説明

搬送装置

【課題】不要となったカードを遊技台島部の側端面の搬送物蓄積部まで搬送して蓄積する搬送装置を提供する。
【解決手段】遊技台島部における遊技台列端の側面に設置される搬送物蓄積部と、各遊技台付設処理装置の背面側に排出されたカード300を搬送物蓄積部に搬送するために搬送物蓄積部と内部空間内の各遊技台付設処理装置の背面側との間をループ状に循環する搬送ベルト部83a、83bと、搬送方向に対して搬送ベルト部83a、83bと対向する側壁面88及び下壁面90により形成される搬送ガイド部87と、搬送方向に対する左右の直交方向に搬送ガイド部87の側壁面88近傍まで達する長さで突出するように搬送ベルト部83a、83bに設置される複数の搬送物押進突起部120と、使用が終了したカード300を各搬送物押進突起部120の間に導くカードガイド部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場の遊技台島部内で紙幣等の搬送物を搬送物蓄積部まで搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台等の遊技台が設置された遊技場では、一般的に遊技台が列を成すように密集させて配置されており、例えば、遊技場の壁面を除けば、2列の各遊技台列が、その背面側同士を対向させて配置されて、列の両側端面部は、遊技台の背面側が見えないように目隠し板等の部材により掩蔽されて内部空間が形成されている。その操作面が同一方向に揃うように横方向に一列に並べられた複数の遊技台の側辺及び上辺を含む周辺部には、挿入された紙幣を検出したりカードの記録内容を検出し、その紙幣の金額やカードの記録内容に対応する数の遊技媒体を貸し出す機能を備える遊技台付設処理装置が配置されている。
【0003】
また、遊技場の壁面に背面側が対向する遊技台列でも、列の両側端面部は、遊技台の背面側が見えないように目隠し板等の部材により掩蔽されて内部空間が形成されている。このような掩蔽された内部空間を囲んで設けられた遊技台列の場所は、遊技場内で各遊技台によりブロック状に囲まれた島が構成されることから、遊技島(以下、遊技台島と記載)と称されている。
【0004】
遊技台付設処理装置は、一般的には、各遊技台の間、例えばある遊技台の左側辺とその隣の遊技台の右側辺との間の台間に設置されており、従って、その中の構成である紙幣の判別装置及びカードの判別装置もその台間に配置されることが多い。その場合には、紙幣は短辺を上下方向に直立させた姿勢(状態)で紙幣の判別装置の挿入口に挿入される。カードは水平の姿勢(状態)でカードの判別装置の挿入口に一方の短辺側から挿入される。
【0005】
従来は、遊技台付設処理装置に挿入された紙幣は、紙幣の種類が検出されてからその内部の紙幣収納部に蓄積され、紙幣収納部が一杯になる前に遊技場の従業員により手作業で回収されていた。しかし、各遊技台の側辺の間の狭い隙間に設置される遊技台付設処理装置に設けることができる紙幣収容部は、容量を大きくできないことから従業員が頻繁に回収する必要があった。
【0006】
この問題を解決するために、遊技台島の内部空間まで搬送された紙幣は、内部空間に設けられた搬送装置により、遊技台島部における少なくとも一方の遊技台列端の側面部に設置された搬送物蓄積部まで搬送されて蓄積されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
従来のそのような搬送装置では、紙幣のみを搬送対象としており、例えば、対向する複数列の搬送ベルトの間に紙幣を挟みこんで搬送するか、対向する複数の搬送ローラの列の間に紙幣を挟みこんで搬送するか、或いは対向する搬送ベルトと搬送ローラの間に紙幣を挟みこんで搬送していた。そのため、従来の搬送ベルトには、例えば、表面の摩擦係数が高くなる材料を用いたり、摩擦係数が高くなるように表面形状を加工を施したり、表面に摩擦係数の高い材料を付加する等のように、高コストの材料を使用するか又は高コストの加工を施す必要があった。
【0008】
搬送ベルトは、紙幣を搬送する面が平坦な形状であるベルト型と、断面円弧状で紙幣を搬送する面が曲面のロープ型がある。搬送ローラは、例えば、対向する搬送ベルトが平ベルト型の場合には円筒形状であり、搬送ベルトがロープ型の場合には、紙幣搬送面の中央が円弧状に凹んだボビン形状又はプーリ形状である。
【0009】
従来の搬送装置を用いた場合には、遊技台付設処理装置に挿入された紙幣は、紙幣判別装置により紙幣の種類が検出されてから上記の搬送装置まで、例えば搬送ローラ等により円滑に搬送装置に受け渡しができるように形成された紙幣ガイド部の中を搬送される。その後の搬送装置による紙幣の搬送は上記したとおりである。このようにして各遊技台付設処理装置に挿入された紙幣は、搬送装置を介して遊技台島部の側端面の搬送物蓄積部まで搬送されて蓄積され、遊技場の従業員による紙幣の回収を容易にすることができた。
【0010】
【特許文献1】特開2004−83199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、遊技台付設処理装置には遊技台の使用者が、会員が保有する会員カード又は当日のみ利用可能な当日カード等を挿入することで遊技媒体を借り受けて利用する場合があり、残数が0になった場合には使用済みとして使用者に返却されるか、遊技台付設処理装置の内部のカード回収部に蓄積されていた。
【0012】
使用者に返却された使用済みの当日カードは、遊技を終了した使用者により通常はゴミ箱等に捨てられて回収されるが、一部は遊技台の近傍に放置されて最終的に床等に落ちて遊技場内に散乱してしまい、回収されないで環境を悪化させまうという問題があった。
【0013】
これについては、使用者のマナーの問題もあるが、例えば、当日カードは複数日使用を前提としておらず、会員カードのように紙幣を用いて複数日使用できないことからゴミとして廃棄(使用者によっては放置)するしか処理方法がないためと考えられる。
【0014】
また、遊技台付設処理装置が、使用済みの当日カードが各遊技台付設処理装置内のカード回収部に蓄積するタイプである場合には、カード収納部が一杯になる前に遊技場の従業員により手作業で回収する必要があったが、上記した紙幣収容部と同様にカード収容部は容量を大きくできないことから従業員が頻繁に回収する必要があるという問題があった。
【0015】
ここで、例えば単純に上記した従来の紙幣の搬送装置を利用して使用済みの当日カードを搬送することを考察した場合、紙幣は縦横寸法が大きく厚みが小さく(薄く)て可撓性も大きく折り曲げも可能であることに対して、カードは縦横寸法が小さく紙幣に比べて厚みが大きく(厚く)て可撓性も小さく折り曲げは不可能であるため、以下の(1)〜(4)の理由から、紙幣用の搬送装置をそのまま使用済み当日カードの搬送装置として転用することは難しかった。
【0016】
(1)比較的厚いカードを搬送するために、比較的薄い紙幣用に調整された搬送ベルトと搬送ローラの間隔のままの搬送装置を転用しようとすると、搬送ベルトと搬送ローラの間の抵抗が増大することになるので、搬送ベルトの円滑な駆動が困難になる。また、紙幣を搬送する場合とカードを搬送する場合で搬送スピードが変わり、カードの場合の抵抗が大きい場合は搬送ベルトが停止する場合が考えられる。このことは、紙幣を第1の搬送ローラと対向する第2搬送ローラの間に挟んで順次受け渡して搬送するタイプの装置においても同様であり、カードの搬送に転用しようとした場合には上記と同様な問題が発生することから困難となる。
【0017】
(2)遊技台付設処理装置から紙幣を従来の紙幣の搬送装置に導く紙幣ガイド部は、例えば、紙幣の受け渡しを円滑にするために、搬送装置の搬送方向と同一の水平面上で搬送方向に向かって短い寸法の内を大きな曲率で湾曲するように設けられていたが、カードの搬送用に転用しようとすると、上記したようにカードの可撓性は小さいので、紙幣に合わせて水平面上で湾曲されたガイド部分内を搬送させることは困難である。
【0018】
(3)搬送ローラ同士や、搬送ベルトと搬送ローラの組み合わせでカードを搬送しようとすると、紙幣とカードの長辺の長さの違いから、一つのローラと搬送経路上の次の搬送ローラとの間隔を小さくする必要がある。各ローラの間隔を短くすることはローラ数が増加しコストアップとなる。
【0019】
(4)搬送ベルトがロープ型でボビン形状又はプーリ形状の搬送ローラを用いた搬送装置では、上記したようにカードの可撓性は小さいので、搬送ベルトと搬送ローラの間に挟むことができない。従って、このタイプの搬送装置では、カードの搬送は不可能である。
【0020】
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、使用済み当日カードのような不要となったカードを遊技台島部の側端面の搬送物蓄積部まで搬送して蓄積する搬送装置を提供することであり、更に紙幣とカードを同時に搬送物蓄積部まで搬送して蓄積する搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記した目的を達成するため、本発明の搬送装置は、
複数の遊技台と、各遊技台の周辺部に挿入されたカードの記録内容又は紙幣の金額に対応する個数の遊技媒体を貸し出す複数の遊技台付設処理装置が配置されて形成された遊技台列、及び他の遊技台列又は壁面により形成された遊技台島部の内部空間に設けられ、前記遊技台島部における少なくとも一側面に設置されて前記カード及び紙幣を蓄積する搬送物蓄積部まで少なくとも前記紙幣を搬送する搬送ベルト部と、該搬送ベルト部により搬送される前記紙幣の側面及び下面を囲む壁面により形成される搬送ガイド部を備える搬送装置であって、
前記遊技台の周辺部の上面側に配置されて挿入された前記カードを水平姿勢のままで検出するカード識別部から、使用が終了した前記カードを、前記搬送ベルト部と、前記搬送ガイド部の側壁面との間に導くカードガイド部と、
前記遊技台の周辺部の側面側に配置されて挿入された前記紙幣を直立姿勢のままで検出する紙幣識別部から、識別された前記紙幣を前記搬送ベルト部に当接させるように、前記搬送ガイド部の側壁面との間に導く紙幣ガイド部と
を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の搬送装置は、使用済み当日カードのような不要となったカードを遊技台島部の側端面の搬送物蓄積部まで搬送して蓄積する搬送装置を提供することができ、更に紙幣とカードを同時に搬送物蓄積部まで搬送して蓄積する搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、添付の図面を参照して本発明の搬送装置の実施の形態につき説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1の搬送装置が設置された遊技台島部の構成を示す図であり、(a)が正面からの部分外観図、(b)上面からの部分透視図、(c)が側面からの透視図である。
遊技場内には、例えば、複数の遊技台11〜15からなる遊技台列の背面側及び両端側面が掩蔽されることにより遊技台島1と称される遊技台ブロックが、一般的に少なくとも1箇所は設けられる。遊技台島1における遊技台列の背面側には、掩蔽された内部空間(遊技台島の掩蔽領域内部)50が形成される。
【0025】
掩蔽された内部空間50は、遊技台列の両端側面及び遊技台列の背面を全て掩蔽する部材を用いて形成することもできるが、例えば図1(b)及び図1(c)に示したように背面を掩蔽する部材に代えて、他の列の遊技台16〜20を背面が対向するように配置させて掩蔽することによっても形成させることができる。
【0026】
その場合のパチンコ台等の複数の遊技台11〜15は、操作面が同一方向に揃うように横方向に1列に並べられて遊技台列をなすように配置され、その遊技台列の裏側には複数の遊技台16〜20が、複数の遊技台11〜15とは背面同士を対向させて操作面が同一方向に揃うように横方向に1列に並べられて遊技台列をなすように配置される。遊技台島は、その2列に配置された遊技台列の少なくとも側面を遮蔽部材44で掩蔽することにより形成される。このようにして、複数の遊技台11〜15の列と、複数の遊技台16〜20の列との間には、内部空間50が形成される。
【0027】
遊技台付設処理装置21〜25は、対応する各遊技台11〜15の少なくとも左右何れか一方の側面側の間と、各遊技台11〜15の上面側を含んで周辺部に配設され、少なくとも挿入されたカードの記録内容をカード識別部により検出してその記録内容に対応する数の遊技媒体を貸し出す機能を備えている。同様に遊技台付設処理装置26〜30は、対応する各遊技台16〜20の少なくとも左右何れか一方の側面側の間と、各遊技台16〜20の上面側を含んで周辺部に配設される。尚、各遊技台付設処理装置21〜30は、各々対応する各遊技台11〜20と不図示の信号線により通信接続されている。
【0028】
また、遊技台付設処理装置21〜30は、会員が保有する会員カード又は当日のみ利用可能な当日カード等の挿入されたカードを識別して、そのカードに記録されているデータを読み出し、新たに変更されたデータをカードに書き込むことができるカード識別装置61〜70を各遊技台11〜20の上面側に備え、さらに挿入された紙幣を識別する紙幣識別装置71〜80を各遊技台11〜20の少なくとも一方の側面側(台間)に備えている。さらに遊技台付設処理装置21〜30は、挿入された紙幣を検出して該紙幣の金額に対応する数の遊技媒体を貸し出す機能を備えている。
【0029】
図1(a)〜(c)に示されたように、遊技台島1の掩蔽された空間領域50は、まず、遊技台11〜20の操作面である前面側では、横に並べて配置される遊技台付設処理装置21〜30および遊技台11〜20に加えて、それらの上部が前面上部掩蔽部41により、および、それらの下部が台座部(前面下部掩蔽部)42により掩蔽される。また、空間領域50の上面側は、不図示の上蓋部(上面掩蔽部)により掩蔽される。空間領域50の側面側は、側面の掩蔽部材44により掩蔽される。
【0030】
各遊技台11〜20の上面側に設けられるカード識別装置61〜70及び各遊技台11〜20の側面側に設けられる紙幣識別装置71〜80は、各々識別したカード又は紙幣を遊技台島の内部空間に設けられている搬送装置82(後述)に向けて送り出す機能と、遊技台の使用者に返却するために挿入口に戻す機能、及び、その挿入されたカード又は紙幣による動作又はそれらカード又は紙幣に対する動作の確認が終了するまでは、その送り出し経路中にそれらのカード又は紙幣を一時的に滞留させる機能を有している。遊技台島部における少なくとも一方の遊技台列端の側面の遮蔽部材44上には、本実施の形態の搬送装置により搬送されるカードや紙幣等の搬送物を回収して蓄積する搬送物蓄積部81が設置される。
【0031】
その掩蔽された内部空間50内には、遊技台11〜20で使用されるパチンコ玉等の遊技媒体に対して、賞球あるいは回収のために蓄積する場所、循環路、バルブ駆動用のソレノイド、及びモータ等と共に、紙幣識別装置71〜80から内部空間50側に送り出された紙幣と、カード識別装置61〜70から内部空間50側に送り出された使用済みの当日カードを搬送物蓄積部81まで搬送する搬送装置82が設置される。
【0032】
図2は、図1(a)の複数の遊技台11〜15の列の背面側に設けられた搬送装置82の正面からの部分透視図である。
各遊技台11〜20の側面側に設けられた紙幣識別装置71〜75から内部空間50側の搬送装置82に送り出された紙幣200と、各遊技台11〜20の上面側に設けられたカード識別装置61〜65からカードガイド部91〜95により同様に搬送装置82に送り出されたカード300が、搬送装置82により搬送物蓄積部81まで搬送される場合の、遊技台11〜15の列と搬送装置82及び搬送物蓄積部81との位置関係が示されている。
【0033】
図3は、図2の搬送装置82の部分のみを抽出して示した図である。
各遊技台11〜20の上面側に設けられたカード識別装置61〜65から搬送装置82に送り出されるカード300は、通常は使用が終了した使用済みの当日カード、あるいは、例えば遊技場毎に指定される規格内容から外れて装置に悪影響を及ぼす可能性のあるカードや、規格に合致していても公序良俗に反していたり偽造やデータ改ざん等の違法性があって、返却するよりも没収することが妥当であるカードであるが、そのカード300は、カードガイド部91〜95により搬送装置82の所定位置に落下する。この所定位置については図4及び図5を用いて後述する。
【0034】
搬送ベルト部83は、ループ状で断面が円形のロープ形状であり、通常の材料と表面形状の安価な搬送ベルトが用いられる。即ち、特に摩擦係数が高い材料が用いられているわけではなく、又、その表面に摩擦係数を高くする加工が施されているわけではない。各遊技台付設処理装置21〜25の前面側から挿入されて背面側に排出された紙幣200及びカード300を搬送物蓄積部81に搬送するために、その搬送物蓄積部81と内部空間50内の各遊技台付設処理装置21〜25の背面側との間を、図3の矢印方向に循環する。
【0035】
図3の搬送ベルト部83における左右両端部、言い換えれば、遊技台列の両端の遊技台の背面側の内部空間には、例えば外周端面に円弧状の凹溝が形成されたプーリー形状で、搬送ベルト部83の進行方向を逆向きにするベルト方向転換部84、85が設けられている。さらに、その搬送ベルト部83を直接に駆動するか、ベルト方向転換部84、85を介して間接的に駆動するために、例えば、モータと変速ギア等からなるベルト駆動部86が設けられている。
【0036】
又、搬送方向に向かう紙幣200及びカード300をガイドするために、紙幣200及びカード300の搬送経路の片側に配置される搬送ベルト部83と対向する側壁面88を少なくとも形成する搬送ガイド部87が搬送経路に形成され、さらに、その搬送経路における紙幣200及びカード300の搬送経路の下側の壁面(底面)を覆う下壁面90が形成される。
【0037】
図4は、図1(c)の遊技台島の側面からの透視図の主要部をさらに拡大して概略構成を示した図である。
カード識別装置61〜70の内部空間側に設けられるカードガイド部91〜100は、使用が終了したカード300を搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間に導くように形成されるものである。例えば、カード300は、各遊技台11〜20の上面側に設けられたカード識別装置61〜65の水平方向のスリットに沿う横(水平)位置で、搬送ベルト部83とは直交する方向に挿入される。カード300は、そのカードで貸し出しが可能な遊技媒体数が0ではない場合は、返却が可能であるようにカード識別装置61〜70の内部、あるいはカードガイド部91〜100の途中に保持される。
【0038】
そのカードで貸し出しが可能な遊技媒体数が0になった場合で、そのカードが当日カーである場合には、カードガイド部91〜100は、カード300の向きを、搬送ベルト部83に平行となるように下向き方向に徐々に変更させつつ、搬送ガイド部87の側壁面88と搬送ベルト部83との間隙に、搬送ガイド部87の上部から落下するように導く。この落下時には、後述する各搬送物押進突起部120に当たる場合が考えられるが、各搬送物押進突起部120は棒状又はその変形、あるいは付加物が取り付けられたものであり、各搬送物押進突起部120の搬送方向に向かっての設置間隔は、搬送方向に向かって少なくともカードの短辺よりも大きい寸法であるので、自然落下により各搬送物押進突起部120の間に収容される。
【0039】
カードガイド部91〜100には、カード300を落下場所まで導くための搬送ローラ102、103が設けられ、その中の湾曲部分の曲率は、紙幣と比較して可撓性が低いカードの可撓性でも十分に通過が可能な曲率で形成される。カード識別装置61〜70のカード識別部101により識別されたカード300は、例えば搬送ローラ102等により一時的にカードガイド部91〜100内に滞留され、さらに当日カードで使用可能な遊技媒体が0になって使用を終了した(即ち、不要になった)と識別されたカード300については、カードガイド部91〜100の搬送ローラ102、103が駆動されて搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間隙まで搬送される。
【0040】
ここで、循環する搬送ベルト部83は進行方向により2種類に分類でき、搬送物蓄積部81の方向に向かいカード300及び紙幣200を搬送する方向の送り方向搬送ベルト部83aと、搬送物蓄積部81から逆に遊技台付設処理装置21〜25の背面側に向かう帰りの帰り方向搬送ベルト部83bとに分けて考えられる。図4では、上側の搬送ベルトが83aであり、下側の搬送ベルトが帰りの帰り方向搬送ベルト部83bである。搬送ベルト83には、搬送方向に対する左右の直交方向に少なくとも搬送ガイド部87の側壁面88近傍まで達する長さで突出するように複数の搬送物押進突起部120が設けられる。
【0041】
複数の搬送物押進突起部120は、図5を用いて後述するが、例えば、カード300のみを搬送する場合ならば、搬送方向に向かって少なくともカード300の短辺よりも大きい寸法間隔毎に、且つ、図4に示したように搬送ガイド部87における下壁面90からの高さがカード300の短辺よりも小さい寸法で搬送ベルト部83に設置すればよい。この場合には、上記したカードガイド部91〜100から落下したカード300は、たとえ、一旦は搬送物押進突起部120に当たった場合でも、最終的に自然落下により搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間で各搬送物押進突起部120の間に収まる。その結果、カード300は、搬送物押進突起部120により押されて搬送物蓄積部81のところまで搬送されて蓄積される。
【0042】
また、例えば、図2〜図4に示したようにカード300と紙幣200を同時に搬送できるようにするためには、搬送物押進突起部120と搬送ガイド部87の側壁面88又は後述する凹溝89との間に、紙幣200の厚み寸法以上の間隙を有しており、搬送物押進突起部120の先端部の紙幣200と接触する面が、紙幣200を搬送ガイド部87の側壁面88と搬送ベルト部83との間に引き込むと共に、そのまま引きずって搬送できるだけの摩擦力を発生できる構造であればよい。この場合も、上記したカードガイド部91〜100は、使用済みのカード300を、搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間で、各搬送物押進突起部120の間に落下させるように導く。その結果、カード300は、搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間で各搬送物押進突起部120の間に収容され、搬送物蓄積部81のところまで搬送されて蓄積される。
【0043】
尚、搬送ガイド部87の側壁面88には、搬送物押進突起部120の先端形状の外形寸法よりも大きい内形寸法の凹溝89が形成され、搬送物押進突起部120の先端がその凹溝89に遊嵌されており、凹溝89が一種の搬送物押進突起部120のスライドガイドとして機能している。
【0044】
図5は、図4の搬送ベルト部83における搬送物押進突起部120の設置間隔の例を示す図である。
送り方向搬送ベルト部83aには、搬送方向に向かって間隔L1の寸法間隔で複数の搬送物押進突起部120が設けられる。間隔L1は、例えば、カード300のみを搬送する場合には、少なくともカード300の短辺よりも大きい寸法間隔であればよい。また、紙幣200を搬送する場合でも、本実施の形態のように紙幣200を各搬送物押進突起部120と側壁面88との間に挟んで引きずるように搬送する場合には、間隔L1は、上記したカード300の短辺よりも大きい任意の寸法間隔に設定してもよい。
【0045】
紙幣認識装置71〜80の中には、例えば、遊技台付設処理装置21〜30の前面側から挿入された1000円札、2000円札、5000円札及び10000円札を判別する紙幣判別部111が設けられる。紙幣判別部111の内部空間50側には、紙幣搬送ローラ112が設けられる。紙幣識別装置71〜80の紙幣識別部111により識別された紙幣200は、搬送ローラ112が駆動されて搬送ガイド部87まで搬送される。
【0046】
紙幣200は、紙幣判別部111の内部空間50側から搬送ベルト部83に向けてそのベルト面と直交する方向にまず搬送され、さらに搬送ガイド115等により搬送方向と紙幣200との角度が平行になりやすいように導かれてベルト面に当接される。その後、各搬送物押進突起部120が紙幣200を搬送ガイド部87の側壁面88内に引き込み、紙幣200が搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間に入り、さらに各搬送物押進突起部120と側壁面88との間に入った場合には、搬送物押進突起部120により摩擦力で把持されて紙幣200は引きずられるように搬送されて搬送物蓄積部81まで搬送される。
【0047】
紙幣の場合は、紙幣判別部111で判別された紙幣が、搬送ローラ112により搬送ガイド部87まで搬送される。搬送ベルト部83と搬送ガイド部87の側壁面88との間で、さらに各搬送物押進突起部120と側壁面88との間に入った紙幣は、搬送物蓄積部81のところまで搬送されて蓄積される。従って、本実施の形態の搬送装置は、カードと紙幣を搬送するために搬送ベルト部83の表面に特殊な材料や特殊な加工を用いて摩擦係数を高くする必要が無く、各搬送物押進突起部120の先端のみに、紙幣の引き込みのために摩擦係数を高くする特殊な材料、及び/又は、特殊な加工を用いればよく、低コストで製造及び設置が容易な搬送装置を提供することができる。
【0048】
このように本実施の形態の搬送装置では、使用済み当日カードのような不要となったカードを遊技台島部の側端面の搬送物蓄積部まで搬送して蓄積することができ、更に紙幣とカードを同時に搬送物蓄積部まで搬送して蓄積することができるので、従業員の工数を低減させることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
上記した第1の実施形態では、搬送物押進突起部120を用いて、紙幣200を搬送装置82に引き込んでいたが、紙幣が古い等で可撓性が高い場合には、搬送物押進突起部120により紙幣200を搬送装置82に引き込もうとしても、接触面積が少ないため、摩擦力の発生する面積が少なく、搬送物押進突起部120から紙幣200が逃げてしまい、うまく紙幣200を搬送装置82に引き込めずに時間がかかる可能性がある。そこで、実施の形態2では、紙幣200に対する搬送物押進突起部120の接触面積を増大させて引き込み及び搬送動作をより確実にしている。
【0050】
図6(a)は、本発明の第2の実施の形態の搬送装置を側面から拡大して示した図であり、(b)は、(a)の送り方向搬送ベルト部83aにおける搬送物押進突起部120a及び紙幣引き込み部121の断面図であり、(c)が紙幣引き込み部121の設置間隔の例を示す側面図であり、(d)が(c)の搬送物押進突起部120aの紙幣引き込み部121を変形させた変形例122を示す図である。
【0051】
本実施形態と、図4及び図5に示した第1の実施形態との相違は、搬送物押進突起部120aの先端部に、その搬送物押進突起部120aの直径よりも少なくとも上下方向に大径化させた紙幣引き込み部121が設けられている。
【0052】
搬送ガイド部87aの側壁面88aに形成される凹溝89aは、紙幣引き込み部121の外形寸法よりも大きい内形寸法であり、紙幣引き込み部121は、凹溝89aに遊嵌されている。
【0053】
図6に示した紙幣引き込み部121は、先端側が曲面の鍋蓋形状であるが、搬送物押進突起部120aの直径を増大させた円柱形状であってもよい。また、その場合、図6(d)に示したように紙幣引き込み部122の鍋蓋形状部又は円柱形状部には、紙幣200と当接する側の部分を上下方向に切り欠いて平面化することで紙幣接触面123を形成してもよい。また、接触面の摩擦力をさらに増加させるために、紙幣引き込み部122及び/又は紙幣接触面123には、摩擦を増大させるための形状加工、摩擦を増大させる材料(摩擦係数の高い材料)の付加を接触面に対して実施しても良い。
【0054】
このように本実施の形態の搬送装置では、搬送ベルト部83における搬送物押進突起部120aに紙幣引き込み部121を設け、さらにその紙幣200と当接する側の部分を上下方向に切り欠いて平面化して紙幣接触面123を形成したので、紙幣200を搬送装置に引き込む際の接触面積を増加させて摩擦力を増加させることができ、紙幣200を搬送装置に引き込む際に時間がかかったり、引き込みできない事態を回避することができ、搬送をより確実にすることができる。
【0055】
(第3の実施形態)
上記した第2の実施形態では、紙幣200に対する搬送物押進突起部120の直径を少なくとも上下方向に大径化させて鍋蓋形状部又は円柱形状部の紙幣引き込み部121を設けることで、引き込み動作をより確実にしている。紙幣引き込み部121の形状を第2の実施形態のように鍋蓋形状又は円柱形状とすると、接触面積を増加させるためには、紙幣200と接触する側に切り欠き又は研磨・切削加工等を施して、紙幣接触面123を形成する等の後加工の必要があった。そこで、実施の形態3では、紙幣引き込み部124を直方体形状として、その一側面が紙幣200と面で接触するようにして接触面積を増大させることで、後加工を不要にしている。
【0056】
図7(a)は、本発明の第3の実施の形態の搬送装置を側面から拡大して示した図であり、(b)は、(a)の送り方向搬送ベルト部83aにおける搬送物押進突起部120b及び紙幣引き込み部124の断面図であり、(c)が紙幣引き込み部124の設置間隔の例を示す側面図であり、(d)が(c)の搬送物押進突起部120bにおける胴体部に追加引き込み部126を設けた例を示す図であり、(e)は、(d)の送り方向搬送ベルト部83aにおける搬送物押進突起部120bに追加引き込み部126を設けた場合の断面図である。
【0057】
本実施形態と、図6に示した第2の実施形態との相違は、搬送物押進突起部120bの先端部に設けられる紙幣引き込み部124の形状が直方体になり、その一側面が紙幣に接する向きに取り付けられることと、搬送物押進突起部120bの胴体部に追加引き込み部126が設けられていることである。
【0058】
上記した他の実施形態と同様に、搬送ガイド部87bの側壁面88bに形成される凹溝89bは、紙幣引き込み部124の外形寸法よりも大きい内形寸法であり、紙幣引き込み部124は、凹溝89bに遊嵌されている。
【0059】
図7に示した紙幣引き込み部124は、一側面が紙幣200と面で接触するように直方体形状としているが、一側面が紙幣接触面125として紙幣200と面で接触できる形状であれば他の形状であってもよい。また、その場合、図7(d)に示したように紙幣引き込み部124以外の追加引き込み部126を搬送物押進突起部120bの胴体部に形成しても良い。追加引き込み部126は紙幣引き込み部124と同様にその一側面が紙幣接触面127として紙幣に接する向きに設けられている。追加引き込み部126を用いる場合には、図7(e)の左側に示したように、紙幣引き込み部124のみの場合よりも紙幣200を大面積で搬送装置82に引き込み搬送することができる。また、接触面の摩擦力をさらに増加させるために、紙幣引き込み部124及び/又は追加引き込み部126には、摩擦を増大させるための形状加工、摩擦を増大させる材料(摩擦係数の高い材料)の付加を少なくとも紙幣と接触する面に対して実施しても良い。
【0060】
このように本実施の形態の搬送装置では、搬送ベルト部83における搬送物押進突起部120bに、紙幣200と当接する側に平面を有する直方体の紙幣引き込み部121を設け、さらにその紙幣200と当接する側の部分が平面である追加引き込み部126を設けたので、紙幣200を搬送装置に引き込む際の接触面積をさらに増加させて摩擦力を増加させることができ、紙幣200を搬送装置に引き込む際に時間がかかったり、引き込みできない事態を一層回避することができ、搬送を一層確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)が本発明の実施の形態1の搬送装置が設置された遊技台島部の構成を示す正面図であり、(b)がその上面からの透視図、(c)が側面からの透視図である。
【図2】図1(a)の複数の遊技台の列の背面側に設けられた搬送装置を示した透視図である。
【図3】図2の搬送装置のみを更に詳しく示した図である。
【図4】図1(a)の遊技台島の横断面の概略構成を示す図である。
【図5】(a)が図4の搬送ベルト部における搬送物押進突起部の断面図であり、(b)が設置間隔の例を示す側面図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施の形態の搬送装置を側面から拡大して示した図であり、(b)は(a)の送り方向搬送ベルト部83aにおける搬送物押進突起部120a及び紙幣引き込み部121の断面図であり、(c)が紙幣引き込み部121の設置間隔の例を示す側面図であり、(d)が(c)の搬送物押進突起部120aの紙幣引き込み部121を変形させた例の紙幣引き込み部122を示す図である。
【図7】(a)は本発明の第3の実施の形態の搬送装置を側面から拡大して示した図であり、(b)は(a)の送り方向搬送ベルト部83aにおける搬送物押進突起部120b及び紙幣引き込み部124の断面図であり、(c)が紙幣引き込み部124の設置間隔の例を示す側面図であり、(d)が(c)の搬送物押進突起部120bにおける胴体部に追加引き込み部126を設けた例を示す図であり、(e)は(d)の送り方向送り方向搬送ベルト部83aにおける搬送物押進突起部120bに追加引き込み部126を設けた場合の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 遊技台島、
11〜20 遊技台、
21〜30 遊技台付設処理装置、
41 前面上部掩蔽部、
42 台座部(前面下部掩蔽部)、
44 側面の掩蔽部材、
50 内部空間(遊技台島の掩蔽領域内部)、
61〜70 カード識別装置、
71〜80 紙幣識別装置、
81 搬送物蓄積部、
82 搬送装置、
83 搬送ベルト部、
83a 送り方向搬送ベルト部、
83b 帰り方向搬送ベルト部、
84、85 ベルト方向転換部、
86 ベルト駆動部、
87 搬送ガイド部、
88 側壁面、
89 凹溝、
90 下壁面、
91〜100 カードガイド部、
101 カード識別部、
102、103 搬送ローラ、
111 紙幣判別部、
112 紙幣搬送ローラ、
120、120a、120b 搬送物押進突起部、
123、125、127 紙幣接触面、
126 追加引き込み部、
200 紙幣、
300 カード。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技台と、各遊技台の周辺部に挿入されたカードの記録内容又は紙幣の金額に対応する個数の遊技媒体を貸し出す複数の遊技台付設処理装置が配置されて形成された遊技台列、及び他の遊技台列又は壁面により形成された遊技台島部の内部空間に設けられ、前記遊技台島部における少なくとも一側面に設置されて前記カード及び紙幣を蓄積する搬送物蓄積部まで少なくとも前記紙幣を搬送する搬送ベルト部と、該搬送ベルト部により搬送される前記紙幣の側面及び下面を囲む壁面により形成される搬送ガイド部を備える搬送装置であって、
前記遊技台の周辺部の上面側に配置されて挿入された前記カードを水平姿勢のままで検出するカード識別部から、使用が終了した前記カードを、前記搬送ベルト部と、前記搬送ガイド部の側壁面との間に導くカードガイド部と、
前記遊技台の周辺部の側面側に配置されて挿入された前記紙幣を直立姿勢のままで検出する紙幣識別部から、識別された前記紙幣を前記搬送ベルト部に当接させるように、前記搬送ガイド部の側壁面との間に導く紙幣ガイド部と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ベルト部には、搬送方向に対する左右方向に少なくとも前記搬送ガイド部の側壁面近傍まで達する長さで突出し、搬送方向に向かって前記カードよりも大きい寸法間隔毎に、且つ前記搬送ガイド部の下壁面からの高さが前記カードよりも小さい寸法となるように複数の搬送物押進突起部が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ガイド部の側壁面には、前記搬送物押進突起部の先端形状の外形寸法よりも大きい内形寸法の凹溝が形成され、
前記搬送物押進突起部の先端が前記凹溝に遊嵌される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送物押進突起部の先端部には、該搬送物押進突起部の直径よりも上下方向の寸法が大きい紙幣引き込み部が設けられ、
前記搬送ガイド部の側壁面に形成される凹溝は、前記紙幣引き込み部の外形寸法よりも大きい内形寸法であり、前記紙幣引き込み部が前記凹溝に遊嵌される
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記紙幣引き込み部は、少なくとも紙幣と接触する面には、摩擦係数の高い材料を用いる、及び/又は、摩擦係数を増加させる加工を施す
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−185227(P2007−185227A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3611(P2006−3611)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(593014635)大王電子株式会社 (7)
【Fターム(参考)】