描画装置、情報処理装置、制御方法、及びプログラム
【課題】 小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することを可能とした描画装置、情報処理装置を提供する。
【解決手段】 PDAは、表示装置101、拡大率決定部301、ペン幅決定部302、ペン幅選択部303を備える。ユーザがペイントツールアプリケーションを画像ファイル付きで起動すると、拡大率決定部301は、表示装置101の画面の表示サイズと画像の大きさを基に、表示装置101に表示する画像の拡大縮小率を決定する。次に、ペン幅決定部302は、拡大縮小率を基に、ユーザに選択させるためのペン幅の候補を決定する。次に、ペン幅選択部303は、ユーザによるユーザインタフェースを介したペン幅の選択を基に、ペンの太さを決定する。
【解決手段】 PDAは、表示装置101、拡大率決定部301、ペン幅決定部302、ペン幅選択部303を備える。ユーザがペイントツールアプリケーションを画像ファイル付きで起動すると、拡大率決定部301は、表示装置101の画面の表示サイズと画像の大きさを基に、表示装置101に表示する画像の拡大縮小率を決定する。次に、ペン幅決定部302は、拡大縮小率を基に、ユーザに選択させるためのペン幅の候補を決定する。次に、ペン幅選択部303は、ユーザによるユーザインタフェースを介したペン幅の選択を基に、ペンの太さを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置のディスプレイ上でペイントを行うペイントツールに適用される描画装置、情報処理装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置のディスプレイ上でペイントツールによりグラフィックスを描画するためのユーザインタフェースが普及している。ペイントツールに関しては、既に存在する画像に対してペイントを行う際に、例えばペンをペイントツールとして選択した場合、ペンで描画するときのペン幅はドット値で指定し、ユーザが選択可能なドット値も3通り程度であることが多い。
【0003】
上述した技術に関しては各種の提案が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−154150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばPDA(Personal Digital Assistant)のような小さな画面を有する情報処理装置(携帯情報端末)において、既に存在する画像に対してペイントするペイントツールを組み込み、ユーザが画像全体をみながらペイントする場合を想定する。
【0005】
例えば解像度が320x240ドットの画面に元の画像をいっぱいに表示するとき、元画像が320x240ドットの場合は、等倍で表示すればよく、1600x1200ドットの画像を表示する場合は、1/5に縮小して表示する必要がある。
【0006】
この状態で、ペイントするためのペン幅が、1、3、5ドットから選択できる場合、解像度320x240ドットの画面に表示された320x240ドットの画像にそれぞれ1、3、5ドットのペン幅でペイントを行った場合、表示されている画面に対してもそれぞれ幅1、3、5ドットの線で表示される。
【0007】
一方、解像度320x240ドットの画面に、1600x1200ドットの画像を1/5に縮小し画面いっぱいに表示して、1、3、5ドットのペン幅でペイントを行った場合、表示されている状態では全て1ドットの幅で表示されることになり、ペイントしているときに見た目に違いがわからない。
【0008】
また、320x240ドットの画像に対して線幅5ドットで描画したときの画像全体に占める線の太さの割合と、1600x1200ドットの画像に対して線幅5ドットで描画したときの画像全体に占める線の太さの割合とは、大きく異なるため、前者の描画時と後者の描画時とでは、描画したときの感覚に違和感を覚えるという問題がある。
【0009】
また、1600x1200ドットの画像においては、線幅1、3、5ドットの差をあまり感じられないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、どのような大きさの画像でも、小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することを可能とした描画装置、情報処理装置、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明の描画装置は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定手段と、前記倍率決定手段により決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、表示手段に表示する画像の表示倍率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像の拡大縮小率を基に選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定するので、即ち、画像の拡大縮小率に応じて選択可能なペイントツールの描画幅を変化させるので、どのような大きさの画像でも、小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することができる。
【0016】
また、基本となるペイントツールの描画幅の候補を複数登録しておき、拡大表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅の候補は、基本となるペイントツールの描画幅の候補に設定し、縮小表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅の候補は、基本となるペイントツールの描画幅の候補を画像の縮小率に応じて変化させるので、元々小さな画像を拡大して表示するときは、基本となるペイントツールの描画幅の候補をそのまま描画幅として用いることができる。
【0017】
また、基本となるペイントツールの描画幅の候補を、画像の表示倍率で除算すると共に除算結果を丸めることで、表示倍率に応じたペイントツールの描画幅の候補を決定するので、表示倍率に応じた描画幅の選択肢を決定することができる。
【0018】
また、画像の拡大縮小率とペイントツールの描画幅の候補との対応関係を基に、選択可能な描画幅の候補を決定するので、画像の拡大縮小率に応じた描画幅の選択肢を計算によらない方法で決定することができる。
【0019】
また、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)を基にペイントツールの描画幅を無段階に選択可能としているので、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)に応じた最適なペイントツールの描画幅を選択しやすく且つ選択の自由度が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置としての携帯情報端末(以下PDAと略称)の外観を示す斜視図である。
【0022】
図1において、PDA100は、ペイントツールが組み込まれており、液晶表示装置(LCD)101、ハードウェアキー102a、102b、102c、102d、102e、102f、102g、カードスロット103を筐体の各部に備えている。
【0023】
液晶表示装置(以下表示装置と略称)101は、図5、図7〜図9、図11等に示す画面を表示するものであり、ユーザがペン操作をできるようにデジタイザ(図2参照)が表示面に取り付けられている。ハードウェアキー102a〜102gは、表示装置101をペンタップ操作する以外の操作に用いるキーである。カードスロット103は、PDA100において例えばCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カードのような外部メモリに対するデータの書き込み/読み出しを行う際に、外部メモリをPDA100の筐体内部に挿入するための挿入口である。
【0024】
上記ハードウェアキー102a〜102gのうち主なキーについて説明すると、ハードウェアキー102cは、表示装置101の画面に対するパレットの表示/消去の指示に用いる。ハードウェアキー102d、102e、102f、102gは、それぞれ、上キー、下キー、左キー、右キーと呼称されるものであり、PDAの各種アプリケーションソフトを実行する際において、表示装置101の画面上で上下左右方向に何か動作をさせたいときに用いる。
【0025】
図2は、PDAのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0026】
図2において、PDAは、CPU201、RAM202、ROM203、ハードウェアキー204、表示装置205、デジタイザ206、リアルタイムクロック(RTC)207、I/Oインタフェース208、画像ファイル記憶部209、バス210を備えている。
【0027】
CPU201は、PDA全体の制御を司るものであり、ROM203に格納されたプログラムに基づき、図4(第1の実施の形態)、図10(第2の実施の形態)のフローチャートに示す処理を実行する。RAM202は、データの書き込み/読み出しが可能なメモリであり、CPU201の作業領域やデータの一時記憶領域として使用される。ROM203は、読み出し専用メモリであり、プログラムや固定データを格納している。ハードウェアキー204は、図1のハードウェアキー102a〜102gに対応する。表示装置205は、図1の表示装置101に対応する。
【0028】
デジタイザ206は、表示装置205の表示面に取り付けられており、画面上をペンで接触している位置(座標)を検出する。リアルタイムクロック207は、クロックを供給するものであり、時計機能を提供する。I/Oインタフェース208は、PDAを外部機器と接続したり、カードスロット103を介して外部メモリを接続したりする際のデータ入出力のインタフェースを司る。画像ファイル記憶部209は、画像ファイルを記憶する。バス210は、上記各構成要素間のデータ伝送を行う伝送路である。
【0029】
図3は、PDAにおけるペイントツールを画像ファイル付きで起動し、ペイントするためのペンの幅を決定するまでの構成を示すブロック図である。
【0030】
図3において、PDAは、拡大率決定部301、ペン幅決定部302、ペン幅選択部303を備えている。拡大率決定部301、ペン幅決定部302、ペン幅選択部303は、CPU201がROM203に格納されたプログラム(ペイントツールアプリケーション)を実行することで実現する機能である。
【0031】
まず、ユーザがPDAの所定のハードウェアキーを操作し、画像ファイル記憶部209またはカードスロット103に挿入された外部メモリに記憶されている画像ファイルの画像に対して、表示装置101の画面上でペイントを行うため、ペイントツールアプリケーションを起動(ペイントツールアプリケーションを画像ファイル付きで起動)する。これに伴い、拡大率決定部301において、表示装置101の画面の表示サイズと画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する。
【0032】
次に、ペン幅決定部302において、上記決定された拡大縮小率を基に、ユーザに選択させるためのペンの太さ(ペン幅)の候補を決定する。本実施の形態では、ペンの太さの候補を例えば3つ決定する。次に、ペン幅選択部303において、ユーザによるユーザインタフェース(後述の図6のパレット)を介したペン幅の選択を基に、ペンの太さを決定する。尚、ペン幅選択部303からペン幅選択部303に戻る矢印は、ユーザがペンの太さを決定する操作を必要に応じて何回か行う概念を示している。
【0033】
次に、拡大率決定部301における処理について説明する。
【0034】
図4は、PDAにおける画像の表示倍率を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
図4において、ユーザがPDAの所定のハードウェアキーを操作し、ペイントツールアプリケーションを画像ファイル付きで起動する。まず、拡大率決定部301は、画像ファイル記憶部209またはカードスロット103に挿入された外部メモリから画像ファイルを読み出してデコードし、PDA内部で扱えるビットマップデータに変換すると共に、画像ファイルの縦横の大きさ(iw、ih)を検出する(ステップS401)。
【0036】
次に、拡大率決定部301は、画像ファイルの縦横の大きさ(iw、ih)と、表示装置101の実際の表示領域の大きさ(dw、dh)とに基づいて、縦方向の仮倍率と横方向の仮倍率を計算する(ステップS402、ステップS403)。
【0037】
例えば、表示装置101の表示領域が320x240ドットで、画像ファイルの大きさが640x440ドットである場合、
横方向の仮倍率 = 320 / 640 = 0.5 (式1)
縦方向の仮倍率 = 240 / 440 = 0.545 (式2)
と算出される。
【0038】
次に、拡大率決定部301は、縦方向の仮倍率と横方向の仮倍率の大小関係を判定する(ステップS404)。拡大率決定部301は、縦方向の仮倍率が横方向の仮倍率より大きい場合は、小さい方の横方向の仮倍率を最終的な倍率とし(ステップS405)、横方向の仮倍率が縦方向の仮倍率より大きい場合は、小さい方の縦方向の仮倍率を最終的な倍率とする(ステップS406)。即ち、本実施の形態では、最終的な倍率は0.5となる。
【0039】
次に、拡大率決定部301は、上記ステップS401でデコードした画像を、上記ステップS405またはステップS406で算出した最終的な倍率0.5倍に拡大(以下リサイズ)する(ステップS407)。これにより、表示装置101の表示領域いっぱいに収まる画像を生成することができる。最後に、拡大率決定部301は、上記ステップS407でリサイズした画像を表示装置101の画面に表示する(ステップS408)。
【0040】
次に、ペン幅決定部302における処理について説明する。
【0041】
本実施の形態では、PDAにおいて基底ペン幅候補を1、3、5ドットの3種類持つ場を想定する。基底ペン幅候補とは、表示倍率1.0倍のときのペン幅の候補として、1ドット、3ドット、5ドットを持ち、これら3種類のドットからユーザに選択させるためのものである。基底ペン幅候補は、ペン幅決定部302が登録している。
【0042】
ペン幅決定部302は、画像の表示倍率に応じたペン幅候補を、
[基底ペン幅候補] / [表示倍率] (式3)
により算出する。小数点以下は、ペン幅が0になるのを避けるため、全て切り上げる。
【0043】
即ち、本実施の形態の基底ペン幅候補(1、3、5)ドットにおいては、
ペン幅候補= (1 / 0.5、3 / 0.5、5 / 0.5) = (2、6、10)
により、ペン幅候補は、2、6、10ドットとなる。
【0044】
ここで、ペン幅決定部302は、表示装置101に画像を拡大表示する場合における選択できるペン幅は、基底ペン幅候補に設定し、表示装置101に画像を縮小表示する場合における選択できるペン幅は、基底ペン幅候補を画像の縮小率に応じて変化させる。
【0045】
本実施の形態においては、以上の処理により、リサイズした画像を表示装置101の画面いっぱいに表示する。また、3種類のペン幅候補からペンを選択したり色を選択したりするために、操作パレット(以下パレットと略称)を用いる。ペイントツールアプリケーションの起動時には、表示装置101の画面上にパレットが表示され、ユーザはPDAのハードウェアキー102cを押下することで、パレットを表示したり消去したりすることができる。
【0046】
図5は、表示装置101における画像とパレットの表示例を示す図である。
【0047】
図5において、表示装置101の画面に、画像501とパレット502が表示されている様子を示している。図5の画面からパレット502のみを抜き出して示すと図6のようになる。
【0048】
図6は、表示装置101におけるパレットの表示例を示す図である。
【0049】
図6において、601は、パレットのクローズボタンであり、クローズボタン601を押下することは、PDAのハードウェアキー102cをパレット表示時に押下することと等価である。602は、色選択パレットである。本実施の形態では、色選択パレット602上に例えば48色並べて配置しており、ユーザが選択したい色の上でペンタップすると、次からの画像に対するペイントは選択した色で行われる。
【0050】
604a、604bは、それぞれ、選択できるペイントツールを示しており、本実施の形態では、ペンツールと消しゴムツールを選択することができる。尚、ペイントツールとしては、ペンツールや消しゴムツール以外に、ブラシツール、エアブラシツールを用いることも勿論可能である。図6の例では、特にペイントツール604aのバックグラウンドがパターンにより塗られているが、現時点では、このペンツール604aが選択されていることを示している。
【0051】
603a、603b、603cは、ペン幅選択ボタンであり、ユーザはペン幅選択ボタン603a、603b、603cの何れかを押下することで所望のペン幅を選択する。ここで、ペン幅選択ボタン603a、603b、603cにそれぞれ対応するペンの太さ(ペン幅)は、ペン幅決定部302によって得られたペン幅候補2、6、10ドットがそれぞれ割り当てられる。図6の例では、ペン幅選択ボタン603bのバックグラウンドがパターンにより塗られているが、ペン幅選択ボタン603bに対応したペンの太さ(ペン幅)が選択されていることを示しており、本実施の形態では、ペン幅が6ドットに相当する。
【0052】
605は、表示倍率を変更するズームボタンであり、+ボタンと−ボタンの2つのボタンから構成され、それぞれ、ズームイン、ズームアウトに相当する。ズームの振舞い(挙動)については後述する。606は、ファイルオープンボタン(open)であり、現在編集中の画像ファイルを破棄し、新たな画像ファイルを選択する際に押下する。このファイルオープンボタン606をペンタップすると、表示装置101上でサムネイル画像を複数表示したダイアログが立ち上がるので、ユーザがこの中から希望のサムネイル画像を選択すると、選択されたサムネイル画像が上記図3に示した処理過程を経て表示装置101に新たに表示され、ペン幅が決定される。
【0053】
607は、保存(save)ボタンであり、現在編集中の画像を画像ファイルとして画像ファイル記憶部209または外部メモリに保存する際に押下する。608は、終了(quit)ボタンであり、本実施の形態のペイントツールアプリケーションを終了させる際に押下する。609は、タイトルバーであり、このタイトルバー609をドラッグすることにより、パレットをドラッグ操作に追従させて動かせることができ、これによりパレットの位置を移動させることができる。表示装置101上でユーザがパレットを操作し、図5の画面上で「ハム」と描画すると図7の画面となる。
【0054】
図7は、表示装置101における画像にペイントした表示例を示す図である。
【0055】
図7において、表示装置101の画面に、画像701とパレット702が表示され、画像701に「ハム」703がペイントされている様子を示している。
【0056】
次に、ユーザが図6のパレット上でズームボタン605を操作した場合について考える。
【0057】
本実施の形態では、ユーザがズームボタン605の+ボタンを操作すると、新たな倍率は現在の倍率の2倍になり(拡大)、ユーザがズームボタン605の−ボタンを操作すると、新たな倍率は現在の倍率の1/2倍になる(縮小)。
【0058】
ここで、拡大率決定部301により図4の処理で求められた現在の倍率0.5において、ユーザがズームボタン605の+ボタンを操作すると、新たな倍率は、
[新たな倍率] = [現在の倍率 0.5] * 2 = 1.0 (式4)
と計算することで、1倍となる。
【0059】
更に、ユーザがPDAのハードウェアキー(上下左右キー)102d〜102gを操作することで、表示装置101の画面上に図7に示すように表示されている画像701及びパレット702の表示場所を移動させると、図8のように表示される。
【0060】
図8は、表示装置101におけるペイントした画像をズームインした表示例を示す図である。
【0061】
図8において、表示装置101の画面に、図7の状態からズームインされた画像801とパレット802が表示場所が移動された状態で表示され、画像801に「ハム」803がペイントされている様子を示している。
【0062】
次に、ペン幅決定部302は、ペン幅候補を上記の式3により算出する。ペン幅候補は、
(1、3、5) / 1 = (1、3、5)
となり、ペン幅は1、3、5ドットの中からユーザに選択させて使用することになる。例えば、ペン幅として3ドットを選択し、ペイントを追加した様子を図9に示す。
【0063】
図9は、表示装置101におけるペイントした画像をズームインし追加ペイントした表示例を示す図である。
【0064】
図9において、表示装置101の画面に、画像901とパレット902が表示され、画像901に「ハム」903がペイントされると共に「ついか」904が追加ペイントされている様子を示している。
【0065】
本実施の形態は、図9に示すように、ペン幅選択ボタン603bにより、同じペン幅候補を選択しているにも関わらず、表示の拡大率によって、ペイントされる線の太さが異なる点が特徴である。
【0066】
上記図3乃至図9で説明した処理を行うことにより、表示装置101の画面に画像全体を表示させているときには、おおまかにペイントできるように太く、且つペン幅を選択するためのピッチも粗いが、画像を拡大表示すればするほど、ペン幅は細かいものを選択することができ、細かなペイントがしやすくなる。
【0067】
また、大きな画像を画面が小さい表示装置101に表示してペン幅を選択した場合でも、ペイントされて表示されるペン幅の違いが分かりやすいように設定できるため、ペイントするときの違和感がなくなる。
【0068】
尚、本実施の形態では、ペン幅を式1〜式3に基づき計算により求めたが、PDAにおいて画像の拡大縮小率とペン幅候補との対応関係を示す対応表を予めPDA内部に記憶しておき、表示装置101に表示する時の画像の拡大縮小率に対応するペン幅候補を前記対応表から読み出して当てはめる方法を用いてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、画像を拡大または縮小して表示するズームの状態によってペン幅が変化することを所望しない場合は、ペン幅を決定するパラメータとして、上述したように元画像の拡大縮小率を用いるのではなく、元画像のサイズ(幅と高さ)を用いてペン幅を決定してもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、表示装置101に表示する画像の拡大縮小率によりペン幅候補を変化させる制御について説明したが、上記と同様の制御により、消しゴムツールの消し幅、ブラシツールの幅、エアブラシツールの幅のように、あらゆるペイントツールの大きさを変化させてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、図6のペン幅選択ボタン603aやペイントツール604aのバックグラウンドの塗りつぶしパターンの大きさを、元画像の拡大縮小率を基に変化させてもよい。これにより、元画像をズームすることで、塗りつぶしパターンの大きさを制御することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示装置101に表示する画像の拡大縮小率を基に選択可能なペン幅の候補を決定するので、即ち、画像の拡大縮小率に応じて選択可能なペン幅を変化させるので、どのような大きさの画像でも、小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することができる。
【0073】
また、基底ペン幅候補を予め複数登録しておき、拡大表示する場合の選択可能なペン幅は、基底ペン幅候補に設定し、縮小表示する場合の選択可能なペン幅は、基底ペン幅候補を画像の縮小率に応じて変化させるので、元々小さな画像を拡大して表示するときは、基底ペン幅候補をそのままペン幅として用いることができる。
【0074】
また、基底ペン幅候補を、画像の表示倍率で除算すると共に除算結果を丸めることで、表示倍率に応じたペン幅の候補を決定するので、表示倍率に応じたペン幅の選択肢を決定することができる。
【0075】
また、画像の拡大縮小率とペン幅の候補との対応関係を基に、選択可能なペン幅の候補を決定するので、画像の拡大縮小率に応じたペン幅の選択肢を計算によらない方法で決定でき、PDAのペイントツール機能を向上させる際のチューニングが行いやすくなる。
【0076】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、表示する画像の大きさにより、選択できるペンの太さの候補(ペン幅候補)の数を変化させる点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1、図2)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0077】
図10は、本実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおける基底ペン幅候補数を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
図10において、ペン幅決定部302は、ユーザによる表示装置101の画面上のパレットにおけるファイルオープンボタン606の操作により、画像ファイルをオープンしてデコードするときに、最初にペン幅の候補数を求める(ステップS1001)。即ち、
[ペン幅の候補数] = [画像の幅] * [画像の高さ] / 1,000,000 + 3 (式5)
により、ペン幅の候補数を求める。1,000,000は定数である。尚、小数点以下は切り捨てる。
【0079】
次に、ペン幅決定部302は、基底ペン幅候補を決定する(ステップS1002)。即ち、ペン幅候補数分について、
[基底ペン幅候補] = (1、3、5、7、・・・) (式6)
のようにして、基底ペン幅候補を決定する。
【0080】
例えば、上述した第1の実施の形態で用いた画像サイズ640*480のものでは、
[ペン幅候補数] = 640 * 480 / 1,000,000 + 3 = 3
となり、これにより、
[基底ペン幅候補] = (1、3、5)
となる。
【0081】
また、上述した第1の実施の形態で用いた画像サイズ1280 * 1024ドットのものでは、
[ペン幅候補数] = 1280 * 1024 / 1、000、000 + 3 = 4
となり、これにより、
[基底ペン幅候補] = (1、3、5、7)
となる。
【0082】
上記図10で説明した処理を行うことにより、サイズの大きな画像についてはペイント時により多くのペン幅の選択肢ができるため、サイズの大きな画像についても容易に細かいペイントを行うことが可能となる。
【0083】
尚、本実施の形態では、元画像の大きさをパラメータにしてペン幅の候補数を決定したが、元画像の大きさだけではなく、画像の拡大率もパラメータにしてペン幅の候補数を決定してもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示装置101に表示する画像の大きさを基に選択可能なペン幅候補の数を決定するので、即ち、画像の大きさに応じて選択可能なペン幅候補の数を変化させるので、例えば大きな画像に複数種類の線でペイントを行う際のペン幅の選択肢を増やすことが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0085】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、ペン幅の選択方法の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0086】
図11は、本実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおけるパレットの表示例を示す図である。
【0087】
図11において、1101は、スライドバーであり、1101aは、スライドバーのつまみである。ユーザはスライドバー1101により、ペン幅を無段階に選択することが可能である。スライドバー1101のつまみ1101aを上にドラッグすると、ペン幅は狭くなり、つまみ1101aを下にドラッグすると、ペン幅は広くなる。
【0088】
1102は、ペン幅のプレビューであり、現在表示中の画像面にペイント時に描かれるペンの太さと色を示す。スライドバー1101のつまみ1101aを上下に動かすと、それに応じてペン幅のプレビュー1102の線の太さが変化する。ペン幅決定部302は、ユーザがスライドバー1101のつまみ1101aを動かすときの制限値を、画像のデコード時や表示画像のズーム時に設定し直す。
【0089】
本実施の形態では、表示装置101の画面の高さの例えば10%にあたる現在表示されている画像のドット数を、設定できるペン幅の最大値にし、例えば1ドットを、設定できるペン幅の最小値にする。ペン幅の最大値の算出方法は、ペン幅決定部302が画像の現在の表示倍率を計算した後、以下のように行う。
【0090】
[ペン幅の最大値]=[表示画面の高さ] * 0.1 *
[画像が表示画面にぴったりおさまるときの倍率]/[現在の倍率]
(式7)
上述した第1の実施の形態で示した例を用いると、表示画面(320x240)ドット、画像サイズ(640*480)ドット、画像表示時から1回ズームボタン605の+ボタンを押下した状態で、表示画面の高さは240ドット、画像が表示画面にぴったり収まるときの表示倍率は、式1、式2で求められる値の小さい方で0.5、現在の表示倍率は0.5*2=1.0となるため、
[ペン幅の最大値] = 240 * 0.1 * 0.5 / 1 = 12ドット
と算出することができる。即ち、12ドットがペン幅の最大値となる。
【0091】
上記図11で説明した処理を行うことにより、ペン幅を1ドットずつ(実質的に無段階に)選択することが可能で、且つ表示装置101における画像の表示状態に応じて最適なペン幅の選択幅を持たせた、使い勝手の良いユーザインタフェースを実装することができる。
【0092】
尚、本実施の形態では、画像の表示倍率を基にペン幅の最大値を決定したが、画像の大きさを基にペン幅の最大値を決定するようにしてもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)を基にペン幅を無段階に選択することを可能としているので、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)に応じた最適なペン幅を選択しやすく且つ選択の自由度が高くなり、画像を拡大或いは縮小したときに、ペン幅を選択する制限が変化しない。
【0094】
[他の実施の形態]
上記第1乃至第3の実施の形態では、情報処理装置を携帯情報端末とした場合を例に挙げたが、本発明は、これに限定されるものではなく、携帯情報端末以外の情報処理装置にも適用することが可能である。
【0095】
また、本発明の目的は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0096】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0097】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0098】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0099】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAの外観を示す斜視図である。
【図2】PDAのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】PDAにおけるペイントツールを画像ファイル付きで起動し、ペイントするためのペンの幅を決定するまでの構成を示すブロック図である。
【図4】PDAにおける画像の表示倍率を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】画像とパレットの表示例を示す図である。
【図6】パレットの表示例を示す図である。
【図7】画像にペイントした表示例を示す図である。
【図8】ペイントした画像をズームインした表示例を示す図である。
【図9】ペイントした画像をズームインし追加ペイントした表示例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおける基底ペン幅候補数を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおけるパレットの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
100 PDA(情報処理装置)
101 表示装置(表示手段)
201 CPU
301 拡大率決定部(倍率決定手段)
302 ペン幅決定部(候補決定手段、登録手段、最大値決定手段)
303 ペン幅選択部(選択手段)
603a ペン幅選択ボタン(表示領域)
604a ペイントツール(表示領域)
1101 スライドバー(選択手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置のディスプレイ上でペイントを行うペイントツールに適用される描画装置、情報処理装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置のディスプレイ上でペイントツールによりグラフィックスを描画するためのユーザインタフェースが普及している。ペイントツールに関しては、既に存在する画像に対してペイントを行う際に、例えばペンをペイントツールとして選択した場合、ペンで描画するときのペン幅はドット値で指定し、ユーザが選択可能なドット値も3通り程度であることが多い。
【0003】
上述した技術に関しては各種の提案が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−154150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばPDA(Personal Digital Assistant)のような小さな画面を有する情報処理装置(携帯情報端末)において、既に存在する画像に対してペイントするペイントツールを組み込み、ユーザが画像全体をみながらペイントする場合を想定する。
【0005】
例えば解像度が320x240ドットの画面に元の画像をいっぱいに表示するとき、元画像が320x240ドットの場合は、等倍で表示すればよく、1600x1200ドットの画像を表示する場合は、1/5に縮小して表示する必要がある。
【0006】
この状態で、ペイントするためのペン幅が、1、3、5ドットから選択できる場合、解像度320x240ドットの画面に表示された320x240ドットの画像にそれぞれ1、3、5ドットのペン幅でペイントを行った場合、表示されている画面に対してもそれぞれ幅1、3、5ドットの線で表示される。
【0007】
一方、解像度320x240ドットの画面に、1600x1200ドットの画像を1/5に縮小し画面いっぱいに表示して、1、3、5ドットのペン幅でペイントを行った場合、表示されている状態では全て1ドットの幅で表示されることになり、ペイントしているときに見た目に違いがわからない。
【0008】
また、320x240ドットの画像に対して線幅5ドットで描画したときの画像全体に占める線の太さの割合と、1600x1200ドットの画像に対して線幅5ドットで描画したときの画像全体に占める線の太さの割合とは、大きく異なるため、前者の描画時と後者の描画時とでは、描画したときの感覚に違和感を覚えるという問題がある。
【0009】
また、1600x1200ドットの画像においては、線幅1、3、5ドットの差をあまり感じられないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、どのような大きさの画像でも、小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することを可能とした描画装置、情報処理装置、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明の描画装置は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定手段と、前記倍率決定手段により決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、表示手段に表示する画像の表示倍率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像の拡大縮小率を基に選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定するので、即ち、画像の拡大縮小率に応じて選択可能なペイントツールの描画幅を変化させるので、どのような大きさの画像でも、小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することができる。
【0016】
また、基本となるペイントツールの描画幅の候補を複数登録しておき、拡大表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅の候補は、基本となるペイントツールの描画幅の候補に設定し、縮小表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅の候補は、基本となるペイントツールの描画幅の候補を画像の縮小率に応じて変化させるので、元々小さな画像を拡大して表示するときは、基本となるペイントツールの描画幅の候補をそのまま描画幅として用いることができる。
【0017】
また、基本となるペイントツールの描画幅の候補を、画像の表示倍率で除算すると共に除算結果を丸めることで、表示倍率に応じたペイントツールの描画幅の候補を決定するので、表示倍率に応じた描画幅の選択肢を決定することができる。
【0018】
また、画像の拡大縮小率とペイントツールの描画幅の候補との対応関係を基に、選択可能な描画幅の候補を決定するので、画像の拡大縮小率に応じた描画幅の選択肢を計算によらない方法で決定することができる。
【0019】
また、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)を基にペイントツールの描画幅を無段階に選択可能としているので、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)に応じた最適なペイントツールの描画幅を選択しやすく且つ選択の自由度が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置としての携帯情報端末(以下PDAと略称)の外観を示す斜視図である。
【0022】
図1において、PDA100は、ペイントツールが組み込まれており、液晶表示装置(LCD)101、ハードウェアキー102a、102b、102c、102d、102e、102f、102g、カードスロット103を筐体の各部に備えている。
【0023】
液晶表示装置(以下表示装置と略称)101は、図5、図7〜図9、図11等に示す画面を表示するものであり、ユーザがペン操作をできるようにデジタイザ(図2参照)が表示面に取り付けられている。ハードウェアキー102a〜102gは、表示装置101をペンタップ操作する以外の操作に用いるキーである。カードスロット103は、PDA100において例えばCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カードのような外部メモリに対するデータの書き込み/読み出しを行う際に、外部メモリをPDA100の筐体内部に挿入するための挿入口である。
【0024】
上記ハードウェアキー102a〜102gのうち主なキーについて説明すると、ハードウェアキー102cは、表示装置101の画面に対するパレットの表示/消去の指示に用いる。ハードウェアキー102d、102e、102f、102gは、それぞれ、上キー、下キー、左キー、右キーと呼称されるものであり、PDAの各種アプリケーションソフトを実行する際において、表示装置101の画面上で上下左右方向に何か動作をさせたいときに用いる。
【0025】
図2は、PDAのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0026】
図2において、PDAは、CPU201、RAM202、ROM203、ハードウェアキー204、表示装置205、デジタイザ206、リアルタイムクロック(RTC)207、I/Oインタフェース208、画像ファイル記憶部209、バス210を備えている。
【0027】
CPU201は、PDA全体の制御を司るものであり、ROM203に格納されたプログラムに基づき、図4(第1の実施の形態)、図10(第2の実施の形態)のフローチャートに示す処理を実行する。RAM202は、データの書き込み/読み出しが可能なメモリであり、CPU201の作業領域やデータの一時記憶領域として使用される。ROM203は、読み出し専用メモリであり、プログラムや固定データを格納している。ハードウェアキー204は、図1のハードウェアキー102a〜102gに対応する。表示装置205は、図1の表示装置101に対応する。
【0028】
デジタイザ206は、表示装置205の表示面に取り付けられており、画面上をペンで接触している位置(座標)を検出する。リアルタイムクロック207は、クロックを供給するものであり、時計機能を提供する。I/Oインタフェース208は、PDAを外部機器と接続したり、カードスロット103を介して外部メモリを接続したりする際のデータ入出力のインタフェースを司る。画像ファイル記憶部209は、画像ファイルを記憶する。バス210は、上記各構成要素間のデータ伝送を行う伝送路である。
【0029】
図3は、PDAにおけるペイントツールを画像ファイル付きで起動し、ペイントするためのペンの幅を決定するまでの構成を示すブロック図である。
【0030】
図3において、PDAは、拡大率決定部301、ペン幅決定部302、ペン幅選択部303を備えている。拡大率決定部301、ペン幅決定部302、ペン幅選択部303は、CPU201がROM203に格納されたプログラム(ペイントツールアプリケーション)を実行することで実現する機能である。
【0031】
まず、ユーザがPDAの所定のハードウェアキーを操作し、画像ファイル記憶部209またはカードスロット103に挿入された外部メモリに記憶されている画像ファイルの画像に対して、表示装置101の画面上でペイントを行うため、ペイントツールアプリケーションを起動(ペイントツールアプリケーションを画像ファイル付きで起動)する。これに伴い、拡大率決定部301において、表示装置101の画面の表示サイズと画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する。
【0032】
次に、ペン幅決定部302において、上記決定された拡大縮小率を基に、ユーザに選択させるためのペンの太さ(ペン幅)の候補を決定する。本実施の形態では、ペンの太さの候補を例えば3つ決定する。次に、ペン幅選択部303において、ユーザによるユーザインタフェース(後述の図6のパレット)を介したペン幅の選択を基に、ペンの太さを決定する。尚、ペン幅選択部303からペン幅選択部303に戻る矢印は、ユーザがペンの太さを決定する操作を必要に応じて何回か行う概念を示している。
【0033】
次に、拡大率決定部301における処理について説明する。
【0034】
図4は、PDAにおける画像の表示倍率を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
図4において、ユーザがPDAの所定のハードウェアキーを操作し、ペイントツールアプリケーションを画像ファイル付きで起動する。まず、拡大率決定部301は、画像ファイル記憶部209またはカードスロット103に挿入された外部メモリから画像ファイルを読み出してデコードし、PDA内部で扱えるビットマップデータに変換すると共に、画像ファイルの縦横の大きさ(iw、ih)を検出する(ステップS401)。
【0036】
次に、拡大率決定部301は、画像ファイルの縦横の大きさ(iw、ih)と、表示装置101の実際の表示領域の大きさ(dw、dh)とに基づいて、縦方向の仮倍率と横方向の仮倍率を計算する(ステップS402、ステップS403)。
【0037】
例えば、表示装置101の表示領域が320x240ドットで、画像ファイルの大きさが640x440ドットである場合、
横方向の仮倍率 = 320 / 640 = 0.5 (式1)
縦方向の仮倍率 = 240 / 440 = 0.545 (式2)
と算出される。
【0038】
次に、拡大率決定部301は、縦方向の仮倍率と横方向の仮倍率の大小関係を判定する(ステップS404)。拡大率決定部301は、縦方向の仮倍率が横方向の仮倍率より大きい場合は、小さい方の横方向の仮倍率を最終的な倍率とし(ステップS405)、横方向の仮倍率が縦方向の仮倍率より大きい場合は、小さい方の縦方向の仮倍率を最終的な倍率とする(ステップS406)。即ち、本実施の形態では、最終的な倍率は0.5となる。
【0039】
次に、拡大率決定部301は、上記ステップS401でデコードした画像を、上記ステップS405またはステップS406で算出した最終的な倍率0.5倍に拡大(以下リサイズ)する(ステップS407)。これにより、表示装置101の表示領域いっぱいに収まる画像を生成することができる。最後に、拡大率決定部301は、上記ステップS407でリサイズした画像を表示装置101の画面に表示する(ステップS408)。
【0040】
次に、ペン幅決定部302における処理について説明する。
【0041】
本実施の形態では、PDAにおいて基底ペン幅候補を1、3、5ドットの3種類持つ場を想定する。基底ペン幅候補とは、表示倍率1.0倍のときのペン幅の候補として、1ドット、3ドット、5ドットを持ち、これら3種類のドットからユーザに選択させるためのものである。基底ペン幅候補は、ペン幅決定部302が登録している。
【0042】
ペン幅決定部302は、画像の表示倍率に応じたペン幅候補を、
[基底ペン幅候補] / [表示倍率] (式3)
により算出する。小数点以下は、ペン幅が0になるのを避けるため、全て切り上げる。
【0043】
即ち、本実施の形態の基底ペン幅候補(1、3、5)ドットにおいては、
ペン幅候補= (1 / 0.5、3 / 0.5、5 / 0.5) = (2、6、10)
により、ペン幅候補は、2、6、10ドットとなる。
【0044】
ここで、ペン幅決定部302は、表示装置101に画像を拡大表示する場合における選択できるペン幅は、基底ペン幅候補に設定し、表示装置101に画像を縮小表示する場合における選択できるペン幅は、基底ペン幅候補を画像の縮小率に応じて変化させる。
【0045】
本実施の形態においては、以上の処理により、リサイズした画像を表示装置101の画面いっぱいに表示する。また、3種類のペン幅候補からペンを選択したり色を選択したりするために、操作パレット(以下パレットと略称)を用いる。ペイントツールアプリケーションの起動時には、表示装置101の画面上にパレットが表示され、ユーザはPDAのハードウェアキー102cを押下することで、パレットを表示したり消去したりすることができる。
【0046】
図5は、表示装置101における画像とパレットの表示例を示す図である。
【0047】
図5において、表示装置101の画面に、画像501とパレット502が表示されている様子を示している。図5の画面からパレット502のみを抜き出して示すと図6のようになる。
【0048】
図6は、表示装置101におけるパレットの表示例を示す図である。
【0049】
図6において、601は、パレットのクローズボタンであり、クローズボタン601を押下することは、PDAのハードウェアキー102cをパレット表示時に押下することと等価である。602は、色選択パレットである。本実施の形態では、色選択パレット602上に例えば48色並べて配置しており、ユーザが選択したい色の上でペンタップすると、次からの画像に対するペイントは選択した色で行われる。
【0050】
604a、604bは、それぞれ、選択できるペイントツールを示しており、本実施の形態では、ペンツールと消しゴムツールを選択することができる。尚、ペイントツールとしては、ペンツールや消しゴムツール以外に、ブラシツール、エアブラシツールを用いることも勿論可能である。図6の例では、特にペイントツール604aのバックグラウンドがパターンにより塗られているが、現時点では、このペンツール604aが選択されていることを示している。
【0051】
603a、603b、603cは、ペン幅選択ボタンであり、ユーザはペン幅選択ボタン603a、603b、603cの何れかを押下することで所望のペン幅を選択する。ここで、ペン幅選択ボタン603a、603b、603cにそれぞれ対応するペンの太さ(ペン幅)は、ペン幅決定部302によって得られたペン幅候補2、6、10ドットがそれぞれ割り当てられる。図6の例では、ペン幅選択ボタン603bのバックグラウンドがパターンにより塗られているが、ペン幅選択ボタン603bに対応したペンの太さ(ペン幅)が選択されていることを示しており、本実施の形態では、ペン幅が6ドットに相当する。
【0052】
605は、表示倍率を変更するズームボタンであり、+ボタンと−ボタンの2つのボタンから構成され、それぞれ、ズームイン、ズームアウトに相当する。ズームの振舞い(挙動)については後述する。606は、ファイルオープンボタン(open)であり、現在編集中の画像ファイルを破棄し、新たな画像ファイルを選択する際に押下する。このファイルオープンボタン606をペンタップすると、表示装置101上でサムネイル画像を複数表示したダイアログが立ち上がるので、ユーザがこの中から希望のサムネイル画像を選択すると、選択されたサムネイル画像が上記図3に示した処理過程を経て表示装置101に新たに表示され、ペン幅が決定される。
【0053】
607は、保存(save)ボタンであり、現在編集中の画像を画像ファイルとして画像ファイル記憶部209または外部メモリに保存する際に押下する。608は、終了(quit)ボタンであり、本実施の形態のペイントツールアプリケーションを終了させる際に押下する。609は、タイトルバーであり、このタイトルバー609をドラッグすることにより、パレットをドラッグ操作に追従させて動かせることができ、これによりパレットの位置を移動させることができる。表示装置101上でユーザがパレットを操作し、図5の画面上で「ハム」と描画すると図7の画面となる。
【0054】
図7は、表示装置101における画像にペイントした表示例を示す図である。
【0055】
図7において、表示装置101の画面に、画像701とパレット702が表示され、画像701に「ハム」703がペイントされている様子を示している。
【0056】
次に、ユーザが図6のパレット上でズームボタン605を操作した場合について考える。
【0057】
本実施の形態では、ユーザがズームボタン605の+ボタンを操作すると、新たな倍率は現在の倍率の2倍になり(拡大)、ユーザがズームボタン605の−ボタンを操作すると、新たな倍率は現在の倍率の1/2倍になる(縮小)。
【0058】
ここで、拡大率決定部301により図4の処理で求められた現在の倍率0.5において、ユーザがズームボタン605の+ボタンを操作すると、新たな倍率は、
[新たな倍率] = [現在の倍率 0.5] * 2 = 1.0 (式4)
と計算することで、1倍となる。
【0059】
更に、ユーザがPDAのハードウェアキー(上下左右キー)102d〜102gを操作することで、表示装置101の画面上に図7に示すように表示されている画像701及びパレット702の表示場所を移動させると、図8のように表示される。
【0060】
図8は、表示装置101におけるペイントした画像をズームインした表示例を示す図である。
【0061】
図8において、表示装置101の画面に、図7の状態からズームインされた画像801とパレット802が表示場所が移動された状態で表示され、画像801に「ハム」803がペイントされている様子を示している。
【0062】
次に、ペン幅決定部302は、ペン幅候補を上記の式3により算出する。ペン幅候補は、
(1、3、5) / 1 = (1、3、5)
となり、ペン幅は1、3、5ドットの中からユーザに選択させて使用することになる。例えば、ペン幅として3ドットを選択し、ペイントを追加した様子を図9に示す。
【0063】
図9は、表示装置101におけるペイントした画像をズームインし追加ペイントした表示例を示す図である。
【0064】
図9において、表示装置101の画面に、画像901とパレット902が表示され、画像901に「ハム」903がペイントされると共に「ついか」904が追加ペイントされている様子を示している。
【0065】
本実施の形態は、図9に示すように、ペン幅選択ボタン603bにより、同じペン幅候補を選択しているにも関わらず、表示の拡大率によって、ペイントされる線の太さが異なる点が特徴である。
【0066】
上記図3乃至図9で説明した処理を行うことにより、表示装置101の画面に画像全体を表示させているときには、おおまかにペイントできるように太く、且つペン幅を選択するためのピッチも粗いが、画像を拡大表示すればするほど、ペン幅は細かいものを選択することができ、細かなペイントがしやすくなる。
【0067】
また、大きな画像を画面が小さい表示装置101に表示してペン幅を選択した場合でも、ペイントされて表示されるペン幅の違いが分かりやすいように設定できるため、ペイントするときの違和感がなくなる。
【0068】
尚、本実施の形態では、ペン幅を式1〜式3に基づき計算により求めたが、PDAにおいて画像の拡大縮小率とペン幅候補との対応関係を示す対応表を予めPDA内部に記憶しておき、表示装置101に表示する時の画像の拡大縮小率に対応するペン幅候補を前記対応表から読み出して当てはめる方法を用いてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、画像を拡大または縮小して表示するズームの状態によってペン幅が変化することを所望しない場合は、ペン幅を決定するパラメータとして、上述したように元画像の拡大縮小率を用いるのではなく、元画像のサイズ(幅と高さ)を用いてペン幅を決定してもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、表示装置101に表示する画像の拡大縮小率によりペン幅候補を変化させる制御について説明したが、上記と同様の制御により、消しゴムツールの消し幅、ブラシツールの幅、エアブラシツールの幅のように、あらゆるペイントツールの大きさを変化させてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、図6のペン幅選択ボタン603aやペイントツール604aのバックグラウンドの塗りつぶしパターンの大きさを、元画像の拡大縮小率を基に変化させてもよい。これにより、元画像をズームすることで、塗りつぶしパターンの大きさを制御することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示装置101に表示する画像の拡大縮小率を基に選択可能なペン幅の候補を決定するので、即ち、画像の拡大縮小率に応じて選択可能なペン幅を変化させるので、どのような大きさの画像でも、小さな画面に表示しながらペイントの描き味に違和感を覚えないペイントツールを提供することができる。
【0073】
また、基底ペン幅候補を予め複数登録しておき、拡大表示する場合の選択可能なペン幅は、基底ペン幅候補に設定し、縮小表示する場合の選択可能なペン幅は、基底ペン幅候補を画像の縮小率に応じて変化させるので、元々小さな画像を拡大して表示するときは、基底ペン幅候補をそのままペン幅として用いることができる。
【0074】
また、基底ペン幅候補を、画像の表示倍率で除算すると共に除算結果を丸めることで、表示倍率に応じたペン幅の候補を決定するので、表示倍率に応じたペン幅の選択肢を決定することができる。
【0075】
また、画像の拡大縮小率とペン幅の候補との対応関係を基に、選択可能なペン幅の候補を決定するので、画像の拡大縮小率に応じたペン幅の選択肢を計算によらない方法で決定でき、PDAのペイントツール機能を向上させる際のチューニングが行いやすくなる。
【0076】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、表示する画像の大きさにより、選択できるペンの太さの候補(ペン幅候補)の数を変化させる点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1、図2)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0077】
図10は、本実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおける基底ペン幅候補数を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
図10において、ペン幅決定部302は、ユーザによる表示装置101の画面上のパレットにおけるファイルオープンボタン606の操作により、画像ファイルをオープンしてデコードするときに、最初にペン幅の候補数を求める(ステップS1001)。即ち、
[ペン幅の候補数] = [画像の幅] * [画像の高さ] / 1,000,000 + 3 (式5)
により、ペン幅の候補数を求める。1,000,000は定数である。尚、小数点以下は切り捨てる。
【0079】
次に、ペン幅決定部302は、基底ペン幅候補を決定する(ステップS1002)。即ち、ペン幅候補数分について、
[基底ペン幅候補] = (1、3、5、7、・・・) (式6)
のようにして、基底ペン幅候補を決定する。
【0080】
例えば、上述した第1の実施の形態で用いた画像サイズ640*480のものでは、
[ペン幅候補数] = 640 * 480 / 1,000,000 + 3 = 3
となり、これにより、
[基底ペン幅候補] = (1、3、5)
となる。
【0081】
また、上述した第1の実施の形態で用いた画像サイズ1280 * 1024ドットのものでは、
[ペン幅候補数] = 1280 * 1024 / 1、000、000 + 3 = 4
となり、これにより、
[基底ペン幅候補] = (1、3、5、7)
となる。
【0082】
上記図10で説明した処理を行うことにより、サイズの大きな画像についてはペイント時により多くのペン幅の選択肢ができるため、サイズの大きな画像についても容易に細かいペイントを行うことが可能となる。
【0083】
尚、本実施の形態では、元画像の大きさをパラメータにしてペン幅の候補数を決定したが、元画像の大きさだけではなく、画像の拡大率もパラメータにしてペン幅の候補数を決定してもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示装置101に表示する画像の大きさを基に選択可能なペン幅候補の数を決定するので、即ち、画像の大きさに応じて選択可能なペン幅候補の数を変化させるので、例えば大きな画像に複数種類の線でペイントを行う際のペン幅の選択肢を増やすことが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0085】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、ペン幅の選択方法の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0086】
図11は、本実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおけるパレットの表示例を示す図である。
【0087】
図11において、1101は、スライドバーであり、1101aは、スライドバーのつまみである。ユーザはスライドバー1101により、ペン幅を無段階に選択することが可能である。スライドバー1101のつまみ1101aを上にドラッグすると、ペン幅は狭くなり、つまみ1101aを下にドラッグすると、ペン幅は広くなる。
【0088】
1102は、ペン幅のプレビューであり、現在表示中の画像面にペイント時に描かれるペンの太さと色を示す。スライドバー1101のつまみ1101aを上下に動かすと、それに応じてペン幅のプレビュー1102の線の太さが変化する。ペン幅決定部302は、ユーザがスライドバー1101のつまみ1101aを動かすときの制限値を、画像のデコード時や表示画像のズーム時に設定し直す。
【0089】
本実施の形態では、表示装置101の画面の高さの例えば10%にあたる現在表示されている画像のドット数を、設定できるペン幅の最大値にし、例えば1ドットを、設定できるペン幅の最小値にする。ペン幅の最大値の算出方法は、ペン幅決定部302が画像の現在の表示倍率を計算した後、以下のように行う。
【0090】
[ペン幅の最大値]=[表示画面の高さ] * 0.1 *
[画像が表示画面にぴったりおさまるときの倍率]/[現在の倍率]
(式7)
上述した第1の実施の形態で示した例を用いると、表示画面(320x240)ドット、画像サイズ(640*480)ドット、画像表示時から1回ズームボタン605の+ボタンを押下した状態で、表示画面の高さは240ドット、画像が表示画面にぴったり収まるときの表示倍率は、式1、式2で求められる値の小さい方で0.5、現在の表示倍率は0.5*2=1.0となるため、
[ペン幅の最大値] = 240 * 0.1 * 0.5 / 1 = 12ドット
と算出することができる。即ち、12ドットがペン幅の最大値となる。
【0091】
上記図11で説明した処理を行うことにより、ペン幅を1ドットずつ(実質的に無段階に)選択することが可能で、且つ表示装置101における画像の表示状態に応じて最適なペン幅の選択幅を持たせた、使い勝手の良いユーザインタフェースを実装することができる。
【0092】
尚、本実施の形態では、画像の表示倍率を基にペン幅の最大値を決定したが、画像の大きさを基にペン幅の最大値を決定するようにしてもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)を基にペン幅を無段階に選択することを可能としているので、画像の表示倍率(或いは画像の大きさ)に応じた最適なペン幅を選択しやすく且つ選択の自由度が高くなり、画像を拡大或いは縮小したときに、ペン幅を選択する制限が変化しない。
【0094】
[他の実施の形態]
上記第1乃至第3の実施の形態では、情報処理装置を携帯情報端末とした場合を例に挙げたが、本発明は、これに限定されるものではなく、携帯情報端末以外の情報処理装置にも適用することが可能である。
【0095】
また、本発明の目的は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0096】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0097】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0098】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0099】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAの外観を示す斜視図である。
【図2】PDAのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】PDAにおけるペイントツールを画像ファイル付きで起動し、ペイントするためのペンの幅を決定するまでの構成を示すブロック図である。
【図4】PDAにおける画像の表示倍率を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】画像とパレットの表示例を示す図である。
【図6】パレットの表示例を示す図である。
【図7】画像にペイントした表示例を示す図である。
【図8】ペイントした画像をズームインした表示例を示す図である。
【図9】ペイントした画像をズームインし追加ペイントした表示例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおける基底ペン幅候補数を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る情報処理装置としてのPDAにおけるパレットの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
100 PDA(情報処理装置)
101 表示装置(表示手段)
201 CPU
301 拡大率決定部(倍率決定手段)
302 ペン幅決定部(候補決定手段、登録手段、最大値決定手段)
303 ペン幅選択部(選択手段)
603a ペン幅選択ボタン(表示領域)
604a ペイントツール(表示領域)
1101 スライドバー(選択手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定手段と、
前記倍率決定手段により決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
基本となるペイントツールの描画幅の候補を登録する登録手段を更に備え、
前記候補決定手段は、前記表示手段に画像を拡大表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅は、前記基本となるペイントツールの描画幅の候補に設定し、前記表示手段に画像を縮小表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅は、前記基本となるペイントツールの描画幅の候補を画像の縮小率に応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の描画装置。
【請求項3】
前記候補決定手段は、前記基本となるペイントツールの描画幅の候補を、前記表示手段に表示する画像の表示倍率で除算すると共に除算結果を丸めることで、前記表示倍率に応じたペイントツールの描画幅の候補を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の描画装置。
【請求項4】
前記候補決定手段は、画像の拡大縮小率とペイントツールの描画幅の候補との対応関係を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定することを特徴とする請求項1記載の描画装置。
【請求項5】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項6】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、
表示手段に表示する画像の表示倍率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項7】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、
表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項8】
画像の拡大縮小率を基に、前記表示手段に表示されるペイントツールの描画幅或いはペイントツールの種類を選択するための表示領域の背景となる塗りつぶしパターンの大きさを変化させることが可能であることを特徴とする請求項1記載の描画装置。
【請求項9】
前記候補決定手段は、選択可能なペイントツールの描画幅の候補の数を決定することを特徴とする請求項1又は5記載の描画装置。
【請求項10】
前記ペイントツールは、ペンツール、消しゴムツール、ブラシツール、エアブラシツールを含む群から選択されることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の描画装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至10の何れかに記載の描画装置を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置の制御方法であって、
表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定ステップと、
前記倍率決定ステップにより決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定ステップと、
前記候補決定ステップにより決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択ステップとを備えることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定モジュールと、
前記倍率決定モジュールにより決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定モジュールと、
前記候補決定モジュールにより決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択モジュールとを備えることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定手段と、
前記倍率決定手段により決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
基本となるペイントツールの描画幅の候補を登録する登録手段を更に備え、
前記候補決定手段は、前記表示手段に画像を拡大表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅は、前記基本となるペイントツールの描画幅の候補に設定し、前記表示手段に画像を縮小表示する場合の選択可能なペイントツールの描画幅は、前記基本となるペイントツールの描画幅の候補を画像の縮小率に応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の描画装置。
【請求項3】
前記候補決定手段は、前記基本となるペイントツールの描画幅の候補を、前記表示手段に表示する画像の表示倍率で除算すると共に除算結果を丸めることで、前記表示倍率に応じたペイントツールの描画幅の候補を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の描画装置。
【請求項4】
前記候補決定手段は、画像の拡大縮小率とペイントツールの描画幅の候補との対応関係を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定することを特徴とする請求項1記載の描画装置。
【請求項5】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項6】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、
表示手段に表示する画像の表示倍率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項7】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置であって、
ペイントツールの描画幅を無段階に選択することが可能な選択手段と、
表示手段に表示する画像の大きさを基に、選択可能なペイントツールの描画幅の最大値を決定する最大値決定手段とを備えることを特徴とする描画装置。
【請求項8】
画像の拡大縮小率を基に、前記表示手段に表示されるペイントツールの描画幅或いはペイントツールの種類を選択するための表示領域の背景となる塗りつぶしパターンの大きさを変化させることが可能であることを特徴とする請求項1記載の描画装置。
【請求項9】
前記候補決定手段は、選択可能なペイントツールの描画幅の候補の数を決定することを特徴とする請求項1又は5記載の描画装置。
【請求項10】
前記ペイントツールは、ペンツール、消しゴムツール、ブラシツール、エアブラシツールを含む群から選択されることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の描画装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至10の何れかに記載の描画装置を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置の制御方法であって、
表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定ステップと、
前記倍率決定ステップにより決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定ステップと、
前記候補決定ステップにより決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択ステップとを備えることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
ペイントツールを用いて画像にペイントを行う描画装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
表示手段の表示サイズと表示対象の画像の大きさを基に、画像の拡大縮小率を決定する倍率決定モジュールと、
前記倍率決定モジュールにより決定された拡大縮小率を基に、選択可能なペイントツールの描画幅の候補を決定する候補決定モジュールと、
前記候補決定モジュールにより決定されたペイントツールの描画幅の候補から、使用する描画幅を選択する選択モジュールとを備えることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−221570(P2006−221570A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36866(P2005−36866)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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