説明

搬送物管理システム

【課題】搬送物の管理をより正確に且つ確実に行うことのできる搬送物管理システムを提供する。
【解決手段】管理サーバ8は、搬送物に関連する情報である搬送物関連情報を取得するデータ取得部を備えている。搬送物管理システムは、前記データ取得部により取得された搬送物関連情報を表示可能なディスプレイ9dを備えている。前記管理サーバ8は、搬送物の装着操作と次の装着操作との間に離脱操作を有しない操作種類データが存在する場合に、該操作種類データを前記ディスプレイ9dに表示させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンテナやトレーラ等の各種搬送物を管理するための搬送物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送物管理システムとしては、例えば次のようなものが存在する。即ち、この従来のものは、搬送用車両が、撮像素子により搬送物識別子を撮像した電子画像データと、GPS受信装置により検出される搬送用車両の位置データと、コンテナの積み込みや積み降ろし等に関する操作種類データと、その操作日時データとを取得し得るように構成されている。取得されたこれらの各種データは、先ず搬送用車両から通信ネットワークを介して管理サーバに無線送信される。管理サーバは、受信した電子画像データから撮像されたコンテナを識別すると共に、該コンテナに関するデータを取得する。かかる取得データは、管理サーバから前記通信ネットワークを介して端末機に送信されて、そのディスプレイに表示されることになる(特許文献1参照)。
【0003】
このような搬送物管理システムにあっては、そのシステムの構築が比較的容易であり、且つ良好にコンテナの状態を管理することができるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−1419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記搬送物管理システムにおいては、管理サーバが搬送物識別子の一部も識別できなかったような場合には、その際の操作種類データは無効なものとして処理するように設定されている。このため、ある操作に関する操作種類データが全く存在しないという事態も生じることになる。例えば、搬送用車両に積み込まれた一のコンテナが所定の場所で積み降ろされた後、次のコンテナが積み込まれた場合に、前記積み降ろし操作において搬送物識別子の一部も識別できなかったような場合である。この場合は、先のコンテナに関する積み降ろし操作についての操作種類データが存在しないために、データ上は搬送用車両に当該先のコンテナが搭載されたままである一方、現実には積み降ろされた先のコンテナがどこで積み降ろされたのかを特定できず、その所在が不明となってしまう。
【0006】
このような事態は、例えば搬送物識別子が撮像可能な程度にコンテナが整備されておれば発生しないものであるために、現実にはさほど発生するものではないと考えられる。しかるに、かかる事態が発生した場合には、適切に対処することにより迅速に問題を解決するのが望ましい。
【0007】
それ故に、本発明はかかるに鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送物の管理をより正確に且つ確実に行うことのできる搬送物管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搬送物管理システムは、通信ネットワークを用いて搬送用車両に脱着操作される搬送物を管理するシステムであって、前記搬送物に設けられる識別子と、前記搬送用車両に設けられ、該搬送用車両の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置取得手段と、前記搬送用車両に設けられ、前記搬送物の識別子から識別データを取得する識別データ取得手段と、前記搬送用車両に設けられ、少なくとも前記搬送物の脱着操作が行われたときに、該搬送物の操作種類を示す操作種類データと、その操作がなされた日時に関する操作日時データと、前記車両位置データと、前記識別データとを前記通信ネットワークに無線送信する車両側送信装置と、該車両側送信装置から前記通信ネットワークを介して無線送信されたデータを受信するサーバ側受信部と、前記識別データと操作日時データと車両位置データと操作種類データとに基づいて、搬送物に関連する情報である搬送物関連情報を取得するデータ取得部とを有する管理サーバと、前記データ取得部により取得された搬送物関連情報を表示可能なディスプレイとを備え、前記管理サーバは、搬送物の装着操作と次の装着操作との間に離脱操作を有しない操作種類データが存在する場合に、前記先の装着操作に関する前記搬送物関連情報を前記ディスプレイに表示させるように構成したものである。
【0009】
本発明に係る搬送物管理システムでは、先ず操作種類データ、操作日時データ、車両位置データ及び識別データが、搬送用車両の車両側送信装置から通信ネットワークを介して管理サーバのサーバ側受信部に無線送信される。管理サーバは、無線送信された前記識別データ、操作日時データ、車両位置データ及び操作種類データとに基づいて、前記搬送物の識別を行うと共に、搬送物に関連する情報である搬送物関連情報が取得される。かかる搬送物関連情報は、ディスプレイに表示されて前記搬送物を管理することができる。
【0010】
また、例えば搬送物の離脱操作時において、管理サーバが搬送物識別子の一部も識別できなかったような場合には、搬送物の先の装着操作と次の操着操作との間に離脱操作を有しない操作種類データが発生することになる。この場合は、前記先の装着操作についての前記搬送物関連情報が管理サーバによって前記ディスプレイに表示される。これに基づいて、ユーザは、現実には離脱操作されているにも拘らず、データ上は搬送用車両に装着して搬送された搬送物を容易に発見することができる。
【0011】
尚、本発明にいう「搬送物の脱着操作」とは、例えば搬送物がコンテナ積荷であるような場合は、コンテナや積荷の積み込み操作と積み降ろし操作を意味する。また、搬送物がトレーラであるような場合は、トラクタとトレーラとの連結操作と切り離し操作、即ち搬送用車両と搬送物を一体的に移動するための操作と、搬送物を搬送用車両から分離して地面に配置するための操作を意味する。
【0012】
また、本発明にいう「搬送物の操作種類」とは、例えば搬送物がコンテナ等であるような場合は、コンテナ等を傾斜させることで内部の積載物を外部に排出させる操作、コンテナ等の積み込み操作、コンテナ等の積み降ろし操作、コンテナ等のチルトアップ操作、コンテナ等のチルトダウン操作等を意味する。尚、「コンテナ等の積み込み操作」とは、地上やプラットホームなどに載置されているコンテナ等を搬送用車両に載置する操作のことをいう。また、「コンテナ等の積み降ろし操作」とは、搬送用車両に載置しているコンテナ等を地上やプラットホームなどに降ろして設置する操作をいう。さらに、「コンテナ等のチルトアップ操作」とは、搬送用車両に載置しているコンテナ等を傾斜させる操作である。また、「コンテナ等のチルトダウン操作」とは、チルトアップされたコンテナを元の状態に戻す操作をいう。
【0013】
また、前記識別データ取得手段は、前記搬送物の識別子を撮像して前記識別データとしての電子画像データを取得する撮像素子を備え、前記管理サーバは、前記電子画像データを解析して前記搬送物の識別を行う識別部を備えるようにしてもよい。
【0014】
識別子をIDタグで構成した場合には、その読取りを確実に行うために、タグ読取装置をIDタグに常に近接させる必要がある。これに対して、上記の如く撮像素子によって電子画像データを取得するように構成すると、撮像素子と識別子との距離は比較的変化してもよく、寸法が異なる複数種類の搬送物に容易に対応できる。
【0015】
また、識別部が電子画像データの解析がうまく行えずに識別エラーが生じたとしても、目視でコンテナの識別データを判断することができるため、容易に識別エラーを解消することができる。
【0016】
一般に、ICタグを識別子とする場合でも、これとは別に搬送物を目視で認識できるように、その表面には例えば数字等の識別番号が付される。この表示が汚れる等して、目視による識別が困難になった場合は、搬送物に再度識別番号を付す必要が生じる。この場合は、専用の読取装置を使用してICタグに記憶された識別番号を読取り、これに基づいて識別番号が付されることになる。ここで、何らかの原因によってICタグに記憶された識別番号と相違する識別番号が搬送物の表面に付されてしまうと、当該搬送物の取扱いが非常に厄介なものなり、搬送物管理システムの運用に大きな支障を与える結果となる。これに対して、識別子を目視で認識可能な表示としておけば、識別番号を再度付する必要が生じても、システムに読み取られる識別番号と現場の作業員が目視で確認する識別番号とが一致しないという事態を適切に回避することができる。
【0017】
さらに、前記管理サーバには、前記ディスプレイと前記搬送物関連情報を入力する搬送物関連情報入力手段を設けることもできる。
【0018】
これによると、搬送物の先の装着操作と次の装着操作との間に、搬送物の離脱操作を有しない操作種類データが存在するという識別エラーが発生した場合、搬送物関連情報入力手段により、先の離脱操作についての搬送物関連情報を参照して、当該先の装着操作に対応する離脱操作についての情報を入力することができる。これにより、管理サーバにおいて容易に識別エラーを解消することが可能となるために、搬送物関連情報を適切に管理することができる。
【0019】
また、前記管理サーバは、前記データ取得部により取得された搬送物関連情報を通信ネットワークに対して送信するサーバ側送信部をさらに有し、前記ネットワークを介して前記搬送物関連情報を受信する端末機側受信部と、前記端末機側受信部により受信された搬送物関連情報を表示するディスプレイと、前記搬送物関連情報を入力する搬送物関連情報入力手段とが設けられた端末機をさらに備えるようにしても構わない。
【0020】
これによると、端末機を介して容易に識別エラーを解消できるために、搬送物関連情報を適切に管理することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、搬送物の管理をより正確に且つ確実に行うことのできる搬送物管理システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施した搬送物管理システムの概略構成図である。
【図2】搬送用車両の側面図である。
【図3】コンテナが搭載された搬送用車両の側面図である。
【図4】搬送用車両の荷役装置の動作説明図(その1)である。
【図5】搬送用車両の荷役装置の動作説明図(その2)である。
【図6】搬送用車両の荷役装置の動作説明図(その3)である。
【図7】搬送用車両の荷役装置の動作説明図(その4)である。
【図8】搬送物IDコードの例を示した説明図(その1)である。
【図9】搬送物IDコードの例を示した説明図(その2)である。
【図10】車載装置の構成を示したブロック図である。
【図11】管理サーバの構成を示したブロック図である。
【図12】車載装置の動作を示したフローチャートである。
【図13】管理サーバの動作を示したフローチャート(その1)である。
【図14】管理サーバの動作を示したフローチャート(その2)である。
【図15】コンテナの識別が好適に行われなかったときの警告表示の一例である。
【図16】複数のコンテナの識別が好適に行われなかったときの警告表示の一例である。
【図17】端末機のディスプレイに表示されるコンテナ運搬履歴データの一例である。
【図18】(a)〜(d)はコンテナの識別が好適に行われなかった場合を示す模式図である。
【図19】コンテナの識別が好適に行われなかったときの警告表示の一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る搬送物管理システムの一実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本実施形態では、搬送物の一例としてコンテナCを管理する場合について説明する。
【0024】
<搬送物管理システム100の概要>
図1は、本実施形態に係る搬送物管理システム100の概略構成図である。搬送物管理システム100は、通信ネットワーク5を用いて複数の搬送用車両1と、複数のコンテナCとを管理するためのシステムである。具体的に、搬送物管理システム100は、各搬送用車両1の位置、状態、運搬履歴、走行履歴等、並びに、各コンテナCの位置、状態などを管理するためのシステムである。
【0025】
図1に示すように、搬送物管理システム100では、搬送用車両1やコンテナCに関する情報は、搬送用車両1に搭載された車載装置4から無線通信網5aに無線送信される。搬送用車両1から無線送信された情報は、無線通信網5aに接続されたインターネット5bを介して管理サーバ8に送信される。管理サーバ8によって受信された情報は、管理サーバ8によって処理、蓄積される。また、管理サーバ8は、インターネット5bを介して、処理、蓄積した情報をユーザが使用する複数の端末機9のそれぞれに対して送信する。この搬送物管理システム100では、管理サーバ8と端末機9とによって、コンテナC及び搬送用車両1が管理されている。
【0026】
尚、本実施形態では、端末機9が管理サーバ8とは別個に設けられている場合を示したが、管理サーバ8は端末機9としての機能を有するものであってもよい。また、管理サーバ8が端末機9としての機能を有すると共に、各端末機9も管理サーバ8としての機能を有するものであってもよい。すなわち、通信ネットワーク5を介して、各端末機9が直接搬送用車両1と通信をすると共に、データ処理をするようにしてもよい。
【0027】
通常、端末機9は、各ユーザの手元に置かれているのに対して、管理サーバ8は、コンテナ管理センタ30に設置されている。コンテナ管理センタ30は、例えば、搬送物管理システム100を運営すると共に、端末機9のユーザに対して、端末機9を介してASP(application service provider)サービスを提供する情報提供業者(システム管理業者ともいう)の事業所であってもよい。
【0028】
尚、「端末機9のユーザ」とは、本実施形態ではコンテナCを用いて廃棄物の処理(収集、運搬など)を行う収集運搬事業者、廃棄物を排出する廃棄物排出事業者、コンテナCの管理業者、搬送用車両1の管理業者等である。
【0029】
尚、図1では、搬送用車両1と端末機9とは、説明の便宜上、2つずつ描画しているが、搬送物管理システム100によって管理される搬送用車両1の数量と、搬送物管理システム100に含まれる端末機9の数量とは、特に限定されない。
【0030】
以下、図1等を参照しながら、本実施形態に係る搬送物管理システム100の詳細について説明する。
【0031】
<コンテナC>
コンテナCは、貨物輸送などに用いられる大型容器である。本発明において、コンテナCに搬入される内容物の種類は特に限定されない。コンテナCは、例えば、破棄される廃棄物が積載される廃棄物回収用コンテナや、リサイクルされるリサイクル資源が積載されるリサイクル資源回収用コンテナであってもよい。以下、本実施形態では、コンテナCが廃棄物回収用のコンテナである例について説明する。
【0032】
コンテナCは、傾斜させることで内部の積載物を外部に排出可能な独立したコンテナである。コンテナCの後壁は、開閉自在である。このため、図5や図7に示すように、コンテナCを傾斜させることで、コンテナCの内部の積載物を排出させることができる。尚、コンテナCは、上面が開放された開放式のものであってもよい。また、コンテナCは、上面が閉じられた密閉式のものであってもよい。
【0033】
図3に示すように、コンテナCの前壁上部に係合ピンC1が設けられている。この係合ピンC1は、後に詳述する搬送用車両1のフック23に係合する。これにより、コンテナCは、搬送用車両1に揺動可能に係止される。一方、コンテナCの底面前部には支持脚C2が設けられている。コンテナCの底面後部には支持ローラC3が設けられている。
【0034】
<搬送用車両1>
(搬送用車両1の概略構造)
搬送用車両1は、コンテナCの積み降ろしを含む、コンテナCに対する複数種類の操作が可能な車両である。まず、搬送用車両1の概略構成について、図2等を参照しながら説明する。搬送用車両1は、車体3に搭載された荷役装置(コンテナ装着積載手段)2を備えている。荷役装置2は、コンテナCに対してコンテナ操作を行うためのものである。具体的には、荷役装置2は、コンテナCの搬送用車両1への積み込み、コンテナCの搬送用車両1からの降ろし、コンテナCのチルトアップ及びチルトダウン等の各コンテナ操作を行うためのものである。
【0035】
荷役装置2は、アウタアーム21と、略L字状の伸縮アーム22とを備えている。アウタアーム21は、コンテナCが搭載された状態において略水平である。アウタアーム21には、前方に開口する挿入孔が形成されている。図7に示すように、アウタアーム21の後端部は、スイングフレーム2aに回転可能に連結されている。スイングフレーム2aの後方端は、車体3に対して回転可能に支持されている。アウタアーム21とスイングフレーム2aとは、図示しない固縛装置によって固縛可能となっている。アウタアーム21とスイングフレーム2aとが固縛装置によって固縛されている場合は、図7に示すように、アウタアーム21とスイングフレーム2aとは、スイングフレーム2aの後方端を軸として、一体的に回転する。一方、アウタアーム21とスイングフレーム2aとが固縛装置によって固縛されていない場合は、図5及び図6に示すように、アウタアーム21は、スイングフレーム2aとは別に、アウタアーム21の後方端部を軸として回転する一方、スイングフレーム2aは水平に保たれる。
【0036】
図3に示すように、伸縮アーム22は、コンテナCが搭載された状態において略水平である水平部22aと、コンテナCが搭載された状態において略垂直である垂直部22bとを備えている。垂直部22bの下端部は、水平部22aの先端部に連結されている。垂直部22bの先端部には、コンテナCの係合ピンC1と係脱自在であるフック23が設けられている。
【0037】
水平部22aの後部は、アウタアーム21内に、図3に示す状態で前後方向に摺動可能に挿入されている。水平部22aとアウタアーム21との間には、図示しない伸縮シリンダが設けられている。水平部22aは、この伸縮シリンダによって、アウタアーム21に対してアウタアーム21の長手方向に伸縮自在となっている。
【0038】
図5〜図7に示すように、アウタアーム21と車体3との間には、伸縮可能な起伏シリンダ24が設けられている。起伏シリンダ24の前方端部は、車体3に回転可能に支持されている。一方、起伏シリンダ24の後方端部は、アウタアーム21の途中部に回転可能に取り付けられている。アウタアーム21を含む荷役装置2は、この起伏シリンダ24の伸縮動作によって、アウタアーム21の後端部を中心にして回転可能となっている。このように荷役装置2が回転することで、コンテナCが後方へ移動しつつ降ろされる。尚、車体3の後端部には、コンテナCの後方への移動を円滑化するためのローラ25が設けられている。
【0039】
次に、搬送用車両1のコンテナ動作について、主として図4〜図7を参照しながら説明する。
【0040】
(コンテナCの積み降ろし作業)
コンテナCを搬送用車両1から降ろす場合、まず、図3に示すようにコンテナCを搭載した状態で、図4に示すように、図示しない伸縮シリンダにより伸縮アーム22の水平部22aをアウタアーム21に対して縮退させる。これにより、車体3上のコンテナCを後方に所定長さ分だけスライドさせる。次に、図5に示すように起伏シリンダ24によりアウタアーム21を伸縮アーム22と共に上方に回転させてコンテナCを傾動させる。これによりコンテナCを図6に示すように車体3上から地上に降ろすことができる。また、上記降ろし作業と逆の工程を行うことによって、地上のコンテナCを車体3上に積み込むことができる。
【0041】
(コンテナCのチルトアップ作業及びチルトダウン作業)
コンテナCのチルトアップ作業は、コンテナC内に積載された積載物の排出を行う際等に行われる。チルトアップ動作は、コンテナCを車体3上に積み込んだ状態で、図示しない固縛装置によりアウタアーム21とスイングフレーム2aとを一体的に固縛し、伸縮アーム22をアウタアーム21に対して縮退させることなく、図7に示すように荷役装置2全体を上方に回転させてコンテナCを傾動させることで、行われる。このチルトアップ作業を行うことで、コンテナCの後壁が開放され、コンテナC内の積載物が外部に排出される。上記チルトアップ作業の工程を逆の順番で行うことでチルトダウン作業を行うことができる。
【0042】
<搬送物IDコードC4>
図1や図3〜図7に示すように、コンテナCには、搬送物識別子としての識別番号ラベルがコンテナCの前面に貼付され、この識別番号ラベルに識別番号としての搬送物IDコードC4が表示されている。尚、搬送物IDコードC4の表示位置は、コンテナCが搬送用車両1に積載されているときに、後述するデジタルカメラ12で写真撮影が可能な位置であれば特に限定されるものではない。搬送物IDコードC4の表示位置は、コンテナCの形状などに応じて適宜決定することができる。
【0043】
搬送物IDコードC4は、コンテナCの識別が可能なものであれば特に限定されない。例えば、搬送物IDコードC4は、各コンテナCに対して付されたコード(番号や記号など)であってもよい。また、搬送物IDコードC4は、例えば、バーコードなどであってもよい。但し、視認によるコンテナCの識別容易性の観点からは、搬送物IDコードC4は、バーコードなどであるより、コード(番号や記号など)である方が好ましい。また、搬送物IDコードC4を、OCRフォント文字で構成してもよい。この場合、目視で認識可能であるのみならず、後述する画像解析により搬送物IDコードC4を識別するのに、既成の技術が利用しやすいという利点がある。
【0044】
搬送物IDコードC4の具体例を図8及び図9に示す。尚、図8及び図9は、搬送物IDコードC4の単なる例示であって、搬送物IDコードC4は、特にこれらに限定されるものではない。図8に示す例では、搬送物IDコードC4は、各5桁の数字が上下2段に配列された計10個の数字からなる数字コードで構成されている。数字コードの周囲の4隅には、鉤カッコのマーク26が表示されている。鉤カッコのマーク26は、搬送物IDコードC4が存在する範囲を示すために表示されている。即ち、鉤カッコのマーク26で囲まれるエリア内に、搬送物IDコードC4が存在していることを示している。搬送物IDコードC4が存在する範囲を示すためのマーク26としては、図8に示す鉤カッコのマーク26には限られない。例えば、図9に示すように、マーク26は、外形が矩形状の枠であってもよい。
【0045】
廃棄物回収用コンテナやリサイクル資源回収用コンテナでは、コンテナCの汚れや、コンテナCの表面の突起物、或いは、コンテナCに被せるシート等の影響で、後述するデジタルカメラ12により写真撮影されて得られる画像データには屋外環境によるノイズがのることがある。そのため、一般的に用いられている数字コードの先頭に設けられた開始マーカよりも、上記の搬送物IDコードC4が存在する範囲を示すマーク26の方が、後述する電子画像データの解析では、好結果をもたらす。
【0046】
搬送物IDコードC4の末尾2桁、即ち、下段の列の末尾2桁は、誤検出符号である。誤検出符号は、搬送物IDコードC4を判読する際の誤検出の訂正に用いられる。誤検出の訂正方法としては、特に限定されないが、例えば、サムチェック方式等が挙げられる。このように、開始マーカや誤検出符号を設けることにより、後述する画像解析による搬送物IDコードC4の識別を、より正確に行うことができる。尚、誤検出符号が配置される位置は、搬送物IDコードC4の末尾には限られず、別の位置に配置されていてもよい。
【0047】
尚、図8や図9に示す搬送物IDコードC4は、単なる具体例であって、搬送物IDコードC4は、図8や図9に示すものに限定されない。搬送物IDコードC4は、例えば、8桁の数字が横一列に配列されたものであって、8桁の数字のうち、左側から3桁がユーザ番号、次の4桁がコンテナ番号、最後の1桁が誤検出番号であるものであってもよい。このように、搬送物識別子としての搬送物IDコードC4は、コンテナ番号のみならず、ユーザ番号等の情報を含むものであってもよい。
【0048】
<車載装置4>
次に、通信ネットワーク5に対して情報を送信する、車両側送信装置としての車載装置4の構成について、主として図10を参照しながら説明する。尚、本実施形態では、車両側送信装置としての車載装置4に、後述する車両位置検出手段としてのGPS受信部14と、撮像素子12aを有するデジタルカメラ12とが含まれている例について説明する。しかし、車両側送信装置としての車載装置4と、車両位置検出手段としてのGPS受信部14と、撮像素子12aを有するデジタルカメラ12とは、それぞれ別個に設けられていてもよい。
【0049】
図10に示すように、車載装置4は、CPU(central processing unit)10、時計部(時刻取得手段)11、デジタルカメラ12、無線通信用アダプタ13、GPS(global positioning system)受信部14、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory:電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)17、及び、RAM(random access memory)18を備えている。
【0050】
CPU10は、各種演算処理を行う。CPU10は、例えば、マイクロコンピュータ等によって構成することができる。尚、以下の説明において、車載装置4内で行われる各種データ処理は、特段に記載されたものを除いて、CPU10によって行われる。
【0051】
EEPROM17は、メモリの一種であり、詳細には、利用者が内容を消し,電気信号で新しい内容を書き込める内部スイッチをもつ統合回路メモリーチップである。EEPROM17には、CPU10が演算処理を行うのに必要なOSやアプリケーションプログラム等のソフトウエアが保持されている。RAM18は、記憶部を構成している。RAM18は、各種データ等の記憶に用いられる。また、EEPROM17及びRAM18の少なくとも一方には、車載装置4が搭載されている搬送用車両1の車両番号を示す車両番号データ(車両識別データ)が保持されている。つまり、本実施形態では、EEPROM17及びRAM18の少なくとも一方によって第2の記憶部が構成されている。尚、CPU10、EEPROM17、RAM18、及び、後で詳述する無線通信用アダプタ13は、車両制御手段を構成している。
【0052】
本実施形態では、デジタルカメラ12は、静止画像を撮影するデジタルスチルカメラ(写真撮影手段)である。但し、デジタルカメラ12は、動画の撮影が可能なデジタルビデオカメラであってもよい。デジタルカメラ12は、写真撮影(撮像)を行う撮像素子12aを備えている。本実施形態では、デジタルカメラ12は、搬送用車両1における運転者室の後部に、そのレンズが後部窓を向くように設置されている。このため、デジタルカメラ12によって、搬送用車両1の後部窓を介して運転車室の後方の風景を撮像することができる。但し、デジタルカメラ12の配置は、上記配置に限定されない。例えば、デジタルカメラ12を運転車室の外側後方に配置してもよい。
【0053】
デジタルカメラ12は、CPU10と接続されている。CPU10は、デジタルカメラ12に対して写真撮影指示を出力する。デジタルカメラ12に内蔵された撮像素子12aは、このCPU10からの写真撮影指示を受けて、写真撮影(撮像)を行い、電子画像データを取得し、出力する。コンテナCが搬送用車両1に積載されている場合は、デジタルカメラ12によって撮影される範囲にコンテナCの搬送物IDコードC4が位置している。このため、撮像素子12aは、搬送物識別子としての搬送物IDコードC4を撮像し、搬送物IDコードC4の情報を含む電子画像データを取得して出力する。尚、本実施形態では、デジタルカメラ12には、広角レンズが搭載されており、デジタルカメラ12は、搬送物IDコードC4と搬送用車両1の背景とが同時に撮像される位置に配置されている。
【0054】
車両位置検出手段としてのGPS受信部14は、搬送用車両1の所在位置を検出して車両位置データを取得し、CPU10に対して出力する。
【0055】
荷役装置制御部(操作状態出力手段)15は、荷役装置2に接続されている。荷役装置制御部15は、上述した荷役装置2の動作を制御する装置である。荷役装置制御部15は、荷役装置2が動作している間、荷役装置2のコンテナ操作の種類である、積み込み、降ろし、チルトアップ、及び、チルトダウンのいずれかを示す操作種類信号をCPU10に対して出力する。これにより、CPU10は、荷役装置制御部15が出力する操作種類信号のON時点やOFF時点を把握する。
【0056】
荷役装置操作端末16は、荷役装置制御部15と接続されている。荷役装置操作端末16は、荷役装置2を動作させるための操作端末である。荷役装置操作端末16を操作することにより、荷役装置2を操作することができる。
【0057】
無線通信用アダプタ13は、CPU10と接続されている。無線通信用アダプタ13は、CPU10の指示に基づいて、荷役装置制御部15から出力された操作種類信号に応じた操作種類データ、時計部11から出力される操作日時データなどの日時データ、及びGPS受信部14から出力される車両位置データを、図1に示す無線通信網5aに無線送信する。これにより、管理サーバ8と通信を行う。この無線通信用アダプタ13と管理サーバ8との間の通信は、少なくともコンテナCの操作が行われたときに行われる。具体的に、本実施形態では、無線通信用アダプタ13と管理サーバ8との間の通信は、例えば、1秒〜10分程度の所定間隔毎に行われると共に、コンテナCの操作が行われたときにも行われる。
【0058】
尚、無線通信用アダプタ13は、特に限定されるものではないが、例えば、携帯電話やPHS等を用いる通信用のアダプタ等で構成することができる。
【0059】
<管理サーバ8>
次に、コンテナ管理センタ30に設置された管理サーバ8について、主として図11を参照しながら説明する。
【0060】
図11は、管理サーバ8の構成を示したブロック図である。管理サーバ8は、識別部及びデータ取得部としてのCPU32と、記憶部33と、サーバ側受信部としてのゲートウエイ38を備えている。管理サーバ8には、それぞれCPU32に接続されたキーボード34、マウス35、ディスプレイ36及び出力装置としてのプリンタ37が接続されている。
【0061】
CPU32は、マイクロコンピュータ等で構成されている。CPU32は、管理サーバ8内で行われる各種データ処理全般を行う。以下の説明において、管理サーバ8内で行われる各種データ処理は、特段に記載されたものを除いて、CPU32によって行われる。
【0062】
記憶部33には、CPU32が処理を行うのに必要なOSやアプリケーションプログラム等のソフトウエアが保持されている。ソフトウエアには、後述する電子画像データの解析用のプログラムも含まれている。また、記憶部33は、各種データを記憶するのにも用いられる。記憶部33は、ハードディスクやメモリなどにより構成することができる。記憶部33をハードディスクとメモリとの両方により構成してもよい。
【0063】
キーボード34やマウス35は、コンテナ管理センタ30において、管理サーバ8のユーザが、コンテナ管理を行う際に、CPU32に対して必要な各種入力を行うのに用いられる。ディスプレイ36は、CPU32が処理した結果等を表示するのに用いられる。プリンタ37は、結果等を印刷するのに用いられる。尚、プリンタ37に替えてプロッタなどを配置してもよい。
【0064】
サーバ側受信部としてのゲートウエイ38は、管理サーバ8が、インターネット5bと接続するために備えられている。通信ネットワーク5を介して車両側送信装置としての車載装置4に含まれる無線通信用アダプタ13から無線送信された電子画像データ等の各種データは、ゲートウエイ38により受信される。ゲートウエイ38は、例えば、ルータ等で構成されている。CPU32は、ゲートウエイ38に接続されており、搬送用車両1の車載装置4から無線送信される電子画像データ等の各種データを受信する。また、以下に詳述する通り、CPU32は、電子画像データを解析してコンテナCの識別を行う。さらに、CPU32は、操作日時データなどの日時データ、車両位置データ、操作種類データなどから、識別されたコンテナCに関連する搬送物関連情報や搬送用車両1に関する車両関連情報を取得する。
【0065】
また、ゲートウエイ38は、サーバ側送信部としての機能も有する。具体的には、CPU32は、取得した搬送物関連情報や車両関連情報をゲートウエイ38に対して出力する。ゲートウエイ38は、その搬送物関連情報や車両関連情報を、図1に示すインターネット5bに対して送信する。
【0066】
<端末機9>
図1に示すように、インターネット5bには、複数の端末機9が接続されている。尚、本実施形態の端末機9には、廃棄物を収集及び運搬する収集運搬事業者が使用する収集運搬事業者用端末機と、廃棄物を排出する廃棄物排出事業者が使用する廃棄物排出事業者用端末機とが含まれる。
【0067】
上記ゲートウエイ38から送信された搬送物関連情報や車両関連情報は、インターネット5bを介して各端末機9に送信される。
【0068】
端末機9は、端末機側送受信部9aと、演算部としてのCPU9bと、記憶部9cと、ディスプレイ9dと、出力部9eとを備えている。端末機側送受信部9aは、インターネット5bを介して、管理サーバ8から送信された搬送物関連情報や車両関連情報などを受信する。受信した搬送物関連情報や車両関連情報などはCPU9bに対して出力され、記憶部9cに記憶される。また、CPU9bは、入力された搬送物関連情報や車両関連情報などに対して各種演算処理を行うことができる。各種演算処理後のデータは、記憶部9cに記憶される。尚、図示は省略するが、CPU9bには、キーボードやマウスなどの入力手段及び操作手段が接続されている。端末機9のユーザがこれら入力手段及び操作手段を操作することで、記憶部9cに記憶された各種データをディスプレイ9dに対して表示させることができる。また、出力部9eにより出力することができる。尚、出力部9eは、特に限定されないが、例えば、プリンタやプロッタなどにより構成することができる。
【0069】
<地図>
また、前記管理サーバ8のディスプレイ36又は端末機9のディスプレイ9dには、地図が表示され、その地図上には搬送用車両1やコンテナCがアイコン表示されるようになっている。地図上における搬送用車両1の位置はGPS受信部14から得られた車両位置データから特定される。また、地図上において設置されたコンテナCの位置は、積み降ろし時にGPS受信部14から得られる車両位置データから特定される。また、地図上において搬送用車両1により搬送中のコンテナCの位置は、搬送用車両1と一体移動するものとしてGPS受信部14から得られた車両位置データから特定される。本実施形態の場合、一つの搬送用車両1は一つのコンテナCだけを搬送できるようになっているので、地図上においても、コンテナCの搬送中、一つの搬送用車両1には一つのコンテナCのみが搭載表示される。
【0070】
また、搬送物IDコードを検索することにより、それに対応するコンテナCが地上に設置されているか搬送中かにかかわらず地図上の中央にくるよう、画面表示が切り換わるようになっている。
【0071】
<搬送物管理システム100の動作>
次に、図12などを参照しながら、搬送物管理システム100の動作について説明する。
【0072】
(搬送用車両1側の動作)
図12、図13及び図14に示すように、まず、搬送用車両1において、荷役装置操作端末16が操作されると、荷役装置制御部15により荷役装置2が動いて、積み込み、降ろし、チルトアップ、又はチルトダウンのいずれかのコンテナ操作が行われる。すると、荷役装置2が動作している間、荷役装置制御部15から、荷役装置2のコンテナ操作の種類である、積み込み、降ろし、チルトアップ、及び、チルトダウンのいずれかを示す操作種類信号が、CPU10に対して出力される(ステップS1)。
【0073】
荷役装置制御部15から操作種類信号が出力されると、CPU10は、操作種類信号に対応した操作種類データを作成する(ステップS2)。CPU10は、操作種類信号のON時点における時刻である操作開始時刻を示す操作開始時刻データを、時計部11から取得すると共に、操作種類信号のON時点における搬送用車両1が存在している位置を示す車両位置データを、GPS受信部14から取得する(ステップS3)。
【0074】
CPU10は、EEPROM17又はRAM18に保持されている搬送用車両1の車両番号データ(車両識別データ)と、上記の操作開始時刻データ、車両位置データ、及び操作種類データを合わせて、操作開始報告データを作成する。CPU10は、操作開始報告データを、RAM18に記憶すると共に、無線通信用アダプタ13を介してコンテナ管理センタ30の管理サーバ8へ送信する(ステップS4)。すると、コンテナ管理センタ30では、管理サーバ8のCPU32が、ゲートウエイ38を介して操作開始報告データを受信すると共に(ステップS21)、操作開始報告データを記憶部33に記憶する(ステップS22)。
【0075】
また、CPU10は、操作種類信号がONした後、デジタルカメラ12に対して写真撮影の指示を行うと共に(ステップS5)、写真撮影によりデジタルカメラ12から出力される電子画像データを取得する(ステップS6)。また、CPU10は、デジタルカメラ12の撮影時点における時刻である撮影時刻を示す撮影時刻データ(操作日時データ)を、時計部11から取得すると共に、デジタルカメラ12の撮影時点における搬送用車両1が存在している位置を示す車両位置データを、GPS受信部14から取得する(ステップS6)。そして、車両番号データと、撮影時刻データ、車両位置データ、及び、操作種類データを合わせて、撮影報告データ(履歴データ)を作成する(ステップS7)。
【0076】
CPU10は、撮影報告データを、RAM18に記憶すると共に、無線通信用アダプタ13を介してコンテナ管理センタ30の管理サーバ8へ送信する(ステップS7)。CPU10は、上記の写真撮影の指示(ステップS5)から送信(ステップS7)までの処理を、操作種類信号がONした後OFFするまでの間に、少なくとも1回行う。具体的には、本実施の形態では1回としている。
【0077】
撮影報告データが管理サーバ8へ送信されると(ステップS7)、管理サーバ8のCPU32は、ゲートウエイ38を介して撮影報告データを受信すると共に(ステップS23)、撮影報告データを記憶部33に記憶する(ステップS24)。後述するように、撮影報告データに含まれる電子画像データが管理サーバ8により解析されて、コンテナCの搬送物IDコードC4が識別される。
【0078】
尚、例えば、搬送物IDコードC4にごみや汚れが付着しているなどして、電子画像データの搬送物IDコードC4が鮮明でない場合などもあり得る。そのような場合には、CPU32によってコンテナCの識別が行えない事態も想定し得る。本実施形態では、コンテナCの識別が好適に行われなかった場合は、画像認識エラーとして電子画像データを含む撮影報告データが管理サーバ8の記憶部33に蓄積される。記憶部33に蓄積された画像認識エラーの情報は、端末機9に送信され、端末機9のユーザが、マスタ管理における「画像認識エラー」の項目で確認とその解消処理を行うことができる。
【0079】
図15は、画像認識エラーの解消処理画面の例示である。図15に示すように、電子画像データ(写真)と登録されたコンテナ番号一覧が表示される。このため、端末機9のユーザは、電子画像データ(写真)を目視確認することができる。例えば、図15に示す場合であれば、搬送物IDコードC4のうち、「2」「5」「8」の一部が欠けているため、自動認識ができなかったものの、目視確認によって「1234567890」という数字列を確認することができる。
【0080】
端末機9のユーザが電子画像データ(写真)を目視確認することによって、コンテナCの識別が可能であった場合は、端末機9のユーザは、端末機9の図示しないキーボードやマウスなどの入力手段(搬送物関連情報入力手段)を用いてコンテナ番号などの搬送物関連情報を端末機9に対して入力することができる。例えば、確認できたコンテナ番号をコンテナ番号一覧から選択入力する。入力された搬送物関連情報は、端末機9の端末機側搬送物関連情報送信部としての送受信部9aから、管理サーバ8のゲートウエイ38を介して、データ取得部としてのCPU32に対して送信される。その後、入力された搬送物関連情報は、記憶部33に記憶される。これにより、電子画像データとコンテナ番号を結びつけることができ、画像認識エラーを解消することができる。
【0081】
一般に、ICタグを識別子とする場合でも、これとは別にコンテナCを目視で認識できるように、その表面には例えば数字等の識別番号が付される。この表示が汚れる等して、目視による識別が困難になった場合は、コンテナCに再度識別番号を付す必要が生じる。この場合は、専用の読取装置を使用してICタグに記憶された識別番号を読取り、これに基づいて識別番号が付されることになる。ここで、作業員の勘違い等によってICタグに記憶された識別番号と相違する識別番号がコンテナCの表面に付されてしまうと、当該コンテナCの取扱いが非常に厄介なものなり、コンテナ管理システムの運用に大きな支障を与える結果となる。これに対して、上記の如く識別子を目視で認識可能な識別番号表示として搬送物IDコードC4としておけば、識別番号を再度付する必要が生じても、システムに読み取られる識別番号と現場の作業員が目視で確認する識別番号とが一致しないという事態を適切に回避することができる。
【0082】
尚、管理サーバ8により識別できなったコンテナCが複数あるような場合には、図16に示すように、全ての電子画像データ9fがディスプレイ9d上に並べて表示されるように構成することも可能である。この場合は、予め登録されている搬送物IDコード9gもディスプレイ9dに表示させる。そして、搬送物IDコード9gと電子画像データ9fとの照合し、前記搬送物関連情報入力手段を用いて搬送物IDコード9gなどの搬送物関連情報を端末機9に対して入力する。このように構成すると、一連の作業を効率的に一括処理することができるという利点がある。
【0083】
また、荷役装置制御部15から出力されている操作種類信号がOFFされると(ステップS8)、CPU10は、操作種類信号のOFF時点における時刻である操作終了時刻を示す操作終了時刻データを、時計部11から取得すると共に、操作種類信号のOFF時点における搬送用車両1が存在している位置を示す車両位置データを、GPS受信部14から取得する(ステップS9)。
【0084】
CPU10は、上記の車両番号データと、上記の操作終了時刻データ、車両位置データ及び操作種類データを合わせて、操作終了報告データを作成する(ステップS10)。CPU10は、操作終了報告データを、RAM18に記憶すると共に、無線通信用アダプタ13からコンテナ管理センタ30の管理サーバ8へ送信する(ステップS10)。
【0085】
CPU10は、搬送用車両1の車両運行が終了していない限り(ステップS11)、ステップS1に戻って、上記の処理(ステップS1〜ステップS11)が繰り返される。搬送用車両1の車両運行が終了すると(ステップS11)、車載装置4は、処理を終了する。操作終了時刻データがコンテナ管理センタへ送信されると(ステップS7)、管理サーバ8のCPU32は、ゲートウエイ38を介して操作終了報告データを受信すると共に(ステップS25)、操作終了報告データを記憶部33に記憶する(ステップS26)。
【0086】
また、本実施形態では、1秒〜10分程度の所定の期間毎にも、デジタルカメラ12により写真撮影が行われ、電子写真データが取得される。そして、取得された電子画像データと、車両番号データ(車両識別データ)と、車両位置データとが相互に関連づけられて、無線通信用アダプタ13から無線通信網5aに対して無線送信される。無線送信されたデータは、インターネット5bを介して、管理サーバ8に送信される。管理サーバ8のCPU32において、相互に関連づけられた車両番号データ(車両識別データ)と、車両位置データとから搬送用車両1の位置情報が取得される。そして、搬送用車両1の位置情報と、その搬送用車両1の位置情報の取得に供した車両位置データが取得された時の車両位置データ取得時刻と、相互に関連づけられた車両番号データ(車両識別データ)と、車両位置データとが、管理サーバ8の記憶部33に記憶される。また、管理サーバ8に送信されたデータは、車載装置4のRAM18にも、管理サーバ8への送信と同時に記憶される。
【0087】
尚、本明細書において、「車両位置データ」とは、GPS受信部14が検出した位置に関する情報そのものをいう。それに対して、「搬送用車両の位置情報」とは、車両識別データ(車両番号データ)と、車両位置データと、GPS受信部14によってその車両位置データが検出された時刻とから算出されるものであって、ある車両識別データを有する搬送用車両1が、どのような時刻にどのような位置に存在したか(存在しているか)を示す情報である。
【0088】
(管理サーバ8側の動作)
一方、管理サーバ8では、図13及び図14に示すように、CPU10は、車載装置4から送信され、記憶部33に記憶されている、操作開始報告データ、撮影報告データ、及び、操作終了報告データを用いて、次の処理を行う。例えば、CPU10は、15秒毎にGPS受信部14から車両位置情報を取得し、それを管理サーバ8の記憶部33に溜め込むようにしている。溜め込まれた車両位置情報は、端末機9に送信され、ディスプレイ9dの地図上にまとめてプロットすることにより車両走行軌跡としての表示が可能となっている。
【0089】
まず、操作開始報告データに含まれている操作開始時刻と、操作終了報告データに含まれている操作終了時刻とを比較し、操作開始時刻と操作終了時刻との差が所定時間より短いか否かをチェックする(ステップS27)。ステップS27における「所定時間」は、記憶部33に予め記憶されている。操作開始時刻と操作終了時刻との差が所定時間より短い場合は(ステップS28)、操作開始時刻から操作終了時刻までの間に撮影された画像の電子画像データを含む撮影報告データ、即ち、ステップS24で記憶された撮影報告データを、全て無効とする(ステップS29)。操作開始時刻と操作終了時刻との差が所定時間以上である場合は(ステップS28)、操作開始時刻から操作終了時刻までの間に撮影された画像の電子画像データを含む撮影報告データは、無効とはされない(ステップS28)。
【0090】
このようにするのは、次の理由による。一般に、荷役装置2では、搬送用車両1の運転手等が荷役装置操作端末16を操作することで荷役装置2の各操作が行われる。この各操作の正確さを期すために、通常、短い期間の操作が繰り返されて微調整されることが多い。そのため、これらの微調整のための短い時間の操作による荷役装置2の各動作を除いて、主たる動作のみを把握しなければ、積み込みや降ろしを正確に捉えることが困難となる。従って、所定時間よりも短い荷役装置2の操作は、荷役装置2の正規の操作とみなさないようにする必要がある。そこで、操作開始時刻と操作終了時刻との差が所定時間より短い場合は、操作開始時刻から操作終了時刻までの間の荷役装置2の動作は、荷役装置2の正規の操作とみなさず、間の撮影報告データを、全て無効とするのが好ましい。そうすることによって、コンテナ装着積載手段の正規の操作における操作種類を正確に把握することができる。
【0091】
次に、ステップS24で記憶された撮影報告データで無効でないものが存在するか否かをチェックする(ステップS30)。ステップS30において、撮影報告データで無効でないものが存在すると判断されれば(ステップS31)、CPU32は、無効でないと判断された撮影報告データに含まれる電子画像データを解析して、電子画像データに含まれる搬送用車両1に積載されているコンテナCの搬送物IDコードC4を識別する(ステップS32)。そして、CPU32は、識別された搬送物IDコードC4に基づいてコンテナ識別を行う。尚、電子画像データの解析には、管理サーバ8の記憶部33に保持されているソフトウエアに含まれる電子画像データの解析用のプログラムが用いられる。この解析用のプログラムは、特に限定されることなく、一般的な解析用プログラム(例えば、OCR(optical character reader)プログラム)を用いることができる。
【0092】
電子画像データから搬送物IDコードC4が識別されると(ステップS32)、CPU32は、搬送物IDコードC4と、搬送物IDコードC4が識別された電子画像データが含まれている撮影報告データに含まれている車両番号データ、撮影時刻データ、車両位置データ、搬送用車両1の位置情報、及び、操作種類データとを用いて、搬送用車両1のコンテナ運搬履歴データ(=搬送物関連情報(コンテナCに関連するデータの総称)+車両関連情報(搬送用車両1に関連するデータの総称))を作成する(ステップS33)。CPU32は、コンテナ管理センタ30における業務が終了していない限り(ステップS34)、ステップS21に戻って、上記の処理を繰り返す。コンテナ管理センタ30の業務が終了すると、管理サーバ8は、処理を終了する(ステップS34)。
【0093】
(管理サーバ8から各端末機9へのデータ送信)
上記のように、管理サーバによって、コンテナCの識別及び搬送物関連情報や車両関連情報などを含むコンテナ運搬履歴データ等の各種データの収集が行われ、各種データが記憶部33に記憶される。記憶部33に記憶された各種データは、インターネット5bを介して端末機9に供給される。
【0094】
具体的に、記憶部33に記憶された各種データは、随時又は必要に応じてゲートウエイ38からインターネット5bに送信される。インターネット5bに送信された各種情報は、端末機9の受信部(例えば、ゲートウエイ)9aによって受信される。端末機側送受信部9aによって受信された各種情報は、CPU9bに送信された後、記憶部9cに送信され、記憶部9cにおいて記憶される。
【0095】
(端末機9における処理)
メモリ等の記憶部9cに記憶された各種情報(搬送物関連情報や車両関連情報を含む)は、端末機9のユーザが図示しないキーボードやマウスなどの入力手段や操作手段を操作することで、ディスプレイ9dに表示される。具体的には、端末機9のユーザが、キーボードやマウス等の入力手段に対して各種データを表示させる操作を行うと、CPU9bは、送受信部9aを介して、管理サーバ8に対して、表示させようとする各種データの送信を要求する。すると、管理サーバ8のCPU32は、その表示させようとする各種データを記憶部33から読み出し、ゲートウエイ38を介して端末機9に対して送信する。送信されたデータは、CPU9bを経由して、記憶部9cに一旦記憶される。その後、記憶部9cに記憶されたデータが、CPU9bによって再度読み出され、ディスプレイ9dに表示される。
【0096】
ここで、ユーザが表示させようとする情報が、記憶部9cに記憶されている情報自体である場合は、CPU9bは、その情報を記憶部9cから読み出し、そのままディスプレイ9dに表示させる。一方、ユーザが表示させようとする情報が、記憶部9cに記憶されている情報自体でない場合は、CPU9bは、ユーザが表示させようとしている情報を取得するために必要なデータを記憶部9cから読み出し、そのデータを演算処理することによりユーザが表示させようとしている情報を取得する。その後、CPU9bは、演算処理により得られた情報をディスプレイ9dに表示させる。尚、演算処理により得られたデータは記憶部9cに記憶され、蓄積される。具体的に、演算処理により得られた搬送物関連情報等のデータは、操作日時データ、車両位置データ及び操作種類データ等の演算処理前のデータと相互に関連づけて記憶され、蓄積される。
【0097】
また、各端末機9には、プリンタやプロッタ等により構成される出力部9eが設けられている。このため、ディスプレイ9dに表示された各データは、出力部9eより出力可能となっている。具体的には、プリント可能となっている。
【0098】
本実施形態に係る搬送物管理システム100では、管理サーバ8又は端末機9を使用して、管理サーバ8又は端末機9のユーザによりコンテナ管理が行われる。具体的には、管理サーバ8又は端末機9のユーザは、記憶部9c又は33に記憶されたコンテナ運搬履歴データなどの各種データを記憶部9c又は33から読み出し、ディスプレイ9d又は36に表示させることにより行う。尚、以下の説明では、端末機9のユーザがコンテナ管理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0099】
(ディスプレイ9dの表示並びに端末機9又は管理サーバ8におけるデータ処理)
次に、ディスプレイ9dの表示物並びにその表示物をディスプレイ9dに表示させるための端末機9又は管理サーバ8におけるデータ処理について、図17等を参照しながら詳細に説明する。
【0100】
図17は、ディスプレイ9dに表示されるコンテナ運搬履歴データ表の一例を示したものである。図17のコンテナ運搬履歴データ表は、記憶部33に記憶されたコンテナ運搬履歴データの一部が表示されたものである。具体的に、図17のコンテナ運搬履歴データ表は、日付:D1における搬送物IDコードC4:#001、#002、#003及び#004の4個のコンテナに関するコンテナ運搬履歴データの一部が表示されている。具体的に、図17に示すコンテナ運搬履歴データ表には、撮影時刻データである「日時」、搬送物IDコードC4である「コンテナID」、車両位置データである「車両位置」、車両番号データ(車両識別データ)である「車両番号」、及び、操作種類データである「操作種類」が表示されている。
【0101】
コンテナ運搬履歴データ表中の「日時」は、記憶部33に記憶された撮影日時データに基づいて表示される。具体的には、搬送用車両1において「操作種類」の欄に表示された操作が行われたときに送信された撮影日時データに基づいて表示される。「操作種類」は、その撮影日時データと共に送信され、記憶部33に記憶されている操作種類データに基づいて表示される。「コンテナID」は、撮影日時データと共に送信され、記憶部33に記憶された電子画像データから解析された搬送物IDコードに基づいて表示される。「車両番号」は、撮影日時データと共に送信され、記憶部33に記憶されている車両番号データ(車両識別データ)に基づいて表示される。
【0102】
図17に示されたコンテナ運搬履歴データ表より、
車両番号「あ11−11」の搬送用車両1は、
・時刻T1に、車両位置P01でコンテナID#001のコンテナCを積み込んだこと、
・時刻T2に、車両位置P01とは異なる車両位置P11において、コンテナID#001のコンテナCを降ろしたこと、
・時刻T3に、コンテナID#001のコンテナCを降ろしたのと同じ車両位置P11で、コンテナID#002のコンテナCを積み込んだこと、
・時刻T4に、コンテナID#002のコンテナCを、積み込んだ場所(車両位置P11)と異なる車両位置P21でチルトアップしてコンテナID#002のコンテナCの積載物を排出したこと、
・時刻T5に、コンテナID#002のコンテナCをチルトダウンしたこと、
・時刻T6に、コンテナID#002のコンテナCを積み込んだ場所(車両位置P11)及びチルトアップした場所(車両位置P21)と異なる車両位置P02で降ろしたこと、
・車両位置P02から車両位置P12へ移動し、車両位置P12で、時刻T7に、コンテナID#003のコンテナCを積み込んだこと、
・時刻T8に、コンテナID#003のコンテナCを積み込んだ場所(車両位置P12)とは異なる車両位置P22でチルトアップしてコンテナID#003のコンテナCの積載物を排出したこと、
・時刻T9にコンテナID#003のコンテナCをチルトダウンしたこと、
・時刻T10に積み込んだ場所と同じ車両位置P12において、コンテナID#003のコンテナCを降ろしたこと、
・車両位置P12から車両位置P13へ移動し、車両位置P13で、時刻T11に、コンテナID#004のコンテナCを積み込んだこと、
・時刻T12に、コンテナID#004のコンテナCを積み込んだ場所(車両位置P13)とは異なる車両位置P31において、チルトアップしてコンテナID#004のコンテナCの積載物を排出したこと、
・時刻T13にコンテナID#004のコンテナCをチルトダウンしたこと、
・時刻T14に、積み込んだ場所と同じ車両位置P13において、コンテナID#004のコンテナCを降ろしたこと、
がユーザにより認識される。
【0103】
尚、例えば図18(a)に示すように、X地点(図19におけるP15)で一のコンテナC1(図19における#007)が搬送用車両1に積み込まれた後、同図(b)のようにY地点(図19におけるP20)に搬送されて一のコンテナC1(#007)が積み降ろされると共に、同図(c)のように次のコンテナC2(図19における#008)が積み込まれ、同図(d)のように他のZ地点(図19におけるP09)に搬送されて、そこで積み降ろされるという一連の搬送工程において、同図(b)に示す、一のコンテナC1(#007)の積み降ろし関するコンテナ番号を管理サーバ8のCPU32が全く識別できず、同図(c)及び(d)のように前記搬送用車両1に他のコンテナC2(#008)が積み込まれ、搬送されてしまうような場合も生じ得る。
【0104】
この場合、前記一のコンテナC1(#007)の積み降ろし操作についての搬送種類データが存在しないために、一のコンテナC1(#007)の所在が不明となってしまう。具体的に説明すると、管理サーバ8のディスプレイ36又は端末機9のディスプレイ9dの地図上には、コンテナCの搬送中、一つの搬送用車両1に一つのコンテナCのみが搭載表示されるようになっているので、一のコンテナC1(#007)が搬送用車両1に積み込まれた後にさらに他のコンテナC2(#008)が積み込まれたと管理システムが判断すると、地図上では最新の情報が優先されてコンテナC2(#008)のみが表示されることになる。この状態では、一のコンテナC1の搬送物IDコード(#007)を検索しても、一のコンテナC1が現れず一のコンテナC1の所在が不明となってしまうのである。このように、搬送物関連情報について一のコンテナC1(#007)の積み込み操作と、その後の次のコンテナC2(#008)の積み込み操作との間に、積み降ろし操作が存在しない場合は、次のように識別エラー解消処理が行われる。
【0105】
即ち、管理サーバ8または端末機9を操作してマスタ管理における「行方不明コンテナ」の項目に入ると、一の積み込み操作の際に認識した一のコンテナC1(#007)が所謂行方不明コンテナCであるとする警告表示と共に、一のコンテナC1(#007)の積み込み操作を行った搬送用車両1についてのコンテナ運搬履歴がディスプレイ9dに表示される。ここで、本実施形態の警告表示は、一のコンテナC1(#007)の積み込み操作時の情報を赤文字で表示するようにしている。かかる表示に基づいて、ユーザは端末機9の搬送物関連情報入力手段を用いて、漏れていた前記一のコンテナC1(#007)の積み降ろしに関する情報を入力する。より具体的には、搬送用車両1の搬送車両の位置情報やスケジュール等から一のコンテナC1(#007)がどの場所で積み降ろされたのか人が判断し、一のコンテナC1(#007)が搬送用車両1に積み込まれた日時とコンテナC2(#008)が搬送用車両1に積み込まれた日時との間の日時を指定して、積み降ろし場所を入力する。このようにして修正された搬送物関連情報は、上記した場合と同様に管理サーバ8の記憶部33で記憶されることになる。これにより、行方不明となってしまった一のコンテナC1(#007)に関する情報を適切に取得して端末機9のディスプレイ9dに表示させ、その搬送物関連情報を正確なものに修正して識別エラーを解消できる。これにより、一のコンテナC1の搬送物IDコード(#007)を検索すると地図上の所定の場所に一のコンテナC1が設置されているのを確認することができる。その結果、一層コンテナCの管理を確実なものとすることができる。かかる一連の操作は、上述の如く識別できなかったコンテナC1(#007)について、図15の画像認識エラーの解消処理後に行うのが好ましい。
【0106】
尚、本発明に係る管理システムが適用可能な搬送物は、決して上記実施形態のような廃棄物搬送用のコンテナCに限定されるものではなく、例えばトレーラ、物流関係車両で搬送される荷物、部品その他の部材が収納されて倉庫等に保管されるパレット等にも幅広く適用可能である。かかるパレットは、例えば搬送用車両としてフォークリフト等により搬送される。
【0107】
また、上記実施形態においては、所謂行方不明コンテナCの識別エラーについて、人が積み降ろし場所を判断し解消処理を行うようにしたが、この積み降ろし場所を搬送用車両1の搬送車両の走行軌跡やスケジュール等から管理システムが自動で判断する実施形態としてもよい。
【0108】
さらに、上記実施形態においては、コンテナC等の搬送物の識別子を撮像可能なデジタルカメラ12を識別データ取得手段としているが、本発明はこれに限られるものではなく、その他の識別データ取得手段を採用しても構わない。従って、管理サーバ8には、必ずしも前記デジタルカメラ12による電子画像データを解析して前記搬送物を識別する識別部を備えさせる必要はない。
【0109】
また、搬送物関連情報を表示可能なディスプレイ36、9dや搬送物関連情報入力手段は、上記実施形態のように必ずしも管理サーバ8及び端末機9に備えさせなくてもよく、その他の機器に備えさせても構わない。
【符号の説明】
【0110】
1 搬送用車両
5 通信ネットワーク
8 管理サーバ
9 端末機
9d ディスプレイ
36 ディスプレイ
C 搬送物(コンテナ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを用いて搬送用車両に脱着操作される搬送物を管理するシステムであって、
前記搬送物に設けられる識別子と、
前記搬送用車両に設けられ、該搬送用車両の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置取得手段と、
前記搬送用車両に設けられ、前記搬送物の識別子から識別データを取得する識別データ取得手段と、
前記搬送用車両に設けられ、少なくとも前記搬送物の脱着操作が行われたときに、該搬送物の操作種類を示す操作種類データと、その操作がなされた日時に関する操作日時データと、前記車両位置データと、前記識別データとを前記通信ネットワークに無線送信する車両側送信装置と、
該車両側送信装置から前記通信ネットワークを介して無線送信されたデータを受信するサーバ側受信部と、前記識別データと操作日時データと車両位置データと操作種類データとに基づいて、搬送物に関連する情報である搬送物関連情報を取得するデータ取得部とを有する管理サーバと、
前記データ取得部により取得された搬送物関連情報を表示可能なディスプレイと、を備え、
前記管理サーバは、搬送物の装着操作と次の装着操作との間に離脱操作を有しない操作種類データが存在する場合に、前記先の装着操作に関する前記搬送物関連情報を前記ディスプレイに表示させるように構成してなることを特徴とする搬送物管理システム。
【請求項2】
前記識別データ取得手段は、前記搬送物の識別子を撮像して前記識別データとしての電子画像データを取得する撮像素子を備え、
前記管理サーバは、前記電子画像データを解析して前記搬送物の識別を行う識別部を備えている請求項1記載の搬送物管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバには、前記ディスプレイと前記搬送物関連情報を入力する搬送物関連情報入力手段が設けられた請求項1又は2記載の搬送物管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記データ取得部により取得された搬送物関連情報を通信ネットワークに対して送信するサーバ側送信部をさらに有し、
前記ネットワークを介して前記搬送物関連情報を受信する端末機側受信部と、前記端末機側受信部により受信された搬送物関連情報を表示するディスプレイと、前記搬送物関連情報を入力する搬送物関連情報入力手段とが設けられた端末機をさらに備えた請求項1〜3の何れか一つに記載の搬送物管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−20792(P2011−20792A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167125(P2009−167125)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(505443816)株式会社日本環境プロジェクト (8)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【出願人】(597097618)新明和ソフトテクノロジ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】