説明

搬送ローラ清掃部材

【課題】スロットイン型の光ディスク装置の搬送ローラにより光ディスクを搬送しているとき、光ディスクの記録面に汚れや傷が付くことを防止するために、搬送ローラに付着したごみ等を取り除く搬送ローラ清掃部材を提供する。
【解決手段】光ディスクを搬送する搬送ローラを清掃する搬送ローラ清掃部材1において、筐体と当接する長方形状の当接部4と、当接部が筐体に当接したとき搬送ローラと対向し搬送ローラを清掃する清掃機構部3と、清掃機構部を搬送ローラに沿って移動させる操作をする操作機構部5と、操作機構部の操作量を清掃機構部に伝達する伝達機構部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入口から挿入された光ディスクを搬送ローラにより記録再生部に搬送する搬送機構を備えた光ディスク装置の搬送ローラを清掃する搬送ローラ清掃部材に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに情報を記録し、または、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置には、筐体に光ディスクを挿入するための挿入口が設けられたスロットイン型の光ディスク装置がある。スロットイン型の光ディスク装置は、挿入口から挿入された光ディスクを一対の搬送ローラにより挟持し、搬送ローラを回転させることにより、記録再生部に備えられた光ディスクを載置するターンテーブルまで搬送する搬送機構を備えている。また、光ディスクを排出させる指示に応じて、ターンテーブルに載置された光ディスクを挿入口へ搬送する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−312850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スロットイン型の光ディスク装置では、搬送ローラの表面にごみ等が付着していると、一対の搬送ローラによる挟持力により、光ディスクの情報が記録された記録面を汚したり、傷つけたりする場合がある。光ディスクの記録面に汚れや傷があると、光ピックアップから照射されたレーザ光がこれらの汚れや傷により散乱してしまうため、光ディスク装置は、光ディスクへの情報の記録又は再生ができなくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、スロットイン型の光ディスク装置の搬送ローラにより光ディスクを搬送しているとき、光ディスクの記録面に汚れや傷が付くことを防止するために、搬送ローラに付着したごみ等を取り除く搬送ローラ清掃部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願の請求項1記載の発明は、光ディスクに信号を記録し又は光ディスクに記録された信号を再生する光ディスク装置の筐体に設けられた挿入口から挿入された光ディスクを当該光ディスク装置の記録部又は再生部に搬送する搬送ローラを清掃する搬送ローラ清掃部材において、半円形状の円盤部と、前記挿入口から予め定められた位置まで前記円盤部が挿入されると前記筐体に当接する長方形状の当接部と、前記当接部が前記筐体に当接したとき前記搬送ローラと対向し前記搬送ローラを清掃する清掃機構部と、前記清掃機構部を前記搬送ローラに沿って移動させる操作をする操作機構部と、前記操作機構部の操作量を前記清掃機構部に伝達する伝達機構部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本願の請求項2記載の発明は、請求項1に記載の搬送ローラ清掃部材において、前記清掃機構部は、前記搬送ローラを清掃する清掃部を有し、前記搬送ローラに沿って移動するように前記円盤部に備えられていることを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の搬送ローラ清掃部材において、前記操作機構部は、前記当接部に摺動するように備えられていることを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の搬送ローラ清掃部材において、前記伝達機構部は、複数の歯車を介して前記操作機構部による操作量を前記清掃機構部に伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の搬送ローラ清掃部材によれば、スロットイン型の光ディスク装置の搬送ローラにより光ディスクを搬送しているとき、光ディスクの記録面に汚れや傷が付くことを防止するために、搬送ローラに付着したごみ等を取り除く搬送ローラ清掃部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例である搬送ローラ清掃部材の平面図である。図1において、1は搬送ローラ清掃部材、2は円盤部、3は清掃機構部、4は当接部、5は操作機構部、6は伝達機構部、21は保持部、31は清掃部、32は案内溝、33はギア部、41は保持部、51は操作部、52は操作レバー、53はギア部、61は第1歯車、62は第2歯車、63は第3歯車を示す。
【0012】
図2は、本発明の一実施例である搬送ローラ清掃部材の断面図である。図2(a)は、搬送ローラ清掃部材1の断面面を示す図であり、図2(b)は、図2(a)の点線円内の部分を拡大した図である。図2において、7a,7b,7c,7dは軸、8はカットワッシャーを示す。
【0013】
図1に示す本実施例の搬送ローラ清掃部材1は、円盤部2、清掃機構部3、当接部4、操作機構部5、伝達機構部6を備える。円盤部2は、CDと同様に半径が約60mm、厚さが約1.2mmの半円形状である。円盤部2には、清掃機構部3を保持する保持部21が設けられている。
【0014】
保持部21により円盤部2に保持された清掃機構部3は、清掃部31、案内溝32、ギア部33を備える。清掃部31は、ナイロンやポリエステル等の材質から成り、クリーニング液を塗布することができる。図1に示すように、清掃部31は、清掃機構部3の両端に設けられている。案内溝32は、清掃機構部3の長手方向に形成されている。
【0015】
図2に示すように、案内溝32は円盤部2にインサート成形された軸7dに挿入され、軸7dが案内溝32から外れないように、かつ、清掃機構部3が案内溝32に沿って移動できるように、軸7dにカットワッシャー8が取り付けられている。このため、清掃機構部3は、円盤部2上を案内溝32に沿って移動させることができる。ギア部33は、第3歯車63と歯合するように清掃機構部3の長手方向の一方の側面に形成されている。円盤部2の材質は、スロットイン型の光ディスク装置に備えられた搬送ローラを傷つけないようするために、CDと同様のポリカーボネイト等のプラスチック材料とする。
【0016】
当接部4は、円盤部2と同様に厚さが約1.2mmの長方形状であり、当接部4の横幅は、光ディスク装置の筐体に設けられた挿入口の横幅より長くなっている。当接部4には、操作機構部5を保持する1組の保持部41が設けられている。操作機構部5は、操作部51、操作レバー52、ギア部53を備える。操作部51は、操作レバー52を備え、第1歯車61と歯合するギア部53が操作部51の長手方向の一方の側面に形成されている。操作機構部5は、操作部51が1組の保持部41により当接部4に保持され、当接部上を摺動することができる。
【0017】
伝達機構部6は、第1歯車61、第2歯車62、第3歯車63を備える。図2に示すように、第1歯車61は、円盤部2にインサート成形された軸7aに挿入され、軸7aから外れないように、軸7aにカットワッシャー8が取り付けられている。第1歯車61は、操作部51に形成されたギア部53と歯合するとともに、第2歯車62と歯合する。第2歯車62は、円盤部2にインサート成形された軸7bに挿入され、軸7bから外れないように、軸7bにカットワッシャー8が取り付けられている。第2歯車62は、第1歯車61および第3歯車63と歯合する。第3歯車63は、円盤部2にインサート成形された軸7cに挿入され、軸7cから外れないように、軸7cにカットワッシャー8が取り付けられている。第3歯車63は、第2歯車62と歯合するとともに、清掃機構部3に形成されたギア部33と歯合する。
【0018】
本実施例の搬送ローラ清掃部材1において、ユーザが操作レバー52を持って操作部51を図2に示すA方向に移動させる操作をすると、第1歯車61、第2歯車62および第3歯車63を介して、操作部51の操作量が清掃機構部3に伝達される。清掃機構部3は、伝達機構部6を介して操作部51の操作量が伝達されると、図2に示すB方向に操作部51の操作量に応じて移動する。操作部51をA方向に移動させる操作をした後、B方向に移動させる操作をすると、清掃機構部3は、操作部51のB方向への操作量に応じてA方向に移動する。このように、操作部51を移動させる操作をすると、清掃機構部3は、操作部51の操作量および操作方向に応じて移動する。
【0019】
図3は、スロットイン型の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。図3に示す光ディスク装置は、CD等の光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置である。図3において、10は光ディスク装置、11は搬送部、12は再生部、13は制御部、14は操作部を示す。
【0020】
搬送部11は、光ディスク装置10の筐体に設けられた挿入口から光ディスクが挿入されると、挿入された光ディスクを再生部12へ搬送する。再生部12は、図示しないターンテーブル、スピンドルモータ、光ピックアップ、再生アンプ、信号処理部、DAC(Digital to Analog Converter)、出力端子を備える。スピンドルモータに固定されたターンテーブルは、光ディスクを載置する。操作部14から再生開始の指示があると、スピンドルモータは、所定の線速度で回転駆動する。また、サーボ制御部は、光ピックアップからのレーザ光を光ディスクのピット列を正しくトレースする制御をする。
【0021】
光ピックアップが読み取ったデジタルオーディオ信号は、再生アンプにより波形整形及び増幅され信号処理部に入力される。信号処理部は、デジタルオーディオ信号の復調、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号等のエラー信号、同期信号の抜き出し等をしてデジタルオーディオ信号をDACに入力する。DACは、デジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換する。DACにより変換されたアナログオーディオ信号は、出力端子から出力される。制御部13は、光ディスク装置10全体の動作を統括的に制御する。操作部14は、再生ボタン、再生停止ボタン、イジェクトボタン、現在再生しているトラックの再生時間、トラックナンバー等を表示する表示部を備えている。
【0022】
図4は、光ディスク装置10が備える搬送部11の側断面図である。図4において、15は光ディスク装置10の筐体、16は挿入口、17はディスク検出部、18a,18bは搬送ローラを示す。搬送ローラ18aは、再生部12に備えられた光ピックアップと共に筐体15の下面に設けられている。
【0023】
図4に示すディスク検出部17は、例えば、透過型の光センサであり、光センサから照射された光を図示しない受光部が受光するか否かにより、挿入口16から挿入された光ディスク又は本実施例の搬送ローラ清掃部材1の有無を検出する。ディスク検出部17は、光ディスク又は搬送ローラ清掃部材1を検出すると、ディスク検出信号を制御部13へ出力する。制御部13は、ディスク検出部17からディスク検出信号が入力されると、光ディスク又は搬送ローラ清掃部材1を再生部12へ搬送するように搬送ローラ18を回転駆動させる制御をする。
【0024】
搬送ローラ18a,18bは、上下一対のローラにより光ディスク又は搬送ローラ清掃部材1を挟持しながら、光ディスク又は搬送ローラ清掃部材1を再生部12へ搬送する。挿入口16は、光ディスク装置10の筐体15の正面に設けられ、光ディスク又は搬送ローラ清掃部材1を挿入及び排出する。また、搬送部11は、挿入された光ディスクを再生部12までガイドするガイド部(図示せず)等を備える。
【0025】
ユーザが光ディスクを挿入口16に挿入すると、制御部13にディスク検出信号が入力され、挿入された光ディスクは、搬送ローラ18aと搬送ローラ18bにより挟持されながら再生部12のターンテーブルへ搬送される。光ディスクがターンテーブルへ搬送されると、制御部13は、搬送ローラ18の回転を停止する制御をする。また、操作部14のイジェクトボタンが押下されると、制御部13は、再生部12のターンテーブルに載置された光ディスクを挿入口16へ搬送するために、ディスク挿入時とは反対方向に搬送ローラ18a,18bを回転駆動させる制御をする。
【0026】
図5は、挿入口16に挿入した搬送ローラ清掃部材1と搬送ローラ18bを示す図である。図6は、挿入口16に挿入した搬送ローラ清掃部材1の断面面を示す図である。
【0027】
搬送ローラ18aを清掃する場合、清掃機構部3が備えられた面を下にして、搬送ローラ清掃部材1を円盤部2から挿入口16に挿入する。挿入口16から搬送ローラ清掃部材1が挿入されると、ディスク検出部17から制御部13にディスク検出信号が入力され、挿入された搬送ローラ清掃部材1は、円盤部2が搬送ローラ18aと搬送ローラ18bにより挟持され再生部12へ搬送される。ここで、搬送ローラ18a,18bが回転駆動し搬送ローラ清掃部材1が筐体15の内部へ搬送されると、当接部4の横幅が挿入口16の横幅より長いため、当接部4が筐体15に当接する。図5に示すように、搬送ローラ清掃部材1は、当接部4が筐体15に当接した位置で筐体15内部へ移動しなくなる。
【0028】
図6に示すように、本実施例の搬送ローラ清掃部材1は、当接部4と筐体15が当接すると、清掃部31が搬送ローラ18aと対向し接触する。清掃部31が搬送ローラ18aと接触した状態において、搬送ローラ18aは、回転駆動しているため、清掃部31上でスリップしながら回転し続ける。このとき、ユーザは、操作レバー52を持って操作部51を図5に示すA方向,B方向に移動させる操作を繰り返し行うことにより、操作部51の操作量が伝達機構部6を介して清掃機構部3に伝達される。そして、清掃部31は、操作部51の操作量および操作方向に応じて搬送ローラ18aに沿って移動する。したがって、清掃部31は、回転している搬送ローラ18aと接触しながら、搬送ローラ18aに沿って移動するため、搬送ローラ18aに付着したごみ等を取り除くことができる。
【0029】
ここで、制御部13は、予め定められた時間経過しても挿入された光ディスクが再生部12へ搬送されない場合、搬送ローラ18a,18bの回転駆動を停止させる制御、又は、光ディスクを排出するように搬送ローラ18a,18bを回転駆動させる制御をする。このため、ユーザは、筐体15の内部から搬送ローラ清掃部材1を取り出すことができる。また、搬送ローラ18bを清掃する場合、清掃機構部3が備えられた面を上にして、搬送ローラ清掃部材1を円盤部2から挿入口16に挿入することにより、搬送ローラ18bを清掃することができる。
【0030】
上述した搬送ローラ清掃部材1は、当接部4と筐体15が当接したとき、搬送ローラ18と対向する位置に清掃部31が配置され、清掃部31が搬送ローラ18a,18bよりさらに筐体15の内部に挿入されることがない。このため、搬送ローラ清掃部材1が挿入されても、清掃部31に塗布したクリーニング液が再生部12の光ピックアップ等の再生機構部に付着することがなく、再生機構部のレンズにクリーニング液が付着して再生機構部を破損することを防止することができる。
【0031】
スロットイン型の光ディスク装置において、ユーザは、定期的に本実施例の搬送ローラ清掃部材を挿入口から挿入することにより、搬送ローラに付着したごみ等を取り除くことができ、光ディスクの記録面に汚れや傷が付着することを防止することができる。このため、ユーザは、筐体内部から搬送ローラを取り出すような作業を行なわなくても、容易に搬送ローラを清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例の搬送ローラ清掃部材の平面図。
【図2】本発明の一実施例である搬送ローラ清掃部材の断面図。
【図3】光ディスク装置の構成を示すブロック図。
【図4】光ディスク装置が備える搬送部の側断面図。
【図5】挿入口に挿入した搬送ローラ清掃部材と搬送ローラを示す図。
【図6】挿入口に挿入した搬送ローラ清掃部材の断面面を示す図。
【符号の説明】
【0033】
1…搬送ローラ清掃部材、2…円盤部、3…清掃機構部、4…当接部、5…操作機構部、6…伝達機構部、7a,7b,7c…軸、8…カットワッシャー、10…光ディスク装置、11…搬送部、12…再生部、13…制御部、14…操作部、15…筐体、16…挿入口、17…ディスク検出部、18a,18b…搬送ローラ、21…保持部、31…清掃部、32…案内溝、33…ギア部、41…保持部、51…操作部、52…操作レバー、53…ギア部、61…第1歯車、62…第2歯車、63…第3歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに信号を記録し又は光ディスクに記録された信号を再生する光ディスク装置の筐体に設けられた挿入口から挿入された光ディスクを当該光ディスク装置の記録部又は再生部に搬送する搬送ローラを清掃する搬送ローラ清掃部材において、
半円形状の円盤部と、
前記挿入口から予め定められた位置まで前記円盤部が挿入されると前記筐体に当接する当接部と、
前記当接部が前記筐体に当接したとき前記搬送ローラと対向し前記搬送ローラを清掃する清掃機構部と、
前記清掃機構部を前記搬送ローラに沿って移動させる操作をする操作機構部と、
前記操作機構部の操作量を前記清掃機構部に伝達する伝達機構部とを備えることを特徴とする搬送ローラ清掃部材。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送ローラ清掃部材において、
前記清掃機構部は、
前記搬送ローラを清掃する清掃部を有し、前記搬送ローラに沿って移動するように前記円盤部に備えられていることを特徴とする搬送ローラ清掃部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の搬送ローラ清掃部材において、
前記操作機構部は、
前記当接部に摺動するように備えられていることを特徴とする搬送ローラ清掃部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の搬送ローラ清掃部材において、
前記伝達機構部は、
複数の歯車を介して前記操作機構部による操作量を前記清掃機構部に伝達することを特徴とする搬送ローラ清掃部材。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−59682(P2008−59682A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235049(P2006−235049)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】