説明

搬送装置および画像形成装置

【課題】用紙幅に関係なく高精度に用紙の曲がり補正を行うことが可能な搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、基準用紙幅W1の外側領域に配置されたステアリングローラ80,81と、ステアリングローラ80,81間に設けられたセンターローラ82と、ステアリングローラ80,81の搬送方向D1の下流側の同軸上に配置された曲がり検知センサ85,86とを備える。用紙Pが基準用紙幅W1以下の場合、用紙Pがセンターローラ82にニップされてシフトローラ30に搬送され、用紙Pの先端部がシフトローラ30に突き当てられてループが形成され、用紙の曲がりが補正される。用紙Pが基準用紙幅W1越の場合、用紙Pがステアリングローラ80,81にニップされ、曲がり検知センサ85,86の検出結果に基づいてステアリングローラ80,81が独立に駆動されることで、用紙Pの曲がりが補正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、プリンタやスキャナ、コピー機、ファックス等の機能を兼ねた多機能な画像形成装置が広く使用されている。画像形成装置では、用紙の搬送中に装置の機械的な要因等により用紙が斜行してしまう場合がある。このような場合には、画像の形成位置がずれてしまうため、用紙搬送中に用紙の斜行を補正する用紙曲がり補正を行っている。
【0002】
用紙曲がり補正では、用紙の幅方向に所定の間隔を隔てて一対の搬送ローラを配置すると共に、これら搬送ローラの下流側に一対の搬送ローラに対応して一対の曲がり検知センサを配置し、各曲がり検知センサで検出された用紙の2箇所の検出時間に基づいて各搬送ローラの速度を調整することで、用紙の曲がりを補正している。
【0003】
ところで、画像形成装置においては、A4やB5等の用紙サイズの異なる様々な用紙が使用可能となっている。そのため、使用可能な用紙の最大幅と最小幅が著しく異なるような場合、上述したように、曲がり検知センサと搬送ローラとを1セットだけ使用したのでは、曲がり補正を十分に行うことができない。
【0004】
すなわち、最小幅の用紙に合わせて曲がり検知センサや搬送ローラの間隔を狭く設定してしまうと、用紙幅が最大の用紙を用いる場合に十分な用紙の検知や補正を行うことができないという問題がある。特に、大型の用紙では、曲がり検知センサの配置間隔を狭く設定してしまうと、用紙の中央部での検知精度となり、検出精度の安定感が得られない。逆に、最大幅の用紙に合わせて曲がり検知センサおよびローラの間隔を広く設定してしまうと、用紙幅が最小である用紙を用いる場合に、十分な用紙の検知や補正を行うことができないという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、用紙の幅方向に複数の曲がり検知センサやローラを設け、曲がり検知センサによる用紙の幅寸法に基づいて用紙の位置に設置されたローラを選択し、選択したローラにより用紙を挟持して搬送することで用紙の斜行補正を行う画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−335787号公報
【特許文献2】特開2007−186291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示される画像形成装置等で行われる用紙の曲がり補正では以下のような問題がある。すなわち、上記特許文献1および2に開示される画像形成装置等では、用紙幅の大きい用紙と用紙幅の小さい用紙との双方の精度を両立させるために、曲がり検知センサや搬送ローラを多数用いたり、用紙の幅方向の長さを有する曲がり検知センサを用いている。そのため、曲がり検知センサや搬送ローラ等が多数必要となってしまうと共にローラのニップ等を切り替える機構も必要となるので、従来よりも装置がコストアップしてしまうという問題がある。また、多数の曲がり検知センサや搬送ローラを用紙の搬送経路に配置しなければならないため、設計難易度が高くなってしまうという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、用紙幅に関係なく高精度に用紙の曲がり補正を行うことが可能な搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る搬送装置は、用紙を搬送する第1の方向に直交する第2の方向に所定の間隔を隔てて設けられた一対の第1のローラ部材と、第1のローラ部材よりも第1の方向下流側であってかつ第2の方向に所定の間隔を隔てて配置され、各配置位置を通過する用紙を検出する一対の検出部と、一対の検出部よりも第1の方向下流側に設けられた第2のローラ部材と、第1のローラ部材および第2のローラ部材の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、用紙の第2の方向の長さに応じて、用紙の先端部を第2のローラ部材に突き当てて用紙の曲がりを補正する第1の用紙曲がり補正制御と、検出部により検出された用紙の各検出時間に基づいて対応する第1のローラ部材をそれぞれ独立に回転駆動させて用紙の曲がりを補正する第2の用紙曲がり補正制御とを切り替えて行うものである。また、本発明に係る画像形成装置は、上記搬送装置を備えたものである。
【0010】
例えば、制御部は、用紙の第2の方向の長さが、予め設定されている用紙の第2の方向の基準用紙長さよりも短い場合に、第1の用紙曲がり補正制御を行うことが好ましい。基準用紙長さとは、画像形成装置において小型から大型までの種々の用紙が使用される場合に、これらの全ての用紙に対して高精度に用紙の曲がり補正を行うために設定される値である。例えば、基準用紙長さよりも小さい小型の用紙の場合には第1の用紙曲がり補正制御を実行し、基準用紙長さを超える大型の用紙の場合には第2の用紙曲がり補正制御を実行する。なお、用紙の第2の方向の長さが基準用紙長さを超える場合であっても、用紙の種類によってはOHPのような透明な用紙で曲がり検知できない場合などがあるため、この場合には、第1の用紙曲がり補正制御を実行しても良い。このように用紙の第2の方向の長さに応じて、用紙の曲がり補正制御を分けることで、大型の用紙に対しては生産性の向上を図りつつ用紙の曲がり補正を行うことができ、小型の用紙に対しては確実に用紙の曲がり補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、用紙の幅方向の長さに応じて、第1の用紙曲がり補正制御と第2の用紙曲がり補正制御とを切り替えて行うので、様々な幅方向の長さを有する用紙の曲がり補正を高精度かつ低コストに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】搬送装置の構成例を示す斜視図である。
【図3】(A)は搬送装置の搬送方向に直交する方向から見た側面図であり、(B)はその平面図であり、(C)は用紙の搬送方向に平行な方向から見た場合の正面図である。
【図4】画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】画像形成装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】(A)〜(C)は、第1の用紙曲がり補正制御を行う場合の搬送装置の動作例を示す図である(その1)。
【図7】(A)〜(C)は、第1の用紙曲がり補正制御を行う場合の搬送装置の動作例を示す図である(その2)。
【図8】(A)〜(C)は、第1の用紙曲がり補正制御を行う場合の搬送装置の動作例を示す図である(その3)。
【図9】(A)〜(C)は、第2の用紙曲がり補正制御を行う場合の搬送装置の動作例を示す図である(その1)。
【図10】(A)〜(C)は、第2の用紙曲がり補正制御を行う場合の搬送装置の動作例を示す図である(その2)。
【図11】(A)〜(C)は、第2の用紙曲がり補正制御を行う場合の搬送装置の動作例を示す図である(その3)。
【図12】本発明の第2の実施の形態に画像形成装置における搬送装置の構成例を示す図であり、(A)は搬送装置の搬送方向に直交する方向から見た側面図であり、(B)はその平面図であり、(C)は用紙の搬送方向に平行な方向から見た場合の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。<1.第1の実施の形態>
[画像形成装置の構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成の一例を示している。本発明に係る画像形成装置100は、画像を形成する用紙Pの搬送方向D1と直交する方向(以下、幅方向ともいう)の長さに応じて、具体的には予め設定された基準用紙幅W1を基準として、第1の用紙曲がり補正制御と第2の用紙曲がり補正制御とを切り替えて行う。基準用紙幅W1とは、第1の用紙曲がり補正制御と第2の用紙曲がり補正制御とを切り替えて行う場合に基準となる幅であり、後述する一対の曲がり検知センサ85,86が設けられる間隔W4以上の長さに選定される(図3参照)。
【0014】
第1の用紙曲がり補正制御とは、画像を形成する用紙Pが予め設定された基準用紙幅W1(図3(B)参照)よりも小さい場合に、用紙Pの先端部をシフトローラ30に突き当ててループを形成して用紙Pの曲がり補正を行う制御である。第2の用紙曲がり補正制御とは、画像を形成する用紙Pが予め設定された基準用紙幅W1よりも大きい場合に、曲がり検知センサ85,86の検出結果に基づいて所定の速度差でステアリングローラ80,81を駆動して用紙Pを搬送することで用紙Pの曲がり補正を行う制御である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置100は、タンデム型の画像形成装置と称されるものであって、画像形成装置本体101とその上部に取り付けられた自動原稿送り装置102とを備えている。自動原稿送り装置102は、原稿載置台に載置された原稿Mを一枚ずつに分離して画像形成装置本体101に送り出す。
【0016】
画像形成装置本体101は、原稿読取部202と制御部50と画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと中間転写ベルト6と搬送装置8Aと二次転写ローラ36と給紙部20と定着装置72とを備えている。搬送装置8Aは、ステアリングローラ80,81と曲がり検知センサ85,86とシフトローラ30とラインセンサ70とを有している。なお、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト6および二次転写ローラ36は、画像形成部60の一例を構成している。
【0017】
原稿読取部202は、原稿画像読み取り位置にて原稿Mの画像をランプLにて照射し、その反射光をミラーユニット等を介してCCD等の撮像素子204に結像させる。撮像素子204は、入射した光を光電変換して画像信号を制御部50に出力する。制御部50は、画像信号に対して、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施して画像データを生成する。
【0018】
画像形成ユニット10Yは、帯電部2Yと露光部3Yと現像部4Yと感光体ドラム1Yとクリーニング部8Yとを有している。帯電部2Yは、感光体ドラム1Yの周面に一様に電荷を帯電させる。露光部3Yは、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成され、制御部50から送られる画像データに基づいて感光体ドラム1Yの表面をレーザビームにより走査露光して潜像を形成する。現像部4Yは、イエロー(Y)のトナー像で現像することにより感光体ドラム1Y上の潜像を顕像化する。クリーニング部8Yは、トナー像の転写を終えた感光体ドラム1Yの表面に残留するトナーを除去する。
【0019】
その他の画像形成ユニット10M,10C,10Kも、画像形成ユニット10Yと同様の構成および機能を備えており、感光体ドラム1M、1C、1Kのそれぞれにマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナー像で現像して感光体ドラム1M、1C、1K上の潜像を顕像化する。各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上のそれぞれに形成されたトナー像は、無端状の中間転写ベルト6上の所定位置に重ね合わせて転写され、中間転写ベルト6上にカラー画像を形成する。
【0020】
給紙部20は、複数の給紙トレイ20A,20B,20Cを備えており、ユーザによって選択された用紙Pを給紙トレイ20A,20,20Cから搬送ローラにより送り出してステアリングローラ80,81に向けて搬送する。
【0021】
曲がり検知センサ85,86は、ステアリングローラ80,81よりも搬送方向D1の下流側に設けられ、例えば用紙Pの通過時間を検出する。ステアリングローラ80,81は、第2の用紙曲がり補正制御において、曲がり検知センサ85,86により検出された用紙Pの通過時間に応じた速度差でそれぞれ独立して回転することで用紙Pを搬送し、用紙Pの曲がり補正を行う。
【0022】
シフトローラ30は、ステアリングローラ80,81の搬送方向D1の下流側に設けられ、第1の用紙曲がり補正制御において、給紙部20から搬送されてくる用紙Pの先端部の突き当てによりループを形成することで用紙Pの斜行補正等を行う。また、シフトローラ30は、シフトローラ30の搬送方向D1の下流側に設けられたラインセンサ70の用紙Pの検出結果に基づいて、用紙Pの正規の画像形成位置に対する差分(ずれ量)だけ、用紙Pを挟持した状態で用紙Pの幅方向に移動することで、用紙Pの片寄りを補正する。
【0023】
シフトローラ30によって位置ずれが補正された用紙Pは、所定のタイミングで二次転写部に搬送され、中間転写ベルト6上に重ね合わされて転写されたカラー画像が用紙Pに転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、二次転写ローラ36等によって定着装置72に搬送される。定着装置72は、ヒータを備え、用紙Pを加圧・加熱することによってカラー画像(未トナー像)を用紙Pに定着させる。定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラ24により排紙トレイ25に排出される。
【0024】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、表面に画像が形成された用紙Pは、分岐部26によって循環経路27Aに搬送され、反転部27Bにおいて用紙Pを表裏反転させた後に再給紙経路27Cを経由して再度、二次転写部に搬送される。二次転写部では、用紙Pの裏面にカラー画像が転写され、その後、定着装置72を介して排紙トレイ25に排紙される。
【0025】
[搬送装置の構成例]
図2は、搬送装置8Aの構成の一例を示す斜視図である。図3(A)は搬送装置8Aを搬送方向D1に直交する方向から見た側面断面図であり、図3(B)はその平面図であり、図3(C)は搬送装置8Aを搬送方向D1に平行に見た正面図である。図2および図3に示すように、搬送装置8Aは、一対のステアリングローラ80,81とセンターローラ82とステアリング駆動モータ83,84と一対の曲がり検知センサ85,86とシフトローラ30とラインセンサ70とを備えている。なお、ステアリングローラ80,81は第1のローラ部材の一例を構成し、センターローラ82は第3のローラ部材の一例を構成し、シフトローラ30は第2のローラ部材の一例を構成し、曲がり検知センサ85,86は検出部の一例を構成している。
【0026】
ステアリングローラ80,81は、主に第2の用紙曲がり補正制御時に用いられるローラであって、用紙Pの搬送経路のセンター基準Cを対称にして用紙Pの幅方向に所定の間隔W3を隔てて配置されている。具体的には、基準用紙幅W1、画像形成装置100で仕様される最大サイズの用紙幅W2、ステアリングローラ80,81の間隔W3は、W3<W1<W2の関係となる。これは、W1=W3とすると、用紙Pが曲がったり、片寄ったりしてステリングローラ80,81に搬送されてくる場合、片側のステアリングローラにしか用紙Pがくわえ込まなかったり、両方のステアリングローラ80,81に少ししかくわえ込まない等の不安定な状態となる場合があるからである。そのため、本例では、少々用紙Pがずれて搬送されてきた場合でも、ステアリングローラ80,81の双方で確実に用紙Pをくわえ込める余裕分を持たせるため、W1>W3と設定する。これにより、基準用紙幅W1を超える大型の用紙P(最大サイズの用紙幅W2の用紙P)を確実に挟持して片寄り補正を行うことができる。基準用紙幅W1は、第1の用紙曲がり補正制御と第2の用紙曲がり補正制御との切り替えを行う際に基準となる用紙幅であり、予め設定されている値である。具体的な例として、本例では基準用紙幅W1は160mmと設定した時は、ステアリングローラ80,81の配置間隔W3は、例えば140mm程度が好ましい。また、その時のステアリングローラ80,81の軸方向の長さは、例えば10mm程度が好ましい。ステアリングローラ80,81の配置間隔W3は、例えば140mm程度が好ましい。ステアリングローラ80,81の軸方向の長さは、例えば10mm程度が好ましい。
【0027】
また、ステアリングローラ80は、図3(A)および図3(C)に示すように、ステアリング駆動ローラ80Aとステアリング従動ローラ80Bとを有している。ステアリング従動ローラ80Bは、後述するステアリングローラ圧着部87により、ステアリング駆動ローラ80Aに圧接したり、この圧接を解除したりする。ステアリングローラ81もステアリングローラ80と同様の構成である。このような構成により、ステアリングローラ80,81は、第2の用紙曲がり補正制御において、ニップ状態となり、基準用紙幅W1よりも幅が広い用紙Pをニップして搬送し、曲がり検知センサ85,86により検出された用紙Pの検知時間(通過時間)に基づいてそれぞれ独立に回転駆動し、用紙Pの曲がり補正を行う。
【0028】
センターローラ82は、第1の用紙曲がり補正制御時に用いられるローラであって、ステアリングローラ80の回転軸O1の先端部に取り付けられると共に、センター基準C上(基準用紙幅W1の長さ方向の略中央部)に設置されている。センターローラ82は、図3(A)および図3(C)に示すように、センター駆動ローラ82Aとセンター従動ローラ82Bとを有している。センター従動ローラ82Bは、後述するセンターローラ圧着部88により、センター駆動ローラ82Aを圧接したり、この圧接状態を解除したりする。このような構成により、センターローラ82は、第1の用紙曲がり補正制御において、ニップ状態となり、基準用紙幅W1よりも幅が狭い用紙Pをニップしてシフトローラ30に搬送する。
【0029】
ステアリング駆動モータ83は、ステアリングローラ80のステアリング駆動ローラ80Aおよびセンターローラ82のセンター駆動ローラ82Aのそれぞれに回転軸O1を介して接続されている。ステアリング駆動モータ83は、第1および第2の用紙曲がり補正制御において、制御部50からの指示に基づいて駆動してステアリング駆動ローラ80Aおよびセンター駆動ローラ82Aを回転させる。ステアリング駆動モータ84は、ステアリングローラ81のステアリング駆動ローラ81Aに回転軸O2を介して接続されている。ステアリング駆動モータ84は、第1および第2の用紙曲がり補正制御において、制御部50からの指示に基づいて駆動してステアリング駆動ローラ81Aを回転させる。これらのステアリング駆動モータ83,84は、第2の用紙曲がり補正制御において、曲がり検知センサ85,86で検知した用紙Pの通過時間差と搬送線速とから算出される用紙Pの曲がり量に基づいてそれぞれ独立に駆動制御される。
【0030】
曲がり検知センサ85,86は、ステアリングローラ80,81よりも搬送方向D1の下流側であって、かつ、センター基準Cを対称にして用紙Pの搬送方向D1に直交する方向に所定の間隔W3を隔てて配置されている。曲がり検知センサ85,86は、基準用紙幅W1よりも幅広の用紙Pを確実に検出できるように、基準用紙幅W1より内側の領域に配置される。好ましくは、ステアリングローラ80,81が設置された搬送方向D1と同軸上の位置に配置される。また、曲がり検知センサ85,86は、図3(A)に示すように、用紙Pの搬送経路の上下に対向して配置された一対の透過型センサにより構成され、第2の用紙曲がり補正制御において曲がり検知センサ85,86を通過する用紙Pの2点の通過時間を検知する。
【0031】
シフトローラ30は、曲がり検知センサ85,86よりも搬送経路の下流側であって、かつ、ローラの長手方向が搬送方向D1と直交する方向に沿うようにして設置されている。シフトローラ30は、図3(A)および図3(C)に示すように、駆動ローラ32と従動ローラ34とから構成され、後述するシフトローラ圧着部44により駆動ローラ32に従動ローラ34を圧接したり、この圧接を解除したりする。これにより、シフトローラ30は、第1の用紙曲がり補正制御時において、搬送されてくる用紙Pの先端部を突き当ててループを形成することで用紙Pの斜行を補正する。また、第1および第2の用紙曲がり補正制御において、用紙Pをニップして用紙Pの搬送方向D1と直交する方向に移動することで、用紙Pの片寄り補正を行う。
【0032】
ラインセンサ70は、複数のCCD等の撮像素子が一列に並んで構成されたものであって、その並び方向が用紙Pの搬送方向D1と直交する方向に沿うようにして配置されている。また、ラインセンサ70は、シフトローラ30の搬送方向D1の下流側であって、少なくとも用紙Pの一方の側端部に重なる位置に設置され、シフトローラ30を通過した用紙Pの側端部の位置を検出する。
【0033】
透明体検出センサ90は、透明体検出部の一例であり、センターローラ82の搬送方向D1上流側の近傍であって、かつ、最小幅サイズの用紙Pよりも内側に設けられているのが望ましい。透明体検出センサ90は、例えば反射型センサから構成され、搬送されてくる用紙Pが例えばOHP等の透明材料からなる用紙Pであるか否かを検出し、用紙Pが透明である場合には検出信号を制御部50に供給する。
【0034】
[画像形成装置のブロック構成例]
図4は、画像形成装置100のブロック構成例を示している。図4に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置100の全体の動作を制御する制御部50を備えている。制御部50は、例えばCPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)54およびRAM(Random Access Memory)56等を有している。CPU52は、ROM54に格納されたプログラムを読み出してRAM56に展開して実行することにより、画像形成処理や第1および第2の用紙曲がり補正制御を実行する。
【0035】
制御部50には、操作表示部62と記憶部64と画像形成部60と給紙部20と曲がり検知センサ85,86とラインセンサ70とステアリング駆動モータ83,84とステアリングローラ圧着部87とセンターローラ圧着部88とシフトローラ駆動モータ40とスラスト移動モータ42とシフトローラ圧着部44と透明体検出センサ90がそれぞれ接続されている。
【0036】
操作表示部62は、例えば静電容量方式や抵抗膜方式等が採用されたタッチパネルから構成され、ユーザの入力操作に基づく入力情報を検出して操作信号を制御部50に供給する。例えば、操作表示部62は、ユーザにより入力された用紙サイズ情報を受け付けたり、画像形成処理の各種条件を受け付けて、これらの入力情報に基づく操作信号を制御部50に供給する。
【0037】
記憶部64は、例えば半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等から構成されている。記憶部64には、例えば、用紙サイズとこの用紙サイズの用紙幅とが対応付けられたテーブルや、第1の用紙曲がり補正制御または第2の用紙曲がり補正制御を選択する際の基準となる基準用紙幅情報等が記憶されている。
【0038】
画像形成部60は、例えば中間転写ベルト6等を備えており、制御部50から供給される制御情報に基づいて画像形成処理を実行する。給紙部20は、操作表示部62等で入力された用紙サイズ情報に基づいて給紙部20から用紙サイズ情報に対応した用紙Pを画像形成部60に給紙する。
【0039】
曲がり検知センサ85は、例えば透過型センサから構成され、第2の用紙曲がり補正制御において曲がり検知センサ85を通過する用紙Pを検出して検出信号を制御部50に供給する。同様に、曲がり検知センサ86は、例えば透過型センサから構成され、第2の用紙曲がり補正制御において曲がり検知センサ86を通過する用紙Pを検出して検出信号を制御部50に供給する。これにより、曲がり検知センサ85,86を通過する用紙Pの幅方向における先端2箇所の通過時間が検出される。なお、曲がり検知センサ85,86は第1の用紙曲がり補正制御においては、検出の対象とはならない。
【0040】
ラインセンサ70は、シフトローラ30から二次転写部に搬送される用紙Pの側端部の位置を検出し、この検出により得られた検出信号を制御部50に供給する。
【0041】
ステアリング駆動モータ83は、第1および第2の用紙曲がり補正制御が行われる場合に、制御部50から供給される駆動信号に基づいて駆動し、ステアリングローラ80およびセンターローラ82を回転させる。
【0042】
ステアリング駆動モータ84は、第2の用紙曲がり補正制御が行われる場合に、制御部50から供給される駆動信号に基づいて駆動し、ステアリングローラ81を回転させる。また、ステアリング駆動モータ84は、第1の用紙曲がり補正制御が行われる場合にも、ステアリングローラ80と同速度で回転させる。これは、ステアリングローラ81を停止させておくと、搬送される用紙Pがステアリングローラ81に接触してしまい、安定した用紙搬送を行うことができない場合があるからである。なお、センターローラ82は、ステアリングローラ81が回転軸O2を介して接続されたステアリング駆動モータ84に接続しても良いし、独立した駆動モータに接続して回転駆動させても良い。
【0043】
ステアリングローラ圧着部87は、ソレノイドやモータ等により構成され、ステアリング従動ローラ80B,81Bをステアリング駆動ローラ80A,80Bに圧接したり、圧接を解除したりする。これにより、第2の用紙曲がり補正制御時に、基準用紙幅W1を超える用紙Pがステアリングローラ80,81によってニップされて搬送される。
【0044】
センターローラ圧着部88は、ソレノイドやモータ等により構成され、センター従動ローラ82Bをセンター駆動ローラ82Bに圧接したり、圧接を解除したりする。これにより、第1の用紙曲がり補正制御時に、基準用紙幅W1以下の用紙Pがセンターローラ82によってニップされて搬送される。
【0045】
シフトローラ駆動モータ40は、例えばステッピングモータ等により構成され、制御部50から供給される駆動信号に基づいて駆動し、シフトローラ30を回転、停止制御させる。これにより、シフトローラ30に用紙Pを突き当ててループを形成することで、用紙Pの斜行が補正される。
【0046】
スラスト移動モータ42は、例えばステッピングモータ等により構成され、制御部50から供給される駆動信号に基づいて駆動し、ギア等の駆動伝達手段を介してシフトローラ30を用紙Pの搬送方向D1と直交する方向に移動させる。これにより、用紙Pが正規の画像形成位置に移動されて用紙Pの片寄りが補正される。
【0047】
シフトローラ圧着部44は、ソレノイドやモータ等により構成され、従動ローラ34を駆動ローラ32に圧接したり、圧接を解除したりする。これにより、第1および第2の用紙曲がり補正制御が行われた用紙Pがシフトローラ30によってニップされて用紙Pの搬送方向D1と直交する方向にスラスト移動される。
【0048】
制御部50は、例えば操作表示部62で選択された用紙Pの幅方向の長さに応じて、第1の用紙曲がり補正制御を行うか、第2の用紙曲がり補正制御を行うかを判断する。制御部50は、第1の用紙曲がり補正制御を行う場合、センターローラ圧着部88によりセンター従動ローラ82Bを圧接状態とすると共に、ステアリングローラ圧着部87によりステアリング従動ローラ80B,81Bを非圧接状態とする。そして、ステアリング駆動モータ83を駆動してセンターローラ82を回転させ、基準用紙幅W1以下の用紙Pをニップしてシフトローラ30に搬送する。これにより、用紙Pの先端部がシフトローラ30に突き当てられてループが形成されることで用紙Pの斜行が補正される。
【0049】
また、制御部50は、第2の用紙曲がり補正制御を行う場合、ステアリングローラ圧着部87によりステアリング従動ローラ80B,81Bを圧接状態とすると共に、センターローラ圧着部88によりセンター従動ローラ82Bを非圧接状態とする。制御部50は、曲がり検知センサ85,86で検知した用紙Pの通過時間差と搬送線速とから用紙Pの曲がり量を算出し、その曲がり量に応じて一対のステアリングローラ80、81の動作を算出する。そして、その算出結果から、ステアリングローラ80あるいはステアリングローラ81、さらにはその両方の速度を可変させることにより用紙Pを回転させて曲がり補正を行う。
【0050】
さらに、制御部50は、ラインセンサ70により検出された用紙Pの側端部の位置と、予め設定されている画像形成部60により形成する正規の画像形成位置との差分を演算し、演算により得られた差分だけシフトローラ30を用紙Pの搬送方向D1と直交する方向に移動させることで、用紙Pの片寄りを補正する。
【0051】
[画像形成装置の動作例]
図5は、画像形成装置100の制御部50の動作の一例を示すフローチャートを示している。図6〜図11は、搬送装置8Aの動作の一例を示している。図5に示すように、ステップS100で制御部50は、画像形成を行う用紙Pの用紙幅が予め設定されている基準用紙幅W1よりも狭いか否かを判断する。制御部50は、例えば、ユーザにより操作表示部62で選択された用紙Pの用紙サイズから用紙幅を取得し、取得した用紙幅と予め設定されている基準用紙幅W1とを比較し、画像形成を行う用紙Pの用紙幅が基準用紙幅W1よりも狭いか否かを判断する。
【0052】
制御部50は、用紙Pの用紙幅が予め設定されている基準用紙幅よりも狭いと判断した場合にはステップS110に進んで、第1の用紙曲がり補正制御を実行する。一方、用紙Pの用紙幅が基準用紙幅よりも広いと判断した場合にはステップS140に進んで、第2の用紙曲がり補正制御を実行する。
【0053】
第1の用紙曲がり補正制御において、ステップS110で制御部50は、センター従動ローラ82Bのみを圧接状態とする。具体的には、図6(C)に示すように、制御部50は、センターローラ圧着部88を駆動してセンター従動ローラ82Bを圧接状態とし、それ以外のステアリング従動ローラ80B,81Bについてはステアリングローラ圧着部87を駆動して非圧接状態とする。これにより、図6(A)〜図6(C)に示すように、センター駆動ローラ82Aとセンター従動ローラ82Bとにより用紙Pがニップされる。この状態で、ステアリング駆動モータ83を駆動してセンターローラ82を回転させて、用紙Pをシフトローラ30に向けて搬送する。
【0054】
ステップS120で制御部50は、用紙Pのシフトローラ30への突き当てによる用紙曲がり補正を実行する。図7(A)〜図7(C)に示すように、制御部50は、センター従動ローラ82Bを圧接状態としてステアリング駆動モータ83を駆動することで用紙Pを搬送し、用紙Pの先端部をシフトローラ30に突き当てた後に、ステアリング駆動モータ83の駆動速度を徐々に減速させて所定時間停止させることでループRpを形成し、用紙Pの補正を行う(図7(A))。
【0055】
ステップS130で制御部50は、用紙Pの斜行補正が終了したら、用紙Pの片寄り補正を行う。制御部50は、ステアリング駆動モータ83の駆動を再開させて用紙Pを搬送し、シフトローラ30に用紙Pをニップさせた状態とした後にステアリング駆動モータ83の駆動を停止する。そして、図8(C)に示すように、センターローラ圧着部88を駆動してセンター従動ローラ82Bを圧接状態から非圧接状態とする。これにより、センター従動ローラ82Bおよびステアリング従動ローラ80B,81Bの全てのローラの圧接が解除される。ローラの圧接が解除されると、制御部50は、ラインセンサ70の検出結果に基づいて正規の画像形成位置に対する用紙Pのずれ量を算出し、この算出したずれ量に基づいてシフトローラ30を用紙Pの幅方向に移動させることで用紙Pの片寄りを補正する。
【0056】
一方、用紙Pの用紙幅が基準用紙幅よりも広い場合には、第2の用紙曲がり補正制御を実行する。ステップS140で制御部50は、ステアリング従動ローラ80B,81Bを圧接状態とする。図9(C)に示すように、ステアリングローラ圧着部87を駆動してステアリング従動ローラ80B,81Bを圧接状態とすると共に、センター従動ローラ82Bについてはセンターローラ圧着部88を駆動して非圧接状態とする。これにより、図9(A)〜図9(C)に示すように、ステアリング駆動ローラ80A,81Aとステアリング従動ローラ80B,81Bとにより用紙Pがニップされる。この状態で、ステアリング駆動モータ83,84を駆動してステアリングローラ80,81を同じ線速となるように回転させて用紙Pをシフトローラ30に向けて搬送する。
【0057】
ステップS150で制御部50は、用紙PがOHP用紙(透明用紙)であるか否かを判断する。例えば、ステアリングローラ80,81よりも搬送方向D1上流側に設けられた透明体検出センサ90の検出結果に基づいて、搬送されてくる用紙PがOHP用紙か否かを判断する。用紙PがOHP用紙であると判断した場合にはステップS120に進み、用紙PがOHP用紙ではないと判断した通常の用紙Pであるとして場合にはステップS150に進む。
【0058】
用紙PがOHPの場合、ステップS120では、上述したように、シフトローラ30に用紙Pの先端部を突き当ててループRpを形成することで用紙Pの斜行補正を行う。このように、用紙サイズが基準用紙幅W1を超えている場合でも、曲がり検知センサ85,86に透過型センサを用いた場合であってかつ用紙Pが透明材料からなる場合には、第1の用紙曲がり補正制御を実行する。
【0059】
一方、用紙PがOHPでない場合、ステップS160で制御部50は、ステアリングローラ80,81による用紙Pの曲がり補正を行う。図10(A)〜図10(C)に示すように、制御部50は、ステアリング従動ローラ80B,81Bの圧接状態を維持し、曲がり検知センサ85,86の検出により得られた用紙Pの2箇所の通過時間に基づいてステアリング駆動モータ83,84のそれぞれを速度差を持って独立に可変駆動(増速、減速)させることで用紙Pの曲がり補正を行う。用紙Pの曲がり補正が終了したらステップS130に進む。
【0060】
ステップS130で制御部50は、上述したように、用紙Pの片寄り補正を行う。制御部50は、ステアリング駆動モータ83,84の駆動により用紙Pを搬送してシフトローラ30に用紙Pをニップさせた状態とした後に、ステアリング駆動モータ83の駆動を停止する。そして、図11(A)〜図11(C)に示すように、ステアリングローラ圧着部87を駆動してステアリングローラ80,81を圧接状態から非圧接状態とする。これにより、センター従動ローラ82Bおよびステアリング従動ローラ80B,81Bの全てのローラの圧接が解除される。ローラの圧接が解除されると、制御部50は、ラインセンサ70の検出により得られた正規の画像形成位置に対する用紙Pのずれ量を算出し、この算出したずれ量に基づいてシフトローラ30を用紙Pの幅方向に移動させることで用紙Pの片寄りを補正する。このような一連の動作により、第1の用紙曲がり補正制御と第2の用紙曲がり補正制御とを切り替えて実行する。
【0061】
以上説明したように、第1の実施の形態では、基準用紙幅W1よりも用紙幅の小さい用紙Pについては、曲がり検知センサ85,86による検出を行わずに、つまり、ステアリングローラ80,81による第2の用紙曲がり補正制御を行わずに、シフトローラ30による第1の用紙曲がり補正制御を行う。そのため、曲がり検知センサ85,86を用紙幅の広い用紙Pに合わせて配置することができ、用紙幅が広い用紙Pの曲がり検知センサ85,86による検出精度を低下させることなく、用紙曲がり補正を実行することができる。
【0062】
また、基準用紙幅W1よりも幅広の大型の用紙Pについては、用紙Pのシフトローラ30への突き当てによるループ補正を行わないので、突き当て時に用紙Pの搬送を一時停止させる必要がない。その結果、生産性の低下を防止することができる。基準用紙幅W1よりも用紙幅の狭い用紙Pについても、従来通り、シフトローラ30を用いた第1の用紙曲がり補正制御により、用紙Pの片寄りを補正することができる。
【0063】
さらに、曲がり検知センサ85,86として透過型のセンサを用いているので、用紙Pの通過を正確に検出することができ、用紙Pの曲がり補正の精度を向上させることができる。曲がり検知センサ85,86やステアリングローラ80,81の使用個数も従来よりも削減することができ、画像形成装置100の低コスト化および設計の容易化を図ることができる。
【0064】
<2.第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、第1の用紙曲がり補正制御をセンターローラ82を用いて行ったが、第2の実施の形態では、第1の用紙曲がり補正制御をステアリングローラ80,81を用いて行う点において相違している。なお、その他の画像形成装置100の構成は、上記第1の実施の形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0065】
図12(A)は搬送装置8Bの搬送方向D1に直交する方向から見た側面断面図であり、側面断面図であり、図12(B)はその平面図であり、図12(C)は搬送装置B8を搬送方向D1に沿って見た場合の正面図である。図12(A)〜図12(C)に示すように、搬送装置8Bは、一対のステアリングローラ80,81とステアリング駆動モータ83,84と一対の曲がり検知センサ85,86とシフトローラ30とラインセンサ70とを備えている。
【0066】
ステアリングローラ80,81は、第1および第2の用紙曲がり補正制御時に用いられるローラであって、用紙Pの搬送経路のセンター基準Cを対称にして用紙Pの搬送方向D1に直交する方向に所定の間隔を隔てて配置されている。例えば、ステアリングローラ80,81のそれぞれは、画像形成装置100の最小幅サイズの用紙Pよりも内側の領域に配置され、画像形成装置100で使用される全ての用紙サイズの用紙Pをニップして搬送できるようになっている。曲がり検知センサ85,86については、上記第1の実施の形態と同様に、補正制御の切り替えの基準となる基準用紙幅W1と画像形成装置100で使用される最大サイズの用紙Pの用紙幅W2との間の領域に配置される。
【0067】
制御部50は、操作表示部62で入力された用紙サイズの幅方向の長さに応じて、第1の用紙曲がり補正制御を行うか、第2の用紙曲がり補正制御を行うかを判断する。制御部50は、第1の用紙曲がり補正制御を行う場合、ステアリングローラ圧着部87によりステアリング従動ローラ80B,81Bを圧接状態とする。そして、ステアリング駆動モータ83を駆動してステアリングローラ80,81を同じ速度で回転させ、基準用紙幅W1以下の用紙Pをニップしてシフトローラ30に搬送する。これにより、用紙Pの先端部がシフトローラ30に突き当てられてループRpが形成されることで、用紙Pの斜行が補正される。
【0068】
また、制御部50は、第2の用紙曲がり補正制御を行う場合、ステアリングローラ圧着部87によりステアリング従動ローラ80B,81Bを圧接状態とする。そして、曲がり検知センサ85,86により検出された用紙Pの通過時間に応じた速度差でステアリング駆動モータ83,84のそれぞれを独立して駆動することでステアリングローラ80,81を回転させ、用紙Pの曲がり補正を行う。
【0069】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、センターローラ82を用いずに第2の用紙曲がり補正制御で用いるステアリングローラ80,81を兼用して第1の用紙曲がり補正制御を行うので、部品点数を少なくすることができる。その結果、より低コスト化を図ることができると共に、構造の簡略化を図ることができる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。なお、シフトローラ30に用紙突き当てによる斜行補正とスラスト方向への移動による片寄り補正とを兼用させたが、それぞれ独立の機構として設けても良い。
【0071】
また、上記実施の形態では、基準用紙幅W1よりも用紙Pの用紙幅が広い場合に、第2の用紙曲がり補正制御を実行したが、これに限定されることはない。例えば、用紙Pの用紙幅が基準用紙幅W1より広い場合であっても、用紙Pの先端部に切り欠き部分があり、切り欠き部分の位相が曲がり検知センサ85,86と一致している場合には、用紙Pの先端部の曲がり量を測定することが出来なくなり、第2の用紙曲がり補正制御では用紙の曲がり補正が出来なくなる。そのため、この場合には、第1の用紙曲がり補正制御を実行し、シフトローラ30に用紙Pの先端部を突き当てることで用紙Pの曲がり補正を行うこともできる。制御部50は、ユーザによって選択された用紙Pの用紙曲がり補正制御方式を取得し、第1の用紙曲がり補正制御を行うか、第2の用紙曲がり補正制御を行うか決定する。
【符号の説明】
【0072】
8A,8B 搬送装置
30 シフトローラ(第2のローラ部材)
50 制御部
70 ラインセンサ
80,81 ステアリングローラ(第1のローラ部材)
80A,81A ステアリング駆動ローラ
80B,81B ステアリング従動ローラ
82 センターローラ(第3のローラ部材)
82A,82B センター駆動ローラ
85,86 曲がり検知センサ(検出部)
100 画像形成装置
P 用紙
W1 基準用紙幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する第1の方向に直交する第2の方向に所定の間隔を隔てて設けられた一対の第1のローラ部材と、
前記第1のローラ部材よりも前記第1の方向下流側であってかつ前記第2の方向に所定の間隔を隔てて配置され、各配置位置を通過する前記用紙を検出する一対の検出部と、
前記一対の検出部よりも前記第1の方向下流側に設けられた第2のローラ部材と、
前記第1のローラ部材および前記第2のローラ部材の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記用紙の前記第2の方向の長さに応じて、前記用紙の先端部を前記第2のローラ部材に突き当てて前記用紙の曲がりを補正する第1の用紙曲がり補正制御と、前記検出部により検出された前記用紙の各検出時間に基づいて対応する前記第1のローラ部材をそれぞれ独立に回転駆動させて前記用紙の曲がりを補正する第2の用紙曲がり補正制御とを切り替えて行う
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記用紙の前記第2の方向の長さが予め設定されている用紙の前記第2の方向の基準用紙長さよりも短い場合に、前記第1の用紙曲がり補正制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記用紙の前記第2の方向の前記基準用紙長さは、少なくとも前記一対の検出部が設けられた間隔の長さ以上である
ことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記検出部が透過型センサである場合に、前記用紙が透明であるか否かを検出する透明体検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記透明体検出部の検出結果により前記用紙が透明であると判断した場合に、前記第1の用紙曲がり補正制御を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記基準用紙長さの略中央に設けられた第3のローラ部材を備え、
前記制御部は、前記第1の用紙曲がり補正制御を実行する場合に、前記第3のローラ部材を駆動して前記用紙を前記第2のローラ部材に搬送する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記第3のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記制御部は、前記第1の用紙曲がり補正制御を行う場合、前記第1のローラ部材の前記駆動ローラと前記従動ローラとの圧接を解除すると共に、前記第3のローラ部材の前記駆動ローラと前記従動ローラとを圧接する
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第1のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記第3のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記制御部は、前記第2の用紙曲がり補正制御を行う場合、前記第1のローラ部材の前記駆動ローラと前記従動ローラとを圧接すると共に、前記第3のローラ部材の前記駆動ローラと前記従動ローラとの圧接を解除する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記一対の第1のローラ部材は、前記基準用紙長さ方向の両端よりも内側に設けられ、
前記制御部は、前記第1および前記第2の用紙曲がり補正制御を行う場合、前記第1のローラ部材を駆動して前記用紙を搬送する
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記第2のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記制御部は、前記第1の用紙曲がり補正制御または前記第2の用紙曲がり補正制御を行った後、前記用紙を前記駆動ローラと前記従動ローラとにより挟持させた状態で前記第2の方向に前記第2のローラ部材を移動させることで、前記用紙の曲がり補正を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記第1のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記第3のローラ部材は、駆動ローラと従動ローラとを有し、
前記制御部は、前記用紙の曲がり補正を行う場合に、前記第1のローラ部材の前記駆動ローラと前記従動ローラとの圧接を解除すると共に、前記第3のローラ部材の前記駆動ローラと前記従動ローラとの圧接を解除する
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の前記搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−236672(P2012−236672A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106290(P2011−106290)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】