行うことができる。
【0023】
上記課題を解決する電力量計の第7の発明は、上記第1から第6のいずれかの発明の特定事項に加え、前記接続端子部は、少なくとも入力端子の側面側および背面側に位置する部材に絶縁特性を持たせていることを特徴とするものである。
【0024】
この発明では、接続端子部の周囲の部材、例えば、枠が金属製である場合などには、接続端子部の入力端子に差込または引抜する際に、入力電線先端の導電線同士を接近させてしまうことがなくても、その周囲の部材に接触して短絡させてしまうことがあり、また、場合によっては地絡させてしまう可能性があるが、接触する部材が絶縁特性を有することにより、短絡・地絡を未然に防止することができる。したがって、接続端子部の入力端子に入力電線を差込または引抜する作業性を向上させることができる。
【0025】
ここで、この接続端子部の側面側や背面側の部材に絶縁特性を持たせるには、例えば、その部材自体を絶縁性を有する樹脂材料により作製したり、鋼製などの金属製である場合には、例えば、絶縁塗料で塗装するなどしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、各端子(電線先端の導電線)を電線の長さ方向にずらしているので、その各端子に電線を差込または引抜する際に、電線先端の導電線同士を接近させて短絡させてしまうことなく、その電線を接続し、また、外すことができる。したがって、接続用の端子を、接続する電線の差込または引抜する方向にずらすだけの簡易な構成で、交換作業などを安全に行い得る電力量計等を安価に提供することができる。
【0027】
また、電力量計では、入力電線や出力電線を接続する入力端子や出力端子を本体部の外側ほど本体部や背面側に近接して内側(境界側)ほど本体部や背面側から離隔するV字形状に配列するとともに、その側面側または正面側で電線先端の導電線を挿脱可能にすることにより、下方に引き下げることなく端子内に挿脱するように曲げるだけで、線径の大きな電線でも容易にその端子に接続したり、外したりすることができる。これにより、電線の接続作業をより容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る接続端子台および電力量計の第1実施形態を示す図である。
【0029】
図1において、電力量計10は、図5〜図7に示す従来技術と同様に、例えば、各戸(各家庭)のブレーカの前段に設置されるものであり、本体部11と、接続端子台(接続端子部)12と、を備えている。
【0030】
本体部11は、商用電源から各家庭の家電品(負荷装置)に電力供給する電線120の途中に介在して使用電力を積算(計測)するようになっており、接続端子台12は、この本体部11を商用電源からの入力電線(電源線)121〜123とブレーカへの出力電線125〜127との間に電気的に介装させるように接続する入力端子21〜23および出力端子25〜27を備えている。
【0031】
入力端子21〜23および出力端子25〜27は、下方(図1(a)の下側)から電線120を差込可能に筒形状に形成されて底面側を開口する差込部13がブロック形状の絶縁材料に複数並列されて構築されており、例えば、絶縁性を有する樹脂材料を枠形状に形成したホルダにより本体部11に取り付けられている。また、この入力端子21〜23および出力端子25〜27は、差込部13内の少なくとも背面側に導電材料からなる不図示の接続電極(導体部)が設置されているとともに、その接続端子台12の表面側正面から貫通して螺合する雄ネジ29が配設されている。なお、この入力端子21〜23および出力端子25〜27の周囲が鋼製のホルダなどで金属製の場合には、絶縁塗料で塗装するなどして絶縁特性を持たせるようにしてもよい。
【0032】
この入力端子21〜23は、その差込部13が本体部11の左側に配置されて入力電線121〜123を接続するように設計されており、出力端子25〜27は、差込部13が本体部11の右側に配置されて出力電線125〜127を接続するように設計されている。
【0033】
すなわち、この接続端子台12は、入力端子21〜23と、出力端子25〜27とが本体部11の中央付近を境界位置12aとして入力側と出力側とで別個に区画されて隣接しており、先端側の被覆120cを剥いだ電線120の芯線である導電線120mを差込部13内に差し込んでその内部の接続電極に雄ネジ29により押し付けるようにネジ止めすることにより、入力電線121〜123を入力端子21〜23に、また、出力電線125〜127を出力端子25〜27に導通接続させることができる。
【0034】
ここで、入力電線121〜123と出力電線125〜127は、商用電源からの電力を各戸に供給する電線であることから、本体部11の内部では、入力電線121および出力電線125と、入力電線122および出力電線126と、入力電線123および出力電線127とは電力供給可能に導通回路で繋がれており、同電位の電流が流れている。なお、図1は、図7と同様に、電力量計をデフォルメして簡易に図示するものであり、従来のアナログ形式の電力量計でもよく、また、コンパクトに本体部11を設計可能なデジタル形式の電力量計にも適用することができる。これは、後述する図2および図3により説明する他の実施形態においても同様である。
【0035】
そして、本実施形態の入力端子21〜23および出力端子25〜27は、これらの端子毎の差込部13内に電線121〜123、125〜127を抜き差しする方向に、少なくともその端子長さ(高さ)以上、言い換えると、電線120先端の導電線120mの長さ以上ずれた位置に配置されている。また、この入力端子21〜23および出力端子25〜27は、中心の境界位置12aから離隔する外側ほど本体部11に近接する上方に位置にするとともに、その境界位置12aに近接するほど本体部11から離隔する下方に位置しており、正面から見て側面が外方に開放されているV字形状に配列されている。
【0036】
これにより、電力量計10は、接続する電線120が入力端子21〜23および出力端子25〜27の配列に長さを合わせることから、差込部13への抜き差し方向の長さ(電線120先端の導電線120mの位置)が異なる入力電線121〜123や出力電線125〜127を接続することになる。このため、例えば、電力量計10を交換する際に、ネジ29を緩めてその電力量計10を持ち上げるなどして電線120をまとめて引き抜いたとしても、その電線120の入力電線121〜123の導電線120m同士が接触してしまうことはない。したがって、この電力量計10は、商用電源側でチャージアップしている入力電線121〜123の導電線120m同士を接触させてしまうことによる短絡事故を起こすことなく、その入力電線121〜123の導電線120mを同時に接続端子台12の入力端子21〜23の差込部13に抜き差しして、交換作業などを行うことができる。
【0037】
ここで、出力電線125〜127は、電力を消費する負荷装置側に接続されていてチャージアップしていないことから、導電線120m同士が接触したとしても短絡事故にはなりえず、また、入力電線121〜123と出力電線125〜127の対応する導電線120m同士が接触したとしても、本体部11(接続端子台12)に接続したのと同等であるので、短絡事故にはなりえない。
【0038】
また、この電力量計10の入力端子21〜23および出力端子25〜27は、側面側が外方に開放されているV字形状に配列されていることから、接続端子台12に近接している広い作業空間内で電線120の位置を調整・位置決めすることができ、その後に、電力量計10を相対移動させることにより差込部13内に差し込んでネジ止めすることができる。したがって、この電力量計10は、電線120の接続作業が従来よりも煩雑になってしまうことなく、接続端子台12の差込部13内にその導電線120mを差し込んでネジ止め接続することができる。
【0039】
さらに、この入力端子21〜23および出力端子25〜27の周囲は、絶縁性が確保されていることから、電線120の導電線120mが横方向から相対移動してきたときに差込部13内に挿入される場合、その導電線120mが枠形状のホルダなどに接触したとしても、短絡事故にはならず、また、地絡事故も発生することがなく、交換作業などを行うことができる。
【0040】
なお、この電力量計10の接続端子台12でも、不用意に触れてしまわないように覆う不図示のカバーが着脱可能に取り付けられていることはいうまでもない。
【0041】
このように本実施形態においては、接続端子台12の入力端子21〜23や出力端子25〜27を電線120の長さ方向にずらして、接続するその電線120先端の導電線120mの位置も長さ方向にずらさせているので、例えば、電力量計10を交換する際に、特に、入力電線121〜123の導電線120m同士が接触・短絡してしまうことがない。したがって、接続端子台12の各端子21〜23、25〜27を電線120の長さ方向にずらすだけの簡易で安価な構成で、電力量計10を安全に交換などすることができる。
【0042】
次に、図2は本発明に係る接続端子台および電力量計の第2実施形態を示す図である。なお、本実施形態は、上述第1実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0043】
図2において、電力量計40は、本体部11と、接続端子台12とを備えており、接続端子台12は、入力電線121〜123を接続する入力端子41〜43が本体部11の左側に配置されるとともに、出力電線125〜127を接続する出力端子45〜47が本体部11の右側に配置されることにより、隣接する境界位置12aを中心にして入力側と出力側とで別個に区画されている。
【0044】
そして、本実施形態の接続端子台12は、上述第1実施形態と同様に、正面から見て側面が外方に開放されているV字形状に配列された入力端子41〜43および出力端子45〜47を備えており、この入力端子41〜43および出力端子45〜47は、下方(図2(a)の下側)だけでなく正面側(図2(a)の表面側)も切り欠かれて開口する溝形状に形成された差込部(挿脱口)49を形成されている。
【0045】
この入力端子41〜43および出力端子45〜47は、差込部49内の少なくとも境界位置12a側の内側の側面側に導電材料からなる不図示の接続電極が設置されているとともに、その接続電極に電線120先端の導電線120mをネジ止め接続する雄ネジ29は、反対側の外側側壁を貫通して螺合するように配設されている。
【0046】
すなわち、電力量計40は、電線120の長さ方向に相対移動させることなく、その電線120を正面側に接離させる方向に多少曲げるだけで入力端子41〜43および出力端子45〜47の差込部49内にその正面側から挿脱させることができる。また、その入力端子41〜43および出力端子45〜47は、側面側から内側に向かうほど下方にずれることにより雄ネジ29が露出して、その側面外方から螺合させる作業を容易に行うことができる。
【0047】
これにより、電力量計40を取り付ける際には、内側の入力電線121や出力電線125の導電線120mから入力端子41や出力端子45の差込部49内に正面側から挿入するとともに、雄ネジ29を側面外方から螺合させて順次にネジ止め接続することができる。反対に、電力量計40を取り外す際には、外側の雄ネジ29から緩めるとともに、入力端子43や出力端子47の差込部49の正面側から入力電線123や出力電線127の導電線120mを離脱させて順次に外すことができる。
【0048】
このように本実施形態においては、上述第1実施形態による作用効果に加えて、線径の大きな電線120でも下方に引き下げることなく(反対に電力量計40を上方に持ち上げることなく)、その電線120を正面側に接離させる方向に曲げるだけで、接続端子台12の入力端子41〜43や出力端子45〜47に接続したり外したりする作業を容易に行うことができる。したがって、1本づつ引き下げて鋭角に曲げることができないほど硬い電線120であるために発生していた短絡事故を少なくすることができる。
【0049】
次に、図3は本発明に係る接続端子台および電力量計の第3実施形態を示す図である。
【0050】
図3において、電力量計60は、本体部11と、接続端子台12とを備えており、接続端子台12は、入力電線121〜123を接続する入力端子61〜63が本体部11の左側に配置されるとともに、出力電線125〜127を接続する出力端子65〜67が本体部11の右側に配置されることにより、隣接する境界位置12aを中心にして入力側と出力側とで別個に区画されている。
【0051】
そして、本実施形態の接続端子台12は、上述第1実施形態と同様に、正面から見て側面が外方に開放されているV字形状に配列された入力端子61〜63および出力端子65〜67を備えており、この入力端子61〜63および出力端子65〜67は、下方(図3(a)の下側)だけでなく外側側面側(図3(a)の左右の側方側)も切り欠かれて開口する溝形状に形成された差込部69を形成されている。
【0052】
すなわち、電力量計60は、電線120の長さ方向に相対移動させることなく、その電線120を外側側面側に接離させる方向に多少曲げるだけで入力端子61〜63および出力端子65〜67の差込部69内にその側面側から挿脱させることができる。また、その入力端子61〜63および出力端子65〜67は、側面側から内側に向かうほど下方にずれることにより差込部69が露出して、その側面外方から導電線120mを挿脱させる作業を容易に行うことができる。
【0053】
これにより、電力量計60を取り付ける際には、内側の入力電線121や出力電線125の導電線120mから入力端子61や出力端子65の差込部49内に外方側面側から挿入するとともに、雄ネジ29を正面側から螺合させて順次にネジ止め接続することができる。反対に、電力量計60を取り外す際には、外側の雄ネジ29から緩めるとともに、入力端子61や出力端子65の差込部69の外方側面側から入力電線123や出力電線127の導電線120mを離脱させて順次に外すことができる。
【0054】
このように本実施形態においては、上述第1実施形態による作用効果に加えて、線径の大きな電線120でも下方に引き下げることなく(反対に電力量計60を上方に持ち上げることなく)、その電線120を外方側面側に接離させる方向に曲げるだけで、接続端子台12の入力端子61〜63や出力端子65〜67に接続したり外したりする作業を容易に行うことができ、その雄ネジ29の螺合作業も正面側から容易に行うことができる。したがって、1本づつ引き下げて鋭角に曲げることができないほど硬い電線120であるために発生していた短絡事故を少なくすることができる。
【0055】
次に、図4は本発明に係る接続端子台および電力量計の第4実施形態を示す図である。
【0056】
図4において、電力量計80は、本体部11と、接続端子台12とを備えており、接続端子台12は、入力電線121〜123を接続する入力端子81〜83が本体部11の左側に配置されるとともに、出力電線125〜127を接続する出力端子85〜87が本体部11の右側に配置されることにより、隣接する境界位置12aを中心にして入力側と出力側とで別個に区画されている。
【0057】
そして、本実施形態の接続端子台12は、第3実施形態と同様に、正面から見て側面が外方に開放されているV字形状に配列された入力端子81〜83および出力端子85〜87を備えており、この入力端子81〜83および出力端子85〜87は、下方(図4(a)の下側)だけでなく外側側面側(図4(a)の左右の側方側)も切り欠かれて開口する溝形状に形成された差込部89を形成されている。
【0058】
この入力端子81〜83および出力端子85〜87は、上下方向には、上述第3実施形態と同様に、入力端子81〜83および出力端子85〜87毎に、少なくともその端子長さ(高さ)以上(電線120先端の導電線120mの長さ以上)ずれた位置に配置されているのに加えて、前後方向には、中心の境界位置12aから離隔する外側ほど本体部11の背面側に位置にするとともに、その境界位置12aに近接するほど本体部11の背面側から離隔する前面側に位置している。
【0059】
すなわち、電力量計80は、電線120の長さ方向に相対移動させることなく、その電線120を外側側面側に接離させる方向に多少曲げるだけで入力端子81〜83および出力端子85〜87の差込部89内にその側面側から挿脱させることができるのに加えて、その入力端子81〜83および出力端子85〜87は、前後方向にずれることにより差込部89が電線120に隠されてしまうことなく露出していることから、順番に制限なく、その側面外方から導電線120mを挿脱させる作業を容易に行うことができる。
【0060】
これにより、電力量計80を取り付ける際には、順番に制限なく、入力電線121〜123や出力電線125〜127の導電線120mを入力端子81〜83や出力端子85〜87の差込部89内に外方側面側から適宜挿入するとともに、雄ネジ29を正面側から螺合させてネジ止め接続することができる。反対に、電力量計80を取り外す際には、順番に制限なく、雄ネジ29を緩めるとともに、入力端子81〜83や出力端子85〜87の差込部89の外方側面側から入力電線121〜123や出力電線125〜127の導電線120mを離脱させて外すことができる。
【0061】
このように本実施形態においては、上述第3実施形態による作用効果に加えて、接続端子台12の入力端子81〜83や出力端子85〜87に入力電線121〜123や出力電線125〜127を接続する作業の順序の制限をなくすことができ、電力量計80の交換作業などをより容易に行うことができる。
【0062】
次に、図5は本発明に係る接続端子台および電力量計の第5実施形態を示す図である。
【0063】
図5において、電力量計90は、本体部11と、接続端子台12とを備えており、接続端子台12は、入力電線121〜123を接続する入力端子91〜93が本体部11の左側に配置されるとともに、出力電線125〜127を接続する出力端子95〜97が本体部11の右側に配置されることにより、隣接する境界位置12aを中心にして入力側と出力側とで別個に区画されている。
【0064】
そして、本実施形態の接続端子台12は、第2実施形態と同様に、正面から見て側面が外方に開放されているV字形状に配列された入力端子91〜93および出力端子95〜97を備えており、この入力端子91〜93および出力端子95〜97は、下方(図5(a)の下側)だけでなく正面側(図5(a)の表面側)も切り欠かれて開口する溝形状に形成された差込部99を形成されている。
【0065】
この入力端子91〜93および出力端子95〜97は、上下方向には、上述第2実施形態と同様に、入力端子91〜93および出力端子95〜97毎に、少なくともその端子長さ(高さ)以上(電線120先端の導電線120mの長さ以上)ずれた位置に配置されているのに加えて、前後方向には、中心の境界位置12aから離隔する外側ほど本体部11の背面側に位置にするとともに、その境界位置12aに近接するほど本体部11の背面側から離隔する前面側に位置している。
【0066】
すなわち、電力量計90は、電線120の長さ方向に相対移動させることなく、その電線120を正面側に接離させる方向に多少曲げるだけで入力端子91〜93および出力端子95〜97の差込部99内にその正面側から挿脱させることができるのに加えて、その入力端子91〜93および出力端子95〜87は、前後方向にずれることにより雄ネジ29が電線120に隠されてしまうことなく露出していることから、順番に制限なく、その側面外方から螺合させる作業を容易に行うことができる。
【0067】
これにより、電力量計90を取り付ける際には、順番に制限なく、入力電線121〜123や出力電線125〜127の導電線120mを入力端子91〜93や出力端子95〜97の差込部99内に正面側から適宜挿入するとともに、雄ネジ29を側面外方から螺合させてネジ止め接続することができる。反対に、電力量計90を取り外す際には、順番に制限なく、雄ネジ29を緩めるとともに、入力端子91〜93や出力端子95〜97の差込部99の正面側から入力電線121〜123や出力電線125〜127の導電線120mを離脱させて外すことができる。
【0068】
このように本実施形態においては、上述第2実施形態による作用効果に加えて、接続端子台12の入力端子91〜93や出力端子95〜97に入力電線121〜123や出力電線125〜127を接続する作業の順序の制限をなくすことができ、電力量計90の交換作業などをより容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る接続端子台および電力量計の第1実施形態の概略全体構成を示す図であり、(a)はその概念正面図、(b)はその概念底面図である。
【図2】本発明に係る接続端子台および電力量計の第2実施形態の概略全体構成を示す図であり、(a)はその概念正面図、(b)はその概念底面図である。
【図3】本発明に係る接続端子台および電力量計の第3実施形態の概略全体構成を示す図であり、(a)はその概念正面図、(b)はその概念右側面図である。
【図4】本発明に係る接続端子台および電力量計の第4実施形態の概略全体構成を示す図であり、(a)はその概念正面図、(b)はその概念右側面図である。
【図5】本発明に係る接続端子台および電力量計の第5実施形態の概略全体構成を示す図であり、(a)はその概念正面図、(b)はその概念底面図である。
【図6】その従来技術を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその右側面図である。
【図7】その従来技術の要部を示す分解正面図である。
【図8】その従来技術の課題を説明する概念正面図である。
【符号の説明】
【0071】
10、40、60、80、90 電力量計
11 本体部
12 接続端子台
12a 境界位置
13、49、69、89、99 差込部
21〜23、41〜43、61〜63、81〜83、91〜93 入力端子
25〜27、45〜47、65〜67、85〜87、95〜97 出力端子
29 雄ネジ
120 電線
120m 導電線
121〜123 入力電線
125〜127 出力電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源線を複数本接続する接続端子台であって、
電源線毎の接続端子は、接続する電源線を差込または引抜する方向にずらした位置に配列されていることを特徴とする接続端子台。
【請求項2】
商用電源から供給される電力量を計測する電力量計であって、
商用電源側からの入力電線を接続する入力端子と電力消費側への出力電線を接続する出力端子とが配列されている接続端子部は、該入力端子および出力端子をそれぞれ複数備えており、当該端子は、接続する電線を差込または引抜する方向にずらした位置に配列されていることを特徴とする電力量計。
【請求項3】
前記接続端子部の入力端子および出力端子は、別個に区画された隣接位置に配列されていることを特徴とする請求項2に記載の電力量計。
【請求項4】
前記接続端子部の入力端子および出力端子は、外側ほど本体部に近接して境界側ほど本体部から離隔するV字形状に配列されていることを特徴とする請求項3に記載の電力量計。
【請求項5】
前記接続端子部の入力端子および出力端子は、外側ほど本体部および背面側に近接して境界側ほど本体部および背面側から離隔するV字形状に配列されていることを特徴とする請求項3に記載の電力量計。
【請求項6】
前記接続端子部の入力端子および出力端子は、入力電線および出力電線を導体部にネジ止めするように構成されており、
当該端子は、ネジの螺合作業位置が側面側に設定されているとともに、接続する電線を正面側から挿脱可能に切り欠かれていることを特徴とする請求項4または5に記載の電力量計。
【請求項7】
前記接続端子部の入力端子および出力端子は、入力電線および出力電線を導体部にネジ止めするように構成されており、
当該端子は、ネジの螺合作業位置が正面側に設定されているとともに、接続する電線を側面側から挿脱可能に切り欠かれていることを特徴とする請求項4または5に記載の電力量計。
【請求項8】
前記接続端子部は、少なくとも入力端子の側面側および背面側に位置する部材に絶縁特性を持たせていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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