説明

携帯型電気機器

【課題】バッテリパック側の2次電池収納用の2つに分離した各ハウジング内の温度検知をマイコンで行う携帯型電気機器において、マイコンの製造コストを抑え、かつ、スイッチ切替制御を簡単にする。
【解決手段】装置本体3は、マイコン10と、ハウジング4、5内の各サーミスタ端子22、23から入力された電圧を切替えて出力するアナログスイッチIC14と、アナログスイッチIC14からの電圧を入力するためのA/D変換機能を有する1つの入力ポート10aとを有する。マイコン10は、所定周期でハイ及びローの制御信号によりアナログスイッチIC14を切替え、ハウジング4、5内の温度を検知し温度監視処理を行う。これにより、A/D変換用の入力ポート10aが1つでよく、また、制御信号がハイ及びローのみの信号でよいので、マイコンの製造コストを抑え、かつ、スイッチ切替制御を簡単にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に電力を供給するバッテリパックを備えた携帯型光ディスク再生装
置等の携帯型電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型光ディスク再生装置や携帯電話等の携帯型電気機器が増えている。携帯型電気機器では、NiCd(ニッケルカドミウム)電池等の充電式の2次電池を使用することが多い。この2次電池は、充放電時に高温になるので、液漏れや発火を起こす可能性がある。このため、従来の携帯型電気機器は、安全性の観点から、バッテリパック側の2次電池収納用のハウジング内の温度を検知して、ハウジング内や乾電池自体が所定の温度以上にならないように監視している(例えば、特許文献1参照)。具体的には、従来の携帯型電気機器では、例えば2次電池を収納するハウジング内にサーミスタ等の温度検出用の素子を配して、この温度検出用の素子からの出力値をマイクロコントローラ(以下、マイコンと略す)等の温度検知回路に入力し、マイコン等の温度検知回路が、上記の温度検出用の素子からの出力値に基づいて、ハウジング内や乾電池自体が所定の温度以上になっているか否かを検知するようにしている。
【0003】
上記の従来の携帯型電気機器において、装置の薄型化、小型化を図るために、バッテリパック側の2次電池収納用のハウジングを複数に分離した方がよい場合がある。
【0004】
ところが、上記の従来のハウジング内の温度の検知方法を、バッテリパック側の2次電池収納用のハウジングを複数に分離した携帯型電気機器に適用した場合には、分離したそれぞれのハウジング内にサーミスタ等の温度検出用素子を配置する必要があるだけではなく、マイコン等の温度検知回路側に、分離したそれぞれのハウジング内の温度検出用素子からの電圧等の出力を入力するためのポート(温度検知用の入力ポート)が複数必要になり、マイコン等の温度検知回路の製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
ところで、直列接続された第1及び第2のサーミスタと、第2のサーミスタに並列接続されたスイッチング素子とを備え、スイッチング素子をオン、オフすることにより、各サーミスタの周辺の温度検知を行うバッテリパックの温度検知装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この温度検知装置は、温度検知用のサーミスタを制御する端子を1つしか持たない標準的なマイコンの場合であっても、複数のサーミスタを用いて各サーミスタの周辺の温度を検知するようにしたものである。しかしながら、この温度検知装置においては、スイッチ切替えにより、先ず第1のサーミスタの抵抗値を検出し、この抵抗値と、その後検出したサーミスタ直列接続回路の両端電圧とを基に、マイコンで換算処理して第2のサーミスタの抵抗値を算出し温度検知を行っている。このため、マイコンによるスイッチ切替えの制御及び温度検知処理が複雑になっている。
【0006】
また、複数の電池モジュール又は複数の素電池の温度を複数の温度センサで検出し、各温度センサから出力される温度信号をマルチプレクサに入力し、マイコンによるマルチプレクサの制御により各温度信号を切替えてA/D変換回路に出力し、この出力をマイコンの入力ポートに入力して電池の温度検知を行う温度検知装置が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。しかしながら、このような温度検知装置においては、マルチプレクサ内の複数のスイッチをマイコンにより選択的に又は順番を決めて切替えるので、マイコンのスイッチ切替制御が複雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−32677号公報
【特許文献2】特開2005−224071号公報
【特許文献3】特開2008−151535号公報
【特許文献4】特開2009−109271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、バッテリパック側の2次電池収納用の2つに分離した各ハウジング内の温度検知をマイコンにより行う携帯型電気機器において、マイコンの温度検知用のA/D変換機能付き入力ポートの数を1つにして、マイコンの製造コストを抑え、かつ、マイコンによるスイッチ切替制御を簡単に行うことができる携帯型電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、装置本体と、装置の携帯時に前記装置本体に電力を供給するバッテリパックとを備え、前記バッテリパックは、2次電池を収納する2つに分離したハウジングを有する携帯型電気機器において、前記各ハウジング内には、それぞれ該各ハウジング内の温度の検知用のサーミスタが配設されており、前記バッテリパックは、2つのサーミスタ端子を有し、これらのサーミスタ端子の各々は、前記各サーミスタの各々に接続され、前記各ハウジング内の温度に応じた各サーミスタの抵抗値に対応した値の電圧を出力し、前記装置本体は、前記各サーミスタ端子の各々から入力された電圧を基に温度を検知し温度監視処理を行うと共に、装置全体を制御するマイクロコントローラ(以下、マイコンと略す)と、前記各サーミスタ端子と接続され、これらサーミスタ端子から入力された電圧を前記マイコンからの制御信号により選択的に出力するスイッチ回路と、を備え、前記マイコンは、前記スイッチ回路からの電圧を入力するためのA/D変換機能を有する1つの入力ポートと、前記スイッチ回路に制御信号を出力するための汎用の出力ポートとを有し、前記出力ポートを介して前記スイッチ回路にハイ(High)及びロー(Low)の制御信号を出力することにより、前記2つのサーミスタ端子の各々から入力された電圧のうちのいずれの電圧を前記スイッチ回路から前記入力ポートへ入力するかを切替えるものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯型電気機器において、前記マイコンは、前記ハイ及びローの制御信号を所定の周期で交互に切替えるものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の携帯型電気機器において、前記マイコンは、前記所定の周期を調整可能とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、A/D変換機能を有する1つの入力ポートに入力される電圧に基いて、2つのハウジング内の温度を検知することができるので、マイコンをコストダウンでき、かつ、ハイ、ローの制御信号だけでスイッチ回路を切替えるので、マイコンによるスイッチ切替制御を簡単に行うことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、2つのサーミスタの温度を同じ時間間隔で切替えて検知することができるので、2つのハウジング内の温度検知の頻度にバラツキが生じないようにすることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、ハイ及びローの制御信号の所定の周期を、スイッチ回路やA/D変換機能の応答特性に合わせて調整することができるので、安定に信頼性良く温度検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク再生装置の電気的ブロック構成図。
【図2】ハウジングを複数に分離する必要性のあるケースの光ディスク再生装置の分解斜視図。
【図3】図2中の装置本体にバッテリパックを装着した状態を示す斜視図。
【図4】上記実施形態の変形例におけるバッテリパックの電気的ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、本発明を携帯型光ディスク再生装置に適用した場合の例について説明する。なお、以下に記載した実施形態は、本発明を網羅するものではなく、本発明は、下記の形態だけに限定されない。
【0017】
図1は、本実施形態による携帯型光ディスク再生装置(以下、光ディスク再生装置と略す)(請求項における携帯型電気機器)の電気的ブロック構成を示す。光ディスク再生装置1は、装置本体3と、装置の携帯時に装置本体3に電力を供給するバッテリパック2と、装置本体3からの電力供給を受けて映像を表示する液晶表示部13を備えている。
【0018】
上記のバッテリパック2は、2次電池41、51を収納するための2つに分離したハウジング4、5を有している。これらの各ハウジング4、5内には、それぞれ各ハウジング4、5内の温度の検知用のサーミスタ42、52が配設されている。また、バッテリパック2は、ハウジング4、5内に収納されている全ての2次電池41、51についての共通の充電回路や充放電制御回路が形成された回路基板6を備えている。バッテリパック2の端部(回路基板6の端部)には、回路基板6を介して直列接続された2次電池41、51の両端の正極端子と負極端子とに接続された、バッテリパック側の正極端子21と負極端子24とが設けられている。また、バッテリパック2の端部(回路基板6の端部)には、回路基板6を介してハウジング4内のサーミスタ42の一端に接続されて、ハウジング4内の温度に応じたサーミスタ42の抵抗値に対応した値の電圧を出力するサーミスタ端子22と、回路基板6を介してハウジング5内のサーミスタ52の一端に接続されて、ハウジング5内の温度に応じたサーミスタ52の抵抗値に対応した値の電圧を出力するサーミスタ端子23とが設けられている。
【0019】
ここで、サーミスタ42、52の抵抗値は、ハウジング4、5内の温度に応じて変化するので、サーミスタ42、52に一定の電流を流した場合に、サーミスタ42、52の両端に生じる電位差も、ハウジング4、5内の温度に応じて変化する。詳細については後述するが、本実施形態では、サーミスタ42、52の両端に生じる電位差(ハウジング4、5内の温度に応じて変化する電位差)に相当する値の電圧をサーミスタ端子22、23から取り出して、これらの電圧に基づいて、複数に分離したハウジング4、5内の温度監視処理を行っている。ここでは、サーミスタ42、52は、各一端が接地され、各他端には電源回路11から一定のDC電圧が既知の抵抗値の抵抗(不図示)を介して給電され、これらの直列抵抗間の分圧抵抗を検出して温度を検知するものとする。本実施形態では、サーミスタ42、52の温度−抵抗値特性は同じであるものとする。言い換えると、本実施形態では、同じ温度で同じ値の電流を流したときに、サーミスタ42、52の両端に生じる電位差(サーミスタ端子22、23から出力される電圧の値)は同じであるものとする。また、本実施形態で用いられるサーミスタ42、52は、いわゆるNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタであり、温度の上昇に応じて抵抗値が小さくなるという温度−抵抗値特性を有している。
【0020】
また、装置本体3は、装置全体の制御用のマイクロコントローラ(以下、マイコンと略す)10(温度検知回路)と、電源プラグ30を介して入力された商用電源からの交流電力を直流電力に変換して装置本体3の各部や液晶表示部13に供給する電源回路11と、光ディスクに記録された映像を再生する光ディスク再生部12とを備えている。電源回路11は、ユーザによる装置の携帯時には、バッテリパック2から電力を供給される。
【0021】
また、装置本体3は、上記のバッテリパック2側の正極端子21と接続された装置本体側の正極端子31と、バッテリパック2側のサーミスタ端子22と接続された装置本体側のサーミスタ端子32と、バッテリパック2側のサーミスタ端子23と接続された装置本体側のサーミスタ端子33と、バッテリパック2側の負極端子24と接続された装置本体側の負極端子34とを有している。バッテリパック2側の2次電池41、51の充電時には、本体側の電源回路11から、装置本体側の正極端子31とバッテリパック2側の正極端子21及び回路基板6とを介して、2次電池41、51への電力供給(2次電池41、51の充電)が行われ、ユーザによる装置の携帯時には、バッテリパック2側の2次電池41、51から、バッテリパック2側の正極端子21及び回路基板6と装置本体側の正極端子31とを介して、本体側の電源回路11への電力供給(2次電池41、51の放電)が行われる。
【0022】
また、装置本体3は、バッテリパック2側のサーミスタ端子22、23の各々から(装置本体側のサーミスタ端子32、33を介して)入力される電圧を、マイコン10から入力されるハイ(High(H))又はロー(Low(L))の電圧の制御信号により時間的に切替えて出力するアナログスイッチIC14(スイッチ回路)を有している。アナログスイッチIC14は、マイコン10から入力された制御電圧がロー(L)のときには、バッテリパック2側のサーミスタ端子22から入力された電圧を出力し、マイコン10からの制御電圧の値がハイ(H)のときには、バッテリパック2側のサーミスタ端子23から入力された電圧を出力する。
【0023】
上記のマイコン10は、制御信号を所定の時間間隔でハイ(H)又はロー(L)に切替えるためのタイマ15と、タイマ15の時間を設定するための設定部16と、アナログスイッチIC14からの電圧を入力するためのA/D変換機能を有する入力ポート10aと、アナログスイッチIC14にハイ(H)又はロー(L)の制御信号を出力するための汎用の出力ポート10bとを有する。マイコン10は、その入力ポート10aに入力された電圧に基づいて、ハウジング4、5内の温度を検知すると共に、この温度検知結果に基づいて、バッテリパック2の(より詳細にはハウジング4、5内の)温度監視処理を行う。また、マイコン10は、ハイ(H)及びロー(L)の制御信号を設定部16により設定される所定の周期で交互に切替えるようになっている。また、この所定の周期は、設定部16によりユーザが調整可能となっており、この調整により、例えばスイッチ切替の周期をマイコン内のA/D変換のためのサンプリング周期に合わせるなどの設定が可能である。
【0024】
次に、本光ディスク再生装置1の温度検知処理における各回路の動作について説明する。ここでは、設定部16により、アナログスイッチIC14をハイ(H)とロー(L)で切替えるための所定の切替周期を、例えば1秒に設定している。マイコン10からの制御電圧がロー(L)のときには、アナログスイッチIC14は、バッテリパック2側のサーミスタ端子22から入力された電圧(ハウジング4内の温度に応じた電圧)を選択的にマイコン10の入力ポート10aへ出力する。マイコン10は、サーミスタ端子22からアナログスイッチIC14を介して入力ポート10aに入力された、ハウジング4内の温度に応じた電圧に基づいて、ハウジング4内の温度を検知(判定)する。そして、マイコン10は、この温度検知結果に基づいて、バッテリパック2の温度監視処理を行う。具体的には、マイコン10は、ハウジング4内の温度が所定の温度よりも高くなると、液晶表示部13への警告メッセージの表示、不図示のスピーカによる警告音の出力、或いはバッテリパック2側の2次電池41、51への充電又は放電の停止等の処理を実行する。
【0025】
これに対して、マイコン10からの制御電圧がハイ(H)のときには、アナログスイッチIC14は、バッテリパック2側のハウジング5内に配されたサーミスタ52と接続されたサーミスタ端子23から入力された電圧(ハウジング5内の温度に応じた電圧)を選択的にマイコン10の入力ポート10aへ出力する。マイコン10は、上記と同様に、入力ポート10aに入力された、ハウジング5内の温度に応じた電圧に基づいて、ハウジング5内の温度を検知(判定)し、この温度検知結果に基づいてバッテリパック2の温度監視処理を行う。
【0026】
上記のように、本実施形態の光ディスク再生装置1によれば、マイコン10は、入力ポート10aに入力された電圧をハイ(H)及びロー(L)の制御信号による時分割により検出して、2つに分離したハウジング4、5内の各温度を検知することができる。従って、バッテリパック2側の2次電池収納用のハウジングを2つに分離した構成でありながら、マイコン10における温度検知用のA/D変換機能付きの入力ポートの数を1つにすることができる。これにより、マイコン10の製造コストを抑えることができ、かつ、アナログスイッチIC14がハイ(H)及びロー(L)の制御信号だけで切替えられるので、マイコン10による制御信号を単純にし、スイッチ切替制御を簡単に行うことができる。
【0027】
また、アナログスイッチIC14は、1回路2端子型のICスイッチでよく、1つの制御端子への制御信号で2つの出力を切替えて取り出すことができるので、マルチプレクサのように内蔵するスイッチの1つ1つに制御信号を加え、各スイッチからそれぞれ出力する必要がなく、切替えが簡単で、低コストにできる。また、マイコン10は、A/D変換機能を内蔵しているので、別途A/Dコンバータ等を外付けする必要がなく、回路基板6の面積が少なくて済み、小型化できる。
【0028】
また、2つのサーミスタ42、52からの出力を同じ周期で切替えて検知することができるので、2つのハウジング4、5内の温度検知の頻度にバラツキが生じないようにすることができる。また、ハイ(H)及びロー(L)の制御信号の周期を、アナログスイッチIC14やマイコン10におけるA/D変換機能の応答特性に合わせて好適に調整し設定することができるので、安定に信頼性良く温度検知を行うことができる。
【0029】
次に、上記のように、バッテリパック2側の2次電池収納用のハウジングを複数に分離する必要性のあるケースの例について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、上記のハウジングを複数に分離する必要性のあるケースに相当する光ディスク再生装置1の一例の分解斜視図である。以下の説明において、前(方向)、後(方向)、左(方向)、右(方向)とは、それぞれ図中の矢印で示す前後左右の方向に相当する。
【0030】
図2に示される光ディスク再生装置1は、主に、光ディスク再生部12や装置全体の制御用の制御基板62を有する装置本体3と、液晶表示部13とから構成されている。装置本体3と液晶表示部13とは、2軸ヒンジ65により回転回動自在(回転開閉自在)に連結される。すなわち、2軸ヒンジ65は、装置本体3と液晶表示部13とを連結し、装置本体3は、2軸ヒンジ65を用いて液晶表示部13を回転回動自在に支持する。ここで、回転とは、液晶表示部13の水平方向への回転を意味し、回動とは、液晶表示部13の(図中の矢印で示される)前後方向への回転(2軸ヒンジ65の水平方向の回転軸を中心とした回転)を意味する。ユーザは、光ディスク再生装置1を携帯する時には、2軸ヒンジ65を水平方向の回転軸を中心として回動させることにより、液晶表示部13を、前方向に回転させ、液晶表示部13を装置本体3の上に折り重ねた状態にして、光ディスク再生装置1を持ち運ぶ。
【0031】
上記の2軸ヒンジ65は、ヒンジ機構部65aと、2軸ヒンジ65を装置本体3側に結合するための結合部65bとを有している。装置本体3は、その後端部の中央に、2軸ヒンジ65の結合部65bの取り付けと収納を行うためのヒンジ取付収納部67を有している。このヒンジ取付収納部67内には、装置本体3側と液晶表示部13側とを電気的に接続するための電気配線も格納される。この電気配線は、2軸ヒンジ65の内部を挿通して、装置本体3側と液晶表示部13側とを電気的に接続する。2軸ヒンジ65の装置本体3への取り付けと、装置本体3側への電気配線の接続が完了した後は、ヒンジ取付収納部67の上部は、カバー64により覆われる。
【0032】
また、装置本体3は、光ディスク再生部12と光ディスク再生部12に装着された光ディスクとを保護するための内蓋63を備えている。この内蓋63は、光ディスク再生装置1の携帯時や、光ディスク再生部12による映像の再生時には、閉じられて光ディスク再生部12と光ディスク再生部12に装着された光ディスクとを覆い、これらを保護する。
【0033】
上記のバッテリパック2は、装置本体3の後端部に着脱され、中央部にコの字型の凹部2aを有している。バッテリパック2は、その長手方向両端(左右端)に、2次電池41、51を収納する2つに分離したハウジング(ハウジング4とハウジング5)を有し、ハウジング4は、2つの円筒型の2次電池41を収容しており、ハウジング5も、2つの円筒型の2次電池51を収容している。また、バッテリパック2は、ハウジング4、5に収容された全ての2次電池41、51についての共通の充放電用の回路基板6を、凹部2a内に有している。この回路基板6は、端部に端子部2hを有しており、この端子部2hは、バッテリパック2の筐体外部に露出している。端子部2hにおける端子には、図1中の正極端子21、負極端子24、及びサーミスタ端子22、23が含まれている。
【0034】
バッテリパック2側の凹部2aは、装置本体3側のヒンジ取付収納部67に対応した位置(バッテリパック2の装置本体3への装着時にヒンジ取付収納部67の真下になる位置)に設けられており、ヒンジ取付収納部67の左右方向の幅W2よりも大きな左右方向の幅W1を持っている。また、装置本体3は、その後端部におけるヒンジ取付収納部67の左側と右側とに、バッテリパック2のハウジング4とハウジング5とを収納するための左収納凹部68aと右収納凹部68bとを有している。このような構成にしたことにより、装置本体3の後端部の中央に取り付けられた2軸ヒンジ65とバッテリパック2とを装置本体3の後部に効率よく収納して、光ディスク再生装置1全体の小型化と薄型化を図ることができる。
【0035】
図3は、バッテリパック2を装置本体3に装着した状態を示す。この図に示されるように、上記のような構造上の工夫を施したことにより、バッテリパック2を装置本体3の後部に効率よく収納することができる。
【0036】
また、図2に示すように、装置本体3側の左収納凹部68aと右収納凹部68bの内側面には、いずれもバッテリパック2の装着用のガイドバー71とガイド溝81とが設けられている。このガイドバー71とガイド溝81の長手方向は、装置本体3の水平面への載置時に、水平面と平行になる方向(図中の矢印で示される前後方向)である。一方、バッテリパック2は、その左側面と右側面とに、ガイドバー71の挿入可能なガイド溝2eを有している。また、バッテリパック2のハウジング4の右側面とハウジング5の左側面とには、装置本体3側のガイド溝81に挿入可能なガイドレール91が設けられている。さらにまた、バッテリパック2のハウジング4、ハウジング5の上面2f、2gは、平坦であり、ガイド溝2e及びガイドレール91の長手方向と平行である。
【0037】
上記のように、装置本体3における後端部の中央にヒンジ取付収納部67(凸部)を設けた場合に、バッテリパック2を装置本体3の後部に効率よく収納しようとすれば、図2に示されるように、凹部2aを挟んでハウジングを複数に分離することが最善の方法と考えられる。図2及び図3に示される構成例の光ディスク再生装置1においては、凹部2aを挟んでハウジングを複数に(ハウジング4とハウジング5に)分離した。そして、その上で、バッテリパック2側の凹部2aが、装置本体3側のヒンジ取付収納部67に対応した位置に設けられ、ヒンジ取付収納部67よりも大きな左右方向の幅を持ち、しかも、装置本体3の端部におけるヒンジ取付収納部67の左側と右側に、バッテリパック2の各ハウジング4、5を収納するための左収納凹部68aと右収納凹部68bを設ける構成にした。これにより、バッテリパック2を装置本体3に効率よく収納して、装置の小型化と薄型化を図ることができる。
【0038】
図4は、上記実施形態の変形例におけるパッテリパック2の電気的ブロック構成を示す。この変形例は、パッテリパック2に内蔵される2つのハウジング4、5内の2次電池41と2次電池51が並列接続された場合を示し、それら2次電池41、51の各正極端子が回路基板6を介してバッテリパック側の正極端子21に接続され、それらの各負極端子が回路基板6内で共に接地されている点が異なる。この場合、マイコン10により、ハウジング4、5内の温度をそれぞれ検知し、2次電池41と2次電池51の温度を監視できると共に、低電圧駆動の装置における長時間使用を可能にする。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、サーミスタとして、いわゆるNTCサーミスタ(温度の上昇に応じて抵抗値が小さくなる特性を有するサーミスタ)を用いたが、いわゆるPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ(温度の上昇に応じて抵抗値が大きくなる特性を有するサーミスタ)を用いてもよい。また、マイコンによる温度検知を間欠的に、かつ、周期を長くして節電するようにしてもよい。また、上記実施形態では、本発明を携帯型の光ディスク再生装置1に適用した場合の例を示したが、本発明を光ディスク再生装置以外の携帯型の再生装置に適用してもよいし、携帯電話等の、再生装置以外の携帯型電気機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 光ディスク再生装置(携帯型電気機器)
2 バッテリパック
3 装置本体
4 ハウジング
5 ハウジング
10 マイコン(マイクロコントローラ)
10a 入力ポート
10b 出力ポート
14 アナログスイッチIC(スイッチ回路)
22 サーミスタ端子
23 サーミスタ端子
41 2次電池
42 サーミスタ
51 2次電池
52 サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、装置の携帯時に前記装置本体に電力を供給するバッテリパックとを備え、
前記バッテリパックは、2次電池を収納する2つに分離したハウジングを有する携帯型電気機器において、
前記各ハウジング内には、それぞれ該各ハウジング内の温度の検知用のサーミスタが配設されており、
前記バッテリパックは、2つのサーミスタ端子を有し、これらのサーミスタ端子の各々は、前記各サーミスタの各々に接続され、前記各ハウジング内の温度に応じた各サーミスタの抵抗値に対応した値の電圧を出力し、
前記装置本体は、
前記各サーミスタ端子の各々から入力された電圧を基に温度を検知し温度監視処理を行うと共に、装置全体を制御するマイクロコントローラ(以下、マイコンと略す)と、
前記各サーミスタ端子と接続され、これらサーミスタ端子から入力された電圧を前記マイコンからの制御信号により選択的に出力するスイッチ回路と、を備え、
前記マイコンは、前記スイッチ回路からの電圧を入力するためのA/D変換機能を有する1つの入力ポートと、前記スイッチ回路に制御信号を出力するための汎用の出力ポートとを有し、前記出力ポートを介して前記スイッチ回路にハイ(High)及びロー(Low)の制御信号を出力することにより、前記2つのサーミスタ端子の各々から入力された電圧のうちのいずれの電圧を前記スイッチ回路から前記入力ポートへ入力するかを切替えることを特徴とする携帯型電気機器。
【請求項2】
前記マイコンは、前記ハイ及びローの制御信号を所定の周期で交互に切替えることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電気機器。
【請求項3】
前記マイコンは、前記所定の周期を調整可能とすることを特徴とする請求項2に記載の携帯型電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−244853(P2012−244853A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115094(P2011−115094)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】