説明

携帯型電子機器

【課題】 携帯型電子機器のストラップ取付部を簡単な構造で構成すると共に、筐体が分裂し難くすること。
【解決手段】 リアケース103の内面側とフロントケース102の内面側とを対面するように当接配置することによって構成した筐体101を有する携帯型電子機器は、リアケース103に設けられた開口部201と、フロントケース102に設けられ、開口部201を通ってリアケース103の内面側から外面側に突出するストラップ取付部104とを備えているため、ストラップ203に対してリアケース103の外面方向の過負荷が加えられた場合、リアケース103とフロントケース102がより密着するようになり、筐体103が分裂することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(携帯情報端末:Personal Digital Assistant)等の携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話、PHS、PDA等の各種携帯型電子機器が利用されている。携帯型電子機器には携帯の利便性のために、ストラップ取付部が設けられており、前記ストラップ取付部にストラップを取り付けて使用するように構成されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
図5は、従来の携帯型電子機器におけるストラップ取付部の部分拡大測断面図である。
図5において、携帯型電子機器は、フロントケース502及びリアケース503とによって構成される筐体501を備えている。リアケース503には、ストラップ取付部504が一体に設けられており、ストラップ取付部504にストラップ505を取り付けて使用される。
【0003】
このように、リアケース503にストラップ取付部504が設けられているため、ストラップ取付部504に対して、リアケース503の外面方向に過負荷がかかった場合、フロントケース502とリアケース503の間に隙間が生じてしまったり、フロントケース502の係合部502aとリアケース503の係合部503bとの係合が外れて、筐体501が分裂してしまうという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−43810号公報
【特許文献2】特開平10−262104号公報
【特許文献3】特開平11−54947号公報
【特許文献4】特開平11−174552号公報
【特許文献5】特開2000−346960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点に鑑み成されたもので、携帯型電子機器のストラップ取付部を簡単な構造で構成すると共に、筐体が分裂し難くすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、第1筐体要素の内面側と第2筐体要素の内面側とを対面するように当接配置することによって構成した筐体を有する携帯型電子機器において、前記第1筐体要素に設けられた開口部と、前記第2筐体要素に設けられ、前記開口部を通って前記第1筐体要素の内面側から外面側に突出するストラップ取付部とを備えて成ることを特徴とする携帯型電子機器が提供される。
第2筐体要素に設けられたストラップ取付部は、第1筐体要素の開口部を通って、前記第1筐体要素の内面側から外面側に突出するように配設されている。
【0007】
ここで、前記第1筐体要素に設けられた補強部を有し、前記第1筐体要素及び第2筐体要素が当接配置された状態では、前記ストラップ取付部は前記開口部を通して前記補強部に当接した状態に位置するように構成してもよい。
また、前記補強部材は略コ字状に形成されて成り、前記第1筐体要素及び第2筐体要素が当接配置された状態では、前記ストラップ取付部の外面は前記補強部の内面に当接した状態に位置するように構成してもよい。
また、前記ストラップは、前記ストラップ取付部に設けられた貫通孔を介して、ストラップ取付部及び補強部の双方に取り付けられるように構成してもよい。
【0008】
また、前記第2筐体要素は操作部が配設されるフロントケースであり、前記第1筐体要素は前記フロントケースに対面配設されるリアケースであるように構成してもよい。
また、前記ストラップ取付部に対して前記第1筐体要素の外面側への力が加えられた場合、前記第1筐体要素と第2筐体要素は、相互により強く密着するように配設されて成るように構成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ストラップ取付部を簡単な構造で構成することが可能であり又、筐体を剛性の高い構造にすることが可能になるため、筐体が分裂し難くなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯型電子機器の外観斜視図であり、携帯型電子機器として携帯電話の例を示している。
図1において、携帯電話100は、携帯電話100の背面側に設けられた第1の筐体要素としてのリアケース103の内面側と、携帯電話100の前面側に設けられた第2の筐体要素としてのフロントケース102の内面側とを対面するように当接配置することによって構成した筐体101を有している。
【0011】
フロントケース102にはキースイッチ等の操作部(図示せず)が配設される。リアケース103はフロントケース102に対面配設される。
ストラップ(図示せず)を取り付けるためのストラップ取付部104が、リアケース103の所定部位からリアケース103の外面側に突出するように、フロントケース102に一体に設けられている。尚、105はアンテナ、106は電池カバーである。
【0012】
図2は、図1の携帯電話100におけるA−A断面図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。
図2において、ストラップ取付部104はフロントケース102に一体的に設けられている。リアケース103には所定部位に開口部201が設けられている。
【0013】
ストラップ取付部104は、リアケース103に設けられた開口部201を通して、リアケース103の内面側から外面側に突出している。即ち、リアケース103に設けられた開口部201に、フロントケース102に一体的に設けられたストラップ取付部104を係合して組み立てることによって構成されている。
ストラップ取付部104におけるリアケース103の外面側に突出した部分には、ストラップ203を取り付けるための貫通孔202が設けられている。図2には、ストラップ取付部104にストラップ203を取り付けた状態を示している。
【0014】
このように、ストラップ取付部104はフロントケース102と一体的に形成されているため、ストラップ取付部104に通されたストラップ203に対してリアケース103外面方向の過負荷が不意に加えられた場合でも、フロントケース102とリアケース103には相互により密着するように力が働く。
したがって、フロントケース102とリアケース103の嵌合が強まる方向に働き、フロントケース102とリアケース103の間に隙間が生じることを防止できる。また、筐体を剛性の高い構造にすることが可能になるため、フロントケース102とリアケース103の係合が外れて筐体101が分裂するよう事態の発生を抑制することが可能になる。
【0015】
また、従来はリアケース103側に設けられていたストラップ取付部104を、本実施の形態ではフロントケース102側に設けただけの構造であり、部品点数が増える事も無く、構造が簡単である。
また、上ケース(フロントケース102)と下ケース(リアケース103)とを有する携帯型電子機器100のストラップ取付部104の構造において、シンプルな形状でありながら剛性を高める事が可能なストラップ取付構造を提供することが可能になる。
【0016】
図3、図4は、各々、本発明の他の実施の形態に係る携帯型電子機器の部分側断面図、部分平断面図であり、図3は図2に対応する部分の側断面図で、図4はその平面図である。尚、図3及び図4において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付している。
図3及び図4において、第1筐体要素としてのリアケース103には開口部201が設けられると共に、開口部201を被う位置に略コ字状の補強部301が一体的に設けられている。第2筐体要素としてのフロントケース102には、開口部201に対応する一にストラップ取付部104が一体的に設けられている。
【0017】
リアケース103に設けられた開口部201にフロントケース102のストラップ取付部104を通して係合し組み立てが完了した状態では、フロントケース102及びリアケース103が当接配置され又、ストラップ取付部104の外面は開口部201を通して補強部301の内面に当接した状態に配設される。これにより、ストラップ取付部104及び補強部301は一体になって、実質的にストラップ取付部を構成することになる。ストラップ203は、貫通孔202を介して、ストラップ取付部104及び補強部301の双方に取り付けられる。
【0018】
また、本他の実施の形態に係る携帯型電子機器は、リアケース103に設けられた補強部301を有し、フロントケース102とリアケース103とが当接配置された状態では、ストラップ取付部04の外面は開口部201を通して、補強部301の内面に当接した状態に位置するように構成されているので、本他の実施の形態においても、前記実施の形態と同様の効果を奏することが可能である。
また、本他の実施の形態においては、補強部301はリアケース103に一体的に設けられているので、携帯型電子機器背面側の表面に見えるのはリアケース103だけであり、特別な凹凸が現われる事も無く又、表面に塗装を施した場合でも均一に見えるように構成することが可能であるという効果をも奏する。
【0019】
尚、前記各実施の形態において、ストラップ取付部104はリアケース103側に突出するように設けられているが、使用者の使い勝手等を考慮してフロントケース102側に突出するように設けるように構成しても、同様の効果を奏することが可能である。この場合、第1の筐体要素としてのフロントケース側に開口部を設け、第2の筐体要素としてのリアケース側にストラップ取付部を設けるように構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
携帯電話、PHS、PDA、電子辞書、携帯型パーソナルコンピュータ等の携帯型電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯型電子機器の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯型電子機器の部分側断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る携帯型電子機器の部分側断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る携帯型電子機器の部分平断面図である。
【図5】従来の携帯型電子機器の部分側断面図である。
【符号の説明】
【0022】
100・・・携帯型電子機器としての携帯電話
101・・・筐体
102・・・第2の筐体要素としてのフロントケース
103・・・第1の筐体要素としてのリアケース
104・・・ストラップ取付部
105・・・アンテナ
106・・・電池カバー
201・・・開口部
202・・・貫通孔
203・・・ストラップ
301・・・補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体要素の内面側と第2筐体要素の内面側とを対面するように当接配置することによって構成した筐体を有する携帯型電子機器において、
前記第1筐体要素に設けられた開口部と、前記第2筐体要素に設けられ、前記開口部を通って前記第1筐体要素の内面側から外面側に突出するストラップ取付部とを備えて成ることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記第1筐体要素に設けられた補強部を有し、
前記第1筐体要素及び第2筐体要素が当接配置された状態では、前記ストラップ取付部は前記開口部を通して前記補強部に当接した状態に位置することを特徴とする請求項1記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記補強部材は略コ字状に形成されて成り、
前記第1筐体要素及び第2筐体要素が当接配置された状態では、前記ストラップ取付部の外面は前記補強部の内面に当接した状態に位置することを特徴とする請求項2記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記ストラップは、前記ストラップ取付部に設けられた貫通孔を介して、ストラップ取付部及び補強部の双方に取り付けられることを特徴とする請求項3記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
前記第2筐体要素は操作部が配設されるフロントケースであり、前記第1筐体要素は前記フロントケースに対面配設されるリアケースであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
前記ストラップ取付部に対して前記第1筐体要素の外面側への力が加えられた場合、前記第1筐体要素と第2筐体要素は、相互により強く密着するように配設されて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−269642(P2006−269642A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84066(P2005−84066)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】