説明

搬送ユニット

【課題】磁石の磁気吸引力によって被搬送体を保持しながら搬送する搬送ユニットであって、被搬送体の受け渡しの際に被搬送体が損傷を受けにくい搬送ユニットを提供する。
【解決手段】乾電池Cが嵌合する多数の嵌合凹部13aが外縁部に形成された、回転駆動される一対のスターホイール13と、周り止めされた状態で一対のスターホイール13の間に挟み込まれたマグネットホイール15とを備え、マグネットホイール15は、その外周面における最初の受渡位置β1から中間の受渡位置β2に至る領域が、スターホイール13の嵌合凹部13aに嵌り込んだ乾電池Cに非接触の状態で近接しており、しかも、その外周面における最初の受渡位置β1から中間の受渡位置β2の直前位置までの領域に、一対のスターホイール13の嵌合凹部13aに嵌り込んだ乾電池Cをスターホイール13に吸引保持する磁石16が埋設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、乾電池、スチール缶等の磁石に吸引される被搬送体を搬送する搬送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図13に示すように、貼付ドラム51の外周面に吸引保持された状態でラベル貼付位置に搬送されてくる感熱接着性ラベルを、乾電池Cの胴部外周面に巻き付けるようにして順次貼り付けていく感熱ラベラー50には、貼付ドラム51の両側に電池供給装置52及び電池搬出装置53がそれぞれ配設されており、電池供給装置52によって乾電池Cがラベル貼付位置まで搬送され、ラベル貼付位置において、胴部外周面に感熱接着性ラベルが貼り付けられた乾電池Cが、電池搬出装置53によって搬出されるようになっている。
【0003】
これらの電池供給装置52には磁石の磁気吸引力を利用して乾電池Cを保持しながら搬送する上流側搬送ユニット60A及び下流側搬送ユニット70Aが、電池搬出装置53には磁石の磁気吸引力を利用して乾電池Cを保持しながら搬送する上流側搬送ユニット60B及び下流側搬送ユニット70Bがそれぞれ搭載されており、上流側搬送ユニット60Aと下流側搬送ユニット70Aとの間で乾電池Cの受け渡しが行われると共に、上流側搬送ユニット60Bと下流側搬送ユニット70Bとの間で乾電池Cの受け渡しが行われるようになっている。
【0004】
この上流側搬送ユニット60A、60B及び下流側搬送ユニット70A、70Bは、図14(a)、(b)及び図15(a)、(b)に示すように、図示しない駆動モータによって回転駆動される、乾電池Cの胴部が嵌合する多数の嵌合凹部62、72が外縁部に形成されたスターホイール61、71と、このスターホイール61、71の各嵌合凹部62、72に埋設された、乾電池Cを磁気吸引力によって嵌合凹部62、72に吸引保持する永久磁石63、73とを備えており、乾電池Cがスターホイール61、71の嵌合凹部62、72に嵌合すると、永久磁石63、73の磁気吸引力によって乾電池Cが嵌合凹部62、72に保持され、スターホイール61、71が回転することによって乾電池Cが搬送されるようになっている。
【0005】
また、上述したような上流側搬送ユニット60A、60B及び下流側搬送ユニット70A、70Bは、それぞれスターホイール61、71の嵌合凹部62、72に埋設した永久磁石63、73の磁気吸引力によって乾電池Cを保持するようになっているので、上流側搬送ユニット60A、60Bから下流側搬送ユニット70A、70Bへの乾電池Cの受け渡しを円滑に行うために、上流側搬送ユニット60A、60Bのスターホイール61の嵌合凹部62に埋設した永久磁石63の数よりも、下流側搬送ユニット70A、70Bのスターホイール71の嵌合凹部72に埋設した永久磁石73の数を多くすることで、スターホイール61の嵌合凹部62の磁気吸引力よりも、スターホイール71の嵌合凹部72の磁気吸引力を大きくしてあり、さらに、上流側搬送ユニット60A、60Bから下流側搬送ユニット70A、70Bへの乾電池Cの受け渡しを確実に行うために、上流側搬送ユニット60A、60Bから下流側搬送ユニット70A、70Bへの乾電池Cの受渡位置には、上流側搬送ユニット60A、60Bのスターホイール61によって搬送されてきた乾電池Cを、その嵌合凹部62から強制的に引き離すガイド部材81が設けられている。
【0006】
また、電池搬出装置53における下流側搬送ユニット70Bは、図示しない搬出コンベアに乾電池Cを引き渡すようになっているが、搬出コンベア側は、磁気吸引力を有していないので、下流側搬送ユニット70Bから搬出コンベアに乾電池Cを引き渡すことができるように、下流側搬送ユニット70Bから搬出コンベアへの乾電池Cの受渡位置には、下流側搬送ユニット70Bのスターホイール71によって搬送されてきた乾電池Cを、その嵌合凹部72から強制的に引き離すガイド部材82が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−250837号公報
【特許文献2】実公平03−019171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したように、スターホイール61の嵌合凹部62の磁気吸引力を、スターホイール71の嵌合凹部72の磁気吸引力に比べて小さくしたとしても、ガイド部材81によって、スターホイール61の嵌合凹部62から乾電池Cを強制的に引き離す際には、乾電池Cに大きな力が加わることになり、乾電池Cに傷が付きやすいといった問題がある。特に、電池搬出装置53が搬送する乾電池Cには、合成樹脂フィルムによって形成された感熱接着性ラベルが貼り付けられているので、この感熱接着性ラベルが、ガイド部材81と接触することにより、損傷を受けるといった問題がある。
【0009】
特に、下流側搬送ユニット70A、70Bのスターホイール71の嵌合凹部72の磁気吸引力は、上流側搬送ユニット60A、60Aのスターホイール61の嵌合凹部62の磁気吸引力よりも大きくなるように設定されているので、電池搬出装置53における下流側搬送ユニット70Bから搬出コンベアに乾電池Cを引き渡すために、ガイド部材82によって、スターホイール71の嵌合凹部72から乾電池Cを強制的に引き離す際には、上流側搬送ユニット60Bのスターホイール61から下流側搬送ユニット70Bのスターホイール71に乾電池Cを引き渡すために、ガイド部材81によって、スターホイール61の嵌合凹部62から乾電池Cを強制的に引き離す際よりも、さらに大きな力が必要となり、感熱接着性ラベルがさらに損傷を受け易いといった問題がある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、磁石の磁気吸引力によって被搬送体を保持しながら搬送する搬送ユニットであって、被搬送体の受け渡しの際に被搬送体が損傷を受けにくい搬送ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、磁石に吸引される被搬送体を第1の受渡位置において受け取って第2の受渡位置まで搬送する搬送ユニットであって、被搬送体が嵌合する多数の嵌合凹部が外縁部に形成された、回転駆動される一対のスターホイールと、周り止めされた状態で一対の前記スターホイールの間に挟み込まれたマグネットホイールとを備え、前記マグネットホイールは、その外周面における第1の受渡位置から第2の受渡位置に至る領域が、前記スターホイールの前記嵌合凹部に嵌り込んだ被搬送体に非接触の状態で近接しており、その外周面における第1の受渡位置から第2の受渡位置の直前位置までの領域に、一対の前記スターホイールの前記嵌合凹部に嵌り込んだ被搬送体を前記スターホイールに吸引保持する磁石が設けられていることを特徴とする搬送ユニットを提供するものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の搬送ユニットにおいて、前記マグネットホイールには、その外周面における第2の受渡位置に、被搬送体を一対の前記スターホイールの前記嵌合凹部から離反させるガイド面を有するガイド部材が取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、請求項1に係る発明の搬送ユニットは、被搬送体を位置決めした状態で回転するスターホイールと、このスターホイールによって位置決めされた被搬送体を磁気吸引力によってスターホイールに保持する、固定設置されたマグネットホイールとを分離して配設し、マグネットホイールには、その外周面における第1の受渡位置から第2の受渡位置の直前位置までの領域に、一対の前記スターホイールの前記嵌合凹部に嵌り込んだ被搬送体をスターホイールに吸引保持する磁石を設けるようにしたので、搬送ユニット間で被搬送体を受け渡す受渡位置や、搬送ユニットから別のユニットに被搬送体を受け渡す受渡位置では、被搬送体を引き渡そうとする搬送ユニットのスターホイールに対して被搬送体が吸引保持されていないので、従来の搬送ユニットのように、被搬送体をガイド部材によってスターホイールから強制的に引き離す必要がなく、被搬送体が損傷を受けにくいといった効果が得られる。
【0014】
特に、搬送ユニット間で被搬送体を受け渡す場合であっても、従来の搬送ユニットのように、上流側の搬送ユニットと下流側の搬送ユニットとの間で、被搬送体を吸引保持するための磁気吸引力に差を持たせる必要がないので、上流側に設置される搬送ユニットにも被搬送体の保持力を十分に確保することができると共に、磁気吸引力の異なる2種類の搬送ユニットを製造する必要がなく、搬送ユニットの共有化を図ることができるので、搬送ユニットの製造コストを削減することができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の搬送ユニットでは、マグネットホイールには、その外周面における第2の受渡位置に、被搬送体を一対のスターホイールの嵌合凹部から離反させるガイド面を有するガイド部材が取り付けられているので、この搬送ユニットから磁気吸引力を有していない他のユニット等に被搬送体を引き渡す場合であっても、安定した状態で確実に被搬送体の引き渡しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係る搬送ユニットの一実施形態である電池搬送ユニットが搭載された感熱ラベラーを示す正面図である。
【図2】同上の感熱ラベラーを構成している電池供給装置及び電池搬出装置部分を示す拡大正面図である。
【図3】同上の電池供給装置を示す拡大正面図である。
【図4】同上の電池供給装置を上側から視た平面図である。
【図5】同上の電池供給装置を下側から視た底面図である。
【図6】図4のX−X線に沿った断面図である。
【図7】図3のV−V線に沿った断面図である。
【図8】図3のW−W線に沿った断面図である。
【図9】同上の電池搬出装置を示す拡大正面図である。
【図10】同上の電池搬出装置を上側から視た平面図である。
【図11】同上の電池搬出装置を下側から視た底面図である。
【図12】図10のY−Y線に沿った断面図である。
【図13】従来の電池搬送ユニットが搭載された感熱ラベラーの電池供給装置及び電池搬出装置部分を示す正面図である。
【図14】(a)は同上の電池供給装置を示す拡大正面図、(b)は(a)のZ−Z線に沿った断面図である。
【図15】(a)は同上の電池搬出装置を示す拡大正面図、(b)は同上の電池搬出送装置を下側から視た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、所定長さの感熱接着性ラベル(以下、ラベルという。)が連続的に繋がった長尺帯状のラベル形成基材Mを順次切断することによって所定長さのラベルを形成しながら、そのラベルを、所定のラベル貼着位置に搬送されてくる乾電池Cの胴部外周面に巻き付けるようにして順次貼り付けていく感熱ラベラー1を示している。
【0018】
この感熱ラベラー1は、同図に示すように、ロール状に巻回された長尺のラベル形成基材Mを順次切断しながらラベルLを形成し、そのラベルLをラベル供給位置に順次供給するラベル供給装置2と、貼付ドラム4aにおけるラベル貼付区間αにおいて乾電池Cの胴部外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付装置4と、ラベル供給装置2によって供給されるラベルLを受け取ってラベル貼付装置4に引き渡す受渡ドラム3と、ラベル貼付装置4に乾電池Cを供給する電池供給装置5と、ラベル貼付装置4によってラベルLが貼り付けられた乾電池Cを排出する電池搬出装置6とから構成されており、電池供給装置5及び電池搬出装置6にそれぞれ搭載されている上流側電池搬送ユニット及び下流側電池搬送ユニットが本発明の搬送ユニットに該当する。以下、電池供給装置5及び電池搬出装置6について、詳細に説明する。
【0019】
前記電池供給装置5は、図1及び図2に示すように、最初の受渡位置β1において、ストッカ5aから乾電池Cを受け取って中間の受渡位置β2に搬送する上流側電池搬送ユニット10Aと、中間の受渡位置β2において、上流側電池搬送ユニット10Aから乾電池Cを受け取って、貼付ドラム4aにおけるラベル貼付区間αの開始位置である最後の受渡位置β3に搬送する下流側電池搬送ユニット20Aとを備えており、最後の受渡位置β3において、下流側電池搬送ユニット20Aからラベル貼付装置4に乾電池Cが引き渡されるようになっている。なお、上流側電池搬送ユニット10Aにとって、最初の受渡位置β1が本発明の第1の受渡位置に、中間の受渡位置β2が本発明の第2の受渡位置に相当し、下流側電池搬送ユニット20Aにとって、中間の受渡位置β2が本発明の第1の受渡位置に、最後の受渡位置β3が本発明の第2の受渡位置に相当する。
【0020】
前記上流側電池搬送ユニット10A及び前記下流側電池搬送ユニット20Aは、図3〜図8に示すように、感熱ラベラー1のベースプレート1aと、このベースプレート1aに取り付けられた支持プレート5bとに回転可能に支持され、図示しないモータによって駆動される回転駆動軸11、21と、この回転駆動軸11、21に固定された円形状の支持ベース12、22と、この支持ベース12、22にボルト止めされた前後一対の合成樹脂製のスターホイール13、13、23、23と、前後一対の合成樹脂製のスターホイール13、13、23、23の間に挟み込まれるような状態で、ベース部材12、22にベアリング14、24を介して、相対回転可能に支持されたマグネットホイール15、25とを備えており、スターホイール13、23は、外縁部に乾電池Cが嵌合する多数の嵌合凹部13a、23aが形成されている。
【0021】
前記マグネットホイール15、25は、基本的に、それぞれの外周面とスターホイール13、23の嵌合凹部13a、23aに嵌り込んだ乾電池C、Cとの間に僅かな隙間が形成されるような外径に設定されているが、ラベル貼付装置4の貼付ドラム4aに隣接する下流側電池搬送ユニット20Aのマグネットホイール25は、最後の受渡位置β3以降に、ラベル貼付装置4における貼付ガイド4bの一方の端部を受け入れる凹部25aが部分的に形成されている。
【0022】
また、マグネットホイール15には、その外周面における最初の受渡位置β1から、スターホイール13の回転方向に中間の受渡位置β2の直前位置に至る領域に、マグネットホイール25には、その外周面における中間の受渡位置β2から、スターホイール23の回転方向に最後の受渡位置β3の直前位置に至る領域に、永久磁石16、26がそれぞれ埋設されており、この永久磁石16、26の磁気吸引力によって、スターホイール13、23の嵌合凹部13a、23aに嵌り込んだ乾電池Cがその状態に保持されるようになっている。
【0023】
前記マグネットホイール15、25に埋設される永久磁石16、26は、図4及び図5に示すように、マグネットホイール15、25の周方向に、3個、2個、3個、2個…といった具合に、交互に配置されているが、マグネットホイール15における最初の受渡位置β1及びマグネットホイール25における中間の受渡位置β2には、3個の永久磁石16、26が配置され、マグネットホイール15における中間の受渡位置β2の直前位置及びマグネットホイール25における最後の受渡位置β3の直前位置には、2個の永久磁石16、26が配置されるように、永久磁石16、26が埋設されている。
【0024】
また、マグネットホイール15、25の外周面には、永久磁石16、26が埋設されていない領域にストッパピン17、27がねじ込まれており、このストッパピン17、27が、感熱ラベラー1のベースプレート1aに取り付けられたフラットバー18、28の凹溝18a、28aに嵌合することで、マグネットホイール15、25が周り止めされている。従って、回転駆動軸11、21が回転しても、マグネットホイール15、25が回転することはなく、一対のスターホイール13、13、23、23だけが回転するようになっている。
【0025】
以上のように構成された電池供給装置5では、ストッカ5aから最初の受渡位置β1に供給された乾電池Cが、上流側電池搬送ユニット10Aにおけるスターホイール13の嵌合凹部13aに嵌合すると同時に、マグネットホイール15に埋設された永久磁石16の磁気吸引力によって保持され、この状態で中間の受渡位置β2まで搬送され、中間の受渡位置β2において、下流側電池搬送ユニット20Aにおけるスターホイール23の嵌合凹部23aにも嵌合する。
【0026】
上流側電池搬送ユニット10Aのマグネットホイール15の外周面における中間の受渡位置β2の直前位置には永久磁石16が2個しか埋設されておらず、しかも、中間の受渡位置β2には、永久磁石16が埋設されていないので、中間の受渡位置β2の直前から磁気吸引力が低下し、中間の受渡位置β2において、上流側電池搬送ユニット10Aのスターホイール13に対する乾電池Cの吸引保持が解除される。
【0027】
一方、下流側電池搬送ユニット20Aのマグネットホイール25の外周面における中間の受渡位置β2には、3個の永久磁石26が埋設されているので、中間の受渡位置β2において、上流側電池搬送ユニット10Aのスターホイール13に対する吸引保持が解除された乾電池Cは、マグネットホイール25に埋設された永久磁石26の磁気吸引力によって、下流側電池搬送ユニット20Aのスターホイール23の嵌合凹部23aに吸引保持され、上流側電池搬送ユニット10Aから下流側電池搬送ユニット20Aへの乾電池Cの受け渡しが行われる。
【0028】
このようにして、上流側電池搬送ユニット10Aから下流側電池搬送ユニット20Aに受け渡された乾電池Cは、下流側電池搬送ユニット20Aのスターホイール23の嵌合凹部23aに吸引保持された状態で、スターホイール23が回転することにより、最後の受渡位置β3まで搬送される。
【0029】
下流側電池搬送ユニット20Aのマグネットホイール25の外周面における最後の受渡位置β3の直前位置には永久磁石26が2個しか埋設されておらず、しかも、最後の受渡位置β3には、ラベル貼付装置4における貼付ガイド4bの一方の端部が張り出しているので、最後の受渡位置β3の直前から磁気吸引力が低下し、最後の受渡位置β3において、下流側電池搬送ユニット20Aのスターホイール23に対する乾電池Cの吸引保持が解除されると共に、ラベル貼付装置4の貼付ドラム4aと貼付ガイド4bとの間に乾電池Cが挟み込まれ、下流側電池搬送ユニット20Aからラベル貼付装置4に乾電池Cが受け渡される。
【0030】
前記電池搬出装置6は、図1及び図2に示すように、貼付ドラム4aにおけるラベル貼付区間αの終了位置である最初の受渡位置γ1において、ラベル貼付装置4からラベルが貼り付けられた乾電池Cを受け取って中間の受渡位置γ2に搬送する上流側電池搬送ユニット10Bと、中間の受渡位置γ2において、上流側電池搬送ユニット10Bから乾電池Cを受け取って最後の受渡位置γ3に搬送する下流側電池搬送ユニット20Bとを備えており、最後の受渡位置γ3において、下流側電池搬送ユニット20Bから電池搬送コンベア6aに乾電池Cが引き渡されるようになっている。なお、上流側電池搬送ユニット10Bにとって、最初の受渡位置γ1が本発明の第1の受渡位置に、中間の受渡位置γ2が本発明の第2の受渡位置に相当し、下流側電池搬送ユニット20Bにとって、中間の受渡位置γ2が本発明の第1の受渡位置に、最後の受渡位置γ3が本発明の第2の受渡位置に相当する。
【0031】
電池搬出装置6を構成している上流側電池搬送ユニット10B及び下流側電池搬送ユニット20Bも、基本的には、上述した電池供給装置5の上流側電池搬送ユニット10A及び下流側電池搬送ユニット10Bと同様の構成を有しているので、電池搬出装置6を示している図9〜図12において、同一の構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図9〜図12における符号6bは、回転駆動軸11、21を支持する支持プレートを示している。
【0032】
前記上流側電池搬送ユニット10Bを構成しているマグネットホイール15には、その外周面における最初の受渡位置γ1から、スターホイール13の回転方向に中間の受渡位置γ2の直前位置に至る領域に、マグネットホイール25には、その外周面における中間の受渡位置γ2から、スターホイール23の回転方向に最後の受渡位置γ3の直前位置に至る領域に、永久磁石16、26がそれぞれ埋設されており、マグネットホイール15における最初の受渡位置γ1及びマグネットホイール25における中間の受渡位置γ2には、3個の永久磁石16、26が配置され、マグネットホイール15における中間の受渡位置γ2の直前位置及びマグネットホイール25における最後の受渡位置γ3の直前位置には、2個の永久磁石16、26が配置されるように、永久磁石16、26が3個、2個、3個、2個…といった具合に、交互に配置されている。
【0033】
前記上流側電池搬送ユニット10Bを構成しているマグネットホイール15は、最初の受渡位置γ1の手前に、ラベル貼付装置4における貼付ガイド4bの他方の端部を受け入れる凹部15aが部分的に形成されており、下流側電池搬送ユニット20Bを構成しているマグネットホイール25の外周面における最後の受渡位置γ3には、乾電池Cをスターホイール23の嵌合凹部23aから離反させる、一端側がマグネットホイール15の外周面と面一になっているガイド面29aを有するガイド部材29が取り付けられている。
【0034】
以上のように構成された電池搬出装置6では、貼付ドラム4aにおけるラベル貼付区間αの終了位置である最初の受渡位置γ1に搬送されてきた、ラベルが貼り付けられた乾電池Cが、上流側電池搬送ユニット10Bにおけるスターホイール13の嵌合凹部13aに嵌合すると同時に、マグネットホイール15に埋設された永久磁石16の磁気吸引力によって保持され、この状態で中間の受渡位置γ2まで搬送され、中間の受渡位置γ2において、下流側電池搬送ユニット20Bにおけるスターホイール23の嵌合凹部23aにも嵌合する。
【0035】
上流側電池搬送ユニット10Bのマグネットホイール15の外周面における中間の受渡位置γ2の直前位置には永久磁石16が2個しか埋設されておらず、しかも、中間の受渡位置γ2には、永久磁石が埋設されていないので、中間の受渡位置γ2の直前から磁気吸引力が低下し、中間の受渡位置γ2において、上流側電池搬送ユニット10Bのスターホイール13に対する乾電池Cの吸引保持が解除される。
【0036】
一方、下流側電池搬送ユニット20Bのマグネットホイール25の外周面における中間の受渡位置γ2には、3個の永久磁石26が埋設されているので、中間の受渡位置γ2において、上流側電池搬送ユニット10Aのスターホイール13に対する吸引保持が解除された乾電池Cは、マグネットホイール25に埋設された永久磁石26の磁気吸引力によって、下流側電池搬送ユニット20Bのスターホイール23の嵌合凹部23aに吸引保持され、上流側電池搬送ユニット10Bから下流側電池搬送ユニット20Bへの乾電池Cの受け渡しが行われる。
【0037】
このようにして、上流側電池搬送ユニット10Bから下流側電池搬送ユニット20Bに受け渡された乾電池Cは、下流側電池搬送ユニット20Bのスターホイール23の嵌合凹部23aに吸引保持された状態で、スターホイール23が回転することにより、最後の受渡位置γ3まで搬送される。
【0038】
下流側電池搬送ユニット20Bのマグネットホイール25の外周面における最後の受渡位置γ3の直前位置には永久磁石26が2個しか埋設されておらず、しかも、最後の受渡位置γ3には、永久磁石が埋設されていないと共に、ガイド部材29が取り付けられているので、最後の受渡位置γ3の直前から磁気吸引力が低下し、最後の受渡位置γ3において、下流側電池搬送ユニット20Bのスターホイール23に対する乾電池Cの吸引保持が解除されると共に、ガイド部材29によって乾電池Cがスターホイール23の嵌合凹部23aから離反して、下流側電池搬送ユニット20Bから電池搬送コンベア6aに乾電池Cが受け渡される。
【0039】
以上のように、電池供給装置5及び電池搬出装置6に搭載されている上流側電池搬送ユニット10A、10B及び下流側電池搬送ユニット20A、20Bは、乾電池Cを嵌合凹部13a、23aに位置決めした状態で回転するスターホイール13、23と、このスターホイール13、23によって位置決めされた乾電池Cを磁気吸引力によってスターホイール13、23に保持する、固定設置されたマグネットホイール15、25とを分離して配設し、マグネットホイール15には、その外周面における最初の受渡位置β1、γ1から中間の受渡位置β2、γ2の直前位置までの領域に、マグネットホイール25には、その外周面における中間の受渡位置β2、γ2から最後の受渡位置β3、γ3の直前位置までの領域に、スターホイール13、23の嵌合凹部13a、23aに嵌り込んだ乾電池Cをスターホイール13、23に吸引保持する永久磁石16、26を埋設するようにしたので、上流側電池搬送ユニット10A、10Bと下流側電池搬送ユニット20A、20Bとの間で乾電池Cを受け渡す中間の受渡位置β2、γ2、下流側電池搬送ユニット20Aとラベル貼付装置4との間で乾電池Cを受け渡す最後の受渡位置β3及び下流側電池搬送ユニット20Bと電池搬送コンベア6aとの間で乾電池Cを受け渡す最後の受渡位置γ3では、乾電池Cを引き渡そうとするスターホイール13、23に乾電池Cが吸引保持されていないので、従来の搬送ユニットのように、被搬送体をガイド部材によってスターホイールから強制的に引き離す必要がなく、乾電池C、特に、乾電池Cに貼り付けられたラベルが損傷を受けにくいといった効果が得られる。
【0040】
特に、上流側電池搬送ユニット10A、10B及び下流側電池搬送ユニット20A、20Bでは、マグネットホイール15、25における中間の受渡位置β2、γ2の直前位置や最後の受渡位置β3、γ3の直前位置に埋設する永久磁石16、26の数を少なくして、中間の受渡位置β2、γ2の直前位置や最後の受渡位置β3、γ3の直前位置から磁気吸引力を低下させるようにしているので、乾電池Cの受け渡しを円滑かつ確実に行うことができる。
【0041】
また、上流側電池搬送ユニット10A、10Bと下流側電池搬送ユニット20A、20Bとの間で乾電池Cを受け渡す場合に、従来の搬送ユニットのように、上流側の搬送ユニットと下流側の搬送ユニットとの間で、被搬送体を吸引保持するための磁気吸引力に差を持たせる必要がないので、上流側電池搬送ユニット10A、10Bにも乾電池Cの保持力を十分に確保することができると共に、磁気吸引力の異なる2種類の搬送ユニットを製造する必要がなく、搬送ユニットの共有化を図ることができるので、搬送ユニットの製造コストを削減することができる。
【0042】
また、下流側電池搬送ユニット20Bでは、マグネットホイール25の外周面における最後の受渡位置γ3に、乾電池Cをスターホイール23の嵌合凹部23aから離反させるガイド面29aを有するガイド部材29が取り付けられているので、乾電池Cを下流側電池搬送ユニット20Bから磁気吸引力を有していない電池搬送コンベア6aに安定した状態で確実に引き渡すことができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、上流側電池搬送ユニット10A、10Bと下流側電池搬送ユニット20A、20Bという二つの電池搬送ユニットを組み合わせて乾電池Cを搬送する電池供給装置5及び電池搬出装置6について説明したが、これに限定されるものではなく、一つの電池搬送ユニットで乾電池Cを搬送したり、三つ以上の電池搬送ユニットを組み合わせて乾電池Cを搬送することも可能である。
【0044】
また、上述した実施形態では、マグネットホイール15、25における中間の受渡位置β2、γ2の直前位置や最後の受渡位置β3、γ3の直前位置に埋設する永久磁石16、26の数を少なくして、中間の受渡位置β2、γ2の直前位置や最後の受渡位置β3、γ3の直前位置から磁気吸引力を低下させるようにしているが、これに限定されるものではなく、中間の受渡位置β2、γ2の直前位置や最後の受渡位置β3、γ3の直前位置の少し手前から段階的に磁気吸引力を低下させるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、マグネットホイール15、25に永久磁石16、26を埋設しているが、これに限定されるものではなく、電磁石を埋設することも可能である。マグネットホイール15、25に永久磁石16、26を埋設した場合は、永久磁石16、26の磁気吸引力よりも強い粘着力を有する粘着テープ等を用いてマグネットホイール15、25の外周面に付着した磁性体を除去しなければならないが、電磁石の場合は、通電を停止することで、磁気吸引力をなくした状態で掃除することができるので、作業性がよい。
【0046】
また、電磁石を採用すると、マグネットホイールの磁気吸引力を全体的に自由に設定することができると共に、マグネットホイールの磁気吸引力を部分的に自由に設定することができるので、上述したように、受渡位置の直前位置の少し手前から段階的に磁気吸引力を低下させるような場合に有効である。さらに、マグネットホイールの外周面における磁気吸引力を付与する領域についても自由に設定することができるので、受渡位置が変更された場合も簡単に対応することができるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の搬送ユニットは、乾電池だけでなく、例えば、スチール缶等の磁石に吸引される種々の被搬送体を搬送する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 感熱ラベラー
1a ベースプレート
4 ラベル貼付装置
4a 貼付ドラム
4b 貼付ガイド
5 電池供給装置
5a ストッカ
5b 支持プレート
6 電池搬出装置
6a 電池搬送コンベア
6b 支持プレート
10A、10B 上流側電池搬送ユニット
20A、20B 下流側電池搬送ユニット
11、21 回転駆動軸
12、22 支持ベース
13、23 スターホイール
13a、23a 嵌合凹部
14、24 ベアリング
15、25 マグネットホイール
15a、25a 凹部
16、26 永久磁石
17、27 ストッパピン
18、28 ラットバー
18a、28a 凹溝
29 ガイド部材
29a ガイド面
C 乾電池(被搬送体)
α ラベル貼付区間
β1、γ1 最初の受渡位置(第1の受渡位置)
β2、γ2 中間の受渡位置(第2の受渡位置または第1の受渡位置)
β3、γ3 最後の受渡位置(第2の受渡位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石に吸引される被搬送体を第1の受渡位置において受け取って第2の受渡位置まで搬送する搬送ユニットであって、
被搬送体が嵌合する多数の嵌合凹部が外縁部に形成された、回転駆動される一対のスターホイールと、周り止めされた状態で一対の前記スターホイールの間に挟み込まれたマグネットホイールとを備え、
前記マグネットホイールは、その外周面における第1の受渡位置から第2の受渡位置に至る領域が、前記スターホイールの前記嵌合凹部に嵌り込んだ被搬送体に非接触の状態で近接しており、その外周面における第1の受渡位置から第2の受渡位置の直前位置までの領域に、一対の前記スターホイールの前記嵌合凹部に嵌り込んだ被搬送体を前記スターホイールに吸引保持する磁石が設けられていることを特徴とする搬送ユニット。
【請求項2】
前記マグネットホイールには、その外周面における第2の受渡位置に、被搬送体を一対の前記スターホイールの前記嵌合凹部から離反させるガイド面を有するガイド部材が取り付けられている請求項1に記載の搬送ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−228895(P2010−228895A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80708(P2009−80708)
【出願日】平成21年3月28日(2009.3.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】