説明

搬送装置及び搬送方法

【課題】搬送路の幅の低減を図るとともに、搬送路において搬送方向に隣接する搬送物同士が重なり合うのを防ぐ。
【解決手段】平板状の搬送物2の厚み方向に平行な端面3を搬送方向に直交させて複数の搬送物2を搬送方向に並べて搬送する搬送路5を備える。搬送路5は、搬送方向に沿って設けられて搬送物2を対向する間に支持する一対のガイド部材7,8と、一対のガイド部材7,8の各対向面に設けられて搬送物2の端面3の長手方向を鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜させて長手方向の上端側を一方のガイド部材の対向面に当接させるとともに長手方向の下端側を他方のガイド部材の対向面に当接させる複数の突起11,12と、を有する。一対のガイド部材7,8の各対向面には、複数の突起11,12が搬送方向に沿ってそれぞれ交互に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の搬送物を搬送方向に複数並べて搬送する搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の製造工程では、扁平な構成部品としての平板状の搬送物を複数並べて搬送する搬送路を備える搬送装置が用いられている。この種の搬送装置としては、一般に、平板状の搬送物の面積が広い面を下方に向けて搬送する構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、円板状の搬送物の面積が広い面である主面を下方に向けた状態で搬送する搬送装置の構成が開示されている。この搬送装置では、円板状の搬送物を保持するリング状の保持部材が搬送路に沿って複数配置されており、円板状の搬送物がリング状の保持部材の内周部に載置された状態で、搬送路に沿って搬送される構成が採られている。
【0004】
また、他の搬送装置としては、複数の搬送物を搬送用の収納ケースに収納した状態で搬送する構成が知られている。この種の搬送装置では、例えば、平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面を搬送方向に直交させた向きで複数の搬送物を収納ケース内に収納し、この収納ケースを搬送方向に複数並べて搬送する構成が採られている。
【特許文献1】特開2002−1620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した本発明に関連する搬送装置には、以下のような問題点がある。
【0006】
平板状の搬送物の面積が広い面を下方に向けて搬送する構成の場合には、図15(b)に示すように、搬送方向の下流側である正面から見たときに、一対のガイド部材107,108が、搬送方向に直交する搬送路105の幅方向に占める幅W1が大きくなり、搬送路105に要するスペースが大きくなるという問題がある。
【0007】
また、平板状の搬送物の面積が広い面を下方に向けて搬送する構成の場合、搬送物が載置される載置板と搬送物との間の密着性が十分に確保されていないと、載置板と搬送物との間に隙間が生じてしまう。このため、図15(a)に示すように、矢印a方向である搬送方向に隣接する搬送物102同士が乗り上げて、搬送に伴って重なり合いが生じ、2つの搬送物102が一緒に下流側の端部に位置する取り出し部に搬送されてしまうことがある。したがって、この搬送装置は、次工程の加工装置に、2つの搬送物である2つの構成部品を同時に供給してしまうことになり、製造不良や加工装置の故障等を招く原因にもなる。また、搬送物が搬送された搬送路の下流側において作業者が搬送物を手で取り出す場合にも、1つずつ取り扱う搬送物を一度に2つまとめて搬送路から取り出してしまったり、重なり合った2つの搬送物を手作業で分離する必要が生じたりする。すなわち、この構成では、搬送路から搬送物を1つずつ取り出し難く、搬送物を1つだけを取り出す作業が煩雑になる問題がある。
【0008】
また、搬送路が占めるスペースを小さくするために、平板状の搬送物における面積が広い面を搬送方向に交差する方向、つまり搬送路の幅方向に向けて搬送する構成が考えられる。しかしながら、この構成の場合、平板状の搬送物の厚み方向の寸法が比較的小さいために、搬送方向に隣接する搬送物が互いに重なり合う現象が発生する問題がある。このように搬送物同士が重なり合う現象は、搬送物を支持する一対のガイド部材の対向間隔の寸法を、搬送物の厚みとほぼ一致させることで改善することが可能である。だが、一対のガイド部材の対向間隔の寸法を、搬送物の厚みとほぼ一致させることで、搬送物と一対のガイド部材との間で生じる摩擦力が大きくなり、搬送される搬送物に引っかかりが生じ、搬送物の円滑な搬送を行うことが困難になる。
【0009】
また、複数の搬送物を収納する搬送用の収納ケース等を用いて搬送する構成の場合には、搬送用の収納ケースが必要になり、搬送物の搬送後に、搬送物が取り出された収納ケース、いわゆる空き箱を回収する作業も必要になる。また、図16(a)及び図16(b)に示すように、複数の搬送物102を効率的に搬送するために比較的多数の搬送物102を収納する収納ケース110を使用した場合には、少数の搬送物102だけを搬送するときであっても、多数の搬送物102を搬送するときと同様に、収納ケース110が占めるスペースが必要となるという不都合がある。つまり、この構成の場合には、収容ケース110を搬送するための搬送路105において一対のガイド部材107,108が占める幅W2に応じて、搬送路105に要するスペースが大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、搬送方向に直交する搬送路の幅が占めるスペースの低減を図るとともに、平板状の搬送物を搬送方向に複数並べて搬送したときに、搬送方向に隣接する搬送物同士が重なり合うのを防ぐことができる搬送装置及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するため、本発明に係る搬送装置は、平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面を搬送方向に直交させて複数の搬送物を搬送方向に並べて搬送する搬送路を備える。搬送路は、搬送方向に沿って設けられて搬送物を対向する間に支持する一対のガイド部材と、一対のガイド部材の各対向面に設けられて搬送物の端面の長手方向を鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜させて前記長手方向の上端側を一方のガイド部材の対向面に当接させるとともに前記長手方向の下端側を他方のガイド部材の対向面に当接させる複数の傾斜手段と、を有する。そして、一対のガイド部材の各対向面には、複数の傾斜手段が搬送方向に沿ってそれぞれ交互に配置され、搬送方向に隣接する搬送物の前記長手方向が互い交差されるように構成されている。
【0012】
また、本発明に係る搬送方法は、平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面を搬送方向に直交させて複数の搬送物を搬送方向に並べて、搬送物を一対のガイド部材の対向する間に支持して搬送する搬送方法であって、搬送物の端面の長手方向を鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜させて前記長手方向の上端側を一方のガイド部材に当接させるとともに前記長手方向の下端側を他方のガイド部材に当接させ、かつ搬送方向に沿って一対のガイド部材の各対向面にそれぞれ交互に配置された複数の傾斜手段によって、搬送方向に隣接する搬送物の前記長手方向を互い交差させて搬送する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面を搬送方向に直交させて搬送物を搬送することで、搬送路の幅が占めるスペースを低減することができる。また、本発明によれば、平板状の搬送物を搬送方向に複数並べて搬送したときに、搬送方向に隣接する搬送物の端面の長手方向が互いに交差するので、搬送方向に隣接する搬送物同士が重なり合うのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、搬送装置1は、平板状の搬送物2の厚み方向に平行な端面3を、図1中の矢印a方向である搬送方向に直交させて、複数の搬送物2(2a,2b,2c,2d)を搬送方向に並べて搬送する搬送路5を備えている。
【0016】
搬送路5は、搬送物2が載置される載置板6と、搬送物2の端面3の長手方向を鉛直方向に対して傾斜させた状態で搬送物2を対向する間に支持する一対のガイド部材7,8と、を有している。
【0017】
載置板6は、搬送物2が載置される載置面6aが、搬送方向に沿って水平面に対して傾斜されている。これにより、載置面6a上に載置された搬送物2は、搬送物2の自重によって搬送方向に移動されるので、搬送用アクチュエータ等の駆動源を有する搬送機構を用いることなく搬送可能にされている。
【0018】
一対のガイド部材7,8は、各対向面が所定の間隔をあけて搬送方向に沿って設けられており、各対向面が載置板6の載置面6aに対して垂直に配置されている。これら一対のガイド部材7,8の各対向面には、図2に示すように、搬送物2の端面3の長手方向を鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜させる複数の傾斜手段としての突起11,12がそれぞれ設けられている。各突起11,12は、各ガイド部材7,8の対面上における鉛直方向の上部に配置されている。これら突起11,12は、各搬送物2の端面3の長手方向の上端側を一方のガイド部材7(8)の対向面に当接させるとともに長手方向の下端側を他方のガイド部材8(7)の対向面に当接させる。
【0019】
また、一対のガイド部材7,8の各対向面には、複数の突起11,12が搬送方向に沿ってそれぞれ交互に配置されており、一方の突起11(12)に対向する位置に他方の突起12(11)が位置されないように互い違いにされている。このため、搬送路5に沿って複数の搬送物2が搬送されたとき、各搬送物2が各突起11,12によってそれぞれ傾斜されることによって、搬送方向に隣接する搬送物2の端面3の長手方向が互い交差される。さらに、搬送路5に沿って搬送される各搬送物2は、搬送方向に搬送されるのに伴って、一対のガイド部材7,8の各対向面に交互にそれぞれ配置された各突起11,12によって、端面3の長手方向が鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜される向きが交互に変わりながら搬送される。
【0020】
すなわち、図1に示すように、搬送物2aは、一方のガイド部材8の対向面に配置された突起12によって、他方のガイド部材7に搬送物2aの上部が寄りかかるように傾斜されて支持される。この逆に、搬送物2aに隣接する搬送物2bは、他方のガイド部材7の対向面に配置された突起11によって、一方のガイド部材8に搬送物2bの上部が寄りかかるように傾斜されて支持される。また、搬送物2bに隣接する搬送物2cは、搬送物2aと同じ向きに傾斜され、搬送物2cに隣接する搬送物2dは、搬送物2bと同じ向きに傾斜される。
【0021】
また、各突起11,12は、ガイド部材7,8の対向面から半球状に突出されて設けられており、搬送物2との摩擦力が小さくされている。また、各突起11,12は、ガイド部材7,8の対向面からの突出量が、搬送物2を鉛直方向に対して傾斜させたときに、傾斜された搬送物2から離間されるように設定されており、搬送される搬送物2との摩擦力が生じないように設けられている。また、各突起11,12の搬送方向の間隔、いわゆるピッチは、搬送路5を搬送される搬送物2の搬送方向の長さと等しくされている。
【0022】
また、載置板6及び一対のガイド部材7、8は、搬送物2との摩擦力が小さくなるような材料によって形成されて、搬送物2が円滑に摺接するように載置面6a、各対向面が加工されており、搬送物2が摩擦等によって搬送路5の途中で移動が妨げられることを防いでいる。
【0023】
なお、本実施形態の搬送装置1は、例えば、一辺の長さが100mmから200mm程度、厚さが1mmから2mm程度に形成された正方形状の搬送物2を搬送する場合、一対のガイド部材7,8の対向間隔が20mmから40mm程度、一対のガイド部材7,8が搬送路5の幅方向に占める幅W0が30mmから50mm程度にされている。また、この場合、載置板6の載置面6aからのガイド部材7,8の高さが80mm程度にされ、ガイド部材7,8の対向面からの各突起11,12の突出量が10mm程度にされている。そして、載置板6の載置面6a上を搬送される搬送物2は、各突起11,12によって傾斜されたとき、搬送物2の端面3の長手方向が鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜された傾斜角θは20度程度にされている。また、載置板6の載置面6aは、水平面に対する傾斜角が10度から30度程度に設定されており、載置面6a上を搬送物2が自重で円滑に移動するように形成されている。
【0024】
また、図1に示すように、搬送路5の下流側の端部に位置する取り出し部側には、搬送路5に沿って搬送された搬送物2が突き当てられるストッパ部材15が配置されている。ストッパ部材15は、図2に示すように、載置板6の載置面6aに隣接する位置に載置面6aから突出されて配置されている。
【0025】
以上のように構成された搬送装置1について、搬送路5に沿って搬送物2が搬送される動作を、図面を参照して説明する。
【0026】
まず、搬送装置1は、図3(a)及び図3(b)に示すように、搬送路5の上流側に位置する供給部側において、搬送物2aが、その厚み方向に平行な端面3を搬送方向に直交させた向きで、一対のガイド部材7,8の対向間における載置面6a上に載置されて、搬送物2が供給される。搬送物2aは、載置面6a上に載置されることで、載置板6の載置面6aが水平面に対して傾斜されているので、搬送方向の下流側に向かって移動を始める。
【0027】
搬送物2aは、搬送方向に所定量だけ移動されたとき、図4(a)に示すように突起11に当接し、搬送物2aの端面3の長手方向の上部が突起11に倣って移動され、鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向である搬送路5の幅方向の、図4(b)中の矢印b方向に傾斜される。
【0028】
続いて、搬送物2aは、搬送方向に更に移動されたとき、図5(a)に示すように突起12に当接し、搬送物2aの端面3の長手方向の上部が突起12に倣って移動され、鉛直方向に対して搬送路5の幅方向の、図5(b)中の矢印c方向に傾斜される。その後、搬送物2aは、搬送方向の上流から下流に向かって移動するのに伴って、端面3の長手方向が鉛直方向に対して傾斜する向きを、b方向とc方向に交互に変えながら搬送される。そして、搬送物2aは、搬送方向の下流側において、図6(a)及び図6(b)に示すように、突起12によって傾斜された状態で、ストッパ部材15に当接した位置で停止する。
【0029】
次に、この状態で、図7に示すように、次の搬送物2bを搬送物2aと同様に、搬送路5の上流側において、搬送物2bは、その厚み方向に平行な端面3を搬送方向に直交させた向きで、一対のガイド部材7,8の対向間における載置面6a上に載置される。
【0030】
図8に示すように、上述した搬送物2aが搬送方向に搬送される動作と同様に、各突起11、12によって、搬送物2bの端面3の長手方向を、鉛直方向に対してb方向とc方向に交互に変えながら搬送方向の下流に向かって搬送される。
【0031】
そして、搬送物2bが搬送方向に更に移動されたとき、図9に示すように、搬送物2bが突起12に当接してb方向に傾斜された状態で、搬送物2aに当接して停止する。
【0032】
各端面3が当接している搬送物2aと搬送物2bは、端面3の長手方向が鉛直方向に対して傾斜する向きが互いに逆方向になっており、端面3の長手方向が互いに交差されているので、搬送物2bの端面3が搬送物2aの端面3に必ず突き当てられ、搬送物2a、2bが厚み方向に重なり合うことが防止されている。
【0033】
上述したように、搬送装置1によれば、一対のガイド部材7,8が対向する幅W0を小さくし、搬送物2の端面3を搬送方向に直交させて搬送する搬送路5を構成する一対のガイド部材7,8の対向面に、搬送物2の端面3の長手方向を鉛直方向に対して逆向きに傾斜させる突起11,12が搬送方向に沿って交互に設けられて構成されている。この構成によって、複数の搬送物2を搬送方向に並べて搬送するときに、搬送方向に隣接する搬送物2の端面3の長手方向が互いに交差されて搬送されるので、隣接する搬送物2同士が搬送中に接触した場合であっても、これら搬送物2同士が互いに重なり合うことを防止することができる。このため、搬送装置1によれば、搬送路5の幅が占めるスペースの低減を図るとともに、搬送物2を1つずつ搬送路5の取り出し部側に搬送することができる。したがって、搬送装置1は、作業者が搬送物2を容易に1つずつ取り出すことを可能にし、また次工程に確実に1つずつ供給することができる。
【0034】
また、搬送装置1は、重力を利用することによって、搬送物2が自重で搬送されるとともに、各突起11,12によって各搬送物2が傾斜されるので、搬送物2の搬送動作や傾斜動作を行うための駆動機構を別途に備える必要がなく、構成の簡素化、装置全体の小型化を実現することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、搬送物2の端面3の長手方向が鉛直方向に対して搬送方向に直交する方向に傾斜された傾斜角θが20度程度にされたが、この構成に限定されるものではない。搬送装置1は、搬送方向に隣接する搬送物2の端面3の長手方向が互いに交差され、かつ長手方向を鉛直方向に近づけた状態、つまり鉛直方向に対する長手方向の傾斜角θをなるべく小さくした状態で搬送物2を搬送する方が、一対のガイド部材7,8の対向間隔を更に小さくすることが可能になり、搬送路5が占めるスペースを低減できるので好ましい。
【0036】
また、本実施形態では、平板状の搬送物として主面が正方形状の搬送物2が用いられたが、例えば、主面が長方形状の搬送物を搬送する場合、短辺に平行な端面よりも、長辺に平行な端面を搬送方向に直交させた向きで搬送することで、搬送路5に沿って並べられる搬送物2の個数が増え、高効率的に搬送することが可能になるので好ましい。
【0037】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、搬送物2を傾斜させる傾斜手段として、突起11、12が採用されたが、この構成に限定されるものではなく、搬送される搬送物2の移動に伴って、搬送物2の端面3の長手方向が鉛直方向に対して傾斜する向きを交互に変えることが可能な構成であればよい。
【0038】
傾斜手段としては、例えば図10に示すように、搬送物2との摩擦を更に低減するために、対向面にボール部材21を回転自在に配置する構成にされてもよい。また、他の傾斜手段としては、一対のガイド部材7,8の対向面から、搬送物2に対して空気等の流体を噴射して搬送物2を傾斜させる噴射手段としての噴射機構22を備える構成にされてもよい。この噴射機構22としては、搬送動作中は常に流体を噴射する構成や、搬送物の搬送速度に同期した所定の間隔で間欠的に流体を噴射する構成や、搬送物の搬送位置を検出するセンサの検出結果に基づいて流体を噴射する構成等が挙げられる。
【0039】
また、上述した実施形態では、突起11,12が、ガイド部材7、8の対向面における上部側に配置される構成が採られたが、図11に示すように、突起11,12がガイド部材7,8の対向面に下部側に配置されてもよく、突起11,12によって搬送物2を同様に傾斜させて搬送することができる。
【0040】
上述した実施形態では、搬送物2が自重で搬送路5に沿って搬送される構成が採られたが、搬送物2を搬送方向の上流側から下流側に搬送する搬送機構23を備える構成にされてもよい。この搬送機構23としては、例えば図12に示すように、載置板6に配置されたベルトコンベア23aと、このベルトコンベア23aを駆動する駆動機構23bとを有する構成が挙げられる。この構成によれば、搬送機構23によって搬送物2が搬送されるので、ガイド部材7、8、載置板6及び突起11,12との摩擦力によって、搬送物2が搬送路5の途中で止まってしまうのを防ぐことができる。
【0041】
搬送物2a,2bを、搬送方向の上流側から下流側に搬送する搬送機構として、例えば図13に示すように、搬送物2を搬送方向に移動させる方向にボール部材21を回転駆動する駆動機構(不図示)を備える構成にされてもよい。この構成によれば、ガイド部材7、8、載置板6及び突起11,12との間で生じる摩擦力によって、搬送物2が搬送路5の途中で止まってしまうことを抑制できる。
【0042】
図14に示すように、空気等の流体を噴射する噴射機構22を用いて、搬送方向に隣接する搬送物2を交互に傾斜させるときに、搬送物2に対する流体の噴射方向を、搬送物2の搬送方向に直交する方向に向けて噴射する代わり、噴射方向の中心線Dを搬送方向の下流側に向けて若干傾斜させた方向に噴射するのが好ましい。これによって、流体によって搬送物2の搬送力を発生させることができるので、一対のガイド部材7、8及び載置板6との摩擦力によって搬送物2が搬送路5の途中で止まってしまうことを抑制することができる。
【0043】
なお、本発明において、平板状の搬送物としては、四角形をなす板材に限定されるものではなく、円形をなす板材であってもよく、この場合には、本発明における平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面が、円形をなす板材の周面に相当する。
【0044】
また、本発明に係る搬送装置は、例えばCD−ROMや取り扱い説明書等の扁平な構成部品を供給するための部品棚として用いられて好適である。さらに、本発明の搬送装置は、各種加工装置等に構成部品を供給する供給装置に用いられて好適であり、例えば煎餅等のようなほぼ平板状の搬送物の包装機械や、CD−ROMのラッピング装置等に用いられて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態の搬送装置を示す平面図である。
【図2】前記搬送装置を示す正面図である。
【図3】前記搬送装置において搬送物が搬送される状態を説明するための図である。
【図4】前記搬送装置において搬送物が搬送される状態を説明するための図である。
【図5】前記搬送装置において搬送物が搬送される状態を説明するための図である。
【図6】前記搬送装置において搬送物が搬送される状態を説明するための図である。
【図7】搬送路の他の構成例を示す平面図である。
【図8】搬送路の他の構成例を示す平面図である。
【図9】搬送路の他の構成例を示す平面図である。
【図10】搬送路の他の構成例を示す平面図である。
【図11】搬送路の他の構成例を説明するための図である。
【図12】搬送路の他の構成例を説明するための図である。
【図13】搬送路の他の構成例を示す平面図である。
【図14】搬送路の他の構成例を示す平面図である。
【図15】本発明に関連する搬送装置を説明するための図である。
【図16】本発明に関連する他の搬送装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
1 搬送装置
2(2a,2b,2c,2d) 搬送物
3 端面
5 搬送路
6 載置板
6a 載置面
7,8 ガイド部材
11,12 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面を搬送方向に直交させて複数の前記搬送物を前記搬送方向に並べて搬送する搬送路を備え、
前記搬送路は、
前記搬送方向に沿って設けられ、前記搬送物を対向する間に支持する一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材の各対向面に設けられ、前記搬送物の前記端面の長手方向を鉛直方向に対して前記搬送方向に直交する方向に傾斜させて前記長手方向の上端側を一方の前記ガイド部材の前記対向面に当接させるとともに前記長手方向の下端側を他方の前記ガイド部材の前記対向面に当接させる複数の傾斜手段と、を有し、
前記一対のガイド部材の各対向面には、前記複数の傾斜手段が前記搬送方向に沿ってそれぞれ交互に配置され、前記搬送方向に隣接する前記搬送物の前記長手方向が互い交差されるように構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記搬送路は、前記搬送物が載置される載置面が水平面に対して傾斜されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記傾斜手段は、前記一対のガイド部材の前記対向面から突出された突起である、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記傾斜手段は、前記一対のガイド部材の前記対向面に回転自在に設けられたボール部材を有する、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記傾斜手段は、前記ボール部材を回転駆動する駆動手段を有する、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記傾斜手段は、前記一対のガイド部材の前記対向面に、前記搬送物に対して流体を噴射する噴射手段を有する、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記噴射手段は、前記流体の噴射方向が、前記搬送方向に直交する方向に対して前記搬送方向の下流側に向けて傾斜されている、請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
平板状の搬送物の厚み方向に平行な端面を搬送方向に直交させて複数の前記搬送物を前記搬送方向に並べて、前記搬送物を一対のガイド部材の対向する間に支持して搬送する搬送方法であって、
前記搬送物の前記端面の長手方向を鉛直方向に対して前記搬送方向に直交する方向に傾斜させて前記長手方向の上端側を一方の前記ガイド部材に当接させるとともに前記長手方向の下端側を他方の前記ガイド部材に当接させ、かつ前記搬送方向に沿って前記一対のガイド部材の各対向面にそれぞれ交互に配置された複数の傾斜手段によって、前記搬送方向に隣接する前記搬送物の前記長手方向を互い交差させて搬送する搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−47365(P2010−47365A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212927(P2008−212927)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】