説明

携帯型電子機器

【課題】 フロントケース、リアカバーおよび電池カバーを有する携帯電話において、全体としての側面のデザイン性を良くする。
【解決手段】 リアカバー11の表面側に電池カバー21を取り付けると、電池カバー21の側壁部23の下端部がフロントケース1の切欠部2に嵌め合わされる。これにより、リアカバー11の側面は電池カバー21によって完全に覆われる。したがって、全体としての側面においてフロントカバー1と電池カバー21との境界線のみが露呈され、全体としての側面のデザイン性を良くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯電話等の携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の携帯電話には、例えば特許文献1に記載のように、フロントカバー(フロントケース)の上面にリアカバーが設けられ、リアカバーの上面側に電池収納部が設けられ、リアカバーの上面に電池収納部を覆うための電池カバーが取り外し可能に取り付けられたものがある。この場合、電池カバーの下面外周部に設けられた係止突起をリアカバーの上面外周部に設けられた係止突起に取り外し可能に係止することにより、電池カバーをリアカバーの上面に取り外し可能に取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−127856号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯電話では、全体としての側面においてフロントカバーとリアカバーとの境界線およびリアカバーと電池カバーとの境界線が共に露呈するため、全体としての側面のデザイン性に問題があるという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、フロントケース、リアカバーおよび電池カバーを有しているにも拘わらず、全体としての側面のデザイン性を良くすることができる携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る携帯型電子機器は、フロントケースと、前記フロントケースの一面に設けられ、電池収納部を有するリアカバーと、前記リアカバーの表面を完全に覆い、且つ、側壁部の先端部で前記フロントケースの側面の一部を覆うように設けられた電池カバーとを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、フロントケース、リアカバーおよび電池カバーを有しているにも拘わらず、全体としての側面のデザイン性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の一実施形態としての携帯電話の斜視図。
【図2】図1に示す携帯電話の側面図。
【図3】図1に示すフロントケースおよびリアカバーの斜視図。
【図4】図1に示す電池カバーの下面側から見た斜視図。
【図5】図1のV−V線に沿う部分つまり電池カバーの第1の係止突起に対応する部分における一部の断面図。
【図6】電池カバーの第2の係止突起に対応する部分における図5同様の断面図。
【図7】電池カバーの第1、第2の係止突起に対応しない部分における図5同様の断面図。
【図8】電池カバーを取り外す初期の状態における図5同様の断面図。
【図9】電池カバーを取り外す初期の状態における図6同様の断面図。
【図10】電池カバーを取り外す初期の状態における図7同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はこの発明の一実施形態としての携帯電話の斜視図を示し、図2は同携帯電話の側面図を示す。この携帯電話では、外観的には、フロントケース1の上側に電池カバー21が設けられた構造となっている。この場合、図2に示すように、フロントケース1の露出する側面の高さは電池カバー21の露出する側面の高さよりもかなり低くなっている。
【0010】
次に、図3はフロントケース1および後述するリアカバー11の斜視図を示す。図4は電池カバー21の下面側から見た斜視図を示す。図5は図1のV−V線に沿う部分の一部の断面図を示す。
【0011】
まず、図5を参照して説明する。フロントケース1はABS樹脂等によって方形枠状に形成されている。フロントケース1の外周部上面側にはリング状の切欠部2(図3参照)が設けられている。フロントケース1の内側にはステンレス等からなるほぼ方形状の板金3の外周部がインサート成形により埋め込まれている。この状態では、板金3の外周部を除く上面および下面は露出されている。板金3の下面には液晶表示パネル4が設けられている。液晶表示パネル4の下面にはタッチパネルスクリーン5が設けられている。
【0012】
フロントケース1の上面にはABS樹脂等からなるリアカバー11が設けられている。フロントケース1とリアカバー11との間は、フロントケース1の上面外周部に設けられたリング状の防水用溝12内に設けられたシール部材13によって防水されている。フロントケース1とリアカバー11との間には回路基板14が設けられている。
【0013】
リアカバー11の所定の箇所にはほぼ方形状の開口部からなる電池収納部15(図3参照)が設けられている。リアカバー11の上面において電池収納部15の周囲にはリング状の防水用溝16(図3参照)が設けられている。リアカバー11の電池収納部15内において回路基板14の上面には電池パック17が収納されている。この状態では、電池パック17は回路基板14に電気的に接続されている。
【0014】
リアカバー11の表面側にはABS樹脂等からなる電池カバー21が設けられている。ここで、図4に示す、電池カバー21の下面側から見た斜視図を参照して説明すると、電池カバー21の本体部分はほぼ長方形状の板部22の外周部に外面が湾曲した側壁部23が設けられた構造となっている。
【0015】
電池カバー21の板部22の下面(図4では上面)の所定の箇所(図3に示す防水用溝16に対応する部分)にはリング状の突起24およびこの突起24の表面に一体成形されたゴムからなるシール部材25(図5参照)が設けられている。そして、図5に示すように、リアカバー11の表面側に電池カバー21が取り付けられた状態では、シール部材25がリアカバー11の防水用溝16内に圧入され、これにより電池収納部15が防水されるようになっている。
【0016】
次に、図3を参照して説明すると、リアカバー11の右側面の所定の複数箇所(例えば3箇所)には係止突起18(図5参照)が設けられている。フロントケース1の右側の切欠部2の上面の所定の複数箇所つまりリアカバー11の各係止突起18の右側には係止凹部6(後述する図6参照)が設けられている。なお、図3では見えないが、リアカバー11の左側面にも係止突起が右側の係止突起18と線対称に設けられ、フロントケース1の左側の切欠部2の上面にも係止凹部が右側の係止凹部6と線対称に設けられている。
【0017】
次に、図4を参照して説明すると、電池カバー21の右側の側壁部23の内面および左側の側壁部23の内面において、図3に示すリアカバー11の係止突起18にそれぞれ対応する部分には第1の係止突起26(図5参照)が設けられている。また、電池カバー21の右側の側壁部23の下端面(先端面)内側および左側の側壁部23の下端面(先端面)内側において、図3に示すフロントケース1の係止凹部6にそれぞれ対応する部分には第2の係止突起27(後述する図6参照)が設けられている。
【0018】
ここで、図5は、上述の如く、図1のV−V線に沿う部分の断面図であるが、詳細には、電池カバー21の第1の係止突起26に対応する部分における一部の断面図を示す。図6は電池カバー21の第2の係止突起27に対応する部分における図5同様の断面図を示す。図7は電池カバー21の第1、第2の係止突起26、27に対応しない部分における図5同様の断面図を示す。
【0019】
そして、リアカバー11の表面側に電池カバー21を取り付けた状態では、図5〜図7に示すようになる。すなわち、まず、図5に示すように、電池カバー21の第1の係止突起26がリアカバー11の係止突起18に係止され、且つ、電池カバー21の側壁部23の下端部がフロントケース1の切欠部2に嵌め合わされる。また、図6に示すように、電池カバー21の第2の係止突起27がフロントケース1の係止凹部6に係止され、且つ、電池カバー21の側壁部23の下端部がフロントケース1の切欠部2に嵌め合わされる。さらに、図7に示すように、電池カバー21の第1の係止突起26および第2の係止突起27が存在しない部分では、電池カバー21の側壁部23の下端部がフロントケース1の切欠部2に嵌め合わされるだけとなる。
【0020】
以上のように、この携帯電話では、図5〜図7に示すように、リアカバー11の表面側に電池カバー21が取り付けられると、電池カバー21の側壁部23の下端部がフロントケース1の切欠部2に嵌め合わされるので、リアカバー11の側面は電池カバー21の側壁部23によって完全に覆われる。この結果、図2に示すように、全体としての側面においてフロントカバー1と電池カバー21との境界線のみが露呈され、全体としての側面のデザイン性を良くすることができる。また、フロントケース1に切欠部2を設けることにより、この部分の厚さを薄くすることができるので、フロントケース1に切欠部2を設けない場合と比較して、フロントケース1の外観にヒケが発生しにくいようにすることができる。
【0021】
次に、電池カバー21をリアカバー11から取り外す場合について説明する。まず、電池カバー21をリアカバー11から取り外す初期の状態では、図5および図7と同様の断面図である図8および図10に示すように、電池カバー21の側壁部23の下端部がフロントケース1の切欠部2から離間し始め、また電池カバー21の第1の係止突起26がリアカバー11の係止突起18から外れ始め、さらに図6と同様の断面図である図9に示すように、電池カバー21の第2の係止突起27がフロントケース1の係止凹部6から外れ始める。この初期の状態を経過した後に、電池カバー21はリアカバー11から取り外される。
【0022】
ところで、電池カバー21の第2の係止突起27およびフロントケース1の係止凹部6を設けずに、電池カバー21の第1の係止突起26をリアカバー11の係止突起18に係止させるようにした場合には、電池カバー21の側壁部23の下端部の剛性不足により、電池カバー21の側壁部23の下端部が外側に向かって変形するおそれがある。したがって、電池カバー21の第2係止突起27をフロントケース1の係止凹部6に係止させるのは、電池カバー21の側壁部23の下端部が外側に向かって不要に変形するのを防止するためである。
【0023】
また、電池カバー21の第2の係止突起27およびフロントケース1の係止凹部6を設けずに、フロントケース1の切欠部2の部分において、電池カバー21の第1の係止突起26をリアカバー11の係止突起18に係止させるようにした場合には、フロントケース1の切欠部2の部分にリアカバー11の係止突起18の部分および電池カバー21の第1の係止突起26の部分が配置されることになるので、リアカバー11の係止突起18の部分の厚さに相当する分だけ、フロントケース1のサイズを大きくしなければならない。したがって、電池カバー21の第2の係止突起27をフロントケース1の係止凹部6に係止させるのは、電池カバー21の側壁部23の下端部が外側に向かって不要に変形するのを防止するためであるとともに、フロントケース1のサイズが大きくならないようにするためである。
【0024】
また、電池カバー21の第1の係止突起26およびリアカバー11の係止突起18の位置と電池カバー21の第2の係止突起27およびフロントケース1の係止凹部6の位置とが異なるようにしているのは、以下の理由による。すなわち、電池カバー21の第1の係止突起26およびリアカバー11の係止突起18の位置と電池カバー21の第2の係止突起27およびフロントケース1の係止凹部6の位置とを同じとした場合には、同じ位置で二重にロックされるため、電池カバー21を外しにくくなり、極端な場合には電池カバー21を外すことができなくなってしまう。
【0025】
なお、この発明は、携帯電話に限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance, Personal Digital Assistance:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯端末機器等の電子機器にも適用することができる。
【0026】
以下、この発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0027】
(付記1)
付記1の発明は、フロントケースと、前記フロントケースの一面に設けられ、電池収納部を有するリアカバーと、前記リアカバーの表面を完全に覆い、且つ、側壁部の先端部で前記フロントケースの側面の一部を覆うように設けられた電池カバーとを備えていることを特徴とする携帯型電子機器である。
【0028】
(付記2)
付記2の発明は、前記フロントケースの外周部一面側にはリング状の切欠部が設けられ、前記電池カバーの側壁部の先端部は前記フロントケースの切欠部に嵌め合わされていることを特徴とする付記1に記載の携帯型電子機器である。
【0029】
(付記3)
付記3の発明は、前記電池カバーの側壁部の内面に設けられた第1の係止突起が前記リアカバーの側面に設けられた係止突起に取り外し可能に係止され、且つ、前記電池カバーの側壁部の下端面に設けられた第2の係止突起が前記フロントケースの切欠部に設けられた係止溝に取り外し可能に係止されていることを特徴とする付記1または2に記載の携帯型電子機器である。
【0030】
(付記4)
付記4の発明は、前記電池カバーの第1の係止突起および前記リアカバーの係止突起は複数であり、且つ、前記電池カバーの第2の係止突起および前記フロントケースの係止溝は複数であることを特徴とする付記3に記載の携帯型電子機器である。
【0031】
(付記5)
付記5の発明は、前記電池カバーの第1の係止突起および前記リアカバーの係止突起の位置と前記電池カバーの第2の係止突起および前記フロントケースの係止溝の位置とは異なることを特徴とする付記3または4に記載の携帯型電子機器である。
【符号の説明】
【0032】
1 フロントケース
2 切欠部
6 係止凹部
11 リアカバー
15電池収納部
17 電池パック
18 係止突起
21 電池カバー
23 側壁部
26 第1の係止突起
27 第2の係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントケースと、前記フロントケースの一面に設けられ、電池収納部を有するリアカバーと、前記リアカバーの表面を完全に覆い、且つ、側壁部の先端部で前記フロントケースの側面の一部を覆うように設けられた電池カバーとを備えていることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記フロントケースの外周部一面側にはリング状の切欠部が設けられ、前記電池カバーの側壁部の先端部は前記フロントケースの切欠部に嵌め合わされていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記電池カバーの側壁部の内面に設けられた第1の係止突起が前記リアカバーの側面に設けられた係止突起に取り外し可能に係止され、且つ、前記電池カバーの側壁部の下端面に設けられた第2の係止突起が前記フロントケースの切欠部に設けられた係止溝に取り外し可能に係止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記電池カバーの第1の係止突起および前記リアカバーの係止突起は複数であり、且つ、前記電池カバーの第2の係止突起および前記フロントケースの係止溝は複数であることを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
前記電池カバーの第1の係止突起および前記リアカバーの係止突起の位置と前記電池カバーの第2の係止突起および前記フロントケースの係止溝の位置とは異なることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−5133(P2013−5133A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132837(P2011−132837)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】