説明

携帯型装置

【課題】筐体を把持しているユーザに付与される力覚の作用方向を安定させる。
【解決手段】筐体2を把持しているユーザに対し、所定方向のうち一側及び他側への並進力の力覚を選択的に付与する力覚発生手段4A,4Bを備えた携帯型装置1であって、筐体2の内部空間3に、2つの力覚発生手段4A,4Bが、ユーザに付与しうる並進力の向きが平行となるようにして距離を隔てて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯インクジェットプリンタ、携帯電話、固定電話の子機、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、据置型ゲーム機やテレビの操作器等のように、ユーザが携帯可能な携帯型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような携帯型装置は液晶パネル等の表示装置やスピーカを備えており、これらデバイスにより視覚や聴覚に訴えてユーザに情報を提示することができる。例えばユーザには、電池残量等の装置のステータスを示す情報や、装置の操作手順又は操作手法を教示するための情報などが提示される。また、近年、筐体に並進力が発生しているとの擬似力覚をユーザに付与するよう動作する装置を利用し、力覚に訴えてユーザに情報を提示することも提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2008−28774号公報
【特許文献2】特開2006−65665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、一般に、従来の携帯型装置の筐体内には、装置を動作させるために必要となる機械部品や電子部品が既に密集して配置されており、新たに力覚発生装置を配置することが難しい。このような状況の下では、筐体の容積を拡張して、この拡張により生まれた隅部のスペースに追いやるよう力覚発生装置を配置することが考えられる。
【0004】
この場合、力覚発生装置が配置されている側の隅部をユーザが把持しているときには、力覚発生装置の動作により筐体に発生する並進力の作用方向とユーザが知覚する力覚の方向とがほぼ一致し、所望する方向への並進力の力覚がユーザに付与される。ただし、ユーザがその反対側の隅部を把持しているときには、ユーザには、自身の手を支点にして筐体が傾動するかのような力覚が付与されるおそれがある。すると、所望する方向への力覚がユーザに付与されなくなり、力覚に訴えて提示しようとする情報がユーザに的確に伝達されないおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、携帯型装置の筐体を把持しているユーザに付与される力覚の作用方向を安定させ、これにより力覚に訴えて提示する情報をユーザに的確に伝達することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る携帯型装置は、筐体を把持しているユーザに対し、所定方向一側又は他側への並進力の力覚を選択的に付与する力覚発生手段を備えた携帯型装置であって、前記筐体の内部空間に、2つの前記力覚発生手段が、ユーザに付与しうる並進力の向きが平行となるようにして距離を隔てて配置されていることを特徴としている。
【0007】
このような構成とすることにより、互いに離れた箇所で並進力を発生する2つの力覚発生手段を利用して、ユーザが筐体を把持している箇所に関わらず、ユーザに偏りのない安定した並進力の力覚を付与することができる。
【0008】
前記力覚発生手段は前記所定方向に往復移動可能な錘を備え、前記錘に発生する正の加速度の絶対値と負の加速度の絶対値とを異ならせて前記錘を往復運動させることにより前記ユーザに対して前記所定方向一側及び他側への並進力の擬似力覚を選択的に付与する構成であってもよい。
【0009】
前記筐体は、前記内部空間を区画する互いに平行な一対の内面を有し、前記2つの力覚発生手段が、前記一対の内面近傍に分かれて取り付けられていてもよい。このような構成とすることにより、2つの力覚発生手段が筐体内の両側に分かれて配置されることとなるので、筐体を把持するユーザに対し、より安定した並進力の力覚を付与することができる。
【0010】
前記2つの力覚発生手段が互いに独立して動作可能に構成され、前記2つの力覚発生手段がユーザに付与する並進力の向きが同じ側となるよう動作することによってユーザに対して並進力の力覚が付与され、前記2つの力覚発生手段がユーザに付与する並進力の向きが互いに反対側となるよう動作することによってユーザに対して回転力の力覚が付与されてもよい。このような構成とすることにより、2つの力覚発生手段の各々が付与する並進力の向きを変えるだけでユーザに対し、向きの異なる2つの並進力のいずれかと、回転方向の異なる2つの回転力のいずれかを選択的に付与することができる。このように、2つの力覚発生手段のみで多様な力を付与することができる。
【0011】
前記筐体の実姿勢を検出する姿勢センサと、前記2つの力覚発生手段の動作を制御する制御手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記姿勢センサにより検知される前記筐体の実姿勢が予め定められた前記筐体の目標姿勢となるために必要な回転方向を求め、該回転方向への回転力の力覚がユーザに対して付与されるよう前記2つの力覚発生手段を駆動する、姿勢矯正制御を実行する構成であってもよい。このような構成とすることにより、ユーザに対し、2つの力覚発生手段を利用して筐体の姿勢を予め定めた目標姿勢とするためにどのように筐体を回転させればよいかを直感的に教示することができる。
【0012】
前記筐体に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが設けられ、該液滴吐出ヘッドより吐出される液滴を外部の被記録媒体に着弾させ該被記録媒体に画像を形成可能に構成されており、前記制御手段は、被記録媒体に画像を形成するときに、前記姿勢矯正制御を実行する構成であってもよい。このような構成とすることにより、ユーザは2つの力覚発生手段より付与される回転力に応じて直感的に筐体の姿勢をなおし、目標姿勢となった筐体内から吐出される液滴を被記録媒体に着弾させることによって被記録媒体に画像を適正に形成することができる。
【0013】
写真を撮影可能に構成されており、前記制御手段は、写真を撮影するときに、前記姿勢矯正制御を実行する構成であってもよい。このような構成とすることにより、ユーザは2つの力覚発生手段より付与される回転力に応じて直感的に筐体の姿勢をなおし、被写体が傾くことなく写真を撮影することができる。
【0014】
道路情報及び前記筐体の現在地情報を検知する位置検知手段と、前記2つの力覚発生装置の動作を制御する制御手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記位置検知手段により検知される道路情報及び現在地情報と予め定められた目的地情報とに基づいて、前記筐体を道路に沿って目的地に到達させるために必要な進行方向への並進力の力覚がユーザに対して付与されるよう前記力覚発生手段を駆動するとともに、進行方向を転換する必要があるときには該転換する方向への回転力の力覚がユーザに対して付与されるよう前記2つの力覚発生手段を駆動する、誘導制御を実行する構成であってもよい。このような構成とすることにより、ユーザは2つの力覚発生手段より付与される回転力及び並進力に従って、目的地へと迷うことなく到着することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る携帯型装置によれば、携帯型装置の筐体を把持しているユーザに付与される力覚の作用方向を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る携帯型装置1の内部構造の要部を説明する模式的断面図、図2は図1のII−II線に沿って切断して示す携帯型装置1の模式的断面図である。図1及び図2に示す携帯型装置1は、例えば携帯インクジェットプリンタ、携帯電話、固定電話の子機、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、据置型ゲーム機やテレビの操作器等、ユーザが携帯可能な電子機器である。この携帯型装置1は、図示しないユーザが把持して持ち運び容易なサイズに形成された筐体2を備えており、筐体2の内部空間3には、筐体2を把持しているユーザに力覚を付与するよう動作する力覚発生装置4A,4B(力覚発生手段)が設けられている。
【0017】
まず、力覚発生装置4A,4Bの構成について説明する。図1及び図2に示すように、力覚発生装置4A,4Bは、筐体2の内部空間3に配設された並進運動機構5A,5Bと、並進運動機構5A,5Bを駆動するアクチュエータ6A,6Bと、アクチュエータ6A,6Bの動作を制御する力覚コントローラ7とを備えている。力覚コントローラ7に関しては機能的にブロックで示すこととする。
【0018】
本実施形態では、筐体2の内部空間3に2つの力覚発生装置4A,4Bが設けられている。並進運動機構5A,5B及びアクチュエータ6A,6Bは、各力覚発生装置4A,4Bに個別対応して設けられており、これら2組の並進運動機構5A,5B及びアクチュエータ6A,6Bは互いに距離を隔てて平行に配置されている。他方、力覚コントローラ7は単一であり、2つの力覚発生装置4A,4Bに共通のものとして設けられている。
【0019】
並進運動機構5A,5Bには、筐体2の内部空間3を区画する内側面2a,2bに取り付けられたガイドレール8A,8Bが設けられている。この一対の内側面2a,2bは互いに平行になっており、一対のガイドレール8A,8Bは互いの延在方向を平行にして配置されている。各ガイドレール8A,8Bには錘9A,9Bが回転不能且つスライド可能に支持されており、錘9A,9Bは筐体2内をガイドレール8A,8Bの延在方向に沿って往復移動可能になっている。錘9A,9Bには雌ネジ孔10A,10Bが貫通形成されており、錘9A,9Bがガイドレール9A,9Bに支持された状態において雌ネジ孔10A,10Bの軸はガイドレール8A,8Bの延在方向に向けられる。この雌ネジ孔10A,10Bには外面に雄ネジが切られたボールネジ11A,11Bが螺入されており、ボールネジ11A,11Bは筐体2内に取り付けられた軸受12A,12Bによって回転可能に支持され、回転軸方向には直動不能となっている。
【0020】
アクチュエータ6A,6Bは例えばサーボモータやリニアモータなどの電動モータによって構成されている。アクチュエータ6A,6Bには正逆回転可能な出力軸13A,13Bが設けられており、出力軸13A,13Bは継手14A,14Bを介してボールネジ11A,11Bの端部に連結されている。このアクチュエータ6A,6Bが駆動されると、出力軸13A,13Bが回転して出力軸13A,13Bからの回転駆動力がボールネジ11A,11Bに入力され、ボールネジ11A,11Bが所定方向に回転駆動される。直動不能であるボールネジ11A,11Bが回転すると、このボールネジ11A,11Bの回転方向と弦巻方向に従って回転不能である錘9A,9Bがガイドレール8A,8Bの延在方向のうち何れかの側に向けて直動する。
【0021】
力覚コントローラ7はドライバ15A,15Bを介してアクチュエータ6A,6Bに接続されており、ドライバ15A,15Bに制御指令を出力してアクチュエータ6A,6Bの出力軸13A,13Bの回転方向、回転速度及び回転加速度を制御する。これにより、並進運動機構5A,5Bのボールネジ11A,11Bの回転方向、回転速度及び回転加速度が制御され、さらには錘9A,9Bの位置、移動方向、速度、加速度が制御されることとなる。
【0022】
次に、力覚発生装置4の基本動作について説明する。この説明の便宜上、錘9が往復移動する方向を図面に従って「上下方向」とし、錘9が上側へ移動するときの速度を正、その逆側を負としており、錘9に発生する加速度やこの加速度に基づいて作用する力に関しても、上下と正負の関係をこれに準ずるものとしている。
【0023】
図3は図1に示す力覚発生装置4の基本動作を説明するタイミングチャートである。初期状態では、錘9が可動範囲の下端に位置して錘9の速度Vが0であると仮定する。図3に示すように、この初期状態から錘9が上向きに直動するときには、正の加速度a1が錘9に発生して錘9の速度Vが正側に加速する。この錘9の移動開始から所定時間t1が経過すると錘9が所定位置x1(図3の例示では可動範囲の中央位置)に達し、その後負の加速度a2が錘9に発生して錘9の速度Vが減速していく。加速度aが負に転じてから所定時間t2が経過すると、錘9の速度Vが0となって錘9は可動範囲の上端に位置する。引き続き錘9には負の加速度a2が発生し、錘9はその速度Vを負側に加速させながら下向きに移動する。錘9の移動方向が下向きに転じてから所定時間t3が経過すると錘9が上記の所定位置x1に達し、その後正の加速度a1が錘9に発生して錘9の速度Vが減速していく。加速度aが正に転じてから所定時間t4が経過すると、錘9の速度Vが0となって錘9は可動範囲の下端に戻る。力覚発生装置4はこの一連の錘9の往復移動が継続して行われるよう構成されている。
【0024】
図4は図1に示す力覚発生装置4の基本動作の説明図であり、(a)が錘9に正の加速度a1が発生している状態(図3に示す時間t1,t4参照)、(b)が錘9に負の加速度a2が発生している状態(図3に示す時間t2,t3参照)を夫々示している。図4(a)に示すように、錘9に正の加速度a1が発生している状態では、筐体2にはその反作用で負(下向き)の力F1が発生し、筐体2を把持しているユーザの掌にはこの力F1に応じた下向きの並進力が筐体2より作用する。図4(b)に示すように、錘9に負の加速度a2が発生している状態では筐体2には正(上向き)の力F2が発生し、筐体2を把持しているユーザの掌にはこの力F2に応じた上向きの並進力が筐体2より作用する。図4(a)及び(b)に示す各力F1,F2は、錘9の質量をMとすると、次の運動方程式:F1=M・(−a1),F2=M・(−a2) より夫々求めることができる。
【0025】
図3に戻ると、正の加速度a1の絶対値は負の加速度a2の絶対値よりも大きくなっており、負の力F1の絶対値が正の力F2の絶対値よりも大きくなる(|a1|>|a2|,|F1|>|F2|)。この錘9の動作が実現されるように、力覚コントローラ7は出力軸13の回転速度及び回転加速度を制御する構成となっている。これにより、ユーザには、大きさが異なる非対称の2つの力が交互に作用し続けることとなる。
【0026】
ここで、人間は緩やかな力に対して鈍感となる知覚特性を有している。このように人間の知覚特性が非線形性を有している点は公知の事象であることから(例えば特許文献1,2参照)、本書においてはこの点についての詳細な説明を省略する。
【0027】
結果、このような状況下にあるユーザは、自身の知覚特性に由来し、図3の最下段のチャートに示すように強い力である下向きの並進力のみが作用していると錯覚する。言い換えると、力覚発生装置4は、錘9を連続的に往復移動させるに際して錘9に発生する正の加速度の絶対値と負の加速度の絶対値とを異ならせるようアクチュエータ6を駆動することにより、筐体2を把持しているユーザに対し、錘9が移動する方向のうち何れか一側への並進力が筐体2より作用しているとの擬似力覚を付与することができる。
【0028】
なお、図3に示す錘9の動作パターンは一例に過ぎず、ユーザにこの擬似力覚を付与し得る範囲内で適宜変更可能である。例えば負の加速度の絶対値を正の加速度の絶対値よりも大きくすると、ユーザが擬似的に知覚する並進力の向きは逆側となる。また、説明を単純化するために速度Vが線形に変化するパターンを例示したが、速度Vが非線形に変化して正の加速度の絶対値及び/又は負の加速度の絶対値が時間の経過とともに変化するようにしてもよい。このときには、錘9に発生する正の加速度の絶対値の最大値と負の加速度の絶対値の最大値とを異ならせるようにして錘9を往復移動させればよい。加速度aの正負が転換する錘9の位置x1も可動範囲の中央位置に限らず適宜変更可能であり、錘9が往復動作するのに必要な時間(t1+t2+t3+t4)も適宜値に設定可能である。
【0029】
また、図1及び図2に示す力覚発生装置4の構成も適宜変更可能である。ボールネジ11が出力軸13と同期回転する構成を例示したが、出力軸13とボールネジ11との間に回転速度を変更したり回転方向を変換したり回転軸方向を変換する動力伝達機構が介在していてもよい。また、並進運動機構5はネジ機構を利用することでアクチュエータ6が発生する回転駆動力を錘9の並進運動に変換する構成となっているが、正負の加速度を異ならせて錘9を往復移動させることができるのであればどのような機構を利用してもよい。
【0030】
前述したように、本実施形態では一つの携帯型装置1に2つの力覚発生装置4A,4Bが設けられている。2つの力覚発生装置4A,4Bはそれぞれ、互いに平行な方向に往復移動可能な錘9A,9Bを備え、これら2つの錘9A,9Bの動作は互いに独立して制御される構成となっている。従って、2つの錘9A,9Bを同時に動作させるに際しては、大まかに言って、これら錘9A,9Bは図5及び図6に示す4つの動作パターンのうち何れかのパターンで動作することとなる。
【0031】
図5(a)は、左右の錘9A,9Bの両方に関し、自身に発生する正の加速度の絶対値が負の加速度の絶対値よりも大きい場合の動作パターンを示している。この場合、ユーザには、筐体2の左右両側から正の加速度に基づく下向きの並進力FL,FRが作用しているとの擬似力覚が付与され、結果としてユーザには筐体2から自身が下向きに引っ張られているような擬似力覚が付与されることとなる。図5(b)は、図5(a)と逆の場合の動作パターンを示している。この場合、ユーザには筐体2から自身が上向きに引っ張られているような擬似力覚が付与されることとなる。
【0032】
図6(a)は、左側の錘9Aに関しては、正の加速度の絶対値が負の加速度の絶対値よりも大きく、右側の錘9Bに関しては、負の加速度の絶対値が正の加速度の絶対値よりも大きい場合の動作パターンを示している。この場合、ユーザには、筐体2の左側から正の加速度に基づく下向きの並進力FLが作用し、筐体2の右側から負の加速度に基づく上向きの並進力FRが作用しているとの擬似力覚が付与される。結果としてユーザは、筐体2から反時計回り方向の回転力が作用しているかのような擬似力覚が付与されることとなる。図6(b)は、図6(a)と逆の場合の動作パターンを示している。この場合、ユーザには、筐体2から時計回り方向の回転力が作用しているかのような擬似力覚が付与されることとなる。
【0033】
このようにユーザには、錘9A,9Bの動作パターンに従って4種の擬似力覚のうちいずれかの力覚が付与されうる。錘9A,9Bに発生する加速度を正負で異ならせるにあたって、図5(a)及び図5(b)に示す動作パターンでは、大きい値に設定される加速度を同じ側にしている。この場合、ユーザには、錘が往復する方向のうちいずれか一側への並進力が作用しているとの疑似力覚が付与される。他方、図6(a)及び図6(b)に示す動作パターンでは、大きい値に設定される加速度を互いに逆側にしている。このとき、ユーザには、各錘9A,9Bの運動軌跡である2つの直線によって規定される平面内での回転力が作用しているかのような擬似力覚が付与される。
【0034】
このように筐体2内に設けた2つの力覚発生装置4A,4Bの錘9A,9Bの加速度を互いに独立して制御可能にしていることにより、低コストで多様な力覚をユーザに付与することができる。しかも、この2つの力覚発生手段4A,4Bは筐体2の内部空間3を区画する内側面2a,2bに取り付けられており、各錘9A,9Bがこの内側面2a,2bに近接した位置で往復移動する構成となっている。このため、一対の錘9A,9Bは互いに距離を隔てた位置で往復移動することとなり、これら錘9A,9Bの往復移動により筐体2の両側に並進力が発生する。従って、ユーザは筐体2を把持する箇所に関係なく、筐体2が発生する並進力に基づいて付与される疑似力覚の作用方向が安定するようになる。このため、この2つの力覚発生装置4A,4Bを利用して力覚に訴えてユーザに情報を提示するにあたって、その情報をユーザに的確に伝達することができるようになる。
【0035】
以下、2つの力覚発生装置4A,4Bの動作により力覚に訴えてユーザに情報を提示するための具体的構成について複数例を挙げて説明する。ただし、2つの力覚発生装置4A,4Bを利用して力覚に訴えて提示可能な情報は下記の例に限られるものではない。
【0036】
まず、第1の例として、本発明に係る携帯型装置として携帯インクジェットプリンタを適用し、2つの力覚発生装置を動作させることによってユーザに携帯インクジェットプリンタの姿勢を矯正させるための操作手法を力覚に訴えて提示する制御(以下、単に「姿勢矯正制御」とも呼ぶ)を実行する場合について説明する。
【0037】
図7は本発明に係る携帯型装置の実施形態として例示する携帯インクジェットプリンタ51の構成を機能的に示すブロック図である。図7に示すように、携帯インクジェットプリンタ51は略直方体状の筐体52を備えている。筐体52の内部空間53には、インク滴を吐出するよう構成されたインクジェットヘッド54と、インクジェットヘッド54に供給されるインクを貯留しているインクタンク55とが配設されている。インクタンク55は例えばカートリッジ式に構成されて着脱交換可能であり、チューブ等のインク供給路56を介してインクジェットヘッド54と接続されている。
【0038】
また、筐体52の内部空間53には、携帯インクジェットプリンタ51の動作を統括的に制御する主制御部61を備えている。主制御部61は、外部から着脱可能に装着される記録媒体62と接続可能になっており、記録媒体62に保存されている画像情報に基づいてインクジェットヘッド54を駆動制御する。また、主制御部61はバッテリ63から供給される電力に基づいて駆動されるようになっている。
【0039】
主制御部61は、図1及び図2に示したものと同様にして構成される力覚発生装置4A,4Bの力覚コントローラ7に接続されている。力覚コントローラ7は、主制御部61からの指令に基づく方向への並進力の力覚がユーザに付与されるよう、アクチュエータ6A,6Bを駆動制御して並進運動機構5A,5Bの錘9A,9Bを往復移動させる。
【0040】
また、主制御部61には筐体52の姿勢を検出する姿勢センサ64が設けられている。この姿勢センサ64は例えば反射型フォトインタラプタ等により構成されている。
【0041】
図8は図7に示す主制御部61が実行する姿勢矯正制御の説明図であるが、携帯インクジェットプリンタ51の外観を示しているので、これを参照して携帯インクジェットプリンタ51の外観の特徴を説明する。図7に示すように、姿勢センサ64は、筐体52の下面において、筐体52の両端にそれぞれ取り付けられており、自身が射出したレーザ光の反射光を受光することによって、レーザ光の反射面に対する筐体52の下面の傾斜角を検知可能に構成されている。
【0042】
また、インクジェットヘッド54は、インク滴を吐出するためのノズル(図示せず)が開口するノズル開口面54aを筐体52の下面から露出させるようにして筐体52に搭載されている。ユーザは携帯インクジェットプリンタ51の筐体52をその手Hに把持し、ノズル開口面54aを外部に設置した用紙等の被記録媒体Mに対向させ、筐体52を被記録媒体Mに対して走査し、インクジェットヘッド54より吐出されたインクを被記録媒体Mの適宜箇所に着弾させる。これにより被記録媒体Mに画像情報に基づいた画像を形成することができる。
【0043】
インクジェットヘッド54は、ノズル開口面54aよりその法線方向にインクを吐出するような構成となっているため、インクを被記録媒体Mに適正に着弾させて精度よく画像を形成するためには、ノズル開口面54aと被記録媒体Mとが平行に対向していることが好ましい。他方、主制御部61(図6参照)には図示しないメモリが内蔵されており、このメモリには、ノズル開口面54aと被記録媒体Mとが平行であるときの、筐体52の下面のレーザ光の反射面に対する傾斜角(姿勢)が、画像を形成するのに最適な目標姿勢として予め記憶されている。
【0044】
以下、図8に基づいて携帯インクジェットプリンタ51の主制御部61が実行する姿勢矯正制御について説明する。図8(a)に示すように、ユーザが被記録媒体Mに画像を形成するに際しては、ノズル開口面54aを被記録媒体Mと対向させるようにして筐体52をその手Hに把持することとなる。主制御部51はこのように画像を形成するモードになると、姿勢センサ64から入力される傾斜角情報に基づいて現在の筐体52の姿勢(以下、単に「筐体52の実姿勢」とも呼ぶ)と、図示しないメモリに記憶している目標姿勢とを比較し、筐体52の実姿勢を目標姿勢にするために必要な回転方向を求める。但し、図7(a)を参照すると、筐体52を反時計回り方向にθ[deg]回転させても、筐体52を時計回り方向に(360−θ)[deg]回転させても、筐体52の実姿勢が目標姿勢となる。このため、主制御部61は、実姿勢を目標姿勢にするために必要な回転方向を求めるにあたり、実姿勢を目標姿勢にするために必要な回転角度が180[deg]未満となる方向を選択するよう構成となっている。つまり、図8(a)に例示する状況においては、この回転方向として反時計回り方向が選択される。
【0045】
そして、主制御部61は、ユーザにこの方向の回転力が作用しているとの擬似力覚を付与するよう、2つの力覚発生装置4A,4Bを駆動する。図7(a)に例示する状況においては、図6(b)に示した動作パターンとなるよう2つの力覚発生装置4A,4Bを駆動することとなり、左側の力覚発生装置4Aは下向きの並進力FLが作用しているとの擬似力覚を付与するよう駆動され、右側の力覚発生装置4Bは上向きの並進力FRが作用しているとの疑似力覚を付与するよう駆動される。
【0046】
これにより、ユーザは筐体52に反時計回り方向の回転力が発生していると擬似的に感じることとなる。ユーザがこの力覚に従って筐体52を回転させると、図8(b)に示すように、ノズル開口面54aが被記録媒体Mと平行になり、被記録媒体Mに画像を精度よく形成することができるようになる。
【0047】
このように本例によれば、ユーザが自分で筐体52を走査しながら被記録媒体Mに画像を形成するよう構成された携帯インクジェットプリンタ51において、2つの力覚発生装置4A,4Bを動作させることにより画像を形成するのに最適な姿勢となるためにはどのように筐体52を回転させればよいのか、その操作手法が力覚に訴えてユーザに提示される。ユーザは自身に付与された力覚に従って筐体52を回転させるだけで姿勢を矯正することができ、ユーザは直感的に携帯インクジェットプリンタ51を操作することができる。なお、単に平行移動するだけでは姿勢を矯正することはできないことから、この姿勢矯正制御はユーザに回転力を擬似的に付与可能とするよう2つの力覚発生装置を備える構成の携帯型装置により、好適に実現される。
【0048】
次に、第2の例として、本発明に係る携帯型装置として写真を撮影可能に構成されているデジタルスチルカメラを適用し、2つの力覚発生装置を動作させることによってデジタルスチルカメラの姿勢矯正制御を実行する場合について説明する。
【0049】
図9は本発明に係る携帯型装置の実施形態として例示するデジタルスチルカメラの構成を機能的に示すブロック図である。図9に示すように、デジタルスチルカメラ71は略直方体状の筐体72を有している。筐体72の上面にはシャッターボタン74が設けられ、筐体2の背面には、複数の操作ボタン75や表示装置76が設けられている。
【0050】
図9に示すように、デジタルスチルカメラ71は被写体からの反射光を結像するための結像光学系77を備え、この被写体の像がCCD等の光電変換素子からなる撮像素子78に結像されるようになっている。筐体72の正面側にはこの結像光学系76をなす光学部品の一部を内蔵した鏡筒(図示せず)などが設けられ、撮像素子78は筐体72の内部空間73に配置されている。
【0051】
また、筐体72の内部空間73にはデジタルスチルカメラ71の動作を統括的に制御する主制御部81が設けられている。主制御部81は、ユーザの操作ボタン75の押下に従い、露出時間や倍率等の結像光学系77のパラメータの設定変更を行うよう結像光学系77に指令を与えることができる。筐体72の下面には図示しないスロットが設けられており、このスロット内には画像情報を保存するための記録媒体82や、主制御部81等の電源となるバッテリ83が装着される。
【0052】
主制御部81は、撮像素子78から入力した画像信号を処理し、処理した画像情報を表示装置76に出力してリアルタイム表示させ、表示装置76をファインダとして機能させることができる。ユーザがこの表示装置76に被写体をフレーミングしてシャッターボタン74を押下すると、主制御部81はこの操作に基づき撮像素子78から入力した画像信号を処理し、処理した画像情報を記録媒体82に保存させる。この一連の動作により、デジタルスチルカメラ71を用いた写真撮影が行われることとなる。
【0053】
主制御部81は、図1及び図2に示したものと同様にして構成される力覚発生装置4A,4Bの力覚コントローラ7に接続されている。力覚コントローラ7は、主制御部81からの指令に基づく方向への並進力の力覚がユーザに付与されるよう、アクチュエータ6A,6Bを駆動制御して並進運動機構5A,5Bの錘9A,9Bを往復移動させる。
【0054】
また、主制御部81には筐体72の姿勢を検出する姿勢センサ84が設けられている。この姿勢センサ84は、例えば筐体72の水平方向に対する傾斜角を検出する傾斜角センサにより構成される。他方、主制御部81には図示しないメモリが内蔵され、このメモリには、筐体72が水平であるときの傾斜角(姿勢)が、写真を撮影するのに最適な目標姿勢として予め記憶されている。
【0055】
以下、図10に基づいてデジタルスチルカメラ71の主制御部81が実行する姿勢矯正制御について説明する。図10(a)に示すように、ユーザが写真を撮影するに際しては、筐体72をその手に把持してファインダとしての表示装置76に被写体89をフレーミングすることとなる。主制御部81はこのように写真を撮影するモードになると、姿勢センサ84から入力される傾斜角情報に基づいて筐体72の姿勢(実姿勢)と、メモリに記憶している目標姿勢とを比較し、筐体72の実姿勢を目標姿勢にするために必要な回転方向を求める。そして、主制御部81はユーザに、求めた回転方向の回転力が作用しているとの疑似力覚を付与するよう2つの力覚発生装置4A,4Bを駆動する。図10(a)に示す例では、反時計回り方向の回転力を擬似的に付与するために図6(b)に示す動作パターンで動作するよう力覚発生装置4A,4Bを駆動することとなり、左側の力覚発生装置4Aは下向きの並進力FLが作用しているとの疑似力覚を付与するよう駆動され、右側の力覚発生装置4Bは上向きの並進力FRが作用しているとの疑似力覚を付与するよう駆動される。
【0056】
これにより、ユーザは筐体72に反時計回り方向の回転力が発生していると擬似的に感じることとなる。ユーザがこの力覚に従って筐体52を回転させると、図10(b)に示すように、被写体89がファインダに水平にフレーミングされ、被写体89が傾くことなく写真を撮影することができるようになる。
【0057】
このように本例によれば、デジタルスチルカメラ71において、2つの力覚発生装置4A,4Bを動作させることにより被写体が傾くことなく写真を撮影するためにはどのように筐体72を回転させればよいのか、その操作手法が力覚に訴えてユーザに提示されることとなる。ユーザは自身に付与された力覚に従って筐体72を回転させるだけで姿勢を矯正することができる。
【0058】
次に、第3の例として、本発明に係る携帯型装置として携帯電話を適用し、2つの力覚発生装置を動作させることによって、力覚に訴えてユーザを現在地から予め定めた目的地まで誘導する制御(以下、単に「誘導制御」とも呼ぶ)を実行する例について説明する。
【0059】
図11は本発明に係る携帯型装置の実施形態として例示する携帯電話の構成を機能的に示すブロック図である。図11に示すように、携帯電話91は略直方体状の筐体92を備えており、筐体92の内部空間93には携帯電話91の動作を統括的に制御する主制御部101を備えている。主制御部101は筐体92の正面上部に設けられている表示装置94に接続されており、表示装置94に適宜の画像情報を表示させることができる。また、主制御部101は筐体92の正面下部に設けられているプッシュボタン95に接続されており、プッシュボタン95が押下されると主制御部101に操作信号が入力される構成となっている。
【0060】
また、主制御部101は、筐体92の正面上端部に設けられたスピーカ96及び正面下端部に設けられているマイクロフォン97と接続されているとともに、送受信部102を介してアンテナ98と接続されている。通話時には、送受信部102はアンテナ98を介して受信した基地局からの受信周波数信号を復調して主制御部101に出力し、主制御部101は送受信部102からの信号を処理してスピーカ96に出力する。他方、主制御部101はマイクロフォン97からの音声信号を処理して送受信部102に出力し、送受信部102は主制御部101からの信号を変調したのち送信高周波信号に変換してアンテナ98に送信する。
【0061】
また、主制御部101はGPS部105と接続されている。GPS部105は図示しないGPS衛星からの測位用電波を受信し、現在地情報を算出する構成となっている。また、このGPS部105は外部の図示しないサーバとアクセス可能になっており、該サーバに記憶されている現在地周辺の地図情報を受信する構成となっている。なお、この地図情報には少なくとも道路情報が含まれていればよく、周辺に立地する建物に係る情報を必ず含んでいる必要はない。
【0062】
さらに、主制御部101は、図1及び図2に示したものと同様にして構成される力覚発生装置4A,4Bの力覚コントローラ7に接続されている。力覚コントローラ7は、主制御部101からの指令に基づく方向への並進力の力覚がユーザに付与されるよう、アクチュエータ6A,6Bを駆動制御して並進運動機構5A,5Bの錘9A,9Bを往復移動させる。
【0063】
以下、図12に基づいて携帯電話91の主制御部101が実行する誘導制御について説明する。この誘導制御に先立ち、ユーザは予め目的地の位置情報をプッシュボタン95の押下等により入力する。入力された目的地情報は主制御部101に接続されているメモリ103に記憶される。そして、ユーザがプッシュボタン95の押下等により指令が与えられると、主制御部101が誘導制御を開始するようになっている。この誘導制御を開始すると、主制御部101にはGPS部105が受信すると地図情報及び現在地情報が逐次入力されるようになっている。
【0064】
まず、主制御部101は、GPS部105が受信する地図情報及び現在地情報と、メモリ103に記憶されている目的地情報とに基づき画像情報を生成し、該画像情報を表示装置94に表示させる。これにより表示装置94には、地図情報に基づく現在地周辺の道路Rが表示されるとともに、現在地情報に基づく現在地指標P1が道路R上に例えば星印で表示され、目的地情報に基づく目的地指標P2が道路R上に例えば旗印で表示される。
【0065】
そして、主制御部101は、現在地から目的地に到達するまでに必要な経路を道路情報に基づいて求める。なお、図12(a)に例示する状況においては、「直進」、「左折」、「直進」の3つの手順を踏む経路が求められることとなる。次に、主制御部101は、現在地情報と求めた経路とに基づいて、2つの力覚発生装置を駆動する。
【0066】
図12(a)においては、GPS部105が現在地から目的地に到達するために道路Rを「直進」する必要がある。この場合において、主制御部101は、ユーザに上向きの並進力が作用しているとの疑似力覚を付与するよう2つの力覚発生装置を駆動する。つまり、主制御部101は図5(a)に示す動作パターンとなるよう2つの力覚発生装置を駆動することとなり、ユーザには筐体92によって上向きに引っ張られるかのような疑似力覚が付与される。ユーザはこの力覚に従って道路を直進すれば、目的地へと近づくよう移動することができる。
【0067】
図12(b)においては、現在地から目的地に到達するために道路Rを左折する必要がある。この場合において、主制御部101は、ユーザに反時計回り方向(左回り方向)の回転力が作用しているとの疑似力覚を付与するよう2つの力覚発生装置を駆動する。つまり、主制御部101は、図6(b)に示す動作パターンとなるよう2つの力覚発生装置を駆動することとなり、ユーザには筐体92が左へ回転するかのような疑似力覚が付与される。ユーザはこの力覚に従って道路を左折すると、目的地に向かって正しく方向転換することができる。
【0068】
図12(c)においては、交差点に差しかかっている状況を例示しているが、現在地から目的地に到達するためには道路Rをそのまま直進する必要がある。この場合において、主制御部は、図12(a)に例示した場合と同様にして2つの力覚発生装置を駆動することとなり、ユーザには筐体92により上向きに引っ張られているかのような疑似力覚が付与される。ユーザはこの力覚に従って道路をそのまま直進すると、目的地に向かって正しく移動することができる。
【0069】
このように本例によれば、ユーザが携帯電話の筐体から擬似的に付与される力の作用方向に移動するだけで現在地から予め定めた目的地に到達することができるようになる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態においては、視覚や聴覚に訴えた情報の提示ではなく、力覚に訴えて情報を提示することができる。このため、ユーザは、視聴覚に訴えて提示された情報を解釈してその解釈に基づき機器を操作するという手間を省くことができ、自身に付与された力覚に従って直感的に操作することができるようになる。これにより、機器の操作性が向上し、電子機器の取扱いに不慣れなユーザであっても簡便に操作することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、力覚に訴えてユーザに情報を提示して直感的な操作を行わせることができるという優れた作用効果を奏し、例えば携帯インクジェットプリンタ、携帯電話、固定電話の子機、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、据置型ゲーム機やテレビの操作器等、各種の携帯型装置に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯型装置の内部構造の要部を示す模式的断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切断して示す携帯型装置の模式的断面図である。
【図3】図1に示す力覚発生装置の基本動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】図1に示す力覚発生装置の基本動作の説明図であり、(a)が該力覚発生装置の錘に正の加速度が発生している状態、(b)が該錘に負の加速度が発生している状態をそれぞれ示している。
【図5】図3に説明した基本動作を行う2つの力覚発生装置の動作パターンの説明図であり、(a)がユーザに上向きの並進力が作用しているとの擬似力覚を付与する場合の動作パターン、(b)がユーザに下向きの並進力が作用しているとの擬似力覚を付与する場合の動作パターンをそれぞれ示している。
【図6】図3に説明した基本動作を行う2つの力覚発生装置の動作パターンの説明図であり、(a)がユーザに時計回り方向の回転力が作用しているとの疑似力覚を付与する場合の動作パターン、(b)がユーザに反時計回り方向の回転力が作用しているとの疑似力覚を付与する場合の動作パターンをそれぞれ示している。
【図7】本発明に係る携帯型装置の実施形態の一例として示す携帯インクジェットプリンタの構成を機能的に示すブロック図である。
【図8】図7に示す携帯インクジェットプリンタが実行する姿勢矯正制御の概念図である。
【図9】本発明に係る携帯型装置の実施形態の一例として示すデジタルスチルカメラの構成を機能的に示すブロック図である。
【図10】図9に示すデジタルスチルカメラが実行する姿勢矯正制御の概念図である。
【図11】本発明に係る携帯型装置の実施形態の一例として示す携帯電話の構成を機能的に示すブロック図である。
【図12】図11に示す携帯電話が実行する誘導制御の概念図である。
【符号の説明】
【0073】
1 携帯型装置
2 筐体
4 力覚発生装置(力覚発生手段)
5 並進運動機構
6 アクチュエータ
7 力覚コントローラ
9 錘
11 ボールネジ
51 携帯インクジェットプリンタ(携帯型装置)
52 筐体
53 内部空間
54 インクジェットヘッド
61 主制御部(制御手段)
64 姿勢センサ(姿勢検知手段)
71 デジタルスチルカメラ(携帯型装置)
72 筐体
81 主制御部(制御手段)
94 姿勢センサ(姿勢検知手段)
91 携帯電話(携帯型装置)
92 筐体
101 主制御部(制御手段)
105 GPS部(位置検知手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を把持しているユーザに対し、所定方向のうち一側及び他側への並進力の力覚を選択的に付与する力覚発生手段を備えた携帯型装置であって、
前記筐体の内部空間に、2つの前記力覚発生手段が、ユーザに付与しうる並進力の向きが平行となるようにして距離を隔てて配置されていることを特徴とする携帯型装置。
【請求項2】
前記力覚発生手段は前記所定方向に往復移動可能な錘を備え、前記錘に発生する正の加速度の絶対値と負の加速度の絶対値とを異ならせて前記錘を往復運動させることにより前記ユーザに対して前記所定方向のうち一側及び他側への並進力の擬似力覚を選択的に付与する構成であることを特徴とする請求項1に記載の携帯型装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記内部空間を区画する互いに平行な一対の内面を有し、
前記2つの力覚発生手段が、前記一対の内面近傍にそれぞれ分かれて取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型装置。
【請求項4】
前記2つの力覚発生手段は互いに独立して動作可能に構成され、
前記2つの力覚発生手段がユーザに付与する並進力の向きが同じ側となるよう動作することによってユーザに対して並進力の力覚が付与され、前記2つの力覚発生手段がユーザに付与する並進力の向きが互いに反対側となるよう動作することによってユーザに対して回転力の力覚が付与されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯型装置。
【請求項5】
前記筐体の実姿勢を検出する姿勢センサと、
前記2つの力覚発生手段の動作を制御する制御手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記姿勢センサにより検知される前記筐体の実姿勢が予め定められた前記筐体の目標姿勢となるために必要な回転方向を求め、該回転方向への回転力の力覚がユーザに対して付与されるよう前記2つの力覚発生手段を駆動する、姿勢矯正制御を実行することを特徴とする請求項4に記載の携帯型装置。
【請求項6】
前記筐体に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが設けられ、該液滴吐出ヘッドより吐出される液滴を外部の被記録媒体に着弾させ該被記録媒体に画像を形成可能に構成されており、
前記制御手段は、被記録媒体に画像を形成するときに、前記姿勢矯正制御を実行することを特徴とする請求項5に記載の携帯型装置。
【請求項7】
写真撮影可能に構成されており、
前記制御手段は、写真を撮影するときに、前記姿勢矯正制御を実行することを特徴とする請求項5又は6に記載の携帯型装置。
【請求項8】
道路情報及び前記筐体の現在地情報を検知する位置検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記位置検知手段により検知される現在地及び道路情報と予め定められた目的地とに基づいて、前記筐体を道路に沿って該目的地に到達させるために必要な方向への並進力の力覚がユーザに対して付与されるよう前記力覚発生手段を駆動するとともに、その方向を転換する必要があるときには該方向転換方向への回転力の力覚がユーザに対して付与されるよう前記2つの力覚発生手段を駆動する、誘導制御を実行することを特徴とする請求項4に記載の携帯型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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