説明

接触式測定装置

【課題】測定する時に安定した圧力を提供し、且つ測定ヘッドの振動を防止することができる接触式測定装置を提供する。
【解決手段】接触式測定装置100は、ガイドレール30、40と、前記ガイドレール30、40に設置されるスライドアセンブリ50と、前記スライドアセンブリ50に固定される測定ヘッド60と、を備え、前記スライドアセンブリ50の重力によって測量圧力を提供する。前記スライドアセンブリ50は、前記スライドアセンブリ50に着脱可能に装着される重力調節アセンブリ56を更に備え、前記重力調節アセンブリ56の重さを変えることによって測量圧力を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置に係り、特に接触式測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品の加工過程において、通常、接触式又は非接触式の測定装置を用いて、部品の平面度や表面粗度等を測定する。接触式測定装置を用いると、測定される部品の表面に圧力を印加する必要があり、且つ異なる部品によって適正な圧力を選択する必要がある。
【0003】
従来の接触式測定装置は、ほぼスプリングの弾力を測量圧力とするが、スプリングの弾力とその変形量との間に線形的な関係があるため、測定する時に安定した圧力を提供できないため、測定の誤差が増大する可能性がある。
【0004】
又、気圧を測量圧力とする接触式測定装置には、測定ヘッドを駆動するための2つの駆動用エアシリンダーが並列に設置されており、前記駆動用エアシリンダーの両端には、それぞれ気体を供給するための進気口及び排気口が設置されている。前記接触式測定装置は、安定した圧力を提供することができ、且つ測量圧力を変え易いという利点を有するが、一定の圧力がかけられた気体の流速が速いため、このような接触式測定装置を使用する場合、駆動用エアシリンダーの進気口及び排気口に大きな騒音が発生し、且つ気体の渦流により測定ヘッドの振動が発生し易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題に鑑みて、本発明は、測定する時に安定した圧力を提供し、且つ測定ヘッドの振動を防止することができる接触式測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る接触式測定装置は、ガイドレールと、前記ガイドレールに設置されるスライドアセンブリと、前記スライドアセンブリに固定される測定ヘッドと、を備え、前記スライドアセンブリの重力によって測量圧力を提供する。前記スライドアセンブリは、前記スライドアセンブリに着脱可能に装着される重力調節アセンブリを更に備え、前記重力調節アセンブリの重さを変えることによって測量圧力を調節する。
【0007】
本発明に係る接触式測定装置は、ガイドレールと、前記ガイドレールに設置されるスライドアセンブリと、前記スライドアセンブリに固定される測定ヘッドと、を備える。前記スライドアセンブリは、重力調節アセンブリを更に備える。前記重力調節アセンブリは、前記スライドアセンブリに固定される連接部材及び前記連接部材に着脱可能に装着される重りを備える。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術と比べて、本発明に係る接触式測定装置は、スライドアセンブリに着脱可能な重力調節アセンブリを設置して、前記重力調節アセンブリの重さを変えることによって測定時に必要とされる圧力を調節することにより、測定の精度を保障する。又、前記重力調節アセンブリは前記スライドアセンブリに固定されるので、測定ヘッドの振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態に係る接触式測定装置の立体分解図である。
【図2】図1に示す接触式測定装置のスライドアセンブリの立体構造図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る接触式測定装置の立体分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る接触式測定装置に関して詳細に説明する。
【0011】
図1を参照すると、本発明の第一実施形態に係る接触式測定装置100は、台座10と、前記台座10に固定されるセンサー20と、第一ガイドレール30と、第二ガイドレール40と、前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40に滑動可能に装着されるスライドアセンブリ50と、前記スライドアセンブリ50に固定される測定ヘッド60及び測定尺70と、前記台座10を覆うフレーム80と、を備える。
【0012】
前記台座10は、第一基板11と、前記第一基板11の対向する2つの縁部から前記第一基板11と直交する方向へ延伸する第二基板13及び第三基板15と、前記第一基板11の内表面の中部から凸設される固定板17と、を備える。前記第二基板13の中部には、デジタルコントロールマシンツール(Digital control machine tool)(図示せず)に接続するための接続端子131が設置されている。前記第三基板15には、前記測定ヘッド60を通すための貫通孔151が開設されている。前記固定板17は、前記第二基板13よりも前記第三基板15に近い位置で前記第三基板15と直交している。
【0013】
前記センサー20は、前記第三基板15よりも前記第二基板13に近い位置で前記第一基板11に固定されており、前記測定尺70の目盛りを読み取ることに用いられる。
【0014】
前記第一ガイドレール30は、前記固定板17に固定されるエア式のガイドレールであって、略矩形状であって、且つ前記第一ガイドレール30を貫通するガイド孔31を有する。
【0015】
前記第二ガイドレール40は、前記固定板17に固定されるエア式のガイドレールである。前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40は、それぞれ前記固定板17の対向する両側に設置される。前記第二ガイドレール40にもそれを貫通するガイド孔41が開設されており、前記ガイド孔41の軸方向は、前記第一ガイドレール30のガイド孔31の軸方向と平行である。前記前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40をそれぞれ前記固定板17の両側に固定する時に前記固定板17の左右の重量のバランスを確保するために、前記第一ガイドレール30と前記第二ガイドレール40の構造及び重量はほぼ一致する。しかし、前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40を製造する時、前記2つのガイドレール30,40の重量が完全に一致することを確保することができないので、前記2つのガイドレール30,40に調節部材33を設置することによって、両者の重力のバランスを調節する。本実施形態において、前記調節部材33は、ねじであって、調節するのに便利なように、前記調節部材33を前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40の外側に設置する。
【0016】
図2を一緒に参照すると、前記スライドアセンブリ50は、並列に設置される第一ガイド部材51及び第二ガイド部材52と、前記第一ガイド部材51と前記第二ガイド部材52を接続する第一固定部材53及び第二固定部材54と、前記第一固定部材53に接続される接続部材55と、前記接続部材55に着脱可能に装着される重力調節アセンブリ56と、を備える。
【0017】
前記第一ガイド部材51は、前記第一ガイドレール30のガイド孔31を通り抜ける円柱体であって、その両端は、別々に前記第一固定部材53と前記第二固定部材54に接続される。前記第一ガイド部材51の軽量化を図るために中空構造を採用する。
【0018】
前記第二ガイド部材52は、前記第二ガイドレール40のガイド孔41を通り抜ける円柱体であって、その両端は、別々に前記第一固定部材53と前記第二固定部材54に接続されており、且つ前記第一ガイド部材51に平行である。前記第二ガイド部材52の軽量化を図るために中空構造を採用する。
【0019】
前記第一固定部材53は、本体531と、板材533と、前記本体531と前記板材533を連接するねじ535と、を備える。前記本体531の両端には、それぞれ1つの係止溝5311が開設されており、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52の一端は別々に前記2つの係止溝5311に係止される。前記ねじ535で前記板材533を前記本体531に固定することにより、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52を前記第一固定部材53に固定する。前記係止溝5311は、V型凹溝であって、前記板材533と組み合わせて前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52の回転を防止する。
【0020】
前記第二固定部材54は、前記第一固定部材53と同じ構造であって、本体541と、板材543と、前記本体541と前記板材543を連接するねじ545と、を備える。前記本体541の両端には、それぞれ1つの係止溝5411が開設されており、前記2つの係止溝5411は、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52の他端を別々に固定することに用いられる。前記係止溝5411は、V型凹溝であって、前記板材543と組み合わせて前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52の回転を防止する。
【0021】
前記接続部材55は、第一接続板551及び前記第一接続板551の1つの縁部から前記第一接続板551と直交する方向へ延伸する第二接続板553を備え、前記第一接続板551は、前記第一固定部材53の中部に固定される。
【0022】
前記重力調節アセンブリ56は、前記接続部材55の第二接続板553の中部に着脱可能に装着される。本実施形態において、前記重力調節アセンブリ56は、ボルト561及び前記ボルト561に螺着されるナット563を備え、異なる重さのナット563を選択することにより、前記重力調節アセンブリ56全体の重さを調節することができる。
【0023】
前記測定ヘッド60は、前記第二固定部材54の中部に固定され、その端部は、前記台座10の第三基板15の貫通孔151を通り抜けて外部の被測定部品(図示せず)を測定する。
【0024】
前記測定尺70は、前記接続部材55の第二接続板553の自由端に固定され、且つ前記センサー20の中に挿入されるため、前記センサー20によって前記測定尺70の目盛りを読み取ることができる。前記測定尺70は、粘着、螺子止め等の方式により前記第二接続板553に固定されるが、本実施形態においては、粘着方式を採用する。
【0025】
前記フレーム80は、前記台座10の外部に装着されて前記台座10に固定された各部品を保護するとともに、防塵機能を有する。
【0026】
前記第一ガイドレール30と前記第二ガイドレール40との間の重力のバランス及び前記スライドアセンブリ50内部の重力のバランスを必要とするため、前記スライドアセンブリ50は対称構造を採用して、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52は、それぞれ前記第一ガイドレール30のガイド孔31及び前記第二ガイドレール40のガイド孔41と同軸である。
【0027】
本発明の第一実施形態に係る接触式測定装置100を用いて部品を測定する時、先ず前記重力調節アセンブリ56の重さを調節して適正な圧力を提供する。次に、前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40に気体を注入して、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52を前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40から分離させる。これによって、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52が前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40に対して滑動する時に摩擦力が発生しなく、測定の正確度を確保する。
【0028】
前記スライドアセンブリ50の重力を前記接触式測定装置100の測量圧力とし、且つ前記重力調節アセンブリ56は前記スライドアセンブリ50に固定されるので、前記測定ヘッド60の振動を防止することができる。又、前記重力調節アセンブリ56は前記スライドアセンブリ50に着脱可能に固定されるので、前記重力調節アセンブリ56の重さを調節することにより、測量圧力を簡単に変えることができる。
【0029】
前記重力調節アセンブリ56を前記第一固定部材53又は前記第二固定部材54の任意の位置に固定することができ、その数量も複数であることができるが、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材52が前記第一ガイドレール30及び前記第二ガイドレール40に対して滑動する時における摩擦力の発生を防止するために、前記スライドアセンブリ50内部の重力のバランスを保持する必要がある。
【0030】
前記重力調節アセンブリ56は、前記ボルト561と前記ナット563の組み合わせに制限されるものではなく、分銅と分銅杆の組み合わせのような他の連接部材と異なる重さの重りの組み合わせを採用してもよい。又、前記接続部材を直接に前記スライドアセンブリ50に固定して重りだけを着脱可能に設置してもよい。
【0031】
又、ただ1つのガイドレールを用いるか又は前記第一ガイドレール30と前記第二ガイドレール40を一体にして、前記1つのガイドレール又は前記一体になったガイドレールに平行する2つの貫通孔を開設して、前記第一ガイド部材51及び前記第二ガイド部材5を前記2つの貫通孔に別々に挿通させることができる。
【0032】
前記スライドアセンブリ50は、前記第一ガイド部材51以外の他の部品を省略して前記第一ガイド部材51だけで形成されてもよい。こうすると、前記重力調節アセンブリ56及び前記測定尺70を前記第一ガイド部材51の一端に直接に固定して、前記測定ヘッド60を前記第一ガイド部材51の他端に直接に固定することができる。
【0033】
又、前記センサー20を前記スライドアセンブリ50に連接し、前記測定尺70を前記台座10に固定することができるが、前記センサー20と前記測定尺70の一方が前記スライドアセンブリ50と一緒に滑動しなければならない。
【0034】
図3を参照すると、本発明の第二実施形態に係る接触式測定装置200は、前記第一実施形態に係る接触式測定装置100と似たような構造を有するが、前記接触式測定装置200において、重力調節アセンブリ56’は、スライドアセンブリ50’の接続部材55’の第一接続板551’に設置されて、第一固定部材53’と接続部材55’とを接続する。
【0035】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形、又は修正が可能であり、該変形、又は修正も本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
10 台座
11 第一基板
13 第二基板
131 接続端子
15 第三基板
151 貫通孔
17 固定板
20 センサー
30 第一ガイドレール
31 ガイド孔
33 調節部材
40 第二ガイドレール
41 ガイド孔
50 スライドアセンブリ
51 第一ガイド部材
52 第二ガイド部材
53 第一固定部材
531 本体
5311 係止溝
533 板材
535 ねじ
54 第二固定部材
541 本体
5411 係止溝
543 板材
545 ねじ
55 接続部材
551 第一接続板
553 第二接続板
56 重力調節アセンブリ
561 ボルト
563 ナット
60 測定ヘッド
70 測定尺
80 フレーム
100 接触式測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、前記ガイドレールに設置されるスライドアセンブリと、前記スライドアセンブリに固定される測定ヘッドと、を備え、前記スライドアセンブリの重力によって測量圧力を提供する接触式測定装置であって、
前記スライドアセンブリは、前記スライドアセンブリに着脱可能に装着される重力調節アセンブリを更に備え、前記重力調節アセンブリの重さを変えることによって、測量圧力を調節することを特徴とする接触式測定装置。
【請求項2】
前記接触式測定装置は、測定尺及びセンサーを更に備え、前記測定尺及び前記センサーの一方は、前記スライドアセンブリに固定されることを特徴とする請求項1に記載の接触式測定装置。
【請求項3】
前記ガイドレールには、更に前記ガイドレールの重さを調節してバランスを保持するための調節部材が着脱可能に装着されることを特徴とする請求項2に記載の接触式測定装置。
【請求項4】
前記ガイドレールは、エア式のガイドレールであることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の接触式測定装置。
【請求項5】
前記重力調節アセンブリは、前記スライドアセンブリを貫通するボルト及び前記ボルトに着脱可能に取り付けられるナットを備えることを特徴とする請求項4に記載の接触式測定装置。
【請求項6】
ガイドレールと、前記ガイドレールに設置されるスライドアセンブリと、前記スライドアセンブリに固定される測定ヘッドと、を備える接触式測定装置であって、
前記スライドアセンブリは、重力調節アセンブリを更に備え、前記重力調節アセンブリは、前記スライドアセンブリに固定される連接部材及び前記連接部材に着脱可能に装着される重りを備えることを特徴とする接触式測定装置。
【請求項7】
前記ガイドレールは、エア式のガイドレールであって、前記スライドアセンブリは、第一ガイド部材を備え、前記ガイドレールは、前記第一ガイド部材を滑動可能に覆い、前記連接部材及び前記測定ヘッドは、前記第一ガイド部材とともに滑動することを特徴とする請求項6に記載の接触式測定装置。
【請求項8】
前記スライドアセンブリは、前記第一ガイド部材と並列に設置される第二ガイド部材と、前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材を連接する第一固定部材及び第二固定部材と、を更に備え、前記第一固定部材及び前記第二固定部材は並列に設置され、前記ガイドレールの数量は2つであり、前記2つのガイドレールはそれぞれ前記第一ガイド部材及び前記第二ガイド部材を滑動可能に覆うことを特徴とする請求項7に記載の接触式測定装置。
【請求項9】
前記スライドアセンブリは、前記第一固定部材に連接される接続部材を更に備え、前記測定尺及び前記連接部材は前記接続部材に固定され、前記測定ヘッドは前記第二固定部材に固定されることを特徴とする請求項8に記載の接触式測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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