説明

搬送波信号の位相誤差評価

グローバル・ポジショニング・システムの搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差は、このGPS搬送波信号の最適最小分散を用いることにより評価される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション・システムに関し、更に詳しくは、グローバル・ポジショニング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)の受信機は、複数のGPS搬送波信号を用いて、この受信機の位置及び速度を評価する。受信機は、GPS搬送波信号を処理し、GPS搬送波信号をベースバンドにおけるエミュレートされた搬送波及び符号に対して相関させ、トラッキング・ループを閉鎖し、レンジ及びレンジ・レートに対する最終的な測定値を出力する。ベースバンド・データの処理は最適ではない。例えば、非線形な効果である大きな位相誤差、大きな振幅不確定性、50Hzのデータ・ビット通信(データ・ストリップは想定されていない)などを考慮に入れて、GPS受信機の位置及び速度を正確に評価しなければならない。ジャミング対信号比が高い場合には、非線形効果の決定は困難であり、それによって、受信機による位置及び速度評価の精度は低下する。
【0003】
従って、グローバル・ポジショニング・システムの非線形効果を評価する際の精度を向上させる必要性が存在している。
【発明の開示】
【0004】
ある実施携帯における本発明は、ある方法に関する。グローバル・ポジショニング・システムの位相誤差及び/又は振幅誤差が、グローバル・ポジショニング・システムの搬送波信号の最適最小分散(optimal minimum variance)を用いることによって、評価される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の例示的な実装例の特徴が、明細書、特許請求の範囲及び図面から明らかになるはずである。
図1を参照すると、ある例における装置100は、1つの受信機102と、1又は複数の衛星104とを含む。ある例での受信機102は、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)の受信機で構成される。別の例では、受信機102は、L1/L2選択可能なアンチ・スプーフィング・モジュール(selective available anti-spoofing module = SAASM)受信機で構成される。ある例での受信機102は、記録可能なデータ記憶媒体108の例を含む。受信機102は、衛星104からの1又は複数のGPS搬送波信号106を用いて、受信機102の位置及び/又は速度を評価する。例えば、受信機102は、この技術分野の当業者であれば理解するように、GPS搬送波信号106を用いて、受信機102の位置を三角測量する。
【0006】
ある例の衛星104は、例えばグローバル・ポジショニング・システムであるナビゲーション・システム110の空間車両(SV)を含む。衛星104は、地球の周囲の軌道を回転して、1又は複数のGPS搬送波信号106を受信機102に提供する。ある例におけるGPS搬送波信号は、それぞれが1575.42メガヘルツ及び1227.60メガヘルツのL1及びL2信号を含む。GPS搬送波信号106への非線形効果により、受信機による位置及び/又は速度の評価の精度が低下する。非線形効果の例として、地球の電離層を通過するGPS搬送波信号によって生じる位相誤差及び/又は振幅誤差がある。この技術分野の当業者であれば理解するように、受信機102は、位相誤差及び/又は振幅誤差を評価して、受信機102の位置及び/又は速度の評価の精度を向上させる。
【0007】
従来型のアーリ(early)、プロンプト(prompt)及びレイト(late)相関器を用いると、SVチャネル当たりの1KHzでの同相I及び直交Q測定値は、次の数式で与えられる。
【0008】
【数16】

【0009】
これらの測定は、振幅A、符号誤差δr、位相誤差q、データ・ビットDという未知の値の非線形関数である。更に、搬送波誤差が1/2サイクル(搬送波スリップ)を超えると搬送波トラッキングに関して有用ではなくなり、符号誤差が1チップを超えると符号トラッキングに関して無効になる。ロックの損失を回避するため、そして、最小の誤差を得るために、測定値から最適な量の情報を抽出することが望まれる。
【0010】
従来型の搬送波ループは、アークタンジェント(正接)又はI*Qの積などの検出器を用いて、データ・ビットの検出の信頼性が低下する(約25dBHzC/No未満)ような状況において、未知のデータを除去する。これらの検出器は共に低ノイズ環境においてうまく機能する。アークタンジェントの方が好ましい理由は、そのゲインが90度までは入力位相に対して線形であるからである。しかし、この技術分野の当業者であれば理解するように、ノイズのレベルがより高くなると、アークタンジェントの平均出力は非線形となり、振幅も失われる。
【0011】
別のアプローチでは、動作点に関する観測値を線形化することを試みる。残差値誤差(residue errors)が小さいと仮定すると、線形化は有効であり、拡張されたカルマン・フィルタに導かれる。カルマン・フィルタは、観測値の状態に関する一次導関数として得られた観測マトリクスHを用いる。計算論的な負荷を軽減させるため、この線形化アプローチは、チャネルごとの1kHz測定値を1秒を単位として統合するプレフィルタにおいて装置化される。プレフィルタからの状態評価が、主たるカルマン・フィルタに送られる。拡張されたカルマン・フィルタ・アプローチには、3つの困難がある。まず、データはストリップされているものと仮定されるから、Hマトリクスは微分によって形成することができる。第2に、誤差が小さいと仮定されるので、線形化は正当化される。これらの問題点を緩和するために、修正(最適ではない)を行うことができる。最後に、データを主たるカルマン・フィルタに送らなければならず、すると、連結されたフィルタの問題点が生じる可能性がある。
【0012】
一般的なカルマン・フィルタには、最適化基準は最小分散であり、すべての状態は正規密度関数(normal density function)を有していなければならず、観測値は状態の線形関数でなければならない、という要件が含まれる。しかし、いくつかの状態は正規ではなく(位相はサイクル・スリップのためにフラットになる傾向があり、データ・ビットは離散的な2値をとる)、誤差が大きい場合には観測値は極端に非線形であるから、I及びQ信号は、これらの要件を満たさない。
【0013】
任意のシステムに対する最適最小分散解の一般的形式は次のように与えられる。
【0014】
【数17】

【0015】
ここで、x∧(入力の都合で左右に分けて書かれているが、数式にあるように、∧はxの上にある。以下同じ)は、観測値yが与えられ、f(X,Y)がx及びyの同時密度関数(joint density function)としたときの、xの最小分散評価である。この評価装置は、厳格なカルマン条件を緩和するが、カルマン条件が課せられる場合には、厳密にカルマン・フィルタに帰せられる。不利な点は、この技術分野の当業者であれば理解するであろうが、閉じた形式の解が存在せず、解が積分のリアルタイムでの評価を必要とすることである。
【0016】
拡張されたカルマン・フィルタの一般的な表現は、解析的には、次の数式にほぼ帰着される。
【0017】
【数18】

【0018】
ここで、この技術分野の当業者には明らかなことであるが、bはデータ・ビットであり、y及びzはノイズ・ビットであり、xは50のI及びQの即時(プロンプト)観測値に対する搬送波信号の位相であって、それぞれの観測値が1kHzから50Hzまで加算されると仮定して(ビット・シンクを仮定して1データ・ビットにわたって加算される)、1秒間の間に適用される。
【0019】
次に、図2を参照すると、プロット202及び204は、アークタンジェント評価装置と最適評価装置との比較を示している。低ノイズの場合には、最適最小分散解は、アークタンジェントに従っている。ノイズが増大するにつれて、そして、位相誤差の仮定された統計が増加するにつれて、最適解の方がよい評価を与えるようになる。プロット202及び204は、残差値(residuals)の密度関数を示している。この場合には、最適解のシグマの方が、2の因数だけ小さく、非正規アウトライヤもより小さい。
【0020】
同様のアプローチを用いて、信号の振幅Aを評価することもできる。位相評価装置x∧と振幅評価装置a∧とは、次の数式によって与えられる。
【0021】
【数19】

【0022】
ここで、Pは、I及びQの値の対として次のように定義される。
【0023】
【数20】

【0024】
位相評価装置は振幅が既知であると仮定し、振幅評価装置は位相が既知であると仮定している。解(最適解からはいくらか妥協した値であるが)は、両方の解を通じてループすることによって形成することができる。
【0025】
別の例では、位相及び振幅の両方の解が最適であるが、次のように、それぞれが二重積分を必要とする。
【0026】
【数21】

【0027】
極度に厳密な場合には、主たるカルマン・フィルタ及びシステムはI及びQ測定値と、受信機102のデジタル制御された発振器の搬送波及び符号の完全な制御を有する。受信機102の選択されたゲインを用いる従来型の内部トラッキング・ループは、完全に排除される。トラッキング・ループの完全な制御を有することにより、パフォーマンスが改善され、更に、I及びQデータの最適使用からの追加的な改善が無視される。例えば、従来型のI及びQ検出器を用い、カルマン・ゲインがC/Noによって重み付けされると、パフォーマンスの改善が達成される。
【0028】
次に図3を参照すると、プロット302はx軸に沿って示されるノイズ源RFノイズ(C/Noによって与えられる)に対する例示的な最適ノイズ帯域幅と、2つのパラメータ化された条件として示されている1秒のアレン分散(Allen Variance)分離区間における正規化されたルート・アレン分散によって特徴付けられる受信機クロック・ホワイト・ノイズとを示している。更に、それぞれのプロットは、データ・ストリップがある場合又はストリップがない場合のパフォーマンスに分離されている。明らかに、与えられたクロック・モデルでは、より小さなC/Noが既知であれば、帯域幅を最小値まで低下させることが可能である。次に図4を参照すると、最適な帯域幅における例示的な最小位相誤差シグマが示されている。処理を強化し、完全なカルマン・フィルタを用いることにより、トラッキング・ループのゲイン制御を、より細かく調整することが可能になる。プロット302及び402は、また、より低いノイズの受信機クロックの効果を示している。
【0029】
これ以外の重要な誤差源には、クロックのg感度(g-sensitivity)と、慣性測定値ユニット(IMU)の加速度計のg感度とが含まれる。両方のg感知誤差(g sensitive errors)は、主たるカルマンにg感知性のクロック状態とg感知性の加速度計状態とを含めることによって、部分的には緩和することができる。誤差自体を部分的に評価することに加えて、これらの状態は、カルマンに知識を提供して、トラッキング・ループを適切に制御する。例えば、短時間の間の非常に大きな加速度は、符号及び位相誤差を消去してしまう。サーチを再度初期化する代わりに、カルマンは、単純に、(誤差が1チップよりも小さいと仮定して)符号のトラッキングを開始し、どのようなサイクルが残っていてもそのサイクルでの搬送波のトラッキングを再開する。加速度計のg感知性の誤差は、これよりも深刻である可能性がある。短時間の間の非常に大きな加速度は、低いC/Noが与えられている環境では観測不可能なI及びQの過渡状態を生じる可能性がある。結果的に生じる残差IMU速度誤差は、搬送波のトラッキングを再開する際の困難を生じさせることがある。ここで、やはり、最適処理がトラッキングの回復を助けることになる。
【0030】
ある例における装置100は、1又は複数の電子コンポーネントとハードウェア・コンポーネントとコンピュータ・ソフトウェア・コンポーネントなどの複数のコンポーネントから構成されている。装置100の多数のこれらのコンポーネントは、この技術分野の当業者であれば理解するように、多数のプログラミング言語の中の任意のものを用いて書かれた又は実装された1組の及び/又は一連のコンピュータ命令を用いる、及び/又は、そのようなコンピュータ命令を含む。
【0031】
ある例における装置100は、1又は複数のコンピュータ可読な信号を生じる媒体である。装置100に対するコンピュータ可読な信号を生じる媒体は、受信機102の記録可能データ記憶媒体108を含む。例えば、装置100に対するコンピュータ可読な信号を生じる媒体は、1又は複数の磁気、電気、光学、生物的及び原子的なデータ記憶媒体である。ある例では、コンピュータ可読な信号を生じる媒体は、装置100を含む又は装置100に結合されたネットワーク、1又は複数の電話回線網、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、インターネット、無線ネットワークなどの上を伝送される変調された搬送波信号を含む。
【0032】
この出願に記載されたステップ及び動作は単に例示的である。本発明の精神から逸脱することなくこれらのステップ及び動作を修正することが可能である。例えば、ステップは異なる順序での実行が可能であるし、いくつかのステップを追加、削除又は修正することが可能である。
【0033】
以上では、本発明の例示的な実現例を示し説明したが、この技術分野の当業者であれば理解するように、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、置き換えが可能である。従って、そのような修正、追加及び置き換えも冒頭の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に属するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ナビゲーション・システムの1つの受信機と1又は複数の衛星とを含む装置の図解である。
【図2】図1の装置の位相誤差評価のためのアークタンジェント解と最適解とを比較するプロットの図解である。
【図3】図1の装置に対するRFノイズ及びクロック・ホワイト・ノイズとに対する最適ノイズ帯域幅を示すプロットの図解である。
【図4】図1の装置に対する最適な帯域幅での位相誤差シグマを示すプロットの図解である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を前記GPS搬送波信号の最適最小分散を用いることにより評価するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、GPS搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を最適最小分散解を用いることにより評価する前記ステップは、
前記GPS搬送波信号の最適最小分散を前記GPS搬送波信号に基づく同相項I及び直交項Qの複数の対を用いて決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記GPS搬送波信号を前記GPS搬送波信号の最適最小分散を前記GPS搬送波信号に基づく同相項Iと直交項Qとの複数の対を用いて決定する前記ステップは、
同相項I及び直交項Qの複数の対に基づき次の複数の対の項Pを計算するステップと、
【数1】

前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧(入力の都合で分けて書かれているが、∧はxの上にある。以下同じ)及び/又は振幅誤差評価a∧(入力の都合で分けて書かれているが、∧はaの上にある。以下同じ)を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、同相項及び直交項の前記複数の対はN個の項を含み、前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する前記ステップは、
次のように位相誤差評価を計算するステップと、
【数2】

次のように振幅誤差評価を計算するステップと、
【数3】

を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、同相項及び直交項の前記複数の対はN個の項を含み、前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する前記ステップは、
次のように位相誤差評価を計算するステップと、
【数4】

次のように振幅誤差評価を計算するステップと、
【数5】

を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
GPS受信機に実装されており、受信されたGPS搬送波信号からの情報の抽出を最適化する方法であって、
非線形効果を受けるGPS搬送波信号を受信するステップと、
GPS搬送波信号を表す同相項I及び直交項Qの複数の対に基づき、カルマン・フィルタを用いて、GPS搬送波信号の最適最小分散を決定するステップと、
前記GPS搬送波信号の前記最適最小分散に基づき、前記GPS搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を評価するステップと、
前記GPS搬送波信号の評価された位相誤差及び/又は振幅誤差を適用し、前記受信されたGPS搬送波信号の対応する位相及び/又は振幅を訂正するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、第1のサンプル・レートで得られた同相項及び直交項の複数の測定値を同相項及び直交項の単一の対応する測定値に統合することにより同相項及び直交項を前フィルタリングするステップを更に含み、前記GPS搬送波信号の最適最小分散の決定は、カルマン・フィルタを用い、前記同相項及び直交項の前記単一の対応する測定値に基づき、前記GPS受信機の処理ユニットにおける計算負荷を減少させることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6記載の方法において、前記GPS搬送波信号の前記最適最小分散に基づき前記GPS搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を評価する前記ステップは、アークタンジェント法を用いて得られる誤差評価よりも正確な前記対応する誤差の評価を提供する位相及び/又は振幅誤差評価を生成することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、アークタンジェント法を用いて得られる誤差評価と比較した前記評価するステップより得られる位相及び/又は振幅誤差評価の精度は、前記受信されたGPS搬送波信号の信号対雑音比が低下するにつれて上昇することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6記載の方法において、カルマン・フィルタに同相項I及び直交項Qの対への完全なアクセスを提供するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記カルマン・フィルタは同相項I及び直交項Qの対への直接のアクセスを有することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、
デジタル制御された発振器を用いて、前記GPS搬送波信号からのGPS情報の回復の一部として、前記受信されたGPS搬送波信号と合成された注入信号を生成するステップと、
前記デジタル制御された発振器を、前記カルマン・フィルタによって決定されたGPS搬送波信号の最適最小分散によって直接に制御するステップと、
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項6記載の方法において、前記決定するステップは、
同相項I及び直交項Qの複数の対に基づき次の複数の対の項Pを計算するステップと、
【数6】

前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、同相項及び直交項の前記複数の対はN個の項を含み、前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する前記ステップは、
次の位相誤差評価を計算するステップと、
【数7】

次の振幅誤差評価を計算するステップと、
【数8】

を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、同相項及び直交項の前記複数の対はN個の項を含み、前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する前記ステップは、
次の位相誤差評価を計算するステップと、
【数9】

次の振幅誤差評価を計算するステップと、
【数10】

を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
受信されたGPS搬送波信号からの情報の抽出を最適化するGPS受信機であって、
非線形効果を受けるGPS搬送波信号を受信する手段と、
前記受信手段に結合されており、GPS搬送波信号を表す同相項I及び直交項Qの複数の対に基づき、カルマン・フィルタを用いて、GPS搬送波信号の最適最小分散を決定する手段と、
前記決定手段に結合されており、前記GPS搬送波信号の前記最適最小分散に基づき、前記GPS搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を評価する手段と、
前記評価手段に結合されており、前記GPS搬送波信号の評価された位相誤差及び/又は振幅誤差を適用し、前記受信されたGPS搬送波信号の対応する位相及び/又は振幅を訂正する手段と、
を含むことを特徴とする受信機。
【請求項17】
請求項16記載の受信機において、第1のサンプル・レートで得られた同相項及び直交項の複数の測定値を同相項及び直交項の単一の対応する測定値に統合することにより同相項及び直交項を前フィルタリングする手段を更に含み、前記決定手段は、前記GPS搬送波信号の最適最小分散を、カルマン・フィルタを用い、前記同相項及び直交項の前記単一の対応する測定値に基づいて決定し、前記GPS受信機の処理ユニットにおける計算負荷を減少させることを特徴とする受信機。
【請求項18】
請求項16記載の受信機において、前記GPS搬送波信号の前記最適最小分散に基づき前記GPS搬送波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を評価する前記評価手段は、アークタンジェント法を用いて得られる誤差評価よりも前記対応する誤差の正確な評価を提供する位相及び/又は振幅誤差評価を生成することを特徴とする受信機。
【請求項19】
請求項18記載の受信機において、前記評価手段は、アークタンジェント法を用いて得られる誤差評価と比較して、前記受信されたGPS搬送波信号の信号対雑音比が低下するにつれて上昇する位相及び/又は振幅誤差評価の精度を提供することを特徴とする受信機。
【請求項20】
請求項16記載の受信機において、カルマン・フィルタに同相項I及び直交項Qの対への完全なアクセスを提供する手段を更に含むことを特徴とする受信機。
【請求項21】
請求項20記載の受信機において、前記カルマン・フィルタは同相項I及び直交項Qの対への直接のアクセスを有することを特徴とする受信機。
【請求項22】
請求項20記載の受信機において、
デジタル制御された発振器を用いて、前記GPS搬送波信号からのGPS情報の回復の一部として、前記受信されたGPS搬送波信号と合成された注入信号を生成する手段と、
前記デジタル制御された発振器を、前記カルマン・フィルタによって決定されたGPS搬送波信号の最適最小分散によって直接に制御する手段と、
を更に含むことを特徴とする受信機。
【請求項23】
請求項16記載の受信機において、前記決定する手段は、
同相項I及び直交項Qの複数の対に基づき次の複数の対の項Pを計算する手段と、
【数11】

前記複数の対の項Pに基づき、位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する手段と、
を含むことを特徴とする受信機。
【請求項24】
請求項23記載の受信機において、同相項及び直交項の前記複数の対はN個の項を含み、前記複数の対の項Pに基づき位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する前記手段は、
次のように位相誤差評価を計算する手段と、
【数12】

次のように振幅誤差評価を計算する手段と、
【数13】

を含むことを特徴とする受信機。
【請求項25】
請求項23記載の受信機において、同相項及び直交項の前記複数の対はN個の項を含み、前記複数の対の項Pに基づき位相誤差評価x∧及び/又は振幅誤差評価a∧を計算する前記手段は、
次のように位相誤差評価を計算する手段と、
【数14】

次の振幅誤差評価を計算する手段と、
【数15】

を含むことを特徴とする受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−529757(P2007−529757A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504177(P2007−504177)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/009316
【国際公開番号】WO2005/093452
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(501021232)リットン システムズ、 インコーポレーテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】LITTONSYSTEMS,INC.
【住所又は居所原語表記】21240 Burbank Boulevard Woodland Hills,California 91367−6675 United States of America
【Fターム(参考)】