説明

携帯情報端末

【課題】 プリンタを有する携帯型決済端末の防滴について部品点数を増やすことなく行う。
【解決手段】
記録用紙を収納する記録用紙カバーを備えたプリンタ部と情報を表示する表示部と本体と一端を回動可能に取りつけられて開閉可能な本体カバーとを有する携帯情報端末であって、
前記記録用紙カバーは、一端を前記本体に取りつけられて回動可能であり、
前記本体カバーは、閉時に前記表示部と前記プリンタ部の排紙口を覆うと共に、前記記録用紙カバーの少なくとも一部と重なることを特徴とする携帯情報端末を用いることで解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタを有するハンディターミナル、携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末にはタッチパネルや液晶、キー入力部を保護する本体カバーを備えるものがある。本体カバーはヒンジ部を介して本体部と本体カバーとが開閉可能に取りつけられた構造になっている。
【0003】
特に注文入力端末では、それらの本体カバーに可撓性を有するフレキシブルプリント配線基板などを介して入力部を設けており、いわゆる見開きタイプの端末として広く用いられている。
【0004】
携帯情報端末に搭載されるプリンタとしては、サーマルプリンタが軽量化や取り扱いが容易であることから広く普及している。
【0005】
また、回動開閉可能な記録用紙カバーを用いるクラムシェル構造のサーマルプリンタがよく用いられる。
【0006】
こうしたプリンタを備えた携帯情報端末を屋外で使用する場合、用紙や端末内の部品保護の観点から排紙口の防塵や防滴を考慮する必要がある。端末の排紙口の防滴は、例えば、特許文献1で開示されているような防滴カバーが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3081068号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の防滴カバーのように記録用紙カバーに取りつけられたものは、別途部品を設ける必要があり、部品点数が増えてしまうという問題があった。
【0009】
したがって本発明の目的は、記録用紙カバーを備えたプリンタを有する携帯情報端末に接続されて開閉可能な本体カバーを使用して部品点数を増やすことなく防滴の構成を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明による携帯情報端末は以下の構成を備える。即ち、記録用紙を収納する記録用紙カバーを備えたプリンタ部と情報を表示する表示部と本体と一端を回動可能に取りつけられて開閉可能な本体カバーとを有する携帯情報端末であって、前記記録用紙カバーは、一端を前記本体に取りつけられて回動可能であり、前記本体カバーは、閉時に前記表示部と前記プリンタ部の排紙口を覆うと共に、前記記録用紙カバーの少なくとも一部と重なることを特徴とする携帯情報端末を用いることで解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、本体カバーがプリンタの排紙口を覆うので、部品点数を増やすことなく水滴が端末内部に入るのを防ぎ、本体カバーを閉じた際に記録用紙カバーの動きが抑制されるので簡単な構成で記録用紙カバーが開いてしまうことを防ぐことができる。
【0012】
加えて第2の発明によれば、記録用紙カバーと本体カバーの回動方向が直交することによって、両方のカバーが同一方向に開閉する場合に比べて、衝撃で両方のカバーが同時に開いてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯情報端末の本体カバーを閉じた状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯情報端末の本体カバーを開いた状態の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリンタ部の開閉図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプリンタ部と本体カバーを説明する断面図である。
【図5】実施例1に係るプリンタ部と本体カバーを説明する断面図である。
【図6】実施例2に係る携帯情報端末の本体カバーを開いた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図1から図4を用いて説明する。図中、実施例においても同じ符号は各図を通して共通である。また、本発明の実施の形態では、携帯情報端末の一例としてハンディターミナル1を例示する。
【0015】
本発明の実施の形態における本体カバー2は、装置前面を全て覆っているものを例示している。しかし、本発明における本体カバーとは、衝撃に弱い部材を覆うカバーであって、ボタンが十分な強度であれば、表示部等衝撃に弱い部材のみを覆ったものでも構わない。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るハンディターミナル1の本体カバー2を閉じた状態の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るハンディターミナル1の本体カバー2を開いた状態の斜視図である。
【0017】
このハンディターミナル1は、本体部9の筐体である上ケース3と下ケース4とを有し、これらはPC+ABSやABS等の樹脂で成形されたものである。また、上ケース3の前面に、液晶表示装置5と本体部入力キー6を備えており、さらに液晶表示装置5の表面には入力装置であるタッチパネル7が備えられている。液晶表示装置5は、不図示のハンディターミナル1内部に搭載されたCPUなどの演算処理部を備える。本体部入力キー6やタッチパネル7などの入力部により携帯情報端末に対して行った操作に対応して演算処理部が液晶表示装置5に各種情報の表示を行う。表示部である液晶表示装置5は本体部入力キー6の上部に配置されているが、配置関係はどのような配置関係でもよく、表示部が複数存在してもよい。
【0018】
また、本実施の形態におけるハンディターミナル1は、ヒンジ部8を介して本体部9と液晶表示装置5及び本体部入力キー6を保護する本体カバー2が、開閉可能に取りつけられている。この本体カバー2はメンブレンシートで構成されたシートキー入力部10が裏面に設けられているものである。本体カバー2に備えられた入力部としてシートキーを用いてあるが、開閉とともに誤操作が行われないのであればどのような形式の入力装置を用いても構わない。
【0019】
このシートキー入力部10の各キーには、注文や発注などに使用されるあらかじめ登録された操作内容が登録されている。シートキー入力部10も本体部入力キー6やタッチパネル7と同様な入力部としての機能を持ち、シートキー入力部10の各キーへの操作を行っても液晶表示装置5の表示は変化する。登録内容によっては、シートキー入力部10の各キーのいずれかを液晶表示装置5の表示を変化させないキーを設定することもできる。
【0020】
また、シートキー入力部10は、導体パターンを形成したテール部12を備えており、テール部12がヒンジ部8から上ケース3の開口部を通して本体内部の基板へと伸ばすことにより、シートキー入力部10と本体部9とを電気的に接続するように構成されている。ハンディターミナル1は、入力内容にしたがって印刷を行うプリンタ部14を備えている。
プリンタ部14は、下ケース4の端部に回転自在に取りつけられて回動可能な記録用紙カバー17を備える。
【0021】
図3(a)は本体カバー2が開き、記録用紙カバー17が閉じた状態を示しており、図3(b)は、本体カバー2が開き、記録用紙カバー17が開いた状態を示している。
【0022】
また、図4は本体カバー2と記録用紙カバー17が共に閉じられた状態を示すプリンタ部14の断面図である。収納部16の端部には、排紙口18が形成されている。
【0023】
紙経路19上には、サーマル式の印字ヘッド20と、該印字ヘッド20の対向位置で、記録用紙であるロール紙15を搬送するプラテンローラ21と、ロール紙15を切断するカッター22とが配置されている。プラテンローラ21は、記録用紙カバー17の側面にあるプラテン保持部に軸受部を介して回転自在に取り付けられている。
【0024】
図3(b)に示す記録用紙カバー17が回動し開かれた状態では、記録用紙カバー17に備えられたプラテンローラ21が、印字ヘッド20から退避する。つまり、ロール紙15を交換する際には、記録用紙カバー17を開いてロール紙15を収納部16に収納した後、ロール紙15の一端側を排紙口18の外部まで引き出し、この状態で記録用紙カバー17を閉じることにより、ロール紙15が紙経路19に沿ってセットされる。
【0025】
また、記録用紙カバー17は、二つのロック部24を備えており、閉じた際に本体部の筐体である上ケース3の片側は不図示の二つのロック係合部28に係止される。このロック部24は、記録用紙カバー17の左右端部にレバー式フック形状で構成されている。
【0026】
ロック解除動作は、両側にあるロック解除部23をつまむようにして押す操作で行われる。このロック部24により、記録用紙カバー17が開くのを防止し、印字中にプラテンローラ21がプラテン保持部18から脱落することを防ぐことができる。なお、この記録用紙カバー17を本体部の筐体に係止及び解除させる方法は、どのような方法を用いても構わない。
【0027】
次に本発明の実施の形態に係る本体カバー2の構成を図1、図2、図4を用いて説明する。
【0028】
図2に示すように、本体カバー2には、閉時に本体部の筐体である上ケース3の係合部25と係合する係止部26を係合部25に対応する位置に備えている。入力操作を行う際に本体カバー2を開け、使用しない場合は閉じることで表示部である液晶表示装置5と入力部である本体部入力キー6などを保護する構成となっている。
【0029】
本体カバー2の上部にはプリンタ排紙口18を覆う排紙口保護部27が本体カバー2の一部として設けられている。排紙口保護部27は、閉時においてプリンタ排紙口18を覆うことで、そこから水滴や埃が端末内部に進入して故障することを防ぐことができる。
【0030】
さらに、排紙口保護部27は、図4の断面図に示すように本体カバー2の閉時にはプリンタ排紙口18を覆うと共に記録用紙カバー17に重なっている。回動可能なカバーで用紙を保護する構造であれば、本体カバー2が係合部25と係止部26で閉じられているとき、記録用紙カバー17の回動が抑止されるので記録用紙カバー17は開けない。なお、本実施の形態では、この本体カバー2は記録用紙カバー17の回動方向に対して直交方向に回動する構成である。これにより、両方のカバーが同一方向に開閉する場合に比べて、各々が開く方向の力が異なるためより開きにくい構造となっている。
【0031】
記録用紙カバー17が開いてしまうと、水滴や埃が端末内部に進入しやすい状態になる。先に述べた記録用紙カバー17がロック部24を備えるため本体カバー2と記録用紙カバー17のどちらかが閉じられていれば、落下衝撃等の力が加わった場合にも記録用紙カバー17が開いて、ロール紙15が転がり落ちることも防ぐことができる。
【0032】
ロック部24とロック係合部28の係止力は、それらの大きさに比例する。本体カバー2により二つの閉じ部があることで、小型化しても閉時の係止力を確保することができる。
【0033】
本体カバー2の閉時は、ハンディターミナル1を使用していない状況である。そのため操作者は移動などの大きな動作を行う可能性が高い。移動中に落下させると衝撃もより大きなものとなる。
【0034】
また、本体カバー2にシートキー入力部10が備えられている場合、防滴効果と入力機能の多様化の効果を得ることができるため、入力部を増やすことによる大型化を回避し小型化に貢献することができる。
【0035】
また、機械的に嵌めあいを行うだけでなく、係合部25と係合する係止部26や本体カバー2と記録用紙カバー17の排紙口保護部27に重なっている部分などに磁石や磁石に対して引力を発生する鉄などの材料を貼り付けることや素材内に混合を行うことで、引力を発生させ係止力を強化することもできる。
【0036】
以上本発明の実施の形態を図面に沿って説明したが、クラムシェル構造に限らず、回動可能な記録用紙カバーを用いる場合や本体カバーを下ケースの端部に回転自在に取りつけるなど変形例においても本発明の思想を適用しうる。
【実施例1】
【0037】
第1の実施例について図5を用いて説明する。図5のハンディターミナルは、記録用紙カバー17と接触し回動を抑止している排紙口保護部27に排紙口18に沿って凸状の変形部29を持たせた構造となっている。記録用紙カバー17は、凸状の変形部29に合わせて凹状の変形部を持たせている。凸状の変形部に対応した凹部周辺に水適の受け部が形成されるので、さらに水滴が進入しにくい構造となる。また排紙口保護部27が凹部を有し、記録用紙カバー17が凸部を有してもよい。
【0038】
本体カバー2の部品はプラスチック素材であり、成型金型で成型されるため多少の変形は、コストを上げずに行うことができる。変形部29は、ゴムなどの樹脂性の弾性体を設けることもできる。この場合、凹部がなくとも弾性体により密着性を高めプリンタ排紙口18へのゴミの進入を簡単な構成で防ぐことができる。変形部29は、密着性の良さから弾性体が好ましいが、どのような材質のものでも構わない。排紙口保護部27に接着されるものであれば、携帯情報端末を操作する上では、部品点数を増やすことなく本体カバー2として、取り扱うことができる。
【0039】
本実施例において、本体カバー2に変形部29を持たせると、本体カバー2が閉時には、記録用紙カバー17は排紙口保護部27が平坦である場合より、引っかかりが生まれるため、より強固に記録用紙カバー17を固定できる。
【実施例2】
【0040】
第2の実施例について図6を用いて説明する。図6の携帯情報端末は、係止部25、係合部26を複数設けている。
【0041】
係止部25、係合部26をプリンタ部14に近い部分に設けることにより、記録用紙カバー17への係止力を強化することができる。
【0042】
好ましくは、係止部25、係合部26は、本体カバー2の中央部付近もしくは、テール部12と対向する位置と排紙口18の直線上を含む位置にあると本体カバー2も開きにくく、記録用紙カバー17への係止力を向上させることができる。
【0043】
特に、排紙口18の直線上を含む位置の係止力を強化すると、本体カバー2の密着性をより高め、本体カバー2による防滴の性能を高めることができる。
【0044】
本実施例に実施例1の変形部の構成を組み合わせると、係止部25、係合部26が変形部29の近くにあるため変形部29の位置決めをより正確に行うことができるため防滴性能をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ハンディターミナル
2 本体カバー
5 液晶表示装置
7 タッチパネル
8 ヒンジ部
9 本体部
10 シートキー入力部
12 テール部
14 プリンタ部
15 ロール紙
16 収納部
17 記録用紙カバー
18 プリンタ排紙口
25 係合部
26 係止部
27 排紙口保護部
29 変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙を収納する記録用紙カバーを備えたプリンタ部と情報を表示する表示部と本体と一端を回動可能に取りつけられて開閉可能な本体カバーとを有する携帯情報端末であって、
前記記録用紙カバーは、一端を前記本体に取りつけられて回動可能であり、
前記本体カバーは、閉時に前記表示部と前記プリンタ部の排紙口を覆うと共に、前記記録用紙カバーの少なくとも一部と重なることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記本体カバーは、前記記録用紙カバーの回動方向に対して直交方向に回動することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
さらに、前記本体カバーと前記記録用紙カバーは、前記閉時に前記本体カバーと前記記録用紙カバーが重なる部分の一方に凸部を有し、他方に凹部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
さらに、前記本体カバーは、前記表示部の表示を変化させる入力部を備えることを特徴とする請求項1から3に記載の携帯情報端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−251489(P2011−251489A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127630(P2010−127630)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】