説明

携帯機器

【課題】デジタルカメラ等の携帯機器に対し、ユーザに利便性のある拡大表示を提供する。
【解決手段】再生画像の一部を拡大表示可能なデジタルカメラにおいて、カメラを傾斜させると、拡大画像表示領域EAが傾斜角度分だけ傾いた領域EA’に変更される。そして、上下左右ボタン16A〜16Dに対する操作があると、拡大画像表示領域EA’は、元画像の横方向、縦方向から傾斜角度分だけ傾いた方向TA’、TB’に沿って移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、携帯電話など、画像表示可能な携帯機器に関し、特に、拡大画像表示に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、撮影画像を画面に再生表示している間、表示画像の一部を拡大表示することが可能である。さらに、再生画像表示中にズーム操作が行われると、表示画像の一部領域が拡大表示される。
【0003】
この拡大画像を表示している間、拡大表示領域を移動させ、拡大画像をスクロール表示することができる。十字キーボタンの上下ボタン、左右ボタンを操作することにより、拡大画像は上下方向、左右方向にそれぞれ移動する(例えば、特許文献1参照)。これによって、撮影画像のピント確認等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
拡大表示領域を移動させる方向は、十字キーボタンの上下左右ボタンに習い、画面横方向、左右方向に規定されている。そのため、再生画像の対角線方向に沿って拡大表示領域を移動させる場合、必要な入力操作量が多い。特に、高倍率で拡大画像表示した場合、拡大表示領域を移動させるのに、非常に多くの時間と手間がかかる。
【0006】
したがって、拡大表示領域をスムーズに所望の方向へ移動させることができるスクロール表示が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯機器は、デジタルカメラ、撮影機能付き携帯電話など、画面に表示している画像(以下、元画像という)の一部を拡大した拡大画像を表示可能な機器であり、拡大画像を画面に表示する表示手段と、元画像における拡大画像表示領域を、画面横方向および画面縦方向に沿って移動させるために操作される入力手段と、入力手段に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段とを備える。
【0008】
入力手段としては、タッチパネル、あるいは、ボタン、ダイヤル等から構成される操作部材が適用可能である。例えば、拡大画像表示領域を左方向、右方向、上方向、下方向へそれぞれ移動させる上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタンを含む十字キーボタンを設けることが可能である。また、画面横方向および画面縦方向を示す指示マークを画面横方向および画面縦方向に沿ってそれぞれ表示するようにしてもよい。
【0009】
本発明の携帯機器は、さらに、機器本体の傾斜角度を検出する傾斜センサを備える。例えば、携帯機器の水平姿勢からの傾き角度を検出する。そして、カメラが傾斜状態にあると、本発明の表示手段は、拡大画像表示領域を傾斜角度に応じた角度だけ傾けた画像領域に変更し、表示領域移動手段は、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた方向へそれぞれ変更する。
【0010】
拡大画像表示領域の移動方向が、機器を傾けたことによって元画像の斜め方向に切り替わり、拡大画像表示領域も斜め方向に沿った領域に変更される。移動方向は機器の傾斜角度に対応するため、傾いた機器の画面横方向、縦方向に沿って移動方向が規定される。
【0011】
ユーザは、入力操作によって元画像の斜め方向へスクロールすることが可能であり、元画像の四隅付近へ拡大表示領域が素早く移動する。また、移動方向が画面横方向、縦方向に沿っているため、指示マークもそのまま画面縦、横方向に表示することが可能であり、機器傾斜前と違和感なく入力操作することができる。
【0012】
元画像における拡大画像表示領域の移動方向は、機器傾斜角度と同等に斜め方向に設定することが可能であり、あるいは、機器傾斜角度の前後を含む角度範囲内で設定してもよい。機器の傾きと移動方向が認知的に違和感なく対応するように、移動方向を定めればよい。
【0013】
拡大倍率が大きい場合、元画像の4隅に拡大画像表示領域を移動させるまでの移動距離は、元画像横方向、縦方向に比べて長くなる。したがって、機器が傾斜している場合、表示領域移動手段は、傾斜角度に応じて、入力操作量に対する拡大画像表示領域の移動量を変更してもよい。例えば、傾斜角度を内角とする三角形の底辺に対する斜辺の比に基づいて単位操作当たりの移動量を変更することができる。
【0014】
元画像のうちどのエリアを切り出して拡大表示しているかをユーザに知らせるため、表示手段は、元画像における拡大画像表示領域の位置を示すガイドマークを表示することが可能である。この場合、水平方向に沿った元画像の中で斜め方向に沿った拡大画像表示領域の相対的位置を示すため、表示手段は、機器の傾斜角度に関係なく、水平方向に合わせて表示するのがよい。ユーザは、機器の傾斜に関係なく、切り出し領域の位置関係を認知することができる。
【0015】
本発明の方法は、元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示し、元画像における拡大画像表示領域を、画面横方向および画面縦方向に沿って移動させるために操作される入力手段に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させ、傾斜センサによって検出される機器本体の傾斜角度に基づき、拡大画像表示領域を、傾斜角度に応じた角度だけ傾けた画像領域に変更し、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた方向へそれぞれ変更することを特徴とする。
【0016】
本発明のプログラムは、携帯機器を、元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、元画像における拡大画像表示領域を、画面横方向および画面縦方向に沿って移動させるために操作される入力手段に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段として機能させるプログラムであって、傾斜センサによって検出される機器本体の傾斜角度に基づき、拡大画像表示領域を、傾斜角度に応じた角度だけ傾けた画像領域に変更するように、表示手段として機能させ、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた方向へそれぞれ変更するように、表示領域移動手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
一方、本発明の他の局面における携帯機器は、元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、元画像における拡大画像表示領域を移動させるために操作される操作部材と、操作部材に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段と、機器本体の傾斜角度を検出する傾斜センサとを備える。
【0018】
表示領域移動手段は、機器本体の傾斜角度が許容角度以下のとき、拡大画像表示領域の移動方向を、画面横方向に応じた元画像横方向および画面縦方向に応じた元画像縦方向に定める。一方、機器本体の傾斜角度が許容角度を超えるとき、表示領域移動手段は、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた角度だけ傾けた方向へ変更する。
【0019】
拡大画像表示領域を元画像の斜め方向に沿って移動させる場合、ユーザにその移動方向が画面から認識されるのが望ましい。例えば、表示領域移動手段は、機器本体の傾斜角度が画面対角線角度に応じた角度範囲にあるとき、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像対角線方向に沿った方向へ変更することが可能である。
【0020】
元画像横方向および元画像縦方向を示す指示マークを画面横方向および画面縦方向に沿ってそれぞれ表示する場合、拡大画像表示領域の移動方向が変更されると、指示マークの表示位置を画面対角線方向に沿った方向に変更するのがよい。
【0021】
本発明の他の局面における携帯機器は、元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、元画像における拡大画像表示領域を移動させるために操作される操作部材と、操作部材に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段とを備え、表示領域移動手段が、入力操作に従い、拡大画像表示領域の移動方向を、画面横方向に応じた元画像横方向および画面縦方向に応じた元画像縦方向から傾斜角度に応じた角度だけ傾けた方向へ変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、デジタルカメラ等の携帯機器に対し、ユーザに利便性のある拡大表示を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態であるデジタルカメラの背面図である。
【図2】デジタルカメラのブロック図である。
【図3】再生画像の拡大表示を示した図である。
【図4】カメラが水平姿勢であるときの拡大画像表示領域を示した図である。
【図5】カメラが傾いているときの拡大画像表示領域を示した図である。
【図6】拡大表示処理のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態におけるカメラ傾斜時の拡大画像表示を示した図である。
【図8】第2の実施形態における拡大表示処理のフローチャートである。
【図9】第3の実施形態における拡大画像表示を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面を参照して本実施形態であるデジタルカメラについて説明する。
【0025】
図1は、第1の実施形態であるデジタルカメラの背面図である。図2は、デジタルカメラのブロック図である。図3は、再生画像の拡大表示を示した図である。
【0026】
デジタルカメラ10は、カメラ前面に撮影レンズ(図示せず)、カメラ背面にLCD40を備えたコンパクト型デジタルカメラであり、モードダイヤルボタン13によって撮影モードが選択され、レリーズボタン12に対する操作によって撮影が行われる。カメラ背面には、ズームダイヤル14、上下左右ボタン16A〜16Dから成る十字キーボタン16、そして実行ボタン17が設けられている。
【0027】
図2に示すシステムコントロール回路20は、CPU、ROM、RAM等を含む制御回路であり、システムコントロール回路20によってカメラ動作が制御される。制御動作のプログラムは、ROMにあらかじめ格納されている。撮影モードが設定されると、スルー画像表示の処理が実行される。
【0028】
CCD28上面には、R、G、Bをベイヤー配列した原色フィルタが設置されており、撮影光学系24に入射した光によって被写体像がCCD28の受光面に形成されると、R、G、Bの画素信号が生成される。R、G、Bの画素信号は、所定時間間隔でCCD28から読み出され、CDS回路30において二重サンプリング処理、A/D変換回路32においてデジタル処理された後、システムコントロール回路20に順次入力される。
【0029】
システムコントロール回路20内の画像信号処理回路34は、順次入力されるR、G、B画素信号に対してホワイトバランス調整処理等を含む画像信号処理を実行し、1フレーム/フィールド分のR、G、B画像信号を順次生成する。ただし、LCD40の画素サイズに従い、CCD28から読み出される画素信号はあらかじめ間引きされている。
【0030】
生成された画像信号は、一時的にSRAM36に格納された後、LCDドライバ38へ送られる。LCDドライバ38は、画像信号に基づいてLCD40を駆動し、スルー画像をLCD40に表示させる。
【0031】
ユーザによってレリーズボタン12が半押しされると、システムコントロール回路20は、レリーズ半押スイッチ52からの操作信号を検出し、自動焦点調整および露出演算処理を行う。焦点調整に関しては、被写体像の輝度信号(G信号)に基づいてレンズ制御回路42へ制御信号を出力し、被写体像を合焦させるように撮影光学系24を駆動する。
【0032】
さらにレリーズボタン12が全押しされると、システムコントロール回路20は、レリーズ全押スイッチ54からの信号を受けて一連の撮影動作を実行する。すなわち、シャッタ26が露光期間だけ開く。露光期間が終了すると、1フレーム分の画素信号がCCD28から読み出され、システムコントロール回路20に送られる。
【0033】
画像信号処理回路34では、CCD28の画素サイズに応じた1フレーム分の静止画像データが生成される。静止画像データは、一時的にSRAM36に格納された後、画像圧縮処理のためシステムコントロール回路20へ再び送られる。圧縮された画像データは、SDカードなどのメモリカード44に記録される。
【0034】
モードダイヤルボタン13によって再生モードが設定されると、サムネイル画像が一覧表示される。サムネイル画像群の中から1つの撮影画像を実行ボタン17によって決定することが可能であり、システムコントロール回路20は、実行スイッチ62から送られてくる信号に基づき、その選択された撮影画像データをメモリカード44から読み出す。
【0035】
メモリカード44から読み出された画像データは、システムコントロール回路20により伸張処理される。復元した画像データがLCDドライバ38へ送られることにより、撮影画像がLCD40に表示される。このとき、LCD画面サイズ(解像度)よりも記録された撮影画像サイズの方が大きいため、間引き処理された後に再生表示される。
【0036】
再生画像を表示しているときにズームダイヤル14が操作されると、ズーム機能によって再生画像の一部が拡大表示される。ズームスイッチ56、ワイドスイッチ58によってズームダイヤル14の操作量が検出されると、表示されている再生画像(元画像)の画面中心Cを中心とした領域EA(以下、拡大画像表示領域という)が拡大表示される。
【0037】
図3には、所定倍率で電子ズームした拡大画像を示している。元画像となる再生画像の中から切り出される拡大画像表示領域EAは、拡大倍率によってそのサイズが定められる。また、拡大倍率に従って元画像データが間引き処理される。ここでは、元画像と拡大画像の縦横比は等しくなるように設定されている。
【0038】
拡大画像の表示中、LCD画面の上下方向をそれぞれ示す指示マークM1、M2、画面の左右方向をそれぞれ示す指示マークM3、M4が表示される。指示マークM1〜M4は、拡大画像領域の移動方向を示す。
【0039】
さらに、拡大画像表示中、元画像における拡大画像の切り出し位置を示すガイドマークGが画面左隅に表示される。ガイドマークGは、水平方向に合わせて表示されるフレームG1と、拡大画像表示領域を示す抽出エリアG2から構成される。フレームG1は、元画像を認識させるインジケータであり、抽出エリアG2は、元画像における切り出し領域を認識させるインジケータである。
【0040】
拡大画像表示中、拡大画像をスクロールすることが可能である。上ボタン16A、あるいは下ボタン16Bが操作されると、拡大画像表示領域EAが元画像I0の中でそれぞれ上方向、あるいは下方向に移動し、左ボタン16C、あるいは右ボタン16Dが操作されると、拡大画像表示領域EAは、元画像I0の中で左方向、あるいは右方向に移動する。
【0041】
傾斜センサ46(図2参照)は、カメラの水平姿勢からの傾斜角度を検出する。システムコントロール回路20は、検出される傾斜角度に基づき、拡大画像表示領域EA、およびその移動方向を調整し、スクロール方向が元画像の斜め方向に変更される。これについて、以下説明する。
【0042】
図4は、カメラが水平姿勢であるときの拡大画像表示領域を示した図である。図5は、カメラが傾いているときの拡大画像表示領域を示した図である。図4、5を用いて、カメラの傾斜に従う拡大画像のスクロール表示について説明する。
【0043】
図4では、元画像I0における拡大画像表示領域EAのポジション、すなわち、元画像I0の全体の中でどの部分を切り出して拡大しているかを明らかにしている。ただし、説明のため、LCD40を含むカメラ全体も合わせて図示している。
【0044】
デジタルカメラ10が傾斜せず、水平姿勢を維持している場合、拡大画像表示領域EAの移動方向は、元画像I0の横方向TAおよび縦方向TBに沿っている。元画像I0の横方向TA、縦方向TBは、LCD40の画面横方向、縦方向に対応し、十字キーボタン16の上下ボタン16A、16B、左右ボタン16C、16Dの指す方向、および指示マークM1〜M4の指す方向に一致する。
【0045】
一方、デジタルカメラ10が傾斜すると拡大画像表示領域EAは、傾斜角度αだけ回転した領域EA’に変更される(図5参照)。ここでは、また、傾斜角度が45度であるときの表示領域変更を示している。拡大画像表示領域EA’は、拡大画像表示領域EAの中心Cを軸として回転させた領域として規定される。
【0046】
その結果、拡大画像表示領域EA’の移動方向は、元画像I0の横方向TA、縦方向TBから、傾斜角αだけ傾いた方向TA’、TB’に変更される。傾斜方向TA’、TB’は、画面横方向、縦方向に一致し、指示マークM1〜M4の指す方向、および上下左右ボタン16A〜16Dの指す方向と一致している。
【0047】
したがって、ユーザが画面横方向、縦方向へスクロール操作するため十字キーボタン16が操作されると、拡大画像表示領域EA’は、元画像I0の斜め方向TA’、TB’に沿って移動する。この移動方向は、カメラの傾斜角度に応じて変わる。カメラが傾くほど、移動方向の傾きも大きくなる。
【0048】
また、移動方向変更に伴い、ガイドマークGが表示変更される。具体的には、フレームG1は水平方向に沿うように、画面横方向から角度α傾斜した状態で表示される。一方、抽出エリアG2は、画面横方向に沿って表示される。ユーザは、フレームG1に対する抽出エリアG2のポジションを見て、元画像の中でどの部分を切り出して拡大表示しているか確認する。
【0049】
図6は、拡大表示処理のフローチャートである。
【0050】
ユーザによって再生画像表示中にズーム操作がなされると(S101)、元画像I0の中央部から拡大画像表示領域が抽出され、所定の倍率(1倍より上)による拡大画像が表示される(S102)。一方、ワイド操作がなされると、操作量に合わせて縮小画像が表示される(S110)。
【0051】
拡大画像表示処理は、従来知られているように、その拡大倍率、元画像のサイズ(画素数)、LCD40の画面サイズ(画素数)等に従い、元画像データに対する間引き処理等を行う。また、このときにガイドマークGが表示される(S103)。
【0052】
デジタルカメラ10が傾斜していると判断されると(S104)、その傾斜角度に応じて拡大画像表示領域が変更され、その変更領域の画像部分が拡大画像として表示される(S105)。具体的には、SRAM36に格納されている元画像データの中で、傾斜した拡大画像表示領域に該当するメモリ領域の画像データが読み出され、そのメモリ領域に相当する画像部分が表示される。また、ガイドマークGも、傾斜角度に従って表示変更される(S106)。
【0053】
ユーザが上下左右ボタン16A〜16Dのいずれかを操作したと判断されると(S107)、その方向に拡大表示領域が移動可能であるか否かを判断した後(S108)、拡大表示領域を操作量に合わせて移動させ、拡大画像を変更する(S109)。
【0054】
デジタルカメラ10が傾斜しているときに1回操作されたときの移動量は、傾斜していないときの移動量に比べ、傾斜角度分だけ増加される。具体的には、傾斜角度を内角とする三角形を規定したときの底辺に対する斜辺の比を算出し、カメラが水平姿勢である時の移動量にその比を乗算して移動量を得る。なお、移動可能性については、元画像の端部を超える方向へ移動させる操作であるか否かを判断すればよい。
【0055】
このように本実施形態によれば、再生画像の一部を拡大表示可能なデジタルカメラ10において、デジタルカメラ10を傾斜させると、拡大画像表示領域EAが傾斜角度分だけ傾いた領域EA’に変更される。そして、上下左右ボタン16A〜16Dに対する操作があると、拡大画像表示領域EA’は、元画像の横方向、縦方向から傾斜角度分だけ傾いた方向TA’、TB’に沿って移動する。
【0056】
デジタルカメラ10を傾斜させることによって拡大画像のスクロール方向を元画像の斜め方向に移動させることにより、元画像の端から端に拡大画像を移動させるときでも、スムーズに素早く移動させることができる。また、操作量に対する移動量が増加されるため、よりスムーズに拡大画像表示領域を斜め方向に移動させることができる。
【0057】
また、移動方向がLCD40の画面横方向、縦方向に沿っているため、十字キーボタン16、指示マークM1〜M4の指す方向にしたがって移動方向を設定することができる。また、ガイドマークGのフレームG1が水平方向に合わせて表示され、抽出エリアG2がフレームG1を基準にして表示されるため、元画像のどの部分が抽出されているかをユーザが明確に視認できる。
【0058】
なお、拡大画像表示領域の移動方向を傾斜角度に一致させなくとも、およそ傾斜角度に合わせた方向を移動方向として設定してもよい。また、傾斜角度がある範囲(例えば、20度〜60度の範囲)のときだけ移動方向を変更するようにしてもよい。
【0059】
拡大画像を移動させる構成として、十字キーボタン以外の操作部材、あるいは機械式入力部材以外の入力手段を採用しても良い。例えば、タッチパネルによって入力操作を行うことも可能である。また、撮影画像以外の画像を表示し、その一部を拡大する構成にしてもよい。
【0060】
次に、図7、8を用いて、第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。第2の実施形態では、カメラの傾斜に合わせて画面上での移動方向が変更される。それ以外の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。
【0061】
図7は、第2の実施形態におけるカメラ傾斜時の拡大画像表示を示した図である。
【0062】
第2の実施形態では、カメラが所定角度以上傾斜されても、拡大画像表示領域は変更されない。その代わり、十字キーボタン16による拡大画像の移動方向が、画面横方向、縦方向から対角線方向に切り替わる。これに合わせて、指示マークM1〜M4が画面四隅にそれぞれ表示される。
【0063】
この場合、上下左右ボタン16A〜16Dの指す方向と拡大画像のスクロール方向が一致しない。そのため、上ボタン16Aには、他のボタン16B〜16Dとは異なる色がついている。対応する指示マークM1も、同色で表示される。
【0064】
その結果、十字キーボタン16に対する操作量に従い、拡大画像表示領域EAが画面対角線方向に沿って移動する。ここでは、スクロール移動方向を元画像対角線に対応させるため、対角線角度(画面横方向に対する画面対角線の角度)βを含む範囲内までカメラが水平姿勢から傾斜すると、拡大画像表示領域の移動方向が対角線方向に切り替わる。
【0065】
図8は、第2の実施形態における拡大表示処理のフローチャートである。
【0066】
ステップS201〜S203の実行は、第1の実施形態における図6のステップS101〜S103の実行と同じである。ステップS204では、カメラの傾斜角度が許容角度を超え、所定の範囲内にあるか否かが判断される。ここでは、対角線角度βを考慮し、移動方向変更を必要とさせる許容角度は、例えば20度と定められる。また、対角線方向と移動方向とが整合する所定の角度範囲として、30〜50度の範囲が設定される。
【0067】
カメラ傾斜角度が所定範囲の場合、指示マークM1〜M4およびガイドGの表示が変更される(S205)。ステップS206〜S209の実行は、ステップS107〜S110の実行と同じである。ただし、拡大画像表示領域の移動方向は、画面対角線角度に定められる。
【0068】
このように第2の実施形態によれば、再生画像の一部を拡大表示可能なデジタルカメラ10において、デジタルカメラ10を画面対角線角度βに応じた範囲まで傾斜させると、拡大画像表示領域の移動方向が、画面対角線方向に変更される。それに伴い、指示マークM1〜M4が画面四隅に表示される。
【0069】
なお、第1の実施形態と同じように、傾斜角度分だけ移動方向を変更させるように構成することも可能である。ただし、移動方向が変更されることを明確に認識させるため、カメラ傾斜角度が許容角度以上傾いているか否かを判断し、指示マークなどを変更表示するような傾きが生じた場合、移動方向を変更するように構成すればよい。一方、第1、2の実施形態においては、スイッチ操作などを条件として、ガイド表示、指示マークの変更を行なうようにしてもよい。
【0070】
次に、図9を用いて、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、カメラの水平姿勢を維持したまま、拡大画像表示領域の移動方向が変更される。それ以外の構成については、第2の実施形態と実質的に同じである。
【0071】
図9は、第3の実施形態における拡大画像表示を示した図である。
【0072】
第3の実施形態では、拡大画像表示中に入力操作(ここでは、モードダイヤルボタン13に対する操作)が行なわれると、拡大画像表示領域の移動方向が、画面横方向、縦方向から対角線角度βだけ傾斜した方向TA、TBにそれぞれ変更される。そして、指示マークM1〜M4は、画面四隅に表示される。
【0073】
これにより、第2の実施形態と同様、拡大画像表示領域の移動方向が画面横方向、縦方向から対角線角度βだけ傾いた方向に変更される。
【0074】
第1〜第3の実施形態では、デジタルカメラの拡大画像表示を説明しているが、デジタルカメラ以外の携帯機器で拡大画像表示可能なものにも適用可能である。また、十字キーボタン以外の操作部材を備えた携帯機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 デジタルカメラ
20 システムコントロール回路
40 LCD
46 傾斜センサ
EA 拡大画像表示領域
I0 元画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、
元画像における拡大画像表示領域を、画面横方向および画面縦方向に沿って移動させるために操作される入力手段と、
前記入力手段に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段と、
機器本体の傾斜角度を検出する傾斜センサとを備え、
前記表示手段が、拡大画像表示領域を傾斜角度に応じた角度だけ傾けた画像領域に変更し、
前記表示領域移動手段が、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた方向へそれぞれ変更することを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記表示領域移動手段が、傾斜角度に応じて、入力操作量に対する拡大画像表示領域の移動量を変更することを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
【請求項3】
前記表示手段が、元画像における拡大画像表示領域の位置を示すガイドマークを、機器の傾斜角度に関係なく、水平方向に合わせて表示することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の携帯機器。
【請求項4】
前記表示手段が、拡大画像表示のとき、傾斜角度に関係なく、画面横方向および画面縦方向を示す指示マークを、画面横方向および画面縦方向に沿ってそれぞれ表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯機器。
【請求項5】
前記入力手段が、拡大画像表示領域を左方向、右方向、上方向、下方向へそれぞれ移動させる上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタンを含む十字キーボタンを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯機器。
【請求項6】
元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示し、
元画像における拡大画像表示領域を、画面横方向および画面縦方向に沿って移動させるために操作される入力手段に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させ、
傾斜センサによって検出される機器本体の傾斜角度に基づき、拡大画像表示領域を、傾斜角度に応じた角度だけ傾けた画像領域に変更し、
拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた方向へそれぞれ変更することを特徴とする拡大画像表示方法。
【請求項7】
携帯機器を、
元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、
元画像における拡大画像表示領域を、画面横方向および画面縦方向に沿って移動させるために操作される入力手段に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段として機能させるプログラムであって、
傾斜センサによって検出される機器本体の傾斜角度に基づき、拡大画像表示領域を、傾斜角度に応じた角度だけ傾けた画像領域に変更するように、前記表示手段として機能させ、
拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた方向へそれぞれ変更するように、前記表示領域移動手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、
元画像における拡大画像表示領域を移動させるために操作される操作部材と、
前記操作部材に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段と、
機器本体の傾斜角度を検出する傾斜センサとを備え、
前記表示領域移動手段が、前記機器本体の傾斜角度が許容角度以下のとき、拡大画像表示領域の移動方向を、画面横方向に応じた元画像横方向および画面縦方向に応じた元画像縦方向に定め、
前記表示領域移動手段が、前記機器本体の傾斜角度が許容角度を超えるとき、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像横方向および元画像縦方向から傾斜角度に応じた角度だけ傾けた方向へ変更することを特徴とする携帯機器。
【請求項9】
前記表示領域移動手段が、機器本体の傾斜角度が画面対角線角度に応じた角度範囲にあるとき、拡大画像表示領域の移動方向を、元画像対角線方向に沿った方向へ変更することを特徴とする請求項8に記載の携帯機器。
【請求項10】
前記表示手段が、拡大画像表示のとき、元画像横方向および元画像縦方向を示す指示マークを画面横方向および画面縦方向に沿ってそれぞれ表示し、拡大画像表示領域の移動方向が変更されると、指示マークの表示位置を画面対角線方向に沿った方向に変更することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の携帯機器。
【請求項11】
前記操作部材が、拡大画像表示領域を左方向、右方向、上方向、下方向へ移動させる上下左右ボタンから成る十字キーボタンを有することを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の携帯機器。
【請求項12】
元画像の一部を拡大した拡大画像を画面に表示する表示手段と、
元画像における拡大画像表示領域を移動させるために操作される操作部材と、
前記操作部材に対する入力操作に従い、拡大画像表示領域を移動させる表示領域移動手段とを備え、
前記表示領域移動手段が、入力操作に従い、拡大画像表示領域の移動方向を、画面横方向に応じた元画像横方向および画面縦方向に応じた元画像縦方向から傾斜角度に応じた角度だけ傾けた方向へ変更することを特徴とする携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−98862(P2013−98862A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241491(P2011−241491)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】