説明

搬送車システム

【課題】搬送車システムにおいて物品とステーションとの位置決め精度を向上させる。
【解決手段】搬送車システム1において、第1アーム49は、物品7を保持する。第1垂直面45aは、平面視で第1水平方向に延びている。第1垂直面45aには、第1基準マーク51が設けられている。搬送車3は、搬送車本体11と、移載機構12と、制御部とを有している。移載機構12は、物品7を移載する。移載機構12は、第1支持部材25と、移動機構13,19,21,23とを有している。第1支持部材25には、物品7が支持される。移動機構は、搬送車本体11が第1垂直面45aに対して第1水平方向に直交する第2水平方向に対向した位置で停止した状態において、第1支持部材25を、水平旋回方向θ、第1水平方向、上下方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システム、特に、移載機構が搭載され無軌道で走行可能な搬送車を用いた搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫や工場では、無人で自動走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)等の搬送車が用いられている。搬送車には、物品をステーションとの間で移載するための移載機構が設けられている。
【0003】
以下、円筒状物品を搬送する搬送車について説明する。この種の搬送車は、例えば、搬送車本体と、物品支承台と、搬送車本体の上面に設けられ物品支承台を昇降させるための昇降装置とを有している。物品支承台は、Vブロック状をしており、円筒状物品をその軸心が水平となる姿勢で支承する。ステーションは、水平方向に進退可能な一対のアームを有しており、アームは、円筒状物品の中空支持部材に両側から進入して中空支持部材をチャックする。
上記の搬送車が円筒状物品をステーションに搬入するときには、搬送車がステーションの近傍に停止して、その後に昇降装置が物品をステーションのアームの位置に合わせるように上下方向に移動させる。その後、ステーションのアームが円筒状物品の中空支持部材内に進入し、中空支持部材をチャックする。その後、昇降装置は物品支承台を下降させ、その後に搬送車はステーションから離れる。また、搬送車の移載機構には、上下方向調整機構に加えて、水平方向調整機構も設けられたものもある。
【0004】
しかし、以上に述べた物品の荷おろし動作のときに、物品をアームに対して正確に位置決めすることは困難である。なぜなら、例えば、床面の平坦精度及びAGVの停止位置精度に限界があるからである。
なお、物品とステーションとの位置決めを行うために移載機構に位置調整機構を設けた構造として、複数のセンサによって検出された位置情報に基づいて、位置調整機構がアームの位置を調整するものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−156140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先に述べたように、物品とステーションの位置決め精度を高めることが行われている。しかし、現状では十分な位置決め精度が得られていない。
【0007】
本発明の課題は、搬送車システムにおいて物品とステーションとの位置決め精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0009】
本発明の一見地に係る搬送車システムは、垂直面と、搬送車とを備えている。垂直面は、物品を保持するための保持部材の近傍に設けられている。垂直面は、平面視で第1水平方向(Y)に延びている。垂直面には、基準マークが設けられている。搬送車は、搬送車本体と、移載機構と、制御部とを有している。移載機構は、搬送車本体に搭載され物品を移載する。制御部は、移載機構を制御する。移載機構は、支持部材と、移動機構とを有している。支持部材には、物品が支持される。移動機構は、搬送車本体が垂直面に対して第1水平方向(Y)に直交する第2水平方向(X)に対向した位置で停止した状態において、支持部材を、水平旋回方向(θ)、第1水平方向(Y)、上下方向(Z)に移動する。
搬送車は、一対の測距センサと、マーク検出センサとをさらに有している。一対の測距センサは、支持部材に取り付けられ支持部材の第2水平方向(X)における垂直面までの距離と垂直面に対する傾きとを測定する。マーク検出センサは、支持部材に取り付けられ基準マークを検出して基準マークと検出基準とのずれを測定する。制御部は、第1補正動作と、第2補正動作とを、移動機構に行わせる。第1補正動作では、搬送車本体が垂直面に対して第2水平方向(X)に対向した位置で停止した状態において、一対の測距センサからの検出結果に基づいて、垂直面と第1水平方向(Y)に平行になるように、移動機構は、支持部材を水平旋回方向(θ)に移動させる。第2補正動作では、第1補正動作後に、マーク検出センサからの検出結果に基づいて、基準マークと検出基準とのずれを無くすように、移動機構は、支持部材を上下方向(Z)及び第1水平方向(Y)に移動させる。
この搬送車システムでは、搬送車が停止した後に、基準マークと検出基準とのずれを無くすように、移動機構が支持部材を上下方向(Z)及び第1水平方向(Y)に移動させるので、移載機構による物品の保持部材に対する位置決めの精度が高くなる。
特に、マーク検出センサが搬送車に設けられているので、コストが低くなり、さらに、位置補正動作が迅速に行われる。
【0010】
マーク検出センサは、2次元バーコードを検出し、2次元バーコードの基準位置の座標を基準マークの座標として出力可能な座標センサであってもよい。
【0011】
制御部は、マーク検出センサが検出した2次元バーコードの四隅の複数の測定結果から偏差の良い対角座標を選出し、その中間点を基準マークの座標としてもよい。
【0012】
マーク検出センサは、基準マークに接近すると出力が切り替わるセンサであってもよい。この場合は、基準マークと検出基準とのずれを検出するのに、例えば、比較的安価な2値出力のセンサを用いることができる。なお、出力の切り替わりとは、例えば、OFFからONへの変化、又は出力値の変化である。
【0013】
制御部は、マーク検出センサが第1水平方向(Y)及び/又は上下方向(Z)に移動して出力の切り替わりに応じて基準マークと検出基準とのずれを判断してもよい。この場合は、エリア内の分解能が低い安価な座標センサであっても、基準マークの検出精度が高くなる。
【0014】
マーク検出センサは、基準マークの座標を出力可能な座標センサであってもよい。この場合は、物品を保持部材に対して短時間で位置決めできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る搬送車システムでは、物品とステーションとの位置決め精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における、搬送車とステーションの位置関係を示す模式的側面図。
【図2】搬送車とステーションの位置関係を示す模式的平面図。
【図3】搬送車の制御構成を示すブロック図。
【図4】マーク検出センサによるマーク検出動作を示す模式図。
【図5】搬送車の停止及び位置調整制御フローチャート。
【図6】第1実施形態におけるマーク検出センサによるマーク検出動作を示す模式図。
【図7】第2実施形態におけるマーク検出センサによるマーク検出動作を示す模式図。
【図8】第2実施形態における搬送車の停止及び位置調整制御フローチャート。
【図9】第3実施形態における搬送車の停止及び位置調整制御フローチャート。
【図10】第4実施形態における、2次元バーコードの一例を示す図。
【図11】第4実施形態における座標取得制御を示すフローチャート。
【図12】第5実施形態における、搬送車とステーションの位置関係を示す模式的側面図。
【図13】搬送車の制御構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)搬送車システム全体
図1及び図2を用いて、搬送車システム1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態における、搬送車とステーションの位置関係を示す模式的側面図である。図2は、搬送車とステーションの位置関係を示す模式的平面図である。なお、以下の説明では、図1及び図2の左右方向をX方向として、図1の紙面奥行き方向及び図2の紙面直交方向をY方向として、図1の上下方向及び図2の紙面直交方向をZ方向として説明する。
【0018】
搬送車システム1は、例えば、工場内の物品搬送システムである。搬送車システム1は、床面FL上を自動走行する搬送車3と、複数の設備のステーション5(搬送車3が停止する場所であって、物品7の移載が行われる場所)を有している。この実施形態では、搬送される物品7は円筒状部材である。物品7は、例えば原反ロールなどのロール状部材37と、ロール状部材37内を貫通するロールコア39を有している。ロールコア39は中空の円筒状部材である。搬送車3は、所定のステーション5近傍の停止位置に停止し、ステーション5との間で物品7の移載を行う。床面FLには、複数の磁気スポット(図示せず)が所定間隔で配置されている。
【0019】
(2)搬送車
搬送車3は、主に、搬送車本体11と、移載機構12とを備えている。
搬送車本体11は、筐体と、走行機構とを有している。走行機構は、例えば、駆動輪と、従動輪と、走行モータ133(図3を参照)と、操舵モータとを有している。これらの構造は公知の技術であるので説明を省略する。
【0020】
移載機構12は、搬送車本体11上に設けられている。移載機構12は、ステーション5に物品7を渡す(荷おろしする)又はステーション5から物品7を受け取る(荷積みする)ための機構である。移載機構12の詳細な構造及び動作は後述する。
【0021】
(3)ステーション
ステーション5は、例えば、生産機に設けられたチャッキング装置であって、物品7を搬送車3から受け取ることができる。ステーション5は、X方向に所定の間隔を空けて配置された第1保持部41と第2保持部43とから構成されている。
【0022】
第1保持部41は、第1固定部材45と、第1アーム支持部材47と、第1アーム49とを有している。第1固定部材45は、図示しない構造によって床面FLに移動不能に固定された板状の部材であり、第2保持部43側を向く第1垂直面45aを有している。第1垂直面45aは、Z方向に延びるとともに、Y方向にも延びている。つまり、第1垂直面45aはY−Z平面を構成している。第1アーム支持部材47は、第1垂直面45aに設けられている。第1アーム49は、第1アーム支持部材47に支持され、図示しない駆動機構によってX方向に水平に進退可能になっている。第1アーム49は、物品7のロールコア39内に入り込んで把持するチャッキング構造を有している。第1保持部41は、さらに、第1基準マーク51を有している。第1基準マーク51は、第1垂直面45aに貼り付けられている。この実施形態では、第1基準マーク51は、第1アーム支持部材47及び第1アーム49より低い位置に設けられている。
【0023】
第2保持部43は、第2固定部材53と、第2アーム支持部材55と、第2アーム57とを有している。第2固定部材53は、図示しない構造によって床面FLに移動不能に固定された板状の部材であり、第1保持部41側を向く第2垂直面53aを有している。第2垂直面53aは、Z方向に延びるとともに、Y方向にも延びている。つまり、第2垂直面53aはY−Z平面を構成している。第2アーム支持部材55は、第2垂直面53aに設けられている。第2アーム57は、第2アーム支持部材55に支持され、図示しない駆動機構によってX方向に水平に進退可能になっている。第2アーム57は、物品7のロールコア39内に入り込んで把持するチャッキング構造を有している。第2保持部43は、さらに、第2基準マーク59を有している。第2基準マーク59は、第2垂直面53aに貼り付けられている。この実施形態では、第2基準マーク59は、第2アーム支持部材55及び第2アーム57より低い位置に設けられている。
【0024】
(4)移載機構
移載機構12は、θ軸調整機構13と、第1XYZ軸調整機構15と、第2XYZ軸調整機構17とから構成されている。
θ軸調整機構13は、搬送車本体11の上に搭載されており、移載機構12の他の構造(すなわち、第1XYZ軸調整機構15及び第2XYZ軸調整機構17)を搬送車本体11の一点を中心に水平方向に回転させる機構である。θ軸調整機構13は、θ軸モータ135(図3を参照)を有している。θ軸モータ135は図示しない電動シリンダを駆動する。
【0025】
第1XYZ軸調整機構15は、後述する第1支持部材25をXYZ軸方向に移動調整するための機構である。第1XYZ軸調整機構15は、第1Y軸調整機構19と、第1X軸調整機構21と、第1Z軸調整機構23とを有している。第1Y軸調整機構19は、θ軸調整機構13の上に設置されている。第1Y軸調整機構19は、Y1軸モータ137(図3を参照)を有している。Y1軸モータ137は、図示しない電動シリンダを駆動する。第1X軸調整機構21は、第1Y軸調整機構19の上に設置されている。第1X軸調整機構21は、X1軸モータ141(図3を参照)を有している。X1軸モータ141は、図示しないボールネジを駆動する。第1Z軸調整機構23は、第1X軸調整機構21の上に設置されている。第1Z軸調整機構23は、第1支持部材25をZ軸方向に移動させるようになっている。第1Z軸調整機構23は、Z1軸モータ145(図3を参照)を有している。Z1軸モータ145は、図示しないボールネジを駆動する。第1支持部材25は、物品7のロールコア39が支持されるV字形状の受け部25aを有している。
【0026】
第2XYZ軸調整機構17は、後述する第2支持部材35をXYZ軸方向に移動調整するための機構である。第2XYZ軸調整機構17は、第2Y軸調整機構29と、第2X軸調整機構31と、第2Z軸調整機構33とを有している。第2Y軸調整機構29は、θ軸調整機構13の上に設置されている。第2Y軸調整機構29は、Y2軸モータ139(図3を参照)を有している。第2X軸調整機構31は、第2Y軸調整機構29の上に設置されている。第2X軸調整機構31は、X2軸モータ143(図3を参照)を有している。X2軸モータ143は、図示しないボールネジ機構を駆動する。第2Z軸調整機構33は、第2X軸調整機構31の上に設置されている。第2Z軸調整機構33は、第2支持部材35をZ軸方向に移動させるようになっている。第2Z軸調整機構33は、Z2軸モータ147(図3を参照)を有している。Z2軸モータ147は、図示しないボールネジ機構を駆動する。第2支持部材35は、物品7のロールコア39が支持されるV字形状の受け部35aを有している。
【0027】
(5)センサ
最初に、第1XYZ軸調整機構15に設けられた第1距離測定センサ151及び第1マーク検出センサ155について説明する。
【0028】
第1距離測定センサ151は、第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離を測定するためのセンサである。第1距離測定センサ151は、第1支持部材25の外側面に所定間隔離れて設けられている。第1距離測定センサ151は、レーザ光の発光部と受光部とを有している。距離センサとしては、超音波を用いたものでもよい。
【0029】
図4を用いて、第1マーク検出センサ155を説明する。図4は、マーク検出センサによるマーク検出動作を示す模式図である。第1マーク検出センサ155は、第1基準マーク51の座標(Y,Z)を検出するためセンサである。第1マーク検出センサ155は、検出エリアR1内にある特定のターゲットを検出及び認識して、その位置情報をリアルタイムに出力することができる。第1マーク検出センサ155は、例えば、CMOSエリアイメージセンサ、信号処理回路、光源、及び光学レンズを有しており、画像の取得と信号処理を行う。
【0030】
次に、第2XYZ軸調整機構17に設けられた第2距離測定センサ153及び第2マーク検出センサ157について説明する。
第2距離測定センサ153は、第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離を測定するためのセンサである。第2距離測定センサ153は、第2支持部材35の外側面に水平方向に所定間隔離れて設けられている。第2距離測定センサ153は、レーザ光の発光部と受光部とを有している。距離センサとしては、超音波を用いたものでもよい。
第2マーク検出センサ157は、第2基準マーク59の座標を検出するためセンサである。第2マーク検出センサ157の構造は第1マーク検出センサ155と同じである。
【0031】
(6)制御構成
図3を用いて、搬送車3の制御構成について説明する。図3は、搬送車の制御構成を示す模式的ブロック図である。
【0032】
制御部131は、搬送車制御用ソフトウェアを実行するためのコンピュータハードウェアであって、例えば、CPU、RAM、ROMから構成されている。制御部131は、主に、走行制御機能と、移載制御機能とを有している。
制御部131は、図示していないが、上位のコントローラとの送受信手段を有しており、それによりコントローラから搬送指令を受信するとともに、コントローラに対して搬送結果及び現在位置を報告する。
【0033】
制御部131には、走行モータ133が接続されている。制御部131は、モータ駆動信号を走行モータ133に送信して、駆動輪を駆動させることができる。
【0034】
制御部131には、θ軸モータ135、Y1軸モータ137、Y2軸モータ139、X1軸モータ141、X2軸モータ143、Z1軸モータ145、Z2軸モータ147が接続されている。
【0035】
制御部131には、さらに、第1距離測定センサ151、第2距離測定センサ153、第1マーク検出センサ155、第2マーク検出センサ157が接続されている。制御部131は、第1距離測定センサ151、第2距離測定センサ153にレーザ駆動信号を送信し、これらセンサの発光部からレーザを発射させる。さらに、制御部131は、これらセンサの受光部からの検出信号を受信する。これにより、制御部131は、レーザ光を発射してから反射光を受信するまでの時間に基づいて、センサと被反射物との距離を算出する。なお、上記の距離算出は、反射したレーザ光が照射される位置が発射地点からどのくらい離れているかに基づいて行われてもよい。
【0036】
制御部131は、第1マーク検出センサ155、第2マーク検出センサ157に検出動作を行わせる。そして、制御部131は、第1マーク検出センサ155、第2マーク検出センサ157から検出結果を受け取り、それにより第1基準マーク51、第2基準マーク59の座標を判断する。
【0037】
(7)制御動作
図5及び図6を用いて、搬送車3のステーション5への接近及び移載動作を説明する。図5は、搬送車の停止及び位置調整制御フローチャートである。
【0038】
搬送車3は、物品7を保持した状態でステーション5に向かって接近している。搬送車3には、図示しない上位のコントローラからステーション5に物品7を荷おろしするように指令が送られている。
【0039】
ステップS1では、制御部131は、図示しない磁気スポット検出センサからの検出信号に基づいて、搬送車本体11がステーション5近傍の所定位置に到達したか否かを判断する。ステップS1で「Yes」であれば、プロセスはステップS2に移行する。
【0040】
ステップS2では、制御部131は、走行モータ133に停止信号を送信する。その結果、搬送車3は、図1及び図2に示すように、ステーション5の所定位置、つまり、第1保持部41と第2保持部43との間の位置に配置されている。この状態で、第1支持部材25は第1固定部材45の第1垂直面45aに対してX方向に対向しており、第2支持部材35は第2固定部材53の第2垂直面53aに対してX方向に対向している。このとき、第1距離測定センサ151及び第2距離測定センサ153の各対同士は、Y方向に並んでいる。
【0041】
ステップS3では、移載機構12のY方向に対する傾きを補正する。制御部131は、第1距離測定センサ151、第2距離測定センサ153を駆動して、第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離、及び第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離をそれぞれ測定する。そして、第1距離測定センサ151の一対のセンサの測定距離同士が異なる場合は、又は/及び第2距離測定センサ153の一対のセンサの測定距離同士が異なる場合は、移載機構12すなわち第1支持部材25及び/又は第2支持部材35がステーション5に対してX方向に平行ではないことを意味する。そこで、制御部131はθ軸モータ135に駆動信号を送信することで、θ軸調整機構13を所定角度回転させる。これにより、第1支持部材25が第1固定部材45の第1垂直面45aと平行になり、さらに第2支持部材35が第2固定部材53の第2垂直面53aに平行になる。
【0042】
さらに、ステップS4では、移載機構12のX方向のずれを補正する。第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離と第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離が異なれば、物品7が第1固定部材45と第2固定部材53のX方向中心からずれていることを意味する。そこで、制御部131は、X1軸モータ141及びX2軸モータ143に駆動信号を送信することで、第1X軸調整機構21及び第2X軸調整機構31をX方向に所定距離移動させる。その結果、第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離、及び第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離が同一になる。以上の結果、移載機構12のY方向に対する傾き及びX方向のずれを補正できる。
なお、移載機構12のX方向のずれは補正が不要な場合があるので、その場合はX方向の補正動作を行わない。
【0043】
ステップS5では、移載機構12のY方向及びZ方向のずれを補正する。制御部131は、第1マーク検出センサ155からの検出信号に基づいて、第1基準マーク51のYZ座標を取得する。また、制御部131は、第2マーク検出センサ157からの検出信号に基づいて、第2基準マーク59のYZ座標を取得する。
第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157では、LED光を検出対象にパルス照射して、発光タイミングと同期した反射光をCMOSエリアイメージセンサが2次元画像データとして取得する。そして、信号処理回路が2次元画像データを信号処理する。信号処理回路では予め登録されている第1基準マーク51及び第2基準マーク59の形状と取得した画像との照合を行い、第1基準マーク51及び第2基準マーク59のYZ座標を判定する。
【0044】
以下、図6を用いて、第1マーク検出センサ155が第1基準マーク51を検出するととともに、第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が第1支持部材25の位置を調整する動作を具体的に説明する。なお、第2マーク検出センサ157、第2Y軸調整機構29及び第2Z軸調整機構33の動作の説明は、省略する。
第1基準マーク51のYZ座標が取得されることで、第1マーク検出センサ155の検出中心Oと第1基準マーク51とのずれが得られる。このずれに対して、予めティーチングされることで記憶されている第1基準マーク51と第1アーム49の中心OのYZ軸位置関係(図6の第2Y方向距離Y2、第2Z方向距離Z2)を加えることで、位置決めのためのY軸移動量(Y1+Y2)とZ軸移動量(Z1+Z2)が直ちに得られる。したがって、第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23の一度の動作で、ロールコア39の中心を第1アーム49のチャック中心に合わせることができる。
【0045】
制御部131は、Y1軸モータ137、Y2軸モータ139、Z1軸モータ145、Z2軸モータ147に駆動信号を送信することで、第1Y軸調整機構19、第2Y軸調整機構29、第1Z軸調整機構23、第2Z軸調整機構33を所定距離移動させる。その結果、第1アーム49と物品7のロールコア39の中心同士が一致し、さらに、第2アーム57と物品7のロールコア39の中心同士が一致する。
上述のように、搬送車3によって粗く位置決めした後に移載機構12によって細かく位置決め制御を行っているので、第2アーム57に対する物品7のロールコア39の位置決め精度が高くなっている。したがって、第1アーム49及び第2アーム57が物品7をチャックする際に、第1アーム49及び第2アーム57が物品7のロールコア39に対して不要に接触することがない。
【0046】
また、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157が搬送車3に(具体的には、移載機構12に)設けられているので、以下の効果がある。第1に、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157がステーション5ごとに設けられている場合のセンサの取り付け、調整及び配線が不要になる。第2に、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157からの検出信号が直ちに制御部131に送られるので、第1基準マーク51及び第2基準マーク59を検出しながら第1支持部材25及び第2支持部材35を駆動する動作が迅速になっている。
【0047】
以上の結果、物品7とステーション5の位置決め動作が終了する。次に、ステーション5の第1アーム49及び第2アーム57が物品7のロールコア39内に挿入される。その後、制御部131がZ1軸モータ145、Z2軸モータ147に駆動信号を送信することで、第1Z軸調整機構23、第2Z軸調整機構33を所定距離移動させる。この結果、第1支持部材25及び第2支持部材35が物品7のロールコア39から下方に離れる。その後、搬送車3はステーション5から離れる。
【0048】
上記の実施形態では、第1Z軸調整機構23、第2Z軸調整機構33が設けられているので、物品7の両側をそれぞれ別にZ方向に調整できる。したがって、床面FLの傾きや搬送車3自体の傾きがあったとしても、正確に位置決めできる。さらに、第1Y軸調整機構19、第2Y軸調整機構29が設けられているので、物品7の両側をそれぞれ別にY方向に調整できる。なお、Z軸調整機構、Y軸調整機構は1つでも十分な精度が得られる場合は1つであってもよい。
【0049】
(8)第2実施形態
第2実施形態では、マーク検出センサとして、ON/OFFの2値出力センサを用いる。このセンサでは、検出領域R2に第1基準マーク51が入った瞬間に出力がONに切り替わることで、センサ検出中心位置Oと第1基準マーク51のずれを取得する。
また、座標検出センサであってもエリア内の検出領域の分解能が十分に高くない場合には、図7に示すように検出領域R2に第1基準マーク51が入った瞬間を記憶することで、センサ検出中心位置Oと第1基準マーク51のずれを取得する。この場合には、センサのONとOFFの切り替わりの際のアナログ信号のバラツキが小さいので、検出精度が高くなっている。
以上より、比較的安価なセンサを用いても、基準マークを精度良く検出できる。
【0050】
(9)第2実施形態の制御動作
図8を用いて、搬送車3のステーション5への接近及び移載動作を説明する。図8は、搬送車の停止及び位置調整制御フローチャートである。
【0051】
搬送車3は、物品7を保持した状態でステーション5に向かって接近している。搬送車3には、図示しない上位のコントローラからステーション5に物品7を荷おろしするように指令が送られている。
【0052】
ステップS11では、制御部131は、図示しない磁気スポット検出センサからの検出信号に基づいて、搬送車本体11がステーション5近傍の所定位置に到達したか否かを判断する。ステップS11で「Yes」であれば、プロセスはステップS2に移行する。
【0053】
ステップS12では、制御部131は、走行モータ133に停止信号を送信する。その結果、搬送車3は、図1及び図2に示すように、ステーション5の所定位置、つまり、第1保持部41と第2保持部43との間の位置に配置されている。この状態で、第1支持部材25は第1固定部材45の第1垂直面45aに対してX方向に対向しており、第2支持部材35は第2固定部材53の第2垂直面53aに対してX方向に対向している。
【0054】
ステップS13では、移載機構12のY方向に対する傾きを補正する。制御部131は、第1距離測定センサ151、第2距離測定センサ153を駆動して、第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離、及び第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離をそれぞれ測定する。そして、第1距離測定センサ151の一対のセンサの測定距離同士が異なる場合は、又は/及び第2距離測定センサ153の一対のセンサの測定距離同士が異なる場合は、移載機構12がステーション5に対してX方向に平行ではないことを意味する。そこで、制御部131はθ軸モータ135に駆動信号を送信することで、θ軸調整機構13を所定角度回転させる。これにより、第1支持部材25が第1固定部材45の第1垂直面45aと平行になり、さらに第2支持部材35が第2固定部材53の第2垂直面53aに平行になる。
【0055】
さらに、ステップS14では、移載機構12のX方向のずれを補正する。第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離と第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離が異なれば、物品7が第1固定部材45と第2固定部材53のX方向中心からずれていることを意味する。そこで、制御部131は、X1軸モータ141及びX2軸モータ143に駆動信号を送信することで、第1X軸調整機構21及び第2X軸調整機構31をX方向に所定距離移動させる。その結果、第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離、及び第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離が同一になる。以上の結果、移載機構12のY方向に対する傾き及びX方向のずれを補正できる。
なお、移載機構12のX方向のずれは補正が不要な場合があるので、その場合はX方向の補正動作を行わない。
【0056】
以下、第1マーク検出センサ155が第1基準マーク51を検出するととともに、第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が第1支持部材25の位置を調整する動作を具体的に説明する。なお、第2マーク検出センサ157が第2基準マーク59を検出するととともに、第2Y軸調整機構29及び第2Z軸調整機構33が第2支持部材35の位置を調整する動作の説明は省略する。
ステップS15では、第1マーク検出センサ155による第1基準マーク51を検出する動作を開始する。
【0057】
ステップS16では、制御部131は、第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の検出エリアに入っているか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS17に移行し、「No」であればプロセスはステップS17を飛ばしてステップS18に移行する。
ステップS17では、移載機構12において第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が駆動されて、第1支持部材25は第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の検出エリアから外れる位置に移動させられる。
【0058】
ステップS18では、移載機構12において第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が駆動されて、第1支持部材25は第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の検出エリアに入るように移動させられる。
ステップS19では、第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の検出エリアに入るのを待つ。第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の検出エリアに入れば、検出信号がOFFからONに切り替わる又は検出信号が特定の値に変化する。
【0059】
ステップS20では、前述のように、制御部131は、第1支持部材25のYZ軸での移動すべき量を正確に算出する。
ステップS21では、移載機構12において第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が駆動されて、第1支持部材25は、第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の中心に一致するように移動させられる。
【0060】
(10)第3実施形態
第3実施形態では、マーク検出センサとして、エリア内の検出領域の分解能が比較的高い座標検出センサを用いる。このセンサでは、例えば図7に示すように、マークに近く付くほど階段状に出力電流が大きくなる。例えば、出力電流は、4mA〜20mAの範囲で、0.25mAずつ変化する。つまり、切り替わり座標と、その時点での電流値を用いれば、センサ検出中心位置Oと第1基準マーク51のずれが得られる。
【0061】
(11)第3実施形態の制御動作
図9を用いて、搬送車3のステーション5への接近及び移載動作を説明する。図9は、搬送車の停止及び位置調整制御フローチャートである。
【0062】
搬送車3は、物品7を保持した状態でステーション5に向かって接近している。搬送車3には、図示しない上位のコントローラからステーション5に物品7を荷おろしするように指令が送られている。
【0063】
ステップS11では、制御部131は、図示しない磁気スポット検出センサからの検出信号に基づいて、搬送車本体11がステーション5近傍の所定位置に到達したか否かを判断する。ステップS11で「Yes」であれば、プロセスはステップS2に移行する。
【0064】
ステップS12では、制御部131は、走行モータ133に停止信号を送信する。その結果、搬送車3は、図1及び図2に示すように、ステーション5の所定位置、つまり、第1保持部41と第2保持部43との間の位置に配置されている。この状態で、第1支持部材25は第1固定部材45の第1垂直面45aに対してX方向に対向しており、第2支持部材35は第2固定部材53の第2垂直面53aに対してX方向に対向している。
【0065】
ステップS13では、移載機構12のY方向に対する傾きを補正する。制御部131は、第1距離測定センサ151、第2距離測定センサ153を駆動して、第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離、及び第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離をそれぞれ測定する。そして、第1距離測定センサ151の一対のセンサの測定距離同士が異なる場合は、又は/及び第2距離測定センサ153の一対のセンサの測定距離同士が異なる場合は、移載機構12がステーション5に対してX方向に平行ではないことを意味する。そこで、制御部131はθ軸モータ135に駆動信号を送信することで、θ軸調整機構13を所定角度回転させる。これにより、第1支持部材25が第1固定部材45の第1垂直面45aと平行になり、さらに第2支持部材35が第2固定部材53の第2垂直面53aに平行になる。
【0066】
さらに、ステップS14では、移載機構12のX方向のずれを補正する。第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離と第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離が異なれば、物品7が第1固定部材45と第2固定部材53のX方向中心からずれていることを意味する。そこで、制御部131は、X1軸モータ141及びX2軸モータ143に駆動信号を送信することで、第1X軸調整機構21及び第2X軸調整機構31をX方向に所定距離移動させる。その結果、第1支持部材25と第1固定部材45の第1垂直面45aとの距離、及び第2支持部材35と第2固定部材53の第2垂直面53aとの距離が同一になる。以上の結果、移載機構12のY方向に対する傾き及びX方向のずれを補正できる。
なお、移載機構12のX方向のずれは補正が不要な場合があるので、その場合はX方向の補正動作を行わない。
【0067】
以下、第1マーク検出センサ155が第1基準マーク51を検出するととともに、第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が第1支持部材25の位置を調整する動作を具体的に説明する。なお、第2マーク検出センサ157が第2基準マーク59を検出するととともに、第2Y軸調整機構29及び第2Z軸調整機構33が第2支持部材35の位置を調整する動作の説明は省略する。
ステップS15では、第1マーク検出センサ155による第1基準マーク51を検出する動作を開始する。
【0068】
ステップS20では、制御部131は、出力電流の切り替わり座標と、その時点での電流値を用いることで、センサ検出中心位置Oと第1基準マーク51のずれを取得して、それにより、第1支持部材25のYZ軸での移動すべき量を正確に算出する。
ステップS21では、移載機構12において第1Y軸調整機構19及び第1Z軸調整機構23が駆動されて、第1支持部材25は、第1基準マーク51が第1マーク検出センサ155の中心に一致するように移動させられる。
【0069】
以上に説明したように、第2実施形態ではセンサがON/OFF出力方式であったので、停止時に基準マークがセンサの検出範囲内ににあった場合には、ステップS16及びステップS17で行ったように検出範囲を外す動作が必要であったが、第3実施形態では不要になっている。
【0070】
(12)第4実施形態
第4実施形態に用いられるマーク検出センサは、2次元バーコードを検出し、2次元バーコードの基準位置の座標を出力可能な座標センサである。ターゲットとしては、例えば、図10に示すように、DATAMATRIXコードが用いられる。DATAMATRIXコードは、QRコード(登録商標)より読み取り安定性が向上しているので、良い結果が得られる。
【0071】
図11に示すように、基準マークの座標を取得する制御として、以下の動作が実行される。
ステップS31では、マーク検出センサは、コードの4隅の4点(1)〜(4)のデータを短時間に複数回取得する。
【0072】
ステップS32では、制御部は、各データの標準偏差を計算する。
ステップS33では、制御部は、4点のうち、標準偏差の悪い2点を除去して、標準偏差の良い2点を選択する。なお、選択される2点は対角点であることが条件であり、したがって、(1)と(3)の組み合わせ又は(2)と(4)の組み合わせのいずれかである。
【0073】
ステップS34では、制御部は、選択した2点の中点をとり、中点の座標を基準マークの座標として取得する。このようにして、基準マークと検出中心とのずれ量が判断される。以上の計算によって、ターゲットの測定精度が向上する。
【0074】
制御部は、次に、基準マークからチャック中心座標まででの値をメモリーから読み出し、その値を前記ずれ量に加える。そして、搬送車停止位置から、移載機構12が支持部材を駆動して、搬送車上のコア中心位置を装置のチャック中心位置に合わせる。
【0075】
(13)第5実施形態
図12及び図13を用いて、第5実施形態を説明する。図12は、第5実施形態における、搬送車とステーションの位置関係を示す模式的側面図である。図13は、搬送車の制御構成を示すブロック図である。
【0076】
以下、第1実施形態と異なる構造のみを説明する。移載機構12’は、Y軸調整機構81と、θ軸調整機構83と、第1XZ軸調整機構84と、第2YZ軸調整機構85とから構成されている。
【0077】
Y軸調整機構81は、搬送車本体11の上に設置されている。Y軸調整機構81は、Y軸モータ159(図13を参照)を有している。Y軸モータ159は、図示しない電動シリンダを駆動する。
θ軸調整機構83は、Y軸調整機構81の上に搭載されており、移載機構12の他の構造(すなわち、第1XZ軸調整機構84及び第2XZ軸調整機構85)をY軸調整機構81の一点を中心に水平方向に回転させる機構である。θ軸調整機構83は、θ軸モータ135(図13を参照)を有している。θ軸モータ135は図示しない電動シリンダを駆動する。
【0078】
第1XZ軸調整機構84は、後述する第1支持部材25をXZ軸方向に移動調整するための機構である。第1XZ軸調整機構84は、第1X軸調整機構21と、第1Z軸調整機構23とを有している。第1X軸調整機構21は、θ軸調整機構83の上に設置されている。第1X軸調整機構21は、X1軸モータ141(図13を参照)を有している。X1軸モータ141は、図示しないボールネジを駆動する。第1Z軸調整機構23は、第1X軸調整機構21の上に設置されている。第1Z軸調整機構23は、第1支持部材25をZ軸方向に移動させるようになっている。第1Z軸調整機構23は、Z1軸モータ145(図13を参照)を有している。Z1軸モータ145は、図示しないボールネジを駆動する。第1支持部材25は、物品7のロールコア39が載置されるV字形状の受け部25aを有している。
【0079】
第2XZ軸調整機構85は、後述する第2支持部材35をXZ軸方向に移動調整するための機構である。第2XZ軸調整機構85は、第2X軸調整機構31と、第2Z軸調整機構33とを有している。第2X軸調整機構31は、θ軸調整機構83の上に設置されている。第2X軸調整機構31は、X2軸モータ143(図13を参照)を有している。X2軸モータ143は、図示しないボールネジ機構を駆動する。第2Z軸調整機構33は、第2X軸調整機構31の上に設置されている。第2Z軸調整機構33は、第2支持部材35をZ軸方向に移動させるようになっている。第2Z軸調整機構33は、Z2軸モータ147(図13を参照)を有している。Z2軸モータ147は、図示しないボールネジ機構を駆動する。第2支持部材35は、物品7のロールコア39が支持されるV字形状の受け部35aを有している。
【0080】
この実施形態では、最初に、θ軸調整機構83によって第1XZ軸調整機構84及び第2XZ軸調整機構85のY方向に対する傾きが補正された後に、Y軸調整機構81、第1Z軸調整機構23及び第2Z軸調整機構33によって第1支持部材25及び第2支持部材35のYZ軸の位置調整が行われる。
この実施形態は、第1実施形態のセンサを用いてもよいし、第2実施形態のセンサを用いてもよい。
【0081】
(14)特徴
本発明の実施形態は下記のようにも表現できる。
(A)搬送車システム1は、第1垂直面45a及び第2垂直面53aと、搬送車3とを備えている。第1垂直面45a及び第2垂直面53aは、物品7を保持するための第1アーム49及び第2アーム57の近傍に設けられている。第1垂直面45a及び第2垂直面53aは、平面視で第1水平方向(Y)に延びている。第1垂直面45a及び第2垂直面53aには、第1基準マーク51及び第2基準マーク59が設けられている。搬送車3は、搬送車本体11と、移載機構12と、制御部131とを有している。移載機構12は、搬送車本体11に搭載され物品7を移載する。制御部131は、移載機構12を制御する。移載機構12は、第1支持部材25及び第2支持部材35と、移動機構とを有している。第1支持部材25及び第2支持部材35には、物品7が支持される。移動機構は、搬送車本体11が第1垂直面45a及び第2垂直面53aに対して第1水平方向(Y)に直交する第2水平方向(X)に対向した位置で停止した状態において、第1支持部材25及び第2支持部材35を、水平旋回方向(θ)、第1水平方向(Y)、上下方向(Z)に移動する。
搬送車3は、一対の測距センサと、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157とをさらに有している。一対の測距センサは、第1支持部材25及び第2支持部材35に取り付けられ第1支持部材25及び第2支持部材35の第2水平方向(X)における第1垂直面45a及び第2垂直面53aまでの距離と第1垂直面45a及び第2垂直面53aに対する傾きとを測定する。第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157は、第1支持部材25及び第2支持部材35に取り付けられ第1基準マーク51及び第2基準マーク59を検出して基準マークと検出基準とのずれを測定する。制御部131は、第1補正動作と、第2補正動作とを、移動機構に行わせる。第1補正動作では、搬送車本体11が第1垂直面45a及び第2垂直面53aに対して第2水平方向(X)に対向した位置で停止した状態において、一対の測距センサからの検出結果に基づいて、第1垂直面45a及び第2垂直面53aと第1水平方向(Y)に平行になるように、移動機構は、第1支持部材25及び第2支持部材35を水平旋回方向(θ)に移動させる。第2補正動作では、第1補正動作後に、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157からの検出結果に基づいて、第1基準マーク51及び第2基準マーク59と検出基準とのずれを無くすように、移動機構は、第1支持部材25及び第2支持部材35を上下方向(Z)及び第1水平方向(Y)に移動させる。
この搬送車システムでは、搬送車3が停止した後に、第1基準マーク51及び第2基準マーク59と検出基準とのずれを無くすように、移動機構が第1支持部材25及び第2支持部材35を上下方向(Z)及び第1水平方向(Y)に移動させるので、移載機構12による物品7の第1アーム49及び第2アーム57に対する位置決めの精度が高くなる。
特に、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157が搬送車に設けられているので、コストが低くなり、さらに、位置補正動作が迅速に行われる。
【0082】
(B)第1実施形態では、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157は、第1基準マーク51及び第2基準マーク59の座標を出力可能な座標センサである。この場合は、物品7を第1アーム49及び第2アーム57に対して短時間で位置決めできる。
【0083】
(C)第2実施形態の1つめの例では、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157は、第1基準マーク51及び第2基準マーク59に接近すると出力が切り替わるセンサである。この場合は、基準マークと検出基準とのずれを検出するのに、例えば、比較的安価な2値出力のセンサを用いることができる。
【0084】
(D)第2実施形態の2つめの例では、制御部131は、第1マーク検出センサ155及び第2マーク検出センサ157がY方向及び/又はZ方向に移動して第1基準マーク51及び第2基準マーク59を検出した瞬間における第1基準マーク51及び第2基準マーク59と検出基準とのずれを判断する。この場合は、エリア内の分解能が低い安価な座標センサであっても、第1基準マーク51及び第2基準マーク59の検出精度が高くなる。
【0085】
(15)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0086】
(a)前記実施形態では移載される物品としてロール状物品が用いられていたが、本発明は他の形状の物品を移載する搬送車システムに適用可能である。
(b)移載機構に用いられた駆動機構の具体例は前記実施形態に限定されない。
(c)基準マークを検出するためのセンサとしては、カメラであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、無軌道式の搬送車システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 搬送車システム
3 搬送車
5 ステーション
7 物品
11 搬送車本体
12 移載機構
13 θ軸調整機構(水平旋回方向移動部)
15 第1XYZ軸調整機構
17 第2XYZ軸調整機構
19 第1Y軸調整機構(第1方向移動部)
21 第1X軸調整機構(第2方向移動部)
23 第1Z軸調整機構(上下方向移動部)
25 第1支持部材
25a 受け部
29 第2Y軸調整機構(第1方向移動部)
31 第2X軸調整機構(第2方向移動部)
33 第2Z軸調整機構(上下方向移動部)
35 第2支持部材
35a 受け部
37 ロール状部材
39 ロールコア
41 第1保持部
43 第2保持部
45 第1固定部材
45a 第1垂直面
47 第1アーム支持部材
49 第1アーム(保持部材)
51 第1基準マーク
53 第2固定部材
53a 第2垂直面
55 第2アーム支持部材
57 第2アーム(保持部材)
59 第2基準マーク
81 Y軸調整機構
83 θ軸調整機構
84 第1XZ軸調整機構
85 第2XZ軸調整機構
131 制御部
133 走行モータ
135 θ軸モータ
137 Y1軸モータ
139 Y2軸モータ
141 X1軸モータ
143 X2軸モータ
145 Z1軸モータ
147 Z2軸モータ
151 第1距離測定センサ(測距センサ)
153 第2距離測定センサ(測距センサ)
155 第1マーク検出センサ
157 第2マーク検出センサ
159 Y軸モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持するための保持部材の近傍に設けられ、平面視で第1水平方向(Y)に延びており、基準マークが設けられた垂直面と、
搬送車本体と、前記搬送車本体に搭載され前記物品を移載するための移載機構と、前記移載機構を制御する制御部とを有する搬送車と、を備え、
前記移載機構は、前記物品が支持される支持部材と、前記搬送車本体が前記垂直面に対して第1水平方向(Y)に直交する第2水平方向(X)に対向した位置で停止した状態において、前記支持部材を、水平旋回方向(θ)、第1水平方向(Y)、上下方向(Z)に移動する移動機構とを有しており、
前記搬送車は、
前記支持部材に取り付けられ前記支持部材の第2水平方向(X)における前記垂直面までの距離と前記垂直面に対する傾きとを測定するための一対の測距センサと、
前記支持部材に取り付けられ前記基準マークを検出するためのマーク検出センサと、
をさらに有しており、
前記制御部は、
前記搬送車本体が前記垂直面に対して第2水平方向(X)に対向した位置で停止した状態において、前記一対の測距センサからの検出結果に基づいて、前記垂直面と第1水平方向(Y)に平行になるように、前記移動機構に前記支持部材を水平旋回方向(θ)に移動させる第1補正動作と、
前記第1補正動作後に、前記マーク検出センサからの検出結果に基づいて、前記基準マークと検出基準とのずれを無くすように、前記移動機構に前記支持部材を上下方向(Z)及び第1水平方向(Y)に移動させる第2補正動作と、を行わせる、
搬送車システム。
【請求項2】
前記マーク検出センサは、2次元バーコードを検出し、前記2次元バーコードの基準位置の座標を基準マークの座標として出力可能な座標センサである、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記マーク検出センサが検出した前記2次元バーコードの四隅の複数の測定結果から偏差の良い対角座標を選出し、その中間点の座標を前記基準マークの座標と判断する、請求項2に記載の搬送車システム。
【請求項4】
前記マーク検出センサは、前記基準マークに接近すると出力が切り替わるセンサであり、
前記制御部は、前記マーク検出センサが第1水平方向(Y)及び/又は上下方向(Z)に移動して前記出力の切り替わりに基づいて前記基準マークと前記検出基準とのずれを判断する、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項5】
前記マーク検出センサは、前記基準マークの座標を出力可能な座標センサである、請求項1に記載の搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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