説明

揺動装置

【課題】揺動に関係なく所定の力がかかるように押圧動作を制御し、使用者それぞれに適した押圧動作を与え、疲労軽減をより向上させる揺動装置を提供することである。
【解決手段】使用者の身体を支持する身体支持手段(身体支持部材13)と、この身体支持手段を前後方向に揺動動作させる揺動駆動手段(揺動駆動装置12)と、この揺動駆動手段の揺動動作を制御する揺動制御部1と、使用者を押圧するマッサージ手段(エアバッグ40乃至48)と、を有した揺動装置10であって、マッサージ手段は、押圧動作を制御する力制御部2を備え、力制御部2は、押圧動作を揺動動作のn倍の周期T(n=1,2,3・・・)に同期させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に揺動を与え、その揺動中に押圧動作のマッサージを行う揺動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体に対して揺れ振動を与えるリラックス装置が知られている(特許文献1)。このリラックス装置は、揺れ振動を加えることで、使用者をリラックス状態あるいは睡眠状態に導くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−137626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、揺動中にマッサージを行うと、対の施療子には力の制御がなく、揺動の影響を受けて施療子への体重負荷が変化するため、所定の押圧力を与えることができず、使用者それぞれに適した押圧動作を与えるには不十分であった。
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたのもので、その課題は、揺動に関係なく所定の押圧力がかかるように押圧動作を制御し、使用者それぞれに適した押圧動作を与え、疲労軽減をより向上させる揺動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の揺動装置では、使用者の身体を支持する身体支持手段と、この身体支持手段を前後方向に揺動動作させる揺動駆動手段と、この揺動駆動手段の前記揺動動作を制御する揺動制御部と、前記使用者を押圧するマッサージ手段と、を有した揺動装置であって、前記マッサージ手段は、前記押圧動作を制御する力制御部を備え、前記力制御部は、前記押圧動作を前記揺動動作のn倍の周期T(n=1,2,3・・・)に同期させる制御を行うことを特徴とする。
【0007】
また、この揺動装置において、前記力制御部は、前記揺動動作の往復方向の変化時点から、前記押圧動作の力が増加する制御と減少する制御とを順次行うことが好ましい。
【0008】
また、この揺動装置において、前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期T毎に一定となる制御を行うことが好ましい。
【0009】
また、この揺動装置において、前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期Tに対応して山波に増減する制御を行うことが好ましい。
【0010】
また、この揺動装置において、前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期T毎に、段階的に増加する制御を行うことが好ましい。
【0011】
また、この揺動装置において、前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期T毎に、段階的に減少する制御を行うことが好ましい。
【0012】
また、この揺動装置において、前記マッサージ手段は、マッサージを行う位置を変更する位置制御部を備えることが好ましい
【発明の効果】
【0013】
本発明の揺動装置において、前記マッサージ手段は、前記押圧動作を制御する力制御部を備え、前記力制御部は、押圧動作を揺動動作のn倍の周期T(n=1,2,3・・・)に同期させる制御を行う。これより、揺動動作の周期Tに応じた押圧動作を行うことができるため、使用者がより一層の疲労軽減を感じやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】同実施形態を示す(a)揺動装置のブロック図、(b)身体支持部材の斜視図、である。
【図3】揺動動作の周期及び使用者が感じる押圧動作の力の周期を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び2は、本発明の一実施形態である揺動装置10を示している。この揺動装置10は、使用者の身体を支持する身体支持手段(身体支持部材13)と、この身体支持手段を前後方向に揺動動作させる揺動駆動手段(揺動駆動装置12)と、この揺動駆動手段の揺動動作を制御する揺動制御部1と、使用者を押圧する行うマッサージ手段(エアバッグ40乃至48)と、を有している。マッサージ手段は、押圧動作を制御する力制御部2を備え、力制御部2は、押圧動作を揺動動作のn倍の周期T(n=1,2,3・・・)に同期させる制御を行う。また、力制御部2は、揺動動作の往復方向の変化時点から、押圧動作の力を増減する制御と減少する制御とを順次行う。また、力制御部2は、押圧動作の力を周期T毎に一定となる制御を行う。そして、力制御部2は、押圧動作の力を周期T毎に、段階的に増加する制御を行う。また、力制御部2は、押圧動作の力を周期T毎に、段階的に減少する制御を行う。マッサージ手段は、マッサージを行う位置を変更する位置制御部3を備える。
【0016】
以下、本実施形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の揺動装置10の概略構成図を示す。図1に示すように、揺動装置10は、その基台11の底部11aが図示しない床面に載置されるとともに、基台11に設けられた揺動駆動手段としての揺動駆動装置12と、その揺動駆動装置12により揺動される身体支持手段としての身体支持部材13と、押圧動作を制御する力制御部2(図2参照)と、マッサージ手段となるエアバッグ40乃至48と、を備えている。
【0018】
揺動駆動装置12は、モータ20と、減速機21と、クランク機構22と、リンク部材23と、から構成されている。
【0019】
モータ20は、基台11の底部11a上面に設けられるとともに、前記底部11a上面に設けられる揺動制御部1及び力制御部2及び位置制御部3を含むコントローラ24によってその駆動が制御されている。減速機21は、基台11の底部11a上面に設けられるとともに、モータ20と駆動連結され、モータ20の駆動力を減速出力するものである。
【0020】
揺動制御部1は、身体支持部材13の往復方向の揺動動作の周期を制御するものである。
【0021】
力制御部2は、マッサージ手段による押圧動作の力と、押圧動作の押し出し量と、を制御するものである。
【0022】
位置制御部3は、使用者の特定部位をマッサージするために、その特定部位のマッサージ手段となるエアバッグ40乃至48を制御するものである。
【0023】
クランク機構22は、2つの接続部材22a,22bから構成されるとともに、減速機21の回転駆動を半径の極めて大きな円弧運動に変換するものである。接続部材22aは、その基端が減速機21の出力軸と一体回転可能に接続されるとともに、その先端が接続部材22bの基端と回転可能に接続されている。接続部材22bの先端は、身体支持部材13が固定される四角枠状のベース部25の下部と接続されている。
【0024】
基台11には、その底部11aから上方向に突設される支持枠11bが備えられている。2つのリンク部材23はそれらの基端が各支持枠11b上部に所定間隔を有して回転可能に連結されるとともに、各先端がベース部25の下部と回転可能に連結されている。つまり、この2本のリンク部材23は、基端を中心として回動するようになっており、クランク機構22からの駆動力を基に、ベース部25に固定される身体支持部材13をロッキングチェア等のように前後方向に揺動させている。なお、本実施形態では、身体支持部材13が後方から前方へ移動する際の経路を往路とし、前方から後方へ移動する際の経路を復路としている。
【0025】
ベース部25の上部には、椅子型の身体支持部材13を構成する座部30がベース部25と一体移動可能に固定されている。座部30の後部に傾動可能に固定された背もたれ部31と、座部30の前部に固定されたオットマン32と、座部30の左右両側に固定された肘掛け部33と、が設けられている。
【0026】
背もたれ部31は、図2に示すように、背もたれ部31を傾動させるリクライニング機構34がコントローラ24により制御され、背もたれ部31を適宜傾動させるようになっている。
【0027】
背もたれ部31には、上段両側に左右一対のエアバッグ40,41が使用者の左右肩部に対応して内装されている。また、中段に背中用エアバッグとしてのエアバッグ42,43,44が使用者の背部(背中上段、背中中段及び背中下段)に対応して内装されている。そして、下段両側にエアバッグ45,46が使用者の左右腰部に対応して内装されている。座部30左右には、2つのエアバッグ47,48が使用者の臀部及び大腿部に対応して内装されている。使用者の各部位に対応して設けられたエアバッグ40乃至48は、図示しない接続ホースを介し、座部30の下部に設けられたエアポンプ49に向けて取り回されている。エアポンプ49(図2参照)は、コントローラ24によりその駆動が制御され、各エアバッグ40乃至48の膨縮動作が可能となっている。なお、位置制御部3は、エアバック40乃至48を個別に作動させ、マッサージする位置を変更する制御を行う。この膨縮動作は、揺動装置10の揺動動作一周期あたり、複数回行っている。
【0028】
なお、揺動装置10は、使用者に対して与える押圧動作の力を検出するための力センサ(図示せず)をマッサージ手段に備え、力センサで検出した力と与える力の目標値との偏差に基づいて、力制御を行ってよい。また、力センサを備えるのではなく、予め計測しておいた揺動の周期に応じて変化する体重負荷のデータから力制御値のプロファイルを作成し、使用者が体重を入力することで力制御を行ってもよい。また、この力センサで検知した力に応じ、力制御部2が押圧動作の力と、マッサージ手段による押圧動作の押し出し量と、を決定する。
【0029】
次に、上記の様に構成された揺動装置10の揺動動作及び押圧動作の力について図3の(a)乃至(j)を用いて説明する。なお、図3の(b)乃至(j)において、細かい周期の波形は、エアバッグ40乃至48の膨縮動作による各押圧動作を示す。使用者の背中にかかる、この各押圧動作の力(図3のA点にかかる力)の軌跡による包絡線の波形を押圧動作の力の波形とし、以下で説明する。
【0030】
図3の(a)に示す波形は、揺動装置10の揺動動作を示し、身体支持部材13の位置の時間変化を示す。
【0031】
図3の(b)に示す各押圧動作の波形及び押圧動作の力の波形は、従来例を示しており、揺動装置10に力制御部2がないものを示す。
【0032】
図3の(c)に示す波形において力制御部2は、使用者に与える押圧動作の力を全体的に減少させる制御を行う。なお、押圧動作の力を減少させるだけではなく、力を増加する等、任意の力での制御を行ってもよい。
【0033】
図3の(d)に示す波形において力制御部2は、揺動動作における周期の二倍の周期Tに同期させ、使用者に与える押圧動作の力は、任意の力での制御を行っている。なお、揺動動作は、二倍の周期だけでなく、三倍等、任意の整数倍数であればよい。
【0034】
図3の(e)に示す波形において力制御部2は、揺動動作における周期の一周期の間に押圧動作の力を減少させ、次いで増加させるという制御を行う。この時、使用者に与える押圧動作の力は全体的に、漸増させる制御を行う。また、押圧動作の力を減少させる加速度よりも増加させる加速度の方が大きくなるように制御を行う。
【0035】
図3の(f)に示す波形において力制御部2は、図3の(e)に示す波形と同様に、揺動動作の一周期の間に押圧動作の力を減少させ、次いで増加させるという制御を行う。この時、使用者に与える押圧動作の力は全体的に、漸減させる制御を行う。そして、押圧動作の力を増加させる加速度よりも減少させる加速度のほうが大きくなるように制御を行う。
【0036】
図3の(g)に示す波形において力制御部2は、揺動動作における周期の一周期の間、使用者に与える押圧動作の力を一定に保ち、復路から往路への変化時点において、段階的に力を増加させる制御を行う。
【0037】
図3の(h)に示す波形において力制御部2は、図3の(g)に示す波形と同様に、揺動動作における周期の一周期の間、使用者に与える押圧動作の力を一定に保つ。そして、力制御部2は、復路から往路への変化時点において、段階的に力を減少させる制御を行う。
【0038】
図3の(i)に示す波形において力制御部2は、周期T毎に、使用者に与える押圧動作
の力を段階的に減少させる制御を行う。なお、周期Tは、揺動動作における周期の一倍だけでなく、二倍、三倍等の自然数倍の周期Tであってもよい。
【0039】
図3の(j)に示す波形において力制御部2は、周期T毎に、使用者に与える押圧動作の力を段階的に増加させる制御を行う。なお、周期Tは揺動動作における周期の一倍だけでなく、二倍、三倍等の自然数倍の周期Tであってもよい。
【0040】
なお、これら図3の(c)乃至(j)に示す力制御は、使用者の好みによって切り替えることができる。
【0041】
したがって、本実施形態の揺動装置10において、マッサージ手段が、押圧動作を制御する力制御部2を備え、力制御部2は、押圧動作を揺動動作のn倍の周期T(n=1,2,3・・・)に同期させる制御を行う。これより、揺動動作の周期に応じた押圧動作を行うことができるため、使用者がより一層の疲労軽減を感じやすくなる。
【0042】
また、本実施形態の揺動装置10において、力制御部2は、揺動動作の往復方向の変化時点で、押圧動作の力が増加する制御と減少する制御とを順次行うことができる。これより、限られた力の増減幅の中で、使用者が押圧動作の力の増加、減少を感じやすくなる。
【0043】
また、本実施形態の揺動装置10において、力制御部2は、押圧動作の力を周期T毎に一定となる制御を行うことができる。この周期Tに応じた押圧動作により、揺動動作に関係なく一定の力でマッサージできるので、使用者が揺動動作と押圧動作の効果を共に得やすい。
【0044】
また、本実施形態の揺動装置10において、力制御部2は、押圧動作の力を周期T毎に、段階的に増加する制御を行うことができる。これより、使用者が覚醒状態に導かれるようなリフレッシュ感を得やすくなる。
【0045】
また、本実施形態の揺動装置10において、力制御部2は、前記押圧動作の力を周期T毎に、段階的に減少する制御を行うことができる。これより、使用者が睡眠状態に導かれるようなリラックス感を得やすくなる。
【0046】
また、本実施形態の揺動装置10において、マッサージ手段は、マッサージを行う位置を変更する位置制御部3を備える。これより、使用者の体形ラインに応じて力制御部2が押圧動作の力を制御するので、所定の位置に所定の押圧動作の力を与えることができる。
【0047】
また、図3の(c)乃至(j)において、力制御部2は、揺動動作の四周期を一タームとして、数回行う制御してもよいが、任意の波形を一タームずつ組み合わせた制御を行ってもよい。一タームは揺動動作の四周期に限定せず、一周期、二周期等でもよい。
【0048】
また、本実施形態では、細かい周期の波形は、エアバッグ40乃至48の膨縮動作による各押圧動作を示す。この各押圧動作の力の軌跡による包絡線の波形を押圧動作の力の波形としているが、エアバッグの膨縮動作がこの包絡線の波形に従うように、押圧し続けるマッサージを行ってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、特に言及していないが、揺動装置10は、使用者に装着し、脈拍を検知する脈拍センサを備え、その脈拍センサから得た情報を元に、脈拍数が減少するに応じ、押圧動作の力を徐々に弱める制御を行ってもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、マッサージ手段は、エアバッグ40乃至48を用いているが、図4に示すように、エアバッグの代わりにモミ玉50を用いてもよい。なお、この場合、力制御部2は、モミ玉50の押圧動作の力、押圧動作の押し出し量を制御し、位置制御部3は、背もたれ31の背面側に設けたレール51に沿ってモミ玉50を上下に動かす制御を行う。
【符号の説明】
【0051】
1 揺同制御部
2 力制御部
3 位置制御部
10 揺動装置
11 基台
12 揺動駆動装置(揺動駆動手段)
13 身体支持部材(身体支持手段)
20 モータ
21 減速機
22 クランク機構
23 リンク部材
24 コントローラ
25 ベース部
30 座面
31 背もたれ部
32 オットマン
33 肘掛け部
34 リクライニング機構
40〜48 エアバッグ(マッサージ手段)
49 エアポンプ
50 モミ球
51 レール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体を支持する身体支持手段と、この身体支持手段を前後方向に揺動動作させる揺動駆動手段と、この揺動駆動手段の前記揺動動作を制御する揺動制御部と、前記使用者を押圧するマッサージ手段と、を有した揺動装置であって、
前記マッサージ手段は、前記押圧動作を制御する力制御部を備え、
前記力制御部は、前記押圧動作を前記揺動動作のn倍の周期T(n=1,2,3・・・)に同期させる制御を行うことを特徴とする揺動装置。
【請求項2】
前記力制御部は、前記揺動動作の往復方向の変化時点から、前記押圧動作の力が増加する制御と減少する制御とを順次行うことを特徴とする請求項1に記載の揺動装置。
【請求項3】
前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期T毎に一定となる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の揺動装置。
【請求項4】
前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期Tに対応して山波に増減する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の揺道装置。
【請求項5】
前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期T毎に、段階的に増加する制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の揺動装置。
【請求項6】
前記力制御部は、前記押圧動作の力を前記周期T毎に、段階的に減少する制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずか一項に記載の揺動装置。
【請求項7】
前記マッサージ手段は、マッサージを行う位置を変更する位置制御部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の揺動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−194149(P2011−194149A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66691(P2010−66691)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】