説明

携帯式ラベル印字貼付装置

【課題】 とくに商品の値下げ作業ないし表示変更作業を効率化ないし簡便化可能で、作業性にすぐれ、機器の取扱いが簡便で、操作性良好な携帯式ラベル印字貼付装置を提供すること。
【解決手段】 バーコードリーダーやスキャナー33などの光学的ないし機械的読取り器(表示情報読取り器)をラベル印字および貼付け装置に一体に組み込むことに着目したもので、物品に表示されている既表示情報を読み取り可能な表示情報読取り器33を、貼付けユニット6に備え、表示情報読取り器33により読み取った物品に関する既表示情報に応じて新しい表示変更用印字情報を印字部19によりラベル片L2に印字し、表示変更用印字情報を印字された新しいラベル片L2を貼付け部21により物品上に貼り付け可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯式ラベル印字貼付装置にかかるもので、とくに値下げ情報などの表示変更用印字情報をラベル片に印字してこれを貼り付ることができるようにした携帯式ラベル印字貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小売り分野においては商品の販売を促進するために、商品にすでに表示している値段から値下げすることが行われている。値下げの具体的方式としては、値段を表示しているラベルや下げ札などの値札に値下げ金額や値下げ割合を新しく表示したラベルを貼り付ける(マークダウンする)方法が一般的である。
【0003】
しかして、値下げのタイミングはもちろん、値下げ金額や値下げ割合をどの程度にするかについては、それぞれの商品に応じてあらかじめ取り決められている基準にもとづき、また、それぞれの商品の売れ行き状況を見ながら、それぞれの売り場の担当者や責任者が判断しているが、より有効な値下げ処理を行うには、実際には季節や曜日および時間帯、天候、商品の種類や特性、賞味期限、在庫量、購買者等々各種の要因がかかわっているため、商品の陳列補充や販売接客を行いながらの値下げラベル発行の作業は、かなりの神経を使うとともに、カンと経験を必要とする作業である。
【0004】
さらに、値下げする商品の種類、値下げ値段ないし値下げ割合が決定され、実際に値下げラベルの貼付けを行うにあたり、ラベル印字装置による印字データの入力作業および発行作業のあとに、発行されたラベルを手で取って、古い値段を表示した値札へのラベル貼付け作業を手で行っている場合が多く、このような貼付け作業の作業性に劣るという問題がある。
【0005】
また、値下げ用の新たな値下げ用の値段を設定するにあたり、古い値段を表示している値札のバーコードやOCRなどを読み取るためにバーコードリーダーやスキャナーなどの光学的ないし機械的読取り器を使用しているが、ラベル印字装置がこのスキャナーとは別体であるために、機器の取扱いが不便であるという問題がある。
【0006】
なお、商品についてその価格の値下げとともに、たとえば「特売」その他のポップ表示についても、その内容を変更する必要がある場合があり、上述の値下げ作業と同様に、その表示変更作業を効率化することが要請されている。
【0007】
【特許文献1】特公昭58−15376号公報
【特許文献2】特公昭63−44619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、とくに商品の値下げ作業ないし表示変更作業を効率化ないし簡便化可能な携帯式ラベル印字貼付装置を提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、値下げのタイミング、値下げ金額や値下げ割合、その他の表示変更内容などについて作業する際に、特別なカンと経験を必要とせずに、簡単に使用することができる携帯式ラベル印字貼付装置を提供することを課題とする。
【0010】
また本発明は、表示変更ラベルないし値下げラベルの貼付けを行うにあたり、作業性にすぐれた携帯式ラベル印字貼付装置を提供することを課題とする。
【0011】
また本発明は、古い値段を表示している値札のバーコードなどを光学的ないし機械的に読み取って新たな値下げ用の値段を設定するにあたって、機器の取扱いが簡便な携帯式ラベル印字貼付装置を提供することを課題とする。
【0012】
また本発明は、とくに商品の値下げ作業ないし表示変更作業にあたって操作性良好な携帯式ラベル印字貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち本発明は、バーコードリーダーやスキャナーなどの光学的ないし機械的読取り器(表示情報読取り器)をラベル印字および貼付け装置に一体に組み込むことに着目したもので、携帯可能な貼付けユニットを有し、帯状の台紙上に複数のラベル片を有するラベル連続体を保持するラベル保持部と、上記ラベル片に印字を行う印字部と、この印字部により印字された上記ラベル片を上記台紙から剥離する剥離部と、この剥離部において剥離された上記ラベル片を所定の物品に貼り付ける貼付け部と、を上記貼付けユニットに設けた携帯式ラベル印字貼付装置であって、上記物品に表示されている既表示情報を読み取り可能な表示情報読取り器を、上記貼付けユニットに備え、この表示情報読取り器により読み取った上記物品に関するこの既表示情報に応じて新しい表示変更用印字情報を上記印字部により上記ラベル片に印字し、この表示変更用印字情報を印字された新しい上記ラベル片を上記貼付け部により上記物品上に貼り付け可能であることを特徴とする携帯式ラベル印字貼付装置である。
【0014】
上記表示変更用印字情報は、上記物品に関する値下げ情報であることができる。
【0015】
上記表示情報読取り器は、上記貼付けユニットにおける上記貼付け部とは異なる部位にこれを取り付けることができる。
【0016】
上記表示情報読取り器は、上記貼付けユニットにおけるグリップの端部にこれを取り付けることができる。
【0017】
上記貼付け部は、上記貼付けユニットの最先端部にこれを位置させるとともに、上記表示情報読取り器は、上記貼付けユニットにおける上記貼付け部から後方に位置する上記貼付けユニットの突出部にこれを取り付けることができる。
【0018】
上記表示情報読取り器は、上記貼付けユニットにおける上記貼付け部の側面の側板にこれを取り付けることができる。
【0019】
上記表示情報読取り器は、上記貼付けユニットに対してこれを出没可能に取り付けることができる。
【0020】
上記貼付け部による上記ラベル片の上記物品への貼付けを確認することができる貼付けセンサーを設けることができる。
【0021】
上記貼付けユニットとは別体に、かつ上記貼付けユニットとの間で印字データの伝送を可能な制御ユニットを設け、この制御ユニットにおいて、上記物品に関する上記印字データの入力および表示を行うことができる。
【0022】
上記制御ユニットとは別体の中央処理部を設け、この中央処理部から上記制御ユニットに、上記表示変更用印字情報を供給することができる。
【0023】
上記印字データとは、一般的な印字に必要なデータはもちろんのこと、古い値段表示などの既表示情報、新しい値下げ情報などの表示変更用印字情報、さらには、表示変更用印字情報を発行した旨の表示変更情報発行データ、などをいう。
上記表示変更用印字情報には、上記印字に必要なデータはもちろん、値下げ処理が必要な値下げ対象商品名(表示変更対象物品名)、およびその値下げ場所(表示変更場所)も含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による携帯式ラベル印字貼付装置においては、バーコードリーダーやスキャナーなどの光学的ないし機械的読取り器(表示情報読取り器)をラベル印字および貼付け装置に一体に組み込んで貼付けユニットとして操作可能としたので、既表示情報を表示情報読取り器によって読み取り、この既表示情報に応じて、および販売データや所定の基準にもとづいて必要な表示変更用印字情報を作成して、これをラベル片に印字し、この新しいラベル片を貼付け部により物品(あるいは既表示情報がバーコードなどによる場合にはこの既表示情報)に重ねて、すなわち、これに代わって表示するように貼り付けることができる。
したがって、既表示情報の読取りから、ラベル片の印字および貼付けまでを一台かつ一体の貼付けユニットを操作することによって値下げ作業などの表示変更作業を行うことができ、簡便かつ効率的な作業を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、スキャナーなどの表示情報読取り器を一体に組み込んで貼付けユニットとしてこれを操作可能としたので、値下げ作業などにおいて操作性が良好な携帯式ラベル印字貼付装置を実現した。
【実施例】
【0026】
つぎに本発明の実施例による携帯式ラベル印字貼付装置を含む値下げ表示処理システム1(表示変更処理システム)を図1ないし図5にもとづき説明する。
図1は、値下げ表示処理システム1(表示変更処理システム)の概略全体説明図であって、値下げ表示処理システム1は、中央処理部2と、ポスレジスター3(POSレジスター)と、中央処理部2およびポスレジスター3とは別体の当該携帯式ラベル印字貼付装置4と、を有する。
【0027】
中央処理部2は、所定容量のサーバーおよび情報処理部を有するパソコンなどの情報処理装置であって、商品の在庫管理を行い、かつポスレジスター3からの販売データおよび携帯式ラベル印字貼付装置4からの既表示情報を受けるとともに、これらのデータにもとづいて、携帯式ラベル印字貼付装置4に必要な表示変更用印字情報(たとえば、値下げ用印字データ)を含む印字データを作成し、これらとともに表示変更指令(たとえば、値下げ指令)を供給する。
【0028】
ポスレジスター3は、それぞれの売り場の勘定台に設置された売上げ処理機であって、各商品の販売データをリアルタイムで、あるいはバッチ処理の上、中央処理部2に供給する。
なお、中央処理部2と携帯式ラベル印字貼付装置4との間のデータ伝送は、各種方式の無線でこれを行うことが望ましいが、中央処理部2とポスレジスター3との間のデータ伝送は、無線あるいは有線のいずれであってもよい。
【0029】
携帯式ラベル印字貼付装置4は、値下げラベルの発行および貼付けを行うもので、制御ユニット5および貼付けユニット6を有し、制御ユニット5が中央処理部2との間でリアルタイムで、あるいはバッチ処理の上、各種データの送受信を行う。
制御ユニット5および貼付けユニット6は互いに別体であって、作業者がともにこれを携帯するものとし、たとえば制御ユニット5を常に腰に携帯し、貼付けユニット6を手に把持してこれを操作する。
なお、制御ユニット5と貼付けユニット6との間のデータ伝送は、無線あるいは有線のいずれであってもよいが、無線LAN、ブルートゥース方式、あるいは、赤外線によるIrDA方式その他各種方式の無線でこれを行うことが望ましい。
【0030】
図2は、制御ユニット5の概略回路図であって、制御ユニット5は、バッテリー7と、電源スイッチ8と、CPU9と、ROM10と、RAM11と、中央処理部2および貼付けユニット6との間でそれぞれデータの送受信を行うための通信インターフェース12と、液晶ディスプレイ13(表示部)と、テンキー14(入力部)と、音声あるいは振動などによる警報器15と、を有する。
制御ユニット5は、貼付けユニット6との間で印字データの伝送を可能であり、この制御ユニット5において、通信インターフェース12を介して中央処理部2からの印字データを受信するか、あるいはテンキー14により物品に関する印字データの入力を行うとともに、液晶ディスプレイ13においてそれらの表示を行う。
さらに、この制御ユニット5の液晶ディスプレイ13において、表示変更用印字情報(たとえば、値下げ用印字データ)の印字および貼付けを促す表示変更指令(たとえば値下げ指令)を作業者に対して表示し、必要であれば、警報器15における音声あるいは振動により表示変更指令が液晶ディスプレイ13に表示されていることの注意を促す。
なお、制御ユニット5と貼付けユニット6との間のデータ伝送を無線で行うように構成すれば、作業者は貼付け作業以外の一般的な作業時には制御ユニット5のみを携帯し、より重量のある貼付けユニット6を常時携行する必要がなく、ラベル印字作業および値下げ作業時のみに貼付けユニット6を手に持てばよいとともに、有線接続による構成の場合に比較して、貼付けユニット6を操作する手作業についてその可動範囲をより広く、かつ融通性を持たせることができる。
【0031】
図3は、貼付けユニット6の概略構成図であり、貼付けユニット6は、一体のグリップ16および本体ハウジング17を有するもので、ラベル保持部18と、印字部19と、剥離部20と、貼付け部21と、を有する。
グリップ16は、作業者がこれを把持して貼付けユニット6を各売り場に携帯し、情報の読取り、印字および貼付けなどの操作を行う。
本体ハウジング17には、ラベル保持部18、印字部19、剥離部20および貼付け部21を備えるとともに、必要な回路構成を内蔵する。
ラベル保持部18は、ラベル連続体Lを保持するもので、ラベル連続体Lは、帯状の台紙L1上に複数のラベル片L2を有する。
印字部19は、サーマルヘッド22およびプラテンローラー23を有し、移送用モーター24によりプラテンローラー23を所定ピッチで回転するとともに、サーマルヘッド22には必要な印字データを供給して、この間に挟んで移送されるラベル片L2に印字を行う。
剥離部20は、転向ピン25を有し、台紙L1のみを転向ピン25において転向して、印字されたラベル片L2を台紙L1から剥離する。
貼付け部21は、本体ハウジング17の最先端部に位置し、貼付けローラー26を有し、剥離されたラベル片L2を所定の物品に貼り付ける。
【0032】
さらに貼付けユニット6は、その回路構成として、バッテリー27と、電源スイッチ28と、CPU29と、ROM30と、RAM31と、制御ユニット5との間のデータ送受信を行うための通信インターフェース32と、スキャナー33(表示情報読取り器)と、スキャナーボタン34と、印字ボタン35と、貼付けセンサー36と、稼動識別部37と、上記サーマルヘッド22および移送用モーター24と、を有する。
【0033】
スキャナー33は、貼付けユニット6における貼付け部21とは異なる部位、たとえば図示の例では、貼付けユニット6におけるグリップ16の端部にこれを取り付ける。
スキャナー33のその他の取付け部位としては、貼付けユニット6の最先端部に位置している貼付け部21から後方に位置する貼付けユニット6(本体ハウジング17)の突出部38、あるいは貼付け部21の近傍であっても、本体ハウジング17の左右いずれかの側面の側板にこれを取り付けることができる(図3中仮想線を参照)。
さらに、スキャナー33としては、貼付けユニット6に対してこれを出没可能に取り付けることにより、貼付け部21による貼付け操作あるいはその他の操作の邪魔にならないようにすることができる。
このスキャナー33は、物品もしくはその包装容器に直接的に、あるいはラベル片などを介して間接的に表示されている既表示情報を読み取り可能な任意の機器を採用することができる。
【0034】
図4は、既表示情報(値下げ前価格)を表示している値下げ前ラベル片L3の一例を示す説明図であって、この値下げ前ラベル片L3には、商品名、単価、既情報バーコード39(既表示情報)、その他必要な事項を印字してある。
既情報バーコード39としては、バーコードにより直接的に価格を表示するか、各小売店の販売システムに応じてPLU方式(プライスルックアップ方式)の場合には商品番号などを表示しており、この既情報バーコード39をスキャナー33が読み取ることにより、値下げのための新しい表示変更用印字情報(値下げ後価格、あるいは値下げ割合)を作成可能とする。
すなわち、スキャナー33により読み取った既情報バーコード39による既表示情報を制御ユニット5を介して中央処理部2に伝送し、中央処理部2においてはこの既表示情報に応じて、およびポスレジスター3からの販売データおよび他の諸条件にもとづいて、この商品について値下げ情報としての新情報バーコード40(表示変更用印字情報)を作成して、制御ユニット5に供給し、貼付けユニット6の印字部19によりラベル片L2に印字し、この新情報バーコード40を印字された新しいラベル片L2を貼付け部21により既情報バーコード39上に重ね合わせるように貼り付けて(図4中仮想線を参照)、既情報バーコード39による値下げ前の価格に代わって新情報バーコード40による値下げ価格を表示することができる。
なお、値下げラベルの種類(表示内容)によっては、ラベル片L2に上記新情報バーコード40を印字せず、購買者の目で直接視認することができる通常の文字あるいは数字による値下げ価格あるいは値下げ率を印字したものであってもよく、この場合には、新しいラベル片L2を既情報バーコード39上ではなく、物品の任意の部分に貼り付けることができる。
【0035】
具体的操作としては、グリップ16に設けたスキャナーボタン34および印字ボタン35のうち、まずスキャナーボタン34を押しながら値下げ前ラベル片L3上の既情報バーコード39をスキャニングすれば、既情報バーコード39を読み取ることができ、ついで印字ボタン35を押すことにより、ラベル片L2に新情報バーコード40を印字することができる。
なお、スキャナーボタン34を印字ボタン35とは反対側のグリップ16の側面(図3中の仮想線を参照)に設けることにより、それぞれのボタンの押し間違えを回避することができる。
さらに、スキャナーボタン34および印字ボタン35のボタンを一つにし、一般的な印字操作ではこの単一ボタンを印字動作のみの開始に使用し、中央処理部2からの表示変更指令(値下げ指令)にもとづく値下げ処理の作業においては、単一ボタンを一回押すとスキャナー33が動作し、二回目に押すことにより印字部19が動作するという構成にすることもできる。この構成により、まずスキャナー33によるスキャニングを行い、つぎに、値下げラベル(ラベル片L2)の印字という順序の動作を確実に行うことができ、一般的な印字操作による値下げ前ラベル片L3と、スキャニングにより発行されるラベル片L2とを取り違えて、その商品への貼り間違いをするようなことを防止することができる。
【0036】
貼付けセンサー36は、貼付け部21におけるラベル片L2の有無を検出可能であって、貼付け部21によるラベル片L2の物品あるいは値下げ前ラベル片L3への貼付けを確認することができるもので、この確認後、つぎの読取りあるいは印字動作に移行可能である。
【0037】
稼動識別部37は、貼付けユニット6がどの動作状態にあるかをそれぞれのランプにより表示して作業者に知らせるもので、たとえば、「スキャナー」、「印字」、「通信」などの表示部分にランプが点灯することにより識別可能とする。
【0038】
こうした構成の値下げ表示処理システム1(表示変更処理システム)および携帯式ラベル印字貼付装置4による値下げ処理について、図5にもとづき説明する。
値下げ処理を行わない一般的な印字貼付け処理は、携帯式ラベル印字貼付装置4の制御ユニット5においてテンキー14から印字データを入力するか、あるいは中央処理部2からあらかじめ作成された印字データの供給を制御ユニット5が受けて、これを貼付けユニット6に送信し、貼付けユニット6の印字ボタン35を操作することにより印字部19による印字および移送を行い、剥離部20で剥離したラベル片L2を貼付け部21の貼付けローラー26で所定の商品に貼り付けることができる。
【0039】
図5は、値下げ処理の手順を示すフローチャート図であって、ステップS1において、中央処理部2が携帯式ラベル印字貼付装置4(制御ユニット5)に値下げの開始の指令(表示変更指令)、ならびに値下げ場所(表示変更場所)、値下げ対象商品名(表示変更対象物品名)および値下げラベル用の値下げデータ(印字データ)を送信する。
【0040】
ステップS2において、制御ユニット5が上記値下げ指令および印字データを受信し、警報器15を作動させ、値下げ場所および値下げ対象商品名を含む表示変更用印字情報、さらに値下げの開始の指令を液晶ディスプレイ13に表示する。
なお、ポスレジスター3から中央処理部2に、物品の販売状況に関する販売データを供給可能として、中央処理部2は、この販売データおよび諸条件にもとづき、表示変更用印字情報および値下げの開始の指令を作成し、制御ユニット5に供給可能とする。
【0041】
ステップS3において、作業者は、貼付けユニット6のスキャナー33により値下げ対象商品の既表示情報を表示している値下げ前ラベル片L3(図4)の既情報バーコード39をスキャンしてこれを読み取る。なお、値下げ前ラベル片L3によらず、値下げ対象商品の包装箱などに既情報バーコード39などが直接印刷されている場合も同様である。
【0042】
ステップS4において、貼付けユニット6はスキャニングした既情報バーコード39のデータを制御ユニット5に送信し、その値下げ前ラベル片L3に対応した値下げラベル(ラベル片L2)の印字データを制御ユニット5から貼付けユニット6に送信する。
なお、作業者が誤って、値下げ不要のラベル片の既情報バーコード39を読んでしまった場合には、制御ユニット5の液晶ディスプレイ13あるいは警報器15によるエラー表示ないし警告を行い、値下げラベル(新しいラベル片L2)の発行を行わない。
【0043】
ステップS5において、貼付けユニット6が受信したこの印字データを印字部19においてラベル片L2に印字し、貼付け部21により値下げ前ラベル片L3に貼り付ける。ただし、図4の仮想線に示すように、既情報バーコード39を覆い隠すように、かつ他の必要な表示情報は隠さないようにする。
さらに、この値下げラベルの発行履歴(貼付けユニット6により表示変更用印字情報を発行した旨の表示変更情報発行データ)を記憶する。
なお、ラベル貼付後に、値下げラベル(ラベル片L2)と値下げ前ラベル片L3との整合性を確認することもできる。たとえば、両方のラベル片のバーコード(既情報バーコード39および新情報バーコード40)をスキャナー33で読み取り、制御ユニット5の液晶ディスプレイ13にその整合性の有無を表示する。整合性が取れていない場合には、ラベル片L2をはがして、上述の値下げラベル発行の作業を行う。
また、制御ユニット5と貼付けユニット6との間でバッチ処理による各種データの送受信を行う場合には、とくに同一価格の修正(値下げ)などを行う際にあるひとつの既情報バーコード39を読み取り、あるいは、既情報バーコード39のすべてをまず読み取ったのち、新情報バーコード40を有する値下げラベルを複数枚、一度に発行可能であるので、印字および貼付けの作業性が良好である。
【0044】
最後に、ステップS6において、上述の作業後に、携帯式ラベル印字貼付装置4の制御ユニット5が中央処理部2に上記値下げラベル発行履歴を送信する。
【0045】
かくして、値下げ前ラベル片L3により所定の物品に表示されている既表示情報(既情報バーコード39)に応じて、印字部19により新しい表示変更用印字情報をラベル片L2に印字し、貼付け部21により簡単に貼り付けることができる。すなわち、ラベル片L2の印字から貼付けまでを貼付けユニット6のグリップ16を握った状態で作業することができるので、従来のように手でラベル片L2を貼り付けるような面倒な手間がない。
【0046】
なお、貼付けユニット6の貼付け部21によりラベル片L2を商品ないし値下げ前ラベル片L3に貼り付けるのではなく、手で剥がして貼り付けるような構成とする場合には、貼付けユニット6に剥離部20および貼付け部21を設けることなく、貼付けユニット6を印字のみの印字ユニットとして構成するとともに、携帯式ラベル印字貼付装置4をラベル印字装置として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例による携帯式ラベル印字貼付装置4を含む値下げ表示処理システム1(表示変更処理システム)の概略全体説明図である。
【図2】同、制御ユニット5の概略回路図である。
【図3】同、貼付けユニット6の概略構成図である。
【図4】同、既表示情報(値下げ前価格)を表示している値下げ前ラベル片L3の一例を示す説明図である。
【図5】同、値下げ処理の手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0048】
1 値下げ表示処理システム(表示変更処理システム)(図1)
2 中央処理部
3 ポスレジスター(POSレジスター)
4 携帯式ラベル印字貼付装置(実施例、図3)
5 制御ユニット
6 貼付けユニット(図3)
7 バッテリー(図2)
8 電源スイッチ
9 CPU
10 ROM
11 RAM
12 通信インターフェース
13 液晶ディスプレイ(表示部)
14 テンキー(入力部)
15 警報器
16 グリップ(図3)
17 本体ハウジング
18 ラベル保持部
19 印字部
20 剥離部
21 貼付け部
22 サーマルヘッド
23 プラテンローラー
24 移送用モーター
25 転向ピン
26 貼付けローラー
27 バッテリー
28 電源スイッチ
29 CPU
30 ROM
31 RAM
32 通信インターフェース
33 スキャナー(表示情報読取り器)
34 スキャナーボタン
35 印字ボタン
36 貼付けセンサー
37 稼動識別部
38 突出部
39 既情報バーコード(既表示情報)
40 新情報バーコード(表示変更用印字情報)
L ラベル連続体
L1 ラベル連続体Lの台紙
L2 ラベル連続体Lのラベル片(値下げラベル片)
L3 既表示情報を表示している値下げ前ラベル片(図4)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な貼付けユニットを有し、
帯状の台紙上に複数のラベル片を有するラベル連続体を保持するラベル保持部と、
前記ラベル片に印字を行う印字部と、
この印字部により印字された前記ラベル片を前記台紙から剥離する剥離部と、
この剥離部において剥離された前記ラベル片を所定の物品に貼り付ける貼付け部と、を前記貼付けユニットに設けた携帯式ラベル印字貼付装置であって、
前記物品に表示されている既表示情報を読み取り可能な表示情報読取り器を、前記貼付けユニットに備え、
この表示情報読取り器により読み取った前記物品に関するこの既表示情報に応じて新しい表示変更用印字情報を前記印字部により前記ラベル片に印字し、
この表示変更用印字情報を印字された新しい前記ラベル片を前記貼付け部により前記物品上に貼り付け可能であることを特徴とする携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項2】
前記表示変更用印字情報は、前記物品に関する値下げ情報であることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項3】
前記表示情報読取り器は、前記貼付けユニットにおける前記貼付け部とは異なる部位にこれを取り付けることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項4】
前記表示情報読取り器は、前記貼付けユニットにおけるグリップの端部にこれを取り付けることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項5】
前記貼付け部は、前記貼付けユニットの最先端部にこれを位置させるとともに、
前記表示情報読取り器は、前記貼付けユニットにおける前記貼付け部から後方に位置する前記貼付けユニットの突出部にこれを取り付けることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項6】
前記表示情報読取り器は、前記貼付けユニットにおける前記貼付け部の側面の側板にこれを取り付けることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項7】
前記表示情報読取り器は、前記貼付けユニットに対してこれを出没可能に取り付けることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項8】
前記貼付け部による前記ラベル片の前記物品への貼付けを確認することができる貼付けセンサーを設けたことを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項9】
前記貼付けユニットとは別体に、かつ前記貼付けユニットとの間で印字データの伝送を可能な制御ユニットを設け、
この制御ユニットにおいて、前記物品に関する前記印字データの入力および表示を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付装置。
【請求項10】
前記制御ユニットとは別体の中央処理部を設け、
この中央処理部から前記制御ユニットに、前記表示変更用印字情報を供給することを特徴とする請求項9記載の携帯式ラベル印字貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−335443(P2006−335443A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164126(P2005−164126)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】