説明

握りバー

【課題】物干し竿として利用でき、且つ衛生面に優れた握りバーを提供することである。
【解決手段】シャワーフック3がスライド可能に取り付けられおり、懸垂部材4と支持部材5とを介して浴室30の壁31面に設置される握りバー1において、シャワーフック3は回転機構を有し、握りバー1の内部に延長バー6を有し、懸垂部材4は握りバー1の上端部2aを回動可能に懸垂し、支持部材5は握りバー1の下端部2bを着脱可能に支持しており、握りバー1の下端部2bを支持部材5から取り外し、握りバー1内から延長バー6の一部を取り出して浴室30内を横断させると、物干しバー20に成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、握りバーに関し、さらに詳細には、浴室の壁面に設置される握りバーに関する。本発明の握りバーは、物干し竿として利用でき、且つ衛生面に優れたものである。
【背景技術】
【0002】
浴室内において、使用者の転倒防止を目的として、手すりや握りバーを設置する等、様々な工夫が施されている。また、乾燥機能を備えた空調装置と物干し竿を用いて、浴室を乾燥室として利用することが知られている。
【0003】
特許文献1には、握りバーとして使用可能な長尺状の棒状部材を、水平状態にすることで物干し竿として使用可能な構成が開示されている。この構成により、収納場所が問題となっていた物干し竿を、違和感なく浴室内に設置可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−123683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の棒状部材では、長尺状の棒状部材が浴槽に当接している。そのため、浴槽に接した棒状部材の端部から、棒状部材の全体にカビが拡がる恐れがある。
【0006】
また、特許文献1に記載の棒状部材を物干し竿として使用する場合には、棒状部材に取り付けられているシャワーヘッドを棒状部材から取り外す必要がある。これは、棒状部材に取り付けられたシャワーフックが、縦から横へと姿勢を変えることによって、シャワーヘッドを支持できなくなるためである。
【0007】
さらに、重量物を干す等、物干し竿(棒状部材)を支持棒で補強する際には、シャワーフックが支持棒との連結部として機能する。そのため、洗濯物を干す度に、シャワーヘッドを取り外す必要があり、手間が掛かる。また、取り外したシャワーヘッドは、床に置かれることによってカビが生じる恐れがあり、不衛生である。
【0008】
そこで、本発明は、物干し竿として利用でき、且つ衛生面に優れた握りバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、シャワーフックがスライド可能に取り付けられおり、懸垂部材と支持部材とを介して浴室の壁面に設置される握りバーにおいて、シャワーフックは回転機構を有し、握りバーの内部に延長バーを有し、前記懸垂部材は握りバーの上端を回動可能に懸垂し、前記支持部材は握りバーの下端を着脱可能に支持しており、握りバーの下端を支持部材から取り外し、握りバー内から延長バーの一部を取り出して浴室内を横断させると、物干しバーに成ることを特徴とする握りバーである。
【0010】
浴室の壁面に設置された握りバーは、床面から浮いた状態にあり、衛生面に優れている。ところが、床面から浮いた状態の握りバーは、長さが短く、物干しバーとして機能しないという問題がある。
【0011】
本発明の握りバーでは、握りバーの内部に延長バーを有し、握りバー内から延長バーの一部を取り出すことができるため、物干しバーとして十分な長さを確保できる。
【0012】
また、握りバーにスライド可能に取り付けられたシャワーフックは、回転機構を有している。そのため、握りバーが懸垂された状態から横断する状態へと変化した際に、シャワーフックはその姿勢を維持することができる。つまり、シャワーフックにシャワーヘッドを装着したまま、握りバーを鉛直方向から水平方向へと変化させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の握りバーによれば、物干し竿として利用でき、且つ衛生面に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る握りバーを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1の握りバーが物干しバーと成った状態を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態の変形例に係る握りバーを示す側面図であり、左右に設けられた握りバー同士が連結して物干しバーと成った状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の握りバーの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0016】
図1(a)に示す握りバー1は、浴室30内の壁31に取り付けられている。握りバー1は、本体2と、シャワーフック3と、懸垂部材4と、支持部材5とを有している。
【0017】
本体2は、長尺状の管状部材である。本体2は、図1(b)に示すように、延長バー6を内蔵している。延長バー6も本体2と同様に管状部材である。延長バー6は、抜け止め用の係止栓6aと、先端カバー6bとを有している。
【0018】
シャワーフック3は、スライド部3aと、支持部3bと、ベアリング3c(回転機構)とを有している。
【0019】
スライド部3aは、筒状部材である。スライド部3aは、図1(a),1(b)において、本体2の上下方向にスライド可能に取り付けられている。
【0020】
支持部3bは、シャワーヘッド10を支持するためのフックそのものである。支持部3bは、ベアリング3c(回転機構)を介してスライド部3aに回転可能に取り付けられている。なお、ベアリング3cは、自在軸継手等であっても構わない。
【0021】
すなわち、シャワーヘッド10は、シャワーフック3を介して本体2にスライド且つ回転可能に取り付けられている。つまり、シャワーフック3と本体2とは、いわゆるスライドバーとして機能している。
【0022】
懸垂部材4は、本体2を回動可能に懸垂するための接続部材である。懸垂部材4として、例えばクレビスを用いることが好ましい。懸垂部材4には、ピン7を介して本体2の上端部2aが取り付けられている。懸垂部材4は、浴室30の壁31に固定されている。
【0023】
支持部材5は、本体2を支持するための接続部材である。支持部材5は、カップリング5aを有している。支持部材5には、カップリング5aを介して本体2の下端部2bが取り付けられている。カップリング5aを回して緩めると、支持部材5から下端部2bを取り外すことができる。支持部材5は、浴室30の壁31に固定されている。
【0024】
図1(b)に示した握りバー1において、支持部材5から本体2の下端部2bを取り外し、本体2の下端部2bから延長バー6の一部を取り出す。その状態のまま、懸垂部材4を支点として握りバー1が水平となるように本体2等を回動させると、握りバー1は図2に示す姿勢へと変化する。
【0025】
図2は、握りバー1が浴室30内を横断した状態を示している。延長バー6の先端カバー6bは、浴室30の壁32に設けられた受け具8で支持されている。すなわち、本体2と延長バー6とによって、物干しバー20を構成している。
【0026】
この状態において、シャワーヘッド10は、鉛直方向に沿っている。つまり、シャワーヘッド10は、握りバー1が物干しバー20へと変化する前の図1(a),1(b)の姿勢を保持している。これは、シャワーフック3がベアリング3cを有しているためである。
【0027】
なお、受け具8の代わりに、壁32に窪み等を設け、それを用いても良い。或いは、受け具8や窪み等を用いずに、延長バー6を壁32に押し付け、押し付け力によって、物干しバー20を水平に保持させる構成としても構わない。
【0028】
図3は、本発明の実施形態の変形例に係る物干しバー50を示している。物干しバー50は、浴室30の壁31,32に各々設けられた握りバー40の延長バー6同士を、カップリング51で接続したものである。物干しバー50のように、左右の両側に握りバー1を設ける構成とすることにより、握りバー40の長さを握りバー1よりも短くすることができる。そのため、握りバー40の取り回しが容易となり、物干しバー50への変形をスムーズに行うことができる。なお、握りバー40において、握りバー1と同一の構成部材については、同じ符号で表した。
【0029】
前述の物干しバー20及び50については、懸垂部材4と支持部材5とが、浴室30の壁31又は32に固定される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、懸垂部材4と支持部材5とを図示しない昇降装置で、昇降可能としても構わない。懸垂部材4と支持部材5とを昇降可能とすることにより、物干しバー20及び50の高さを自在に調整できる。さらに、同様の構成により、握りバー1及び40の高さについても、自在に調整できる。なお、図示しない昇降装置は、図示しない制御装置及び壁面スイッチ等で制御可能である。
【符号の説明】
【0030】
1,40 握りバー
2a 上端部
2b 下端部
3 シャワーフック
4 懸垂部材
5 支持部材
6 延長バー
20,50 物干しバー
30 浴室
31,32 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーフックがスライド可能に取り付けられおり、懸垂部材と支持部材とを介して浴室の壁面に設置される握りバーにおいて、シャワーフックは回転機構を有し、握りバーの内部に延長バーを有し、前記懸垂部材は握りバーの上端を回動可能に懸垂し、前記支持部材は握りバーの下端を着脱可能に支持しており、握りバーの下端を支持部材から取り外し、握りバー内から延長バーの一部を取り出して浴室内を横断させると、物干しバーに成ることを特徴とする握りバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−67507(P2012−67507A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213142(P2010−213142)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】