説明

携帯情報端末機能補助サーバ、機能補助システム、機能補助方法および機能補助プログラム

【課題】携帯情報端末と連携することで携帯情報端末自体の機能の補助や拡張を図ることのできる携帯情報端末機能補助サーバ、携帯情報端末機能補助システム、携帯情報端末機能補助方法および携帯情報端末機能補助プログラムを得ること。
【解決手段】携帯電話機111は無線LANアクセスポインタ1091を介してホームサーバ1031と接続されており、携帯電話機111側のデータの同期を図ることができる。更に携帯電話機111はホームサーバ1031の有する機能を活用する委任事項を設定することができる。ホームサーバ1031は、委任された範囲内で携帯電話機111のデータを加工する等によってその機能の補助や拡張を図る。ホームサーバ1031以外の情報処理装置も携帯電話機111と同様の関係を構築可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末の機能を補助する携帯情報端末機能補助サーバ、携帯情報端末機能補助システム、携帯情報端末機能補助方法および携帯情報端末機能補助プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、通信機能付きのPDA(Personal Digital Assistants)、携帯型小型パーソナルコンピュータ等の携帯情報端末が広く普及している。これら携帯情報端末は、ビジネスの用途や私的な用途に広く使用されており、多くのユーザにとって手放せないツールとしての地位を確立している。携帯情報端末はその機能の高度化に伴って、必要なときに任意の場所で必要なデータを記録、参照、更新することができるだけでなく、電話、ファクシミリ、電子メール、インターネットのホームページ閲覧等の種々の機能を備えている。また、このような携帯情報端末は、近年の高機能化に伴って通話やメールといったコミュニケーション以外にも、カメラによる静止画や動画の撮影、自作絵文字やHTML(HyperText Markup Language)メールテンプレート等の自作コンテンツ、電話帳やスケジュール等の各種情報を生成するツールとなっている。
【0003】
しかしながら、携帯情報端末は携帯型であるというサイズ上の大きな制約がある。したがって、データの記憶量について非携帯型のパーソナルコンピュータと比較すると、携帯情報端末は非常に制限されたものとなる。また、データ変更の履歴を保存する容量がないため、データを事故や操作誤りなどによって削除した場合は、回復の手段がなく、これらのデータはそのまま失われることが多い。
【0004】
そこで、このような携帯情報端末をパーソナルコンピュータと適宜接続して、携帯情報端末側のデータをパーソナルコンピュータ側にバックアップしておくことが本発明の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この関連技術では、携帯情報端末とパーソナルコンピュータを接続することで、パーソナルコンピュータ側に設けた画像データや音声データといったデータの種類別のフォルダに携帯情報端末のデータを格納すると共に、更新処理を行っている。
【特許文献1】特開2005−202455号公報(第0111段落〜第0114段落、図20)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この関連技術のように、携帯情報端末と、デスクトップ型のパーソナルコンピュータのような非携帯型の情報機器とが同一のデータを共有する形態が、新しい技術の動向として注目されている。そして、データの共有を行う非携帯型の情報機器は、携帯情報端末に対してホームサーバと呼ばれる場合がある。たとえば、ユーザが外出先の携帯情報端末から自宅のパーソナルコンピュータに格納されている共有データとしての各種のファイルを自在にダウンロードしたり、自宅のパーソナルコンピュータに届いた電子メールをチェックするといったことは、ユーザが専用のホームサーバを所持するという概念で説明することができる。
【0006】
また、近年になってFMC(Fixed Mobile Convergence)といった通信サービスが提供されつつあり、家の中で携帯情報端末を固定電話機の子機として使用するといったような、移動体通信と有線通信を融合した通信サービスが開始されている。ここでは、ホームサーバと呼ばれる非携帯型の情報機器が呼の管理や制御、データの管理などを行っている。
【0007】
このような技術的な動向の下で、携帯情報端末には、他の情報処理装置を前記した関連技術のように単にバックアップの対象として捉えるだけでなく、積極的な連携処理が求められている。
【0008】
そこで本発明の目的は、携帯情報端末と連携することで携帯情報端末自体の機能の補助や拡張を図ることのできる携帯情報端末機能補助サーバ、携帯情報端末機能補助システム、携帯情報端末機能補助方法および携帯情報端末機能補助プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、(イ)携帯情報端末の接続時にその携帯情報端末により委託された委託事項が前記した携帯情報端末に発生しているか否かを確認する委託事項発生有無確認手段と、(ロ)この委託事項発生有無確認手段が前記した委託事項が発生していることを確認したとき、前記した携帯情報端末に格納されている所定の委託対象情報に対して前記した委託事項の示す内容に基づいた処理を実行する委託事項処理手段とを携帯情報端末機能補助サーバに具備させる。
【0010】
また本発明では、(イ)請求項1〜請求項8いずれかに記載の携帯情報端末機能補助サーバと、(ロ)前記した携帯情報端末とを携帯情報端末機能補助システムに具備させる。
【0011】
更に本発明では、(イ)携帯情報端末の接続時にその携帯情報端末により委託された委託事項を受信する委託事項受信ステップと、(ロ)この委託事項受信ステップで委託された前記した委託事項が前記した携帯情報端末に発生しているか否かを確認する委託事項発生有無確認ステップと、(ハ)この委託事項発生有無確認ステップで前記した委託事項が発生していることを確認したとき、前記した携帯情報端末に格納されている所定の委託対象情報に対して前記した委託事項の示す内容に基づいた処理を実行する委託事項処理ステップとを携帯情報端末機能補助方法に具備させる。
【0012】
また、本発明では、携帯情報端末と有線または無線によって接続する接続手段を備えた装置のコンピュータに、携帯情報端末機能補助プログラムとして、(イ)前記した携帯情報端末の接続時にその携帯情報端末により委託された委託事項を受信する委託事項受信処理と、(ロ)この委託事項受信処理で委託された前記した委託事項が前記した携帯情報端末に発生しているか否かを確認する委託事項発生有無確認処理と、(ハ)この委託事項発生有無確認処理で前記した委託事項が発生していることを確認したとき、前記した携帯情報端末に格納されている所定の委託対象情報に対して前記した委託事項の示す内容に基づいた処理を実行する委託事項処理実行処理とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、携帯情報端末機能補助サーバが接続対象の携帯情報端末の委託した委託事項の範囲内で携帯情報端末に対して処理を行うので、事前に確認された範囲内で処理が進行することになり、携帯情報端末のユーザの特別の確認が不要となって、ユーザ側の負担を軽減することができる。また、携帯情報端末の機能を携帯情報端末機能補助サーバが補助するので、携帯情報端末に必ずしも高度の機能を備える必要がなくなり、コストの低減や携帯情報端末自体の信頼性の向上を図ることができる。
【0014】
また、複数の携帯情報端末が携帯情報端末機能補助サーバによって機能的に結合する形態を採ることが可能になるので、携帯情報端末同士のデータや機能の共有を図ることもできる。また、同一のデータが複数個所に保持されることによるデータの消失や紛失に対処可能になる。更に携帯情報端末自体は機能的に変化しなくても、携帯情報端末機能補助サーバの高度化や機能の多様化によって携帯情報端末の実現する機能も高度化や多様化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態による携帯情報端末機能補助システムの概要を表わしたものである。本実施の形態の携帯情報端末機能補助システム100は、LAN(Local Area Network)等の小規模のネットワークで構成される第1の小規模ネットワーク1021および第2の小規模ネットワーク1022を備えている。このうち第1の小規模ネットワーク1021は、第1のホームサーバ1031を介して第1のNGN(Next Generation Network)網1041と接続されている。また、第2の小規模ネットワーク1022は、第2のホームサーバ1032を介して第2のNGN網1042と接続されている。ここでNGN網は、現行の公衆網を代替する次世代IPネットワークをいう。第1および第2のNGN網1041、1042は、相互に直接接続される他、インターネット105およびPSTN(Public Switched Telephone Networks)106を介して接続されている。
【0017】
第1の小規模ネットワーク1021は、固定電話機108および第1の無線LANアクセスポインタ1091を接続している。第1の無線LANアクセスポインタ1091には、携帯電話機111や通信機能を備えたノート型パーソナルコンピュータ112が無線によって接続されている。第2の小規模ネットワーク1022は、ファクシミリ装置121や第2の無線LANアクセスポインタ1092およびデスクトップ型のパーソナルコンピュータ122が接続されている。また、第2の無線LANアクセスポインタ1092には、無線でPHS(Personal Handyphone System)123が接続されている。通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistants)や、その他の携帯情報端末が接続されることが可能なことは第1の無線LANアクセスポインタ1091と同様である。
【0018】
図2は、第1のホームサーバの構成の概要を表わしたものである。図1と共に説明する。本実施の形態で第1のホームサーバ1031は、図1に示した携帯電話機111の機能を補助するサーバとしての役割を有している。図1に示した第2のホームサーバ1032もPHS123の機能を補助するサーバとしての役割を有している。第2のホームサーバ1032は、第1のホームサーバ1031と同様の構成となっているので、その構成の図示および詳細な説明は省略する。
【0019】
第1のホームサーバ1031は、CPU(Central Processing Unit)131および制御プログラムや各種データを格納するメモリ132を備えた主制御部133を備えている。主制御部133は、データバス等の情報伝達手段134によって装置内の各部と接続されている。これらは、ユーザインタフェース処理部135、認証処理部136、データ同期処理部137、データ管理処理部138、呼制御処理部139、インタフェース処理部140およびデータベース格納部141となっている。
【0020】
ここで、ユーザインタフェース処理部135は、ユーザと情報のやり取りをするためのインタフェースである。インタフェース処理部140は、第1のホームサーバ1031をNGN網1041やインターネット105等のネットワークに接続するためのインタフェースであり、たとえばLANからなる第1の小規模ネットワーク1021に接続されている。第1の小規模ネットワーク1021には固定電話機108、携帯電話機111、ノート型パーソナルコンピュータ112等の通信端末が接続されるようになっている。インタフェース処理部140は、第1の小規模ネットワーク1021から受信したデータの種類に応じてサーバを構成する各処理部135〜139にデータを送信する一方、これらの処理部135〜139から供給されるデータを第1の小規模ネットワーク1021を介して携帯電話機111、ノート型パーソナルコンピュータ112等の通信端末に送信するようになっている。
【0021】
データベース格納部141は、ユーザ情報に関するユーザ情報データベース151と、ユーザデータに関するユーザデータデータベース152と、認証情報に関する認証情報データベース153と、データの同期を行う場合の差分データに関する同期差分データベース154と、データ管理を行う委託事項の設定内容に関するデータ管理設定データベース155および履歴情報に関する履歴情報データベース156を格納するようになっている。
【0022】
主制御部133は、この第1のホームサーバ1031の全体的な制御を行うようになっている。そして、CPU131がメモリ132に格納された制御プログラムを実行することによって、情報伝達手段134に接続された各部のうちの少なくとも一部の処理部を機能的に実現するようになっている。
【0023】
ユーザは、この第1のホームサーバ1031に認証や同期、履歴やファイル管理等の委託事項に関する各種の設定を行う。ただし、ユーザは携帯電話機111に代表される機能補助を実現させる対象としての携帯情報端末から委託事項をその都度受信してこれらの設定を行うことも可能である。また第1のホームサーバ1031は、本来の機能として、外線あるいは内線電話の呼制御を行ったり、携帯電話機111やノート型パーソナルコンピュータ112等の端末の情報を管理するユーザ設定や、これら端末の各種データを管理するようになっている。
【0024】
図3は、携帯電話機の構成の概要を表わしたものである。本実施の形態で携帯電話機111は、その本来の機能を超えたり、機能的には実現できても負荷が掛かり、その処理を行うことが得策でないような所定の事項を図2で説明した第1のホームサーバ1031に委託事項として委託することができる。図1で示したPHS123の第2のホームサーバ1032との関係も同様である。PHS123は、携帯電話機111と同様の構成となっているので、その構成の図示および詳細な説明は省略する。
【0025】
携帯電話機111は、CPU161および制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)162を備えた制御部163を有している。制御部163は、データバス等の情報伝達手段164によって装置内の各部と接続されている。これらは、無線通信部165、メモリ部166、データ部167およびインタフェース部168となっている。インタフェース部168は、図示しない表示用のディスプレイや通話用のマイクロフォンおよびスピーカと接続されている。
【0026】
図4は、第1のホームサーバのデータベース格納部におけるユーザデータを管理するフォルダ構成の一例を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。
【0027】
図2に示した第1のホームサーバ1031のデータベース格納部141には、第1のユーザ用フォルダ1711、第2のユーザ用フォルダ1712、……というようにユーザごとのフォルダが用意されている。この例では、第1のユーザ用フォルダ1711は携帯電話機111のユーザ用に割り当てられたフォルダであり、第2のユーザ用フォルダ1712は第1の小規模ネットワーク1021に属する図示しない他の携帯情報端末のユーザ用に割り当てられたフォルダである。
【0028】
第1のユーザ用フォルダ1711の1階層下には、携帯電話機111とデータの同期を採るための同期フォルダ1721、ユーザデータの変更履歴を記録する履歴フォルダ1731、ユーザデータを整理し再利用を容易にするためのデータフォルダ1741、削除したデータを一時的に保存するためのごみ箱フォルダ1751、ユーザ認証や各フォルダのユーザ設定および委託事項を記録した設定フォルダ1761等の各種のフォルダが配置されている。ここで委託事項とは、第1のホームサーバ1031がユーザの使用する携帯電話機111の機能を補助するために処理を委託された事項である。
【0029】
同期フォルダ1721の配下には、電話帳、スケジュール、DCIM(Digital Camera Image)規格に沿った画像データ、音楽データ等の携帯電話機111とデータの内容が同期した各種のフォルダ群181が格納されている。この図4では、一例として画像データについてのフォルダに関して更に配下のデータ構造を表わしている。それによると、デジタルカメラは、互換性を重視したDCIM規格による所定のフォルダとしての「100NEDT」という名称のフォルダ182の下にいくつかのファイル名のJPG(Joint Photographic Experts Group)画像のイメージデータ183が格納されている。同期フォルダ1721の内容は、ユーザ側の携帯電話機111と同期を採った最新のデータとなっている。
【0030】
これに対して、履歴フォルダ1731には、同期フォルダ1721と配下のフォルダ構造が同一となっているが、ここにはユーザがデータを変更した履歴が格納される。たとえば電話帳を変更した日時、変更前後の内容、携帯電話機111や第1のホームサーバ1031の変更操作元情報が一例として格納される。図4に示した例では、電話帳の変更内容が、それらの生じた日時データごとの履歴185として記録されている。
【0031】
データフォルダ1741には、設定フォルダ1761に設定した委託事項に基づいて第1のホームサーバ1031側に処理を行わせた結果としてのデータが保持されている。委託事項は、ユーザが第1のホームサーバ1031を直接操作することで設定フォルダ1761に設定したものであってもよいし、携帯電話機111に書き込まれた委託事項を第1のホームサーバ1031が認証を行って受信し、設定フォルダ1761に設定したものであってもよい。
【0032】
ところで同期フォルダ1721の配下のフォルダ群181には、ユーザが携帯電話機111を用いて静止画を撮影したときに、以後の互換性を重視する観点から、前記したようにDCIM規格で画像にフォルダ名とファイル名が与えられた形で格納される。これは携帯電話機111側が撮影時に処理したフォルダ名とファイル名である。
【0033】
このようなDCIM規格で規定された処理のままでは、ユーザが携帯電話機111に大量の静止画を格納したような場合に個々の画像の内容を判別することが困難となる。すなわち、1つ1つのファイルに格納された多くの画像データから目的の画像データを探し出すことが容易ではなくなる。また、通常の携帯情報端末としての携帯電話機111では、ファイル名の付与のルールが単純なものであることが多い。このため、ファイル名が重複する場合が多々出現し、そのままではデータの再利用が困難となる。
【0034】
そこで本実施の形態では、同期フォルダ1721や履歴フォルダ1731とは別に、第1のホームサーバ1031側にデータフォルダ1741を設けている。そして、ユーザが委託事項としてフォルダの分類整理を第1のホームサーバ1031に委託したとき、このデータフォルダ1741を用いてフォルダの分類整理を第1のホームサーバ1031側がユーザの関与しない状態で実行する。この結果として、図4に示すように、データフォルダ1741の下には、DCIM規格とは異なる静止画フォルダ191が作成され、その配下には、撮影年月日を「20070831」のようにフォルダ名としたフォルダ192A、192B、……が作成される。
【0035】
また、これらのフォルダ192A、192B、……の中のそれぞれの画像ファイル193には、ファイル名としてそれぞれの撮影場所の地名が記載されて保存されるようになっている。撮影場所の地名は、デジタルカメラ用の画像ファイルの規格である「Exif」(Exchangeable Image File Format)における位置情報ヘッダから取得した個々の画像データの撮影緯度および経度を用いて撮影場所を検索して得られる。この結果、たとえば2007年8月31日に撮影された画像ファイルをフォルダ名から探し出したり、各フォルダに格納された個々の画像データのファイル名からこれらの画像データがどの場所で撮影されたかが分かるようになる。
【0036】
このようにしてユーザが委託事項としてフォルダ名や内部の画像データの名称をどのようなものにするかを予め指定しておくと、第1のホームサーバ1031は携帯電話機111から同期フォルダ1721に読み出した書き換え前の該当するフォルダを読み出して、これらの名前の書き換えを行い、その結果を携帯電話機111に戻す。このとき、同期フォルダ1721に格納されているそれぞれのデータは、インデックスを付与して、データフォルダ1741内のデータと同じもの同士が紐付けされるようになっている。したがって、携帯電話機111にリネームされたデータが送り返されるときに、同一のデータが携帯電話機111に重複して格納されることにはならない。
【0037】
また、リネームが行われたときには、それ以前のデータとしての同期フォルダ1721に格納されていたデータはごみ箱フォルダ1751に格納される。このようにごみ箱フォルダ1751は、各フォルダで削除したデータや、迷惑メール等のように第1のホームサーバ1031側でユーザの関与なしに委託事項に沿って削除されたデータを保持する。これは、委託事項によって第1のホームサーバ1031側の行った処理内容をユーザが取り消す場合に、携帯電話機111側のデータを元の状態に戻せるようにするためである。
【0038】
次に、以上説明したデジタルカメラ用の画像ファイルのリネームの処理における第1のホームサーバ1031と携帯電話機111の間で行われる動作を説明する。
【0039】
図5は、携帯電話機と第1のホームサーバとの同期シーケンスの一例を表わしている。図1および図4と共に説明する。ユーザは、この例で自分の所持する携帯電話機111を図1に示したように第1の無線LANアクセスポインタ1091を介して第1のホームサーバ1031に無線で接続し、「REGISTER」要求を第1のホームサーバ1031に送信して認証処理を実行する(ステップS201)。「REGISTER」要求に対して第1のホームサーバ1031から「OK」信号を取得して認証に成功したら、ユーザが予め行ったタイマ設定に従って、携帯電話機111と第1のホームサーバ1031の間でデータの同期を行う(ステップS202)。ここで行うデータの内容の同期は、たとえばPDA(Personal Digital Assistants)とパーソナルコンピュータの間でスケジュール管理を行うような場合に、各種の製品によって行われている公知の手法と同一である。そこで、これについての具体的な説明は省略する。
【0040】
このように第1のホームサーバ1031に携帯電話機111が帰属している間に携帯電話機111側でデータの作成や変更があると(ステップS203)、携帯電話機111は「NOTIFY」信号を第1のホームサーバ1031に送信する(ステップS204)。これに対して第1のホームサーバ1031から「OK」信号を取得すると(ステップS205)、携帯電話機111が変更したデータ内容でデータの同期が実行される(ステップS206)。
【0041】
同様に第1のホームサーバ1031側にデータに変更があった場合には(ステップS207)、携帯電話機111に「NOTIFY」信号が送られる(ステップS208)。たとえば図4で説明したようにデータフォルダ1741内の静止画フォルダ191に変更後のフォルダやファイルが格納されたような場合である。このような場合で携帯電話機111が「OK」信号を第1のホームサーバ1031に送信すると(ステップS209)、変更後のデータの内容についての同期が実行されることになる(ステップS210)。
【0042】
携帯電話機111に対する以上のような同期処理は、必ずしも第1のホームサーバ1031を対象として行う必要はなく、たとえば図1に示したノート型パーソナルコンピュータ112との間でも行うことができる。しかしながら、ノート型パーソナルコンピュータ112は常に第1の無線LANアクセスポインタ1091に接続されているとは限らない。したがって、ノート型パーソナルコンピュータ112に図4に示したようなユーザデータ管理用のフォルダを作成して委託事項で示した処理を行わせること自体は可能であるが、このような処理が常に可能であるという保証はない。本実施の形態では第1のホームサーバ1031が常時動作する環境となっているので、ユーザは携帯電話機111をこの第1のホームサーバ1031に接続するだけで、特別の操作を行うことなく、また、このような操作が行われていることを意識する必要もなく、予め定めた委託事項による処理が可能になる。
【0043】
図6は、図4で説明した委託事項に基づいたホームサーバの処理の概要を表わしたものである。図1と共に説明する。携帯情報端末機能補助サーバとしての第1のホームサーバ1031は、前記したデータの同期を行う段階で、変更されたデータ、あるいは新規のデータが携帯情報端末としての携帯電話機111から送られてきたかをチェックする(ステップS221)。このようなデータが存在しなければ、第1のホームサーバ1031側でデータに対する補助的な処理を行う対象がないことになる。そこで、この場合には(N)、処理を終了する(エンド)。
【0044】
これに対して、携帯電話機111から送られてきたデータにこのようなデータが存在した場合には(ステップS221:Y)、これが予め第1のホームサーバ1031側に設定された委託事項の対象となるデータに該当するかをチェックする(ステップS222)。該当しなければ(N)、処理を終了する(エンド)。
【0045】
委託事項に該当している場合(ステップS222:Y)、第1のホームサーバ1031はその委託事項を実行する(ステップS223)。そして、これによって変更されたデータの内容を携帯電話機111に送信することで、データ内容の同期を図る(ステップS224)。これにより、携帯電話機111は所望のデータを取得することになる(エンド)。この同期の過程で、すでに説明したように変更前のデータが携帯電話機111から削除される。また、削除されたデータがまだ第1のホームサーバ1031のごみ箱フォルダ1751(図4)に残っている間は、ユーザの要求によってその回復が可能である。
【0046】
図7は、委託事項のうちの画像データについてのフォルダ名およびファイル名の変更処理の内容を具体的に表わしたものである。これは、図6のステップS223の処理の一形態である。図1および図4と共に説明する。
【0047】
第1のホームサーバ1031では、まずデータフォルダ1741内に撮影年月日ごとのフォルダ(フォルダ192A、192B、……)を作成して、これらのフォルダに撮影年月日を示す名前を付ける(ステップS241)。これは、図6のステップS221で変更されたデータあるいは新規のデータとして判別された画像データを対象とするものとなる。
【0048】
このようにして作成した各フォルダ192A、192B、……に、対応する画像ファイルを格納する(ステップS242)。この後で、第1のホームサーバ1031は最初のフォルダを指定して(ステップS243)、このフォルダ内の各ファイルの名称を場所を表わしたファイル名に変更する(ステップS244)。具体的には、すでに説明したように「Exif」における位置情報ヘッダから個々の画像データの撮影緯度および経度を取得して、これらを用いて撮影場所を検索する。そして、検索結果としての各場所のファイル名を付与する。同一のフォルダに同一の場所を示すファイルがある場合、これらに連番を付ける。
【0049】
ステップS244で示したこの処理が1つのフォルダ内の全ファイルについて終了したら、第1のホームサーバ1031は次のフォルダが存在するかどうかをチェックする(ステップS245)。そして、このようなフォルダが未処理のフォルダとして残っている場合には(Y)、そのフォルダについてステップS244の処理を行う。このようにして次のフォルダとしての残りのフォルダがなくなったら(ステップS245:N)、画像データについてのフォルダ名およびファイル名の変更処理を終了させる(エンド)。
【0050】
図8は、携帯情報端末がデータを受信したときの自身のデータベースへのデータの登録処理の様子を表わしたものである。これは、図1に示した第1のホームサーバ1031から同期によるデータを受け取ったような場合の処理である。図3と共に説明する。
【0051】
携帯情報端末としての携帯電話機111はデータを受信すると(ステップS261:Y)、これをメモリ部166の図示しないバッファ領域に登録してその内容を解析し(ステップS262)、データ部167の図示しないデータベースに登録する内容のものであれば(ステップS263:Y)、登録済みのデータであるかどうかを判別する(ステップS264)。ステップS263でデータベースに登録する内容のものではないと判別された場合には(N)、そのまま処理を終了する(リターン)。
【0052】
ステップS264で登録済みのデータであると判別された場合には(Y)、該当するデータのインデックス番号を前記したバッファ領域に反映してから、データ部167の前記したデータベースへの他からのアクセスを一時的にロックして(ステップS265)、その受信したデータを用いてデータベースの変更を行う(ステップS266)。そして、変更が完了したら、このデータベースへの他からのアクセスのロックを解除する(ステップS267)。このようにデータベースへのアクセスを一時的にロックする理由を説明する。
【0053】
図1に示した携帯電話機111等の携帯情報端末では、着信があった場合等の各種の場合に、登録されているデータを引用する機能が多々ある。たとえば着信があった際に図示しない電話帳を検索して、発呼側が登録済みの番号である場合にはその電話帳から発信者の氏名をディスプレイに表示する。また、登録されている着信音を鳴動させる等の所定の動作が行われる。このように着信などのイベントが発生した際には、本実施の形態の携帯電話機111のデータベースへのアクセスが発生する。このようなアクセスを一時的にロックして、データベースを更新中のデータへのアクセスを回避して、データの保護を行うのである。
【0054】
ステップS264で登録済みのデータと判別されなかった場合には(N)、そのデータの新規登録を行って(ステップS268)、再びデータの受信を待機する状態となる(リターン)。
【0055】
図9は、図8で説明したデータベースへのアクセスがロックされた状態でのデータの参照処理の様子を表わしたものである。これは、携帯電話機111が第1のホームサーバ1031との間で自身のデータベースを変更している最中に、携帯電話機111側で着信などのデータを参照するイベントが発生したような場合の処理である。図1および図3と共に説明する。
【0056】
イベントが発生すると(ステップS281:Y)、携帯電話機111は第1のホームサーバ1031との間でデータ内容の同期を行っている最中であるかをチェックする(ステップS282)。そうでなければ(N)、通常通り、そのイベントに対応した該当するバッファデータを参照して(ステップS283)、処理を終了する(エンド)。
【0057】
一方、同期実施中の場合には(ステップS282:Y)、自身のデータベースの変更を停止し、第1のホームサーバ1031との間の同期処理を一時的に停止する(ステップS284)。そして、自身のデータベースの検索を行って、検索が未完了であれば(ステップS285:Y)、アクセスするデータがロック中であるかをチェックする(ステップS286)。ロックされていなければ(N)、ユーザデータを参照して(ステップS287)、ステップS285の処理に戻る。ステップS286で該当するデータへのアクセスがロック中と判別された場合には(Y)、バッファ領域に一時保存されているデータを参照して(ステップS288)、ステップS285の処理に戻ることになる。
【0058】
以上の処理が繰り返された結果、ある時点で携帯電話機111のデータベースに対する検索が完了したら(ステップS285:N)、このデータベースへの変更についての処理が再開することで(ステップS289)、一連の処理が終了する(エンド)。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態では携帯電話機111と比較すると、データの保存可能な容量の大きな第1のホームサーバ1031が画像データに関するフォルダやファイルの名称について、ユーザの所望する変更を行うことにした。したがって、第1のホームサーバ1031は、詳細な履歴を保存したり、保存方法を細かく設定することで、ユーザデータの整理に高度に対応できることになる。この結果、ユーザは自身の所持する携帯電話機111を例えば画像の撮影後に第1のホームサーバ1031に接続するだけで、画像データの加工や再利用が容易になる。
【0060】
また、第1のホームサーバ1031は変更の対象となったデータのバックアップ処理の機能も備えているので、ユーザの設定した委託事項が適切でなったような場合には、第1のホームサーバ1031の行った機能補助の処理を元に戻すことが可能である。
【0061】
更に、第1のホームサーバ1031にバックアップされた携帯電話機111に関するデータを、携帯電話機111と図1に示したPHS123の所持者が同一であるような場合に、PHS123の内容として取り込むことも可能である。すなわち、所定の条件の下で、複数の携帯情報端末が情報を簡易に共有するシステムを構築することができる。このように、ホームサーバに複数の端末を登録することで、これらの間で同じデータの状態を保つことができることから、複数の端末をホームサーバをハブとして情報共有が可能になる。
【0062】
なお、本実施の形態では携帯電話機111あるいはPHS123に対して、無線接続された第1のホームサーバ1031あるいは第2のホームサーバ1032を携帯情報端末機能補助サーバとして用いたが、たとえばデスクトップ型のパーソナルコンピュータ122を携帯情報端末機能補助サーバとして用いることも可能である。また、前記したノート型パーソナルコンピュータ112も接続に時間的な制限がある点を了解すれば、携帯情報端末機能補助サーバとして用いることも可能である。もちろん、第1のNGN網1041やインターネット105等のネットワークに接続されたコンピュータも、携帯電話機111やPHS123等の携帯情報端末のデータの処理を委託できるという点で本発明の携帯情報端末機能補助サーバとしての適格性を有している。
【0063】
また、実施の形態では携帯電話機111やPHS123等の携帯情報端末が携帯情報端末機能補助サーバと無線で接続される場合を説明したが、これに限られるものではない。たとえば、USB(Universal Serial Bus)コネクタを介して両者が有線で接続されるものであってもよい。
【0064】
更に、携帯情報端末機能補助サーバ(ホームサーバ)が携帯情報端末の委託事項として処理する内容は、本実施の形態で説明したものに限られないことは当然である。次に、幾つかの委託事項について、これらの制御の概要を説明する。
【0065】
<電子メールのアドレス変更通知>
【0066】
図10は、電子メールのアドレスを変更した場合のアドレス変更通知処理を委任事項とした処理の流れを表わしたものである。図1に示した第1のホームサーバ1031は、携帯電話機111とデータの同期をとったときに発信者としての携帯電話機111の所持者のメールアドレスが変更されたかのチェックを行う(ステップS301)。変更されていない場合には、アドレス変更通知処理を行う必要がないので、そのまま処理を終了させる(エンド)。
【0067】
これに対して、発信者の電子メールのアドレスが変更になっている場合(ステップS301:Y)、第1のホームサーバ1031は、最新に同期させた電子メールのアドレス帳からアドレス変更の通知の対象となる宛先を抽出する(ステップS302)。ユーザが設定によって、自分のアドレス帳に載っているすべてのアドレスをアドレス変更の通知先と指定していた場合には、すべての電子メールアドレスがアドレス変更の通知の対象となる。一方、ユーザがこのような通知の対象となる宛先に印を付けていた場合には、その印の付いた宛先が抽出される。
【0068】
このようにしてアドレス変更の通知の対象となる宛先が抽出されたら、第1のホームサーバ1031は、ユーザが予め選択しておいた通知の様式に従って、個々の宛先に対する電子メールのアドレス変更通知のメールを作成する(ステップS303)。この際に、同報メールにすると、受信した者が同報通信の他の宛先を知る手掛かりを与えて好ましくない場合がある。このような場合には、宛先別に電子メールが個別に作成される。
【0069】
各宛先に対する電子メールのアドレス変更通知のメールの作成が終了したら、第1のホームサーバ1031はこれを携帯電話機111の電子メール用の送信フォルダに転送する(ステップS304)。そして、続いて、第1のホームサーバ1031は送信フォルダ内の携帯情報端末111に電子メールの送信指示を送出する(ステップS305)。携帯情報端末111はこの送信指示を受けて、各宛先に電子メールのアドレス変更通知のメールを送出する。
【0070】
このようにユーザが携帯電話機111を購入したような場合に、将来の電子メールのアドレスの変更を想定して委任事項を事前に設定しておけば、アドレスを変更した時点で自動的にその案内を通知することができる。もちろん、システムによっては第1のホームサーバ1031側にこのような設定を行わず、電子メールのアドレスの変更があった時点で委任事項を携帯電話機111側で設定し、第1のホームサーバ1031側に送出するようにしてもよい。
【0071】
以上説明した委任事項の実行により、ユーザが意識しないでもメールアドレスを変更することができるという効果がある。これにより、プロバイダの変更あるいは携帯電話機のキャリアの変更等の要因で電話帳データが変更になった場合でも、変更を通知したい相手の操作を必要としない。また、キャリアやISP(Internet Services Provider)が運用するサーバに依存することなくメールアドレスの変更を通知することができるので、同様の手法を推し進めれば、先方の携帯情報端末のアドレス帳をユーザが操作することなく自動で変更することも可能になる。また、同様の手法で携帯情報端末の電話番号の変更の通知も行うことができる。
【0072】
<受信電子メールの整理>
【0073】
図11は、受信した電子メールの初期的な整理を委任事項とした場合の処理の様子を表わしたものである。図1に示した第1のホームサーバ1031は、携帯電話機111とデータの同期をとったときに携帯電話機111の受信した電子メールのうちの未整理のものが受信フォルダに存在するかのチェックを行う(ステップS321)。存在しない場合には、この処理が不要なので、そのまま処理を終了させる(エンド)。
【0074】
未整理の電子メールが存在した場合(ステップS321:Y)、第1のホームサーバ1031は、携帯電話機111からデータの同期の際に得られたアドレス帳を検索して、このアドレス帳に登録されている電子メールが受信されている場合には、削除の対象とならない「知り合い」からの電子メールであるとして所定のフレンドマークをこれに付加する(ステップS322)。次に、フレンドマークの付いた電子メールに対しては、履歴データを参照して、メールを受信してからこれに返信するまでの処理時間の統計値を割り出して、これが所定の基準よりも短い場合には、重要なメールであることを示す重要メールマークをこの電子メールに付加する(ステップS323)。これは、ユーザが多くの電子メールの中からすぐに読んだり返信する必要のあるメールを簡易に選び出させるためである。
【0075】
次に、第1のホームサーバ1031は、既存のスパム(spam)データベースや、ユーザが登録したブラックリストに掲載されている電子メールのアドレスがあるものについて、削除マークを付加する(ステップS324)。そして、このような電子メールは第1のホームサーバ1031で自動的に削除できる前提になっているかを確認し(ステップS325)、委任事項として削除する設定になっていれば(Y)、該当する電子メールを削除する(ステップS326)。このような電子メールを削除できる設定となっていない場合には(ステップS325:N)、ステップS326の処理は行わない。
【0076】
最後に、以上の処理を経た電子メールを整理済みの電子メールとして、第1のホームサーバ1031は携帯電話機111とデータの同期をとることになる(ステップS327)。
【0077】
したがって、このような委任事項の処理によって、ユーザは受信した電子メールが大量であっても、処理をスピーディに行うことができる。また、確証の持てるスパムメール等の不要なメールについては、事前に削除することも可能であり、処理時間を更に短縮することができる。
【0078】
<逐次通話翻訳>
図12は、逐次通訳処理を委任事項として処理を携帯情報端末機能補助サーバ(ホームサーバ)側に行わせる場合の処理の概要を表わしたものである。ユーザが携帯電話機111を使用して異なった言語で通話を行う場合に、通訳処理を行うには、ある程度高度のデータ処理を行う装置が使用される場合が多い。したがって、このような場合、携帯情報端末機能補助サーバとしては図1に示す第1あるいは第2のNGN網1041、1042、あるいはインターネット105に接続された図示しない翻訳や通訳を得意とするサーバを携帯情報端末機能補助サーバとして割り当てるようにしてもよい。
【0079】
逐次通訳処理を委任事項とする場合、携帯情報端末機能補助サーバは携帯電話機111で1単位の送話を終了したか1単位の受話が終了したかをチェックしている(ステップS341、ステップS342)。たとえばユーザが携帯電話機111の図示しない操作パネルの特定のキーを押すことで1単位の送話が終了したことを第1の無線LANアクセスポインタ1091(図1)を経由して所定の携帯情報端末機能補助サーバに伝達したとする(ステップS341:Y)。携帯情報端末機能補助サーバはそれまで携帯電話機111から送話された内容を音声認識して翻訳し(ステップS343)、通話相手の言語の音声情報を送話データとして携帯電話機111に送出する(ステップS344)。携帯電話機111は、これを通話相手の一例としてのPHS123(図1)に音声データで送信する。これにより、PHS123側の話者は、携帯電話機111のユーザの喋った言葉の後に、合成音での通訳の音声データを聞くことができる。
【0080】
また、PHS123側の話者が喋ったことによる音声データは携帯電話機111が同様に携帯情報端末機能補助サーバに送信する。受話が完了すると(ステップS342:Y)、携帯情報端末機能補助サーバはこの受話内容を音声認識して翻訳し(ステップS345)、これを受話データとして携帯電話機111に送出する(ステップS346)。これにより、携帯電話機111のユーザは、PHS123の話者の喋った言葉の後に、合成音での通訳の音声データを聞くことができる。
【0081】
以上の逐次通訳で翻訳した音声を相手側の携帯情報端末に送出する代わりに、翻訳を行った結果得られるテキスト情報をこれらの携帯情報端末に送出して、これらの図示しないディスプレイで文字表示するようにしてもよい。また、携帯情報端末機能補助サーバの能力によっては、このような逐次通訳あるいはテキスト表示による逐次翻訳を行う代わりに、同時通訳あるいはテキスト表示による同時翻訳を行うようにしてもよいことは当然である。
【0082】
このように、携帯電話機111等の携帯情報端末が高度な情報処理を行うことができないような場合であっても、携帯情報端末機能補助サーバが機能の補助を行うことで、通訳ばかりでなく、付属のカメラを使用した鑑定処理のような各種の分野に携帯情報端末を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態による携帯情報端末機能補助システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】本実施の形態における第1のホームサーバの構成の概要を表わしたブロック図である。
【図3】本実施の形態における携帯電話機の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図4】本実施の形態で第1のホームサーバのユーザデータを管理するフォルダ構成の一例を表わした説明図である。
【図5】本実施の形態で携帯電話機と第1のホームサーバとの同期シーケンスの一例を表わした流れ図である。
【図6】図4で説明した委託事項に基づいたホームサーバの処理の概要を表わした流れ図である。
【図7】本実施の形態で画像データについてのフォルダ名およびファイル名の変更処理の内容を具体的に表わした流れ図である。
【図8】本実施の形態で携帯情報端末がデータを受信したときのデータベースへのデータの登録処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】図8で説明したデータベースへのアクセスがロックされた状態でのデータの参照処理の様子を表わした流れ図である。
【図10】本発明の他の適用例として電子メールのアドレス変更通知処理を委任事項とした処理を示す流れ図である。
【図11】本発明の更に他の適用例として受信した電子メールの初期的な整理を委任事項とした場合の処理を示す流れ図である。
【図12】本発明の更に別の適用例として逐次通訳処理を委任事項とした場合のサーバ側の処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0084】
100 携帯情報端末機能補助システム
103 ホームサーバ
109 無線LANアクセスポインタ
111 携帯電話機
112 ノート型パーソナルコンピュータ
122 デスクトップ型のパーソナルコンピュータ
123 PHS
133 主制御部
137 データ同期処理部
141 データベース格納部
154 同期差分データデータベース
155 データ管理設定データベース
163 制御部
166 メモリ部
167 データ部
174 データフォルダ
192 フォルダ
193 画像ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末の接続時にその携帯情報端末により委託された委託事項が前記携帯情報端末に発生しているか否かを確認する委託事項発生有無確認手段と、
この委託事項発生有無確認手段が前記委託事項が発生していることを確認したとき、前記携帯情報端末に格納されている所定の委託対象情報に対して前記委託事項の示す内容に基づいた処理を実行する委託事項処理手段
とを具備することを特徴とする携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項2】
携帯情報端末の接続時に前記委託事項を受信する委託事項受信手段
を具備することを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項3】
前記委託事項は、前記携帯情報端末の撮影した画像データに関するフォルダの整理に関する処理であり、前記委託事項発生有無確認手段は前記携帯情報端末に前記フォルダの整理を行っていない画像データが存在することを確認する手段であり、前記委託事項処理手段は前記携帯情報端末に存在する前記フォルダの整理を行っていない画像データについて前記委託事項の示す内容に沿って前記フォルダの整理を行う手段であることを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項4】
前記委託事項は、前記携帯情報端末の電子メールに関するアドレス変更処理であり、前記委託事項発生有無確認手段は電子メールの新アドレスが元のアドレスの他に存在することを確認する手段であり、前記委託事項処理手段は前記携帯情報端末に格納された電子メールのアドレス帳に基づいて電子メールのアドレスの変更通知を作成してこの携帯情報端末から送信させる手段であることを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項5】
前記委託事項は、前記携帯情報端末の受信した電子メールの整理に関する処理であり、前記委託事項発生有無確認手段は前記携帯情報端末に整理を行っていない電子メールが存在することを確認する手段であり、前記委託事項処理手段は前記携帯情報端末に整理を行っていない電子メールが存在するとき前記委託事項の示す内容に沿って電子メールの整理を行う手段であることを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項6】
受信した電子メールから不要なメールとしての不要メールの候補を抽出する不要メール候補抽出手段を備え、前記電子メールの整理を行う手段は前記不要メール候補抽出手段によって携帯情報端末の受信した整理を行っていない電子メールの中から不要メールの候補を抽出しその内容を表示する手段であることを特徴とする請求項5記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項7】
前記委託事項は、第1の携帯情報端末と第2の携帯情報端末の間で特定の領域に格納された情報を同期させることであり、前記委託事項発生有無確認手段は前記第1の携帯情報端末と第2の携帯情報端末の間の前記特定の領域に格納された情報に同期していない情報が存在することを確認する手段であり、前記委託事項処理手段は前記第1の携帯情報端末と第2の携帯情報端末の間の前記特定の領域に格納された情報を同期させる手段であることを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項8】
前記委託事項は、前記携帯情報端末の通話先の音声の翻訳に関する処理であり、前記委託事項発生有無確認手段は前記携帯情報端末がこの携帯情報端末の話者の使用する言語以外の言語を使用する通話相手と通話を行っていることを確認する手段であり、前記委託事項処理手段は前記携帯情報端末が受信した通話内容を音声または文字情報で翻訳して翻訳内容を前記携帯情報端末に送出し、前記携帯情報端末が送信する通話内容を音声または文字情報で翻訳して翻訳内容を前記携帯情報端末に送出する手段であることを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末機能補助サーバ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8いずれかに記載の携帯情報端末機能補助サーバと、
前記携帯情報端末
とを具備することを特徴とする携帯情報端末機能補助システム。
【請求項10】
携帯情報端末の接続時にその携帯情報端末により委託された委託事項を受信する委託事項受信ステップと、
この委託事項受信ステップで委託された前記委託事項が前記携帯情報端末に発生しているか否かを確認する委託事項発生有無確認ステップと、
この委託事項発生有無確認ステップで前記委託事項が発生していることを確認したとき、前記携帯情報端末に格納されている所定の委託対象情報に対して前記委託事項の示す内容に基づいた処理を実行する委託事項処理ステップ
とを具備することを特徴とする携帯情報端末機能補助方法。
【請求項11】
携帯情報端末と有線または無線によって接続する接続手段を備えた装置のコンピュータに、
前記携帯情報端末の接続時にその携帯情報端末により委託された委託事項を受信する委託事項受信処理と、
この委託事項受信処理で委託された前記委託事項が前記携帯情報端末に発生しているか否かを確認する委託事項発生有無確認処理と、
この委託事項発生有無確認処理で前記委託事項が発生していることを確認したとき、前記携帯情報端末に格納されている所定の委託対象情報に対して前記委託事項の示す内容に基づいた処理を実行する委託事項処理実行処理
とを実行させることを特徴とする携帯情報端末機能補助プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−157583(P2009−157583A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334257(P2007−334257)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】