説明

推定センサ値を利用する流体回路の制御

流体回路(10)は、流体(15)を収容するタンク(14)と、所定の負荷設定の流体機器(24)と、流体機器(24)に加圧された流体(15)を配送するポンプ(12)と、を含む。センサ(18A−D、19A−C)は、供給圧力(P)、タンク圧力(P)、流体機器(24)の一部の位置(x,x)の少なくとも一つを計測する。コントローラ(30)は、所定の負荷設定に使用するいずれか一つのセンサの故障の場合、流体機器(24)の継続運転を保証するように、このセンサの出力値を推定するか、再構築する。出力値を推定する方法(100)は、センサ(18A−D、19A−C)を使用して出力値を検知する工程と、故障したセンサを決定するために、コントローラ(30)を使用して出力値を処理する工程と、所定の負荷設定に使用する故障したセンサの推定出力値を計算する工程と、を含む。流体機器(24)の運転は、故障したセンサが修理されるまで、推定出力値を使用して維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気−流体システムの制御に関するものであり、特に、故障した圧力センサまたは位置センサを有する電気‐流体システムまたは流体回路の制御および運転を維持する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気‐流体システムまたは流体回路は、種々の電気作動式装置および流体作動式装置を単独に或いは組み合わせて利用して、オープンループまたはクローズドループフィードバック制御を提供している。特に、クローズドループシステムでは、フィードバック機構またはセンサは、回路の出力値を監視するために使用することができる。各センサは、計測した出力に比例する信号を発生することができ、また、適宜の制御ロジック装置またはコントローラを使用して、出力が特定の入力信号またはコマンド信号と比較され、調整ステップまたは制御ステップが要求されているかどうかを決定することができる。電気流体式流体回路に使用するセンサには、通常、圧力トランスデューサ、温度センサ、位置センサなどが含まれる。
【0003】
従来の流体回路では、流体回路の正確な運転制御は、種々の計測出力値または検出出力値を継続的に処理することによって維持することができる。供給圧力およびタンク圧力と同様に、回路内で使用される制御バルブの特定のポートまたはチャンバ、シリンダ、または、流体モータを作動させる圧力は、制御ユニットまたはコントローラに継続的に供給することができる。しかしながら、必要な圧力センサおよび位置センサのいずれかに故障が発生した場合や何らかの理由で正常に機能しなくなった場合には、従来の流体回路内では、システム制御が失われてしまうか、或いは重大な障害を発生してしまうことがありうる。特定のコードベースの方法が、センサの動作の範囲外を検出するために、または、短絡回路またはオープン回路を決定するために存在する間は、そのような方法は、通常、流体回路に利用するプロセスを一時的に停止させてしまうため、継続した流体回路の運転が必要である場合に、最適よりも小さくすることができる。
【発明の概要】
【0004】
電気流体システムまたは流体回路は、供給流体を収容するサンプ(油だめ)またはタンクと、所定の負荷設計を有する流体機器と、タンクから流体を吸引して、加圧された流体を流体機器に配送するポンプと、を含む。センサは、供給圧力、タンク圧力、および、流体機器の移動可能なスプール部または移動可能な部分の位置、同様に、流体機器に流体並列に配置された流体調整バルブなどの一つ以上の追加のバルブ位置を計測するのに適している。コントローラは、所定の負荷設定を使用する流体回路の複数のセンサのいずれか故障した一つの出力値の推定または再構築に適したアルゴリズムを備えているため、流体機器および流体回路の継続運転を保証する。
【0005】
上述したコンピュータが実行可能なアルゴリズムによって実施することができる本発明の方法を使用することにより、故障センサが存在するにもかかわらず、流体回路全体で少なくともあるレベルの制御を維持することができる。流体回路の準定常解析により、流体回路の基礎(ファンダメンタルズ)を捕らえることができる。ポンプ、リザーバまたはタンク、複数のチェックバルブおよび/または流体調整バルブ、および、シリンダ、流体モータ、または、第1および第2ワークチャンバまたはポートを有する他の装置を有する流体回路において、未知の変数Q,QおよびQfcvが存在する。ここで、Qは、シリンダの第1ワークチャンバに出入りする流量を表しており、Qは、シリンダの第2ワークチャンバに出入りする流量であり、また、Qfcvは、シリンダおよびポンプと流体並列に配置されるか接続された流体調整バルブのオリフィスを通過する流量である。本発明によれば、このように構成された流体回路は、流体回路の故障状態、すなわち、流体回路が作動中に、換言すると、流体がワークチャンバaからワークチャンバbに、または、ワークポートbからワークポートaに流れる場合に発生するセンサの故障に応じて異なる所定のセットの非線型方程式によりモデル化することができる。
【0006】
したがって、この方法は、較正した、既知の、または、所定の負荷設定、例えば、シリンダや流体モータなどの2ポート機器、対応するワークチャンバまたはワークポートを通過する流量間の関係を利用して、失われるか、または、利用できないセンサ信号を推定または再構築することができる。この方法を実施するために適した流体回路は、複数の圧力センサや位置センサからの出力値を処理して、較正された容積と測定された圧力および/または圧力計測および位置計測に関連する他の必要なデータを使用して必要な流れの情報を計算して、また、一セットの非線型方程式を使用して失われたセンサ値を推定するのに適したアルゴリズムを有するコントローラを含むことができる。次に、コントローラは、センサが診断され、修理され、または、交換される時間まで、推定値を使用して流体回路を自動的に制御する。
【0007】
より具体的には、この方法は、コントローラ、ポンプ、タンク、流体機器および流体調整バルブを有する流体回路内の複数のセンサのいずれか一つの出力値を推定するか再構築することができる。調整バルブは、流体機器と流体並列されている。この方法は、複数のセンサからの一セットの出力値を検知するステップ、故障センサの存在を決定するためにコントローラを使用して出力値を処理するステップ、また、流体機器の所定の負荷設定を使用して故障センサの推定出力値を計算するために、コントローラを使用するステップを含む。流体機器は、故障センサが修理されるか交換されて、流体回路の継続運転が保証されるまで、推定出力値を使用して制御することができる。
【0008】
上述した本発明の特徴や利点および他の特徴や利点は、添付した図面と関連する以下の本発明を実施するための最適な実施の形態の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明に従うコントローラを有する第1検知障害状態にある典型的な流体回路の略図である。
【図2】図2は、第2の検知障害状態にある図1の典型的な流体回路の略図である。
【図3】図3は、図1および図2の流体回路に使用可能な制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、これらの図を通して、同じ参照番号は同じまたは同様の構成要件に対応している。まず、図1には、以下に説明するように、第1の想定される検知障害状態にある流体回路10が示されている。流体回路10には、ポンプ(P)12と、低圧リザーバ、サンプまたはタンク14が含まれる。タンク14には、供給流体15が収容または入れられており、この流体15は、ポンプ12によって吸引され、加圧(P)された状態で、供給ライン11を経由して流体機器24に配送される。図1の典型的な実施の形態では、流体機器24は、スプールまたはピストン26を含む二重チャンバシリンダ27として構成されており、シリンダ27は、このシリンダ27およびピストン26内に形成されたワークチャンバa、bとそれぞれ連通する第1および第2のワークポート31、33を有している。
【0011】
本発明の方法を実施するための制御ロジックまたはアルゴリズム100は、コントローラ(C)30内にプログラムするか、または、記憶させて、必要に応じて下流の流体回路(FC)28にパワーを供給して、流体回路10内の種々の流体制御機器を選択的に制御することができる。下流の流体回路(FC)には、流体機械、バルブ、ピストン、アクチュエータなどのアイテム(品目)が含まれるが、これらの品目に制限されない。次に、FC28は、戻りライン13を経由してタンク14に流体連通される。
【0012】
コントローラ30は、流体回路の種々の部品(コンポーネント)と直接的に有線で通信されるか、または、無線で通信されており、以下に説明するように、センサ18A−D、19A−Cからの一セットの圧力および位置の入力信号(矢印25)を受信することができる。流体回路10は、通常、CPUと、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)などの十分なメモリを含むデジタルコンピュータとして構成することができる。コントローラ30は、高速クロック、アナログ‐デジタル(A/D)回路およびデジタル‐アナログ(D/A)回路、入出力回路およびデバイス(I/O)、また、適当な信号調整およびバッファ回路を含むことができる。図3を参照して以下に説明されるアルゴリズム100を含む、コントローラ30内に存在するか、または、それによってアクセス可能な任意のアルゴリズム、または、他の必要なアルゴリズムは、ROM内に記憶させて、必要な回路の制御機能を提供するように、コントローラ30によって自動的に実行させることができる。
【0013】
流体15は、供給圧力(P)で、供給ライン11を経由して流体回路10に入ることができる。流体調整バルブ16は、一対の圧力センサ18A、18B、例えば、圧力トランスデューサまたは他の適宜の圧力検知デバイスの間で、流体機器24と流体並列に配置される。センサ18Aは、供給圧力(P)を計測するのに適するように配置されているが、センサ18Bは、戻りライン圧力またはタンク圧力(P)を計測するのに適するように配置されている。必要に応じて、ポンプ12から流出する流体15の一部または全部は、調整バルブ16を介して流体機器24からそらして、タンク14に戻すことができる。
【0014】
流体回路10は、調整バルブ16、バルブ20およびバルブ22のそれぞれのスプールの位置を計測するのに適した位置センサ19A、19Bおよび19Cを含んでいる。付加的な圧力センサ18C、18Dは、流体機器24と流体直列に配置されている。センサ18Cは、流体機器24のワークチャンバaまたは第1ワークポート31に作用する流体圧力(P)を計測するのに適するように、第1バルブ20の下流に配置されている。第1バルブ20は、ポンプ12からの流体15を、矢印Aの方向に指向させて、ピストン26を矢印Cの方向に移動させるために流体機器24の第1ワークポート31内に流入させるのに適した任意の適宜の流体制御バルブとして構成することができる。第2バルブ22は、ワークポート33内への流体の流れを阻止する。センサ18Dは、流体機器24のワークチャンバbまたは第2ワークポート33に作用する流体圧力(P)を計測するのに適するように配置されている。
【0015】
正常な運転状態では、変数P,P,PおよびPは既知であり、対応する圧力センサ18A−18Dによって検知されるか計測される。位置変数x,xおよびxfcvもまた既知であり、位置センサ19A−Cによって検知される。変数xおよびxは、ワークチャンバaおよびbのそれぞれのピストン26の位置を示しているが、xfcvは、流体調整バルブ16のスプール部の位置を示している。上述したように、3つの未知の変数には、Q,QおよびQfcv、すなわち、第1ワークポート31、第2ワークポート33および調整バルブ16内への流量が含まれている。これらの値のために、以下の3つの関数方程式のセットを使用する唯一の解が提供される。
f1(Q,P,P,x)=0;
f2(Q,P,P,x)=0;
f3(Qfcv,P,P,xfcv)=0
例えば、f1(Q,P,P,x)は、以下の式となる。
【数1】

ここで、cは流量係数、ρは流体の密度、Aはスプール位置の関数としてのオリフィスの面積である。
【0016】
しかしながら、センサ18A−Dまたは19A−Cが故障している検知障害状態では、上述した方程式のセットは、追加の情報に頼ることなく一意的に解決することはできない。例えば、ワークポート31の圧力、すなわち、Pがセンサ18Cの故障によって利用できない場合、残りの既知の変数は、P,P,P,x,xおよびxfcvである。4つの未知の変数、すなわち、Q,QおよびQfcv、前述した未知の値Pを持つことになる。
【0017】
オブザーバベースのモデルでは、状態変数は、モデルの出力値と実際の測定値を比較することによって推定することができる。信号は、システム自体が十分に監視可能である場合だけ簡単に再構築することができる。しかしながら、オブザーバベースのモデルは、流体シリンダ内に配置されたピストンの速度、流体モータの一部、または、典型的な2ポート流体機器の任意の可動部などの未知の負荷条件の面で重大な課題を抱えることになる。
【0018】
例えば、流体回路は、次式によりモデル化することができる。
【数2】

ここで、
【数3】

は、2ポート機器の第1ポートまたは「ワークポートa」の流体圧力の変化を参照し、βは回路内で使用される流体の体積弾性率であり、Vはシリンダの容積であり、Qはワークポートaを通過する流量であり、Pは供給圧力であり、Pはチャンバaまたはワークポート31の圧力であり、また、xは、チャンバaまたはワークポート31のスプールまたはピストンのスプール位置である。
さらに、Aはシリンダの断面積であり、また、
【数4】

は、シリンダの位置の変化率、すなわち、シリンダの速度である。
【数5】

の値は、このような典型的なシリンダの未知の負荷条件である。
【0019】
アルゴリズム100を使用することにより、流体機器24の負荷設計は、さらに、未知の変数を使用して決定される制約事項を提供する。例えば、シリンダ27の両側のワークチャンバのサイズが等しい場合、図1および図2に示されるシリンダ/モータ接続に対してQ=−Qであるか、または、ワークチャンバaとbのサイズが異なる場合、Q=−(A/A)(Q)である。ここで、Aはワークチャンバaのピストンの面積であり、また、Aはワークチャンバbのピストンの面積である。そのため、アルゴリズム100は、第1の検知障害モードでは、未知の3つの変数を決定するために非線型方程式を使用することができる。したがって、センサ信号P,P,P,P,xおよびxのいずれか一つは、上記方程式を使用して推定することができる。
【0020】
図2を参照すると、図1の流体回路10は、第2の障害検知状態、すなわち、ピストン26を矢印Dの方向に移動させるためにワークポート33に流体が作用される場合で示されている。上述したように、失われたセンサ信号P,P,P,P,xおよびxのいずれか一つは、流体機器24の既知の負荷設計を使用して推定するか、または、再構築することができる。
【0021】
図1および図2の流体回路10と関連する図3を参照すると、本発明の方法は、アルゴリズム100により実行することができる。ステップ102で開始することにより、コントローラ30は、連続的に、または、指定された周期的なサイクルタイムにしたがって、それぞれのセンサ18A−Dおよび19A−Cから出力値を読み取る。通常の運転では、コントローラ30は、制御ロジックを使用してこれらの値を処理して、流体機器24および、使用している場合には、この制御ロジックに従う下流の流体回路28の任意の付加的な下流の機器を選択的に作動させる。次に、アルゴリズム100は、ステップ104に進む。
【0022】
ステップ104では、コントローラ30は、センサ18A−Dおよび19A−Cのいずれかが故障しているかどうかを決定する。故障していない場合、アルゴリズム100は終了され、ステップ102で効果的に再開され、そして、そのようなセンサの故障が存在すると決定されるまで、ステップ102とステップ104が繰り返される。センサが故障している場合、アルゴリズム100はステップ106に進む。
【0023】
ステップ106では、アルゴリズム100は、故障したセンサの値を推定するか、または、再構築する。この推定値は、図3において値(e)として示されている。例えば、センサ18Cが故障した場合、出力値Paは、結果として利用できないだろう。引き続きセンサ18Cを例とすると、未知の変数は、Q,Q,QfcvおよびPである。しかしながら、図2および図3に示されるシリンダまたはモータの接続に対してQ=−Qのような既知の負荷設定が与えられると、4つの未知の変数は3つに、すなわち、Q(またはQ)、QfcvおよびPに減少する。次に、アルゴリズム100は、値(e)を推定するために、上述したように、非線型方程式、すなわち、f1(Q,P,P,x)=0;f2(Q,P,P,x)=0;およびf3(Qfcv,P,P,xfcv)=0を使用する。
【0024】
ステップ106において、推定値(e)が決定されるか、計算されると、アルゴリズム100は、ステップ108に進んで、コントローラ30が、推定値(e)を使用して、図1および図2の流体回路10の制御を実行する。したがって、流体回路10の継続した制御が維持される。アルゴリズム100は、次に、終了することができるか、または、オプションとして、ステップ110に進むことができる。
【0025】
ステップ110において、故障したセンサの存在に注意を確実に引き込むように、アラームを作動させるか、または、他の適宜の制御操作を取ることができる。このように、センサの故障は適切に診断され、修理されるか、または、必要に応じて交換することができる。
【0026】
したがって、上述したように、図1および図2の流体回路10の一部として制御アルゴリズム100を使用することにより、流体回路10の単一のセンサの故障動作を実現することができる。負荷の設定を考慮すると、センサの故障発生時にサービスが実行されている場合、単一の故障したセンサの信号の殆どを再構築することが可能となる。サービスが停止した場合、すなわち、流体機器24の両方のワークポート31および33が閉鎖した場合には、故障したセンサの信号を正確に推定することが困難となることもある。
【0027】
本発明を実施するための最良の形態(ベストモード)を詳細に説明してきたが、当業者であれば、添付した特許請求の範囲内で本発明を実施するための様々な代替デザインや実施の形態を認識できるであろう。同様に、本発明は、好適な実施の形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から離れることなく、様々な変更を加えることができ、また、同等物により要素を置換することができることを理解するであろう。さらに、本質的な範囲から離れることなく、本発明の教示に対して、特定の状況や材料を適合させるように種々の修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられるベストモードとして開示された特定の実施の形態に限定されることはなく、添付した特許請求の範囲に属する全ての実施の形態を含むことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体(15)を収容するように構成されたタンク(14)と、
所定の負荷設定を有する流体機器(24)と、
タンク(14)から流体(15)を吸引して、加圧された流体(15)を流体機器(24)に配送するように動作可能なポンプ(12)と、
ポンプ(12)からの供給圧力(P)、タンク(14)のタンク圧力(P)および流体機器(24)の可動部(26)の位置のうちの少なくとも一つの計測にそれぞれ適した複数のセンサ(18A−D、19A−C)と、
所定の故障が一つのセンサに発生した場合に、流体機器(24)の継続運転を保証するために、所定の負荷設定に使用する複数のセンサ(18A−D、19A−C)のいずれか一つの出力値の推定に適したアルゴリズム(100)を備えるコントローラ(30)と、
を含む流体回路(10)。
【請求項2】
流体機器(24)は、シリンダ‐ピストン機器および流体モータ機器の一つである請求項1に記載の流体回路(10)。
【請求項3】
さらに、流体機器(24)と流体並列の流体調整バルブ(16)を含んでおり、この流体調整バルブ(16)は、移動可能な部分を有しており、また、複数のセンサ(18A−D、19A−C)は、流体調整バルブ(16)の可動部の位置(xfcv)を計測する第1位置センサ(19C)を含んでいる請求項1に記載の流体回路(10)。
【請求項4】
流体機器(24)は、第1および第2ワークポート(31、32)を有しており、所定の故障は、流体(15)が、ポンプ(12)から第1ワークポート(31)および第2ワークポート(32)の一方に配送された場合に発生する故障である請求項1に記載の流体回路(10)。
【請求項5】
アルゴリズム(100)は、所定の非線形方程式を使用する出力値の推定に適している
請求項1に記載の流体回路(10)。
【請求項6】
流体(15)を収容するように構成されたタンク(14)と、シリンダ(27)内に配設されたピストン(26)を有し、これらと共に第1および第2ワークポート(31、32)を形成する流体機器(24)と、スプール部を有する流体調整バルブ(16)と、タンク(14)から流体(15)を吸引して、加圧された流体(15)を第1および第2ワークポート(31、32)の一方に配送するように動作可能なポンプ(12)と、を有する流体回路(10)での使用に適した流体制御システムであって、
該流体制御システムは、
ポンプ(12)からの供給圧力(P)、タンク(14)のタンク圧力(P)、第1ワークポート(31)の第1圧力(P)および第2ワークポート(32)の第2圧力(P)のうちの一つの計測にそれぞれ適した一セットの圧力センサ(18A−D)と、
調整バルブ(16)のスプール部の位置(xfcv)とピストン(26)の位置(x,x)の計測に適した一セットの位置センサ(19A−C)と、
一つのセンサが所定の故障の場合に、流体機器(24)の継続運転を保証するために、流体機器(24)の所定の負荷設定に使用する圧力および位置センサ(18A−D、19A−C)のいずれか一つの出力値の推定に適したアルゴリズム(100)を備えるコントローラ(30)と、を含む流体制御システム。
【請求項7】
所定の負荷設計は、第1および第2ワークポート(31、32)を通る流量の比を表す較正方程式として、コントローラ(30)内でモデル化されている請求項6に記載の流体制御システム。
【請求項8】
アルゴリズム(100)は、一セットの3つの非線型方程式の解を計算することによって出力値を推定する請求項6に記載の流体制御システム。
【請求項9】
各非線型方程式は、流体機器(24)および流体調整バルブ(16)の一方を通る流量の関数である請求項8に記載の流体制御システム。
【請求項10】
各非線型方程式は、タンク圧力(P)、供給圧力(P)、ピストン(26)の位置(x,x)および調整バルブ(16)のスプール部の位置(xfcv)の関数である請求項9に記載の流体制御システム。
【請求項11】
コントローラ(30)、ポンプ(12)、タンク(14)、流体機器(24)および該流体機器(24)と流体並列の流体調整バルブ(16)を有する流体回路(10)の複数のセンサ(18A−D、19A−C)のいずれか一つのセンサの出力値を推定するか、または、再構築する方法(100)であって、
該方法は、
複数のセンサ(18A−D、19A−C)から一セットの出力値(P,P,P,P,x,x,xfcv)を検知するステップと、
コントローラ(30)を使用して一セットの出力値(P,P,P,P,x,x,xfcv)を処理して、それによって、複数のセンサ(18A−D、19A−C)のうちの故障センサの存在を決定するステップと、
決定した故障センサに対応する故障センサの推定出力値を計算する際に、流体機器(24)の所定の負荷設定を使用して推定出力値を計算するためにコントローラ(30)を使用するステップと、
故障センサが修理されるか、または、交換されるまで、推定出力値を使用して流体機器(24)の運転を自動的に制御して、それによって、流体回路(10)の継続運転を保証するステップと、を含む方法(100)。
【請求項12】
一セットの出力値(P,P,P,P,x,x,xfcv)を処理するステップは、一セットの出力値(P,P,P,P,x,x,xfcv)の各出力値を故障センサの存在を決定する較正しきい値と比較するステップを含む請求項11に記載の方法(100)。
【請求項13】
故障センサの推定出力値を計算するステップは、3つだけの未知の変数を有する一セットの非線型方程式を導き出す所定の負荷設定を使用するステップを含む請求項11に記載の方法(100)。
【請求項14】
推定出力値を計算するためにコントローラ(30)を使用するステップは、3つの未知の変数のいずれかの解を求めて、推定出力値を決定するステップを含む請求項13に記載の方法(100)。
【請求項15】
流体機器(24)は、一対のワークポート(31、32)を有しており、所定の負荷設定は、一対のワークポート(31、32)の較正された流量比である請求項11に記載の方法(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−523529(P2012−523529A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504767(P2012−504767)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030059
【国際公開番号】WO2010/117995
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】