説明

揮発性処理剤の拡散による空気処理カートリッジを受容するようになっている、換気、暖房、または空調設備

【課題】簡単かつ安価で、任意箇所に設置可能な揮発性処理剤の拡散による空気処理手段の提供。
【解決手段】本発明は、揮発性処理剤の拡散による空気処理手段を備えた、特に車両用の換気、暖房、または空調設備であって、空気循環路(8)を画定する壁(2)を備え、この壁(2)は、この壁を介して、処理カートリッジ(1)を通すための開口部(7)を有する。透過性の隔壁(10)が、揮発性処理剤の拡散室(11)を画定し、この隔壁(10)は、空気循環路(8)の容積の内部体積に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室用等の換気、暖房、または空調設備の分野に関する。本発明は、微生物の繁殖に対して、揮発性処理剤を拡散することにより、循環する通り抜け空気を処理する処理装置を受容するように構成された、このような設備を目的としている。
【背景技術】
【0002】
自動車用の換気、暖房、または空調設備は、少なくとも一つの吸気口と、少なくとも一つの排気口との間に空気循環路を有し、前記空気循環路に、各種の空気処理手段が配置されている。吸気口は、外気または再利用空気の入口である。
【0003】
空気処理手段は、特に、空気循環路を介して空気流を動かすための送風手段や、暖房、または冷房手段であり、また、粒子フィルタリング、イオン化、光触媒反応等による空気の浄化手段である。これらの空気処理手段の中で、揮発性処理剤を使用する手段が知られている。
【0004】
通常、処理剤は、担体で保持されている液状またはゼリー状の製品であり、微生物の繁殖を回避して、乗員にとって不快の原因である悪臭を抑えるようになっている。このような微生物は、特に、設備に収容されているエバポレータの領域で繁殖する。従って、処理剤は、殺菌特性を有する。
【0005】
そこで、揮発性処理剤の拡散による伝播空気の処理手段を、空気循環路に設置するという課題が知られている。
【0006】
このような設備は、設備の外径寸法をできる限り小型化することが望まれているということを無視して形成してはならず、また、それに伴う追加費用の原因となってはならない。
【0007】
コストに関しては、処理剤を支持する担体の交換、さらには処理剤が切れたときの処理剤そのものの交換のために、特に処理手段の出し入れを容易にして、処理手段のメンテナンスを簡素化できるように設備を構成することが望ましい。
【0008】
同じくコストに関して、設備は、その標準化に反するようなものであってはならず、特に、一定メーカーの任意の一つの車両でも、また異なる複数のメーカーの複数の車両でも、大掛かりな変更なしに組み込めるように構成して、設備設計努力の収益性を最適化することが望ましい。
【0009】
さらに、空気流内では、適切な量の処理剤を、高い信頼性をもって規則正しく拡散させて、経続的に申し分のない処理を行うようにしなければならない。
【0010】
特許文献1では、空気循環路の内部に配置された処理剤の容器に処理手段を配置することが提案されている。処理剤の補給は、空気循環路の外部に、容器を接続するダクトを介して行われる。このような構成は実施しにくく、空気力学的な損失の観点からも、設備の標準化の観点からも、満足のいくものではない。
【0011】
また、特許文献2では、空気循環路の壁に固定されたカートリッジに処理手段を配置することが提案されている。このカートリッジは、担体の受容溝を有する支持体からなり、空気循環路を画定する壁の外面に固定手段を備えている。壁は、その厚さ内に、担体の受容溝を含むカートリッジ部分を収容する空気循環路の内部体積に通じているか、または通じていない空洞を有する。
【0012】
しかし、処理剤の拡散方式については、空気循環路により伝播される空気を、規則正しく高い信頼性で持続的に処理するために改善するべきである。換言すれば、特許文献2におけるカートリッジの配置では、十分な交換面を提供できない。この点に関して、処理剤のカートリッジは、送風装置の停止時、すなわち、設備内の空気の動きがないか、または殆どない時に動作することを思い起こさなければならない。
【0013】
そのため、こうした動きのない空気体積との交換面が重要である。しかも、空調ハウジングで利用可能なスペースは限られているので、たとえば1年という長期にわたって十分な拡散を維持しようとする場合、設備の壁と同面に処理剤カートリッジを配備することは、ほとんど不可能である。
【0014】
【特許文献1】ドイツ国特許第10346182号明細書(BEHR Gmbh & Co Kg)
【特許文献2】特開第2004−210087号公報(ゼクセルヴァレオクライメートコントロール)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、揮発性処理剤を拡散することにより、循環する通り抜け空気を処理する処理装置を受容するように構成された、車両用等の換気、暖房、または空調設備を提案することにある。
【0016】
本発明は、特に、揮発性処理剤の拡散による空気処理手段の設置方式により、得られる処理の品質も、設備の標準化も損なわずに、またそれに伴う追加費用もかかることなく、揮発性処理剤がなくなった後の処理手段の補給を、簡単かつ安価に行い、揮発性処理剤を十分な量で、規則正しく拡散し、かつ設備の空気循環路の任意の箇所に設置が可能な、上記の設備を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の設備は、換気、暖房、または空調設備である。この設備は、少なくとも1つの吸気口と、少なくとも1つの排気口との間に空気循環路を有する。この空気循環路は、外部環境の空気を通さない気密部により画定され、前記容積は壁で囲まれている。壁は、熱処理手段である空気処理手段を収容するダクト、またはハウジングの壁とすることができる。
【0018】
この設備は、揮発性処理剤の拡散による空気処理手段を備え、この手段は、空気を浄化して、特にこの微生物の増殖を抑えるために、空気循環路に配置されている。特に、この設備は、空気循環路を画定する壁が、この壁を介して、揮発性処理剤の放出による空気処理カートリッジを通すための少なくとも1つの開口部を含む種類のものである。カートリッジは、揮発性処理剤を含浸した支持体を含むタイプのものである。
【0019】
本発明による設備は、主に、揮発性処理剤の拡散室を画定する透過性の隔壁が、空気循環路の容積の内部体積内に配置されていることを特徴としている。内部体積内に配置されるとは、透過性の隔壁が、設備の壁の厚さを越えて、この設備の内部体積内に通じているという意味である。従って、この壁は、少なくとも2つの交差面で空気と接する放出面、すなわち隔壁を含むものである。
【0020】
これらの配置は、処理剤が、壁により画定される空気循環路内に配置されている拡散室の内部を占有し、空気循環路内に、隔壁を介して拡散可能であるようなものである。隔壁の面全体が、日常的な所望の量に応じて拡散を調整しながら、空気循環路の内部で、十分な量の処理剤を拡散する機能を同時に発揮する。
【0021】
特に、拡散室の内部で処理剤の拡散を行うために、担体と隔壁との間に、直接連通スペースが設けられている。透過性の隔壁を介しての拡散に先立って、揮発性処理剤が内部に広がるこのスペースは、拡散室の周辺領域から形成可能であり、この領域は、前記拡散室の内部に、少なくとも部分的に収容される担体の周囲に設けられる。
【0022】
また前記スペースは、拡散室の少なくとも一部、とりわけ、外縁部分から形成してもよいし、そうでなくて、担体が拡散室の内部体積の外に配置される場合は、拡散室の内部体積の全体から形成してもよい。
【0023】
特に、担体と、空気循環路を介する空気循環の体積との間に隔壁を配置し、拡散室が、担体の受容溝を形成しているのが好ましい。
【0024】
開口部が、壁を介して、空気循環路の内部で、空気の循環方向に横軸に沿って設けられている変形実施形態によれば、隔壁は、カートリッジを通すために、壁が有する開口部の周辺付近で、その延長線上に延びている。そのため、カートリッジは、空気流の循環方向に対し、ほぼ直角に延びている。
【0025】
様々な変形実施形態によれば、隔壁は、少なくとも部分的に、そうでなければ、全体としてカートリッジに設けられるか、あるいは、少なくとも部分的に、そうでなければ、全体として空気循環路の壁に設けられている。
【0026】
隔壁は、カートリッジと壁とにそれぞれ設けられた基本隔壁から形成することも可能である。隔壁または基本隔壁は、様々な実施例においては、上記したケースに応じて、空気循環路の壁、またはカートリッジの支持体に、一様に嵌合または一体成形され、これらと共に単一部品を形成している。
【0027】
変形実施形態によれば、透過性の隔壁は、担体の溝の着脱式タンクの隔壁であり、タンクは、たとえば差し込み、クリップ止め、留め金止め等の可逆的な受容手段を介して、もしくはねじ締め等の協働する組立部品を使用して、支持体に嵌合されている。たとえば、支持体は、嵌合してタンクを受容する台枠または同等物を含んでいる。
【0028】
カートリッジを設置する様々な場合に応じて、カートリッジは、たとえば、空気の熱処理手段を少なくとも収容するハウジングの壁に設置されるか、あるいは、このようなハウジングの上流に配置されているダクトの壁、もしくは前記ハウジングの下流に配置されているダクトの壁に設置される。なお、上流および下流という表現が示す方向は、設備内部の空気流の循環方向に関するものである。
【0029】
もちろん、空気循環路の個々の任意の場所、特に任意の1つのダクト、またはハウジングの壁に、複数のカートリッジを設けてもよい。実際、発明の範囲を出ることなく、設備の吸気ハウジング内や、送風装置内、もしくは送風装置の近辺や、あるいは、熱交換機を収容するハウジング近くの給気ダクト内に、カートリッジを設けることができる。
【0030】
同様に、カートリッジを、空気を供給する付随的な循環路に設けることができる。
【0031】
様々な変形実施形態によれば、カートリッジは、壁との可逆的な固定手段を備える交換可能な着脱式のカートリッジであるか、あるいはまた、支持体と担体との可逆的な接合手段を備えるカートリッジであり、担体は、交換可能であるか、あるいは担体への揮発性処理剤の充填手段を備えている。そのため、処理剤の補給は、カートリッジの交換、または担体の交換、または担体への処理剤の充填により実施可能である。
【0032】
特に、壁へのカートリッジの固定手段は、たとえば、貼り合わせ、溶接、壁と支持体との一体成形、もしくは同等技術等の、不可逆的な固定手段とすることができる。
【0033】
別の変形実施形態によれば、壁へのカートリッジの固定手段は、たとえば協働する組立部品または同等技術を介しての、差し込み、クリップ止め、ねじ締め等の可逆的な固定手段とすることができる。
【0034】
支持体と担体との接合手段は、貼り合わせ、または同等技術等の不可逆的な接合手段とすることができる。別の変形実施形態によれば、支持体と担体との接合手段は、たとえば協働する組立部品または同等技術を介する、差し込み、クリップ止め等の可逆的な接合手段とすることができる。
【0035】
さらに別の変形実施形態によれば、支持体と担体との接合手段は、前記支持体に嵌合された担体の受容タンクからなり、このタンクの壁が、前記透過性の隔壁を構成するようにする。
【0036】
好適には、担体は、海綿状の凝集体である。このような構成によると、担体の本来の耐性を損なうことなく、任意の一つの方向へ向けて、壁にカートリッジを設けることができる。
【0037】
処理剤は、芳香剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に本発明を、添付図面に示す実施形態に関して説明するが、これにより、本発明はより明らかになると思う。
【0039】
図1〜図4の手段は、自動車の換気、暖房、または空調設備に装備され、この設備を介して伝播される空気を処理して、微生物の繁殖を抑えるように構成されている。
【0040】
このような手段においては、設備の空気循環路により画定される容積の内部に活性の殺菌物質を拡散する揮発性処理剤を用いる。揮発性処理剤は、芳香物質と混合可能である。また、この処理剤を、芳香剤または同等製品と代替することにより、処理手段の作用を、設備が伝播する空気の芳香機能に限定することもできる。
【0041】
これらの処理手段は、設備の壁2に設けられるようになっているカートリッジ1を備えている。カートリッジ1は、揮発性の処理剤を含浸させた担体4の支持体3を有する。
【0042】
担体4は、たとえば、液状またはゼリー状の処理剤を含む透過性の小袋または同等物から構成されている。しかし、好適には、担体4は、メッシュとも呼ばれる海綿状の凝集体であり、好ましくはもつれ合った天然、または人工の織物繊維等の織物素材や、付着紙、またはにおい紙からなる厚肉の吸い取りパッド等のセルロース塊から、また、場合によっては、細分して圧縮された鉱物性または植物性の担体からなる本体や、ポリマー粉の凝集塊から、さらには、多孔質の皮等の動物性材料から、ブロックを形成して構成される。
【0043】
凝集体からなる担体4のこのような構造により、自然な耐性が付与され、特に重力の観点から任意の一つの配向に沿って、担体を設備に設置することが可能になる。処理剤は、液状またはゼリー状のイソチオシアン酸アリル、または同等物である。
【0044】
担体4は、着脱式または不可逆的に支持体3に嵌合される。たとえば、担体4は、好適には、支持体3が含む溝6の内部に嵌合可能であるが、図1〜図4に示すように、溝6の内部に付随的に貼り合わせることもできる。図5では、担体4は、貼り合わせ、または同等の手段により、設備の壁2に向けた支持体3の面に固定されている。
【0045】
設備の壁2は、これを介して、支持体3により支持される担体4を通すための開口部7を有する。開口部7は、壁2により容積が画定される設備の空気循環路8の外部と、この空気循環路8の内部とに通じている。こうした構成により、壁2にカートリッジ1を容易に設置することが可能となり、かつ空気流が動かされていないとき、空気循環路8の内部に向けて、処理剤を大幅に拡散させることができる。
【0046】
カートリッジ1は、ねじ9等の固定手段を介して、あるいは図1から図5の実施例では、嵌合により、壁2に固定されている。このような構成により、設備にカートリッジ1を容易に設置できるだけでなく、カートリッジ1の交換、担体4の交換、または担体4への処理剤の充填により、処理剤がなくなった後も、処理剤を容易に補給することができる。
【0047】
壁2を介して設けられる開口部7の寸法を、それほど大きくせずに、空気循環路8の内部における処理剤の拡散を十分な量に調整するために、担体4と、空気循環路8を画定する容積の内部体積との間に、透過性の隔壁10が配置されている。
【0048】
図1では、隔壁10または放出面は、支持体3の不可欠な一部をなし、一体成形されている。支持体3と隔壁10は、単一のアセンブリを形成している。
【0049】
それに対して、図2では、壁2の内面、またはタンク6の周辺壁に、固定可能な着脱式の隔壁10を示している。
【0050】
図3から図5は、図1、図2との相違を強調して示す図である。放出隔壁10は、外部環境に向かって開いた「U」字形の空洞の形成により、あるいは、設備の壁2の内面におけるほぼ筒状の空洞の形成により、壁2の一部をなしている。
【0051】
隔壁10は、空気循環路8の内部に配置される処理剤の拡散室11を画定している。そのため、開口部7の面積だけにより提供されるよりもずっと大きい拡散面積を介して、空気循環路8の内部に処理剤が拡散される。
【0052】
さらに、透過性の隔壁10に固有の特徴、たとえばその厚さ、寸法、解放面積、または構成材料を変えることによって、この拡散は容易に調節される。
【0053】
参考までに、好適な実施形態では、透過性の隔壁10は、隔壁の厚さが0.5mmから2mmの場合、たとえば、必要に応じて、0%から40%の比率で、また特に約20%の比率でタルクを添加した、ポリプロピレンタイプのプラスチック材料で形成される。一例として、透過性の隔壁10は、全体面積が4200mm2±10%であるとき、厚さは、0.9mm±20%である。
【0054】
透過性の隔壁10により画定される拡散室11のこのような構成に対して、処理剤の年間の拡散は、40℃の一定温度で約45mg/日である。透過性の隔壁10の寸法および構成材料と、処理剤の拡散とについてのこうした値は、本発明の範囲を逸脱することなく、修正可能である。
【0055】
図1〜図4では、担体4は、壁2により画定される容積内に配置されるように、支持体3を越えて延長されている。この場合、担体4は、拡散室11の内部に配置されている。
【0056】
担体4と透過性の隔壁10との間で、この担体の周囲にスペースを設け、透過性の隔壁10を介して、空気循環路の内部に拡散を行う前に、拡散室11の内部に処理剤を拡散できるようにしている。図5では、担体4が一定の体積を占有しているが、この体積は、壁2により画定される空気循環容積の内部体積を占有するものではない。
【0057】
処理剤は、透過性の隔壁10を介して、空気循環路8の内部に拡散される前に、この透過性の隔壁により画定される拡散室11の内部に拡散される。
【0058】
図6〜図10では、担体4は、この担体4を含むタンクを介して支持体3に嵌合されている。タンクの壁は、透過性の隔壁10を構成している。
【0059】
図6、および図8から図10に示した第1の変形実施形態によれば、タンクは、貼り合わせにより、不可逆的に支持体3に嵌合されている。
【0060】
図7に示した変形実施形態によれば、支持体は、担体4を収容するタンク23の受容台枠22を含んでいる。この台枠は、穿孔可能であり、それによって、タンク23の壁の大部分を開放し、空気循環路8内に広く放出を行うようになっている。
【0061】
図6および図7において、壁2へのカートリッジ1の固定手段は、カートリッジ1が有するストリップ13に設けられた嵌合端12を含んでいる。爪を備えた四分の一回転結合装置14で、壁2へのカートリッジ1の固定が補完されている。
【0062】
図8では、壁2へのカートリッジ1の固定手段は、ねじ締めタイプであり、そのねじ15は、カートリッジ1が含むストリップ16を貫通し、壁2におけるねじ孔と協働する。
【0063】
図9では、壁2へのカートリッジ1の固定手段は、ねじ締めタイプであり、支持体3に設けられたねじ山17は、開口部7に設けられた係合ねじ切り部分と協働している。
【0064】
図10では、壁2へのカートリッジ1の固定手段は、クリップ止めタイプであり、少なくとも一つの爪19のために、少なくとも1つの通路を備えるストリップ18を結合している。ストリップ18と爪19は、それぞれ、カートリッジまたは壁2に設けられている。図示の実施例では、カートリッジ1はストリップ18を備えており、壁2に設けられた爪19と協働する。
【0065】
図11では、空気循環路が含むダクト(図12に示されたダクト35または35’)の出口20に、カートリッジ1が設けられている。この場合、壁2が含む開口部7は、前記出口20からなっている。
【0066】
様々な変形実施形態によれば、壁2へのカートリッジ1の固定手段は、カートリッジ1が含む2個の対合支持部品の間で、壁2をクリップ止めするか、留め金で止めるか、または弾性的にクランプするタイプである。図示の例では、固定手段は、ダクトの出口20を縁取る壁2にカートリッジ1を保持する留め金21を備えている。
【0067】
図12では、車両の換気、暖房、または空調設備は、空気循環路8を含み、少なくとも1つの吸気口24に空気が入る。この吸気口は、外気または再利用空気の入口である。この設備は、車室の特定領域、さらにはシートまたは他の車両部材の特定領域の通風用の複数の排気口25を備えている。
【0068】
図示した概略的な実施例では、空気循環路8は、空気の熱処理または浄化処理手段を収容するハウジング28を含む熱処理モジュール27への給気ダクト26と、ハウジング28から換気領域または換気部材に向けて、処理された空気を排出する複数のダクト29とを備えている。
【0069】
ハウジング28には、たとえば、エバポレータ30や、少なくとも1つのラジエータ31等の空気の熱処理用の冷却部材が収容される。ハウジング28には、また、空気を浄化するための少なくとも1つの粒子フィルタ32、または同等フィルタが収容される。フィルタ32は、空気循環路8内に空気流を発生する送風装置33の下流に配置される。
【0070】
ハウジング28の内部で空気流を配分するフラップ34、34’により、冷却部材30、31の少なくともいずれかに向けて、空気を配向できる。
【0071】
空気循環路、特にハウジング28は、また、本発明の範囲を逸脱せずに、イオン化装置、光触媒処理装置、電気集塵処理装置、または他のあらゆる空気処理装置等の、空気の他の熱処理部材を収容可能である。
【0072】
ハウジング28に収容される部材の構造および配置を、例をあげて示したが、これは、本発明の範囲を逸脱することなく、変更することができる。
【0073】
カートリッジは、各矢印Aで示された空気循環路の任意の一箇所に容易に設置できる。この設置位置の特定は、熱処理モジュール27の上流において、給気ダクト26の領域内に、またはハウジング28内におけるエバポレータ30の上流に、あるいは排気ダクト29の内部に配置することが可能である。
【0074】
カートリッジの好適な設置場所は、容易に出し入れ可能な設備の様々な領域に配置され、揮発性処理剤の拡散による空気処理手段のメンテナンスを簡素化できるようにされており、特に、揮発性の処理剤がなくなったとき、空気処理手段に処理剤を補給するようになっている。
【0075】
これらの領域は、エバポレータ30の上流の吸気領域と、粒子フィルタ32または同等の空気浄化装置の領域とである。カートリッジの設置を、送風装置33の上流に配置される再循環フラップ34’の下流で行うこともできる。
【0076】
この設備は、熱処理モジュール27の上流または下流に配置された、エンジン区画内の空気取入口、または車室内の空気取入口等の、第2の付随的な給気循環路35、35’を備えることがある。これらの付随的な給気循環路35、35’は、端に処理剤のカートリッジが設置されるダクトである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】換気、暖房、または空調設備に装備され、この設備を通って伝播される空気を揮発性の処理剤により処理する処理手段の、第1の実施例を示す図である。
【図2】図1に示したものと同様の処理手段の第2の実施例を示す図である。
【図3】図1に示したものと同様の処理手段の第3の実施例を示す縦断面図である。
【図4】図2に示したものと同様の処理手段の第3の実施例の横断面図である。
【図5】上記の各図に示したものと同様の処理手段の第4の実施例を示す図である。
【図6】上記の各図に示した処理手段が含むカートリッジを設備の壁に設置する例を、示す先端図と縦断面図である。
【図7】上記の各図に示した処理手段が含むカートリッジを設備の壁に設置する例を、示す先端図と縦断面図である。
【図8】上記の各図に示した処理手段が含むカートリッジを設備の壁に設置する例を、示す先端図と縦断面図である。
【図9】上記の各図に示した処理手段が含むカートリッジを設備の壁に設置する例を、示す先端図と縦断面図である。
【図10】上記の各図に示した処理手段が含むカートリッジを設備の壁に設置する例を、示す先端図と縦断面図である。
【図11】設備の壁へのカートリッジの別の設置例を示す縦断面図である。
【図12】自動車の換気、暖房、または空調設備の空気循環路の壁に設置される本発明による処理手段の様々な設置場所を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 カートリッジ
2 壁
3 支持体
4 担体
7 開口部
8 空気循環路
9 ねじ
10 透過性の隔壁
11 拡散室
12 嵌合端
15 ねじ
13、16、18 ストリップ
17 ねじ山
19 爪
20 ダクトの出口
21 留め金
23 タンク
24 吸気口
25 排気口
26 給気ダクト
27 熱処理モジュール
28 ハウジング
29 排気ダクト
30 エバポレータ
31 ラジエータ
32 フィルタ
33 送風装置
34、34’ フラップ
35、35’ 付随的な給気循環路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの吸気口と、少なくとも一つの排気口との間に空気循環路(8)を有し、この空気循環路(8)が、壁(2)により取り囲まれた気密部により画定され、前記壁は、この壁を介して、揮発性処理剤の拡散による空気処理カートリッジ(1)を通すための少なくとも一つの開口部(7)を有する、換気、暖房、または空調設備であって、揮発性処理剤の拡散室(11)を画定する透過性の隔壁(10)が、空気循環路(8)の容積の内部に配置されていることを特徴とする設備。
【請求項2】
開口部(7)は、壁(2)を介して、空気循環路(8)の内部で、空気の循環方向に横軸に沿って設けられており、隔壁(10)は、壁(2)が含む開口部(7)の延長線上に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
開口部(7)は、壁(2)を介して、空気循環路(8)の内部で、空気の循環方向に沿って配置されており、隔壁(10)は、開口部(7)の軸を横切るように延びていることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項4】
隔壁(10)は、少なくとも部分的に、カートリッジ(1)に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の設備。
【請求項5】
隔壁(10)は、少なくとも部分的に、空気循環路(8)の壁に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の設備。
【請求項6】
隔壁(10)は、空気循環路(8)の壁(2)と一様に嵌合または一体成形されて、単一部品を形成していることを特徴とする、請求項5に記載の設備。
【請求項7】
隔壁(10)は、カートリッジ(1)の支持体(3)に一様に嵌合または一体成形されて、単一部品を形成していることを特徴とする、請求項4に記載の設備。
【請求項8】
隔壁(10)は、カートリッジ(1)の担体(4)と、空気循環路(8)を通り抜ける空気の循環体積との間に介在し、拡散室(11)は、担体(4)を受容する溝をなしていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の設備。
【請求項9】
担体(4)を受容するタンクは、支持体(3)に着脱式に嵌合され、このタンクの壁は、前記透過性の隔壁(10)を構成していることを特徴とする、請求項8に記載の設備。
【請求項10】
カートリッジ(1)は、少なくとも空気の熱処理手段(30、31)を収容するハウジング(28)の壁に設置されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の設備。
【請求項11】
カートリッジ(1)は、少なくとも空気の熱処理手段(30、31)を収容するハウジング(28)の上流または下流に一様に配置された、ダクト(26、35)の壁に設置されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の設備。
【請求項12】
カートリッジ(1)は、壁(2)への可逆的な固定手段を備える交換可能な着脱式カートリッジであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の設備。
【請求項13】
カートリッジ(1)は、支持体(3)と担体(4)との間に可逆的な接合手段を備えており、かつ担体(4)は、交換可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−210605(P2007−210605A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19781(P2007−19781)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】