説明

搬送車

【課題】搬送物を搬送する際の移動時間及び移動距離の短縮を図り、搬送効率を向上させること。
【解決手段】有軌道台車10の車体15の上方には搬送物11を搬入及び搬出する移載動作を行う第1移載装置17aと第2移載装置17bを配設する。これら第1,第2移載装置17a,17bは、それぞれの移載動作を独立して制御可能に構成する。これにより、第1移載装置17aの移載動作と第2移載装置17bの移載動作を同時に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の移載動作を行う移載装置を装備した搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、荷捌き装置から供給される荷を搬送する場合に、工場の床に敷設されたレール上を走行可能な台車が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この種の台車としては、例えば、図8に示すような予め定めた軌道(レール13)に沿って無人で走行する有軌道台車30が知られている。
【0003】
有軌道台車30は、その車体31に搬送物32の移載動作を行う移載装置33が設けられている。この移載装置33は、複数本のローラ34を車幅方向に沿って並設して構成されている。また、移載装置33は、複数本のローラ34を所定の回転方向に駆動させることにより、搬送物32を車体31の車幅方向の両側に形成した搬入出口35,36を介して移載動作するようになっている。
【0004】
そして、レール37には、有軌道台車30に対して搬送物32を搬入及び搬出する荷捌き装置38a〜38dが配設されている。図8では、レール37を挟んで2つの荷捌き装置38a,38bが対向配置されている。これにより、有軌道台車30は、指定された荷捌き装置(例えば荷捌き装置38a)から搬送物32が移載装置33へ搬入された後、指定された他の荷捌き装置(例えば荷捌き装置38c又は荷捌き装置38d)へ搬送物32を搬送するようにレール37上を走行する。
【特許文献1】実開昭62−71103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8に示すような有軌道台車30の場合には、片方の搬入出口35,36側からしか搬送物32を移載装置33に対して同時に搬入することができなかった。すなわち、有軌道台車30では、移載装置33の動作方向を一方向にしか制御できなかったため、両方の搬入出口35,36から同時に搬送物を移載装置33に搬入することはできなかった。また、有軌道台車30では、両方の搬入出口35,36から同時に搬送物を別々の荷捌き装置(例えば荷捌き装置38aと荷捌き装置38b)に搬出することはできなかった。すなわち、有軌道台車30は、物理的には二つ以上の搬送物32を搭載することが可能でも、搬送物32を搬送した後は当該搬送物32の搬送が完了しない限り、次の搬送物32を搬入することができなかった。このため、従来の有軌道台車30では、異なる方向から搬送物32を別の荷捌き装置から移載装置33へ搬入する作業、及び異なる方向から搬送物32を別々の荷捌き装置へ搬出する作業を同時に行うことができない。よって、所定作業を完了させるまでに必要な時間がかかるとともに、有軌道台車30の移動距離の増加に伴ってさらに作業完了までの時間がかかっていた。
【0006】
本発明は、こうした従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、搬送物を搬送する際の移動時間及び移動距離の短縮を図り、搬送効率を向上させることができる搬送車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車体の車幅方向の両側に搬送物を搬入及び搬出する搬入出口を備え、その搬入出口を介して前記搬送物の移載動作を行う移載装置を装備した搬送車において、前記車体には、前記移載装置を構成する第1移載部及び第2移載部が前記車幅方向に沿って並設されており、前記第1移載部には当該第1移載部に移載動作を行わせる第1駆動部が設けられているとともに、前記第2移載部には当該第2移載部に移載動作を行わせる第2駆動部が前記第1駆動部とは別体構成で設けられており、前記第1駆動部及び前記第2駆動部を独立して制御する制御手段を備え、前記第1移載部と前記第2移載部に対し、両側の搬入出口から前記搬送物を同時に搬入及び搬出可能に構成したことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、従来、搬送物を搬入出口の片側からしか同時に搬入及び搬出することができなかったのが、第1移載部の第1駆動部と第2移載部の第2駆動部を別体構成とし、制御手段が独立して制御する構成としたことにより、搬送物を両側の搬入出口から同時に搬入及び搬出することが可能である。したがって、搬送車の移動時間または移動距離の短縮を図ることができ、搬送効率が向上する。
【0009】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送車において、前記第1移載部と前記第2移載部は、前記第1移載部における前記搬送物の搭載面と前記第2移載部における前記搬送物の搭載面とが同一高さに配置されており、前記第1移載部と前記第2移載部の両移載部間での前記搬送物の移載動作を行えるように構成されていることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、第1移載部における搬送物の搭載面と第2移載部における搬送物の搭載面とが同一高さに配置されていることにより、第1移載部と第2移載部の両移載部間での搬送物の移載動作が可能となる。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の搬送車において、前記第1移載部と前記第2移載部は、前記車幅方向に所定間隔をおいて配設されており、前記第1移載部と前記第2移載部の間には、前記搬送物が前記両移載部間を移動する際に接触し、その搬送物の移動力を受けて回転する回転体が配設されていることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、第1移載部と第2移載部の両移載部間での搬送物の移載動作を行う際に、回転体により搬送物の移載動作を補助することが可能となり、第1移載部と第2移載部との間で搬送物の移載動作をスムーズに行うことが可能である。
【0013】
また請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の搬送車において、前記回転体は、前記車幅方向の中央に配設されていることを要旨とする。
同構成によれば、車幅方向に同じスペースの第1移載部及び第2移載部を設けることができ、両移載部において同じ大きさの搬送物を搬入出口の両側から同時に搬入及び搬出することが可能である。
【0014】
また請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の搬送車において、予め定めた軌道に沿って無人で走行する有軌道台車であることを要旨とする。
同構成によれば、予め定められた場所へ搬送物を搬送する際に、搬送車の移動時間または移動距離の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、搬送物を搬送する際の移動時間及び移動距離の短縮を図り、搬送効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、工場内において、搬送車としての有軌道台車10を使用して各種部品等の搬送物11を搬送する搬送システム12を示している。
【0017】
この搬送システム12には、工場内の床に円状で閉ループ形成された一本のレール13の上に有軌道台車10が設けられているとともに、有軌道台車10の走行を制御する地上制御盤Mが設けられている。そして、有軌道台車10は、レール13に沿って配設された各種のトロリー線(図示は省略)を介して、地上制御盤Mとの間の電力の供給及び走行に係る制御信号の通信が行われるようになっている。これにより、有軌道台車10は、トロリー線を介して電力が供給され、レール13の上を矢印A方向及び矢印B方向に無人で走行するようになっている。
【0018】
また、レール13には、有軌道台車10が搬送物11の受け渡しを行う停止位置に、荷捌き装置(例えば、ベルトコンベア)14a〜14dが配設されている。各荷捌き装置14a〜14dは、レール13を挟んで対向する態様で配置されている。そして、有軌道台車10は、荷捌き装置14a〜14dから搬送物11を受け取り、その搬送物11を指定された荷捌き装置14a〜14dに搬送する受け渡し作業を行うようになっている。例えば、搬送システム12では、搬送元である荷捌き装置14aから搬送物11を受け取り、その搬送物11を搬送先である荷捌き装置14bへ搬送する。
【0019】
次に、有軌道台車10の構造について、図2及び図3を参照して説明する。
有軌道台車10の車体15の下方には、一本のレール13の上を走行するための図示しない車輪が走行方向に沿って複数(本実施形態では二つ)並設されており、有軌道台車10は走行駆動部16(図4に示す)の動力によって車輪を回転させレール13の上を走行する。走行駆動部16は、有軌道台車10の駆動源(例えば、走行用モータ)と駆動源の動力を車輪に伝達する動力伝達手段からなる。なお、以下の説明では、図2に示す矢印A方向を有軌道台車10の走行方向としての前進方向とし、矢印B方向を有軌道台車10の走行方向としての後進方向とする。
【0020】
車体15の上方には、荷捌き装置14a〜14dと有軌道台車10との間で搬送物11を搬入及び搬出する移載動作を行う移載装置17が配設されている。また、車体15には、車幅方向(走行方向に対して直行する方向)の両側に開口する搬送物11を搬入出するための搬入出口18,19が設けられており、これらの搬入出口18,19を介して移載装置17に搬送物11が搬入及び搬出されるようになっている。
【0021】
本実施形態において移載装置17は、第1移載部としての第1移載装置17aと第2移載部としての第2移載装置17bの2基から構成されている。そして、車体15の上方には、第1移載装置17aと第2移載装置17bが車幅方向に沿って並設されている。具体的に言えば、第1移載装置17aは搬入出口18に連設されており、搬入出口18を介して搬送物11の搬入及び搬出が行われるようになっている。一方、第2移載装置17bは搬入出口19に連設されており、搬入出口19を介して搬送物11の搬入及び搬出が行われるようになっている。また、第1移載装置17aと第2移載装置17bは、車幅方向に所定の間隔をあけて配設されており、有軌道台車10の前進方向からみて車体15の左右に分離して配置されている。これら第1,第2移載装置17a,17bは、それぞれに独立した駆動部(第1移載駆動部20aと第2移載駆動部20b)を有し、それぞれの移載動作が独立して制御されるようになっている。
【0022】
以下、移載装置17の構成についてさらに詳しく説明する。なお、本実施形態において、移載装置17を構成する第1移載装置17aと第2移載装置17bは同一構成とされている。
【0023】
第1,第2移載装置17a,17bには、複数本(本実施形態では5本)の棒状のローラ(回転部材)21a,21bがそれぞれに設けられており、各ローラ21a,21bは車幅方向に沿って並設されている。そして、各ローラ21a,21bは、その中心軸線が走行方向に沿うように配設されているとともに、車体15に対し回転可能に支持されている。また、各ローラ21a,21bには、回転力を付与する図示しないモータが内蔵されており、各ローラ21a,21bはモータの作動により回転動作するようになっている。なお、各ローラ21a,21bに内蔵されたモータは、正逆回転可能な構成とされている。
【0024】
そして、本実施形態においては、第1移載装置17aに設けられている5本のローラ21aに内蔵された各モータにより、第1移載装置17aに移載動作を行わせる第1駆動部としての第1移載駆動部20a(図4に示す)が構成されている。また、本実施形態においては、第2移載装置17bに設けられている5本のローラ21bに内蔵された各モータにより、第2移載装置17bに移載動作を行わせる第2駆動部としての第2移載駆動部20b(図4に示す)が構成されている。
【0025】
また、本実施形態において各ローラ21a,21bは、同一構成とされている。すなわち、各ローラ21a,21bは、同一長さで、かつ同一径とされている。そして、各ローラ21a,21bは、その中心軸線が水平となり、かつ同一高さ位置となるように配設されている。これにより、第1移載装置17aには、車幅方向に並設された5本のローラ21aによって搬送物11を搭載する搭載面22a(図2に二点鎖線で示す)が形成される。また、第2移載装置17bには、車幅方向に並設された5本のローラ21bによって搬送物11を搭載する搭載面22b(図2に二点鎖線で示す)が形成される。そして、第1移載装置17aの搭載面22aと第2移載装置17bの搭載面22bは何れも水平面とされるとともに、搭載面22aと搭載面22bは、両搭載面22a,22b間に段差がなく、同一の高さ位置に配置されている。なお、搭載面22aと搭載面22bは、同一面積となっている。
【0026】
また、第1移載装置17aと第2移載装置17bとの間には、棒状の回転体としてフリーローラ23が車幅方向に並設されている。このフリーローラ23は車幅方向中央に配設されている。そして、フリーローラ23は、その中心軸線が走行方向に沿うように車体15に回転可能に支持されている。また、本実施形態においてフリーローラ23は、各ローラ21a,21bと同一長さで形成されている一方で、各ローラ21a,21bよりも大径となるように異なる径で形成されている。そして、フリーローラ23は、その周面の高さ位置が、第1,第2移載装置17a,17bの各搭載面22a,22bと同一高さ位置となるように、かつ両搭載面22a,22bの間に段差が形成されないように配設されている。すなわち、フリーローラ23は、その中心軸線が、各ローラ21a,21bの中心軸線よりも下方に位置するように車体15に対し取り付けられている。
【0027】
この構成により、本実施形態の有軌道台車10では、搬入出口18側から順に第1移載装置17aと、フリーローラ23と、第2移載装置17bが並設される。そして、本実施形態の有軌道台車10には、搬入出口18から搬入出口19に向かって、第1移載装置17aの搭載面22aと、フリーローラ23の周面と、第2移載装置17bの搭載面22bとにより、ほぼ無段差状で、かつ水平な平らな面が形成される。これにより、有軌道台車10では、第1移載装置17aから第2移載装置17bへ搬送物11を搬送する移載動作、及び第2移載装置17bから第1移載装置17aへ搬送物11を搬送する移載動作が行えるようになっている。すなわち、本実施形態の有軌道台車10では、第1移載装置17aと第2移載装置17bとの間に仕切部材などが存在しておらず、搬入出口18と搬入出口19とが連通した状態とされている。
【0028】
また、フリーローラ23は、搬送物11が第1,第2移載装置17a,17b間を移動する際に搬送物11と接触し、その搬送物11の移動力を受けて回転する。具体的に言えば、フリーローラ23は、搬送物11が第1移載装置17aから第2移載装置17bへ移動する場合、その移動方向の力を受けて搬送物11を第2移載装置17b側へ送り出すように回転する。一方、フリーローラ23は、搬送物11が第2移載装置17bから第1移載装置17aへ移動する場合、その移動方向の力を受けて搬送物11を第1移載装置17a側へ送り出すように回転する。すなわち、フリーローラ23は、モータなどの駆動源を有しておらず、第1,第2移載装置17a,17b間を移動する搬送物11の移動力のみによって自然回転し、搬送物11が第1,第2移載装置17a,17b間をスムーズに移動し得るようにその移動を補助する。
【0029】
また、図3に示すように、有軌道台車10には、第1移載装置17a及び第2移載装置17bにおける搬送物11の移載位置(有無)を感知する複数種類のセンサが備えられている。第1移載装置17aには、搬入出口18側から順に、第1荷はみ出しセンサ24と、在荷センサ25と、第2荷はみ出しセンサ26が車幅方向に所定の間隔をおいて配設されている。同様に、第2移載装置17bには、搬入出口19側から順に、第1荷はみ出しセンサ24と、在荷センサ25と、第2荷はみ出しセンサ26が車幅方向に所定の間隔をおいて配設されている。
【0030】
各第1荷はみ出しセンサ24は、発光部24aと受光部24bからなり、発光部24aと受光部24bは第1移載装置17aのローラ21a及び第2移載装置17bのローラ21bを走行方向に挟んで対向配置されている。また、各在荷センサ25は、発光部25aと受光部25bからなり、発光部25aと受光部25bは第1移載装置17aのローラ21a及び第2移載装置17bのローラ21bを走行方向に挟んで対向配置されている。また、各第2荷はみ出しセンサ26は、発光部26aと受光部26bからなり、発光部26aと受光部26bは第1移載装置17aのローラ21a及び第2移載装置17bのローラ21bを走行方向に挟んで対向配置されている。各受光部24b,25b,26bは、各発光部24a,25a,26aが発する光の受光量を電気信号に変換し、車体15に搭載された制御装置27(図4に示す)に出力する。
【0031】
これにより、制御装置27は、各発光部24a,25a,26aの発する光が遮られた場合、その時に各受光部24b,25b,26bが出力する電気信号を受けて搬送物11の存在を検知する。例えば、制御装置27は、第1移載装置17aにおいて、第1荷はみ出しセンサ24の発光部24aの発する光のみが遮られた場合、その時に受光部24bが出力する電気信号から搬送物11が第1荷はみ出しセンサ24の周辺に存在していることを検知する。一方、制御装置27は、各発光部24a,25a,26aの発する光が遮られていない場合、その時に各受光部24b,25b,26bが出力する電気信号を受けて搬送物11の存在を検知しない。
【0032】
なお、第1荷はみ出しセンサ24、第2荷はみ出しセンサ26及び在荷センサ25は、搬送物11の位置を正確に感知するために、電波でセンシングする方式に比べ、信号が空間的に広がりにくい赤外線センサを用いることが好ましい。
【0033】
次に、有軌道台車10の電気的構成について図4を参照して説明する。
上述したように、有軌道台車10には各種制御を実行する制御装置27が備えられている。また、有軌道台車10には、レール13に沿って設けられたトロリー線から電力の供給を受ける給電装置28が備えられている。給電装置28は、制御装置27と、各駆動部16、20a,20bと、各センサ24〜26に作動用電力を供給する。また、地上制御盤Mから出力される制御信号は給電装置28を介して受信されるようになっており、その受信した制御信号は制御装置27に入力されるようになっている。
【0034】
また、制御装置27には、搬送物11の移載位置を感知する第1荷はみ出しセンサ24と、第2荷はみ出しセンサ26と、在荷センサ25が接続されている。制御装置27は、これら各センサ24〜26からの電気信号を入力し、搬送物11の移載位置を検出する。制御装置27は入力した電気信号、及び地上制御盤Mからの制御信号に基づいて、各移載駆動部20a,20b及び走行駆動部16を制御し、第1移載装置17aと第2移載装置17bの移載動作及び有軌道台車10の走行動作を制御する。
【0035】
なお、本実施形態において制御装置27は、搬入出口18から搬送物11を第1移載装置17aに搬入する場合、全てのローラ21aを正方向、すなわち搬送物11を車体15の中央側であって、搬入出口19側に向かって送り出すように回転させる。また、本実施形態において制御装置27は、第1移載装置17aに搭載されている搬送物11を搬入出口18から搬出する場合、全てのローラ21aを逆方向、すなわち搬送物11を搬入出口18に向かって送り出すように回転させる。
【0036】
一方、本実施形態において制御装置27は、搬入出口19から搬送物11を第2移載装置17bに搬入する場合、全てのローラ21bを逆方向、すなわち搬送物11を車体15の中央側であって、搬入出口18側に向かって送り出すように回転させる。また、本実施形態において制御装置27は、第2移載装置17bに搭載されている搬送物11を搬入出口19から搬出する場合、全てのローラ21bを正方向、すなわち搬送物11を搬入出口19に向かって送り出すように回転させる。
【0037】
図5は、本実施形態において、搬送物11を第1移載装置17a及び第2移載装置17bのそれぞれに搬入する時の制御処理手順を示すフローチャートである。この一連の処理は制御装置27により実行される。
【0038】
図5に示されるように、制御装置27は、搬送物11が指定された荷捌き装置から移載装置17に搬送される際に、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知しているか否かを判断する(ステップS100)。第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知している場合は、搬送物11が移載装置17に移載され通過している状態であることから、次に制御装置27は、在荷センサ25が搬送物11を感知しているか否かを判断する(ステップS200)。
【0039】
一方、ステップS100の処理において、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知していない場合は、まだ搬送物11が移載装置17に移載されていない状態である。このため、制御装置27は、再度ステップS100へ戻り、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知しているか否かを判断する。
【0040】
ステップS200の処理において、在荷センサ25が搬送物11を感知している場合は、搬送物11が移載装置17の所定の搭載位置付近を通過している状態である。このため、制御装置27は、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知していないか否かを判断する(ステップS300)。なお、本実施形態において、所定の搭載位置は、第1移載装置17a及び第2移載装置17bにおいて、それぞれの搭載面22a,22bにおけるほぼ中央の位置である。
【0041】
一方、ステップS200の処理において、在荷センサ25が搬送物11を感知していない場合は、搬送物11がまだ第1荷はみ出しセンサ24付近を通過している状態である。このため、制御装置27は、再度ステップS200へ戻り、在荷センサ25が搬送物11を感知しているか否かを判断する。
【0042】
ステップS300の処理において、在荷センサ25が搬送物11を感知しつつ、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知していない場合は、搬送物11が第1荷はみ出しセンサ24を通過した状態である。このため、制御装置27は、第2荷はみ出しセンサ26が搬送物11を感知しているか否かを判断する(ステップS400)。一方、ステップS300の処理において、在荷センサ25が搬送物11を感知しつつ、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知している場合は、搬送物11が第1荷はみ出しセンサ24と在荷センサ25の間を通過している状態である。このため、制御装置27は、再度ステップS300へ戻り、第1荷はみ出しセンサ24が搬送物11を感知していないか否かを判断する。
【0043】
ステップS400の処理において、第2荷はみ出しセンサ26が搬送物11を感知している場合は、搬送物11が所定の搭載位置を越えてはみ出している状態である。このため、制御装置27は、搬送物11の位置を所定の搭載位置へ戻すように補正する(ステップS500)。以下、搬入出口18から搬入された搬送物11が、第1移載装置17aの所定の搭載位置を越えてはみ出した場合を例にして、制御装置27がステップS500で行う処理(制御)を説明する。制御装置27は、搬送物11を第1移載装置17aへ搬入している場合、第1移載駆動部20aを構成する全てのローラ21aを正方向に回転させように制御し、この制御によって搬送物11は車体15の中央側に向かって移動する。このため、制御装置27は、全てのローラ21aの回転方向を正方向から逆方向に切り替える。これにより、第1移載装置17aの所定の搭載位置を越えてはみ出した搬送物11は移動方向が切り替えられ、搬入出口18に向かって移動する。そして、制御装置27は、第1,第2荷はみ出しセンサ24,26が搬送物11を感知しておらず、かつ在荷センサ25が搬送物11を感知している状態になると、搬送物11が第1移載装置17aの所定の搭載位置に戻されたことを認識し、全てのローラ21aの回転を停止させ、ステップS500の処理を終了する。なお、ステップS500の処理について第1移載装置17aを例に説明したが、第2移載装置17bの場合でも、ローラ21bの回転方向を逆転させて搬送物11の搭載位置を補正する点は同じである。
【0044】
一方、ステップS400の処理において、第2荷はみ出しセンサ26が搬送物11を感知していない場合は、搬送物11が所定の搭載位置に搭載されている状態である。このため、制御装置27は、移載装置17の動作を停止させる。(ステップS550)。各ステップS500とステップS550の処理により、搬送物11を移載装置17の所定の搭載位置に停止させることができ、制御装置27における搬送物11の搬送位置を確認する制御処理は終了する。
【0045】
本実施形態の有軌道台車10は、第1移載装置17aと第2移載装置17bを設け、これら第1移載装置17aと第2移載装置17bを別駆動としたことから、両側の搬入出口18,19から同時に搬送物11を移載することができるとともに、片側の搬入出口18,19から搬送物11を移載することもできる。以下、本実施形態の有軌道台車10における、各種の移載動作の態様について図6及び図7を用いて説明する。
【0046】
図6(a)は、搬送物11を両側の搬入出口18,19から同時に移載動作(搬入)する態様を示している。この場合、制御装置27がローラ21a,21bの回転力を付与させる第1,第2移載駆動部20a,20bを制御し、第1移載装置17aの全てのローラ21aを正回転させるとともに、第2移載装置17bの全てのローラ21bを逆回転させる。よって、両側の搬入出口18,19から同時に第1移載装置17a及び第2移載装置17bに搬送物11が搬入される。
【0047】
図6(b)は、搬送物11を両側の搬入出口18,19へ同時に移載動作(搬出)する態様を示している。この場合、制御装置27がローラ21a,21bの回転力を付与させる第1,第2移載駆動部20a,20bを制御し、第1移載装置17aの全てのローラ21aを逆回転させるとともに、第2移載装置17bの全てのローラ21bを正回転させる。よって、第1移載装置17a及び第2移載装置17bの各搬送物11が両側の搬入出口18,19から同時に搬出される。
【0048】
図6(c)は、第1移載装置17aに搬送物11を搭載したまま、第2移載装置17bの搬送物11を搬入出口19へ移載動作(搬出)する態様を示している。この場合、制御装置27がローラ21bの回転力を付与させる第2移載駆動部20bのみを制御し、第2移載装置17bの全てのローラ21bを正回転させる。このとき、制御装置27は、第1移載駆動部20aについては全てのローラ21aの回転させたままの状態を維持する。よって、第1移載装置17aに搬送物11を搭載した状態で、第2移載装置17b側の搬送物11のみが搬入出口19から搬出される。
【0049】
図7(a)は、第1移載装置17aに搭載されている搬送物11と第2移載装置17bに搭載されている搬送物11を搬入出口19へ同時に移載動作(搬出)する態様を示している。この場合、制御装置27がローラ21a,21bの回転力を付与させる第1,第2移載駆動部20a,20bを制御し、第1,第2移載装置17a,17bの全てのローラ21a、21bを正回転させる。これにより、第2移載装置17bの搬送物11は、搬入出口19側へ移動し、搬入出口19から搬出される。また、第1移載装置17aの搬送物11は、同じく搬入出口19側へ移動し、フリーローラ23と接触する。そして、第1移載装置17aの搬送物11は、ローラ21aの回転によって付与される移動力と、その移動力を受けてローラ21aと同方向(正方向)に回転するフリーローラ23により、当該フリーローラ23を越えて第1移載装置17aから第2移載装置17bへ移動する。その後、第1移載装置17aの搬送物11は、第2移載装置17bのローラ21bの回転によって付与される移動力を受けて搬入出口19側へ移動し、搬入出口19から搬出される。よって、第1移載装置17aの搬送物11と第2移載装置17bの搬送物11は、その両搬送物11が同じ搬入出口19から搬出される。
【0050】
図7(b)は、第2移載装置17bに搬送物11を搭載したまま、搬入出口18から搬送物11を第1移載装置17aへ移載動作(搬入)する態様を示している。この場合、制御装置27がローラ21aの回転力を付与させる第1移載駆動部20aのみを制御し、第1移載装置17aの全てのローラ21aを正回転させる。このとき制御装置27は第2移載駆動部20bについては全てのローラ21bの回転を停止させたままの状態を維持する。よって、第2移載装置17bに搬送物11を搭載した状態で、第1移載装置17a側の搬送物11のみが搬入出口18から搬入される。
【0051】
図7(c)は、搬入出口18から搬送物11を第1移載装置17aに移載動作(搬入)すると同時に、第2移載装置17bの搬送物11を搬入出口19へ移載動作(搬出)する態様を示している。この場合、制御装置27がローラ21a,21bの回転力を付与させる第1,第2移載駆動部20a,20bを制御し、第1,第2移載装置17a,17bの全てのローラ21a、21bを正回転させる。これにより、第2移載装置17bの搬送物11は、搬入出口19側へ移動し、搬入出口19から搬出される。また、第1移載装置17a側の搬送物11が搬入出口18から搬入される。
【0052】
なお、本実施形態における有軌道台車10の移載動作の態様は、図6及び図7で説明した複数の態様例に限らず、他の態様の移載動作を行わせることもできる。例えば、有軌道台車10では、第2移載装置17bに搬送物11を搭載したまま、第1移載装置17aに搭載されている搬送物11を搬入出口18から搬出することができる。また、有軌道台車10では、第1,第2移載装置17a,17bのそれぞれに搭載した搬送物11を、同じ搬入出口18から搬出することができる。また、有軌道台車10では、第1移載装置17aに搬送物11を搭載したまま、搬入出口19から第2移載装置17bに搬送物11を搬入することができる。また、有軌道台車10は、第1移載装置17aに搭載されている搬送物11を搬入出口18から搬出する一方で、搬入出口19から第2移載装置17bに搬送物11を搬入することができる。また、有軌道台車10は、搬入出口18,19の何れか一方の搬入出口から複数の搬送物11を第1,第2移載装置17a,17bに搬入することができる。
【0053】
本実施形態の有軌道台車10において、第1,第2移載装置17a,17bの各移載動作を行うタイミングは、各移載動作を独立して制御できることから、各移載動作が同じタイミングで行われても良いし、異なるタイミング(時間差を有する)で行われても良い。例えば、図6(a),(b)及び図7(c)では、第1,第2移載装置17a,17bに対して同じタイミングで移載動作を開始させても良いし、何れか一方の移載動作を他方の移載動作の開始から時間差を生じさせて開始させても良い。すなわち、有軌道台車10の移載装置17は、第1移載装置17aと第2移載装置17bを独立して駆動し得るので、移載装置17の動作方向を2方向とすることができ、一方の移載装置が移載動作を行っている場合でも他方の移載装置で移載動作を行わせることができる。これにより、有軌道台車10に対して搬送物11を同時期に異なる方向から移載動作(搬入及び搬出)させることが可能となる。
【0054】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、車体15の上方にそれぞれ独立した駆動部を有した第1移載装置17a及び第2移載装置17bを、車幅方向に沿って並設した。よって、従来、搬送物11を搬入出口18,19の片側からしか同時に移載動作できなかったのが、搬送物11を搬入出口18,19の両側から同時に移載することができる。したがって、有軌道台車10の移動時間または移動距離の短縮を図ることができ、搬送効率が向上する。
【0055】
(2)本実施形態では、第1移載装置17a及び第2移載装置17bの各5本のローラ21a,21bを中心軸線が水平となり、かつ同一高さ位置となるようにした。これにより、第1移載装置17aと第2移載装置17bの両移載装置間での搬送物の移載動作が可能となる。
【0056】
(3)本実施形態では、第1移載装置17aと第2移載装置17bとの間にフリーローラ23を配設した。よって、第1移載装置17aと第2移載装置17bの両移載装置17a,17b間での搬送物11の移載動作を行う際に、フリーローラ23により搬送物11の移載動作を補助することが可能となる。そして、フリーローラ23により搬送物11をスムーズに移載動作させることが可能である。さらには、フリーローラ23を配設したことにより、両移載装置17a,17b間で搬送物11が落下することを抑制することができる。また、フリーローラ23を用いたことで、例えば、第2移載装置17bの所定の搭載位置に搬送物11が停止し、第1移載装置17aに搬入された搬送物11がフリーローラ23上へはみ出した場合でも、第2移載装置17bのローラ21bを回転させる必要はない。よって、第1移載装置17aのローラ21aの回転のみで、はみ出した搬送物11を第1移載装置17aの所定の搭載位置へ停止することが可能となる。
【0057】
(4)本実施形態では、フリーローラ23を車体15の車幅方向の中央に設けた。よって、左右に同じスペースの移載装置17を設けることができる。よって、第1、第2移載装置17a,17bにおいて同じ大きさの搬送物11を搬入出口18,19の両側から同時に移載することが可能である。
【0058】
(5)本実施形態では、搬送物11を第1荷はみ出しセンサ24、第2荷はみ出しセンサ26、及び在荷センサ25で感知させるようにした。そして、制御装置27は、各センサ24〜26からの電気信号をもとに、第1,第2移載駆動部20a,20bを制御する。よって、搬送物11を移載装置17の所定の搭載位置に移載することができる。さらには、有軌道台車10によって、指定された荷捌き装置から搬送物11を別の荷捌き装置へ搬送する際に、搬送物11を落下させることなく搬送することができる。
【0059】
(6)本実施形態で用いられているローラ21a,21bは、回転力を付与するモータが内蔵されている構成にした。よって、有軌道台車10内に第1,第2移載駆動部20a,20bのスペースを別途設ける必要がなくなり、有軌道台車10の設計が容易になる。
【0060】
なお、上記本実施形態は、以下のように変更して実施することも可能である。
・本実施形態において、第1,第2移載装置17a,17bの各ローラ21a,21bに回転力を付与する駆動手段(モータ)をローラ21a,21bとは別に設けても良い。
【0061】
・本実施形態において、第1,第2移載装置17a,17b間に配設されるフリーローラ23に駆動手段(例えば、モータなど)を設け、その駆動手段から付与される回転力でフリーローラ23を回転させるようにしても良い。
【0062】
・本実施形態において、フリーローラ23に代えて、複数個の回転体(ローラ、ベアリングなど)を、第1,第2移載装置17a,17b間に配設しても良い。また、第1移載装置17aと第2移載装置17bを搬送物11が落下しない程度の間隔をおいて配置し、第1,第2移載装置17a,17b間を空間としても良い。
【0063】
・本実施形態において、第1荷はみ出しセンサ24、第2荷はみ出しセンサ26及び在荷センサ25は、電波でセンシングするセンサ方式としても良い。
・本実施形態において、有軌道台車10の車体15の下方に車輪を一つもしくは三つ以上設けてもよい。
【0064】
・本実施形態において、有軌道台車10の走行路を構成するレール13を複数本とし、その複数本のレール13上に有軌道台車10を走行させるようにしても良い。
・本実施形態は、無軌道台車など、その他の無人搬送車に具体化しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】有軌道台車を使用して搬送物を搬送する搬送システムを示す概略構成図。
【図2】有軌道台車を示す斜視図。
【図3】有軌道台車を示す平面図。
【図4】有軌道台車の電気的構成を示すブロック図。
【図5】搬送物を搬入する時の制御処理手順を示すフローチャート。
【図6】(a)〜(c)は、有軌道台車における移載動作の態様を示す模式図。
【図7】(a)〜(c)は、有軌道台車における移載動作の態様を示す模式図。
【図8】従来の有軌道台車の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0066】
10,30…有軌道台車、11,32…搬送物、12…搬送システム、13,37…レール、14a〜14d,38a〜38d…荷捌き装置、15,31…車体、16…走行駆動部、17,33…移載装置、17a…第1移載装置、17b…第2移載装置、18,19,35,36…搬入出口、20a…第1移載駆動部、20b…第2移載駆動部、21a,21b,34…ローラ、22a,22b…搭載面、23…フリーローラ、27…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の車幅方向の両側に搬送物を搬入及び搬出する搬入出口を備え、その搬入出口を介して前記搬送物の移載動作を行う移載装置を装備した搬送車において、
前記車体には、前記移載装置を構成する第1移載部及び第2移載部が前記車幅方向に沿って並設されており、
前記第1移載部には当該第1移載部に移載動作を行わせる第1駆動部が設けられているとともに、前記第2移載部には当該第2移載部に移載動作を行わせる第2駆動部が前記第1駆動部とは別体構成で設けられており、
前記第1駆動部及び前記第2駆動部を独立して制御する制御手段を備え、
前記第1移載部と前記第2移載部に対し、両側の搬入出口から前記搬送物を同時に搬入及び搬出可能に構成したことを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記第1移載部と前記第2移載部は、前記第1移載部における前記搬送物の搭載面と前記第2移載部における前記搬送物の搭載面とが同一高さに配置されており、前記第1移載部と前記第2移載部の両移載部間での前記搬送物の移載動作を行えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記第1移載部と前記第2移載部は、前記車幅方向に所定間隔をおいて配設されており、
前記第1移載部と前記第2移載部の間には、前記搬送物が前記両移載部間を移動する際に接触し、その搬送物の移動力を受けて回転する回転体が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記回転体は、前記車幅方向の中央に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の搬送車。
【請求項5】
予め定めた軌道に沿って無人で走行する有軌道台車であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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