説明

携帯情報端末及びその制御方法

【課題】 携帯情報端末の存在を容易に認識することを可能とする。
【解決手段】 通信機能を有する携帯情報端末であって、筐体に装備された風船と、外部との通信を行う無線通信部112と、風船を膨らませるように作動する風船作動装置130と、無線通信部112により受信された、風船を膨らませることを指示する指令信号、または指示データに基づいて風船作動装置を駆動するように制御する制御手段(100、120)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有する携帯情報端末及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機などの携帯情報端末にあっては、紛失した携帯電話機を探す場合に、その携帯電話機に他の電話機から電話をして着信音を鳴らすことにより、周囲の人に知らせることが行われる。
また、見当らない携帯電話機の所在を明らかにするために、携帯電話機の使用者の音声を分析して音声に反応し、リンガを鳴動するようにした携帯電話機が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−156884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の携帯情報端末にあっては、携帯情報端末の周囲の環境が騒々しい場合には、着信音により報知するにせよ、リンガを鳴動させるにせよ、音が聞こえないか、あるいは音声分析ができないという問題が有る。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、携帯情報端末の存在を容易に認識することを可能とした携帯情報端末及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、通信機能を有する携帯情報端末であって、筐体に装備された風船と、外部との通信を行う無線通信手段と、前記風船を膨らませるように作動する風船作動手段と、前記無線通信手段により受信された、風船を膨らませることを指示する指令信号、または指示データに基づいて前記風船作動手段を駆動するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯情報端末において、前記指示データは、予め内容が定められた電子メールであり、前記制御手段は、電子メールを受信した際に、その内容を解釈し、該電子メールが風船を膨らませることを意味する場合には、前記風船作動手段を駆動することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、通信機能を有する携帯情報端末の制御方法であって、筐体に風船を装備し、外部から受信した風船を膨らますことを指示する指令信号、または指示データを無線通信手段により受信した際に、該指令信号又は指示データに基づいて制御手段により前記風船を膨らませるように制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯情報端末の制御方法において、前記指示データは、予め内容が定められた電子メールであり、電子メールを受信した際に、前記制御手段により、該電子メールの内容を解釈し、該電子メールが風船を膨らませることを意味する場合には、前記風船を膨らませるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、外部から風船を膨らませることを指示する指令信号、または指示データを送信することにより、携帯情報端末の筐体に装備された風船を認識の容易な大きさまで膨らますようにしたので、着信音等の音が聞こえないような環境下でも携帯情報端末の存在を容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る情報携帯端末の実施形態として携帯電話機を例にとり、説明する。本発明の実施形態に係る携帯電話機の電気的構成を図1に示す。同図において、携帯電話機1は、各種プログラムを実行することにより電話機、あるいは、ゲーム機、音楽再生機等としての機能を有するように各部の動作を制御する制御手段としてのCPU100と、各種プログラム及び固定データが格納されるROM102と、RAM104と、電話帳メモリ105と、操作入力部106と、バイブレータ108と、音声メモリ110と、無線通信部112と、音声処理部114と、楽曲再生部116と、表示部118と、風船制御部120と、マイク122と、受話用スピーカ124と、着信用スピーカ126と、風船制御部120により制御される風船作動装置130とを有している。
【0011】
ROM102には、各種機能を実現するプログラムの他に、着信メロディ用の楽曲データ等の固定データや、ゲームソフト等のアプリケーションプログラムが記憶されている。
また、RAM104には、インターネット等のネットワークを介してダウンロードした各種データが格納されるようになっている。
【0012】
電話帳メモリ105は、個人の氏名と、各個人の氏名に対応付けて電話番号、音声メモリに登録された個別メッセージを特定するメッセージ番号、及びパスワードが格納されるようになっている。
【0013】
表示部118は、各種データを表示する、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)である。
音声メモリ110は、メッセージの登録順にメッセージ番号が付けられ、該メッセージ番号に対応して音声入力手段としてのマイク122より入力された音声メッセージが登録されるようになっている。
【0014】
操作入力部106は、図2に示すように、筐体1Aに設けられ、各種データの入力、あるいは各機能の選択を行うための各種キーを有している。
各種機能として、音声メモリ110に音声メッセージを登録する音声メッセージ登録機能、着信に対して自動応答する自動応答機能が含まれる。
操作入力部106の所定のキーを操作することにより、
【0015】
操作入力部106は、具体的には、通話を開始する際に使用する開始キー、通話を終了する際に使用する終了キー(電源キーを兼用)、数字キー、メニューキーを含む各種機能キー等から構成されている。
【0016】
無線通信部112は、アンテナ20を介して受信する信号を復調し、外部に送信する信号を変調してアンテナ20を介して送信する。無線通信部112は、本発明の無線通信手段に相当する。
音声処理部114は、無線通信部112から受け取った音声信号を復号して受話用スピーカ124に出力し、マイク122から入力された音声信号を圧縮符号化して無線通信部20に送出する。
【0017】
楽曲再生部116は、着信時に着信を報知する着信メロディとしての楽曲を再生して着信用スピーカ126に出力し、あるいはROM102またはRAM104に格納された楽曲を再生する。
風船制御部120は、CPU100の制御下に風船作動装置130を駆動制御する機能を有している。無線通信部112が風船140を膨らませることを指示する指令信号、または指示データを受信すると、CPU100は、該指令信号、または指示データに基づいて風船制御部120に風船を膨らませるように指令する。
風船制御部120は、CPU100の指令に基づいて風船作動装置130を駆動制御する。CPU100及び風船制御部120は、本発明の制御手段に相当する。
【0018】
風船作動装置130は、風船制御部120からの制御信号を受けて携帯電話機1の筐体1に装備された風船を膨らませる機能を有している。
風船作動装置130は、図3において、点線で示すように携帯電話機1の筐体1A内に内蔵されており、動作時に筐体1A内に装備された風船に圧縮ガスを供給し、風船を膨らませて開口部131より外部に突出させ、携帯電話機1の存在を十分に認識可能になる大きさまで膨らませるように動作する。
なお、風船作動装置は、本発明の風船作動手段に相当する。
【0019】
CPU100、ROM102、RAM104、電話帳メモリ105、操作入力部106、バイブレータ108、音声メモリ110、無線通信部112、音声処理部114、楽曲再生部116、表示部118及び風船制御部120は、バス90を介して相互に接続されている。
【0020】
次に、風船作動装置130の構成を図4に示す。同図において、風船作動装置130は、圧縮ガス供給源1300と、風船140に圧縮ガスを供給するための配管1310と、配管1310に設けられたガス供給弁1302と、配管1310から分岐した排気用の配管1311と、排気弁1304と、ガス供給弁1302及び排気弁1304を風船制御部120からの制御信号に基づいて駆動する弁駆動部1301とを有している。
ガス供給弁1302、排気弁1304は、通常は閉弁状態にあり、駆動信号を受けて開弁するようになっている。
【0021】
次に、本実施形態に係る携帯電話機1の動作を図5のフローチャートを参照して、本発明の特徴部分である風船制御部120及び風船作動装置130の動作に限定して説明する。上記構成において、無線通信部112がアンテナ20を介して風船140を膨らませることを指示する指令信号、または指示データを受信すると(ステップ200)、CPU100は、風船制御部120に風船140を膨らませるように指令を出し、風船制御部120は、風船作動装置130に風船を膨らませるための制御信号を出力する。
【0022】
ここで、指示データは、例えば、予め内容が定められた、すなわち、風船を膨らませることを意味する電子メールであり、携帯電話機1を探すために、他の携帯電話機により作成され送信されたものである。
CPU100は電子メールの内容を解釈し、この電子メールが風船を膨らませることを意味する電子メールである場合には、風船制御部120に風船140を膨らませるように指令を出す。
【0023】
この結果、風船作動装置130では、風船制御部120からの制御信号を受けた弁駆動部1301がガス供給弁1302を開弁させるための駆動信号を出力し、ガス供給弁1302が開弁する。この結果、風船140に圧縮ガスの供給が開始される(ステップ201)。風船140に所定量の圧縮ガスを供給するまでガス供給弁1302を開弁状態とし、風船140を携帯電話機1の存在を容易に認識できる程度の大きさまで膨らませる。これにより、携帯電話機1は、図6(A)の風船が筐体1A内に収容された状態から図6(B)に示すように、筐体1A外に突出し、膨らんだ状態となる。
【0024】
次いで、風船140に所定量の圧縮ガスの供給が終了すると(ステップ202)、風船制御部120からの制御信号を受けて弁駆動部1301は、駆動信号の出力を停止し、ガス供給弁1302を閉弁させる。この結果、圧縮ガス供給源1300による風船140への圧縮ガスの供給は停止される(ステップ203)。
また、膨らんだ風船を元の状態に戻したい場合には、操作入力部106の所定のキーを操作することにより、排気弁1304を所定時間(風船内の圧縮ガスが排気されるのに十分な時間)、開弁させることにより行われる。
なお、配管1310のガス供給弁1302と風船140の間に圧力を検知する圧力センサを取り付け、圧力によってガス供給弁1302と排気弁1304を制御してもよい。
【0025】
以上に説明したように、本実施形態によれば、外部から風船を膨らませることを指示する指令信号、または指示データを送信することにより、携帯情報端末としての携帯電話機の筐体に装備された風船を認識の容易な大きさまで膨らますようにしたので、着信音等の音が聞こえないような環境下でも携帯電話機の存在を容易に認識することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、種々の変形、応用が可能である。例えば、風船140あるいは開口部131は複数あってもよく、どの風船をどの開口部から膨らませるのかを選択できるようにしてもよい。
さらに、風船140は無線通信部112が指令信号または指示データを受信した時のみならず、携帯電話機1が検出するあらゆる事象をトリガとして膨らませるようにしてもよい。例えば、携帯電話機1が強い衝撃を受けた時に膨らませるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の電気的構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観構成を示す図。
【図3】図1に示した本発明の実施形態に係る携帯電話機に風船作動装置が搭載されている状態を示す説明図。
【図4】図1に示した本発明の実施形態に係る携帯電話機における風船作動装置の構成を示すブロック図。
【図5】図1に示した本発明の実施形態に係る携帯電話機の動作を示すフローチャート。
【図6】図1に示した本発明の実施形態に係る携帯電話機における風船作動装置の非動作時と動作時の携帯電話機の外観を示す説明図。
【符号の説明】
【0027】
1…携帯電話機、1A…筐体、100…CPU、102…ROM、104…RAM、105…電話帳メモリ、106…操作入力部、108…バイブレータ、110…音声メモリ、112…無線通信部、114…音声処理部、116…楽曲再生部、118…表示部、120…風船制御部、122…マイク、124…受話用スピーカ、126…着信用スピーカ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を有する携帯情報端末であって、
筐体に装備された風船と、
外部との通信を行う無線通信手段と、
前記風船を膨らませるように作動する風船作動手段と、
前記無線通信手段により受信された、風船を膨らませることを指示する指令信号、または指示データに基づいて前記風船作動手段を駆動するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記指示データは、予め内容が定められた電子メールであり、
前記制御手段は、電子メールを受信した際に、その内容を解釈し、該電子メールが風船を膨らませることを意味する場合には、前記風船作動手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
通信機能を有する携帯情報端末の制御方法であって、
筐体に風船を装備し、外部から受信した風船を膨らますことを指示する指令信号、または指示データを無線通信手段により受信した際に、該指令信号又は指示データに基づいて制御手段により前記風船を膨らませるように制御することを特徴とする携帯情報端末の制御方法。
【請求項4】
前記指示データは、予め内容が定められた電子メールであり、
電子メールを受信した際に、前記制御手段により、該電子メールの内容を解釈し、該電子メールが風船を膨らませることを意味する場合には、前記風船を膨らませるように制御することを特徴とする請求項3に記載の携帯情報端末の制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−42148(P2006−42148A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221789(P2004−221789)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】