説明

携帯型送信機

【課題】部品点数を削減することができると共に低コスト化が図れる携帯型送信機を提供する。
【解決手段】カバー10に、弾性材料で一体に形成され、貫通孔33に対応する部分から開口部43に向かって突出する突出部12を備える。そして、突出部12の突出方向先端部に位置する部分をアウターノブ60と接触させると共に突出方向先端部と反対側に位置する部分をタクトスイッチ21に接触させ、かつ突出部12が弾性変形した状態で、カバー10を内側ケース30に収容する。また、アウターノブ60を、カバー10からの弾性反発力により、外縁部分が外側ケース40のうち開口部43の外縁部分に位置する壁面に押し付けられた状態で、開口部43に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型送信機に関するものであり、特に、メカニカルキーを用いることなく、車両ドアのロック、アンロック等を行うことができる送信機に適用されると好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の携帯型送信機として次のものが知られている。すなわち、第1ケースと第2ケースとを合わせて一体的に構成される内側ケースと、第1ケースの所定箇所から外方に突出している押ボタン部と、内側ケース内に収納され、押ボタン部と対向する位置に備えられるタクトスイッチを搭載した回路基板と、開口部を備え、押ボタン部を開口部から突出させた状態で内側ケースを収容する外側ケースと、を備えてなる携帯型送信機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、最近では、この種の携帯型送信機として、図8に示す携帯型送信機も知られている。図8は、従来の携帯型送信機の断面構成を示す図である。
【0004】
図8に示されるように、携帯型送信機は、カバーJ10や、タクトスイッチJ21を搭載した回路基板J20等を収容する内側ケースJ30と、当該内側ケースJ30を収容する外側ケースJ40とを備えた構成とされている。
【0005】
具体的には、この携帯型送信機では、内側ケースJ30は、底面および当該底面の端部を囲む側壁を有する第1ケースJ31と、底面および当該底面の端部を囲む側壁を有する第2ケースJ32とが一体化されて構成されており、第1ケースJ31には、回路基板J20に搭載されているタクトスイッチJ21と対向する位置に貫通孔J33が形成されている。そして、内側ケースJ30には、底面および当該底面の端部を囲む側壁を有し、側壁の終端部にフランジJ11を備えているカバーJ10が、第1ケースJ31と第2ケースJ32との間にフランジJ11が挟持された状態で収容されている。このカバーJ10は、貫通孔J33や第1ケースJ31と第2ケースJ32との合わせ面から水等の異物が内部に浸入する事を抑制するものであり、回路基板J20等が異物に曝されることを防止するものである。
【0006】
また、外側ケースJ40は、タクトスイッチJ21と対向する部分に開口部J43が形成されている。そして、開口部J43には、内側ケースJ30側に向かって突出する押し子J63を有するアウターノブJ60が外側ケースJ40に押し付けられることで配置されている。
【0007】
詳しくは、アウターノブJ60は以下のように開口部J43に配置されている。すなわち、アウターノブJ60と第1ケースJ31との間には、アウターノブJ60側に突出した突出部J71を有し、ゴム等の弾性材料で構成されたシートJ70が配置されている。そして、このシートJ70は、突出部J71の突出方向先端部が押し子J63と接触すると共に当該先端部と反対側の部分がカバーJ10と接触し、かつ突出部J71が弾性変形した状態でアウターノブJ60と第1ケースJ31との間に配置されている。すなわち、アウターノブJ60は、突出部J71からの弾性反発力により外縁部分が外側ケースJ40に押し付けられることで開口部J43に配置されている。
【0008】
このような携帯型送信機では、ユーザがアウターノブJ60に押圧力を印加すると、押圧力が突出部J71およびカバーJ10を介してタクトスイッチJ21に印加され、タクトスイッチJ21がオンされる。そして、タクトスイッチJ21がオンされると、回路基板J20がタクトスイッチJ21の内容に応じた所定の処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−200664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図8に示すような携帯型送信機では、アウターノブJ60は、外側ケースJ40と別体として構成されており、シートJ70に備えられた突出部J71からの弾性反発力により外縁部分が外側ケースJ40に押し付けられて開口部J43に配置されている。しかしながら、最近では、部品点数の削減や、これに伴う低コスト化が望まれている。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて、部品点数を削減することができると共に低コスト化が図れる携帯型送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、カバー(10)は、弾性材料で一体に形成され、貫通孔(33)に対応する部分から開口部(43)に向かって突出する突出部(12)を有し、突出部(12)の突出方向先端部に位置する部分がアウターノブ(60)と接触すると共に突出方向先端部と反対側に位置する部分がタクトスイッチ(21)に接触し、かつ突出部(12)が弾性変形した状態とされており、アウターノブ(60)は、カバー(10)からの弾性反発力により、外縁部分が外側ケース(40)のうち開口部(43)の外縁部分に位置する壁面に押し付けられた状態で、開口部(43)に配置されていることを特徴としている。
【0013】
このような携帯型送信機では、カバー(10)と第2ケース(32)との間に配置される回路基板(20)がカバー(10)により保護される共に、アウターノブ(60)がカバー(10)により外側ケース(40)に押し付けられて開口部(43)に配置される。つまり、カバー(10)は、回路基板(20)を保護する保護機能と、アウターノブ(60)を保持する保持機能とを有している。このため、このような携帯型送信機では、従来の携帯型送信機におけるカバーおよびシートの機能をカバー(10)のみで達成することができる。したがって、従来の携帯型送信機と比較して、部品点数を削減することができ、これに伴って組み付け加工費を低減することができる。
【0014】
例えば、請求項2に記載の発明のように、カバー(10)を、底面および底面の端部を囲む側壁を有し、底面に突出部(12)を備えていると共に突出部(12)が備えられる部分の外縁部分に当該カバー(10)の底面が湾曲した荷重緩和部(13)を備え、側壁にフランジ(11)を備えた構成とし、当該フランジ(11)が第1ケース(31)と第2ケース(32)との間に挟持された状態で内側ケース(30)に収容することができる。
【0015】
このような携帯型送信機では、カバー(10)の底面が湾曲した荷重緩和部(13)が備えられているので、アウターノブ(60)に押圧力が印加されると、荷重緩和部(13)は伸縮することにより当該押圧力の一部を緩和する。すなわち、アウターノブ(60)に印加された押圧力は、荷重緩和部(13)で緩和されつつ、タクトスイッチ(21)に印加されることになる。つまり、タクトスイッチ(21)には、アウターノブ(60)に印加された押圧力より小さい押圧力が印加されることになる。このため、ユーザが携帯型送信機をポケット等に入れて携帯している場合等、ユーザの意図に反してアウターノブ(60)に微小な押圧力が印加されたとしても、タクトスイッチ(21)には当該微小な押圧力よりさらに小さな押圧力が印加されることになるため、ユーザの意図に反してタクトスイッチ(21)がオンしてしまうことを抑制することができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載の発明のように、突出部(12)を、中空部を有する円筒形状とすると共に、外側ケース(40)側の端部に突出方向にさらに突出した突起部(12a)を備え、突起部(12a)をアウターノブ(60)と接触させることができる。
【0017】
このような携帯型送信機では、突出部(12)に突起部(12a)を備えており、突出部(12)に突起部(12a)を備えていない場合と比較して、突起部(12a)の大きさや形状等を適宜変更することにより、突出部(12)の弾性変形状態、言い換えると突出部(12)からアウターノブ(60)に印加する弾性反発力の大きさを変更しやすくすることができる。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図である。
【図2】図1に示す携帯型送信機の概略分解斜視図である。
【図3】(a)は他の実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す突出部の形状を示す斜視図である。
【図4】(a)は他の実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す突出部の形状を示す斜視図である。
【図5】(a)は他の実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す突出部の形状を示す斜視図である。
【図6】(a)は他の実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す突出部の形状を示す斜視図である。
【図7】(a)は他の実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す突出部の形状を示す斜視図である。
【図8】従来の携帯型送信機の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図、図2は図1に示す携帯型送信機の概略分解斜視図であり、これらの図に基づいて説明する。また、本実施形態の携帯型送信機は、メカニカルキーを用いることなく、車両ドアのロックやアンロック等を行うことができる送信機として使用されると好適であり、以下では、キーレスエントリーシステムの送信機に適用した例を説明する。
【0021】
図1および図2に示されるように、携帯型送信機は、カバー10や、回路基板20等を収容する内側ケース30と、当該内側ケース30を収容する外側ケース40とを備えた構成とされている。
【0022】
内側ケース30は、カバー10や回路基板20等を収容するものであり、樹脂等で構成され、略矩形状の底面および当該底面の端部を囲む側壁を有する第1ケース31と、略矩形状の底面および当該底面の端部を囲む側壁を有する第2ケース32とが一体化されることにより構成されている。具体的には、第1ケース31の側壁には係止凸部31aが備えられ、第2ケース32の側壁には係止凹部32aが備えられている。そして、内側ケース30は、係止凸部31aが係止凹部32a内にスナップフィット嵌合されることにより構成されている。また、第1ケース31には、後述するタクトスイッチ21と対向する位置に貫通孔33が形成されている。
【0023】
回路基板20は、一面に押動式のタクトスイッチ21が実装されていると共に、当該一面と反対側の裏面に図示しないターミナル、アンテナ、IC等が実装されて構成されている。そして、回路基板20はタクトスイッチ21が実装されている一面が第1ケース31側に配置された状態で内側ケース30に収容されている。
【0024】
また、回路基板20と第2ケース32との間には、回路基板20に電源を供給するボタン電池50が電池ホルダー51に搭載された状態で配置されている。そして、ボタン電池50は、回路基板20に実装されているプラスターミナルおよびマイナスターミナルと電気的に接続されている。なお、図2中では、ボタン電池50は省略して示してある。
【0025】
カバー10は、回路基板20と第1ケース31との間に配置されると共に、第1ケース31と第2ケース32との間に挟持された状態で内側ケース30に収容され、第2ケース32との間の空間を封止している。
【0026】
具体的には、カバー10は、ゴム等の弾性材料にて構成されており、外形形状が第1ケース31とほぼ同じ形状とされ、底面および当該底面の端部を囲む側壁を有した形状とされており、側壁の終端部にフランジ11を備えている。そして、カバー10は、底面が第1ケース31の底面に沿うと共に、フランジ11が第1ケース31と第2ケース32との間に挟持された状態で内側ケース30に収容されている。これにより、貫通孔33や第1ケース31と第2ケース32との合わせ面から水等の異物が内部に浸入する事が抑制され、回路基板20等が異物に曝されることが防止される。すなわち、このカバー10は、回路基板20等が異物に曝されることを防止する保護機能を有している。
【0027】
また、カバー10は、弾性材料で一体に形成され、第1ケース31に形成されている貫通孔33に対応する部分から後述する開口部43に向かって突出する突出部12を底面に備えている。そして、詳細は後述するが、カバー10は、突出部12の突出方向先端部に位置する部分が後述するアウターノブ60と接触すると共に突出方向先端部と反対側に位置する部分がタクトスイッチ21に接触し、かつ突出部12が弾性変形した状態で、内側ケース30に収容されている。なお、本実施形態では、突出部12は、突出方向先端部が開口した中空部を有する円筒形状とされている。
【0028】
さらに、カバー10は、突出部12が備えられている外縁部分であって、底面のうち貫通孔33に対応する部分が湾曲した形状とされている荷重緩和部13が当該突出部12を囲んで備えられている。
【0029】
外側ケース40は、内側ケース30を収容するものであり、樹脂等で構成され、略矩形状の底面および当該底面の端部を囲む側壁を有する第3ケース41と略矩形状の底面および当該底面の端部を囲む側壁を有する第4ケース42とが一体化されて構成されている。具体的には、第3ケース41の側壁には係止凸部41aが備えられ、第4ケース42の側壁には係止凹部42aが備えられている。そして、外側ケース40は、内側ケース30と同様に、係止凸部41aが係止凹部42a内にスナップフィット嵌合されることにより構成されている。
【0030】
また、外側ケース40のうち、タクトスイッチ21と対向する部分、言い換えると貫通孔33と対向する部分には、タクトスイッチ21や貫通孔33より大きい開口部43が形成されている。そして、当該開口部43にはアウターノブ60が配置されている。
【0031】
アウターノブ60は、樹脂等で構成された一面を有する板状のものであり、当該一面が開口部43から露出した状態で開口部43に配置されている。詳しくは、アウターノブ60は、外縁部に段差が設けられることにより形成される薄肉部61と、内側ケース30側に突出する押し子63が一体に形成された厚肉部62とを有した構成とされている。そして、アウターノブ60は、厚肉部62の一面が開口部43から露出するように、薄肉部61が外側ケース40に押し付けられて開口部43に配置されている。
【0032】
具体的には、アウターノブ60は次のように開口部43に配置されている。すなわち、アウターノブ60は、突出部12の中空部内に押し子63が配置され、厚肉部62が突出部12と接触した状態で開口部43に配置されている。つまり、アウターノブ60は、弾性変形している突出部12と接触しているため、突出部12から外側ケース40側に向かう弾性反発力が印加された状態で配置されている。したがって、アウターノブ60は、突出部12からの弾性反発力により、薄肉部61が外側ケース40のうち開口部43の外縁部分に位置する壁面に押し付けられることで開口部43に配置されている。
【0033】
つまり、本実施形態のカバー10は、回路基板20等を保護する保護機能に加えて、アウターノブ60を保持する保持機能も有するものである。なお、特に限定されるものではないが、アウターノブ60のうち開口部43から露出する一面には、タクトスイッチ21の機能を表示する図示しない機能表示部が二色成型等により一体に形成されている。
【0034】
また、外側ケース40には、開口部43の外縁部分、より詳しくは薄肉部61と接触する部分の外縁部分に内側ケース30側に向かって突出するガイド44が備えられている。このガイド44は、ユーザによりアウターノブ60が押圧されたときに、アウターノブ60が開口部43に対して傾くことを抑制するものである。すなわち、アウターノブ60は、ユーザから押圧力が印加されると、ガイド44に沿って変位するようになっている。
【0035】
そして、図示していないが、外側ケース40のうち、例えば、第3ケース41には、金属材料からなり、切削加工にて形成され、エンジンキーやドアキー等の機能を有するメカニカルキーが備えられている。このメカニカルキーは、周知のように、例えば、インサートモールド等されることにより第3ケース41と一体化された状態で備えられている。
【0036】
このような携帯型送信機では、ユーザが、例えば、車両ドアのアンロックを示すアウターノブ60に対して押圧力を印加し、印加された押圧力が突出部12を介してタクトスイッチ21に印加されてタクトスイッチ21がオンされると、回路基板20が所定周波数を車両に送信することにより、車両ドアのアンロックが行われる。
【0037】
なお、本実施形態の携帯型送信機では、カバー10の底面が湾曲した荷重緩和部13が備えられているので、アウターノブ60に押圧力が印加されると、荷重緩和部13が伸縮することにより当該押圧力の一部が緩和される。すなわち、ユーザがアウターノブ60に押圧力を印加すると、印加された押圧力は荷重緩和部13で緩和されつつ、タクトスイッチ21に印加されることになる。すなわち、タクトスイッチ21には、アウターノブ60に印加された押圧力より小さい押圧力が印加されることになる。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態の携帯型送信機では、カバー10は、回路基板20等が異物に曝されることを防止する保護機能と、アウターノブ60を保持する保持機能とを有している。すなわち、このような携帯型送信機では、図8に示すような従来の携帯型送信機(以下、単に従来の携帯型送信機という)におけるカバーJ10とシートJ70の機能を、カバー10のみで達成することができる。このため、従来の携帯型送信機と比較して、部品点数を削減することができ、これに伴って組み付け加工費を低減することができる。
【0039】
また、カバー10のうち突出部12の突出方向先端部に位置する部分をアウターノブ60と接触させると共に突出方向先端部と反対側に位置する部分をタクトスイッチ21に接触させ、かつ突出部12を弾性変形させた状態で、カバー10を内側ケース30に収容してなる携帯型送信機では、タクトスイッチ21にはカバー10からの弾性反発力により予め所定の荷重が印加された構成とされている。このため、ユーザが携帯型送信機をポケット等に入れて携帯している場合等、ユーザの意図に反してアウターノブ60が操作されてしまったとき、微小な押圧力でもタクトスイッチ21がオンしてしまう可能性がある。
【0040】
しかしながら、本実施形態の携帯型送信機では、カバー10には突出部12が備えられる部分の外縁部分に荷重緩和部13が備えられている。このため、アウターノブ60に押圧力が印加されたとき、アウターノブ60に印加された押圧力は、荷重緩和部13で緩和されつつ、タクトスイッチ21に印加されることになる。言い換えると、アウターノブ60に印加された押圧力は、荷重緩和部13に吸収されつつ、タクトスイッチ21に印加されることになる。すなわち、荷重緩和部を有していない携帯型送信機のアウターノブ60に印加される押圧力と同じ大きさの押圧力を本実施形態の携帯型送信機に印加した場合、荷重緩和部を有していない携帯型送信機と比較して、タクトスイッチ21に印加される押圧力は小さくなる。したがって、ユーザが携帯型送信機をポケット等に入れて携帯している場合等、ユーザの意図に反してアウターノブ60に微小な押圧力が印加されたとしても、タクトスイッチ21には当該微小な押圧力よりさらに小さな押圧力が印加されることになるため、ユーザの意図に反してタクトスイッチ21がオンしてしまうことを抑制することができる。
【0041】
また、アウターノブ60のうち表示機能部が形成されている一面と反対側の裏面に突出部12から弾性反発力を印加しているため、突出部12から押し子63に弾性反発力を印加する場合と比較して、アウターノブ60が傾いた状態で外側ケース40に押し付けられることを抑制することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の携帯型送信機では、従来の携帯型送信機におけるカバーJ10およびシートJ70の機能をカバー10に持たせており、つまり、従来二つの部品で構成していた部分を一つの部品で構成することにより、従来の携帯型送信機と比較して、累積公差を小さくすることができる。また、従来の携帯型送信機では、アウターノブJ60とタクトスイッチJ21との間にはシートJ70およびカバーJ10が配置されており、タクトスイッチJ21に予め印加される押圧力の大きさはシートJ70およびカバーJ10の寸法誤差が影響することになる。しかしながら、本実施形態の携帯型送信機では、アウターノブ60とタクトスイッチ21との間には、カバー10のみが配置されており、タクトスイッチ21に印加される押圧力はカバー10のみの寸法誤差の影響を受けることになる。このため、従来の携帯型送信機と比較して、各製品で予めタクトスイッチ21に印加される押圧力のばらつきを抑制することができ、タクトスイッチ21をオンさせるのに必要な押圧力の大きさのばらつきを抑制することができる。
【0043】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、突出部12が円筒形状である例について説明したが、もちろん突出部12の形状を他の形状にすることもできる。図3(a)〜図7(a)は他の実施形態における携帯型送信機の断面構成を示す図であり、図3(b)〜図7(b)はそれぞれ図3(a)〜図7(a)に示す突出部12の形状を示す斜視図である。なお、図7(b)では、突出部12および突出部12近傍のカバー10を示している。
【0044】
例えば、図3に示されるように、突出部12を、円筒形状にすると共に、外側ケース40側の端部に突起部12aを備えたものとし、当該突起部12aがアウターノブ60の厚肉部62と接触するようにしてもよい。また、図4に示されるように、突出部12を、外側ケース40側に向かって径が小さくなるテーパ形状にすると共に、先端部を凹ませた形状とし、当該先端部をアウターノブ60の押し子63に接触させることもできる。さらに、図5に示されるように、突出部12を、外側ケース40に向かう途中部まで径が大きくなるテーパ形状とすると共に、当該途中部から外側ケース40に向かって径が小さくなるテーパ形状とし、突出部12の先端部をアウターノブ60の厚肉部62と接触させることもできる。また、図6に示されるように、突出部12を、円筒形状にすると共に、当該円筒形状を構成する内壁面と外壁面との間に隙間12bを有する形状とし、突出部12の先端部をアウターノブ60の厚肉部62と接触させることもできる。さらに、図7に示されるように、突出部12を複数備え、各突出部12を円筒形状とすると共に、先端部をそれぞれアウターノブ60の厚肉部62と接触させることもできる。なお、図7では、各突出部12の外縁部分にそれぞれ荷重緩和部13が備えられているが、例えば、各突出部12の全体を囲む一つの荷重緩和部13のみを備えた構成とすることもできる。
【0045】
特に、図3に示すように、突出部12に突起部12aを備えた場合には、突出部12に突起部12aを備えていない場合と比較して、突起部12aの大きさや形状等を適宜変更することにより、突出部12の弾性変形状態、言い換えると突出部12からアウターノブ60に印加する弾性反発力の大きさを容易に変更することができる。
【0046】
また、上記第1実施形態では、カバー10には、荷重緩和部13が備えられている例について説明したが、カバー10に荷重緩和部13を備えていない構成とすることもできる。すなわち、カバー10に回路基板20等を保護する保護機能と、アウターノブ60を保持する保持機能を持たせることにより、従来の携帯型送信機と比較して、部品点数を削減することができると共に、これに伴って組み付け加工費を低減することができるためである。
【0047】
そして、上記第1実施形態では、荷重緩和部13が突出部12を囲んで配置されている例について説明したが、例えば、荷重緩和部13を突出部12が備えられる部分の外縁部分に断続的に形成することもできる。
【0048】
さらに、上記第1実施形態では、カバー10のうち、突出部12の外縁部分であって、貫通孔33に対応する部分に荷重緩和部13が備えられている例について説明したが、例えば、カバー10のうち、貫通孔33に対応しない部分、言い換えると第1ケース31の底面と対向する位置に荷重緩和部13を備えることもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 カバー
11 フランジ
12 突出部
13 荷重緩和部
20 回路基板
21 タクトスイッチ
30 内側ケース
33 貫通孔
40 外側ケース
43 開口部
60 アウターノブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面にタクトスイッチ(21)が搭載された回路基板(20)と、
底面と前記底面の端部を囲む側壁を有する第1ケース(31)と、底面と前記底面の端部を囲む側壁を有する第2ケース(32)とが一体化されることにより構成され、前記一面が前記第1ケース(31)側に配置された状態で前記回路基板(20)を収容すると共に、前記第1ケース(31)のうち前記タクトスイッチ(21)と対向する部分に貫通孔(33)が形成された内側ケース(30)と、
前記回路基板(20)と前記第1ケース(31)との間に配置されると共に、前記第1ケース(31)と前記第2ケース(32)との間に挟持された状態で前記内側ケース(30)に収容され、前記第2ケース(32)との間の空間を封止するカバー(10)と、
前記内側ケース(30)を収容すると共に、前記タクトスイッチ(21)と対向する部分に開口部(43)が形成された外側ケース(40)と、
一面を有する板状とされ、当該一面が前記開口部(43)から露出した状態で前記開口部(43)に配置されるアウターノブ(60)と、を有し、
前記カバー(10)は、弾性材料で一体に形成され、前記貫通孔(33)に対応する部分から前記開口部(43)に向かって突出する突出部(12)を有し、前記突出部(12)の突出方向先端部に位置する部分が前記アウターノブ(60)と接触すると共に前記突出方向先端部と反対側に位置する部分が前記タクトスイッチ(21)に接触し、かつ前記突出部(12)が弾性変形した状態とされており、
前記アウターノブ(60)は、前記カバー(10)からの弾性反発力により、外縁部分が前記外側ケース(40)のうち前記開口部(43)の外縁部分に位置する壁面に押し付けられた状態で、前記開口部(43)に配置されていることを特徴とする携帯型送信機。
【請求項2】
前記カバー(10)は、底面および前記底面の端部を囲む側壁を有し、前記底面に前記突出部(12)を備えていると共に前記突出部(12)が備えられる部分の外縁部分に当該カバー(10)の底面が湾曲した荷重緩和部(13)を備え、前記側壁にフランジ(11)を備えており、当該フランジ(11)が前記第1ケース(31)と前記第2ケース(32)との間に挟持された状態で前記内側ケース(30)に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型送信機。
【請求項3】
前記突出部(12)は、中空部を有する円筒形状とされていると共に、前記外側ケース(40)側の端部に、突出方向にさらに突出した突起部(12a)を備えており、前記突起部(12a)が前記アウターノブ(60)と接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型送信機。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−208450(P2011−208450A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78258(P2010−78258)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】