説明

搬送箱および取手着脱方法

【課題】搬送箱の施錠忘れを防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減する。
【解決手段】開口部を有し、搬送物を収納可能な収納部24と、収納部24の開口部を閉じる蓋部23と、蓋部23に着脱可能に設けられるリジェクト付取手部21と、を備え、蓋部23は、第1方向に移動可能なロックボルトと、リジェクト付取手部21が収容される取付穴68と、を備え、収納部24は、第1方向に移動したロックボルトが貫通する貫通孔を備え、リジェクト付取手部21は、ロックボルトが第1方向に移動することにより蓋部23の内部に形成される挿入孔26に挿入されるラチェット部と、を備え、ロックボルトは、貫通孔に貫通することで、搬送箱を施錠し、リジェクト付取手部21は、取付穴68に収容され、搬送箱が施錠された場合に、ラチェット部が挿入孔26に挿入されることで、蓋部23に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される現金や貴重品などの搬送物を収納する搬送箱および取手着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現金や貴重品などの搬送物を収納し、人為的に搬送可能な大きさで、かつ搬送用ハンドルを備えた搬送箱を搬送する場合、まず、発送者(依頼者)が搬送箱に搬送物を収納した後、搬送箱を施錠する。次に、その搬送箱を搬送者へ引渡すと、搬送者が搬送箱を搬送(警送)して受取人に引き渡す。そして、受取人が搬送箱を解錠して、収納されている搬送物を取り出すことになる。
【0003】
このような搬送業務において、従来は、搬送箱の施解錠が可能な鍵などを利用して搬送箱を施錠し、搬送箱に装着されたハンドルを把持して搬送を行なっていた。しかし、このような鍵は搬送箱の施錠および解錠の両動作が行なえるため、搬送物が搬送先に到着するまでの間でも搬送箱の解錠が可能であり、発送者にとっては不正な解錠が行われるというリスクが存在していた。
【0004】
そこで、輸送に関する一連の処理を一元管理する搬送管理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の搬送管理方法では、貴重品箱(搬送箱)の搬送作業の着手、施錠、輸送車両に積載して運搬、貴重品箱を降ろす作業、解錠といった輸送作業に関する処理を、移動体通信網を介して接続された輸送管理サーバにより管理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4088642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、施錠信号の受信の有無によって搬送箱が施錠された否かを輸送管理サーバにおいて確認することが可能な構成となっているが、実際に施錠を失念し、施錠されていない搬送箱を運送車両などに搭載して搬送してしまうという危険性が残っていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送箱を施錠した後に、搬送者が搬送時に把持する取手部が装着可能な構成とすることで、搬送箱の施錠忘れを防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減することを目的とする搬送箱および取手着脱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送物を収納して搬送する搬送箱において、開口部を有し、搬送物を収納可能な収納部と、前記収納部の前記開口部を閉じる蓋部と、前記蓋部に着脱可能に設けられる取手部と、を備え、前記蓋部は、第1方向に移動可能な可動部材と、前記取手部が収容される取手取付部と、を備え、前記収納部は、前記第1方向に移動した前記可動部材が貫通する貫通孔を備え、前記取手部は、前記可動部材が前記第1方向に移動することにより前記蓋部の内部に形成される孔部に挿入される突起部と、を備え、前記可動部材は、前記貫通孔に貫通することで、前記搬送箱を施錠し、前記取手部は、前記取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、前記突起部が前記孔部に挿入されることで、前記蓋部に装着されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上面が開放され、開口部を有し、搬送物を収納可能な収納部と、前記収納部の前記開口部を閉じる蓋部と、前記蓋部に着脱可能に設けられる取手部とを備え、搬送物を収納して搬送する搬送箱において前記取手部を装着または取り外す取手着脱方法において、前記蓋部に備えられた第1方向に移動可能な可動部材が、前記収納部に備えられた貫通孔に貫通することで、前記搬送箱を施錠する施錠工程と、前記蓋部に備えられた取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、前記取手部に備えられた突起部が、前記可動部材が前記第1方向に移動することにより前記蓋部の内部に形成される孔部に挿入されることで、前記取手部が前記蓋部に装着される装着工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送箱の施錠忘れを防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる搬送箱の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の収納部におけるA−A断面図である。
【図3】図3は、リジェクト付取手部の詳細を示す説明図である。
【図4】図4は、リジェクト付取手部の一部の拡大図である。
【図5】図5は、取手セキュリティ部の構成を示す図である。
【図6】図6は、蓋部の内部構成を示す図である。
【図7】図7は、解錠部の詳細を示す説明図である。
【図8】図8は、搬送箱が搬送車両に積み込まれている状態を示す図である。
【図9】図9は、固定部材の詳細を示す説明図である。
【図10】図10は、ハンドル部の構成を示す図である。
【図11】図11は、搬送箱を示す図である。
【図12】図12は、解錠部の詳細を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる搬送箱および取手着脱方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態の搬送箱は、現金や貴重品などを収納し、車等の搬送車両に載置して目的地まで搬送されるものである。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる搬送箱の構成を示す斜視図である。図1に示すように、搬送箱は、収納部24と、蓋部23と、ハンドル部67と、解錠専用鍵65(図7参照)とにより構成されている。
【0014】
収納部24は、上面に開口部を有し、搬送物を収納可能な箱である。図2は、図1の収納部におけるA−A断面図である。図2に示すように、収納部24における側面の底部には、鋭角に形成されたエッジ25が設けられている。従って、収納部24を底部から持って搬送箱を搬送しようとした場合、このエッジ25が手に食い込み搬送箱を持つことが困難となっており、不正に搬送箱を搬送されることを防止している。なお、ここでは、収納部24における側面の底部にエッジ25を設けたが、底部を摺動すると赤インクが吐出するなどの構成としてもよい。
【0015】
蓋部23は、収納部24の開放された上面の開口部を閉じて蓋をするものであり、解錠部10と、表示部20が設けられている。蓋部23は、上面における中央部付近に、ハンドル部67のリジェクト付取手部21が収容される取付穴68が形成されており、詳細は後述するが、搬送箱が施錠されている場合には、取付穴68の側面に挿入孔26が形成される。また、表示部20は、搬送箱が施錠された場合に、その旨を示す封緘確認情報を表示する。例えば、搬送箱が施錠された場合は緑色が表示され、施錠されていない場合は赤色が表示される等である。また、解錠部10は、搬送箱を解錠するものであり詳細は後述する。
【0016】
ハンドル部67は、蓋部23の上面に形成された取付穴68に収容され、蓋部23に着脱可能に設けられるリジェクト付取手部21と、搬送者のベルト101に装着される取手セキュリティ部22と、リジェクト付取手部21と取手セキュリティ部22とを接続するセキュリティロープ19とにより構成されている。本実施の形態では、取手セキュリティ部22が搬送者のベルト101に装着されているが、これに限定されることなく、ベルト以外の衣服または身体に装着する構成としてもよい。
【0017】
リジェクト付取手部21は、搬送箱を搬送する際に取付穴68に嵌入されて装着されるものである。図3は、リジェクト付取手部の詳細を示す説明図である。図4は、リジェクト付取手部の一部の拡大図である。図3、4に示すように、リジェクト付取手部21は、取手外装1、板バネ2、および取手内装3とで構成される把持部14と、ピニオンギア5と、可動型ピニオンギア6と、ラチェット部27が接続されたリジェクト型ラック部7と、引き寄せバネ9と、ギアリリースバネ13と、ギアリリースレバー11(11a、11b)と、ギアスライダー12とを主に備えている。
【0018】
把持部14は、搬送者が搬送箱を搬送する際に把持する持ち手部分であり、取手外装1と取手内装3とが板バネ2を介して接続されており、取手外装1の溝に外れ防止ピン4が貫通している。また、把持部14における取手内装3の側面には、ラック機構8が形成されており、ラック機構8はピニオンギア5と係合している。そして、搬送者が把持部14を把持することにより、取手内装3が板バネ2の付勢力に対向してA方向に移動する。
【0019】
ピニオンギア5は、ラック機構8に係合され、可動型ピニオンギア6の移動により可動型ピニオンギア6と係合され、または係合を解除される歯車である。ピニオンギア5は、搬送者等に把持部14が把持された場合、取手内装3のA方向の移動に伴って、B方向に回転する。
【0020】
可動型ピニオンギア6は、リジェクト型ラック部7に係合された歯車であり、図4に示すように、ギアスライダー12を挟み、略円形状の端面の中心付近で、ギアリリースレバー11(11a、11b)に接続されている。このギアリリースレバー11は、セキュリティロープ19に接続されており(図5参照)、セキュリティロープ19が引っ張られると、E方向に引っ張られることになり、その結果、可動型ピニオンギア6は、F方向(内側方向)に移動し、ピニオンギア5に係合する。また、可動型ピニオンギア6は、引き寄せバネ9およびギアリリースバネ13によってもF方向に付勢されている。また、可動型ピニオンギア6は、ピニオンギア5に係合している場合に、ピニオンギア5のB方向の回転に伴って、C方向に回転する。
【0021】
リジェクト型ラック部7は、外側の端部にラチェット部27が接続されており、上面にラック機構が設けられ、可動型ピニオンギア6が係合している。そして、リジェクト型ラック部7は、可動型ピニオンギア6がピニオンギア5と係合している場合、可動型ピニオンギア6のC方向の回転に伴って、D方向(外側方向)に移動する。また、リジェクト型ラック部7は、可動型ピニオンギア6がピニオンギア5との係合を解除している場合、可動型ピニオンギア6のF方向の移動に伴って、D方向と反対方向(内側方向)に移動する。
【0022】
取手セキュリティ部22は、搬送者のベルト101に装着されるものであり、取手部への操作が可能となっている。図5は、取手セキュリティ部の構成を示す図である。図5に示すように、取手セキュリティ部22は、ロープテンション29と、リリース用ボタン15を設けたロープロック部16とを備えている。
【0023】
ロープテンション29は、リジェクト付取手部21を蓋部23に装着する場合に、搬送者によりG方向に押圧される(引っ張られる)部材である。このロープテンション29がG方向に引っ張られると、セキュリティロープ19がH方向に引っ張られて、セキュリティロープ19の内部に設けられているロックリリースワイヤ18に接続されたギアリリースレバー11がE方向に引っ張られ、上述したように、可動型ピニオンギア6がピニオンギア5に係合する。
【0024】
ロープロック部16は、リジェクト付取手部21を蓋部23から取り外す場合に、下部に設けられたリリース用ボタン15を搬送者により押下される部材である。ロープロック部16は、通常バネ28によりロープテンション29側に付勢され、ロープテンション29のG方向と反対方向への移動を阻止している。ロープロック部16は、搬送者によりリリース用ボタン15が押下されると、ロープテンション29側への付勢に対向して移動し、ロープテンション29の移動の阻止を解除する。従って、セキュリティロープ19の引張が解除され、ロックリリースワイヤ18に接続されたギアリリースレバー11の引っ張りが解除され、可動型ピニオンギア6とピニオンギア5との係合が解除される。
【0025】
セキュリティロープ19は、内部にロックリリースワイヤ18が設けられており、一方の端部がリジェクト付取手部21のギアリリースレバー11に接続され、他方の端部が取手セキュリティ部22のロープテンション29に接続されることで、リジェクト付取手部21と取手セキュリティ部22とを接続している。これにより、搬送箱を搬送者から引き離すことができず、搬送箱が奪われるのを阻止することができる。
【0026】
また、図5に示すように、リジェクト付取手部21側では、ロックリリースワイヤ18がカットオフ機構30により接続されており、さらにローラ17を介してギアリリースレバー11が接続されている。このカットオフ機構30とは、セキュリティロープ19が切断された場合に外れることで、ロックリリースワイヤ18がギアリリースレバー11から切り離される機構であり、再度ロックリリースワイヤ18がギアリリースレバー11と接続することができない構成となっている。
【0027】
次に、蓋部23について説明する。図6は、蓋部の内部構成を示す図である。図6に示すように、収納部24の施錠固定部50の上部には、ロックボルト55が貫通するロックボルト貫通孔51と、蓋閉じ完了ボス52と、ハンドル取付検出レバー60とが設けられている。また、蓋部23には、ロックボルト55と、蓋閉じ完了シャッター54と、解錠部10とが主に備えられている。
【0028】
ロックボルト55は、I方向、およびI方向と反対方向に移動可能なボルトであり、解錠部10の近傍にラック機構57が設けられている。また、ロックボルト貫通孔51は、I方向に移動したロックボルト55が貫通する孔部である。そして、ロックボルト55がロックボルト貫通孔51に貫通することで、搬送箱が施錠され、ロックボルト55がロックボルト貫通孔51から引き抜かれることで、搬送箱が解錠される。また、ロックボルト55がI方向に移動することにより、蓋部23の内部に挿入孔26が形成され、この挿入孔26には、蓋部23にリジェクト付取手部21が装着される際、リジェクト型ラック部7のラチェット部27が挿入される。
【0029】
蓋閉じ完了シャッター54は、通常はバネ56によりJ方向に付勢されているが、蓋部23により収納部24の上面の開口部が閉じられ、ロックボルト55がロックボルト貫通孔51に貫通可能な位置にくるまで蓋部23が押し込まれると、蓋閉じ完了ボス52が蓋部23の内部に挿入され、蓋閉じ完了シャッター54を押し上げる。その押し上げにより、ロックボルト55の溝にはめ込まれていた蓋閉じ完了シャッター54のブレード部がロックボルト55の溝から外されて、ロックボルト55はI方向またはI方向と反対方向に移動可能となる。
【0030】
また、ハンドル取付検出レバー60は、バネ61によりK方向に付勢されているが、リジェクト付取手部21が取付穴68に収容され、ラチェット部27が挿入孔26に挿入可能な位置まで押し込まれると、K方向と反対方向に押し下げられる。そして、ハンドル取付検出レバー60の取手挿入完了ボス53がロックボルト55の溝から外されて、ロックボルト55はI方向またはI方向と反対方向に移動可能となる。
【0031】
解錠部10は、搬送箱を解錠するものである。図7は、解錠部の詳細を示す説明図である。図7に示すように、解錠部10は、鍵挿入部62と、ラチェット付回転部63と、鍵ピニオンギア64とを備えている。
【0032】
鍵挿入部62は、搬送箱の受領者が所持する解錠専用鍵65が挿入され、L方向に押圧して回転される。
【0033】
ラチェット付回転部63は、ラチェット機構によって作成されており、鍵挿入部62のL方向の回転に連動してL方向に回転する。また、ラチェット付回転部63は、L方向のみに回転可能となっている。
【0034】
鍵ピニオンギア64は、ロックボルト55のラック機構57に係合して設けられており、ラチェット付回転部63のL方向の回転に連動してL方向に回転可能となっている。そして、鍵ピニオンギア64がL方向に回転することにより、ラック機構57を介してロックボルト55がI方向と反対方向に移動し、搬送箱を解錠することができる。
【0035】
なお、上述したように、搬送箱の施錠は、ロックボルト55の移動のみで行なわれるが、この場合においては、ラチェット付回転部63が空転動作を行ってロックボルト55の移動は妨げない構成となっている。
【0036】
次に、搬送箱を車等の搬送車両により搬送される場合について説明する。図8は、搬送箱が搬送車両に積み込まれている状態を示す図である。図8に示すように、搬送車両201は、内部に搬送箱を載置する搬送箱ラック202が設けられており、搬送車両の天井付近には、フック206が固定されている。このフック206には、ロープ208を介して固定部材207が接続されている。
【0037】
ここで、固定部材207について説明する。図9は、固定部材の詳細を示す説明図である。図9に示すように、固定部材207は、ロック開放ボタン212と、ラチェット部211が設けられており、ロープ208に接続されている。固定部材207は、搬送箱を搬送車両で搬送する際に、搬送者が搬送箱の取付穴68からハンドル部67のリジェクト付取手部21を取り外し、その取付穴68に収容される。固定部材207は、ラチェット部211が、挿入孔26(図6参照)に挿入されることで取付穴68に嵌入されて装着され、ロック開放ボタン212が押下されると挿入孔26からラチェット部211が抜き出され、取付穴68から取り外すことができる。
【0038】
この固定部材207には把持が可能な取手部分が設けられていないため、固定部材207を取付穴68に収容した場合、搬送箱を持ち上げられず、搬送箱を搬送することができない。従って、搬送車両に載置された搬送箱を持ち去られる危険性を回避することができる。
【0039】
次に、搬送箱を利用した搬送物の搬送作業の流れを説明する。まず、搬送箱は、解錠状態で保管されている。搬送者(搬送箱の搬送を実行する者)は、警備管理者(警備作業の管理を行なう者)よりハンドル部67を受け取る。なお、ハンドル部67は、警備管理者により運用管理されている。
【0040】
送出者(搬送物を送る者)は、搬送物を搬送箱に収納し、搬送者とともに収納内容を確認して搬送箱の収納部24を蓋部23により閉じ、搬送者がハンドル部67のリジェクト付取手部21を搬送箱に装着することにより、同時に搬送箱が施錠される。そして、搬送者は、リジェクト付取手部21とセキュリティロープ19を介して接続された取手セキュリティ部22を自分のベルトに装着する。
【0041】
そして、搬送者は、手搬送作業により搬送箱を搬送車両まで搬送し、搬送車両に積み込む。搬送者は、搬送箱の所定場所へ積み込み、搬送箱から、ハンドル部67のリジェクト付取手部21を取り外し、固定部材207を装着する。そして、搬送車両によって搬送箱を搬送物受領先の目的地まで搬送する。
【0042】
目的地に到着した場合、搬送者は、搬送箱から固定部材207を取り外し、ハンドル部67のリジェクト付取手部21を装着する。そして、搬送者は、搬送車両から搬送箱を取り出して、受領者(搬送物の受け取る者)に引き渡してハンドル部67のリジェクト付取手部21を取り外す。受領者は、解錠専用鍵65により搬送箱を解錠して開封し、収納された搬送物を取り出す。最後に、搬送者は、ハンドル部67を警備管理者に返却して搬送作業が終了する。
【0043】
次に、搬送作業の一部の流れを説明する。まず、搬送物を収納した後において、搬送箱を施錠し、ハンドル部67のリジェクト付取手部21を装着する動作を説明する。
【0044】
まず、収納部24の上面の開口部を蓋部23により閉じられ、ロックボルト55が施錠固定部50のロックボルト貫通孔51に貫通可能な位置にくるまで蓋部23が押し込まれると、蓋閉じ完了ボス52が蓋部23内に挿入され、蓋閉じ完了シャッター54をJ方向と反対方向に押し上げる。そして、蓋閉じ完了シャッター54は、ロックボルト55に設けられた溝にはめ込まれるブレード部がロックボルト55の溝から外され、ロックボルト55はI方向またはI方向と反対方向の移動が可能になる。この機構によると、蓋部23が不完全な状態で閉じられた場合には、施錠ができない構成となる。
【0045】
そして、取付穴68に収容されてない状態のハンドル部67とリジェクト付取手部21は、リジェクト型ラック部7のラチェット部27がギアリリースバネ13および引き寄せバネ9によりリジェクト付取手部21の内部に引き込まれているため、取付穴68に収容することができる。従って、リジェクト付取手部21が取付穴68に収容されて、リジェクト型ラック部7のラチェット部27が挿入孔26に挿入可能な位置まで押し込まれると、ハンドル取付検出レバー60がバネ61の付勢力に対向してK方向と反対方向に押圧される。そうすると、取手挿入完了ボス53もK方向と反対方向に押圧され、ロックボルト55に設けられた溝から外される。
【0046】
以上により、ロックボルト55を固定している機構が外され、左側に移動した場合、ロックボルト貫通孔51にロックボルト55が貫通し、蓋部23は収納部24に固定されて搬送箱は施錠状態となる。そして、搬送箱が施錠状態になったことで、蓋部23の内部に挿入孔26が形成される。
【0047】
そして、ハンドル部のリジェクト付取手部21が取付穴68に収容された状態で、搬送者により、取手セキュリティ部22のロープテンション29を引っ張られることにより、ロックリリースワイヤ18が引っ張られ、ロックリリースワイヤ18に接続されたギアリリースレバー11により可動型ピニオンギア6がピニオンギア5に係合する。
【0048】
次に、取手内装3と取手外装1を含む把持部14を搬送者が把持すると、取手内装3に設けられたラック機構8がA方向に移動して、該移動によりラック機構8に係合しているピニオンギア5がB方向に回転する。さらに、ピニオンギア5のB方向の回転により、ピニオンギア5に係合している可動型ピニオンギア6がC方向に回転して、可動型ピニオンギア6に係合しているリジェクト型ラック部7がD方向に移動する。リジェクト型ラック部7がD方向に移動すると、リジェクト型ラック部7の端部に接続されたラチェット部27が、リジェクト付取手部21の外側に移動され、挿入孔26に挿入される。
【0049】
挿入孔26に、リジェクト型ラック部7のラチェット部27が挿入されると、リジェクト付取手部21は蓋部23における取付穴68に嵌入されて装着されて、把持部14を把持して搬送箱を持ち上げて搬送することが可能となる。また、この後に、取手セキュリティ部22からの操作によりリジェクト付取手部21の脱着は可能であり、その際にはロックボルト55は移動されないため搬送箱は施錠状態のまま維持できる。
【0050】
次に、目的地に到着した場合に、ハンドル部67のリジェクト付取手部21を取り外し、搬送箱を解錠する動作を説明する。
【0051】
搬送箱が目的地まで搬送され、搬送者により取手セキュリティ部22のリリース用ボタン15が押下されると、ロープロック部16のつめ部がロープテンション29から外れて、ロープテンション29の引っ張りが解除される。そうすると、ロックリリースワイヤ18の引っ張りも解除され、ロックリリースワイヤ18に接続されたギアリリースレバー11のE方向の引っ張りも解除され、可動型ピニオンギア6とピニオンギア5との係合が解除される。
【0052】
そして、リジェクト型ラック部7がギアリリースバネ13および引き寄せバネ9からの押圧力によりD方向と反対方向(内側方向)に移動すると、ラチェット部27が挿入孔26から引き抜かれてリジェクト付取手部21の内部に引き込まれる。そして、リジェクト付取手部21は、取付穴68から取り出されることで、蓋部23から取り外される。
【0053】
そして、搬送箱の受領者により解錠専用鍵65が解錠部10に挿入されてL方向に回転されると、鍵挿入部62およびラチェット付回転部63がL方向に回転され、該回転に連動して鍵ピニオンギア64がL方向に回転する。この鍵ピニオンギア64のL方向の回転により、ラック機構57がI方向と反対方向に移動させられることでロックボルト55がI方向と反対方向に移動する。そして、取手挿入完了ボス53と蓋閉じ完了ボス52がロックボルト55に設けられた2つの溝に嵌合するところまでロックボルト55が移動すると、取手挿入完了ボス53と蓋閉じ完了ボス24がそれぞれ溝に嵌まりこむ。そして、ロックボルト貫通孔51からロックボルト55が引き抜かれると、搬送箱が解錠状態にされ、蓋部23の開放が可能となる。
【0054】
次に、セキュリティロープ19が切断された場合について説明する。セキュリティロープ19が切断された場合、リリース用ボタン15が押下された場合におけるリジェクト付取手部21の取り外しと同様に、ロックリリースワイヤ18に接続されていたギアリリースレバー11のE方向の引っ張りが解除され、可動型ピニオンギア6とピニオンギア5との係合が解除される。そして、リジェクト型ラック部7がギアリリースバネ13および引き寄せバネ9からの押圧力によりD方向と反対方向に移動すると、ラチェット部27が挿入孔26から引き抜かれてリジェクト付取手部21の内部に引き込まれる。そして、リジェクト付取手部21は、取付穴68から取り出されることで、蓋部23から取り外される。これにより、搬送箱を搬送することができなくなる。
【0055】
また、セキュリティロープ19が切断された場合では、カットオフ機構30によって接続されたロックリリースワイヤ18とギアリリースレバー11から切り離されるため、再度ロックリリースワイヤ18がギアリリースレバー11と接続することができない。従って、ギアリリースレバー11は、ラチェット部27をリジェクト付取手部21の外部に移動させることができなくなり、リジェクト付取手部21が蓋部23に装着不可能となり、搬送箱を搬送できなくなる。
【0056】
以上のように、本実施の形態の搬送箱は、搬送箱が解錠された後に、蓋部23にリジェクト付取手部21が装着される構成となっているため、搬送箱の施錠忘れを防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減する。また、搬送箱の施錠は、蓋部23を閉めれば行えるが、搬送箱の解錠は、搬送箱の受領者が保持する解錠専用鍵65のみでしか行えないため、搬送中の搬送箱の解錠を防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減する。また、予め定めた受領者のみが解錠専用鍵65を保有することで、解錠許可者を限定することが可能となる。
【0057】
また、搬送箱の搬送中において、搬送箱を施錠状態に維持したまま、搬送者に装着された取手セキュリティ部22と接続されたリジェクト付取手部21を取り外すことができる。また、強奪など発生時の安全機能として、取手セキュリティ部22とリジェクト付取手部21を接続するセキュリティロープ19が切断された場合に、蓋部23からリジェクト付取手部21が強制的に外れて、搬送箱の搬送を困難にすることができる。また、取付穴68は、リジェクト付取手部21の代わりに固定部材207も装着することができる。そして、この固定部材207は、リジェクト付取手部21と接続された端部と反対の端部を搬送車両に固定したり、収納品を仮保管時などでは建物に固定することでできる。従って、搬送箱が持ち出されることを防止することができる。また、固定部材207と固定先を結ぶロープ208が切断されても、リジェクト付取手部21とは異なり、固定部材207は取り外せないため、不正なリジェクト付取手部21の取り付けを阻止することができる。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態1では、ラック機構やピニオンギア、解錠専用鍵などを利用して、機械的にリジェクト付取手部の着脱、搬送箱の解錠を行っていた。これに対し、本実施の形態では、電気的にリジェクト付取手部21の着脱、搬送箱の解錠を行うものである。
【0059】
図10は、ハンドル部の構成を示す図である。図11は、搬送箱を示す図である。図10、11に示すように、本実施の形態の搬送箱は、収納部24と、蓋部123と、ハンドル部167と、解錠カード77と、認証カード78とにより構成されている。ここで、収納部24の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
蓋部123は、収納部24の開放された上面の開口部を閉じて蓋をするものであり、解錠部110と、表示部(不図示)が設けられている。蓋部123は、上面における中央部付近に、ハンドル部167の取手部79が収容される取付穴68が形成されており、搬送箱が解錠されている場合には、取付穴68の側面に挿入孔26(不図示)が形成される。表示部は、実施の形態1と同様に、搬送箱が施錠された場合に、その旨を示す封緘確認情報を表示する。また、蓋部123は、認証カード78(詳細は後述)が設けられている。また、解錠部110は、搬送箱を解錠するものであり詳細は後述する。ここで、蓋部123には、実施の形態と同様に、ラック機構57が形成されたロックボルト55と、バネ56に押圧されている蓋閉じ完了シャッター54が備えられているが説明は省略する。
【0061】
ハンドル部167は、蓋部123の上面に形成された取付穴68に着脱可能に設けられる取手部79と、搬送者のベルトに装着される取手セキュリティ部70と、取手部79と取手セキュリティ部70とを接続するセキュリティロープ72とにより構成されている。
【0062】
取手セキュリティ部70は、搬送者のベルトに装着されるものであり、取手部79への操作および電力供給が可能となっている。取手セキュリティ部70は、リリース用ボタン115と、蓄電部71とを主に備えている。
【0063】
リリース用ボタン115は、搬送者によって押下されることにより、搬送箱に対する設定モードを切り換えるものであり、選択された設定モードはセキュリティロープ72を介して取手部79に送出される。設定モードとしては、装着モードと取り外しモードがある。装着モードとは、取手部79が蓋部123に装着される旨を示すモードである。また、取り外しモードとは、取手部79が蓋部123から取り外される旨を示すモードである。
【0064】
蓄電部71は、電力を蓄電するものであり、セキュリティロープ72を介して取手部79に電力を送出し、プランジャー部75(後述)を通電、非通電にする。
【0065】
セキュリティロープ72は、内部に電力や設定情報を伝送するワイヤーが設けられており、一方の端部が取手部79に接続され、他方の端部が取手セキュリティ部70に接続されることで、取手部79と取手セキュリティ部70とを接続している。これにより、搬送箱を搬送者から引き離すことができず、搬送箱が奪われるのを阻止することができる。
【0066】
取手部79は、搬送箱を搬送する際に取付穴68に嵌入されて装着されるものであり、電力送出部74と、受信部73と、プランジャー部75と、ログ蓄積部80と、コネクタ81とから主に構成されている。
【0067】
電力送出部74は、取手セキュリティ部70から、蓄電部71に蓄電されている電力が送出された場合に、送出された電力を授受する。そして、電力送出部74は、近傍に配された解錠カード77や認証カード78などのカード、機器に必要な電力供給を行なうものである。
【0068】
受信部73は、近傍に配された解錠カード77、認証カード78から発信された情報を受信するものである。
【0069】
プランジャー部75は、取手部79を着脱するための突起部227が設けられている。この突起部227は、取手セキュリティ部70から電力が送出されて通電されることにより、M方向に移動して、ロックボルトがI方向に移動することにより蓋部123の内部に形成される孔部(図6参照)に挿入される。また、突起部227は、取手セキュリティ部70から電力の送出が停止されて非通電にされた場合、バネ(不図示)によりM方向と反対方向に移動する。
【0070】
ログ蓄積部80は、取手部79の蓋部123に対する着脱動作、および搬送箱の施解錠動作におけるログを蓄積するものである。コネクタ81は、ログ蓄積部80に蓄積されたログを他の装置に送信するためのインターフェースである。
【0071】
ここで、認証カード78、解錠カード77の説明をする。認証カード78、解錠カード77は、RFID(Radio Frequency IDentification)や磁気を利用して電子認証を行うカードである。なお、認証カードや解錠カードを、予め登録された指紋確認装置など生体認証手段を用いて認証する構成としてもよい。
【0072】
蓋部123に設けられた認証カード78は、蓋部123に固有の蓋部IDが記憶されている。そして、電力送出部74から電力が供給されると、自らの蓋部IDを含む微弱電波を発信する。そして、取手部79では、受信部73によりこの微弱電波を受信し、予め登録されている蓋部IDか否かの認証を行なう。取手部79では、蓋部IDの一致が確認され、かつ取手セキュリティ部70から「装着モード」が選択されている場合には、内蔵のプランジャー部75の作動を許可させ、蓋部123への取付け可能な状態となる。
【0073】
解錠カード77は、解錠可能な利用者(搬送物の受領者)に固有の解錠IDが記憶されている。そして、該解錠IDが受信部73により受信され、認証が成功した場合に、搬送箱が解錠されることになる。
【0074】
次に、解錠部110について説明する。図12は、解錠部の詳細を示す説明図である。図12に示すように、解錠部110は、モータ76と、回転部163と、ピニオンギア164とを備えている。
【0075】
モータ76は、搬送箱を解錠する場合に、N方向のみに回転可能な駆動手段である。また、回転部163は、モータ76のN方向の回転に連動して、N方向のみに回転可能となっている。また、モータ76は、取手部79と取付穴68との間で駆動が必要な場合に、受電部165により非接触(またはブラシなどの接触)で受電可能な構成となっており、取手部79が取付穴68に嵌入されて固定されている状態において、解錠カード77を取手部79の受信部73にかざすと通電が開始される。
【0076】
ピニオンギア164は、ロックボルト55のラック機構57(図6参照)に係合して設けられており、回転部163のN方向の回転に連動してN方向に回転可能となっている。そして、ピニオンギア164がN方向に回転することにより、ラック機構57を介してロックボルト55がI方向と反対方向に移動し、搬送箱が解錠される。
【0077】
本実施の形態の搬送作業は、機械的な実施の形態1の搬送作業を電気的に行う点では異なるが、搬送箱を利用した搬送物の搬送作業の流れは同様であるため説明を省略する。
【0078】
次に、搬送作業の一部の流れを説明する。まず、搬送物を収納した後において、搬送箱を施錠し、ハンドル部167の取手部79を装着する動作を説明する。ここで、搬送箱の施錠については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0079】
搬送箱が施錠され、ハンドル部167の取手部79を取付穴68に収容された状態で、搬送者により取手セキュリティ部70のリリース用ボタン115が押下されて「装着モード」に切り替えられると、取手セキュリティ部70の蓄電部71からの電力の供給によりプランジャー部75が通電される。
【0080】
プランジャー部75が通電されると、突起部227がM方向(取手部79の外側方向)に移動され、挿入孔26(図6参照)に挿入される。挿入孔26に、突起部227が挿入されると、取手部79は蓋部における取付穴68に嵌入されて装着されて、搬送箱は把持部114を把持して搬送箱を持ち上げて搬送することが可能となる。
【0081】
次に、目的地に到着した場合に、ハンドル部167の取手部79を取り外し、搬送箱を解錠する動作を説明する。
【0082】
搬送箱が目的地まで搬送され、搬送者により取手セキュリティ部70のリリース用ボタン115が押下されると、「装着モード」から「取り外しモード」に切り替わり、プランジャー部75への通電が停止され突起部227がM方向と反対方向(取手部79の内部方向)に移動して挿入孔26から引き抜かれて、リジェクト付取手部21の内部に引き込まれる。
【0083】
そして、近傍に配された解錠カード77に電力送出部74から電力給電がなされ、受信部73により解錠カード77の記憶する解錠IDを受信する。解錠カード77の解錠IDが取手部79内のID情報解読部(不図示)において解読されて、認証が成功すると、搬送箱の解除動作を行なう。つまり、上記認証の成功により、蓋部123に設けられたロックボルト55の移動動作を行なうモータ76などが作動可能となる。
【0084】
具体的には、突起部227が取手部79内に引き込まれている状態において、蓋部123のモータ76がN方向に回転し、該回転に連動して回転部163、ピニオンギア164がN方向に回転することにより、ラック機構57がI方向と反対方向に移動させられることで、ロックボルト55がI方向と反対方向に移動する。そして、取手挿入完了ボス53と蓋閉じ完了ボス52がロックボルト55に設けられた2つの溝に嵌合するところまでロックボルト55が移動すると、取手挿入完了ボス53と蓋閉じ完了ボス52がそれぞれ溝に嵌まりこむ。そして、取手部79は、取付穴68から取り出されることで、蓋部123から取り外される。さらに、ロックボルト貫通孔51からロックボルト55が引き抜かれると、搬送箱が解錠状態にされ、蓋部23の開放が可能となる。以上構成により、解錠カード77などをかざすことにより、モータ76によるロックボルト55の移動動作を起動し、取手部79の取り外しと解錠動作を完了させる動作を行う。
【0085】
次に、セキュリティロープ72が切断された場合について説明する。セキュリティロープ72が切断された場合、リリース用ボタン115が押下された場合における取手部79の取り外しと同様に、プランジャー部75への通電が停止され突起部227がM方向と反対方向(取手部79の内部方向)に移動して挿入孔26から引き抜かれて、リジェクト付取手部21の内部に引き込まれる。そして、取手部79は、取付穴68から取り出されることで、蓋部123から取り外される。これにより、搬送箱を搬送することができなくなる。
【0086】
ここで、セキュリティロープ72内の通電手段は特定の周波数による交流電力伝送を行なっているため、直流電池など単純な電力供給では、プランジャー部75単体での「装着モード」への切換えは容易に行なえない構成とし、切断後の取手部79の活用を抑止可能な構成とする。
【0087】
以上構成により、取手部79の蓋部123に対する着脱動作、および搬送箱の施解錠動作は、ログ蓄積部80に操作・動作時刻と共に蓄積される。蓄積されたログは、コネクタ81からPCなどに接続して、読み出しを行なうことができる。このログには、動作内容、日時が対応した表として出力が可能で、搬送箱の搬送時の作業エビデンスとして、顧客などへの提出を可能としている。
【0088】
以上のように、本実施の形態の搬送箱は、搬送箱が解錠された後に、蓋部123に取手部79が装着される構成となっているため、搬送箱の施錠忘れを防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減する。また、搬送箱の施錠は、蓋部123を閉めれば行えるが、搬送箱の解錠は、搬送箱の受領者が保持する解錠カード77のみでしか行えないため、搬送中の搬送箱の解錠を防止し、搬送物の搬送に関する危険性を軽減する。また、予め定めた受領者のみが解錠カード77を保有することで、解錠許可者を限定することが可能となる。
【0089】
また、搬送箱の搬送中において、搬送箱を施錠状態に維持したまま、搬送者に装着された取手セキュリティ部70と接続された取手部79を取り外すことができる。また、強奪など発生時の安全機能として、取手セキュリティ部70と取手部79を接続するセキュリティロープ72が切断された場合に、蓋部123から取手部79が強制的に外れて、搬送箱の搬送を困難にすることができる。
【0090】
また、実施の形態2では、ハンドル部167の取手セキュリティ部70に電力を蓄電する蓄電部71を備え、セキュリティロープ72を介して取手部79に電力を送出する構成としているため、収納部24、蓋部123側に蓄電部を備える必要がない。従って、ハンドル部167を取り外した搬送箱を保管する場合でも、電池の交換等を行う必要がない。
【0091】
なお、以上のような構成に限定されることはない。例えば、搬送者が用いるハンドル部それぞれに固有の識別情報を保持させ、搬送箱を特定のハンドル部のみ装着可能な構成としてもよい。これにより、装着および搬送許可された指定のハンドル部のみを搬送箱に装着できるため、搬送者を限定することができ、偽装搬送者による搬送を防止することができる。
【0092】
また、解錠専用鍵(または解錠カード)に固有の識別情報を保持させ、搬送箱において解錠専用鍵の識別情報の認証が成功した場合、搬送箱を解錠可能な構成としてもよい。これにより、特定の解錠専用鍵のみでしか搬送箱の解錠が行なえないため、搬送箱の受領者を指定でき、不正解錠を防止することができる。
【0093】
また、上記実施の形態では、収納部の上面に開口部が設けられ、該開口部から搬送物を収納するように構成された搬送箱を説明したが、これに限定されることはなく、収納部の側面や底面などに開口部を設けた収納部により搬送箱を構成してもよく、その場合でも本実施の形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0094】
1 取手外装
2 板バネ
3 取手内装
4 外れ防止ピン
5 ピニオンギア
6 可動型ピニオンギア
7 リジェクト型ラック部
8 ラック機構
9 引き寄せバネ
10、110 解錠部
11 ギアリリースレバー
12 ギアスライダー
13 ギアリリースバネ
14、114 把持部
15、115 リリース用ボタン
16 ロープロック部
17 ローラ
18 ロックリリースワイヤ
19 セキュリティロープ
20 表示部
21 リジェクト付取手部
22 取手セキュリティ部
23、123 蓋部
24 収納部
25 エッジ
26 挿入孔
27 ラチェット部
28 バネ
29 ロープテンション
30 カットオフ機構
50 施錠固定部
51 ロックボルト貫通孔
52 蓋閉じ完了ボス
53 取手挿入完了ボス
54 蓋閉じ完了シャッター
55 ロックボルト
56 バネ
57 ラック機構
60 ハンドル取付検出レバー
61 バネ
62 鍵挿入部
63 ラチェット付回転部
64 鍵ピニオンギア
65 解錠専用鍵
67、167 ハンドル部
68 取付穴
70 取手セキュリティ部
71 蓄電部
72 セキュリティロープ
73 受信部
74 電力送出部
75 プランジャー部
76 モータ
77 解錠カード
78 認証カード
79 取手部
80 ログ蓄積部
81 コネクタ
101 ベルト
163 回転部
164 ピニオンギア
165 受電部
201 搬送車両
202 搬送箱ラック
206 フック
207 固定部材
208 ロープ
211 ラチェット部
227 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を収納して搬送する搬送箱において、
開口部を有し、搬送物を収納可能な収納部と、
前記収納部の前記開口部を閉じる蓋部と、
前記蓋部に着脱可能に設けられる取手部と、を備え、
前記蓋部は、
第1方向に移動可能な可動部材と、
前記取手部が収容される取手取付部と、を備え、
前記収納部は、
前記第1方向に移動した前記可動部材が貫通する貫通孔を備え、
前記取手部は、
前記可動部材が前記第1方向に移動することにより前記蓋部の内部に形成される孔部に挿入される突起部と、を備え、
前記可動部材は、前記貫通孔に貫通することで、前記搬送箱を施錠し、
前記取手部は、前記取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、前記突起部が前記孔部に挿入されることで、前記蓋部に装着されることを特徴とする搬送箱。
【請求項2】
前記可動部材は、前記第1方向と反対方向である第2方向に移動可能であって、第1ラック機構が設けられており、
前記蓋部は、
第3方向にのみ回転可能な回転部と、
前記第1ラック機構に係合して設けられ、前記回転部の回転に連動して前記第3方向に回転可能な第1ピニオン部をさらに備え、
前記取手部は、前記突起部が前記孔部から引き抜かれてから、前記取手取付部から取り出されることで、前記蓋部から取り外され、
前記可動部材は、前記回転部が前記第3方向に回転され、該回転に連動して前記第1ピニオン部が前記第3方向に回転した場合、前記第1ピニオン部に係合された前記第1ラック機構を介して前記第2方向に移動して前記貫通孔から引き抜かれることで、前記搬送箱を解錠することを特徴とする請求項1に記載の搬送箱。
【請求項3】
搬送者に装着される安全保持部と、
一方の端部が前記取手部に接続され、他方の端部が前記安全保持部に接続されることで、前記取手部と前記安全保持部とを接続する接続部材とをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送箱。
【請求項4】
前記取手取付部に前記取手部が収容されていない場合に、前記取手取付部に収容されることで、搬送者による前記搬送箱の搬送を不可能にする固定部材をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の搬送箱。
【請求項5】
前記取手部は、
前記突起部が接続されたラック部材と、
前記ラック部材に係合し、前記接続部材に接続された第2ピニオン部と、
前記第2ピニオン部と係合可能な第3ピニオン部と、
前記第3ピニオン部と係合する第2ラック機構が設けられ、搬送者が前記搬送箱を搬送する場合に把持する把持部と、をさらに備え、
前記取手部は、前記取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、前記安全保持部から前記接続部材を引っ張られることにより前記第2ピニオン部が前記第3ピニオン部に係合し、搬送者により前記把持部が把持されることにより前記第2ラック機構が移動して前記第3ピニオン部が回転し、該回転に連動して回転した前記第2ピニオン部により、前記ラック部材が前記第1方向に移動して前記突起部が前記孔部に挿入されることで、前記蓋部に装着されることを特徴とする請求項4に記載の搬送箱。
【請求項6】
前記取手部は、
前記ラック部材を前記第2方向に押圧する弾性部材をさらに備え、
前記回転部は、ラチェット機構により、前記第3方向にのみ回転可能であり、
前記取手部は、前記安全保持部からの前記接続部材の引っ張りが解除されることにより前記第2ピニオン部が前記第3ピニオン部との係合を解除し、前記弾性部材からの押圧力により前記ラック部材が前記第2方向に移動して前記突起部が前記孔部から引き抜かれてから、前記取手取付部から取り出されることで、前記蓋部から取り外され、
前記可動部材は、利用者からの押圧力により前記回転部が前記第3方向に回転され、該回転に連動して前記第1ピニオン部が前記第3方向に回転した場合、前記第1ピニオン部に係合された前記第1ラック機構を介して前記第2方向に移動して前記貫通孔から引き抜かれることで、前記搬送箱を解錠することを特徴とする請求項5に記載の搬送箱。
【請求項7】
前記取手部は、前記蓋部に装着されている状態において前記接続部材が切断された場合、前記接続部材の引っ張りが解除されることにより前記第2ピニオン部が前記第3ピニオン部との係合を解除し、前記弾性部材からの押圧力により前記ラック部材が前記第2方向に移動して前記突起部が前記孔部から引き抜かれてから、前記取手取付部から取り出されることで、前記蓋部から取り外されることを特徴とする請求項6に記載の搬送箱。
【請求項8】
前記取手部は、
通電により前記第1方向に移動する前記突起部が設けられたプランジャー部をさらに備え、
前記取手部は、前記取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、蓄電手段によって前記プランジャー部が通電されることにより前記突起部が前記第1方向に移動して前記孔部に挿入されることで、前記蓋部に装着されることを特徴とする請求項1に記載の搬送箱。
【請求項9】
前記取手部は、
通電により前記第1方向に移動する前記突起部が設けられたプランジャー部をさらに備え、
前記安全保持部は、
電力を蓄電し、前記接続部材を介して前記プランジャー部を通電する蓄電手段をさらに備え、
前記取手部は、前記取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、前記安全保持部によって前記プランジャー部が通電されることにより前記突起部が前記第1方向に移動して前記孔部に挿入されることで、前記蓋部に装着されることを特徴とする請求項3に記載の搬送箱。
【請求項10】
前記取手部は、
前記突起部を前記第2方向に押圧する弾性部材をさらに備え、
前記取手部は、前記安全保持部による通電が停止して前記プランジャー部が非通電にされ、前記弾性部材からの押圧力により前記突起部が前記第2方向に移動して前記孔部から引き抜かれてから、前記取手取付部から取り出されることで、前記蓋部から取り外され、
前記可動部材は、利用者認証が成功した場合に、駆動手段により前記回転部が前記第3方向に回転され、該回転に連動して前記第1ピニオン部が前記第3方向に回転した場合、前記第1ピニオン部に係合された前記第1ラック機構を介して前記第2方向に移動して前記貫通孔から引き抜かれることで、前記搬送箱を解錠することを特徴とする請求項9に記載の搬送箱。
【請求項11】
前記ハンドル部は、前記蓋部に装着されている状態において前記接続部材が切断された場合、前記安全保持部による通電が停止して前記プランジャー部が非通電にされ、前記弾性部材からの押圧により前記突起部が前記第2方向に移動して前記孔部から引き抜かれてから、前記取手取付部から取り出されることで、前記蓋部から取り外されることを特徴とする請求項10に記載の搬送箱。
【請求項12】
前記取手部の前記蓋部に対する着脱動作、および前記搬送箱の施解錠動作におけるログを蓄積するログ蓄積手段をさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の搬送箱。
【請求項13】
開口部を有し、搬送物を収納可能な収納部と、前記収納部の前記開口部を閉じる蓋部と、前記蓋部に着脱可能に設けられる取手部とを備え、搬送物を収納して搬送する搬送箱において前記取手部を装着または取り外す取手着脱方法において、
前記蓋部に備えられた第1方向に移動可能な可動部材が、前記収納部に備えられた貫通孔に貫通することで、前記搬送箱を施錠する施錠工程と、
前記蓋部に備えられた取手取付部に収容され、前記搬送箱が施錠された場合に、前記取手部に備えられた突起部が、前記可動部材が前記第1方向に移動することにより前記蓋部の内部に形成される孔部に挿入されることで、前記取手部が前記蓋部に装着される装着工程と、
を含むことを特徴とする取手着脱方法。
【請求項14】
前記突起部が前記孔部から引き抜かれてから、前記取手取付部から取り出されることで、前記取手部が前記蓋部から取り外される取り外し工程と、
第3方向にのみ回転可能な回転部が前記第3方向に回転され、該回転に連動して第1ピニオン部が前記第3方向に回転した場合、前記第1ピニオン部に係合されて前記可動部材に設けられた第1ラック機構を介して、前記可動部材が前記第1方向と反対方向である第2方向に移動して前記貫通孔から引き抜かれることで、前記搬送箱を解錠する解錠工程とをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の取手着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−236336(P2010−236336A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88359(P2009−88359)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】