説明

搬送装置

【課題】ワークを支持するワーク支持台を搬送台車上の低レベルと高レベルとで支持することができる搬送装置の搬送台車コストの大幅な低減を図る。
【解決手段】ワーク支持台15を高レベルで支持する左右一対の第二支持手段7Aは、ワーク支持台15を低レベルで支持する第一支持手段6Aの前後両側で前後方向に倒れた倒伏姿勢と、上端部が互いに隣接して側面視で三角形となる起立姿勢との間で起伏自在な前後一対の起伏支柱部材11a,11bから構成され、ワーク支持台15には、起立姿勢となった起伏支柱部材11a,11bの互いに隣接する上端部によって支持される被支持部19が設けられ、走行経路側の所要位置には、第一支持手段6Aで支持される低レベルと、第二支持手段7Aで支持される高レベルよりも高い持ち上げレベルとの間で、ワーク支持台15を昇降移動させる昇降装置が配設された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車上のワーク支持台の高さを、支持するワークに対する作業内容に応じて切り換えることができる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車組立てラインにおいては、車体を搬送台車上で支持させて搬送するのであるが、トリム工程やファイナル工程と呼称されるような、車体に対する作業領域が搬送台車床面から低いレベルにあるラインでは、搬送台車上の車体を低レベルで支持させ、シャーシー工程と呼称されるような、車体に対する作業領域が搬送台車床面から高いレベルにあるラインでは、搬送台車上の車体を高レベルで支持させる必要がある。即ち、搬送台車上の車体は、走行経路中の区間ごとに昇降させて、搬送台車から見た車体の高さを変える必要がある。
【0003】
従来は、搬送台車上の車体の高さを走行経路中の区間ごとに変える手段として、特許文献1に記載されるように、搬送台車上に、車体の左右両側部を各別に支持する支持台を、垂直に伸縮する伸縮支持装置で支持させる構成が採用されていた。又、特許文献を開示することはできないが、搬送台車上で車体を支持する支持台を高さの異なるものと交換する方法も考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−153178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような伸縮支持装置を利用する構成では、大型で構造複雑な伸縮支持装置を全ての搬送台車に設ける必要があり、しかも搬送台車上には、車体の下側にも作業床面を確保しなければならないので、大型で構造複雑な伸縮支持装置を、車体の左右両側を各別に支持できるように左右一対並設しなければならない。このため、搬送台車コストが非常に高くなるばかりでなく、搬送台車の左右両側に大型の伸縮支持装置が配設される結果、搬送台車を低床構造に構成することも困難であると共に、支持する車体の周囲の作業床面が狭くなり、作業性の面でも問題点があった。一方、車体支持台を高さの異なるものと交換する方法では、搬送台車コストは下げられても、車体支持台の交換装置が大がかりで高価になる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解消することのできる搬送装置を提案するものであって、請求項1に記載の発明では、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、一定走行経路上を走行する搬送台車1上に、ワーク支持台15を低レベルで支持する左右一対の第一支持手段6A,6Bと、当該ワーク支持台15を高レベルで支持する左右一対の第二支持手段7A,7Bとが設けられた搬送装置であって、各第二支持手段7A,7Bは、各第一支持手段6A,6Bの前後両側で互いに離間する前後方向に倒れた倒伏姿勢と、上端部14が互いに隣接して側面視で三角形となる起立姿勢との間で起伏自在な前後一対の起伏支柱部材11a,11bから構成され、前記ワーク支持台15には、起立姿勢となった前後一対の起伏支柱部材11a,11bの互いに隣接する上端部14によって支持される被支持部19が設けられ、走行経路側のワーク支持レベル切換え位置には、第一支持手段6A,6Bで支持される低レベルと、第二支持手段7A,7Bで支持される高レベルよりも高い持ち上げレベルとの間で、ワーク支持台15を昇降移動させる昇降装置29A,29Bが配設された構成となっている。
【0007】
上記本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前後一対の起伏支柱部材11a,11bの上端部14には、当該起伏支柱部材11a,11bが起立姿勢になって上端部14が互いに隣接したとき、前後方向に互いに嵌合して上下方向の相対移動を阻止する係合部14aを設け、ワーク支持台15に設けられた前記被支持部19は、互いに隣接する両起伏支柱部材上端部14に外嵌する筒状体21で構成することができる。この場合、請求項3に記載のように、ワーク支持台15に設けられた被支持部19には、互いに隣接する両起伏支柱部材上端部14に設けられた係止孔14bに対して水平方向に挿脱自在な連結ピン23と、この連結ピン23を差込み位置に付勢保持するスプリング24とを設けることができる。更にこの場合、請求項4に記載のように、前記昇降装置29A,29Bには、搬送台車1の走行経路の左右両側において昇降する昇降体32を設け、この昇降体32には、左右水平方向に出退自在で、進出状態においてワーク支持台15を支持する支持具50a,50bと、この支持具50a,50bがワーク支持台15を支持する状態において前記連結ピン23を挿脱操作する連結ピン操作手段51を設けることができる。
【0008】
第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bは、搬送台車1上に設けたモーターやシリンダーなどのアクチュエーターにより倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏運動させることも可能である。勿論、前後一対の起伏支柱部材11a,11bが比較的軽量小型に構成されるときは、当該起伏支柱部材11a,11bを手作業で起伏操作するように構成することもできる。しかしながら、アクチュエーターの動力で起伏支柱部材11a,11bを起伏操作する場合、請求項5に記載のように、走行経路側のワーク支持レベル切換え位置に、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bを倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏運動させる切換え装置30A,30Bを配設することができる。この場合、請求項6に記載のように、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bには、その起伏運動に連動して前後方向に運動する被操作レバー60を連動連結し、前記切換え装置30A,30Bには、前記被操作レバー60に対して左右水平方向に係脱自在な操作体62を前後移動させて起伏支柱部材11a,11bを倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏運動させる切換え手段59a,59bを設けることができる。
【0009】
又、請求項7に記載のように、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bが倒伏姿勢にあるとき、当該起伏支柱部材11a,11bを収納する収納凹部12を搬送台車1の床下に形成し、この収納凹部12には開閉自在な蓋板12aを併設し、前記切換え装置30A,30Bには、上昇運動(垂直直線的な上昇運動、又は左右水平支軸の周りでの上下揺動運動)により前記蓋板12aを開動させる蓋板開閉操作装置31A,31Bを併設することができる。
【0010】
ワーク支持台15には、第一支持手段6A,6Bで支持される被支持部と第二支持手段7A,7Bで支持される被支持部とを各別に設けることも可能であるが、請求項8に記載のように、第一支持手段6A,6Bは、第二支持手段7A,7Bで支持される被支持部19を介してワーク支持台15を支持する支柱部材8を備えた構造とすることができる。
【0011】
更に、ワーク支持台15を低レベルで支持する第一支持手段6A,6Bは、搬送台車1に対して昇降できない、一定レベルでのみワーク支持台15を支持するものであっても良いが、請求項9に記載のように、第一支持手段6A,6Bは、支持するワーク支持台15を第一低レベルとこれよりも高い第二低レベルとの間で昇降させる昇降支柱部材8を備えた構造とし、走行経路側には、昇降支柱部材8を第一低レベル対応高さから第二低レベル対応高さに押し上げて当該第二低レベル対応高さに保持するカムレール27,28を敷設することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1に記載の本発明の搬送装置では、左右一対の第一支持手段により低レベルで支持されているワーク支持台の支持レベルを高レベルに切り換える場合、ワーク支持レベル切換え位置で搬送台車を停止させた状態で、走行経路側の昇降装置により低レベルで支持されているワーク支持台を、前記高レベルよりも高い持ち上げレベルまで持ち上げた状態で、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材を倒伏姿勢から起立姿勢に起こして当該起伏支柱部材の上端部を互いに隣接させ、この状態で前記昇降装置により持ち上げレベルで支持しているワーク支持台を降下させて、当該ワーク支持台の被支持部を、互いに隣接する前後一対の起伏支柱部材上端部に嵌合させることにより、ワーク支持台を左右一対の第二支持手段により高レベルで支持させることができる。高レベルで支持しているワーク支持台を低レベルに切り換えるときは、上記手順とは逆の手順で、昇降装置によるワーク支持台の昇降操作と、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材を起立姿勢から倒伏姿勢に切り換える操作を行えば良い。
【0013】
而して、上記請求項1に記載の本発明の搬送装置によれば、搬送台車上のワーク支持台の支持高さを、昇降装置によるワーク支持台の昇降操作と、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材に対する起伏操作とで、低レベルと高レベルとの間で切り換えることができるのであるが、仮に、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材を搬送台車側のモーターやシリンダーなどのアクチュエーターで起伏操作させる構成を採用する場合であっても、従来の垂直に伸縮する伸縮支持装置を搬送台車の左右両側部に設置する構成と比較して、搬送台車上のワーク支持台の支持手段の構成が非常に簡単で安価に実施できるものであるから、搬送台車コストを大幅に低減できる。しかも、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材を使用しないときは、単に前後に離間する方向に倒伏させるだけで良いものであるから、従来の伸縮支持装置を利用する構成と比較して、搬送台車を低床構造に構成することが容易である。更に、従来の伸縮支持装置の場合、高レベルでワーク支持台を支持する最大伸長状態での支持強度を高めるため、伸縮支持装置を太い大径のものに構成する必要があるのに対して、前後一対の起伏支柱部材を側面視で三角形に組み立てる本発明の構成によれば、ワーク支持台の支持レベルを十分に高くする場合でも、当該前後一対の起伏支柱部材が占有する空間を比較的小さく抑えながら、必要な支持強度を容易に得ることができる。
【0014】
尚、請求項2に記載の構成によれば、前後一対の起伏支柱部材が起立姿勢になって互いに隣接した状態の上端部が上下方向に相対移動することがなく、この状態の両起伏支柱部材上端部に対してワーク支持台側の被支持部の筒状体を外嵌させるのであるから、側面視で三角形に組み立てられた状態でワーク支持台を支持する前後一対の起伏支柱部材が安定的に自立し、高レベルでのワーク支持台の支持に際しての安全性が向上する。この場合、請求項3に記載の構成によれば、両起伏支柱部材上端部とこれに外嵌するワーク支持台側の被支持部(筒状体)とを連結ピンによって結合して抜け止めするのであるから、一層安全性が向上する。更に、請求項4に記載の構成によれば、昇降装置でワーク支持台を支持して昇降させるときに前記連結ピンをタイミング良く機械的に挿脱操作することができる。
【0015】
又、請求項5に記載の構成によれば、搬送台車上に第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材を倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏運動させる切換え装置を搭載する必要がなくなり、搬送台車コストを一層低減させることができる。この場合、請求項6に記載の構成によれば、搬送台車側には、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材の起伏運動に連動して前後方向に運動する被操作レバーを設けるだけで良く、搬送台車側の構成が簡単になり、搬送台車コストの抑制に役立つだけでなく、走行経路側に設置する切換え装置も簡単な構成で容易に実施することができる。
【0016】
更に請求項7に記載の構成によれば、第二支持手段の倒伏姿勢にある前後一対の起伏支柱部材を床下の収納凹部に収納でき、しかも当該収納凹部は蓋板で閉じておくことができるので、第二支持手段を使用していないとき、即ち、ワーク支持台を第一支持手段で支持しているときの搬送台車上での作業床面積を広く確保することができる。更に、第二支持手段を使用するのに先立って前記収納凹部の蓋板を開動させるとき、その操作を、走行経路側の切換え装置に併設された蓋板開閉操作装置で機械的に行わせることができる。
【0017】
又、第一支持手段は、第二支持手段が支持する被支持部とは別の第一支持手段専用の被支持部を利用してワーク支持台を支持するものであっても良いが、請求項8に記載の構成によれば、第二支持手段が支持する被支持部を利用して第一支持手段でワーク支持台を支持させることができるので、ワーク支持台の構成が簡単になる。
【0018】
ワーク支持台を一つの低レベルで支持することができれば良いときは、第一支持手段は、搬送台車に固定されたものであって良いが、若し、第一低レベルとこれよりも高い第二低レベルとの間でワーク支持台の支持レベルを変える必要のある時は、請求項9に記載の構成を採用することにより、搬送台車側には第一支持手段による支持レベル切換えのための動力源(モーターやシリンダーなどのアクチュエーター)を設けないで簡単に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はワーク支持台が第一低レベルで支持される区間に搬送台車があるときの側面図である。
【図2】図2は図1の正面図である。
【図3】図3はワーク支持台が第一低レベルより高い第二低レベルで支持される区間に搬送台車が進入したときの側面図である。
【図4】図4は図3の正面図である。
【図5】図5はワーク支持台が高レベルで支持される区間に搬送台車があるときの側面図である。
【図6】図6は図5の正面図である。
【図7】図7はワーク支持台が第一低レベル又は第二低レベルで支持される区間に搬送台車があるときの平面図である。
【図8】図8は走行経路中のワーク支持レベル切換え位置に設けられる各種装置を示す平面図である。
【図9】図9は同上ワーク支持レベル切換え位置に搬送台車が位置するときの背面図である。
【図10】図10は昇降装置の片側の昇降体とその昇降駆動手段を示す正面図である。
【図11】図11は昇降装置の片側の昇降体とその昇降駆動手段を示す縦断側面図である。
【図12】図12Aは昇降装置の片側の昇降体を示す横断平面図、図12Bは同昇降体に設けられた連結ピン操作手段を示す側面図である。
【図13】図13は搬送台車の支柱部材収納凹部の蓋板を開閉する操作具を示す側面図である。
【図14】図14は同上操作具が蓋板を開動させた状態を示す縦断正面図である。
【図15】図15はワーク支持台を高レベルで支持する第二支持手段の一部分とこれを起伏操作する切換え装置の一部分を示す側面図である。
【図16】図16は図15の平面図である。
【図17】図17は図15の正面図である。
【図18】図18はワーク支持台を第一支持手段で支持しているときの要部を示す一部縦断側面図である。
【図19】図19はワーク支持台を第二支持手段で支持する直前の状態での要部を示す一部縦断側面図である。
【図20】図20はワーク支持台を第二支持手段で支持しているときの要部を示す一部縦断側面図である。
【図21】図21Aは第二低レベルで支持されているワーク支持台を第二支持手段で支持するまでの作業行程の第一段階を示す一部分の背面図、図21Bは同第二段階を示す一部分の背面図である。
【図22】図22Aは同上作業行程の第三段階を示す一部分の背面図、図22Bは同第四段階を示す一部分の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明において使用される搬送台車1は、図1〜図7に示すように、走行経路に沿って敷設された左右一対のガイドレール2a,2b上を転動する左右一対前後二組の車輪3と、片側のガイドレール2bに隣接して走行経路に沿って敷設された振れ止め用ガイドレール4を左右両側から挟む左右一対のローラーから成る前後二組の振れ止め用ローラーユニット5とを備えている。この搬送台車1を走行経路に沿って走行させるための走行用駆動手段は図示していないが、従来周知の各種の走行用駆動手段、例えば1つ又は複数の車輪3をモーターにより回転駆動する走行用駆動手段や、搬送台車1の走行方向と平行な両側面の一方に圧接するモーター駆動の摩擦駆動輪と他方の側面に圧接するバックアップローラーとから成る摩擦駆動方式の走行用駆動手段などが採用できる。
【0021】
搬送台車1の左右両側部には、前後方向の中間位置において、左右一対の第一支持手段6A,6Bと、左右一対の第二支持手段7A,7Bが設けられている。第一支持手段6A,6Bは、搬送台車1を上下に貫通する角柱状の昇降支柱部材8を備えている。この昇降支柱部材8は、搬送台車1の底部に取り付けられた昇降ガイド手段9が備える、昇降支柱部材8の4側面それぞれに当接して自転可能な周方向4つ上下二組のローラー(水平支軸で軸支されたローラー)によって、垂直に昇降のみ可能に支持されたもので、下端には左右水平支軸で軸支されたカム従動ローラー10を備えている。第二支持手段7A,7Bは、各第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8の前後に配設された前後一対の起伏支柱部材11a,11bを備えている。
【0022】
これら両起伏支柱部材11a,11bは、前記昇降支柱部材8の前後において、搬送台車1の床下に形成された前後走行方向に長い収納凹部12内の前記昇降支柱部材8に隣接する内端部に左右水平支軸13によって軸支されたもので、前記収納凹部12内に収納される倒伏姿勢と、上端部14が互いに隣接して側面視で二等辺三角形を形成する起立姿勢との間で、前記左右水平支軸13の周りに起伏揺動自在に構成されている。倒伏姿勢の起伏支柱部材11a,11bが収納される収納凹部12には、図7、図13、及び図14に示すように、閉じたときに搬送台車1の床面と面一になる蓋板12aが、当該収納凹部12の搬送台車1の左右幅方向の中央側の側辺に蝶番12bにより上下に開閉自在に軸支され、更に捩じりコイルスプリング12cにより閉じ方向に付勢されている。
【0023】
第一支持手段6A,6Bと第二支持手段7A,7Bとによって択一的に支持されるワーク支持台15は、ワーク、即ち、自動車組立てラインにおける自動車の車体Wの左右両側部を各別に支持する左右一対の支持台16A,16Bから構成され、各支持台16A,16Bは、前後水平方向の枠材17と、この枠材17から内側に延出する前後一対の支持アーム18と、枠材17のほぼ中央下側に下向きに突設された被支持部19とから構成され、枠材17には、前後一対の外向きに開口する水平角孔部20a,20bが設けられている。被支持部19は、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8の上端部と、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bが起立して互いに隣接する2つの上端部14との何れにも外嵌可能な下端開放の角筒状の筒状体21から構成され、この筒状体21(被支持部19)には、連結手段22が付設されている。
【0024】
連結手段22は、図18及び図19に示すように、筒状体21を前後水平方向に横断貫通可能な連結ピン23と、この連結ピン23を、筒状体21を横断貫通する進出位置に付勢保持するコイルスプリング24とから構成され、連結ピン23の外端部には、被操作用小径軸部23aが形成されている。25は、連結ピン23の外端側を支持すると共にコイルスプリング24を内装するケーシングであって、筒状体21から後方に突設されている。而して、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8の角柱状の上端部8aには、支持台16A,16B側の被支持部19(筒状体21)内に相対回転不能に嵌入して当該支持台16A,16Bを支持したとき、前記連結ピン23が横断貫通し得る係止孔8bが設けられている。
【0025】
又、図19及び図20に示すように、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bの上端部14には、両起伏支柱部材11a,11bが起立して上端部14が互いに隣接したときに互いに前後方向に嵌合して、両上端部14が上下方向に相対移動するのを阻止するラックギヤ状の係合部14aが形成され、これら両係合部14aが互いに嵌合する状態で両起伏支柱部材11a,11bの上端部14が互いに前後に隣接したとき、これら2つの上端部14は、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8の角柱状の上端部8aとほぼ同一サイズの角柱状となり、支持台16A,16B側の被支持部19(筒状体21)内に相対回転不能に嵌入して当該支持台16A,16Bを支持することができると共に、前記連結ピン23が横断貫通し得る係止孔14bが両上端部14に跨がって設けられている。
【0026】
上記構成の搬送台車1の走行経路には、図1及び図2に示すように、車体Wを支持したワーク支持台15(支持台16A,16B)を第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8により第一低レベルで支持して搬送する第一搬送区間と、図3及び図4に示すように、車体Wを支持したワーク支持台15(支持台16A,16B)を第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8により、第一低レベルよりも高い第二低レベルで支持して搬送する第二搬送区間と、図5及び図6に示すように、車体Wを支持したワーク支持台15(支持台16A,16B)を第二支持手段7A,7Bの前後一対の起立状態の起伏支柱部材11a,11bにより高レベルで支持して搬送する第三搬送区間が設けられている。第一搬送区間には、図1及び図2に示すように、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8を、その下端のカム従動ローラー10を介して第一低レベル対応の高さで移動可能に支持する帯板状の低位カムレール26が床面上に敷設され、車体W及びワーク支持台15の全荷重を、左右一対の昇降支柱部材8を介して低位カムレール26により支持するように構成しているが、前記低位カムレール26で支持されるレベルまで降下した昇降支柱部材8を搬送台車1側の受け具で受け止めるように構成して、前記低位カムレール26を省くことも可能である。
【0027】
第二搬送区間には、図3及び図4に示すように、昇降支柱部材8を、その下端のカム従動ローラー10を介して第二低レベル対応の高さで移動可能に支持する帯板状の高位カムレール27が敷設され、第一搬送区間と第二搬送区間との間には、搬送台車1の走行に伴ってカム従動ローラー10を介して昇降支柱部材8を徐々に押し上げるか又は徐々に降下させる傾斜カムレール28が敷設される。この第一搬送区間と第二搬送区間を走行する搬送台車1においては、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8の上端部8aが、図18に示すように、ワーク支持台15(支持台16A,16B)の被支持部19(筒状体21)内に嵌入して、それぞれ支持台16A,16Bを支持するが、このとき被支持部19が備える連結手段22の連結ピン23が昇降支柱部材8の上端部8aの係止孔8bを横断貫通しており、昇降支柱部材8と支持台16A,16Bとが完全に結合一体化されている。
【0028】
第三搬送経路では、搬送台車1の第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bが起立姿勢に切り換えられ、図20に示すように、互いに前後に隣接すると共に係合部14aどうしが嵌合した状態の両起伏支柱部材11a,11bの上端部14が、ワーク支持台15(支持台16A,16B)の被支持部19(筒状体21)内に嵌入して、それぞれ支持台16A,16Bを高レベルで支持するが、このとき被支持部19が備える連結手段22の連結ピン23が両起伏支柱部材11a,11bの上端部14の係止孔14bを横断貫通しており、両起伏支柱部材11a,11bと支持台16A,16Bとが完全に結合一体化されている。この第三搬送区間を搬送台車1が走行するときは、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8は、搬送台車1側の受け具で支持される下降限高さまで降下している。
【0029】
以上のように搬送台車1を使用することにより、走行経路中の各搬送区間ごとに、車体Wを支持するワーク支持台15の支持レベルを、当該車体Wに対する作業領域の搬送台車1の床上高さに応じて変えることができるのであるが、ワーク支持台15を第一低レベル又はこれより高い第二低レベルで支持する第一搬送区間又は第二搬送区間において搬送台車1が走行するときは、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bは倒伏姿勢で床下の収納凹部12内に収納され、当該収納凹部12は蓋板12aで閉じておけるので、搬送台車1上の作業床に利用できる床面積が第二支持手段7A,7Bの存在によって狭められることはない。又、ワーク支持台15を高レベルで支持する第三搬送区間において搬送台車1が走行するときは、ワーク支持台15の左右両側部に、側面視で二等辺三角形を形成する状態で起立する起伏支柱部材11a,11bが存在するだけで、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8は、前後一対の起伏支柱部材11a,11b間で下降限高さに降下しているので、この第一支持手段6A,6Bが搬送台車1の床上での作業の邪魔になることは殆どない。
【0030】
搬送台車1上のワーク支持台15を第一低レベルとこれより高い第二低レベルとの間で切り換えることは、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8と傾斜カムレール28とを利用して搬送台車1の走行に伴い自動的に行なわせることができるが、第二低レベルで支持しているワーク支持台15を、第二支持手段7A,7Bで支持する高レベルに切り換えるためには、その走行経路中の前記第二搬送区間と第三搬送区間との間のワーク支持レベル切換え位置に配設された、図8及び図9に示す昇降装置29A,29B、切換え装置30A,30B、及び当該切換え装置30A,30Bに併設された蓋板開閉操作装置31A,31Bが使用される。
【0031】
以下、ワーク支持レベル切換え位置に配設された昇降装置29A、切換え装置30A、及び蓋板開閉操作装置31Aは、ワーク支持台15の2つの支持台16A,16Bの内、片側の支持台16Aと当該支持台16Aを支持する第二支持手段7Aとに対応するものであり、昇降装置29B、切換え装置30B、及び蓋板開閉操作装置31Bは、他方の支持台16Bと当該支持台16Bを支持する第二支持手段7Bとに対応するものである。従って、搬送台車1の走行経路の左右両側に振り分け配置される各2つの装置、即ち、昇降装置29A,29B、切換え装置30A,30B、及び蓋板開閉操作装置31A,31Bは、それぞれ対称構造であって、作用も同一であるから、以下、片側の各装置29A〜31Bについて説明する。
【0032】
昇降装置29Aは、昇降体32と当該昇降体32を昇降駆動する昇降駆動手段33とを備えている。昇降体32は、水平架台34上に立設され且つ水平連結構造体35により上端部が互いに連結一体化されて搬送台車1の走行経路に沿って並列する一対の支柱構造体36a,36b間において昇降するものであって、両支柱構造体36a,36bに敷設された昇降ガイドレール37にそれぞれ係合するスライドガイド38を両側辺部に備えると共に、搬送台車1の走行経路に対して直角水平向きに往復移動自在な出退移動台39を備えている。昇降駆動手段33は、図10及び図11に示すように、水平架台34に設置された減速機及びブレーキ付きモーター40と、このモーター40の出力軸に連動連結された駆動軸40aに並列状に取り付けられた2つの大径歯輪41と、この大径歯輪41に一端が係止され且つ当該大径歯輪41に巻回されて上向きに延出される2本の並列するチエン42と、当該チエン42を下向きに転向させるために昇降体32の中央真上位置で水平連結構造体35の下側に軸支された案内歯輪43とで構成され、案内歯輪43から垂下する2本のチエン42で昇降体32のほぼ中央位置が、当該昇降体32に取り付けられたチエン連結用垂直軸杆44を介して吊り下げられている。従って、モーター40で大径歯輪41を正転させることにより、チエン42を介して昇降体32が吊り上げられて上昇し、モーター40で大径歯輪41を逆転させることにより、昇降体32が重力でチエン42を引張しながら降下することになる。尚、昇降体32の下降限位置から上昇限位置までの昇降は、大径歯輪41の1回転以内の正逆回転で行なわれる。
【0033】
昇降体32が備える出退移動台39は、搬送台車1の走行経路方向に並列し且つ当該走行経路に対して直角水平向きの一対の縦枠材45a,45bを出退移動方向の両端近傍位置で互いに横枠材46a,46bで連結一体化したものであって、縦枠材45a,45bの下側に出退移動方向に沿って敷設されたスライドガイドレール47が昇降体32上に取り付けられたスライドガイド48に支持されている。この出退移動台39は、縦枠材45a,45bの内側に隣接する位置で、昇降体32との間に介装された2つのシリンダーユニット49a,49bにより、前記出退移動方向に往復駆動されるもので、その両縦枠材45a,45bの先端には、支持台16Aに設けられている水平角孔部20a,20bに同時に嵌脱自在な角軸状の支持具50a,50bが突設されている。
【0034】
前記昇降体32上には、連結ピン操作手段51が搭載されている。この連結ピン操作手段51は、図12にも示されるように、支持台16Aの被支持部19が備える連結手段22の連結ピン23を挿脱操作するものであって、昇降体32上に設けられたスライドガイド52とこれに支持される2列のスライドガイドレール53とを介して、出退移動台39の出退移動方向と平行な方向に往復移動自在な可動体54を備えており、この可動体54の先端部54aに、ガイドロッド55によって前記連結ピン23の挿脱方向に出退移動自在に支持されると共にシリンダーユニット56により出退駆動される操作板57が設けられている。前記可動体54は、前記出退移動台39の一方の縦枠材45aに連結部材58で連結されることにより、当該出退移動台39と一体に出退駆動されるものであって、この出退移動台39を出退駆動する片側のシリンダーユニット49aのピストンロッドが前記連結部材58に連結されている。前記操作板57には、前記連結ピン23の外端部に設けられた被操作用小径軸部23aに嵌脱自在な係合凹部57aが先端に設けられている。
【0035】
切換え装置30Aは、第二支持手段7Aの前後一対の起伏支柱部材11a,11bのそれぞれに対応する2つの切換え手段59a,59b(図8参照)から構成されている。先に説明したように、第二支持手段7A,7Bの前後一対の起伏支柱部材11a,11bは、左右水平支軸13によって収納凹部12内に基端部が軸支されているが、これら各起伏支柱部材11a,11bの基端部から搬送台車1の下側に突出して、各起伏支柱部材11a,11bの起伏運動と連動して前後に揺動する被操作レバー60が連設され、この被操作レバー60の先端の外側には、左右水平支軸で軸支されたローラー60aが設けられている。而して、各切換え手段59a,59bには、図15〜図17に示されるように、可動台61と操作体62とが設けられている。
【0036】
可動台61は、後退限位置にある当該可動台61よりも搬送台車1の走行経路から離れる側に設置された基台63上に、当該基台63上に搬送台車1の走行経路方向に対して直角水平向きに敷設された2列のスライドガイドレール64と、当該スライドガイドレール64に嵌合するスライドガイド65を下側に備え且つ可動台61側に延出する2つの支持部材61aを介して支持され、基台63との間に介装されたシリンダーユニット66により、搬送台車1の走行経路方向に対して直角水平向きに出退駆動される。操作体62は、前記可動台61上に搬送台車1の走行経路方向に沿って敷設されたスライドガイドレール67とこれに嵌合するスライドガイド68を介して支持され、当該操作体62と可動台61との間に介装されたシリンダーユニット69によって、搬送台車1の走行経路方向に往復駆動される。操作体62には、搬送台車1の走行経路側へ接近移動することにより、前記起伏支柱部材11a,11bから連設された被操作レバー60の先端のローラー60aに外嵌する上下方向の凹溝部62aが形成されている。この凹溝部62aの上下方向の長さは、被操作レバー60が起伏支柱部材11a,11bと連動して左右水平支軸13の周りで前後に回動するときのローラー60aの上下方向の高さの変化を吸収できるだけの上下方向長さを備えている。
【0037】
蓋板開閉操作装置31Aは、第二支持手段7Aの前後一対の起伏支柱部材11a,11bのそれぞれを収納するように搬送台車1の側辺に設けられた前後2つの収納凹部12の蓋板12aのそれぞれに対応する2つの蓋板開閉操作手段70a,70b(図8参照)から構成されている。各蓋板開閉操作手段70a,70bは、図13及び図14に示すように、基板71上に左右水平支軸72の周りで上下揺動自在に軸支された蓋板押し上げレバー73と、当該蓋板押し上げレバー73の基端部から連設されたアーム74と前記基板71との間に介装されたシリンダーユニット75から構成され、蓋板押し上げレバー73の先端には、前記蓋板12aに当接するローラー73aが左右水平支軸により軸支されている。
【0038】
次にワーク支持レベル切換え位置での作用について説明すると、第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8によってワーク支持台15の左右一対の支持台16A,16Bが図3及び図4に示す第二低レベルL2で支持されている状態の搬送台車1が、ワーク支持レベル切換え位置の定位置で停止したならば、図21Aに示すように、昇降装置29A,29Bにより支持台16A,16Bを、第二支持手段7A,7Bで支持される高レベルよりも高い持ち上げレベルL3まで持ち上げる。
【0039】
即ち、図21に仮想線で示すように、第二低レベルL2にある支持台16A,16Bに対応する下降限レベルにある昇降装置29A,29Bの昇降体32上で、シリンダーユニット49a,49bにより出退移動台39を進出限位置まで進出移動させる。このとき連結ピン操作手段51の可動体54も、出退移動台39と一体に進出限位置まで進出移動する。この結果、出退移動台39の一対の支持具50a,50bが第二低レベルL2にある支持台16A,16Bの一対の水平角孔部20a,20b内に嵌入すると同時に、連結ピン操作手段51の可動体54に後退限位置で支持されている操作板57の係合凹部57aが、当該支持台16A,16Bの被支持部19に設けられている連結手段22の連結ピン23、即ち、図18に示すように、被支持部19(筒状体21)とこれに内嵌する昇降支柱部材8の上端部8aとを結合している連結ピン23の被操作用小径軸部23aに係合する。
【0040】
この状態で、図12Aに仮想線で示すように、連結ピン操作手段51の操作板57をシリンダーユニット56により連結ピン23の軸心方向に進出移動させ、図19に示すように、当該操作板57により連結ピン23をコイルスプリング24の付勢力に抗して退出移動させることにより、被支持部19(筒状体21)とこれに内嵌する昇降支柱部材8の上端部8aとの結合を解く。次に、昇降装置29A,29Bの昇降駆動手段33のモーター40を稼働させて昇降体32を上昇限位置まで上昇させることにより、当該昇降体32上の出退移動台39の一対の支持具50a,50bを介して支持台16A,16Bを、図21Aに示す持ち上げレベルL3まで上昇させる。このとき、支持台16A,16Bの被支持部19(筒状体21)は、搬送台車1側の第一支持手段6A,6Bの昇降支柱部材8から上方に離脱する。
【0041】
次に蓋板開閉操作装置31A,31Bを作動させて、搬送台車1側の各収納凹部12の蓋板12aを開くと共に、切換え装置30A,30Bを作動させて、各収納凹部12内に収納されていた起伏支柱部材11a,11b、即ち、第二支持手段7A,7Bの前後一対の倒伏姿勢にある起伏支柱部材11a,11bを、図21Bに示すように、起立姿勢に切り換える。具体的に説明すると、図13及び図14に示すように、蓋板開閉操作装置31A,31Bにおける各蓋板開閉操作手段70a,70bの蓋板押し上げレバー72を、シリンダーユニット75により左右水平支軸72の周りでほぼ90度回転させて、倒伏姿勢から起立姿勢に切り換え、その過程で蓋板押し上げレバー72を、搬送台車1の下側空間から搬送台車1の収納凹部12内に進入させると共に、当該蓋板押し上げレバー72の先端のローラー72aにより、各収納凹部12の蓋板12aを、捩じりコイルスプリング12cの付勢力に抗して押し上げて、起伏支柱部材11a,11bの起伏運動経路と干渉しない起立姿勢まで開動させる。
【0042】
蓋板12aが開かれたならば、次に切換え装置30A,30Bの各切換え手段59a,59bにおける可動台61を、図15〜図17に示すように、シリンダーユニット66により後退限位置から進出限位置まで進出移動させて、当該可動台61上で進出限位置において待機している操作体62の凹溝部62aを、各収納凹部12内で倒伏姿勢にある各起伏支柱部材11a,11bの被操作レバー60の先端のローラー60aに横から嵌合させる。この状態でシリンダーユニット69により操作体62を進出限位置から後退限位置まで、搬送台車1の走行経路と平行に移動させることにより、操作体62の凹溝部62aとこれに内嵌しているローラー60aとを介して各起伏支柱部材11a,11bの被操作レバー60を左右水平支軸13の周りに回動させる。この結果、各起伏支柱部材11a,11bは、左右水平支軸13の周りに回動して収納凹部12内から起立し、図19に仮想線で示すように、上端部14どうしが互いに隣接する起立姿勢に切り換えられる。
【0043】
前後一対の起伏支柱部材11a,11bの上端部14どうしが互いに隣接したとき、先に説明したように、係合部14aどうしが互いに係合して、起立姿勢となった前後一対の起伏支柱部材11a,11bが側面視で確実に二等辺三角形を形成し、その互いに重なり合った上端部14の真上に、図21Bに示すように、昇降装置29A,29Bで持ち上げレベルL3まで持ち上げられた状態の支持台16A,16Bの被支持部19(筒状体21)が待機している状態になる。従って、次に昇降装置29A,29Bの昇降体32を昇降駆動手段33のモーター40により降下させ、当該昇降体32上の出退移動台39の支持具50a,50bにより持ち上げレベルL3で支持している支持台16A,16Bを降下させると、このとき当該支持台16A,16Bの被支持部19における連結手段22の連結ピン23が、昇降体32上の連結ピン操作手段51によって、先に説明したように筒状体21内から退出した状態に保持されているので、降下する支持台16A,16Bの被支持部19(筒状体21)が、起立姿勢となった前後一対の起伏支柱部材11a,11bの互いに重なった上端部14に対して外嵌し、図22Aに示すように、当該前後一対の起伏支柱部材11a,11bによって支持台16A,16Bが受け止められることになる。
【0044】
係る状態において、昇降体32上の出退移動台39をシリンダーユニット49a,49bにより昇降体32上の後退限位置まで後退移動させると、連結ピン操作手段51の操作板57が、支持台16A,16Bの被支持部19における連結手段22の連結ピン23(被操作用小径軸部23a)から横側方に離脱するので、当該連結ピン23がコイルスプリング24の付勢力で筒状体21内に進入し、図20に示すように、支持台16A,16Bの被支持部19(筒状体21)内に嵌合している前後一対の起伏支柱部材11a,11bの互いに重なった上端部14の係止孔14bを貫通し、両起伏支柱部材11a,11bの互いに重なった上端部14と支持台16A,16Bの被支持部19とを結合一体化する。
【0045】
上記のようにして、支持台16A,16Bを第二支持手段7A,7Bの起立姿勢にある前後一対の起伏支柱部材11a,11bの上端部14で支持させたならば、図22Bに示すように、昇降装置29A,29Bの昇降体32を昇降駆動手段33のモーター40により下降限位置まで降下させると共に、切換え装置30A,30Bの各切換え手段59a,59bにおける可動台61をシリンダーユニット66により後退限位置まで後退移動させて、当該可動台61上の操作体62の凹溝部62aを起伏支柱部材11a,11b側の被操作レバー60のローラー60aから横側方に離脱させ、蓋板開閉操作装置31A,31Bの蓋板開閉操作手段70a,70bの蓋板押し上げレバー73をシリンダーユニット75により元の倒伏姿勢に回動復帰させることにより、ワーク支持台15の支持台16A,16Bを第二支持手段7A,7Bにより高レベルで支持した状態の搬送台車1を、ワーク支持レベル切換え位置から発進走行させることができる。
【0046】
尚、連結ピン操作手段51の操作板57は、昇降体32上の出退移動台39が後退限位置まで戻ったとき以降の適当時期に、にシリンダーユニット56により可動体54側に後退移動させ、次の操作に備えさせる。又、切換え手段59a,59bにおける操作体62も、可動台61が後退限位置に復帰した後、シリンダーユニット69により元の進出限位置に復帰させ、次の操作に備えさせる。蓋板開閉操作手段70a,70bの蓋板押し上げレバー73が元の倒伏姿勢に復帰すると、搬送台車1側の各収納凹部12の蓋板12aは、捩じりコイルスプリング12cの付勢力で閉じようとするので、起立姿勢にある各起伏支柱部材11a,11bに当接した状態に保持される。
【0047】
搬送台車1の走行経路中の前記ワーク支持レベル切換え位置では、地上側の各装置19A〜31Bと搬送台車1及びこの搬送台車1上で支持されたワーク支持台15側の操作対象部位との位置関係を正確に一定に保持しなければならないので、搬送台車1は正確に一定位置に停止させる必要がある。従って、当該ワーク支持レベル切換え位置には、例えば図9に示すように搬送台車位置決め装置76を設けることができる。この図9に示す搬送台車位置決め装置76は、搬送台車1の底部の定位置に設けられた被係合凹部に対して先端が係脱自在な係止片77を地上側に設けたものである。当該係止片77は、その中間位置が、搬送台車1の走行経路方向と平行な前後水平支軸78の周りに起伏自在に軸支されたもので、この係止片77の下端部に軸支されたカム従動ローラー79を介して当該係止片77を起伏操作するカム80が、搬送台車1の走行経路方向に対して直交する左右水平方向に横動自在に設置され、当該カム80をシリンダーユニットなどの適当な駆動手段で横動させることにより係止片77を起立運動させ、当該係止片77の先端を、定位置で停止した搬送台車1の底部の被係合凹部に係合させることにより、搬送台車1を定位置、即ち、ワーク支持レベル切換え位置にロックできるように構成したものである。
【0048】
尚、上記実施形態では、ワーク支持レベル切換え位置の各装置29A〜31Bが、第一支持手段6A,6Bにより第二低レベルで支持されている支持台16A,16Bを、高レベルで支持台16A,16Bを支持する第二支持手段7A,7Bに移載する場合について説明したが、昇降体32の下降限位置を、第一支持手段6A,6Bにより第一低レベルで支持される支持台16A,16Bに対応するレベルに設定すれば、各装置29A〜31Bにより、第一支持手段6A,6Bにより第一低レベルで支持される支持台16A,16Bを第二支持手段7A,7Bに移載することもできる。又、上記のワーク支持レベル切換え位置の各装置29A〜31Bは、第二支持手段7A,7Bで高レベルに支持されているワーク支持台15(支持台16A,16B)を、第一支持手段6A,6Bにより第一低レベル又は第二低レベルで支持させる場合にも利用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の搬送装置は、自動車組立てラインにおいて、搬送台車に載せて搬送する車体の支持レベルを、搬送台車の作業床面から見た車体に対する作業領域の高さが異なるトリム工程、ファイナル工程、及びシャーシー工程において、順次変えながら搬送する手段として活用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 搬送台車
6A,6B 第一支持手段
7A,7B 第二支持手段
8 昇降支柱部材
8a 昇降支柱部材の上端部
8b,14b 係止孔
10 カム従動ローラー
11a,11b 起伏支柱部材
12 収納凹部
12a 蓋板
13,72 左右水平支軸
14 起伏支柱部材の上端部
14a 同上上端部の係合部
15 ワーク支持台
16A,16B 支持台
19 支持台の被支持部
20a,20b 水平角孔部
21 被支持部を構成する筒状体
22 連結手段
23 連結ピン
23a 被操作用小径軸部
24 スプリング
26 低位カムレール
27 高位カムレール
28 傾斜カムレール
29A,29B 昇降装置
30A,30B 切換え装置
31A,31B 蓋板開閉操作装置
32 昇降体
33 昇降駆動手段
36a,36b 支柱構造体
37 昇降ガイドレール
38,48,52,65,68 スライドガイド
39 出退移動台
40 減速機及びブレーキ付きモーター
41 大径歯輪
42 チエン
43 案内歯輪
47,53,64,67 スライドガイドレール
49a,49b,56,66,69,75 シリンダーユニット
50a,50b 支持具
51 連結ピン操作手段
54 可動体
57 操作板
57a 係合凹部
59a,59b 切換え手段
60a,73a ローラー
61 可動台
62 操作体
62a 凹溝部
70a,70b 蓋板開閉操作手段
73 蓋板押し上げレバー
76 搬送台車位置決め装置
77 係止片
80 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定走行経路上を走行する搬送台車上に、ワーク支持台を低レベルで支持する左右一対の第一支持手段と、当該ワーク支持台を高レベルで支持する左右一対の第二支持手段とが設けられた搬送装置であって、前記左右一対の第二支持手段は、前記第一支持手段の前後両側で互いに離間する前後方向に倒れた倒伏姿勢と、上端部が互いに隣接して側面視で三角形となる起立姿勢との間で起伏自在な前後一対の起伏支柱部材から構成され、前記ワーク支持台には、起立姿勢となった前後一対の起伏支柱部材の互いに隣接する上端部によって支持される被支持部が設けられ、走行経路側のワーク支持レベル切換え位置には、第一支持手段で支持される低レベルと、第二支持手段で支持される高レベルよりも高い持ち上げレベルとの間で、ワーク支持台を昇降移動させる昇降装置が配設されている、搬送装置。
【請求項2】
第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材の上端部には、当該起伏支柱部材が起立姿勢になって互いに隣接したとき、前後方向に互いに嵌合して上下方向の相対移動を阻止する係合部が設けられ、ワーク支持台に設けられた前記被支持部は、互いに隣接する両起伏支柱部材上端部に外嵌する筒状体で構成されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
ワーク支持台に設けられた前記被支持部には、互いに隣接する両起伏支柱部材上端部に設けられた係止孔に対して水平方向に挿脱自在な連結ピンと、この連結ピンを差込み位置に付勢保持するスプリングとが設けられている、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記昇降装置は、搬送台車の走行経路の左右両側において昇降する昇降体を備え、この昇降体には、左右水平方向に出退自在で、進出状態においてワーク支持台を支持する支持具と、この支持具がワーク支持台を支持する状態において前記連結ピンを挿脱操作する連結ピン操作手段とが設けられている、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
走行経路側のワーク支持レベル切換え位置には、第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材を倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏運動させる切換え装置が配設されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材には、その起伏運動に連動して前後方向に運動する被操作レバーが連動連結され、前記切換え装置は、前記被操作レバーに対して左右水平方向に係脱自在な操作体を前後移動させて起伏支柱部材を倒伏姿勢と起立姿勢との間で起伏運動させる切換え手段が設けられている、請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
第二支持手段の前後一対の起伏支柱部材が倒伏姿勢にあるとき、当該起伏支柱部材を収納する収納凹部が搬送台車の床下に形成され、この収納凹部には開閉自在な蓋板が併設され、前記切換え装置には、上昇運動により前記蓋板を開動させる蓋板開閉操作装置が併設されている、請求項1〜6の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
第一支持手段は、第二支持手段で支持される前記被支持部を介してワーク支持台を支持する支柱部材を備えている、請求項1〜7の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
第一支持手段は、支持するワーク支持台を第一低レベルとこれよりも高い第二低レベルとの間で昇降させる昇降支柱部材を備え、走行経路側には、昇降支柱部材を第一低レベル対応高さから第二低レベル対応高さに押し上げて当該第二低レベル対応高さに保持するカムレールが敷設されている、請求項1〜8の何れか1項に記載の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate