説明

搬送装置及び搬送システム

【課題】 搬送物を無端ベルトに載置するときに、搬送物に加わる衝撃力を均一化可能な構造を備えた搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送方向に延びて対向配置される一対の固定フレーム16の間に、多数の支持ローラ13が搬送方向に並んで配置され、支持ローラ上を無端回動する無端ベルト12上に搬送物を載置して搬送する搬送装置において、固定フレームに、各支持ローラを回転自在に夫々支持すると共に、支持ローラの軸方向と平行な支軸を支点として、揺動可能なアーム15を、搬送方向に沿って多数取り付ける。各アームには、各アームに夫々支持されている支持ローラに対して下向きの押下力が加わると、押下力に応じて反力を該アームに付与するばね20が設けられている。固定フレームには、連続する複数のアームを一組として複数の組にグループ化し、グループ化した組の各ばねを一括してそのばね力を調整する付勢力調整部Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のローラによって支持される、搬送物を搬送するための無端ベルトを有する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物を区分け・搬送する手段として、複数の回転ローラによって支持された無端ベルト上に運搬物を載置して搬送する自動式搬送装置が知られており、その一例を図5に示す。
【0003】
図5には、特許文献1に開示された従来例としての搬送装置が開示されている。同図に示すように、従来例としての搬送装置は、運搬物を搬送する無端平板ベルト101と、多数の可動ローラ102と、各可動ローラ102を回転可能に支持する多数のレバー104と、各レバー104を回転可能に支持する不図示の固定フレーム105と、一端が各レバー104に連結され、他端が固定フレーム105に連結された多数のスプリング106と、各可動ローラ102の間に配置され、固定フレーム105に固定された軸周りに回転可能な複数の固定ローラ107とを有している。
【0004】
スプリング106は、レバー104及び固定フレーム105に対して、伸長された状態で連結されており、この伸張されたスプリング106のばね力により、レバー104が反時計周り方向に回転して、可動ローラ102が無端平板ベルト101の裏面に押圧される構成となっている。
【0005】
また、無端平板ベルト101に搬送物が載置されていない状態において、固定ローラ107は、無端平板ベルト101よりも下側の、無端平板ベルト101とは非接触な位置に配置されている。
【0006】
固定フレーム105には、レバー104の時計回り反対方向の所定角度以上の回転を阻止するための回転止めピン108が設けられており、この回転止めピン108に当接することにより、レバー104の時計回り反対方向の回転が阻止される。
【特許文献1】実公昭53−11991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、例えば、図5に示すように、無端平板ベルト101のうち、固定ローラ107に対応した領域Zに、搬送物が斜めに衝突した場合、無端平板ベルト101が固定ローラ107に接触する位置まで撓んで、搬送物に衝撃が加わるおそれがある。
【0008】
そこで、本願発明は、無端平板ベルトに載置されるときに搬送物に加わる衝撃力を軽減可能な構造を備えた、搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための、本願発明の搬送装置の第1の構成は、搬送方向に延びて対向配置される一対の固定フレームの間に、多数の支持ローラが該搬送方向に並んで配置され、該多数の支持ローラ上を無端回動する無端ベルト上に搬送物を載置して搬送する搬送装置であって、無端ベルトに加わる下向きの押下力に応じた反力を支持ローラに付与する付勢手段と、付勢力を調整する付勢力調整手段とを有することを特徴とする搬送装置。
【0010】
また、本願発明の搬送装置の第2の構成は、搬送方向に延びて対向配置される一対の固定フレームの間に、多数の支持ローラが該搬送方向に並んで配置され、該多数の支持ローラ上を無端回動する無端ベルト上に搬送物を載置して搬送する搬送装置であって、各支持ローラを回転自在に夫々支持すると共に、該支持ローラの軸方向と平行な支軸を支点として、固定フレームに対して揺動可能に取り付けられた多数のアームと、各アームに夫々支持されている支持ローラに対して下向きの押下力が加わると、該押下力に応じて反力を該アームに付与するばねと、搬送方向に沿って設けられた多数のアームに対し、連続する複数のアームを一組として複数の組にグループ化し、各グループ化した組の各ばねを一括してそのばね力を調整するばね力調整手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
ここで、固定フレームに、アームが下向き方向に所定角度以上回転するのを阻止するための多数のストッパを夫々設けるようにしてもよい。
【0012】
また、各ばね力調整手段は、上記グループ化した組ごとに異なるばね力に調整できるように構成するのが好ましい。
【0013】
更に、本願発明の搬送装置は、該搬送装置の搬送方向に沿って複数の搬送物供給エリアが配置された物品搬送設備に適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の第1の構成によれば、前記付勢手段による付勢力を調整することにより、無端ベルトに搬送物を載置したときに、該搬送物に加わる衝撃力を吸収することができる。
【0015】
本願発明の第2の構成によれば、グループ化した組の各ばねのばね力を一括して調整できるため、無端ベルトに載置される搬送物に加わる衝撃力を均一化して、衝撃力を緩和することができる。
【0016】
また、本願発明の搬送装置を、該搬送装置の搬送方向に沿って設けられる複数の搬送物供給エリアに適用することにより、各搬送物供給エリアに対応したばね力とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例である搬送装置の概略構成は、コンテナや箱体等の物品を搬送する無端ベルトと、無端ベルトの下面にローラ面が接触し、コンテナ搬送方向に所定の距離を隔てて複数配置される多数の支持ローラと、各支持ローラの両端に設けられ、各支持ローラを回転可能に支持する多数のアームとを有している。
【0019】
無端ベルトの左右両側には、一対の固定フレームが対向するようにして設けられており、アームは、支持ローラの軸方向と平行な支軸を支点として、固定フレームに対して揺動可能になっており、支軸は、一対の固定フレームに差し渡すようにして設けられている。
【0020】
各アームには、各アームに夫々支持されている支持ローラに対して下向きの押下力が加わると、この押下力に応じて反力を各アームに付与するばねが設けられている。また、固定フレームには、搬送方向に沿って設けられた多数のアームに対し、連続する複数のアームを一組として複数の組にグループ化し、このグループ化した組のばねのばね力を一括して調整できる付勢力調整部が設けられている。
【0021】
本実施例の搬送装置によれば、グループ化した組のばねのばね力を均一に調整できるため、無端ベルト上に移載した際にコンテナに加わる衝撃力を均一化して、衝撃力を緩和することができる。
【0022】
図1、図2、図3、図4及び図5を参照して、本発明の実施例である搬送システムの構成について詳細に説明する。ここで、図1は搬送システムの全体図であり、図2は図1の搬送システムを上から見た上面図であり、図3は図1のX−X断面図であり、図4は図3のY−Y断面図であり、図5は付勢力調整部及び支持ローラの拡大断面図である。なお、図2では、無端ベルトとフレームとの間に配置されているアームなどを省略している。
【0023】
農産物(例えばりんご)が収容された籠形状のコンテナ11を搬送する無端ベルト12は、中空円筒状の多数の支持ローラ13によって支持されている。この多数の支持ローラ13は、コンテナ11の搬送方向に並んで配置されている。
【0024】
各支持ローラ13の両端には、一対のアーム15が対向するようにして配置されており、各アーム15に固定された各ローラ回転軸14が各支持ローラ13の中空開口部13aに挿入された構成となっており、各支持ローラ13は、各アーム15に対して各ローラ回転軸14を中心として回転可能になっている。
【0025】
無端ベルト12の左右両側には、上端及び下端が折れ曲がった一対のコの字形状のフレーム16がコンテナ11の搬送方向に延びるようにして設けられており、このフレーム16の下端曲げ部16bに搬送装置を支持するための搬送装置支持スタンド30が取り付けられている。
【0026】
各一対のアーム15は、一対のフレーム16に橋渡すように固定されたローラ回転軸14と平行な各アーム支軸17を中心として、回転可能に支持されている。各アーム支軸17には、アーム支軸17よりも外径が大きく設定された、補強用のステー18が設けられている。
【0027】
一対のアーム15のうち、一方のアーム15には、他方のアーム15側に向かって突出する第1のばね固定ピン19が設けられている。
【0028】
この第1のばね固定ピン19には、無端ベルト12にコンテナ11を移載することによって、各アーム15に夫々支持されている支持ローラ13に対して下向きの押下力が加わったときに、該押下力に応じて反力を各アームに付与するためのばね20が連結されており、このばね20を付勢力調整部Aで伸長又は短縮することによって、ばね力を調整できるようにしている。
【0029】
また、一対の固定フレーム16のうち、ばね20側の一方の固定フレーム16の内側の面(他方の固定フレーム16に対向する面)には、図5の矢印H方向にアーム15が所定角度以上回転するのを阻止するためのストッパ28が設けられている。この所定角度は、コンテナ11から受ける衝撃力をばね20が吸収するのに十分な値に設定されている。
【0030】
無端ベルト12は、複数のプーリ31を介して駆動モータ32の出力軸に設けられた駆動プーリ33に係合しており、駆動モータ32によって駆動される駆動プーリ33によって牽引されることにより、図1に図示するように矢印I方向に無端回動するようになっている。
【0031】
次に、本実施例の搬送装置に設けられた付勢力調整部Aの構成について、詳細に説明する。本実施例では、搬送装置の搬送方向に沿って2つの移載エリアM、Lが設けられており(図2参照)、各移載エリアM、Lからそれぞれ無端ベルト12上にコンテナ11a、11bが載置されるようになっている。また、移載エリアM、Lと、コンテナ11a、11bとは、それぞれ搬送方向における寸法が略同じに設定されている。このようにコンテナ及び移載エリアの搬送方向における寸法を略同じに設定することにより、搬送システムを主として搬送方向に小型化することができる。
【0032】
移載エリアM、Lは、各移載エリアM,Lから移載されるコンテナの重量に応じてエリア分けされており、移載エリアMから移載されるコンテナ11aの重量は、移載エリアLから移載されるコンテナ11bの重量よりも重い。
【0033】
各移載エリアM、Lに対応する6つの支持ローラ13はそれぞれ、付勢力調整部A1、A2(図1参照)によりその反力を一体として調整されるようになっている
なお、付勢力調整部A1、A2の構成は同様であるため、付勢力調整部A1の構成についてのみ説明する。
【0034】
6つの支持ローラ13による反力を一体として調整できる付勢力調整部A1は、一端がアーム15に固定されたばね20の他端を連結するためのばね固定部と、固定フレーム16に対してコンテナ搬送方向に沿って前後にスライド移動可能なテンションプレート21と、このテンションプレート21に対して固定されたテンションブラケット23と、このテンションブラケット23に固定されたテンション調整ボルト24と、このテンション調整ボルト24に対してコンテナ搬送方向への移動が禁止された状態で締結され、テンション調整ボルト24の中心軸周りに回転させることにより、テンション調整ボルト24をコンテナ搬送方向に移動させるテンション調整ナット25とを有している。
【0035】
テンションプレート21は、一対の固定フレーム16のうちばね20側に位置する一方の固定フレーム16の内側の面(他方の固定フレーム16に対向する面)に接触した状態で配置されている。
【0036】
このテンションプレート21には、各第1のばね固定ピン19に固定された各ばね20を連結するための第2のばね固定ピン26が設けられており、各ばね20は、各第1及び第2のばね固定ピン19、26に対して伸長された状態で取り付けられている。
【0037】
固定フレーム16には、コンテナ搬送方向に沿って延びる長穴部16aが付勢力調整部A1に対応して3つ並設されており(以下、中央に配置される長穴部を、特に「中央長穴部16a」という)、これらの長穴部16aを覆うようにして、固定フレーム16の内側の面にテンションプレート21が接触配置されている。
【0038】
固定フレーム16の外側の面には、テンションプレート21に対して中央長穴部16aを挟んで対向するようにL字状のテンションブラケット23が接触配置されており、テンションブラケット23及びテンションプレート21は、中央長穴部16aを通る連結ボルト22によって、連結されており、コンテナ搬送方向に沿って前後に移動可能となっている。
【0039】
また、固定フレーム16及びテンションプレート21は、残りの2つの長穴部16aを通る連結ボルト22によっても連結されており、これらの連結ボルト22と固定フレーム16との間には、座金29が設けられている。
【0040】
また、テンションブラケット23には、固定フレーム16の外側の面に固定された固定板27を貫通して、コンテナ搬送方向に延びるテンション調整ボルト24の一端が固定されており、テンション調整ボルト24の他端側からテンション調整ナット25が固定板27に接触した状態で締結されている。
【0041】
上述の構成において、テンション調整ナット25を回転させると、テンション調整ボルト24は、回転することなく、テンション調整ナット25の回転方向に応じて、コンテナ搬送方向のうち一方向に移動する。そして、このときテンション調整ボルト24に対して固定されたテンションブラケット23及びテンションプレート21も、該一方向に移動する。
【0042】
このように、テンションプレート21をコンテナ搬送方向に沿って前後方向に移動させてテンションプレート21の位置を変更することにより、同時に6本のばね20を伸長又は短縮させることができるため、これらのばね20によって付与される6本のアーム15による反力を均一化することができる。
【0043】
上述の構成を有する搬送装置の無端ベルト12上にコンテナ11が、例えば、図6に示すように斜めに落下衝突した場合、無端ベルト12が押し下げられるとともに、これに接触する支持ローラ13が、図5の矢印H方向に揺動する。
【0044】
そして、支持ローラ13の揺動動作に応じて、ばね20が更に伸長され、コンテナ11による衝撃力が吸収されるため、コンテナ11に衝撃が伝わりにくい構造を備えた搬送装置を提供することができる。
【0045】
なお、移載エリアM、Lから載置されるコンテナ11の種類が変わり、その重さに変更があった場合には、変更後のコンテナ11の重量に応じてばね力を調整すればよい。
【0046】
また、上述の実施例では、ストッパ28を固定フレーム16に対して、固定としたが、固定フレーム16に対して固定されたアーム支軸17と平行な軸周りに偏芯回転するようにしても良い。これにより、アーム15及びストッパ28の当接位置が変わり、アーム15の駆動端を容易に変更することができる。
【0047】
また、付勢力調整部により複数のばね20のばね力を一体として調整できるようにしたが、個々のばね20に付勢力調整部を設けて、各ばね20のばね力を各付勢力調整部によって調整できるようにしてもよい。
【0048】
さらに、移載エリアM、Lから供給されるコンテナの搬送方向の大きさ(長さ)がそれぞれ異なる場合、コンテナの大きさ(長さ)に応じて支持ローラの数を設定できるようにしてもよい。またさらに、その設定された数の支持ローラを一組としてグループ化し、グループ化した組に付勢力調整手段を設け、大きさの異なるコンテナごとに付勢力を調整することができるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】搬送システムの全体図
【図2】搬送システムの上面図
【図3】図1のX−X断面図
【図4】図2のY−Y断面図
【図5】付勢力調整部及び支持ローラの拡大断面図
【図6】従来例の図面
【符号の説明】
【0050】
11 コンテナ
12 無端ベルト
13 支持ローラ
14 ローラ回転軸
15 アーム
16 固定フレーム
17 アーム支軸
18 ステー
19 第1のばね固定ピン
20 ばね
21 テンションプレート
22 連結ボルト
23 テンションブラケット
24 テンション調整ボルト
25 テンション調整ナット
26 第2のばね固定ピン
27 固定板
28 ストッパ
29 座金
30 搬送装置支持スタンド
31 プーリ
32 駆動モータ
33 駆動プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に延びて対向配置される一対の固定フレームの間に、多数の支持ローラが該搬送方向に並んで配置され、該多数の支持ローラ上を無端回動する無端ベルト上に搬送物を載置して搬送する搬送装置であって、
前記無端ベルトに加わる下向きの押下力に応じた反力を前記支持ローラに付与する付勢手段と、前記付勢力を調整する付勢力調整手段とを有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送方向に延びて対向配置される一対の固定フレームの間に、多数の支持ローラが該搬送方向に並んで配置され、該多数の支持ローラ上を無端回動する無端ベルト上に搬送物を載置して搬送する搬送装置であって、
前記各支持ローラを回転自在に夫々支持すると共に、該支持ローラの軸方向と平行な支軸を支点として、前記固定フレームに対して揺動可能に取り付けられた多数のアームと、
前記各アームに夫々支持されている支持ローラに対して下向きの押下力が加わると、該押下力に応じて反力を該アームに付与する付勢手段と、
搬送方向に沿って設けられた前記多数のアームに対し、連続する複数のアームを一組として複数の組にグループ化し、前記各グループ化した組の前記各ばねを一括してその付勢力を調整する複数の付勢力調整手段と、を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
前記固定フレームには、前記アームが下向き方向に所定角度以上回転するのを阻止するための多数のストッパが夫々設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記各付勢力調整手段は、前記グループ化した組ごとに異なるばね力に調整できることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項5】
該搬送装置の搬送方向に沿って複数の搬送物供給エリアが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の搬送システム。
【請求項6】
前記各搬送物供給エリアの搬送方向における寸法は、各搬送物供給エリアから載置される搬送物の大きさに略対応していることを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記付勢力調整手段は、前記搬送物が載置されたときの衝撃力を吸収可能なように前記付勢手段の付勢力を調整可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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