説明

携帯型無線通信端末装置及びその動作方法

【課題】 圏外時に無駄な復調動作を停止し消費電流を削減する。
【解決手段】 受信された搬送波の不要波部分を遮断するフィルタ2と、搬送波を増幅するアンプ3と、アンプ3をバイパスする経路をオン/オフするスイッチ4と、PLL部6から発振された発振波とアンプ3又はスイッチ4から出力された搬送波を乗算し所望のIF波を得るミキサ5と、IF波を増幅し復調器に出力する一方で、入力される電界レベルに応じた直流電圧をRSSIとして出力するIFアンプ7と、RSSIの電圧の大きさに基づき圏外、圏内を判定するベースバンド部8とを備える。通常受信時はスイッチ4をオフにして受信感度を最大とする。電波環境が低電界状態時にRSSIを測定する際には、スイッチ4をオンにし、低電界のRSSIの直線性を確保することによりRSSIを正確に測定する。これにより通信エリアの圏外、圏内を正確に判定することができ、圏外時に無駄な復調動作を停止し消費電流を削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型無線通信端末装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の携帯型無線通信端末装置の構成を示すブロック図、図6は従来の携帯型無線通信端末装置の受信電界強度特性の一例を示す図である。
【0003】
図5に示すように、従来の携帯型無線通信端末装置1000は、電波を送受信するアンテナ1と、このアンテナ1により受信された電波(搬送波)から不要波を遮断するフィルタ2と、このフィルタ2により不要波が遮断された後の搬送波を増幅するアンプ3と、このアンプ3の入力端子と出力端子とをバイパスするためのスイッチ4と、所定の発振波を出力するPLL部6と、このPLL部6より出力された発振波とフィルタ2よりアンプ3を介して出力された搬送波、又はフィルタ2よりスイッチ4を介して出力された搬送波とを乗算して所望の中間周波数の信号を生成するミキサ5と、このミキサ5から出力される中間周波数の信号を増幅し、該増幅後の信号を復調器(図示略)に出力するIFアンプ7と、ベースバンド部8と、を備えて構成されている。
【0004】
このうちIFアンプ7は、入力されるIF波(中間周波数の信号)の大きさに応じた直流電圧を受信電界強度(RSSI)としてベースバンド部8に対して出力する。
【0005】
ベースバンド部8は、IFアンプ7から入力される直流電圧のレベルを判定し、該レベルが所定値以上の場合にのみスイッチ4をオン(アンプ3をバイパス)する。このようにIFアンプ7から入力される直流電圧のレベルが高い(所定値以上)場合にアンプ3をバイパスするのは、アンプ3にて搬送波が歪みを起こさないようにするためである。
【0006】
なお、同様の先行技術としては、特許文献1の技術がある。
【特許文献1】特開平9−72955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、IFアンプ7から入力される直流電圧のレベルが低い(上記所定値未満)場合には常にスイッチ4がオフであるため、アンプ3からIFアンプ7までのゲインが高い。
【0008】
このため、アンテナ1から入力される搬送波の電界レベルと、IFアンプ7から入力されるRSSI電圧との関係に直線性がない、すなわち、電界変化量に対し、IFアンプ7からの出力電圧の変化量が少ない。
【0009】
よって、電界レベルに対するRSSI電圧の検出精度が低く、正しくRSSIの電圧を採取することができなかった。
【0010】
このため圏内、圏外の判定を正しく行うことができず、圏外にもかかわらず復調動作を実施し、無駄な消費電流を消費するという問題があった。
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、通信エリアの圏内、圏外の判定を正しく行うことができ、圏外時に無駄な復調動作を行わないようにすることにより消費電力を低減することが可能な携帯型無線通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の携帯型無線通信端末装置は、電波を受信するアンテナと、前記アンテナにより受信された搬送波の不要波部分を遮断するフィルタと、前記フィルタから出力された搬送波を増幅するアンプと、前記アンプの入力と出力とをバイパスする経路をオン/オフするスイッチと、所定の発振波を出力するPLL部と、前記PLL部から発振された発振波と、前記アンプから出力された搬送波又は前記フィルタから前記スイッチを介して出力された搬送波と、を乗算することにより中間周波数の信号を生成し出力するミキサと、前記ミキサから入力された中間周波数の信号を増幅して出力する一方で、入力される中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力するIFアンプと、前記IFアンプから出力された中間周波数の信号を復調する復調器と、前記IFアンプから出力された直流電圧に基づき圏外であるか圏内であるかを判定し、圏外であると判定した場合には前記復調器による復調動作を停止させるベースバンド部と、を備え、前記ベースバンド部は、圏内時において、前記直流電圧のレベルが前記アンテナから入力される電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記スイッチをオフにさせ、前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記スイッチをオンにさせることを特徴としている。
【0013】
本発明の携帯型無線通信端末装置においては、前記ベースバンド部は、圏内時において、前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが高レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記スイッチをオンにさせることが好ましい。
【0014】
また、本発明の携帯型無線通信端末装置は、電波を受信するアンテナと、前記アンテナにより受信された搬送波の不要波部分を遮断するフィルタと、前記フィルタから出力された搬送波を増幅するアンプと、前記フィルタと前記アンプとの間に直列に接続された可変抵抗と、所定の発振波を出力するPLL部と、前記PLL部から発振された発振波と、前記アンプから出力された搬送波と、を乗算することにより中間周波数の信号を生成し出力するミキサと、前記ミキサから出力された中間周波数の信号を増幅して出力する一方で、入力される中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力するIFアンプと、前記IFアンプから出力された中間周波数の信号を復調する復調器と、前記IFアンプから出力された直流電圧に基づき圏外であるか圏内であるかを判定し、圏外であると判定した場合には前記復調器による復調動作を停止させるベースバンド部と、を備え、前記ベースバンド部は、圏内時において、前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記可変抵抗の抵抗値を比較的小さい第1の抵抗値にし、前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記可変抵抗の抵抗値を比較的大きい第2の抵抗値にすることを特徴としている。
【0015】
本発明の携帯型無線通信端末装置においては、前記第1の抵抗値は略0Ωであることが好ましい。
【0016】
本発明の携帯型無線通信端末装置においては、前記第2の抵抗値は前記アンプのゲインと略同一のロスを生じる抵抗値であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の携帯型無線通信端末装置の動作方法は、電波をアンテナにより受信する第1の過程と、前記第1の過程により受信された搬送波の不要波部分をフィルタにより遮断する第2の過程と、前記第2の過程により不要波部分が遮断された後の搬送波をアンプにより増幅する第3の過程と、所定の発振波を出力する第4の過程と、前記所定の発振波と、前記第3の過程により増幅された搬送波又は前記第2の過程により不要波部分が遮断された後の搬送波と、をミキサにより乗算することにより中間周波数の信号を生成する第5の過程と、前記第5の過程により生成された中間周波数の信号を増幅する第6の過程と、前記第6の過程により増幅された中間周波数の信号を復調する第7の過程と、前記第5の過程により生成された中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力する第8の過程と、前記第8の過程により出力された直流電圧に基づき携帯型無線通信端末装置が圏外であるか圏内であるかを判定する第9の過程と、前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第10の過程と、前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第11の過程と、を備え、前記第10の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記第3の過程を行わずに前記第5の過程を行い、前記第11の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記第3の過程を行ってから前記第5の過程を行うことを特徴としている。
【0018】
本発明の携帯型無線通信端末装置の動作方法においては、前記第10の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記フィルタと前記アンプとの接続点と、前記アンプと前記ミキサとの接続点と、をバイパスするスイッチをオンにすることにより、前記第3の過程を行わずに前記第5の過程を行い、前記第11の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記スイッチをオフにすることにより、前記第3の過程を行ってから前記第5の過程を行うことが好ましい。
【0019】
また、本発明の携帯型無線通信端末装置の動作方法は、電波をアンテナにより受信する第1の過程と、前記第1の過程により受信された搬送波の不要波部分をフィルタにより遮断する第2の過程と、前記第2の過程により不要波部分が遮断された後の搬送波をアンプにより増幅する第3の過程と、所定の発振波を出力する第4の過程と、前記所定の発振波と、前記第3の過程により増幅された搬送波と、をミキサにより乗算することにより中間周波数の信号を生成する第5の過程と、前記第5の過程により生成された中間周波数の信号を増幅する第6の過程と、前記第6の過程により増幅された中間周波数の信号を復調する第7の過程と、前記第5の過程により生成された中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力する第8の過程と、前記第8の過程により出力された直流電圧に基づき携帯型無線通信端末装置が圏外であるか圏内であるかを判定する第9の過程と、前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第10の過程と、前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第11の過程と、を備え、前記第10の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記フィルタと前記アンプとの間の抵抗値を比較的小さい第1の抵抗値にし、前記第11の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記フィルタと前記アンプとの間の抵抗値を比較的大きい第2の抵抗値にすることを特徴とすることを特徴としている。
【0020】
本発明の携帯型無線通信端末装置の動作方法においては、前記第1の抵抗値は略0Ωであることが好ましい。
【0021】
本発明の携帯型無線通信端末装置の動作方法においては、前記第2の抵抗値は前記アンプのゲインと略同一のロスを生じる抵抗値であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アンテナから入力される電界レベル(受信電界レベル)が低レベルのときには、受信電界レベルと電界受信強度(RSSI電圧)との直線性を確保することにより、受信電界レベルを正確に測定できる結果、通信エリアの圏外、圏内を正確に判定することができ、圏外時には復調器の動作を停止して無駄な復調動作を行わないようにするので消費電流を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置の構成を示すブロック図、図2は受信電界強度特性の一例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る携帯型無線通信端末装置100は、電波を送受信するアンテナ1と、このアンテナ1により受信された電波(搬送波)から不要波を遮断するフィルタ2と、このフィルタ2により不要波が遮断された後の搬送波を増幅するアンプ3と、このアンプ3の入力端子と出力端子とをバイパスするためのスイッチ4と、所定の発振波を出力するPLL部6と、このPLL部6より出力された発振波とフィルタ2よりアンプ3を介して出力された搬送波、又はフィルタ2よりスイッチ4を介して出力された搬送波とを乗算して所望の中間周波数の信号を生成するミキサ5と、このミキサ5から出力される中間周波数の信号を増幅し、該増幅後の信号を復調器(図示略)に出力するIFアンプ7と、ベースバンド部8と、を備えて構成されている。
【0026】
このうちIFアンプ7は、入力されるIF波(中間周波数の信号)の大きさに応じた直流電圧を受信電界強度(RSSI)としてベースバンド部8に対して出力する。
【0027】
ベースバンド部8は、IFアンプ7から入力される直流電圧のレベルを判定し、その判定結果に応じてスイッチ4のオン/オフ制御を行う。
【0028】
ここで、アンテナ1から入力される搬送波の電界レベルと、IFアンプ7から入力されるRSSI電圧との関係を予め求めておき、その関係に従って、ベースバンド部8では、搬送波の電界レベルを判定する。
【0029】
ベースバンド8は、IFアンプ7から入力されるRSSI電圧が所定値未満である場合には通信エリアの圏外と判定し、復調器へ復調動作を止める信号を出力し、復調器の消費電流を削減する。
【0030】
次に、図2を参照して、ベースバンド部8による判定及びスイッチ4の制御について説明する。
【0031】
ベースバンド部8は、閾値A、B、Cの3つの閾値を用いて、アンテナ1からの電界レベル(IFアンプ7から入力される直流電圧)を判定し、その判定結果に応じてスイッチ4を制御する。
【0032】
アンテナ1からの電界レベルが低電界(図2に示す閾値A未満)の場合は、スイッチ4をオンにする。
【0033】
また、アンテナ1からの電界レベルが中電界(図2に示す閾値A以上閾値B未満)の場合は、スイッチ4をオフにし、受信感度を最大とする。なお、閾値B>閾値Aである。
【0034】
また、アンテナ1からの電界レベルが高電界(図2に示す閾値B以上)の場合は、スイッチ4をオンにする。
【0035】
当初、ベースバンド部8はスイッチ4をオフにしている。その後、電界レベルが閾値A以上閾値B未満である限りは、ベースバンド部8は、スイッチ4をオフにし続ける。
【0036】
また、電界レベルが閾値B以上に変化した場合には、ベースバンド部8はスイッチ4をオンにしてアンプ3をバイパスする。これは、高電界の入力によりアンプ3での歪みによる受信感度の劣化が生じてしまうことを回避するためである。
【0037】
また、電界レベルが閾値A未満の場合には、ベースバンド部8は、RSSI測定を実施するために一度スイッチ4をオンにしてアンプ3をバイパスし、電界レベルを測定(判定)する。
【0038】
この測定により得られる電界レベルが閾値C未満であるときは、ベースバンド部8は通信エリアの圏外と判定し、前記のとおり復調器の動作を停止し、消費電流を削減する。これと同時にベースバンド部8はスイッチ4をオフにし、安定した通信が可能な閾値A以上に電界レベルが変化するまで待機する。なお、閾値C<閾値Aである。
【0039】
また、電界レベルが閾値C以上であるときは、ベースバンド部8は通信エリアの圏内と判定し、受信感度が悪くならないよう即座にスイッチ4をオフにする。
【0040】
以上のような第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0041】
第一の効果は、消費電流を削減できることである。
【0042】
その理由は、低電界時にはスイッチ4をオンしてアンプ3をバイパスすることにより受信電界レベルとRSSI電圧との直線性を確保して電界レベルを正確に測定でき、通信エリアの圏外、圏内を正確に判定することができ、圏外時には復調器の動作を停止して無駄な復調動作を行わないようにするので消費電流を削減できるためである。
【0043】
第二の効果は、安定した通信を確保できることである。
【0044】
その理由は、低電界にて通信時に正確に電界レベルが把握できるため、電波状況が悪いときは速やかに通信品質の良いチャネルへチャネル切替できるためである。
【0045】
〔第2の実施形態〕
図3は第2の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置200の構成を示すブロック図である。
【0046】
図3に示すように、第2の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置200は、スイッチ4(図1)を備えておらず、その代わりに可変抵抗41を備えている。
【0047】
可変抵抗41は0オームとなるモード(以下0オームモード)とアンプ3のゲインと同一のロスが出る抵抗値のモード(以下ロスモード)に切り替えることが可能に構成されている。
【0048】
この可変抵抗41の抵抗値(モード)は、ベースバンド部8の制御下で切り替えられる。
【0049】
以下、図4を参照して、本実施形態の場合のベースバンド部8による判定及び可変抵抗41の制御について説明する。
【0050】
ベースバンド部8は、閾値A、B、Cの3つの閾値を用いて、アンテナ1からの電界レベル(IFアンプ7から入力される直流電圧)を判定し、その判定結果に応じて可変抵抗4を制御する。
【0051】
アンテナ1からの電界レベルが低電界(図4に示す閾値A未満)の場合は、可変抵抗41をロスモードにする。
【0052】
また、アンテナ1からの電界レベルが中電界(図4に示す閾値A以上閾値B未満)の場合は、可変抵抗41を0オームモードにする。なお、閾値B>閾値Aである。
【0053】
また、アンテナ1からの電界レベルが高電界(図4に示す閾値B以上)の場合は、可変抵抗41をロスモードにする。
【0054】
当初、ベースバンド部8は可変抵抗41を0オームモードにしている。その後、電界レベルが閾値A以上閾値B未満である限りは、ベースバンド部8は、可変抵抗41を0オームモードにし続ける。
【0055】
また、電界レベルが閾値B以上に変化した場合には、ベースバンド部8は可変抵抗41をロスモードにする。これは、高電界の入力によりアンプ3での歪みによる受信感度の劣化が生じてしまうことを回避するためである。
【0056】
また、電界レベルが閾値A未満の場合には、ベースバンド部8は、RSSI測定を実施するために一度可変抵抗41をロスモードにして電界レベルを測定(判定)する。
【0057】
この測定により得られる電界レベルが閾値C未満であるときは、ベースバンド部8は通信エリアの圏外と判定し、前記のとおり復調器の動作を停止し、消費電流を削減する。これと同時にベースバンド部8は可変抵抗41を0オームモードにし、安定した通信が可能な閾値A以上に電界レベルが変化するまで待機する。なお、閾値C<閾値Aである。
【0058】
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
なお、上記の各実施形態に係る携帯型無線通信端末装置としては、例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy Phone System)など挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置における受信電界強度と受信電界レベルとの関係、並びに、スイッチの状態を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置の構造を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態に係る携帯型無線通信端末装置における受信電界強度と受信電界レベルとの関係、並びに、可変抵抗の状態を示す図である。
【図5】従来の携帯型無線通信端末装置の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の携帯型無線通信端末装置における受信電界強度と受信電界レベルとの関係、並びに、スイッチの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
100 携帯型無線通信端末装置
1 アンテナ
2 フィルタ
3 アンプ
4 スイッチ
5 ミキサ
6 PLL部
7 IFアンプ
8 ベースバンド部
200 携帯型無線通信端末装置
41 可変抵抗


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信するアンテナと、
前記アンテナにより受信された搬送波の不要波部分を遮断するフィルタと、
前記フィルタから出力された搬送波を増幅するアンプと、
前記アンプの入力と出力とをバイパスする経路をオン/オフするスイッチと、
所定の発振波を出力するPLL部と、
前記PLL部から発振された発振波と、前記アンプから出力された搬送波又は前記フィルタから前記スイッチを介して出力された搬送波と、を乗算することにより中間周波数の信号を生成し出力するミキサと、
前記ミキサから入力された中間周波数の信号を増幅して出力する一方で、入力される中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力するIFアンプと、
前記IFアンプから出力された中間周波数の信号を復調する復調器と、
前記IFアンプから出力された直流電圧に基づき圏外であるか圏内であるかを判定し、圏外であると判定した場合には前記復調器による復調動作を停止させるベースバンド部と、
を備え、
前記ベースバンド部は、圏内時において、
前記直流電圧のレベルが前記アンテナから入力される電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記スイッチをオフにさせ、
前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記スイッチをオンにさせることを特徴とする携帯型無線通信端末装置。
【請求項2】
前記ベースバンド部は、圏内時において、前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが高レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記スイッチをオンにさせることを特徴とする請求項1に記載の携帯型無線通信端末装置。
【請求項3】
電波を受信するアンテナと、
前記アンテナにより受信された搬送波の不要波部分を遮断するフィルタと、
前記フィルタから出力された搬送波を増幅するアンプと、
前記フィルタと前記アンプとの間に直列に接続された可変抵抗と、
所定の発振波を出力するPLL部と、
前記PLL部から発振された発振波と、前記アンプから出力された搬送波と、を乗算することにより中間周波数の信号を生成し出力するミキサと、
前記ミキサから出力された中間周波数の信号を増幅して出力する一方で、入力される中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力するIFアンプと、
前記IFアンプから出力された中間周波数の信号を復調する復調器と、
前記IFアンプから出力された直流電圧に基づき圏外であるか圏内であるかを判定し、圏外であると判定した場合には前記復調器による復調動作を停止させるベースバンド部と、
を備え、
前記ベースバンド部は、圏内時において、
前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記可変抵抗の抵抗値を比較的小さい第1の抵抗値にし、
前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記可変抵抗の抵抗値を比較的大きい第2の抵抗値にすることを特徴とする携帯型無線通信端末装置。
【請求項4】
前記ベースバンド部は、圏内時において、前記直流電圧のレベルが前記電界レベルが高レベルであるときと対応するレベルであると判定した場合には、前記可変抵抗の値を前記第2の抵抗値にすることを特徴とする請求項3に記載の携帯型無線通信端末装置。
【請求項5】
前記第1の抵抗値は略0Ωであることを特徴とする請求項3又は4に記載の携帯型無線通信端末装置。
【請求項6】
前記第2の抵抗値は前記アンプのゲインと略同一のロスを生じる抵抗値であることを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載の携帯型無線通信端末装置。
【請求項7】
電波をアンテナにより受信する第1の過程と、
前記第1の過程により受信された搬送波の不要波部分をフィルタにより遮断する第2の過程と、
前記第2の過程により不要波部分が遮断された後の搬送波をアンプにより増幅する第3の過程と、
所定の発振波を出力する第4の過程と、
前記所定の発振波と、前記第3の過程により増幅された搬送波又は前記第2の過程により不要波部分が遮断された後の搬送波と、をミキサにより乗算することにより中間周波数の信号を生成する第5の過程と、
前記第5の過程により生成された中間周波数の信号を増幅する第6の過程と、
前記第6の過程により増幅された中間周波数の信号を復調する第7の過程と、
前記第5の過程により生成された中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力する第8の過程と、
前記第8の過程により出力された直流電圧に基づき携帯型無線通信端末装置が圏外であるか圏内であるかを判定する第9の過程と、
前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第10の過程と、
前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第11の過程と、
を備え、
前記第10の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記第3の過程を行わずに前記第5の過程を行い、
前記第11の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記第3の過程を行ってから前記第5の過程を行うことを特徴とする携帯型無線通信端末装置の動作方法。
【請求項8】
前記第10の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記フィルタと前記アンプとの接続点と、前記アンプと前記ミキサとの接続点と、をバイパスするスイッチをオンにすることにより、前記第3の過程を行わずに前記第5の過程を行い、
前記第11の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記スイッチをオフにすることにより、前記第3の過程を行ってから前記第5の過程を行うことを特徴とする請求項7に記載の携帯型無線通信端末装置の動作方法。
【請求項9】
電波をアンテナにより受信する第1の過程と、
前記第1の過程により受信された搬送波の不要波部分をフィルタにより遮断する第2の過程と、
前記第2の過程により不要波部分が遮断された後の搬送波をアンプにより増幅する第3の過程と、
所定の発振波を出力する第4の過程と、
前記所定の発振波と、前記第3の過程により増幅された搬送波と、をミキサにより乗算することにより中間周波数の信号を生成する第5の過程と、
前記第5の過程により生成された中間周波数の信号を増幅する第6の過程と、
前記第6の過程により増幅された中間周波数の信号を復調する第7の過程と、
前記第5の過程により生成された中間周波数の信号に応じた大きさの直流電圧を電界受信強度として出力する第8の過程と、
前記第8の過程により出力された直流電圧に基づき携帯型無線通信端末装置が圏外であるか圏内であるかを判定する第9の過程と、
前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第10の過程と、
前記第9の過程により圏内であると判定された場合に、前記直流電圧のレベルが前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであるか否かを判定する第11の過程と、
を備え、
前記第10の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが通常レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記フィルタと前記アンプとの間の抵抗値を比較的小さい第1の抵抗値にし、
前記第11の過程により、前記第1の過程により受信される電波の電界レベルが低レベルであるときと対応するレベルであると判定された場合には、前記フィルタと前記アンプとの間の抵抗値を比較的大きい第2の抵抗値にすることを特徴とすることを特徴とする携帯型無線通信端末装置の動作方法。
【請求項10】
前記第1の抵抗値は略0Ωであることを特徴とする請求項9に記載の携帯型無線通信端末装置の動作方法。
【請求項11】
前記第2の抵抗値は前記アンプのゲインと略同一のロスを生じる抵抗値であることを特徴とする請求項8又は9に記載の携帯型無線通信端末装置の動作方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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