搬送車、搬送車システム、搬送車とステーションとの間の物品移載方法
【課題】搬送車とステーションとの間で移載を行う搬送車システムや当該搬送車において、搬送車の機体幅を短縮すべく物品の向きを変えて移載する構成とし、移載装置をローラコンベア式とした場合に、移載時に、搬送車のローラコンベアをステーションのローラコンベアに干渉しないように旋回させただけでは、ローラコンベア間の隙間が広がって、物品の移載がスムーズにならなくなる。
【解決手段】物品2の向きを変えて移載する搬送車3において、移載時に、ローラコンベア31・31が物品2の移載先となるステーション4と干渉しないように間隔をあけてターンテーブル32を旋回させ、旋回後、ローラコンベア31・31がステーション4に近づくようにスライドテーブル32をスライドさせる。
【解決手段】物品2の向きを変えて移載する搬送車3において、移載時に、ローラコンベア31・31が物品2の移載先となるステーション4と干渉しないように間隔をあけてターンテーブル32を旋回させ、旋回後、ローラコンベア31・31がステーション4に近づくようにスライドテーブル32をスライドさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物品の向きを変えて移載する搬送車、前記搬送車および物品の移載先または移載元となるステーションを備える搬送車システム、前記搬送車と前記ステーションとの間の物品移載方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーン環境下で物品を加工する加工工場等においては、物品の移載先または移載元となるステーションとの間で、物品を移載する搬送車が用いられている。この搬送車は、搬送中の物品が外気と接触するのを防止すべく、物品を収容するカバーを備えている。このカバーの左右には、物品を移載する際に物品を通過させるためのシャッターが設けられている。そして、この搬送車は、ステーションとの間で物品を移載する際には、搬送車の側面をステーション側に向け、ステーション側のシャッターを開放して、搬送車の左右方向で物品の移載を行う。
【0003】
従来より、このような搬送車において、搬送車の機体幅を短縮すべく、搬送する際における物品の姿勢と、移載する際における物品の姿勢とを、90度変更させる構成した搬送車が知られている。具体的には、搬送される物品は直方体であって、搬送時には、搬送車の走行方向に物品の長手方向が沿うように、その物品が搬送車に収容される。そして、搬送車の機体幅をできるだけ短縮できるようにしている。一方、移載する際には、移載元たる搬送車から移載先たるステーションに至る移載経路の方向に、物品の長手方向が沿うように、物品の姿勢が変更されて、この物品の移載が行われる。
【0004】
搬送車には、物品の移載手段として、例えば水平多関節アーム式の移載装置が備えられている。この移載装置は、例えば、上腕に相当する第一アームと、下腕に相当する第二アームと、手に相当する物品支持台と、第一アームを昇降させる昇降装置と、を備えている。そして、第一アームと第二アームとを屈曲させて、物品支持台を進退移動させるとともに、昇降装置を駆動させて物品支持台を昇降させ、物品のすくい上げや、物品の載置を可能としている。
また、物品支持台は第一アームに対して旋回可能に接続されている。そこで、ステーションから搬送車に物品を移載する際には、ステーションから物品を物品支持台上に受け取った後、搬送車の外側で、予め物品支持台を90度旋回させて、物品の姿勢を変更しておく。このようにして、搬送車内に物品の姿勢を変更するのに十分なスペースがなくても、つまり機体幅を狭く構成した場合であっても、物品の姿勢変更を可能としている。
【0005】
しかしながら、水平多関節アーム式やフォーク式の移載装置のような伸縮式の移載装置の場合、物品が大きく重くなってくると、それに対応させるのが、コスト的にも移載装置の配置スペース的にも困難である。
【0006】
このため、ローラコンベア式の移載装置を用いて、物品を移載することが検討されている。ローラコンベア式の移載装置を利用する場合、搬送車およびステーションのそれぞれに、ローラコンベアが備えられるものとなる。そして、物品の移載は、搬送車側のローラコンベアと、ステーション側のローラコンベアとを経由して、行われるものとなる。
【0007】
ここで、前述の水平多関節アーム式の移載装置の場合は、搬送車の外側に進出する物品支持台自体が旋回する構成であるので、搬送車の外側で物品の姿勢を変更することが可能である。これに対して、ローラコンベア式の移載装置の場合、物品はローラコンベア上に支持されるため、物品の姿勢を90度変更するには、ローラコンベアごと姿勢を変更する必要がある。つまり、搬送車側とステーション側とでローラコンベア間を経由する移載を行うに先立って、搬送車の内部に収容されている状態で、物品の姿勢を変更する必要がある。
【0008】
搬送車の内部で物品の姿勢を変更させる場合、旋回する物品およびローラコンベアと、搬送車のカバーやシャッターとの接触を防止する必要がある。ここで、物品およびローラコンベアの旋回軌跡を避けて、左右のシャッターを配置するとなると、機体幅の短縮に反することになる。一方、移載する際には、ステーション側のシャッターは開放されるので、このシャッターと物品やローラコンベアが接触する恐れはない。しかし、物品が、反対側のシャッターと接触する恐れはある。
つまり、機体幅を狭めた構成としながら、搬送車の内部で、反ステーション側のシャッターと接触することなく、物品の姿勢変更を可能とする必要がある。
【0009】
このような課題を解決する発明として、特許文献1・2に開示される発明がある。
特許文献1には、物品の収容室の旋回装置を備える構成において、収容室の中心位置を、搬送車の機体中心線に対してずらした位置に配置した搬送車が開示されている。この収容室にはローラコンベアが配置されている。つまり、物品(ローラコンベア)の旋回中心に対して、物品(ローラコンベア)の中心位置を、偏心させた構成である。このため、物品およびローラコンベアの姿勢をステーション側に向けた際に、物品およびローラコンベアはステーション側に突出し、物品およびローラコンベアの旋回軌跡が反ステーション側へ突出する量を抑えることができる。
また、特許文献2には、物品を支持するフォーク式の移載装置と、この移載装置の回転駆動装置と、を備える構成において、さらに、移載装置および回転駆動装置をステーション側へスライド移動させるスライド装置を備えた搬送車が開示されている。そして、移載する際には、スライド装置を駆動して物品等(および移載装置および回転駆動装置)をステーション側に移動させてから、回転駆動装置を駆動して物品等の姿勢を変更させるものとしている。つまり、特許文献2においても、物品(フォーク式移載装置)の旋回中心に対して、物品(フォーク式移載装置)の中心位置を、偏心させた構成である。
【0010】
【特許文献1】特開2002−53039号公報
【特許文献1】特開平10−139172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のように、移載装置をローラコンベア式とする場合、ステーション側のローラコンベアとの間で物品を受け渡す際に、ローラコンベア間の段差や隙間によって、物品に衝撃が加わる恐れがある。このため、移載装置をローラコンベア式とする場合には、衝撃防止のため、両ローラコンベアの高さ位置を揃えると共に、両ローラコンベア間の水平方向の隙間を狭める必要がある。
しかし、両ローラコンベアの高さ位置を揃えた状態で、両ローラコンベア間の隙間を狭めようとしても、旋回するローラコンベアが相手側のローラコンベアに接触するのを防止させる必要があるため、ローラコンベアの旋回軌跡の突出量の分だけは、隙間を設けておく必要がある。
【0012】
特許文献2のように、移載装置をフォーク式(進退式)とする場合、ステーション側への物品の進出量を適宜調整できるので、ローラコンベア間の隙間の大小のような問題は避けられる。しかし、前述したように、移載装置をフォーク式とする場合、物品が大きく重くなってくると、それに対応させるのが、コスト的にも移載装置の配置スペース的にも困難である。
【0013】
つまり、解決しようとする問題点は、搬送車とステーションとの間で移載を行う搬送車システムや当該搬送車において、搬送車の機体幅を短縮すべく物品の向きを変えて移載する構成とし、移載装置をローラコンベア式とした場合に、移載時に、搬送車のローラコンベアをステーションのローラコンベアに干渉しないように旋回させただけでは、ローラコンベア間の隙間が広がって、物品の移載がスムーズにならなくなる点、である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
請求項1に係る搬送車は、
物品の向きを変えて移載する搬送車において、
物品を支持して移載するローラコンベア式の移載装置と、前記移載装置を旋回させる旋回装置と、物品の移載時に前記移載装置を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、前記移載装置が物品の移載先となるステーションと干渉しないように間隔をあけて前記旋回装置を旋回させ、旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記スライド装置をスライドさせる、
ものである。
【0016】
ローラコンベア式の移載装置とは、物品を支持するローラ自体が駆動する構成のローラコンベア単体よりなる移載装置か、または、物品を支持するフリーローラが並設されたローラコンベアと、このローラコンベア上の物品を押し出すか牽引するプッシュプル装置と、で構成される移載装置とする。
【0017】
請求項2に係る搬送車は、請求項1において、次の構成としたものである。
前記旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記旋回装置に対して前記移載装置を偏心配置した、ものである。
【0018】
請求項3に係る搬送車は、請求項1において、次の構成としたものである。
前記旋回装置は、前記スライド装置を旋回させるように構成し、前記スライド装置により前記移載装置を前記旋回装置に対して偏心させるようにした、ものである。
【0019】
ここで、移載時には、旋回装置を駆動して、移載装置が旋回装置の旋回中心に対して、移載方向でステーション側に近づくようにする。搬送時には、旋回装置を駆動して、移載装置が旋回装置の旋回中心に対して、搬送方向のどちらか一方に近づくようにする。なお、搬送時には、物品を支持する移載装置が旋回装置の旋回中心と同心となるようにすることもできる。
【0020】
請求項4に係る搬送車システムは、
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションと、を備える搬送車システムであって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、ものである。
【0021】
請求項5に係る搬送車とステーションとの間の物品移載方法は、
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションとの間の物品移載方法であって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、ものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0023】
請求項1においては、
搬送車の移載装置をステーションに干渉しないように旋回させると、旋回後、移載装置とステーションとの間に隙間が生じるが、スライド装置をスライドさせることで、この隙間を狭めることができ、搬送車とステーションとの間で物品をスムーズに移載することができる。
【0024】
請求項2においては、請求項1の効果に加えて、
移載装置に支持される物品の旋回軌跡を、旋回中心周りに(搬送車の幅方向および前後方向に)均等に及ぶようにするのではなく、ステーション側に偏らせるようにすることができる。物品の平面視形状が円形の場合を除いては、物品を前記旋回中心と同心で旋回させると、平面視における物品自体の大きさより物品の旋回軌跡の方が広がって、旋回する物品の旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要があるが、移載装置を前記旋回中心に対して偏心させる場合は、旋回軌跡がステーション側に偏るので、このような必要がない。特に物品の平面視形状が縦幅と横幅とで異なる長方形であって、搬送車の機体幅を短縮すべく、搬送時に、この物品の幅の狭い方が搬送車の幅方向を向くようにする場合であっても、この物品の旋回軌跡のために、旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要がなくなる。
また、移載装置を旋回させる動作自体によって、移載装置自体がステーション側に突出することになり、移載装置をさらにステーション側にスライド装置によりスライドさせる量を減らすことができる。
【0025】
請求項3においては、請求項1の効果に加えて、
移載装置に支持される物品の旋回軌跡を、旋回中心周りに(搬送車の幅方向および前後方向に)均等に及ぶようにするのではなく、ステーション側に偏らせるようにすることができる。物品の平面視形状が円形の場合を除いては、物品を前記旋回中心と同心で旋回させると、平面視における物品自体の大きさより物品の旋回軌跡の方が広がって、旋回する物品の旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要があるが、移載装置を前記旋回中心に対して偏心させる場合は、旋回軌跡がステーション側に偏るので、このような必要がない。特に物品の平面視形状が縦幅と横幅とで異なる長方形であって、搬送車の機体幅を短縮すべく、搬送時に、この物品の幅の狭い方が搬送車の幅方向を向くようにする場合であっても、この物品の旋回軌跡のために、旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要がなくなる。
また、物品を搬送車の中心位置に配置することもでき、移載装置に支持される物品が旋回装置に対して偏心した状態のまま、物品を搬送する場合と比べて、搬送走行中の搬送車のバランスがよくなる。
【0026】
請求項4においては、
搬送車側移載装置とステーション側移載装置とが干渉しないように、搬送車側移載装置を旋回させることにより発生する搬送車側移載装置とステーション側移載装置との隙間を、スライド装置により狭めることができ、搬送車とステーションとの間で物品をスムーズに移載することができる。
【0027】
請求項5においては、
搬送車側移載装置とステーション側移載装置とが干渉しないように、搬送車側移載装置を旋回させることにより発生する搬送車側移載装置とステーション側移載装置との隙間を、スライド装置により狭めることができ、搬送車とステーションとの間で物品をスムーズに移載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
これより、本発明の実施の形態である搬送車システムを説明する。
この搬送車システムは、搬送車と、物品2の移載元または移載先となるステーションと、を備えている。
以下では、搬送車の構成の異なる二つの実施例について、説明する。
【実施例1】
【0029】
図1を用いて、搬送車システム1の構成を説明する。
搬送車システム1は、クリーン環境下で物品を加工する工場等において、加工装置等のステーションへの物品の移載を、搬送車により行わせるシステムである。
この搬送車システム1は、物品2を搬送する搬送車3と、物品2の移載元または移載先となるステーション4と、を備えている。そして、搬送車3とステーション4との間で、物品2の移載が行われる構成である。
ステーション4は、搬送車3の走行経路に沿って、この走行経路の左右側方に配置される。そして、物品2の移載は、搬送車3が目的のステーション4の正面位置に、この搬送車3の側面を向けて停止し、搬送車3の側面とステーション4の正面とが対向する状態で行われる。
【0030】
搬送車2とステーション4との間における物品2の移載は、搬送車2に備えるローラコンベア31と、ステーション4に備えるローラコンベア41と、を合わせて移載経路を構成し、この移載経路(ローラコンベア31・41)に沿って物品2を移動させることで行われる。
【0031】
図2を用いて、搬送車3を説明する。
搬送車3は、物品2を外気から保護しながら搬送可能であると共に、ステーション4へ物品2の移載を行うことが可能に構成されている。
この搬送車3は、床面上を走行する走行車両30と、物品2の収容部と、を備えている。この収容部には、前記ローラコンベア31・31と、ローラコンベア31・31を旋回させるターンテーブル33と、ターンテーブル33をスライドさせるスライドテーブル32と、物品2を収容する収容室34と、収容室34の開口を開閉するシャッタ35と、が備えられている。
【0032】
搬送車3に備える各装置のレイアウトは、概略的には、次の構成である。
最下位置にある走行車両30より上方に向けて、スライドテーブル32、ターンテーブル33、ローラコンベア31・31が配置される。また、収容室34は、ローラコンベア31・31上に支持される物品2だけでなく、スライドテーブル32、ターンテーブル33、ローラコンベア31の全体を被覆する。
【0033】
走行車両30は、搬送車3を床面上で走行させる装置である。
以下、搬送車3の走行方向を前後方向とする。また、搬送車3とステーション4との間における物品2の移載方向は、搬送車3の走行方向を前後方向とした場合における左右方向となっている。
【0034】
ローラコンベア31は、搬送車3内に、左右一対配置されている。
これら一対のローラコンベア31・31は、物品2の下面を左右両側で支持すると共に、これらのローラコンベア31の長手方向に沿って、物品2を移動させる装置である。
より詳しくは、各ローラコンベア31は、一方向(ローラコンベア31の長手方向)に沿って物品2の底面に接するローラ31aを多数備えると共に、これらのローラ31aを回転させる回転用モータ31bを備えている。そして、この回転用モータの駆動により、ローラ31a群が回転し、ローラ31a群に支持される物品2が、ローラ31a群の列方向(ローラコンベア31の長手方向)に沿って移動する。
つまり、ローラコンベア31において、ローラ31aの列は、物品2を所定の案内方向(ローラの配設方向)に沿って案内するガイド部材を構成する。加えて、ローラ31aの列は、回転用モータ31bによって駆動されることで、この案内方向に沿って物品2を移動させる移動装置をも構成する。
【0035】
なお、物品の移載装置は、ローラコンベア式の移載装置であれば、ローラ31aが自体が回転する構成の前記ローラコンベア31に代えて、次の構成であっても良い。ローラコンベアに備えるローラをすべてフリーローラ(自律的には駆動しないローラ)として、ローラの列は、単に物品2のガイド部材を構成するものとする。加えて、物品2の移動装置として、ローラ列上の物品2を押し引きして移動させるプッシュプル装置(進退装置)を、ローラコンベア31・41とは別に設けるものである。
あるいは、ローラコンベア式の移載装置に代えて、レールと、このレール上を走行する搬送台車、としてもよい。この搬送台車は、搬送車3に相当する搬送車に搭載される子台車であって、親台車に当たる搬送車とは別の存在である。そして、この搬送台車を前記レールに沿って走行させることで、搬送車内の物品を搬送車外へと移動させ、物品2の移載を行う。この場合、前記レールは、物品2を間接的に支持して一方向に案内するガイド部材を構成する。また、前記搬送台車は、物品2を前記レールに沿って移動させる移動装置を構成する。
【0036】
スライドテーブル32は、スライド支持台32aと、スライド台32bと、スライド用モータ32cと、を備えている。スライド台32bは、スライド支持台32aに、一方向に直動案内される状態で支持される。そして、スライド用モータ32cの駆動により、スライド支持台32aに対して、スライド台32bが一方向に移動する。
ここで、スライド支持台32aは走行車両30に固定され、スライド台32bにターンテーブル33のターン支持台33a(後述)が固定される。スライドテーブル32におけるスライド台32bの移動方向は、搬送車3の左右方向である。
【0037】
ターンテーブル33は、ターン支持台33aと、ターン台33bと、旋回用モータ33cと、を備えている。旋回用モータ33cの駆動により、ターン支持台33aに対してターン台33bが旋回する。
ここで、ターン支持台33aはスライド台32bに固定され、ターン台33bに、左右に一対配置されるローラコンベア31・31の双方が固定される。
なお、ターンテーブル33がスライドテーブル32を介して走行車両30に固定された状態において、ターン支持台33aに対するターン台33bの旋回軸は、鉛直軸であり、ターン台33bは水平面内で旋回を行う。
【0038】
なお、本実施の形態の搬送車3には、左右方向のスライドテーブル32とターンテーブル33との間に、前後方向のスライドテーブルも設けられているが、この前後方向のスライドテーブルは、以下で説明する制御には用いないので、その説明を省略する。また、搬送車3には、ターンテーブル33とローラコンベア31・31との間に、ローラコンベア31・31の昇降装置が設けられている。
この昇降装置は、ローラコンベア31・31の高さ位置を微調整する際に用いるものである。この高さ位置の微調整は、物品2を収容室34内に収容した際に、物品2を、収容室34内に配置した載置台上に預け置く際などに、載置台の上方位置にあるローラコンベア31・31を下降させる場合などに行われる。
【0039】
以上構成により、スライドテーブル32が駆動すると、ローラコンベア31・31およびターンテーブル33が一体に、搬送車3の左右方向に移動する。また、ターンテーブル33が駆動する場合は、ローラコンベア31・31のみが水平面内で旋回する。
【0040】
収容室34は、搬送車3が搬送する物品2を、外気から遮断される状態で、その搬送中に収容しておく室である。
この収容室34は、六壁面を有する直方体状の箱体より底壁面を切除した形状をしている。そして、この底壁面側の開口部分を塞ぐように、走行車両30上に、この収容室34が支持されている。
この収容室34の内部には、スライドテーブル32、ターンテーブル33、ローラコンベア31・31の全部が配置されている。さらに、収容室34の内部スペースは、物品2がローラコンベア31・31上に支持された状態で、物品2を収容室34の内部に収容することが可能に構成されている。
【0041】
また、収容室34の内部には、前後にそれぞれ、送風手段としてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)36が配置されている。
例えば、一方のFFU36は、収容室34内に空気流を送り込むように制御され、他方のFFU36は、収容室34内の空気を外部へ排出するように制御される。そして、物品2に付着している塵挨を除去して、搬送車3の外部へと排出する。
【0042】
収容室34の左右には、収容室34の内外を貫通して、移載口34aがそれぞれ形成されている。この移載口34aは、搬送車3とステーション4との間での物品2の移載する際に、収容室34の内外間で物品2を通過させるための開口である。
【0043】
シャッタ35は、移載口34aを開閉可能とする手段である。
このシャッタ35は、左右の移載口34aにそれぞれ対応して設けられており、都合二つ設けられている。また、各シャッタ35は、左右で独立して開閉可能に構成されている。
このシャッタ35は、物品2を移載する際、つまり搬送車3が移載の目的のステーション4の側方に停止した際に開放されるが、開放されるのは、目的のステーション4側のシャッタ35のみである。このように、左右方向で反対側のシャッタ35については閉鎖した状態としておくことで、移載に際して左右一方のシャッタ35が開放された状態でも、FFU36の駆動により、収容室34内の気密性をできるだけ保つようにしている。
【0044】
移載関連装置について説明する。
搬送車3とステーション4との間における物品2の移載は、前述したように、搬送車3に備えるローラコンベア31・31と、ステーション4に備えるローラコンベア41・41と、を合わせた状態で行われる。
ここで、両コンベア31・41間の隙間を狭くして、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせるために、ローラコンベア31・31の位置制御や姿勢制御に係る装置も、搬送車3に備えられている。
このような移載関連装置には、ローラコンベア31・31と、ローラコンベア31・31を旋回させるターンテーブル33と、ターンテーブル33(ローラコンベア31・31)をスライドさせるスライドテーブル32と、これらの装置を制御するコントローラ37と、がある。
本実施の形態では、この移載関連装置の全体を搬送車3に備える構成としているが、スライド装置(スライドテーブル32)に関しては、搬送車3ではなく、ステーション4に備える構成としてもよい。この構成としても、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせて、搬送車3とステーション4との間における物品2の移載を行うことが可能である。なお、移載に際して、スライド装置(スライドテーブル32)が果たす役割については、詳しくは後述する。
【0045】
図3を用いて、移載関連装置に係る制御機構を説明する。
搬送車3には、物品2の移載に係るアクチュエータとして、ローラコンベア31の回転用モータ31b、ターンテーブル33の旋回用モータ33c、スライドテーブル32のスライド用モータ32c、が備えられている。
搬送車3に備える前記コントローラ37は、これらのアクチュエータの駆動を制御する。このコントローラ37には、演算装置や記憶装置が備えられている。そして、前記演算装置は、前記記憶装置内に記憶されるデータやプログラムに基づいて、前記各アクチュエータの駆動を制御する。
【0046】
図2、図4を用いて、移載関連装置の位置関係について説明する。
搬送車3は、左右両側で物品の移載が可能となるように、移載関連装置に関しては、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
また、物品2の収容スペースの大きさに係る収容室34や走行車両30についても、左右両側で物品の移載が可能となるように、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
平面視において、左右一対のローラコンベア31・31の全体形状、ターンテーブル33の形状、スライドテーブル32の形状、搬送車3の形状(収容室34および走行車両30の全体形状)は、左右対称である。
【0047】
図4(a)、図4(b)に示すように、スライドテーブル32に備えるスライド台32bは、搬送車3の左右中心線3Lに対して、左右対称に進出(スライド)可能に構成されている。ここで、このスライド台32bの前後左右中心を、スライド中心32Mとする。平面視において、スライド中心32Mが左右中心線3L上にあるとき、スライド台32aが中立位置にあるものとする。
【0048】
図4(b)に示すように、スライドテーブル32上にターンテーブル33が配置されており、スライド台32bにテーブル支持台32aが固定されている。このため、スライド台32bの左右スライドに伴って、ターンテーブル33が左右方向に移動する。
また、平面視において、ターン支持台33aに対するターン台33bの旋回軸の軸芯位置が、ターンテーブル33の旋回中心33Mである。この旋回中心33Mは、スライド台32aが中立位置にあるとき、左右中心線3L上にある。
【0049】
図4(c)に示すように、左右一対のローラコンベア31・31の全体の前後左右中心(コンベア中心31M)は、ターンテーブル33の旋回中心33Mとは異なる位置(偏心した位置)に配置されている。旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を離間させる距離が、オフセット量D1である。このように、旋回中心33Mに対してコンベア中心31Mを偏心させる理由については、後述する。
【0050】
また、移載の対象物である物品2は、直方体状の部材であって、平面視における物品2の形状は、長手と短手とを有する矩形である。この物品2の前後左右の中心を、物品中心2Mとする。
【0051】
図5を用いて、物品2を収容する際(搬送する際)におけるローラコンベア31・31の位置および姿勢を説明する。
物品2は、収容室34内に収容された状態では、物品2の長手方向が、搬送車3の走行方向(前後方向)と平行となった姿勢に保たれる。搬送車3の走行方向を、物品2の搬送方向とする。
また、ローラコンベア31・31の案内方向(ローラ31aの列方向)と、物品2の長手方向と、が平行となるように、物品2はローラコンベア31・31上に支持される。このため、ローラコンベア31・31は、その案内方向が、搬送方向と平行になった姿勢に保たれている。
また、物品中心2Mと、コンベア中心31Mとが、一致するように、ローラコンベア31・31上に物品2が配置される。加えて、物品中心2Mおよびコンベア中心31Mは、搬送車3の左右中心線3L上に位置し、ターンテーブル33の旋回中心33Mが搬送車3の左右中心線3L上に位置する。一方、物品中心2Mおよびコンベア中心31Mは、旋回中心33Mに対して、前記オフセット量D1だけ離間した位置(偏心した位置)にある。物品中心2M(コンベア中心31M)が、旋回中心33Mに対して偏心している状態を、オフセット状態と呼ぶ。オフセット状態のメリットについては後述する。
【0052】
ここで、走行車両30に対するローラコンベア31・31の左右位置は、スライドテーブル32を駆動させて、スライド支持台32aに対するスライド台32bの位置を変更することで、調整可能である。また、走行車両30に対するローラコンベア31・31の向き(ローラコンベア31の案内方向の向き)は、ターンテーブル33を駆動させて、ターン支持台33aに対するターン台33bの回転位置を変更することで、調整可能である。
また、ローラコンベア31・31に対する物品2の位置は、各ローラ31aを駆動することで、物品2をローラコンベア31上を案内方向に沿って移動させることで、調整可能である。
【0053】
次に、図5から図8を用いて、搬送車3とステーション4との間での物品2の移載方法を説明する。
搬送車3からステーション4への物品2の移載に際して、コントローラ37は、物品2の移載経路を確保するため、各移載関連装置に指令して、旋回工程、スライド工程、を実行させる。これらの各工程を実行して、物品2の移載経路が確保された状態で、物品2の移載が行われる。
移載経路の確保は、搬送車3に備えるローラコンベア31・31と、ステーション4に備えるローラコンベア41・41と、を合わせて、両ローラコンベア31・41間の隙間を物品2の搬送に差し支えない程度に狭めることで行われる。ここで、移載に際して、ローラコンベア31・31やローラコンベア41・41の昇降を不用とするため、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置は、ほぼ等しい高さに設定されている。
そして、この移載方法により物品2の移載準備(物品2の移載経路が確保された状態への移行)をすることで、搬送車3の機体幅を増大させることなく、搬送車3とステーション4との間で物品2の移載が可能となるようにしている。
以下、これらの各工程について、詳しく説明する。
【0054】
図5に示す状況は、搬送車3が、移載の目的のステーション4の正面位置に、この搬送車3の側面を向けて停止した際の状況である。この移載の開始段階においては、ローラコンベア31・31や物品2の位置および姿勢は、物品2を収容する際(搬送する際)と同様の位置および姿勢である。
【0055】
搬送車3は、移載の開始段階において、旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた状態(オフセット状態)にある。旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた距離は、前述したように、オフセット量D1である。
このように偏心させておくことで、後の旋回工程において、物品2を支持するローラコンベア31・31を旋回させる際に、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R11・R12(図6)が反ステーション4側に突出しないようにすることができる。なお、角部旋回軌跡R11は、平面視矩形である物品4の四つの角部のうち、旋回中心33Mに対して相対的に遠い側(図6の右側)に位置する二つの角部の描く軌跡を指している。同じく、角部旋回軌跡R12は、平面視矩形である物品4の四つの角部のうち、旋回中心33Mに対して相対的に近い側(図6の左側)に位置する二つの角部の描く軌跡を指している。
また、オフセット量D1は、移載準備が適切に行われるように、種々の制限が加えられた上で設定されているが、この設定の条件についても詳しくは後述する。
【0056】
図6に示す状況は、旋回工程が実行された状況を示す。
旋回工程において、コントローラ37は、ターンテーブル33を駆動して、搬送方向を向いているローラコンベア31・31が、移載方向(左右方向)を向くように旋回させる。
この旋回により、ローラコンベア31・31がローラコンベア41・41に対向する状態となる。また、ローラコンベア31・31上に載置されている物品2(の長手方向)の向きも、移載方向(左右方向)を向くようになる。
【0057】
図7に示す状況は、スライド工程が実行された状況を示す。
スライド工程において、コントローラ37は、スライドテーブル32を駆動して、ローラコンベア31・31をローラコンベア41・41側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。これが、移載準備の完了状態である。
この状態において、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車3からステーション4へと移載することが可能である。
【0058】
そして、図8に示すように、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを駆動して、物品2をローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41上を搬送することで、物品2が搬送車3からステーション4へと移載される。
【0059】
オフセット量D1に加えられる制限について説明する。
旋回工程において、物品2(ローラコンベア31・31)を搬送方向(前後方向)から移載方向(左右方向)まで旋回させるが、オフセット量D1の大きさによっては、この際に、次の二通りの衝突が発生する恐れがある。
一つは、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とが接触する恐れである。もう一つは、ローラコンベア31・31(物品2)が反ステーション4側のシャッタ35・35等に接触したりする恐れである。
そこで、このような不具合を防止するために、オフセット量D1の大きさには制限が加えられている。
【0060】
前記一つ目の接触の恐れは、前述したように、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置が、ほぼ等しい高さに設定されていることによる。
そこで、ローラコンベア31・31のターンテーブル33による角部旋回軌跡R11内に、ローラコンベア41・41が入らないように、オフセット量D1を設定して、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との接触を防止するようにしている。
【0061】
前記二つ目の接触の恐れは、移載時には、物品2を通過させるため、ステーション4側のシャッタ35・35は開放するが、収容室34内への外気進入防止のため、反ステーション4側のシャッタ35・35が閉じられていることによる。無論、物品2(ローラコンベア31・31)が、反ステーション4側のシャッタ35・35だけでなく、その他の搬送車103に備える装置と接触することも防止する必要がある。特に、機体幅の短縮の要請上、搬送車3に備える装置のうち、物品2(ローラコンベア31・31)がもっとも接触する恐れが高いのが、反ステーション4側のシャッタ35・35である。
そこで、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R11内に、反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等が入らないように、オフセット量D1を設定して、物品2(ローラコンベア31・31)と反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等との接触を防止するようにしている。
【0062】
このように旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させることで、次の効果がある。すなわち、搬送車3の機体幅を増大させることなく、搬送車3の収容室34内のスペースや、シャッタ35・35の開放により露出したステーション4側のスペースを利用して、ローラコンベア31・31および物品2の旋回が可能となっている。
【0063】
以上、搬送車3からステーション4へ物品2を移載する場合について説明したが、ステーション4から搬送車3へ物品2を移載する場合についても、同様である。前記各工程を実行して、物品2の移載経路がローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41で形成された状態となれば、物品2を、搬送車3とステーション4との間で、どちらからでも移載することが可能である。
【0064】
また、本実施の形態では、移載関連装置の全体を搬送車3に備える構成としていたが、スライド装置(スライドテーブル32)に関しては、搬送車3ではなくステーション4に備える構成としてもよい。
この場合、搬送車3において、ターンテーブル33がスライドテーブル32を介することなく走行車体30に直接固定されるものとなる。そして、旋回工程については前述と同じになる。一方、スライド工程では、搬送車に備えるコントローラ37が、ステーション4に備えるスライド装置を駆動して、ローラコンベア41・41をローラコンベア31・31側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。このようにして、移載準備を完了させる。移載準備が完了すれば、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車3からステーション4へと移載することが可能である。
【実施例2】
【0065】
次に、実施例2の搬送車システムを説明する。
実施例2は、搬送車の構成のみが、実施例1と異なるものである。そこで以下では、主として、前記搬送車3と構成の異なる搬送車103について説明する。
【0066】
図9を用いて、搬送車103を説明する。
この搬送車103は、床面上を走行する走行車両30と、物品2の収容部と、を備えている。この収容部には、前記ローラコンベア31と、ローラコンベア31をスライドさせるスライドテーブル132と、スライドテーブル132を旋回させるターンテーブル133と、物品2を収容する収容室34と、収容室34の開口を開閉するシャッタ35と、が備えられている。
【0067】
搬送車3と搬送車103の主要な相違点を説明する。
搬送車3においては、ターンテーブル33の直接的な駆動対象がローラコンベア31・31で、スライドテーブル32の直接的な駆動対象がターンテーブル33であった。そして、スライドテーブル32により、ターンテーブル33だけでなく、間接的にローラコンベア31・31も位置変更される構成であった。しかし、ターンテーブル33のみが駆動しても、スライドテーブル32の姿勢は変更されない。
これに対して、搬送車103においては、ターンテーブル133の直接的な駆動対象がスライドテーブル132で、スライドテーブル132の直接的な駆動対象がローラコンベア31・31となっている。そして、ターンテーブル133により、スライドテーブル132だけでなく、間接的にローラコンベア31・31も姿勢変更される構成である。しかし、スライドテーブル132のみが駆動しても、ターンテーブル133の位置は変更されない。
そして、これらの装置の配置関係の相違(直接的な駆動対象の相違)によって、搬送車3では常時オフセット状態にあるのに対して、搬送車103では、オフセット状態(後述)から中立状態(後述)への移行およびその逆の移行が可能となっている。
【0068】
搬送車103にも、ローラコンベア31・31の位置制御や姿勢制御に係る移載関連装置が備えられる構成である。この移載関連装置には、ローラコンベア31・31、スライドテーブル132、ターンテーブル133、コントローラ137(図10)と、がある。
ターンテーブル133やスライドテーブル132の直接的な駆動対象が、搬送車1のターンテーブル33やスライドテーブル32と異なるため、搬送車103と搬送車3とで、移載関連装置の作用、つまりローラコンベア31・31の位置制御や姿勢制御の仕組みが一部異なるものとなっている。
本実施の形態では、この移載関連装置の全体を搬送車103に備える構成としているが、スライド装置(スライドテーブル132)に関しては、搬送車103ではなく、ステーション4に備える構成としてもよい。この構成としても、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせて、搬送車103とステーション4との間における物品2の移載を行うことが可能である。
【0069】
搬送車103に備える各装置のレイアウトは、概略的には、次の構成である。
最下位置にある走行車両30より上方に向けて、ターンテーブル133、スライドテーブル132、ローラコンベア31・31が配置される。また、収容室34は、ローラコンベア31・31上に支持される物品2だけでなく、スライドテーブル132、ターンテーブル133、ローラコンベア31・31の全体を被覆する。
【0070】
ターンテーブル133は、ターン支持台133aと、ターン台133bと、旋回用モータ133cと、を備えている。旋回用モータ133cの駆動により、ターン支持台133aに対してターン台133bが旋回する。
ここで、ターン支持台133aは走行車両30に固定され、ターン台133bにスライドテーブル132のスライド支持台132aが固定される。
なお、ターンテーブル133が走行車両30に固定された状態において、ターン支持台133aに対するターン台133bの旋回軸は、鉛直軸であり、ターン台133bは水平面内で旋回を行う。
【0071】
スライドテーブル132は、スライド支持台132aと、スライド台132bと、スライド用モータ132cと、を備えている。スライド台132bは、スライド支持台132aに、一方向に直動案内される状態で支持される。そして、スライド用モータ132cの駆動により、スライド支持台132aに対して、スライド台132bが一方向に移動する。
ここで、スライド支持台132aはターン台133bに固定され、スライド台132bに、左右に一対配置されるローラコンベア31・31の双方が固定される。ここで、スライドテーブル32におけるスライド台32bの移動方向と、ローラコンベア31・31による物品2の搬送方向とが同一となるようにしている。
【0072】
図10を用いて、移載関連装置に係る制御機構を説明する。
搬送車103には、物品2の移載に係るアクチュエータとして、ローラコンベア31の回転用モータ31b、ターンテーブル33の旋回用モータ133c、スライドテーブル32のスライド用モータ132c、が備えられている。
搬送車103に備える前記コントローラ137は、これらのアクチュエータの駆動を制御する。このコントローラ137には、演算装置や記憶装置が備えられている。そして、前記演算装置は、前記記憶装置内に記憶されるデータやプログラムに基づいて、前記各アクチュエータの駆動を制御する。
【0073】
図9、図11を用いて、移載関連装置の位置関係について説明する。
搬送車103は、左右両側で物品の移載が可能となるように、移載関連装置に関しては、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
また、物品2の収容スペースの大きさに係る収容室34や走行車両30についても、左右両側で物品の移載が可能となるように、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
平面視において、左右一対のローラコンベア31・31の全体形状、ターンテーブル133の形状、スライドテーブル132の形状、搬送車103の形状(収容室34および走行車両30の全体形状)は、左右対称である。
【0074】
図11(a)に示すように、平面視において、ターンテーブル133の旋回中心133Mは、搬送車103の左右中心線103L上に配置されている。ここで、ターンテーブル133の旋回中心133Mとは、平面視において、ターン支持台133aに対するターン台133bの旋回軸の軸芯位置を意味する。
【0075】
図11(b)に示すように、ターンテーブル133上にスライドテーブル132が配置され、スライドテーブル132に備えるスライド台132bは、スライド支持台132aの案内方向で移動自在であり、旋回中心133Mの法線方向で移動自在となっている。ここで、このスライド台132bの中心を、スライド中心132Mとする。平面視において、スライド中心132Mが旋回中心133Mに一致するとき、スライド台132aが中立位置にある。このときの状態を中立状態とする。また、スライド中心132Mが旋回中心133Mに対して、オフセット量D2だけ離間した位置(偏心した位置)にあるとき、オフセット状態にあるという。搬送車3では、移載関連装置の駆動位置に係りなく常時オフセット状態にあるが、搬送車103では、スライドテーブル132の駆動により、中立状態からオフセット状態に移行させたり、その逆に移行させることが可能である。
【0076】
図11(c)に示すように、スライド台132aのスライド中心132Mと、左右一対のローラコンベア31・31の全体の前後左右中心(コンベア中心31M)とが、一致する。スライド中心132Mとコンベア中心31Mとの位置関係は、スライドテーブル132やターンテーブル133の駆動の程度に拘りなく、常に一致する関係にある。
【0077】
図12を用いて、物品2を収容する際(搬送する際)におけるローラコンベア31・31の位置および姿勢を説明する。
物品2は、収容室34内に収容された状態では、物品2の長手方向が、搬送方向(前後方向)と平行となった姿勢に保たれる。
また、ローラコンベア31・31の案内方向(ローラ31aの列方向)と、物品2の長手方向と、が平行となるように、物品2はローラコンベア31・31上に支持される。このため、ローラコンベア31・31は、その案内方向が、搬送方向と平行になった姿勢に保たれている。
また、物品中心2Mと、コンベア中心31Mとが、一致するように、ローラコンベア31・31上に物品2が配置される。加えて、物品中心2Mおよびコンベア中心31Mは、搬送車103の左右中心線103L上に位置する。さらに、スライド台132aのスライド中心132Mが、物品中心2Mとも一致し、搬送車103の左右中心線103L上に位置する状態となる。
一方、スライド中心132Mは、ターンテーブル133の旋回中心133Mとは一致せず、前後方向で旋回中心133Mに対して変位した位置にある。このように、物品中心2M(コンベア中心31M)が、旋回中心133Mに対して偏心している状態を、オフセット状態と呼ぶ。オフセット状態のメリットについては後述する。
【0078】
次に、図12から図14を用いて、搬送車3とステーション4との間での物品2の移載方法を説明する。
搬送車103からステーション4への物品2の移載に際して、コントローラ137は、物品2の移載経路を確保するため、移載関連装置に備える各装置に指令して、旋回工程、スライド工程、を実行させる。これらの各工程を実行して、物品2の移載経路が確保された状態で、物品2の移載が行われる。
移載経路の確保は、搬送車103に備えるローラコンベア31・31と、ステーション4に備えるローラコンベア41・41と、を合わせて、両ローラコンベア31・41間の隙間を物品2の搬送に差し支えない程度に狭めることで行われる。ここで、移載に際して、ローラコンベア31・31やローラコンベア41・41の昇降を不用とするため、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置は、ほぼ等しい高さに設定されている。
そして、この移載方法により物品2の移載準備をすることで、搬送車3の機体幅を増大させることなく、搬送車3とステーション4との間で物品2の移載が可能となるようにしている。
以下、これらの各工程について、詳しく説明する。
【0079】
図12に示す状況は、搬送車103が、移載の目的のステーション4の正面位置に、この搬送車103の側面を向けて停止した際の状況である。この移載の開始段階においては、ローラコンベア31・31や物品2の位置および姿勢は、物品2を収容する際(搬送する際)の位置および姿勢、つまり前記オフセット状態における位置および姿勢となっている。
【0080】
搬送車103は、移載の開始段階において、旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた状態(オフセット状態)にある。仮に搬送時において、中立状態(物品中心2Mが旋回中心133Mに一致する状態)にあったとしても、移載の開始段階には、オフセット状態に移行させておくものとする。そして、旋回中心133Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた距離は、前述したように、オフセット量D2である。
このように偏心させておくことで、後の旋回工程において、物品2を支持するローラコンベア31・31を旋回させる際に、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R21・R22(図12)が反ステーション4側に突出しないようにすることができる。
また、オフセット量D2は、移載準備が適切に行われるように、種々の制限が加えられた上で設定されているが、この設定の条件についても詳しくは後述する。
【0081】
図13に示す状況は、旋回工程が実行された状況を示す。
旋回工程において、コントローラ137は、ターンテーブル133を駆動して、搬送方向を向いているローラコンベア31・31が、移載方向(左右方向)を向くように旋回させる。
この旋回により、ローラコンベア31・31がローラコンベア41・41に対向する状態となる。また、ローラコンベア31・31上に載置されている物品2(の長手方向)の向きも、移載方向(左右方向)を向くようになる。
【0082】
図14に示す状況は、スライド工程が実行された状況を示す。
スライド工程において、コントローラ37は、スライドテーブル132を駆動して、ローラコンベア31・31をローラコンベア41・41側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。これが、移載準備の完了状態である。
この状態において、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車103からステーション4へと移載することが可能である。
そして、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを駆動して、物品2をローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41上を搬送することで、物品2が搬送車103からステーション4へと移載される。
【0083】
オフセット量D2に加えられる制限について説明する。
旋回工程において、物品2(ローラコンベア31・31)を搬送方向(前後方向)から移載方向(左右方向)まで旋回させるが、オフセット量D2の大きさによっては、この際に、次の三通りの衝突が発生する恐れがある。
一つは、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とが接触する恐れである。もう一つは、ローラコンベア31・31(物品2)が反ステーション4側のシャッタ35・35等に接触したりする恐れである。以上の二通りの衝突は、搬送車3の場合と同様である。加えて、搬送車103の場合は、三つ目として、スライドテーブル132が反ステーション4側のシャッタ35・35等に接触したりする恐れがある。
そこで、このような不具合を防止するために、オフセット量D2の大きさには制限が加えられている。
【0084】
前記一つ目の接触の恐れは、前述したように、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置が、ほぼ等しい高さに設定されていることによる。
そこで、ローラコンベア31・31のターンテーブル133による角部旋回軌跡R21内に、ローラコンベア41・41が入らないように、オフセット量D2を設定して、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との接触を防止するようにしている。
【0085】
前記二つ目の接触の恐れは、移載時には、物品2を通過させるため、ステーション4側のシャッタ35・35は開放するが、収容室34内への外気進入防止のため、反ステーション4側のシャッタ35・35が閉じられていることによる。無論、物品2(ローラコンベア31・31)が、反ステーション4側のシャッタ35・35だけでなく、その他の搬送車103に備える装置と接触することも防止する必要がある。特に、機体幅の短縮の要請上、搬送車103に備える装置のうち、物品2(ローラコンベア31・31)がもっとも接触する恐れが高いのが、反ステーション4側のシャッタ35・35である。
そこで、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R21内に、反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等が入らないように、オフセット量D2を設定して、物品2(ローラコンベア31・31)と反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等との接触を防止するようにしている。
【0086】
前記三つ目の接触の恐れも、移載時に反ステーション4側のシャッタ35・35が閉じられていることによる。
そこで、スライドテーブル132の角部旋回軌跡r(図12、図13)内に、反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等が入らないように、オフセット量D2を設定して、スライドテーブル132と反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等との接触を防止するようにしている。
【0087】
このように旋回中心133Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させることで、次の効果がある。すなわち、搬送車103の機体幅を増大させることなく、搬送車103の収容室34内のスペースや、シャッタ35・35の開放により露出したステーション4側のスペースを利用して、ローラコンベア31・31および物品2の旋回が可能となっている。
【0088】
以上、搬送車103からステーション4へ物品2を移載する場合について説明したが、ステーション4から搬送車103へ物品2を移載する場合についても、同様である。前記各工程を実行して、物品2の移載経路がローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41で形成された状態となれば、物品2を、搬送車103とステーション4との間で、どちらからでも移載することが可能である。
【0089】
なお、図15に示すように、物品2を収容する際の位置を、前記オフセット状態の位置(本実施の形態)ではなく、物品中心2M(スライド中心132M)を旋回中心133Mに一致させた位置としてもよい。
この場合も、物品2の長手方向は、搬送車103の走行方向(前後方向)と平行となった姿勢であり、ローラコンベア31・31の案内方向と物品2の長手方向とは平行で、物品中心2Mとコンベア中心31Mとスライド中心132Mとは一致し、これらの中心は左右中心線103L上に位置する状態となっている。
この場合、物品2の移載に際しては、中立状態(物品中心2M(コンベア中心31M)が旋回中心133Mと一致)からオフセット状態(物品中心2M(コンベア中心31M)が旋回中心133Mに対して偏心)へ移行させるオフセット工程と、旋回工程、スライド工程、の三工程を実行するものとなる。
【0090】
また、物品2を収容する際の位置を、スライドテーブル132を駆動することで、搬送方向(前後方向)の一側(例えば前側)から、搬送方向(前後方向)の他側(例えば後側)へ、移動させることが可能である。つまり、搬送車103においては、オフセット状態となりうるパターンが二通りあり、ローラコンベア31・31に支持される物品2の中心(物品中心2M)を、搬送方向で旋回中心133Mを跨いで移動させることで、どちらのオフセット状態に移行させることも可能である。
【0091】
また、本実施の形態では、移載関連装置の全体を搬送車103に備える構成としていたが、スライド装置(スライドテーブル132)に関しては、搬送車103ではなくステーション4に備える構成としてもよい。
この場合、搬送車103において、ローラコンベア31・31がスライドテーブル132を介することなく走行車体30に直接固定されるものとなる。したがって、搬送車3と同様に、常時オフセット状態に保たれた状態となる。そして、旋回工程については前述と同じになる。一方、スライド工程では、搬送車に備えるコントローラ137が、ステーション4に備えるスライド装置を駆動して、ローラコンベア41・41をローラコンベア31・31側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。このようにして、移載準備を完了させる。移載準備が完了すれば、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車3からステーション4へと移載することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】搬送車システムの構成を示す図。(実施例1)
【図2】搬送車の正面一部断面図。(実施例1)
【図3】移載関連装置に係る制御機構を示すブロック図。(実施例1)
【図4】物品の移載に係る各装置の位置関係を示す平面図。(実施例1)
【図5】オフセット状態にある搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図6】旋回工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図7】スライド工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図8】物品の移載中の搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図9】搬送車の正面一部断面図。(実施例2)
【図10】移載関連装置に係る制御機構を示すブロック図。(実施例2)
【図11】物品の移載に係る各装置の位置関係を示す平面図。(実施例2)
【図12】オフセット状態にある搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【図13】旋回工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【図14】スライド工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【図15】中立状態にある搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【符号の説明】
【0093】
1 搬送車システム
2 物品
2M 物品中心
3・103 搬送車
3L 左右中心線
4 ステーション
31 ローラコンベア(ガイド部材・移動装置)
32・132 スライドテーブル(スライド装置)
32M・132M 旋回中心
33・133 ターンテーブル(旋回装置)
41 ローラコンベア(載置部側ガイド部材・移動装置)
37・137 制御装置
R11・R12・R21・R22 角部旋回軌跡
【技術分野】
【0001】
物品の向きを変えて移載する搬送車、前記搬送車および物品の移載先または移載元となるステーションを備える搬送車システム、前記搬送車と前記ステーションとの間の物品移載方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーン環境下で物品を加工する加工工場等においては、物品の移載先または移載元となるステーションとの間で、物品を移載する搬送車が用いられている。この搬送車は、搬送中の物品が外気と接触するのを防止すべく、物品を収容するカバーを備えている。このカバーの左右には、物品を移載する際に物品を通過させるためのシャッターが設けられている。そして、この搬送車は、ステーションとの間で物品を移載する際には、搬送車の側面をステーション側に向け、ステーション側のシャッターを開放して、搬送車の左右方向で物品の移載を行う。
【0003】
従来より、このような搬送車において、搬送車の機体幅を短縮すべく、搬送する際における物品の姿勢と、移載する際における物品の姿勢とを、90度変更させる構成した搬送車が知られている。具体的には、搬送される物品は直方体であって、搬送時には、搬送車の走行方向に物品の長手方向が沿うように、その物品が搬送車に収容される。そして、搬送車の機体幅をできるだけ短縮できるようにしている。一方、移載する際には、移載元たる搬送車から移載先たるステーションに至る移載経路の方向に、物品の長手方向が沿うように、物品の姿勢が変更されて、この物品の移載が行われる。
【0004】
搬送車には、物品の移載手段として、例えば水平多関節アーム式の移載装置が備えられている。この移載装置は、例えば、上腕に相当する第一アームと、下腕に相当する第二アームと、手に相当する物品支持台と、第一アームを昇降させる昇降装置と、を備えている。そして、第一アームと第二アームとを屈曲させて、物品支持台を進退移動させるとともに、昇降装置を駆動させて物品支持台を昇降させ、物品のすくい上げや、物品の載置を可能としている。
また、物品支持台は第一アームに対して旋回可能に接続されている。そこで、ステーションから搬送車に物品を移載する際には、ステーションから物品を物品支持台上に受け取った後、搬送車の外側で、予め物品支持台を90度旋回させて、物品の姿勢を変更しておく。このようにして、搬送車内に物品の姿勢を変更するのに十分なスペースがなくても、つまり機体幅を狭く構成した場合であっても、物品の姿勢変更を可能としている。
【0005】
しかしながら、水平多関節アーム式やフォーク式の移載装置のような伸縮式の移載装置の場合、物品が大きく重くなってくると、それに対応させるのが、コスト的にも移載装置の配置スペース的にも困難である。
【0006】
このため、ローラコンベア式の移載装置を用いて、物品を移載することが検討されている。ローラコンベア式の移載装置を利用する場合、搬送車およびステーションのそれぞれに、ローラコンベアが備えられるものとなる。そして、物品の移載は、搬送車側のローラコンベアと、ステーション側のローラコンベアとを経由して、行われるものとなる。
【0007】
ここで、前述の水平多関節アーム式の移載装置の場合は、搬送車の外側に進出する物品支持台自体が旋回する構成であるので、搬送車の外側で物品の姿勢を変更することが可能である。これに対して、ローラコンベア式の移載装置の場合、物品はローラコンベア上に支持されるため、物品の姿勢を90度変更するには、ローラコンベアごと姿勢を変更する必要がある。つまり、搬送車側とステーション側とでローラコンベア間を経由する移載を行うに先立って、搬送車の内部に収容されている状態で、物品の姿勢を変更する必要がある。
【0008】
搬送車の内部で物品の姿勢を変更させる場合、旋回する物品およびローラコンベアと、搬送車のカバーやシャッターとの接触を防止する必要がある。ここで、物品およびローラコンベアの旋回軌跡を避けて、左右のシャッターを配置するとなると、機体幅の短縮に反することになる。一方、移載する際には、ステーション側のシャッターは開放されるので、このシャッターと物品やローラコンベアが接触する恐れはない。しかし、物品が、反対側のシャッターと接触する恐れはある。
つまり、機体幅を狭めた構成としながら、搬送車の内部で、反ステーション側のシャッターと接触することなく、物品の姿勢変更を可能とする必要がある。
【0009】
このような課題を解決する発明として、特許文献1・2に開示される発明がある。
特許文献1には、物品の収容室の旋回装置を備える構成において、収容室の中心位置を、搬送車の機体中心線に対してずらした位置に配置した搬送車が開示されている。この収容室にはローラコンベアが配置されている。つまり、物品(ローラコンベア)の旋回中心に対して、物品(ローラコンベア)の中心位置を、偏心させた構成である。このため、物品およびローラコンベアの姿勢をステーション側に向けた際に、物品およびローラコンベアはステーション側に突出し、物品およびローラコンベアの旋回軌跡が反ステーション側へ突出する量を抑えることができる。
また、特許文献2には、物品を支持するフォーク式の移載装置と、この移載装置の回転駆動装置と、を備える構成において、さらに、移載装置および回転駆動装置をステーション側へスライド移動させるスライド装置を備えた搬送車が開示されている。そして、移載する際には、スライド装置を駆動して物品等(および移載装置および回転駆動装置)をステーション側に移動させてから、回転駆動装置を駆動して物品等の姿勢を変更させるものとしている。つまり、特許文献2においても、物品(フォーク式移載装置)の旋回中心に対して、物品(フォーク式移載装置)の中心位置を、偏心させた構成である。
【0010】
【特許文献1】特開2002−53039号公報
【特許文献1】特開平10−139172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のように、移載装置をローラコンベア式とする場合、ステーション側のローラコンベアとの間で物品を受け渡す際に、ローラコンベア間の段差や隙間によって、物品に衝撃が加わる恐れがある。このため、移載装置をローラコンベア式とする場合には、衝撃防止のため、両ローラコンベアの高さ位置を揃えると共に、両ローラコンベア間の水平方向の隙間を狭める必要がある。
しかし、両ローラコンベアの高さ位置を揃えた状態で、両ローラコンベア間の隙間を狭めようとしても、旋回するローラコンベアが相手側のローラコンベアに接触するのを防止させる必要があるため、ローラコンベアの旋回軌跡の突出量の分だけは、隙間を設けておく必要がある。
【0012】
特許文献2のように、移載装置をフォーク式(進退式)とする場合、ステーション側への物品の進出量を適宜調整できるので、ローラコンベア間の隙間の大小のような問題は避けられる。しかし、前述したように、移載装置をフォーク式とする場合、物品が大きく重くなってくると、それに対応させるのが、コスト的にも移載装置の配置スペース的にも困難である。
【0013】
つまり、解決しようとする問題点は、搬送車とステーションとの間で移載を行う搬送車システムや当該搬送車において、搬送車の機体幅を短縮すべく物品の向きを変えて移載する構成とし、移載装置をローラコンベア式とした場合に、移載時に、搬送車のローラコンベアをステーションのローラコンベアに干渉しないように旋回させただけでは、ローラコンベア間の隙間が広がって、物品の移載がスムーズにならなくなる点、である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
請求項1に係る搬送車は、
物品の向きを変えて移載する搬送車において、
物品を支持して移載するローラコンベア式の移載装置と、前記移載装置を旋回させる旋回装置と、物品の移載時に前記移載装置を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、前記移載装置が物品の移載先となるステーションと干渉しないように間隔をあけて前記旋回装置を旋回させ、旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記スライド装置をスライドさせる、
ものである。
【0016】
ローラコンベア式の移載装置とは、物品を支持するローラ自体が駆動する構成のローラコンベア単体よりなる移載装置か、または、物品を支持するフリーローラが並設されたローラコンベアと、このローラコンベア上の物品を押し出すか牽引するプッシュプル装置と、で構成される移載装置とする。
【0017】
請求項2に係る搬送車は、請求項1において、次の構成としたものである。
前記旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記旋回装置に対して前記移載装置を偏心配置した、ものである。
【0018】
請求項3に係る搬送車は、請求項1において、次の構成としたものである。
前記旋回装置は、前記スライド装置を旋回させるように構成し、前記スライド装置により前記移載装置を前記旋回装置に対して偏心させるようにした、ものである。
【0019】
ここで、移載時には、旋回装置を駆動して、移載装置が旋回装置の旋回中心に対して、移載方向でステーション側に近づくようにする。搬送時には、旋回装置を駆動して、移載装置が旋回装置の旋回中心に対して、搬送方向のどちらか一方に近づくようにする。なお、搬送時には、物品を支持する移載装置が旋回装置の旋回中心と同心となるようにすることもできる。
【0020】
請求項4に係る搬送車システムは、
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションと、を備える搬送車システムであって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、ものである。
【0021】
請求項5に係る搬送車とステーションとの間の物品移載方法は、
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションとの間の物品移載方法であって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、ものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0023】
請求項1においては、
搬送車の移載装置をステーションに干渉しないように旋回させると、旋回後、移載装置とステーションとの間に隙間が生じるが、スライド装置をスライドさせることで、この隙間を狭めることができ、搬送車とステーションとの間で物品をスムーズに移載することができる。
【0024】
請求項2においては、請求項1の効果に加えて、
移載装置に支持される物品の旋回軌跡を、旋回中心周りに(搬送車の幅方向および前後方向に)均等に及ぶようにするのではなく、ステーション側に偏らせるようにすることができる。物品の平面視形状が円形の場合を除いては、物品を前記旋回中心と同心で旋回させると、平面視における物品自体の大きさより物品の旋回軌跡の方が広がって、旋回する物品の旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要があるが、移載装置を前記旋回中心に対して偏心させる場合は、旋回軌跡がステーション側に偏るので、このような必要がない。特に物品の平面視形状が縦幅と横幅とで異なる長方形であって、搬送車の機体幅を短縮すべく、搬送時に、この物品の幅の狭い方が搬送車の幅方向を向くようにする場合であっても、この物品の旋回軌跡のために、旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要がなくなる。
また、移載装置を旋回させる動作自体によって、移載装置自体がステーション側に突出することになり、移載装置をさらにステーション側にスライド装置によりスライドさせる量を減らすことができる。
【0025】
請求項3においては、請求項1の効果に加えて、
移載装置に支持される物品の旋回軌跡を、旋回中心周りに(搬送車の幅方向および前後方向に)均等に及ぶようにするのではなく、ステーション側に偏らせるようにすることができる。物品の平面視形状が円形の場合を除いては、物品を前記旋回中心と同心で旋回させると、平面視における物品自体の大きさより物品の旋回軌跡の方が広がって、旋回する物品の旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要があるが、移載装置を前記旋回中心に対して偏心させる場合は、旋回軌跡がステーション側に偏るので、このような必要がない。特に物品の平面視形状が縦幅と横幅とで異なる長方形であって、搬送車の機体幅を短縮すべく、搬送時に、この物品の幅の狭い方が搬送車の幅方向を向くようにする場合であっても、この物品の旋回軌跡のために、旋回用のスペースを搬送車内に確保する必要がなくなる。
また、物品を搬送車の中心位置に配置することもでき、移載装置に支持される物品が旋回装置に対して偏心した状態のまま、物品を搬送する場合と比べて、搬送走行中の搬送車のバランスがよくなる。
【0026】
請求項4においては、
搬送車側移載装置とステーション側移載装置とが干渉しないように、搬送車側移載装置を旋回させることにより発生する搬送車側移載装置とステーション側移載装置との隙間を、スライド装置により狭めることができ、搬送車とステーションとの間で物品をスムーズに移載することができる。
【0027】
請求項5においては、
搬送車側移載装置とステーション側移載装置とが干渉しないように、搬送車側移載装置を旋回させることにより発生する搬送車側移載装置とステーション側移載装置との隙間を、スライド装置により狭めることができ、搬送車とステーションとの間で物品をスムーズに移載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
これより、本発明の実施の形態である搬送車システムを説明する。
この搬送車システムは、搬送車と、物品2の移載元または移載先となるステーションと、を備えている。
以下では、搬送車の構成の異なる二つの実施例について、説明する。
【実施例1】
【0029】
図1を用いて、搬送車システム1の構成を説明する。
搬送車システム1は、クリーン環境下で物品を加工する工場等において、加工装置等のステーションへの物品の移載を、搬送車により行わせるシステムである。
この搬送車システム1は、物品2を搬送する搬送車3と、物品2の移載元または移載先となるステーション4と、を備えている。そして、搬送車3とステーション4との間で、物品2の移載が行われる構成である。
ステーション4は、搬送車3の走行経路に沿って、この走行経路の左右側方に配置される。そして、物品2の移載は、搬送車3が目的のステーション4の正面位置に、この搬送車3の側面を向けて停止し、搬送車3の側面とステーション4の正面とが対向する状態で行われる。
【0030】
搬送車2とステーション4との間における物品2の移載は、搬送車2に備えるローラコンベア31と、ステーション4に備えるローラコンベア41と、を合わせて移載経路を構成し、この移載経路(ローラコンベア31・41)に沿って物品2を移動させることで行われる。
【0031】
図2を用いて、搬送車3を説明する。
搬送車3は、物品2を外気から保護しながら搬送可能であると共に、ステーション4へ物品2の移載を行うことが可能に構成されている。
この搬送車3は、床面上を走行する走行車両30と、物品2の収容部と、を備えている。この収容部には、前記ローラコンベア31・31と、ローラコンベア31・31を旋回させるターンテーブル33と、ターンテーブル33をスライドさせるスライドテーブル32と、物品2を収容する収容室34と、収容室34の開口を開閉するシャッタ35と、が備えられている。
【0032】
搬送車3に備える各装置のレイアウトは、概略的には、次の構成である。
最下位置にある走行車両30より上方に向けて、スライドテーブル32、ターンテーブル33、ローラコンベア31・31が配置される。また、収容室34は、ローラコンベア31・31上に支持される物品2だけでなく、スライドテーブル32、ターンテーブル33、ローラコンベア31の全体を被覆する。
【0033】
走行車両30は、搬送車3を床面上で走行させる装置である。
以下、搬送車3の走行方向を前後方向とする。また、搬送車3とステーション4との間における物品2の移載方向は、搬送車3の走行方向を前後方向とした場合における左右方向となっている。
【0034】
ローラコンベア31は、搬送車3内に、左右一対配置されている。
これら一対のローラコンベア31・31は、物品2の下面を左右両側で支持すると共に、これらのローラコンベア31の長手方向に沿って、物品2を移動させる装置である。
より詳しくは、各ローラコンベア31は、一方向(ローラコンベア31の長手方向)に沿って物品2の底面に接するローラ31aを多数備えると共に、これらのローラ31aを回転させる回転用モータ31bを備えている。そして、この回転用モータの駆動により、ローラ31a群が回転し、ローラ31a群に支持される物品2が、ローラ31a群の列方向(ローラコンベア31の長手方向)に沿って移動する。
つまり、ローラコンベア31において、ローラ31aの列は、物品2を所定の案内方向(ローラの配設方向)に沿って案内するガイド部材を構成する。加えて、ローラ31aの列は、回転用モータ31bによって駆動されることで、この案内方向に沿って物品2を移動させる移動装置をも構成する。
【0035】
なお、物品の移載装置は、ローラコンベア式の移載装置であれば、ローラ31aが自体が回転する構成の前記ローラコンベア31に代えて、次の構成であっても良い。ローラコンベアに備えるローラをすべてフリーローラ(自律的には駆動しないローラ)として、ローラの列は、単に物品2のガイド部材を構成するものとする。加えて、物品2の移動装置として、ローラ列上の物品2を押し引きして移動させるプッシュプル装置(進退装置)を、ローラコンベア31・41とは別に設けるものである。
あるいは、ローラコンベア式の移載装置に代えて、レールと、このレール上を走行する搬送台車、としてもよい。この搬送台車は、搬送車3に相当する搬送車に搭載される子台車であって、親台車に当たる搬送車とは別の存在である。そして、この搬送台車を前記レールに沿って走行させることで、搬送車内の物品を搬送車外へと移動させ、物品2の移載を行う。この場合、前記レールは、物品2を間接的に支持して一方向に案内するガイド部材を構成する。また、前記搬送台車は、物品2を前記レールに沿って移動させる移動装置を構成する。
【0036】
スライドテーブル32は、スライド支持台32aと、スライド台32bと、スライド用モータ32cと、を備えている。スライド台32bは、スライド支持台32aに、一方向に直動案内される状態で支持される。そして、スライド用モータ32cの駆動により、スライド支持台32aに対して、スライド台32bが一方向に移動する。
ここで、スライド支持台32aは走行車両30に固定され、スライド台32bにターンテーブル33のターン支持台33a(後述)が固定される。スライドテーブル32におけるスライド台32bの移動方向は、搬送車3の左右方向である。
【0037】
ターンテーブル33は、ターン支持台33aと、ターン台33bと、旋回用モータ33cと、を備えている。旋回用モータ33cの駆動により、ターン支持台33aに対してターン台33bが旋回する。
ここで、ターン支持台33aはスライド台32bに固定され、ターン台33bに、左右に一対配置されるローラコンベア31・31の双方が固定される。
なお、ターンテーブル33がスライドテーブル32を介して走行車両30に固定された状態において、ターン支持台33aに対するターン台33bの旋回軸は、鉛直軸であり、ターン台33bは水平面内で旋回を行う。
【0038】
なお、本実施の形態の搬送車3には、左右方向のスライドテーブル32とターンテーブル33との間に、前後方向のスライドテーブルも設けられているが、この前後方向のスライドテーブルは、以下で説明する制御には用いないので、その説明を省略する。また、搬送車3には、ターンテーブル33とローラコンベア31・31との間に、ローラコンベア31・31の昇降装置が設けられている。
この昇降装置は、ローラコンベア31・31の高さ位置を微調整する際に用いるものである。この高さ位置の微調整は、物品2を収容室34内に収容した際に、物品2を、収容室34内に配置した載置台上に預け置く際などに、載置台の上方位置にあるローラコンベア31・31を下降させる場合などに行われる。
【0039】
以上構成により、スライドテーブル32が駆動すると、ローラコンベア31・31およびターンテーブル33が一体に、搬送車3の左右方向に移動する。また、ターンテーブル33が駆動する場合は、ローラコンベア31・31のみが水平面内で旋回する。
【0040】
収容室34は、搬送車3が搬送する物品2を、外気から遮断される状態で、その搬送中に収容しておく室である。
この収容室34は、六壁面を有する直方体状の箱体より底壁面を切除した形状をしている。そして、この底壁面側の開口部分を塞ぐように、走行車両30上に、この収容室34が支持されている。
この収容室34の内部には、スライドテーブル32、ターンテーブル33、ローラコンベア31・31の全部が配置されている。さらに、収容室34の内部スペースは、物品2がローラコンベア31・31上に支持された状態で、物品2を収容室34の内部に収容することが可能に構成されている。
【0041】
また、収容室34の内部には、前後にそれぞれ、送風手段としてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)36が配置されている。
例えば、一方のFFU36は、収容室34内に空気流を送り込むように制御され、他方のFFU36は、収容室34内の空気を外部へ排出するように制御される。そして、物品2に付着している塵挨を除去して、搬送車3の外部へと排出する。
【0042】
収容室34の左右には、収容室34の内外を貫通して、移載口34aがそれぞれ形成されている。この移載口34aは、搬送車3とステーション4との間での物品2の移載する際に、収容室34の内外間で物品2を通過させるための開口である。
【0043】
シャッタ35は、移載口34aを開閉可能とする手段である。
このシャッタ35は、左右の移載口34aにそれぞれ対応して設けられており、都合二つ設けられている。また、各シャッタ35は、左右で独立して開閉可能に構成されている。
このシャッタ35は、物品2を移載する際、つまり搬送車3が移載の目的のステーション4の側方に停止した際に開放されるが、開放されるのは、目的のステーション4側のシャッタ35のみである。このように、左右方向で反対側のシャッタ35については閉鎖した状態としておくことで、移載に際して左右一方のシャッタ35が開放された状態でも、FFU36の駆動により、収容室34内の気密性をできるだけ保つようにしている。
【0044】
移載関連装置について説明する。
搬送車3とステーション4との間における物品2の移載は、前述したように、搬送車3に備えるローラコンベア31・31と、ステーション4に備えるローラコンベア41・41と、を合わせた状態で行われる。
ここで、両コンベア31・41間の隙間を狭くして、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせるために、ローラコンベア31・31の位置制御や姿勢制御に係る装置も、搬送車3に備えられている。
このような移載関連装置には、ローラコンベア31・31と、ローラコンベア31・31を旋回させるターンテーブル33と、ターンテーブル33(ローラコンベア31・31)をスライドさせるスライドテーブル32と、これらの装置を制御するコントローラ37と、がある。
本実施の形態では、この移載関連装置の全体を搬送車3に備える構成としているが、スライド装置(スライドテーブル32)に関しては、搬送車3ではなく、ステーション4に備える構成としてもよい。この構成としても、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせて、搬送車3とステーション4との間における物品2の移載を行うことが可能である。なお、移載に際して、スライド装置(スライドテーブル32)が果たす役割については、詳しくは後述する。
【0045】
図3を用いて、移載関連装置に係る制御機構を説明する。
搬送車3には、物品2の移載に係るアクチュエータとして、ローラコンベア31の回転用モータ31b、ターンテーブル33の旋回用モータ33c、スライドテーブル32のスライド用モータ32c、が備えられている。
搬送車3に備える前記コントローラ37は、これらのアクチュエータの駆動を制御する。このコントローラ37には、演算装置や記憶装置が備えられている。そして、前記演算装置は、前記記憶装置内に記憶されるデータやプログラムに基づいて、前記各アクチュエータの駆動を制御する。
【0046】
図2、図4を用いて、移載関連装置の位置関係について説明する。
搬送車3は、左右両側で物品の移載が可能となるように、移載関連装置に関しては、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
また、物品2の収容スペースの大きさに係る収容室34や走行車両30についても、左右両側で物品の移載が可能となるように、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
平面視において、左右一対のローラコンベア31・31の全体形状、ターンテーブル33の形状、スライドテーブル32の形状、搬送車3の形状(収容室34および走行車両30の全体形状)は、左右対称である。
【0047】
図4(a)、図4(b)に示すように、スライドテーブル32に備えるスライド台32bは、搬送車3の左右中心線3Lに対して、左右対称に進出(スライド)可能に構成されている。ここで、このスライド台32bの前後左右中心を、スライド中心32Mとする。平面視において、スライド中心32Mが左右中心線3L上にあるとき、スライド台32aが中立位置にあるものとする。
【0048】
図4(b)に示すように、スライドテーブル32上にターンテーブル33が配置されており、スライド台32bにテーブル支持台32aが固定されている。このため、スライド台32bの左右スライドに伴って、ターンテーブル33が左右方向に移動する。
また、平面視において、ターン支持台33aに対するターン台33bの旋回軸の軸芯位置が、ターンテーブル33の旋回中心33Mである。この旋回中心33Mは、スライド台32aが中立位置にあるとき、左右中心線3L上にある。
【0049】
図4(c)に示すように、左右一対のローラコンベア31・31の全体の前後左右中心(コンベア中心31M)は、ターンテーブル33の旋回中心33Mとは異なる位置(偏心した位置)に配置されている。旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を離間させる距離が、オフセット量D1である。このように、旋回中心33Mに対してコンベア中心31Mを偏心させる理由については、後述する。
【0050】
また、移載の対象物である物品2は、直方体状の部材であって、平面視における物品2の形状は、長手と短手とを有する矩形である。この物品2の前後左右の中心を、物品中心2Mとする。
【0051】
図5を用いて、物品2を収容する際(搬送する際)におけるローラコンベア31・31の位置および姿勢を説明する。
物品2は、収容室34内に収容された状態では、物品2の長手方向が、搬送車3の走行方向(前後方向)と平行となった姿勢に保たれる。搬送車3の走行方向を、物品2の搬送方向とする。
また、ローラコンベア31・31の案内方向(ローラ31aの列方向)と、物品2の長手方向と、が平行となるように、物品2はローラコンベア31・31上に支持される。このため、ローラコンベア31・31は、その案内方向が、搬送方向と平行になった姿勢に保たれている。
また、物品中心2Mと、コンベア中心31Mとが、一致するように、ローラコンベア31・31上に物品2が配置される。加えて、物品中心2Mおよびコンベア中心31Mは、搬送車3の左右中心線3L上に位置し、ターンテーブル33の旋回中心33Mが搬送車3の左右中心線3L上に位置する。一方、物品中心2Mおよびコンベア中心31Mは、旋回中心33Mに対して、前記オフセット量D1だけ離間した位置(偏心した位置)にある。物品中心2M(コンベア中心31M)が、旋回中心33Mに対して偏心している状態を、オフセット状態と呼ぶ。オフセット状態のメリットについては後述する。
【0052】
ここで、走行車両30に対するローラコンベア31・31の左右位置は、スライドテーブル32を駆動させて、スライド支持台32aに対するスライド台32bの位置を変更することで、調整可能である。また、走行車両30に対するローラコンベア31・31の向き(ローラコンベア31の案内方向の向き)は、ターンテーブル33を駆動させて、ターン支持台33aに対するターン台33bの回転位置を変更することで、調整可能である。
また、ローラコンベア31・31に対する物品2の位置は、各ローラ31aを駆動することで、物品2をローラコンベア31上を案内方向に沿って移動させることで、調整可能である。
【0053】
次に、図5から図8を用いて、搬送車3とステーション4との間での物品2の移載方法を説明する。
搬送車3からステーション4への物品2の移載に際して、コントローラ37は、物品2の移載経路を確保するため、各移載関連装置に指令して、旋回工程、スライド工程、を実行させる。これらの各工程を実行して、物品2の移載経路が確保された状態で、物品2の移載が行われる。
移載経路の確保は、搬送車3に備えるローラコンベア31・31と、ステーション4に備えるローラコンベア41・41と、を合わせて、両ローラコンベア31・41間の隙間を物品2の搬送に差し支えない程度に狭めることで行われる。ここで、移載に際して、ローラコンベア31・31やローラコンベア41・41の昇降を不用とするため、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置は、ほぼ等しい高さに設定されている。
そして、この移載方法により物品2の移載準備(物品2の移載経路が確保された状態への移行)をすることで、搬送車3の機体幅を増大させることなく、搬送車3とステーション4との間で物品2の移載が可能となるようにしている。
以下、これらの各工程について、詳しく説明する。
【0054】
図5に示す状況は、搬送車3が、移載の目的のステーション4の正面位置に、この搬送車3の側面を向けて停止した際の状況である。この移載の開始段階においては、ローラコンベア31・31や物品2の位置および姿勢は、物品2を収容する際(搬送する際)と同様の位置および姿勢である。
【0055】
搬送車3は、移載の開始段階において、旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた状態(オフセット状態)にある。旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた距離は、前述したように、オフセット量D1である。
このように偏心させておくことで、後の旋回工程において、物品2を支持するローラコンベア31・31を旋回させる際に、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R11・R12(図6)が反ステーション4側に突出しないようにすることができる。なお、角部旋回軌跡R11は、平面視矩形である物品4の四つの角部のうち、旋回中心33Mに対して相対的に遠い側(図6の右側)に位置する二つの角部の描く軌跡を指している。同じく、角部旋回軌跡R12は、平面視矩形である物品4の四つの角部のうち、旋回中心33Mに対して相対的に近い側(図6の左側)に位置する二つの角部の描く軌跡を指している。
また、オフセット量D1は、移載準備が適切に行われるように、種々の制限が加えられた上で設定されているが、この設定の条件についても詳しくは後述する。
【0056】
図6に示す状況は、旋回工程が実行された状況を示す。
旋回工程において、コントローラ37は、ターンテーブル33を駆動して、搬送方向を向いているローラコンベア31・31が、移載方向(左右方向)を向くように旋回させる。
この旋回により、ローラコンベア31・31がローラコンベア41・41に対向する状態となる。また、ローラコンベア31・31上に載置されている物品2(の長手方向)の向きも、移載方向(左右方向)を向くようになる。
【0057】
図7に示す状況は、スライド工程が実行された状況を示す。
スライド工程において、コントローラ37は、スライドテーブル32を駆動して、ローラコンベア31・31をローラコンベア41・41側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。これが、移載準備の完了状態である。
この状態において、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車3からステーション4へと移載することが可能である。
【0058】
そして、図8に示すように、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを駆動して、物品2をローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41上を搬送することで、物品2が搬送車3からステーション4へと移載される。
【0059】
オフセット量D1に加えられる制限について説明する。
旋回工程において、物品2(ローラコンベア31・31)を搬送方向(前後方向)から移載方向(左右方向)まで旋回させるが、オフセット量D1の大きさによっては、この際に、次の二通りの衝突が発生する恐れがある。
一つは、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とが接触する恐れである。もう一つは、ローラコンベア31・31(物品2)が反ステーション4側のシャッタ35・35等に接触したりする恐れである。
そこで、このような不具合を防止するために、オフセット量D1の大きさには制限が加えられている。
【0060】
前記一つ目の接触の恐れは、前述したように、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置が、ほぼ等しい高さに設定されていることによる。
そこで、ローラコンベア31・31のターンテーブル33による角部旋回軌跡R11内に、ローラコンベア41・41が入らないように、オフセット量D1を設定して、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との接触を防止するようにしている。
【0061】
前記二つ目の接触の恐れは、移載時には、物品2を通過させるため、ステーション4側のシャッタ35・35は開放するが、収容室34内への外気進入防止のため、反ステーション4側のシャッタ35・35が閉じられていることによる。無論、物品2(ローラコンベア31・31)が、反ステーション4側のシャッタ35・35だけでなく、その他の搬送車103に備える装置と接触することも防止する必要がある。特に、機体幅の短縮の要請上、搬送車3に備える装置のうち、物品2(ローラコンベア31・31)がもっとも接触する恐れが高いのが、反ステーション4側のシャッタ35・35である。
そこで、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R11内に、反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等が入らないように、オフセット量D1を設定して、物品2(ローラコンベア31・31)と反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等との接触を防止するようにしている。
【0062】
このように旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させることで、次の効果がある。すなわち、搬送車3の機体幅を増大させることなく、搬送車3の収容室34内のスペースや、シャッタ35・35の開放により露出したステーション4側のスペースを利用して、ローラコンベア31・31および物品2の旋回が可能となっている。
【0063】
以上、搬送車3からステーション4へ物品2を移載する場合について説明したが、ステーション4から搬送車3へ物品2を移載する場合についても、同様である。前記各工程を実行して、物品2の移載経路がローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41で形成された状態となれば、物品2を、搬送車3とステーション4との間で、どちらからでも移載することが可能である。
【0064】
また、本実施の形態では、移載関連装置の全体を搬送車3に備える構成としていたが、スライド装置(スライドテーブル32)に関しては、搬送車3ではなくステーション4に備える構成としてもよい。
この場合、搬送車3において、ターンテーブル33がスライドテーブル32を介することなく走行車体30に直接固定されるものとなる。そして、旋回工程については前述と同じになる。一方、スライド工程では、搬送車に備えるコントローラ37が、ステーション4に備えるスライド装置を駆動して、ローラコンベア41・41をローラコンベア31・31側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。このようにして、移載準備を完了させる。移載準備が完了すれば、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車3からステーション4へと移載することが可能である。
【実施例2】
【0065】
次に、実施例2の搬送車システムを説明する。
実施例2は、搬送車の構成のみが、実施例1と異なるものである。そこで以下では、主として、前記搬送車3と構成の異なる搬送車103について説明する。
【0066】
図9を用いて、搬送車103を説明する。
この搬送車103は、床面上を走行する走行車両30と、物品2の収容部と、を備えている。この収容部には、前記ローラコンベア31と、ローラコンベア31をスライドさせるスライドテーブル132と、スライドテーブル132を旋回させるターンテーブル133と、物品2を収容する収容室34と、収容室34の開口を開閉するシャッタ35と、が備えられている。
【0067】
搬送車3と搬送車103の主要な相違点を説明する。
搬送車3においては、ターンテーブル33の直接的な駆動対象がローラコンベア31・31で、スライドテーブル32の直接的な駆動対象がターンテーブル33であった。そして、スライドテーブル32により、ターンテーブル33だけでなく、間接的にローラコンベア31・31も位置変更される構成であった。しかし、ターンテーブル33のみが駆動しても、スライドテーブル32の姿勢は変更されない。
これに対して、搬送車103においては、ターンテーブル133の直接的な駆動対象がスライドテーブル132で、スライドテーブル132の直接的な駆動対象がローラコンベア31・31となっている。そして、ターンテーブル133により、スライドテーブル132だけでなく、間接的にローラコンベア31・31も姿勢変更される構成である。しかし、スライドテーブル132のみが駆動しても、ターンテーブル133の位置は変更されない。
そして、これらの装置の配置関係の相違(直接的な駆動対象の相違)によって、搬送車3では常時オフセット状態にあるのに対して、搬送車103では、オフセット状態(後述)から中立状態(後述)への移行およびその逆の移行が可能となっている。
【0068】
搬送車103にも、ローラコンベア31・31の位置制御や姿勢制御に係る移載関連装置が備えられる構成である。この移載関連装置には、ローラコンベア31・31、スライドテーブル132、ターンテーブル133、コントローラ137(図10)と、がある。
ターンテーブル133やスライドテーブル132の直接的な駆動対象が、搬送車1のターンテーブル33やスライドテーブル32と異なるため、搬送車103と搬送車3とで、移載関連装置の作用、つまりローラコンベア31・31の位置制御や姿勢制御の仕組みが一部異なるものとなっている。
本実施の形態では、この移載関連装置の全体を搬送車103に備える構成としているが、スライド装置(スライドテーブル132)に関しては、搬送車103ではなく、ステーション4に備える構成としてもよい。この構成としても、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせて、搬送車103とステーション4との間における物品2の移載を行うことが可能である。
【0069】
搬送車103に備える各装置のレイアウトは、概略的には、次の構成である。
最下位置にある走行車両30より上方に向けて、ターンテーブル133、スライドテーブル132、ローラコンベア31・31が配置される。また、収容室34は、ローラコンベア31・31上に支持される物品2だけでなく、スライドテーブル132、ターンテーブル133、ローラコンベア31・31の全体を被覆する。
【0070】
ターンテーブル133は、ターン支持台133aと、ターン台133bと、旋回用モータ133cと、を備えている。旋回用モータ133cの駆動により、ターン支持台133aに対してターン台133bが旋回する。
ここで、ターン支持台133aは走行車両30に固定され、ターン台133bにスライドテーブル132のスライド支持台132aが固定される。
なお、ターンテーブル133が走行車両30に固定された状態において、ターン支持台133aに対するターン台133bの旋回軸は、鉛直軸であり、ターン台133bは水平面内で旋回を行う。
【0071】
スライドテーブル132は、スライド支持台132aと、スライド台132bと、スライド用モータ132cと、を備えている。スライド台132bは、スライド支持台132aに、一方向に直動案内される状態で支持される。そして、スライド用モータ132cの駆動により、スライド支持台132aに対して、スライド台132bが一方向に移動する。
ここで、スライド支持台132aはターン台133bに固定され、スライド台132bに、左右に一対配置されるローラコンベア31・31の双方が固定される。ここで、スライドテーブル32におけるスライド台32bの移動方向と、ローラコンベア31・31による物品2の搬送方向とが同一となるようにしている。
【0072】
図10を用いて、移載関連装置に係る制御機構を説明する。
搬送車103には、物品2の移載に係るアクチュエータとして、ローラコンベア31の回転用モータ31b、ターンテーブル33の旋回用モータ133c、スライドテーブル32のスライド用モータ132c、が備えられている。
搬送車103に備える前記コントローラ137は、これらのアクチュエータの駆動を制御する。このコントローラ137には、演算装置や記憶装置が備えられている。そして、前記演算装置は、前記記憶装置内に記憶されるデータやプログラムに基づいて、前記各アクチュエータの駆動を制御する。
【0073】
図9、図11を用いて、移載関連装置の位置関係について説明する。
搬送車103は、左右両側で物品の移載が可能となるように、移載関連装置に関しては、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
また、物品2の収容スペースの大きさに係る収容室34や走行車両30についても、左右両側で物品の移載が可能となるように、形状が左右対称に構成されると共に、左右で同様の機能を発揮するように構成されている。
平面視において、左右一対のローラコンベア31・31の全体形状、ターンテーブル133の形状、スライドテーブル132の形状、搬送車103の形状(収容室34および走行車両30の全体形状)は、左右対称である。
【0074】
図11(a)に示すように、平面視において、ターンテーブル133の旋回中心133Mは、搬送車103の左右中心線103L上に配置されている。ここで、ターンテーブル133の旋回中心133Mとは、平面視において、ターン支持台133aに対するターン台133bの旋回軸の軸芯位置を意味する。
【0075】
図11(b)に示すように、ターンテーブル133上にスライドテーブル132が配置され、スライドテーブル132に備えるスライド台132bは、スライド支持台132aの案内方向で移動自在であり、旋回中心133Mの法線方向で移動自在となっている。ここで、このスライド台132bの中心を、スライド中心132Mとする。平面視において、スライド中心132Mが旋回中心133Mに一致するとき、スライド台132aが中立位置にある。このときの状態を中立状態とする。また、スライド中心132Mが旋回中心133Mに対して、オフセット量D2だけ離間した位置(偏心した位置)にあるとき、オフセット状態にあるという。搬送車3では、移載関連装置の駆動位置に係りなく常時オフセット状態にあるが、搬送車103では、スライドテーブル132の駆動により、中立状態からオフセット状態に移行させたり、その逆に移行させることが可能である。
【0076】
図11(c)に示すように、スライド台132aのスライド中心132Mと、左右一対のローラコンベア31・31の全体の前後左右中心(コンベア中心31M)とが、一致する。スライド中心132Mとコンベア中心31Mとの位置関係は、スライドテーブル132やターンテーブル133の駆動の程度に拘りなく、常に一致する関係にある。
【0077】
図12を用いて、物品2を収容する際(搬送する際)におけるローラコンベア31・31の位置および姿勢を説明する。
物品2は、収容室34内に収容された状態では、物品2の長手方向が、搬送方向(前後方向)と平行となった姿勢に保たれる。
また、ローラコンベア31・31の案内方向(ローラ31aの列方向)と、物品2の長手方向と、が平行となるように、物品2はローラコンベア31・31上に支持される。このため、ローラコンベア31・31は、その案内方向が、搬送方向と平行になった姿勢に保たれている。
また、物品中心2Mと、コンベア中心31Mとが、一致するように、ローラコンベア31・31上に物品2が配置される。加えて、物品中心2Mおよびコンベア中心31Mは、搬送車103の左右中心線103L上に位置する。さらに、スライド台132aのスライド中心132Mが、物品中心2Mとも一致し、搬送車103の左右中心線103L上に位置する状態となる。
一方、スライド中心132Mは、ターンテーブル133の旋回中心133Mとは一致せず、前後方向で旋回中心133Mに対して変位した位置にある。このように、物品中心2M(コンベア中心31M)が、旋回中心133Mに対して偏心している状態を、オフセット状態と呼ぶ。オフセット状態のメリットについては後述する。
【0078】
次に、図12から図14を用いて、搬送車3とステーション4との間での物品2の移載方法を説明する。
搬送車103からステーション4への物品2の移載に際して、コントローラ137は、物品2の移載経路を確保するため、移載関連装置に備える各装置に指令して、旋回工程、スライド工程、を実行させる。これらの各工程を実行して、物品2の移載経路が確保された状態で、物品2の移載が行われる。
移載経路の確保は、搬送車103に備えるローラコンベア31・31と、ステーション4に備えるローラコンベア41・41と、を合わせて、両ローラコンベア31・41間の隙間を物品2の搬送に差し支えない程度に狭めることで行われる。ここで、移載に際して、ローラコンベア31・31やローラコンベア41・41の昇降を不用とするため、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置は、ほぼ等しい高さに設定されている。
そして、この移載方法により物品2の移載準備をすることで、搬送車3の機体幅を増大させることなく、搬送車3とステーション4との間で物品2の移載が可能となるようにしている。
以下、これらの各工程について、詳しく説明する。
【0079】
図12に示す状況は、搬送車103が、移載の目的のステーション4の正面位置に、この搬送車103の側面を向けて停止した際の状況である。この移載の開始段階においては、ローラコンベア31・31や物品2の位置および姿勢は、物品2を収容する際(搬送する際)の位置および姿勢、つまり前記オフセット状態における位置および姿勢となっている。
【0080】
搬送車103は、移載の開始段階において、旋回中心33Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた状態(オフセット状態)にある。仮に搬送時において、中立状態(物品中心2Mが旋回中心133Mに一致する状態)にあったとしても、移載の開始段階には、オフセット状態に移行させておくものとする。そして、旋回中心133Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させた距離は、前述したように、オフセット量D2である。
このように偏心させておくことで、後の旋回工程において、物品2を支持するローラコンベア31・31を旋回させる際に、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R21・R22(図12)が反ステーション4側に突出しないようにすることができる。
また、オフセット量D2は、移載準備が適切に行われるように、種々の制限が加えられた上で設定されているが、この設定の条件についても詳しくは後述する。
【0081】
図13に示す状況は、旋回工程が実行された状況を示す。
旋回工程において、コントローラ137は、ターンテーブル133を駆動して、搬送方向を向いているローラコンベア31・31が、移載方向(左右方向)を向くように旋回させる。
この旋回により、ローラコンベア31・31がローラコンベア41・41に対向する状態となる。また、ローラコンベア31・31上に載置されている物品2(の長手方向)の向きも、移載方向(左右方向)を向くようになる。
【0082】
図14に示す状況は、スライド工程が実行された状況を示す。
スライド工程において、コントローラ37は、スライドテーブル132を駆動して、ローラコンベア31・31をローラコンベア41・41側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。これが、移載準備の完了状態である。
この状態において、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車103からステーション4へと移載することが可能である。
そして、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを駆動して、物品2をローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41上を搬送することで、物品2が搬送車103からステーション4へと移載される。
【0083】
オフセット量D2に加えられる制限について説明する。
旋回工程において、物品2(ローラコンベア31・31)を搬送方向(前後方向)から移載方向(左右方向)まで旋回させるが、オフセット量D2の大きさによっては、この際に、次の三通りの衝突が発生する恐れがある。
一つは、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とが接触する恐れである。もう一つは、ローラコンベア31・31(物品2)が反ステーション4側のシャッタ35・35等に接触したりする恐れである。以上の二通りの衝突は、搬送車3の場合と同様である。加えて、搬送車103の場合は、三つ目として、スライドテーブル132が反ステーション4側のシャッタ35・35等に接触したりする恐れがある。
そこで、このような不具合を防止するために、オフセット量D2の大きさには制限が加えられている。
【0084】
前記一つ目の接触の恐れは、前述したように、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との高さ位置が、ほぼ等しい高さに設定されていることによる。
そこで、ローラコンベア31・31のターンテーブル133による角部旋回軌跡R21内に、ローラコンベア41・41が入らないように、オフセット量D2を設定して、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41との接触を防止するようにしている。
【0085】
前記二つ目の接触の恐れは、移載時には、物品2を通過させるため、ステーション4側のシャッタ35・35は開放するが、収容室34内への外気進入防止のため、反ステーション4側のシャッタ35・35が閉じられていることによる。無論、物品2(ローラコンベア31・31)が、反ステーション4側のシャッタ35・35だけでなく、その他の搬送車103に備える装置と接触することも防止する必要がある。特に、機体幅の短縮の要請上、搬送車103に備える装置のうち、物品2(ローラコンベア31・31)がもっとも接触する恐れが高いのが、反ステーション4側のシャッタ35・35である。
そこで、物品2(ローラコンベア31・31)の角部旋回軌跡R21内に、反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等が入らないように、オフセット量D2を設定して、物品2(ローラコンベア31・31)と反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等との接触を防止するようにしている。
【0086】
前記三つ目の接触の恐れも、移載時に反ステーション4側のシャッタ35・35が閉じられていることによる。
そこで、スライドテーブル132の角部旋回軌跡r(図12、図13)内に、反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等が入らないように、オフセット量D2を設定して、スライドテーブル132と反ステーション4側の閉じた状態のシャッタ35・35等との接触を防止するようにしている。
【0087】
このように旋回中心133Mに対してコンベア中心31M(物品中心2M)を偏心させることで、次の効果がある。すなわち、搬送車103の機体幅を増大させることなく、搬送車103の収容室34内のスペースや、シャッタ35・35の開放により露出したステーション4側のスペースを利用して、ローラコンベア31・31および物品2の旋回が可能となっている。
【0088】
以上、搬送車103からステーション4へ物品2を移載する場合について説明したが、ステーション4から搬送車103へ物品2を移載する場合についても、同様である。前記各工程を実行して、物品2の移載経路がローラコンベア31・31およびローラコンベア41・41で形成された状態となれば、物品2を、搬送車103とステーション4との間で、どちらからでも移載することが可能である。
【0089】
なお、図15に示すように、物品2を収容する際の位置を、前記オフセット状態の位置(本実施の形態)ではなく、物品中心2M(スライド中心132M)を旋回中心133Mに一致させた位置としてもよい。
この場合も、物品2の長手方向は、搬送車103の走行方向(前後方向)と平行となった姿勢であり、ローラコンベア31・31の案内方向と物品2の長手方向とは平行で、物品中心2Mとコンベア中心31Mとスライド中心132Mとは一致し、これらの中心は左右中心線103L上に位置する状態となっている。
この場合、物品2の移載に際しては、中立状態(物品中心2M(コンベア中心31M)が旋回中心133Mと一致)からオフセット状態(物品中心2M(コンベア中心31M)が旋回中心133Mに対して偏心)へ移行させるオフセット工程と、旋回工程、スライド工程、の三工程を実行するものとなる。
【0090】
また、物品2を収容する際の位置を、スライドテーブル132を駆動することで、搬送方向(前後方向)の一側(例えば前側)から、搬送方向(前後方向)の他側(例えば後側)へ、移動させることが可能である。つまり、搬送車103においては、オフセット状態となりうるパターンが二通りあり、ローラコンベア31・31に支持される物品2の中心(物品中心2M)を、搬送方向で旋回中心133Mを跨いで移動させることで、どちらのオフセット状態に移行させることも可能である。
【0091】
また、本実施の形態では、移載関連装置の全体を搬送車103に備える構成としていたが、スライド装置(スライドテーブル132)に関しては、搬送車103ではなくステーション4に備える構成としてもよい。
この場合、搬送車103において、ローラコンベア31・31がスライドテーブル132を介することなく走行車体30に直接固定されるものとなる。したがって、搬送車3と同様に、常時オフセット状態に保たれた状態となる。そして、旋回工程については前述と同じになる。一方、スライド工程では、搬送車に備えるコントローラ137が、ステーション4に備えるスライド装置を駆動して、ローラコンベア41・41をローラコンベア31・31側に向けて進出させて、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを合わせた移載経路を形成させる。このようにして、移載準備を完了させる。移載準備が完了すれば、物品2を、ローラコンベア31・31とローラコンベア41・41とを経由して、搬送車3からステーション4へと移載することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】搬送車システムの構成を示す図。(実施例1)
【図2】搬送車の正面一部断面図。(実施例1)
【図3】移載関連装置に係る制御機構を示すブロック図。(実施例1)
【図4】物品の移載に係る各装置の位置関係を示す平面図。(実施例1)
【図5】オフセット状態にある搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図6】旋回工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図7】スライド工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図8】物品の移載中の搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例1)
【図9】搬送車の正面一部断面図。(実施例2)
【図10】移載関連装置に係る制御機構を示すブロック図。(実施例2)
【図11】物品の移載に係る各装置の位置関係を示す平面図。(実施例2)
【図12】オフセット状態にある搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【図13】旋回工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【図14】スライド工程を終了した搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【図15】中立状態にある搬送車およびステーションを示す平面図。(実施例2)
【符号の説明】
【0093】
1 搬送車システム
2 物品
2M 物品中心
3・103 搬送車
3L 左右中心線
4 ステーション
31 ローラコンベア(ガイド部材・移動装置)
32・132 スライドテーブル(スライド装置)
32M・132M 旋回中心
33・133 ターンテーブル(旋回装置)
41 ローラコンベア(載置部側ガイド部材・移動装置)
37・137 制御装置
R11・R12・R21・R22 角部旋回軌跡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の向きを変えて移載する搬送車において、
物品を支持して移載するローラコンベア式の移載装置と、前記移載装置を旋回させる旋回装置と、物品の移載時に前記移載装置を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、前記移載装置が物品の移載先となるステーションと干渉しないように間隔をあけて前記旋回装置を旋回させ、旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記スライド装置をスライドさせる、
ことを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記旋回装置に対して前記移載装置を偏心配置した、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記旋回装置は、前記スライド装置を旋回させるように構成し、前記スライド装置により前記移載装置を前記旋回装置に対して偏心させるようにした、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
【請求項4】
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションと、を備える搬送車システムであって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、
ことを特徴とする搬送車システム。
【請求項5】
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションとの間の物品移載方法であって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、
ことを特徴とする搬送車とステーションとの間の物品移載方法。
【請求項1】
物品の向きを変えて移載する搬送車において、
物品を支持して移載するローラコンベア式の移載装置と、前記移載装置を旋回させる旋回装置と、物品の移載時に前記移載装置を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、前記移載装置が物品の移載先となるステーションと干渉しないように間隔をあけて前記旋回装置を旋回させ、旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記スライド装置をスライドさせる、
ことを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記旋回後、前記移載装置が前記ステーションに近づくように前記旋回装置に対して前記移載装置を偏心配置した、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記旋回装置は、前記スライド装置を旋回させるように構成し、前記スライド装置により前記移載装置を前記旋回装置に対して偏心させるようにした、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
【請求項4】
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションと、を備える搬送車システムであって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、
ことを特徴とする搬送車システム。
【請求項5】
物品の向きを変えて移載する搬送車と、物品の移載先または移載元となるステーションとの間の物品移載方法であって、
前記搬送車には、物品を支持して移載するローラコンベア式の搬送車側移載装置と、前記搬送車側移載装置を旋回させる旋回装置と、を備え、
前記ステーションには、前記搬送車側移載装置に対応するローラコンベア式のステーション側移載装置を備え、
前記搬送車または前記ステーションの少なくとも一方に、前記搬送車側移載装置および前記ステーション側移載装置の少なくとも一方を移載方向にスライドさせるスライド装置と、を備え、
移載時に、物品が前記搬送車側移載装置または前記ステーション側移載装置と干渉しないように、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とを間隔をあけて旋回させ、旋回後、前記搬送車側移載装置と前記ステーション側移載装置とが接近するように前記スライド装置をスライドさせるようにした、
ことを特徴とする搬送車とステーションとの間の物品移載方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−276958(P2007−276958A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106162(P2006−106162)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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