説明

接続装置

【課題】小型化を確保した上で大きさの異なる電子機器をホルダーに容易に取付可能とする。
【解決手段】電子機器200を保持するホルダー3と、ホルダー3に所定の方向へ移動自在に支持されると共にホルダー3に保持された電子機器200に接触されるアジャスター27と、ホルダー3に保持された電子機器200にアジャスター27を押し付ける方向へ付勢する付勢バネ26を設け、アジャスター27の少なくとも一部が電子機器200に押圧されて弾性変形可能な弾性変形部33として設けられ、電子機器200がホルダー3に保持されるときに電子機器200の大きさに応じてアジャスター27が移動されて付勢バネ26が弾性変形され又はアジャスター27が移動されて付勢バネ26と弾性変形部33が弾性変形されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は接続装置についての技術分野に関する。詳しくは、ホルダーに保持される電子機器の大きさに応じて付勢バネ又はアジャスターの弾性変形部が弾性変形されるようにして小型化を確保した上で大きさの異なる電子機器をホルダーに容易に取付可能とする技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用の音楽記録再生装置や携帯電話等の電子機器が接続される接続装置がある。
【0003】
このような接続装置は、例えば、電子機器を保持するホルダーを有し、例えば、車内のダッシュボード等に取り付けられる。接続装置は、例えば、車載用のスピーカーユニットにデーターの出力等を行うための処理装置(デジタル・シグナル・プロセッサー・ユニット:Digital Signal Processor Unit)に接続される。接続装置が処理装置に接続されると、ホルダーに保持された電子機器の音楽データー等が処理装置を介してスピーカーユニットに送出され、スピーカーユニットから高品質の音声が出力される。
【0004】
上記のような接続装置には、大きさ(厚み)の異なる電子機器の取付が可能とされたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1に記載された接続装置にあっては、前面板と背面板をリンク機構によって連結しリンク機構の動作に応じて前面板と背面板の距離を変化させることにより厚みの異なる電子機器を前面板と背面板の間において保持する構造にされている。
【0006】
特許文献2に記載された接続装置にあっては、背面板に着脱可能な突起部材を設け、突起部材を背面板に向きを変更して取り付けることにより突起部材の背面板に対する前面の位置を変化させて厚みの異なる電子機器を保持する構造にされている。
【0007】
【特許文献1】実開平10−139号公報
【特許文献2】特開2001−77899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載された接続装置にあっては、前面板と背面板と両者を連結するリンク機構とが設けられているため、電子機器の厚みに対応する機構が複雑であり部品点数も多く、その分、接続装置の小型化に支障を来たしている。
【0009】
また、特許文献2に記載された接続装置にあっては、厚みの異なる電子機器の取付に際して電子機器の厚みに応じて突起部材を背面板に向きを変更して取り付ける必要があり、電子機器の取付作業が面倒であり電子機器を容易に取り付けることができないと言う問題がある。
【0010】
そこで、本技術接続装置は、上記した問題点を克服し、小型化を確保した上で大きさの異なる電子機器をホルダーに容易に取付可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1に、接続装置は、上記した課題を解決するために、電子機器を保持するホルダーと、前記ホルダーに所定の方向へ移動自在に支持されると共に前記ホルダーに保持された前記電子機器に接触されるアジャスターと、前記ホルダーに保持された前記電子機器に前記アジャスターを押し付ける方向へ付勢する付勢バネとを備え、前記アジャスターの少なくとも一部が前記電子機器に押圧されて弾性変形可能な弾性変形部として設けられ、前記電子機器が前記ホルダーに保持されるときに前記電子機器の大きさに応じて前記アジャスターが移動されて前記付勢バネが弾性変形され又は前記アジャスターが移動されて前記付勢バネと前記弾性変形部が弾性変形されるようにしたものである。
【0012】
従って、接続装置にあっては、電子機器がホルダーに保持されるときに電子機器に押圧されて付勢バネ又は付勢バネと弾性変形部が弾性変形される。
【0013】
第2に、上記した接続装置においては、前記所定の方向が前記電子機器の厚み方向にされることが望ましい。
【0014】
所定の方向が電子機器の厚み方向にされることにより、電子機器がホルダーに保持されるときに電子機器に押圧されて付勢バネ又は付勢バネと弾性変形部が電子機器の厚み方向において弾性変形される。
【0015】
第3に、上記した接続装置においては、前記アジャスターに弾性変形部から外方へ張り出されたフランジ部が設けられ、前記フランジ部を樹脂材料又は金属材料によって形成することが望ましい。
【0016】
アジャスターに弾性変形部から外方へ張り出されたフランジ部が設けられ、フランジ部を樹脂材料又は金属材料によって形成することによりアジャスターの剛性が高くなり、アジャスターが電子機器によって押圧されたときに塑性変形しない。
【0017】
第4に、上記した接続装置においては、前記アジャスターの弾性変形部と前記弾性変形部以外の部分とを一体に形成することが望ましい。
【0018】
アジャスターの弾性変形部と弾性変形部以外の部分とを一体に形成することにより、アジャスターが一部品によって形成される。
【0019】
第5に、上記した接続装置においては、前記弾性変形部をゴム材料によって形成することが望ましい。
【0020】
弾性変形部をゴム材料によって形成することにより、電子機器によってアジャスターが押圧されたときに弾性変形部が変形し易くなる。
【0021】
第6に、上記した接続装置においては、前記アジャスターを前記所定の方向へ案内する案内部を設けることが望ましい。
【0022】
アジャスターを所定の方向へ案内する案内部を設けることにより、アジャスターが移動方向に対して傾かない。
【0023】
第7に、上記した接続装置においては、前記案内部を前記ホルダーに一体に設けることが望ましい。
【0024】
案内部をホルダーに一体に設けることにより、部品点数が低減する。
【0025】
第8に、上記した接続装置においては、前記電子機器が前記ホルダーに保持されたときに前記アジャスターの前記所定の方向における一定量以上の移動を規制する移動規制部を設け、前記移動規制部によって前記アジャスターの移動が規制された状態において前記弾性変形部が弾性変形可能とされることが望ましい。
【0026】
電子機器がホルダーに保持されたときにアジャスターの所定の方向における一定量以上の移動を規制する移動規制部を設け、移動規制部によってアジャスターの移動が規制された状態において弾性変形部が弾性変形可能とされることにより、アジャスターの移動量が少なくなる。
【0027】
第9に、上記した接続装置においては、前記移動規制部を前記ホルダーに一体に設けることが望ましい。
【0028】
移動規制部をホルダーに一体に設けることにより、部品点数が低減する。
【0029】
第10に、上記した接続装置においては、前記アジャスターが前記電子機器に接触される接触部と前記接触部の外周縁から突出された外周部とを有し、前記ホルダーに前記アジャスターの一部が挿入されて配置される挿入配置孔が形成され、前記外周部が前記接触部から離隔するに従って外形が大きくなる形状に形成されることが望ましい。
【0030】
ホルダーにアジャスターの一部が挿入されて配置される挿入配置孔が形成され、外周部が接触部から離隔するに従って外形が大きくなる形状に形成されることにより、弾性変形部が弾性変形された状態において弾性変形部が挿入配置孔から外側にはみ出さない。
【0031】
第11に、上記した接続装置においては、前記ホルダーに前記アジャスターを支持するベース部と前記ベース部の両端部からそれぞれ略同じ方向へ突出され前記電子機器の両端部に係合して前記電子機器を挟持する一対の保持突部とを設けることが望ましい。
【0032】
ホルダーにアジャスターを支持するベース部とベース部の両端部からそれぞれ略同じ方向へ突出され電子機器の両端部に係合して電子機器を挟持する一対の保持突部とを設けることにより、電子機器が一対の保持突部に挟持されてホルダーに保持される。
【発明の効果】
【0033】
本技術接続装置は、電子機器を保持するホルダーと、前記ホルダーに所定の方向へ移動自在に支持されると共に前記ホルダーに保持された前記電子機器に接触されるアジャスターと、前記ホルダーに保持された前記電子機器に前記アジャスターを押し付ける方向へ付勢する付勢バネとを備え、前記アジャスターの少なくとも一部が前記電子機器に押圧されて弾性変形可能な弾性変形部として設けられ、前記電子機器が前記ホルダーに保持されるときに前記電子機器の大きさに応じて前記アジャスターが移動されて前記付勢バネが弾性変形され又は前記アジャスターが移動されて前記付勢バネと前記弾性変形部が弾性変形されるようにしている。
【0034】
従って、大きさの大きい電子機器がホルダーに保持されるときに弾性変形部が弾性変形されるため、アジャスターが一定以上には移動されることがなく、その分、接続装置の他の構造の十分な配置スペースが確保され、小型化を確保した上で大きさの異なる電子機器を保持することができる。
【0035】
また、大きさの異なる電子機器の接続装置に対する着脱を、常に同じ作業によって行うことができ、電子機器をホルダーに容易に着脱することができる。
【0036】
請求項2に記載した技術にあっては、前記所定の方向が前記電子機器の厚み方向にされている。
【0037】
従って、電子機器の厚み方向において接続装置の小型化を確保した上で厚みの異なる電子機器を保持することができる。
【0038】
請求項3に記載した技術にあっては、前記アジャスターに弾性変形部から外方へ張り出されたフランジ部が設けられ、前記フランジ部を樹脂材料又は金属材料によって形成している。
【0039】
従って、アジャスターの剛性が高く、アジャスターが電子機器によって押圧されたときに塑性変形することがなく、アジャスターの良好な機能性を確保することができる。
【0040】
請求項4に記載した技術にあっては、前記アジャスターの弾性変形部と前記弾性変形部以外の部分とを一体に形成している。
【0041】
従って、アジャスターを容易に形成することができると共に部品点数の削減が図られ、その分、接続装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
請求項5に記載した技術にあっては、前記弾性変形部をゴム材料によって形成している。
【0043】
従って、アジャスターが電子機器によって押圧されたときに弾性変形部を確実に弾性変形させることができる。
【0044】
請求項6に記載した技術にあっては、前記アジャスターを前記所定の方向へ案内する案内部を設けている。
【0045】
従って、アジャスターが移動方向に対して傾くことがなく、アジャスターの円滑な移動動作を確保することができる。
【0046】
請求項7に記載した技術にあっては、前記案内部を前記ホルダーに一体に設けている。
【0047】
従って、部品点数の削減を図ることができる。
【0048】
請求項8に記載した技術にあっては、前記電子機器が前記ホルダーに保持されたときに前記アジャスターの前記所定の方向における一定量以上の移動を規制する移動規制部を設け、前記移動規制部によって前記アジャスターの移動が規制された状態において前記弾性変形部が弾性変形可能とされている。
【0049】
従って、アジャスターの移動量が少なくて済み、その分、アジャスターの小型化を確保することができる。
【0050】
請求項9に記載した技術にあっては、前記移動規制部を前記ホルダーに一体に設けている。
【0051】
従って、一層の部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
請求項10に記載した技術にあっては、前記アジャスターが前記電子機器に接触される接触部と前記接触部の外周縁から突出された外周部とを有し、前記ホルダーに前記アジャスターの一部が挿入されて配置される挿入配置孔が形成され、前記外周部が前記接触部から離隔するに従って外形が大きくなる形状に形成されている。
【0053】
従って、弾性変形部が弾性変形された状態において弾性変形部が挿入配置孔から外側にはみ出してしまうことがなく、電子機器のホルダーに対する適正な保持状態を確保することができると共にアジャスターの傷付きや破損を防止することができる。
【0054】
請求項11に記載した技術にあっては、前記ホルダーに前記アジャスターを支持するベース部と前記ベース部の両端部からそれぞれ略同じ方向へ突出され前記電子機器の両端部に係合して前記電子機器を挟持する一対の保持突部とを設けている。
【0055】
従って、電子機器を確実かつ容易にホルダーに保持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下に、本技術接続装置を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0057】
以下に示した最良の形態は、本技術接続装置を、車内において用いられ車載用のスピーカーユニットにデーターの出力等を行うための処理装置に接続される接続装置に適用したものである。
【0058】
但し、本技術の適用範囲は車載用のスピーカーユニットにデーターの出力等を行うための処理装置に接続される接続装置に限られることはない。本技術接続装置は、電子機器を保持する各種の接続装置に広く適用することができる。特に、接続装置は、携帯電話や携帯用の音楽記録再生装置(DMP:Digital Music Player)が接続される所謂クレードルと称される接続装置に好適である。
【0059】
[電子機器の概略構成]
先ず、接続装置に接続される電子機器について説明する(図1及び図2参照)。
【0060】
接続装置には、厚みの異なる電子機器100及び電子機器200が選択的に接続可能とされている(図1参照)。
【0061】
電子機器100は、例えば、携帯用の音楽記録再生装置であり、扁平な縦長の略矩形状に形成されている。電子機器100は厚み方向が前後方向にされている。
【0062】
電子機器100は前面に表示面100a及び操作部100bを有している。表示面100aは、例えば、タッチパネルとしても機能し、表示面100a又は操作部100bを操作することにより、記録された音楽データー等の外部への出力や音楽データーの選択等の所定の処理を実行することが可能とされている。
【0063】
電子機器100の下端部には下方に開口された雌型コネクター101が設けられている。
【0064】
電子機器200は、例えば、携帯用の音楽記録再生装置であり、扁平な縦長の略矩形状に形成されている。電子機器200は厚み方向が前後方向にされている。電子機器200の厚みは、例えば、電子機器100の厚みより厚くされている。
【0065】
電子機器200は前面に表示面200a及び操作部200bを有している。表示面200aは、例えば、タッチパネルとしても機能し、表示面200a又は操作部200bを操作することにより、記録された音楽データー等の外部への出力や音楽データーの選択等の所定の処理を実行することが可能とされている。
【0066】
電子機器200の下端部には下方に開口された雌型コネクター201が設けられている。
【0067】
電子機器100、200にはそれぞれ保護カバー300、400が着脱可能とされている(図2参照)。保護カバー300、400は、例えば、シリコンゴム等の柔軟な材料によって形成され、電子機器100、200に取り付けられて電子機器100、200の傷付きや損傷等を防止する機能を有する。保護カバー300、400の厚みは、例えば、1mm程度にされている。
【0068】
電子機器100、200に保護カバー300、400が取り付けられた状態においては、電子機器100、200と保護カバー300、400を合わせた全体の大きさが電子機器100、200より保護カバー300、400の分だけ大きくなる。
【0069】
[接続装置の構成]
次に、接続装置について説明する(図1、図3乃至図15参照)。
【0070】
接続装置1はスタンド2とホルダー3を有している(図1及び図3参照)。
【0071】
スタンド2は被取付板4と被取付板4に回動自在に連結された支え脚5とを有している。被取付体4は上下方向を向く略円板状に形成され、下面側に図示しない吸盤を有している。被取付体4には吸着操作部4aが設けられている。被取付体4には上方へ突出された支持突部4bが設けられている。
【0072】
吸着操作部4aが操作されると、例えば、車のダッシュボード等の被取付面に吸盤によって被取付体4が吸着され又は被取付面に対する吸着が解除される。
【0073】
支え脚5は被取付体4の支持突部4bに回動自在に連結され、回動されることにより上端部が略前後方向へ移動されるように構成されている。また、支え脚5は被取付体4の一部の周方向における回転に伴って回転可能とされている。
【0074】
ホルダー3は上下で結合された上側筐体6と下側筐体7を有している。
【0075】
上側筐体6はフレーム部8とフレーム部8の下側に位置する内側構造部9とから成る(図3参照)。フレーム部8は内側構造部9に対して上下方向へ移動可能とされている。
【0076】
フレーム部8はフロントキャビネット10とリアパネル11が前後で結合されて成る。
【0077】
フロントキャビネット10は縦長の形状に形成され、上端部を除く部分が後方に開口され上端部における前端部を除く部分が上方及び後方に開口されている。フロントキャビネット10は上端部が他の部分より前方に突出されている。フロントキャビネット10の前端部には下方へ突出された位置規制部10aが設けられている。
【0078】
リアパネル11は縦長の形状に形成され、上端部が他の部分より前方へ突出されている。
【0079】
内側構造部9は、図4及び図5に示すように、略前後方向を向く支持部12と支持部12の下端部から後方へ突出された連結部13と連結部13から下方へ突出され略前後方向を向く板状に形成された基板部14と基板部14の略中央部から前方へ突出された支持突部15とから成る。
【0080】
支持部12にはフレーム部8が上下方向へ移動自在に支持されている。
【0081】
基板部14の上端部における左右両側部はそれぞれ被取付部14a、14aとして設けられている。基板部14には支持突部15の周囲に前方へ突出されたバネ押さえ突部14b、14b、14bが設けられている。
【0082】
基板部14にはバネ押さえ突部14b、14b、14bの外周側に前方へ突出された四つの移動規制部14c、14c、・・・が上下左右に離隔して一体に設けられている。移動規制部14c、14c、・・・の前面は前後方向において同じ位置に形成されている。
【0083】
支持突部15は前後に延びる略円筒状に形成され、内部空間が挿入孔15aとして形成され、前端部に内方へ張り出された抜け止め部16が設けられている。抜け止め部16には周方向において180°離隔した位置に内方に開口された挿入用切欠16a、16aが形成されている。
【0084】
下側筐体7はフレーム部17とフレーム部17に取り付けられたパネル部18とを有している(図1及び図3参照)。
【0085】
フレーム部17はフロントパネル19とリアキャビネット20が前後で結合されて成る。
【0086】
フロントパネル19は縦長の形状に形成され、上端部に前後に貫通された挿入配置孔19aを有し下端部に上下に貫通された矩形状の配置孔19bを有している(図4参照)。フロントパネル19は下端部が他の部分より前方へ突出されている。フロントパネル19の背面には挿入配置孔19aの周囲に後方へ突出された案内部19c、19c、・・・が前後左右に離隔して一体に設けられている(図4及び図6参照)。
【0087】
リアキャビネット20は縦長の形状に形成され、下端部を除く部分が前方に開口され下端部が上方及び前方に開口されている(図4及び図7参照)。リアキャビネット20は下端部が他の部分より前方へ突出されている。リアキャビネット20の上端部には後方へ突出された突状配置部21が設けられ突状配置部21の後端部には前後に貫通された軸挿通孔21aが形成されている。
【0088】
パネル部18は、フロントパネル19とリアキャビネット20が結合されて構成されたフレーム部17における下端部に前方から取り付けられている(図3、図7及び図8参照)。
【0089】
パネル部18がフレーム部17に取り付けられた状態においては、パネル部18の上端部がフレーム部17の下端部における上面より上方へ突出され、この突出された部分が規制突部22として設けられている。
【0090】
下側筐体7に上側筐体6が結合され下側筐体7にパネル部18が結合されることによりホルダー3が構成される。ホルダー3には、フレーム部8の上端部を除く部分とフレーム部17の下端部を除く部分とによって略前後方向を向くベース部23が設けられ、ホルダー3の上端部と下端部はそれぞれベース部23から前方へ突出された保持突部24、25として設けられている。
【0091】
下側筐体7の上端部における内部には前後方向へ伸縮可能とされた圧縮コイルバネである付勢バネ26が配置されている(図4参照)。付勢バネ26は後端部が上側筐体6の内側構造部9に設けられた支持突部15に外嵌状に支持されバネ押さえ突部14b、14b、14bによって周囲から押さえられている。
【0092】
下側筐体7の上端部にはアジャスター27が前後方向へ移動自在に支持されている。アジャスター27はエラストマー等のゴム材料とこのゴム材料より硬度が高い樹脂材料又は金属材料とによる二色成形によって形成されている。
【0093】
アジャスター27は、図9乃至図12に示すように、外形が円形状に形成された調整部28と調整部28の後端部から外方へ張り出されたフランジ部29と調整部28の後面に設けられた被支持部30とから成る。
【0094】
調整部28は略円板状に形成された接触部31と接触部31の外周縁から略後方へ突出された外周部32とから成り、エラストマー等のゴム材料によって形成されている。接触部31は外周側の部分以外の部分が円板部31aとして設けられ外周側の部分が円板部31aから外方へ行くに従って前方へ変位するように傾斜された傾斜部31bとして設けられている。
【0095】
外周部32は後方へ行くに従って稍外方へ変位するように緩やかに傾斜されている。
【0096】
接触部31の傾斜部31bと外周部32の後端部以外の部分とは他の部分に対して弾性変形可能な弾性変形部33として設けられている。
【0097】
フランジ部29は外周部32の後端部における上端部以外の部分から外方へ突出され、調整部28より剛性の高い樹脂材料又は金属材料によって形成されている。フランジ部29には前後に貫通された被案内孔29a、29a、・・・が前後左右に離隔して形成されている。
【0098】
被支持部30はフランジ部29と同じ樹脂材料又は金属材料によって形成され、調整部28の円板部31aの後面に連続された基部30aと基部30aの中央部から後方へ突出された円筒状の軸部30bと軸部30bの後端部における180°周方向において離隔した位置からそれぞれ外方へ突出された被規制突部30c、30cとから成る。
【0099】
アジャスター27は被支持部30の軸部30bが支持突部15の挿入孔15aに前側から挿入されて下側筐体7に前後方向へ移動自在に支持される(図13及び図14参照)。
【0100】
尚、図13と図14は、それぞれ図8のA−A線に沿う拡大断面図とY−Y線に沿う拡大断面図である。
【0101】
このとき被支持部30は被規制突部30c、30cがそれぞれ挿入用切欠16a、16aに挿入されることにより軸部30bが挿入孔15aに挿入され、軸部30bが挿入孔15aに挿入された状態においてアジャスター27が所定の角度回転されることにより被規制突部30c、30cが抜け止め部16に係合可能な状態とされる。
【0102】
アジャスター27が下側筐体7に支持された状態においては、付勢バネ26が被支持部30の基部30aの後面に押し付けられ、付勢バネ26によってアジャスター27が前方へ付勢される。従って、アジャスター27に後方へ移動される方向への力が付与されていない状態においては、被規制突部30c、30cが抜け止め部16に係合されてアジャスター27が前方の移動端に位置されている。
【0103】
アジャスター27は調整部28がフロントパネル19の挿入配置孔19aに挿入されて支持される。調整部28が挿入配置孔19aに挿入された状態においては、アジャスター27のフランジ部29に形成された被案内孔29a、29a、・・・にそれぞれフロントパネル19の案内部19c、19c、・・・が挿入され、アジャスター27が案内部19c、19c、・・・に案内されて前後方向へ移動可能とされる。
【0104】
下側筐体7のフレーム部17における突状配置部21の内部には前側から順に押さえバネ34と受け部材35が配置される(図4参照)。押さえバネ34は上側筐体6の内側構造部9における基板部14の後側において基板部14と離隔した状態で配置されている。
【0105】
受け部材35の後側には支持体36が配置される。支持体36は球状に形成された球状部36aと球状部36aから後方へ突出された結合軸部36bとから成る。支持体36は、球状部36aの後端部を除く部分が突状配置部21の内部に配置され、結合軸部36bが下側筐体7のリアキャビネット20に形成された軸挿通孔21aから後方へ突出される。
【0106】
支持体36の球状部36aには押さえバネ34によって受け部材35が前方から押し付けられ、球状部36aと受け部材35の間に一定の摩擦力が発生する。支持体36の球状部36aには受け部材35が任意の方向へ回転可能に保持される。
【0107】
支持体36は結合軸部36bがスタンド2の支え脚5の上端部に結合される(図3及び図7参照)。支持体36の結合軸部36bが支え脚5に結合された状態において、ホルダー3は受け部材35が支持体36の球状部36aに摺動されることにより任意の方向へ回動可能とされると共に押さえバネ34の付勢力により球状部36aと受け部材35の間に摩擦力が発生することによって回動された任意の位置において保持される。
【0108】
下側筐体7のフレーム部17にはそれぞれ操作部37、38、39、39、40が配置されている(図7、図8及び図15参照)。操作部37、38、39、39、40は、例えば、それぞれ電源釦、音楽データーの音量調整用の摘子、電子機器100に記録された音楽データーの早送り・巻き戻し等の釦、上側筐体6の下側筐体7に対する移動を可能または規制するための釦として機能する。
【0109】
下側筐体7のフレーム部17の内部における下端部には回動部材41が回動自在に支持されている。回動部材41は一部がフロントパネル19の配置孔19bに配置された状態において、左右に延びる図示しない回動軸を支点として回動可能とされている。
【0110】
回動部材41には雄型コネクター42が取り付けられている。雄型コネクター42は回動部材41から上方へ突出され保持突部25の上側に位置されている。
【0111】
回動部材41はフレーム部17に支持された状態において、図示しないバネ部材によって前方へ回動される方向へ付勢されている。雄型コネクター42に外力が付与されていない状態においては、バネ部材の付勢力によって垂直方向Hに対してθ°前方へ傾斜された位置、例えば、6°前方へ傾斜された位置である初期位置に保持される(図7参照)。
【0112】
雄型コネクター42は初期位置を基準として回動され、例えば、垂直方向Hに対して前側に25°傾斜される状態まで回動可能とされ、垂直方向H、即ち、0°まで後側に回動可能とされている。従って、雄型コネクター42が初期位置を基準として回動され回動された方向への力の付与が解除されたときには、バネ部材の付勢力によって、常に、初期位置(6°の状態)に戻るようにされている。
【0113】
[接続装置の接続状態]
以下に、接続装置1の他の各部との接続状態について説明する(図16参照)。
【0114】
上記のように構成された接続装置1は、例えば、車輌1000において用いられる。接続装置1は車輌1000の車内において、例えば、ダッシュボード等に取り付けられ、手動による操作の他、リモートコントロール装置50による操作によって動作される。
【0115】
接続装置1は、例えば、車載用のスピーカーユニットにデーターの出力等を行うための処理装置(デジタル・シグナル・プロセッサー・ユニット:Digital Signal Processor Unit)60に接続される。接続装置1と処理装置60の接続はケーブル70がそれぞれ接続装置1の接続コネクター34と処理装置60の接続端子とに接続されることにより行われる。
【0116】
処理装置60は増幅回路として機能するアンプ80を介して音声出力装置として機能するスピーカー90に接続され、アンプ80及びスピーカー90に対して所定の処理を行ってこれらの各部を制御する。
【0117】
接続装置1から出力された音声データーは処理装置60に送出され、処理装置60から出力されてアンプ80によって増幅されてスピーカー90から高品質の音声として出力される。
【0118】
[接続装置に対する電子機器の着脱動作]
以下に、接続装置1に対する電子機器100、200の着脱動作について説明する(図17乃至図32参照)。
【0119】
電子機器100、200が接続される前の状態においては、付勢バネ26の付勢力によってアジャスター27が前方の移動端に位置されている(図17及び図18参照)。このときアジャスター27は上側筐体6の基板部14に設けられた移動規制部14c、14c、・・・の前側に離隔して位置されている(図18参照)。
【0120】
電子機器100、200が接続される前の状態においては、雄型コネクター42が初期位置にあり、ホルダー3のベース部23が延びる方向(上下方向)に対して、例えば、6°前方、即ち、規制突部22側へ傾斜されて位置されている(図19参照)。このとき上側筐体6は下側筐体7に対して上方へ移動されて上方の移動端に位置されている。
【0121】
先ず、電子機器100の着脱動作について説明する(図19乃至図25参照)。
【0122】
電子機器100は上側の保持突部24との干渉を回避するために稍前方に傾けられた状態で上方側からホルダー3のベース部23に沿うようにして下方側へ移動され(図19参照)、雌型コネクター101が雄型コネクター42に接続される(図20参照)。
【0123】
このとき雄型コネクター42が規制突部22側へ傾斜されているため、電子機器100の雌型コネクター101に雄型コネクター42を挿入し易く、雄型コネクター42に対する雌型コネクター101の良好な着脱動作及び接続状態を確保することができる。
【0124】
次に、電子機器100を後方に押圧し、電子機器100をベース部23に平行な状態とする(図21参照)。このとき電子機器100によってアジャスター27が押圧され、付勢バネ26が圧縮されてアジャスター27が付勢バネ26の付勢力に反して後方へ移動され(図22参照)、付勢バネ26の付勢力によって調整部28が電子機器100の背面に押し付けられる。
【0125】
アジャスター27が後方へ移動されるときには、アジャスター27はフロントパネル19に設けられた案内部19b、19b、・・・に案内される(図23参照)。
【0126】
従って、アジャスター27が前後方向に対して傾くことがなく、アジャスター27の円滑な移動動作を確保することができる。
【0127】
電子機器100が後方へ押圧されるときには、電子機器100は下端部を支点とするように回動され、このとき雄型コネクター42が回動部材41と一体になって回動される。このように雄型コネクター42は回動される構成にされているため、電子機器100が後方へ押圧されるときに雄型コネクター42に負荷が付与されることがなく、電子機器100が後方へ押圧されたときの雄型コネクター42の変形を防止することができる。
【0128】
電子機器100がベース部23に平行な状態とされたときには、雄型コネクター42は垂直方向H(角度0°)まで回動される。
【0129】
電子機器100がベース部23に平行な状態とされたときには、アジャスター27のフランジ部29の後面が移動規制部14c、14c、・・・の前面に近接して位置される(図23参照)。
【0130】
次いで、上側筐体6を下側筐体7に対して下方へ移動させる(図24参照)。上側筐体6が下方へ移動されると、上側筐体6における保持突部24の前端部に設けられた位置規制突部10aに電子機器100の上端部の前縁が係合される。従って、電子機器100がホルダー3に保持される。このとき電子機器100にはアジャスター27を介して付勢バネ26の付勢力が付与されているため、位置規制突部10aに電子機器100の上端部の前縁が押し付けられ位置規制突部10aに電子機器100が係合された状態が保持される。
【0131】
電子機器100がホルダー3に保持された状態においては、電子機器100がベース部23に平行な状態にされている。電子機器100がホルダー3に保持された状態において、処理装置60に対して電子機器100に記録された音楽データーの出力が行われる。
【0132】
電子機器100を接続装置1から取り出すときには、先ず、上側筐体6を下側筐体7に対して上方へ移動させる。上側筐体6が上方へ移動されると、上側筐体6における保持突部24の前端部に設けられた位置規制突部10aと電子機器100の上端部の前縁との係合が解除されて付勢バネ26の付勢力によってアジャスター27が前方へ移動され、電子機器100がアジャスター27によって前方へ押圧される。
【0133】
電子機器100がアジャスター27によって前方へ押圧されると、電子機器100は下端部を支点とするように回動され、電子機器100が前側に傾斜され、このとき雄型コネクター42が回動部材41と一体になって回動される。このように雄型コネクター42は回動される構成にされているため、電子機器100が前方へ押圧されるときに雄型コネクター42に負荷が付与されることがなく、電子機器100が前方へ押圧されたときの雄型コネクター42の変形を防止することができる。
【0134】
次いで、電子機器100を把持して電子機器100をさらに前側に傾斜させる(図25参照)。電子機器100がさらに前側に傾斜されるときにも、雄型コネクター42が回動部材41と一体になって回動される。
【0135】
電子機器100の前側への傾斜は下端部の前面が規制突部22に接触するまで行うことが可能であり、電子機器100の下端部の前面が規制突部22に接触することにより、電子機器100の前側への傾斜が規制される。
【0136】
続いて、電子機器100が前斜め上方へ引き抜かれることにより、雌型コネクター101と雄型コネクター42の接続が解除され、電子機器100が接続装置1から取り出される。
【0137】
電子機器100が接続装置1から取り出されると、バネ部材の付勢力によって雄型コネクター42が初期位置に戻る(図19参照)。
【0138】
上記したように、接続装置1にあっては、雄型コネクター42が初期位置を基準として反対方向へ回動可能とされ、雄型コネクター42を初期位置に向けて付勢するバネ部材を設けている。
【0139】
従って、電子機器100が接続装置1に接続される前の状態において、常に、雄型コネクター42が初期位置に保持されているため、電子機器100、200の接続装置1に対する取付動作を容易に行うことができる。
【0140】
次に、電子機器200の着脱動作について説明する(図26乃至図30参照)。電子機器200は厚みが電子機器100の厚みより厚くされている。
【0141】
電子機器200は、電子機器100の場合と同様に、上側の保持突部24との干渉を回避するために稍前方に傾けられた状態で上方側からホルダー3のベース部23に沿うようにして下方側へ移動され、雌型コネクター201が雄型コネクター42に接続される。
【0142】
このとき雄型コネクター42が規制突部22側へ傾斜されているため、電子機器200の雌型コネクター201に雄型コネクター42を挿入し易く、雄型コネクター42に対する雌型コネクター201の良好な着脱動作及び接続状態を確保することができる。
【0143】
次に、電子機器200を後方に押圧し、電子機器200をベース部23に平行な状態に近付けていく(図26参照)。このとき電子機器200によってアジャスター27が押圧され、付勢バネ26が圧縮されてアジャスター27が付勢バネ26の付勢力に反して後方へ移動され(図27参照)、付勢バネ26の付勢力によって調整部28が電子機器200の背面に押し付けられる。
【0144】
アジャスター27が後方へ移動されるときには、アジャスター27はフロントパネル19に設けられた案内部19b、19b、・・・に案内される。
【0145】
従って、アジャスター27が前後方向に対して傾くことがなく、アジャスター27の円滑な移動動作を確保することができる。
【0146】
電子機器200が後方へ押圧されるときには、電子機器200は下端部を支点とするように回動され、このとき雄型コネクター42が回動部材41と一体になって回動される。このように雄型コネクター42は回動される構成にされているため、電子機器200が後方へ押圧されるときに雄型コネクター42に負荷が付与されることがなく、電子機器200が後方へ押圧されたときの雄型コネクター42の変形を防止することができる。
【0147】
電子機器200がベース部23に平行な状態に近付いていくと、アジャスター27のフランジ部29の後面が移動規制部14c、14c、・・・の前面に接触し、アジャスター27の後方への移動が規制される(図27参照)。
【0148】
引き続き電子機器200は後方へ押圧されてベース部23に平行な状態にされる(図28参照)。このときアジャスター27は移動規制部14c、14c、・・・によって後方への移動が規制されているため、アジャスター27は電子機器200によって弾性変形部33が後方へ押圧されて他の部分に対して弾性変形される(図29及び図30参照)。弾性変形部33が弾性変形されるときには、電子機器200によって接触部31が後方へ移動されるため、付勢バネ26がさらに圧縮される。
【0149】
上記したように、弾性変形部33はエラストマー等のゴム材料によって形成されているため、アジャスター27が電子機器200によって後方へ押圧されたときに弾性変形部33を確実に弾性変形させることができる。
【0150】
また、アジャスター27のフランジ部29を樹脂材料又は金属材料によって形成しているため、アジャスター27の剛性が高くなり、アジャスター27が電子機器100、200によって押圧されたときに塑性変形することがなく、アジャスター27の良好な機能性を確保することができる。
【0151】
さらに、弾性変形部27は移動規制部14c、14c、・・・によってアジャスター27の移動が規制された状態において弾性変形されるため、アジャスター27の移動量が少なくて済み、その分、アジャスター27の小型化を確保することができる。
【0152】
加えて、アジャスター27は外周部32が後方へ行くに従って外方へ変位するように緩やかに傾斜されているため、弾性変形部33が弾性変形された状態において弾性変形部33がフロントパネル19の挿入配置孔19aから外側にはみ出してしまうことがない(図29及び図30参照)。従って、電子機器200の後面とフロントパネル19の前面との間に弾性変形部33の一部が挟まれるようなことがなく、電子機器200のホルダー3に対する適正な保持状態を確保することができると共にアジャスター27の傷付きや破損を防止することができる。
【0153】
電子機器200がベース部23に平行な状態とされたときには、雄型コネクター42は垂直方向H(角度0°)まで回動される。
【0154】
次いで、上側筐体6を下側筐体7に対して下方へ移動させる。上側筐体6が下方へ移動されると、上側筐体6における保持突部24の前端部に設けられた位置規制突部10aに電子機器200の上端部の前縁が係合される。従って、電子機器200がホルダー3に保持される。このとき電子機器200にはアジャスター27を介して付勢バネ26の付勢力及び弾性変形部33の弾性力が付与されているため、位置規制突部10aに電子機器200の上端部の前縁が押し付けられ位置規制突部10aに電子機器200が係合された状態が保持される。
【0155】
電子機器200がホルダー3に保持された状態においては、電子機器200がベース部23に平行な状態にされている。電子機器200がホルダー3に保持された状態において、処理装置60に対して電子機器200に記録された音楽データーの出力が行われる。
【0156】
電子機器200を接続装置1から取り出すときには、先ず、上側筐体6を下側筐体7に対して上方へ移動させる。上側筐体6が上方へ移動されると、上側筐体6における保持突部24の前端部に設けられた位置規制突部10aと電子機器200の上端部の前縁との係合が解除されて弾性変形部33の弾性力及び付勢バネ26の付勢力によってアジャスター27が前方へ移動され、電子機器200がアジャスター27によって前方へ押圧される。
【0157】
アジャスター27は弾性変形部33が弾性復帰して元の状態に戻る。
【0158】
電子機器200がアジャスター27によって前方へ押圧されると、電子機器200は下端部を支点とするように回動され、電子機器200が前側に傾斜され、このとき雄型コネクター42が回動部材41と一体になって回動される。このように雄型コネクター42は回動される構成にされているため、電子機器200が前方へ押圧されるときに雄型コネクター42に負荷が付与されることがなく、電子機器200が前方へ押圧されたときの雄型コネクター42の変形を防止することができる。
【0159】
次いで、電子機器200を把持して電子機器200をさらに前側に傾斜させる。電子機器200がさらに前側に傾斜されるときにも、雄型コネクター42が回動部材41と一体になって回動される。
【0160】
電子機器200の前側への傾斜は下端部の前面が規制突部22に接触するまで行うことが可能であり、電子機器200の下端部の前面が規制突部22に接触することにより、電子機器200の前側への傾斜が規制される。
【0161】
続いて、電子機器200が前斜め上方へ引き抜かれることにより、雌型コネクター201と雄型コネクター42の接続が解除され、電子機器200が接続装置1から取り出される。
【0162】
電子機器200が接続装置1から取り出されると、バネ部材の付勢力によって雄型コネクター42が初期位置に戻る(図19参照)。
【0163】
上記したように、接続装置1にあっては、雄型コネクター42が初期位置を基準として反対方向へ回動可能とされ、雄型コネクター42を初期位置に向けて付勢するバネ部材を設けている。
【0164】
従って、電子機器200が接続装置1に接続される前の状態において、常に、雄型コネクター42が初期位置に保持されているため、電子機器100、200の接続装置1に対する取付動作を容易に行うことができる。
【0165】
尚、上記には、保護カバー300、400がそれぞれ取り付けられていない電子機器100、200の接続装置1に対する着脱動作について説明したが、電子機器100、200は保護カバー300、400がそれぞれ取り付けられた状態においても接続装置1に対して着脱可能である。
【0166】
保護カバー300が取り付けられた電子機器100が接続装置1に取り付けられた状態においては、付勢バネ26の付勢力によって調整部28が電子機器100に取り付けられた保護カバー300に押し付けられる。このときアジャスター27のフランジ部29の後面が移動規制部14c、14c、・・・の前面に近接又は接触した状態で位置される。
【0167】
また、保護カバー400が取り付けられた電子機器200が接続装置1に取り付けられた状態においては、付勢バネ26の付勢力及び弾性変形部33の弾性力によって調整部28が電子機器200に取り付けられた保護カバー400に押し付けられる(図31参照)。このときアジャスター27の弾性変形部33は、接続装置1に保護カバー400が取り付けられていない電子機器200が取り付けられた場合よりも大きく弾性変形される(図32参照)。
【0168】
[まとめ]
以上に記載した通り、接続装置1にあっては、アジャスター27の一部が電子機器100、200に押圧されて弾性変形される弾性変形部33として設けられ、電子機器100、200がホルダー3に保持されるときに電子機器100、200の大きさに応じてアジャスター27が移動されて付勢バネ26が弾性変形され又はアジャスター27が移動されて付勢バネ26と弾性変形部33が弾性変形される。
【0169】
従って、大きさの大きい電子機器200がホルダーに保持されるときにはアジャスター27が所定の位置まで後方へ移動されると共に後方へ移動された所定の位置において弾性変形部33が弾性変形されるため、アジャスター27が一定以上には移動されることがなく、その分、接続装置1の他の構造の十分な配置スペースが確保され、小型化を確保した上で大きさの異なる電子機器100、200を保持することができる。
【0170】
また、接続装置1にあっては、電子機器100、200及び保護カバー300、400がそれぞれ取り付けられた電子機器100、200の接続装置1に対する着脱を、常に同じ作業によって行うことができ、電子機器100、200をホルダー3に容易に着脱することができる。
【0171】
さらに、接続装置1にあっては、付勢バネ26の付勢力とアジャスター27の弾性変形部33の弾性力とによってアジャスター27の移動又は変形が行われるため、付勢バネ26の付勢力、アジャスター27の移動量及び弾性変形部33の変形の程度を適宜に設定することにより、保持される電子機器100、200に対するアジャスター27からの力(反力)を自由に変更することができる。
【0172】
従って、例えば、厚みの薄い重量の小さい電子機器100に対してはアジャスター27から小さな反力が付与されるようにし、厚みの厚い重量の大きい電子機器200に対してはアジャスター27から大きな反力が付与されるようにすることが可能である。
【0173】
また、アジャスター27の移動方向が電子機器100、200の厚み方向にされているため、電子機器100、200の厚み方向において接続装置1の小型化を確保した上で厚みの異なる電子機器100、200を保持することができる。
【0174】
さらに、アジャスター27はエラストマー等のゴム材料によって形成された部分と樹脂材料又は金属材料によって形成された部分とによって構成され、両者が一体に形成されているため、アジャスター27を容易に形成することができると共に部品点数の削減が図られ、その分、接続装置1の製造コストの低減を図ることができる。
【0175】
さらにまた、アジャスター27を案内する案内部19b、19b、・・・がホルダー3に一体に形成されているため、部品点数の削減を図ることができる。
【0176】
また、アジャスター27の移動を規制する移動規制部14c、14c、・・・がホルダー3に一体に設けられているため、一層の部品点数の削減を図ることができる。
【0177】
加えて、接続装置1にあっては、ホルダー3にアジャスター27を支持するベース部23とベース部23の上下両端部からそれぞれ略同じ方向へ突出されそれぞれ電子機器100、200の上下両端部に係合して電子機器100、200を挟持する一対の保持突部24、25とが設けられている。
【0178】
従って、電子機器100、200を確実かつ容易にホルダー3に保持させることができる。
【0179】
[本技術]
本技術は、以下のような構成とすることができる。
【0180】
(1)電子機器を保持するホルダーと、前記ホルダーに所定の方向へ移動自在に支持されると共に前記ホルダーに保持された前記電子機器に接触されるアジャスターと、前記ホルダーに保持された前記電子機器に前記アジャスターを押し付ける方向へ付勢する付勢バネとを備え、前記アジャスターの少なくとも一部が前記電子機器に押圧されて弾性変形可能な弾性変形部として設けられ、前記電子機器が前記ホルダーに保持されるときに前記電子機器の大きさに応じて前記アジャスターが移動されて前記付勢バネが弾性変形され又は前記アジャスターが移動されて前記付勢バネと前記弾性変形部が弾性変形されるようにした接続装置。
【0181】
(2)前記所定の方向が前記電子機器の厚み方向にされた前記(1)に記載の接続装置。
【0182】
(3)前記アジャスターに弾性変形部から外方へ張り出されたフランジ部が設けられ、前記フランジ部を樹脂材料又は金属材料によって形成した前記(1)又は前記(2)に記載の接続装置。
【0183】
(4)前記アジャスターの弾性変形部と前記弾性変形部以外の部分とを一体に形成した前記(3)に記載の接続装置。
【0184】
(5)前記弾性変形部をゴム材料によって形成した前記(1)から前記(4)の何れかに記載の接続装置。
【0185】
(6)前記アジャスターを前記所定の方向へ案内する案内部を設けた前記(1)から前記(5)の何れかに記載の接続装置。
【0186】
(7)前記案内部を前記ホルダーに一体に設けた前記(6)に記載の接続装置。
【0187】
(8)前記電子機器が前記ホルダーに保持されたときに前記アジャスターの前記所定の方向における一定量以上の移動を規制する移動規制部を設け、前記移動規制部によって前記アジャスターの移動が規制された状態において前記弾性変形部が弾性変形可能とされた前記(1)から前記(7)の何れかに記載の接続装置。
【0188】
(9)前記移動規制部を前記ホルダーに一体に設けた前記(8)に記載の接続装置。
【0189】
(10)前記アジャスターが前記電子機器に接触される接触部と前記接触部の外周縁から突出された外周部とを有し、前記ホルダーに前記アジャスターの一部が挿入されて配置される挿入配置孔が形成され、前記外周部が前記接触部から離隔するに従って外形が大きくなる形状に形成された前記(1)から前記(9)の何れかに記載の接続装置。
【0190】
(11)前記ホルダーに前記アジャスターを支持するベース部と前記ベース部の両端部からそれぞれ略同じ方向へ突出され前記電子機器の両端部に係合して前記電子機器を挟持する一対の保持突部とを設けた前記(1)から前記(10)の何れかに記載の接続装置。
【0191】
上記した技術の最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本技術を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】図2乃至図32と共に本技術接続装置を示すものであり、本図は、接続装置と接続装置に接続される厚みの異なる電子機器を示す斜視図である。
【図2】保護カバーが取り付けられた各電子機器を示す斜視図である。
【図3】接続装置をスタンドとホルダーを分離して示す斜視図である。
【図4】接続装置の一部を示す分解斜視図である。
【図5】上側筐体の内側構造部を示す拡大正面図である。
【図6】下側筐体のフロントパネルの上部を示す拡大背面図である。
【図7】接続装置の側面図である。
【図8】接続装置の正面図である。
【図9】図10乃至図12と共にアジャスターを示すものであり、本図は、拡大正面図である。
【図10】拡大側面図である。
【図11】図9のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】図9のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図8のA−A線に沿う断面図である。
【図14】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図15】図7とは反対方向から見た状態で示す接続装置の側面図である。
【図16】接続装置の他の各部との接続状態を示すブロック図である。
【図17】図18乃至図32と共に接続装置に対する電子機器の着脱動作を示すものであり、本図は、電子機器が接続装置に接続される前の状態を示す拡大断面図である。
【図18】電子機器が接続装置に接続される前の状態を示す図17とは別の拡大断面図である。
【図19】厚みの薄い電子機器の接続装置への取付が開始された直後の状態を示す側面図である。
【図20】厚みの薄い電子機器の雌型コネクターが雄型コネクターに接続された状態を示す側面図である。
【図21】厚みの薄い電子機器が後方へ押圧されベース部と平行にされた状態を示す側面図である。
【図22】厚みの薄い電子機器によってアジャスターが押圧されて移動された状態を示す拡大断面図である。
【図23】厚みの薄い電子機器によってアジャスターが押圧されて移動された状態を示す図22とは異なる拡大断面図である。
【図24】厚みの薄い電子機器がホルダーに保持されて接続装置に接続された状態を示す側面図である。
【図25】厚みの薄い電子機器の接続装置からの取出時に、電子機器が前方に傾けられた状態を示す側面図である。
【図26】厚みの厚い電子機器の雌型コネクターが雄型コネクターに接続された状態においてアジャスターが電子機器によって押圧されて移動されている状態を示す側面図である。
【図27】アジャスターの後方への移動が規制された状態を示す拡大断面図である。
【図28】厚みの厚い電子機器がホルダーに保持されて接続装置に接続された状態を示す側面図である。
【図29】アジャスターが厚みの厚い電子機器によって後方へ押圧されて弾性変形部が弾性変形された状態を示す拡大断面図である。
【図30】アジャスターが厚みの厚い電子機器によって後方へ押圧されて弾性変形部が弾性変形された状態を示す図29とは異なる拡大断面図である。
【図31】保護カバーが取り付けられた厚みの厚い電子機器がホルダーに保持されて接続装置に接続された状態を示す側面図である。
【図32】保護カバーが取り付けられた厚みの厚い電子機器によってアジャスターが後方へ押圧されて弾性変形部が弾性変形された状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0193】
1…接続装置、3…ホルダー、14c…移動規制部、19a…挿入配置孔、19c…案内部、23…ベース部、24…保持突部、25…保持突部、26…付勢バネ、27…アジャスター、29…フランジ部、31…接触部、32…外周部、33…弾性変形部、100…電子機器、200…電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を保持するホルダーと、
前記ホルダーに所定の方向へ移動自在に支持されると共に前記ホルダーに保持された前記電子機器に接触されるアジャスターと、
前記ホルダーに保持された前記電子機器に前記アジャスターを押し付ける方向へ付勢する付勢バネとを備え、
前記アジャスターの少なくとも一部が前記電子機器に押圧されて弾性変形可能な弾性変形部として設けられ、
前記電子機器が前記ホルダーに保持されるときに前記電子機器の大きさに応じて前記アジャスターが移動されて前記付勢バネが弾性変形され又は前記アジャスターが移動されて前記付勢バネと前記弾性変形部が弾性変形されるようにした
接続装置。
【請求項2】
前記所定の方向が前記電子機器の厚み方向にされた
請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記アジャスターに弾性変形部から外方へ張り出されたフランジ部が設けられ、
前記フランジ部を樹脂材料又は金属材料によって形成した
請求項1に記載の接続装置。
【請求項4】
前記アジャスターの弾性変形部と前記弾性変形部以外の部分とを一体に形成した
請求項3に記載の接続装置。
【請求項5】
前記弾性変形部をゴム材料によって形成した
請求項1に記載の接続装置。
【請求項6】
前記アジャスターを前記所定の方向へ案内する案内部を設けた
請求項1に記載の接続装置。
【請求項7】
前記案内部を前記ホルダーに一体に設けた
請求項6に記載の接続装置。
【請求項8】
前記電子機器が前記ホルダーに保持されたときに前記アジャスターの前記所定の方向における一定量以上の移動を規制する移動規制部を設け、
前記移動規制部によって前記アジャスターの移動が規制された状態において前記弾性変形部が弾性変形可能とされた
請求項1に記載の接続装置。
【請求項9】
前記移動規制部を前記ホルダーに一体に設けた
請求項8に記載の接続装置。
【請求項10】
前記アジャスターが前記電子機器に接触される接触部と前記接触部の外周縁から突出された外周部とを有し、
前記ホルダーに前記アジャスターの一部が挿入されて配置される挿入配置孔が形成され、
前記外周部が前記接触部から離隔するに従って外形が大きくなる形状に形成された
請求項1に記載の接続装置。
【請求項11】
前記ホルダーに前記アジャスターを支持するベース部と前記ベース部の両端部からそれぞれ略同じ方向へ突出され前記電子機器の両端部に係合して前記電子機器を挟持する一対の保持突部とを設けた
請求項1に記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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