説明

携帯用インク吸引ユニット及びインク吸引方法

【課題】気泡を発生させずにインクの初期充填を行える携帯用吸引ユニットを提供する。
【解決手段】携帯用インク吸引ユニット80は、各印字ヘッド12a,12b,12c,12d,12e,12fのインク吐出面をそれぞれ密閉する(塞ぐ)キャップ82a,82b,82c,82d,82e,82fと、これら各キャップ82a〜82fにチューブ83a,83b,83c,83d,83e,83fで接続されたリサイクルタンク84a,84b,84c,84d,84e,84fとを備えている。また、携帯用インク吸引ユニット80は、各リサイクルタンク84a〜84fにチューブ85a,85b,85c,85d,85e,85fを介して接続された真空ポンプ86を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に装着された印字ヘッドからインクを吸引する携帯用インク吸引ユニット及びインク吸引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置が広く使用されている。この画像形成装置は、インクを吐出するノズルやインク吐出口(ノズルの出口)が複数形成された印字ヘッド(記録ヘッド)を装着しており、複数のインク吐出口は印字ヘッドのほぼ平らなインク吐出面(フェイス面)に形成されている。この印字ヘッドには、キャリッジと共に主走査方向に移動しながらインクを吐出するタイプと、固定されて停止した状態でインクを吐出するタイプとがある。
【0003】
上記いずれのタイプの印字ヘッドであっても、インクジェット方式の画像形成装置を新たに設置したときには印字ヘッドにインクを充填する(インクの初期充填)作業が必要となる。この作業に当たっては、ポンプ等を利用してインクタンクから印字ヘッドまでインクを供給して印字ヘッドにインクを充填させる。ポンプ等を利用してインクを印字ヘッドに供給する際に、インクは攪拌されることとなって空気と混合しながら供給されるので、インク内に気泡が含まれる。この気泡が印字ヘッド内に残ったままの状態で印字を開始した場合、画像形成不良やヘッド故障を起こす原因となる。このため、印字ヘッド内から気泡が排出されるまでインクを循環させる回復動作を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−188682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようにしてインクの初期充填を行った場合、この初期充填の後に、印字ヘッド内の気泡を取り除く回復動作が必要になるので、この回復動作の時間がかかってしまう。しかも、インクのリサイクル機構を備えていない画像形成装置では、回復動作によってインクを大量に消費してしまう。
【0005】
本発明は、気泡を発生させずにインクの初期充填を行える携帯用吸引ユニット及び吸引方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の携帯用吸引ユニットは、
(1)インクを吐出する印字ヘッドが装着される画像形成装置本体に着脱自在であって、該画像形成装置本体に装着された前記印字ヘッドからインクを吸引することを特徴とするものである。
【0007】
ここで、
(2)前記印字ヘッドのインク吐出面を覆うキャップと、
(3)該インク吐出面を覆った該キャップの内部を負圧にする負圧発生手段とを備えてもよい。
【0008】
さらに、
(4)前記印字ヘッドから吸引されたインクを貯めておくリサイクルタンクを備えてもよい。
【0009】
さらにまた、
(5)前記画像形成装置本体は複数の印字ヘッドが装着されるものであり、
(6)これら複数の印字ヘッドと同じ数のキャップを備えてもよい。
【0010】
さらにまた、
(7)前記リサイクルタンクは、吸引されるインクの色ごとに独立して設けられたものであってもよい。
【0011】
さらにまた、
(8)前記リサイクルタンクは、該リサイクルタンク内のインクの液面を検知する液面検知センサを備えたものであってもよい。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明のインク吸引方法は、
(9)インクを吐出する印字ヘッドが装着される画像形成装置本体に装着された印字ヘッドのインク吐出面を覆うキャップ内から空気を吸引して、この吸引した空気を前記画像形成装置本体の外部に排出させることにより前記キャップ内を負圧にして前記印字ヘッドからインクを吸引することを特徴とするものである。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明の他のインク吸引方法は、
(10)インクを吐出する印字ヘッドに供給されるインクが貯められるサブタンク内を負圧にして該サブタンク内にインクを貯め、その後、該サブタンクのインク液面に正圧を作用させて、該サブタンク内のインクを前記印字ヘッドに吸引させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置本体に着脱自在な携帯用インク吸引ユニットを用いて印字ヘッドからインクを吸引するので、ポンプなどによってインクを攪拌させずに印字ヘッドからインクを吸引できる。このため、印字ヘッドに供給されるインクに気泡を発生させない。従って、インクの初期充填の際に印字ヘッドに供給されるインクに気泡が混入しない。この結果、インクに混入した気泡に起因する画像不良やヘッド故障を防止できる。また、印字ヘッド内やインク供給チューブ内のインクに気泡が存在している場合に、本発明の携帯用インク吸引ユニットを用いて印字ヘッドからインクを吸引することにより、この吸引したインクと共に気泡を容易に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に実現された。
【実施例1】
【0016】
図1と図2を参照して、本発明が適用されるインクジェット方式の画像形成装置を説明する。
【0017】
図1は、本発明が適用されたインクジェット方式の画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のプリンタの概略構成を示す側面図である。
【0018】
プリンタ10には、記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を形成する印字ヘッド12a,12b,12c,12d,12e,12fが搭載された画像形成ユニット20と、記録媒体を矢印A方向(記録媒体搬送方向)に搬送する搬送ユニット40とが備えられている。印字ヘッド12a,12b,12c,12d,12e,12fからはそれぞれ、ブラック、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエローのインクが吐出される。画像形成ユニット20は、各印字ヘッド12a〜12fをキャップ位置、印字位置、ワイプ位置に移動させるヘッド昇降モータ(図示せず)、各印字ヘッド12a〜12fのインク吐出面に付着した埃や残滴を払拭するワイパーブレード、ヘッドを密閉するためのキャッピング機構等を備えている。画像形成ユニット20は板状のエンジンベース30に固定されており、後述するようにエンジンベース30と共に上下動(昇降)する。
【0019】
搬送ユニット40は、画像形成ユニット20の下方を、記録媒体を通過させる4本の搬送ベルト42を備えている。搬送ベルト42は、図2に示すように、従動ローラ44,45,46とエンコーダローラ47、駆動ローラ48とに掛け渡されており、テンショナ49によって張力が与えられている。また、この搬送ベルト42は、駆動モータ41よって周回運動するタイミングベルト43が駆動ローラ48を回転させることによって、記録媒体搬送方向(矢印A方向)に周回運動するように構成されている。
【0020】
また、プリンタ10には、画像形成ユニット20にインクを供給するインク供給ユニット50と、このインク供給ユニット50に送られるインクが貯められたインクタンクユニット60とを備えている。インクタンクユニット60からインク供給ユニット50まで、及びインク供給ユニット50から画像形成ユニット20までは、チューブで構成されたインク流路(図示せず)で繋がれている(接続されている)。また、プリンタ10の本体(本発明にいう画像形成装置本体の一例である)には、印字ヘッド12a,12b,12c,12d,12e,12fからインクを吸引する携帯用インク吸引ユニット80が着脱自在に装着されている。この携帯用インク吸引ユニット80を矢印B方向に引っ張ることによりプリンタ10の本体から取り外せ、携帯用インク吸引ユニット80を矢印C方向に押し込むことによりプリンタ10の本体に装着できる。携帯用インク吸引ユニット80を使用するときは、矢印B方向に引っ張ってプリンタ10の本体から取り外して使用する。
【0021】
画像形成ユニット20が固定されているエンジンベース30は長方形状のものであり、その四隅はナット32に固定されている。これらナット32はねじ軸34に嵌め込まれており、ねじ軸34が回転することによりナット32は上下動する。4本のねじ軸34の下部にはスプロケット36が固定されており、これら4つのスプロケット36にはチェーン38が掛け渡されている。このチェーン38を駆動モータ(図示せず)で回転させることによってねじ軸34が同期回転し、エンジンベース30と共に画像形成ユニット20が上下動する。
【0022】
図3を参照して、携帯用インク吸引ユニット80を説明する。
【0023】
図3は、携帯用インク吸引ユニット80を示す模式図である。
【0024】
携帯用インク吸引ユニット80は、上記した各印字ヘッド12a,12b,12c,12d,12e,12fのインク吐出面をそれぞれ密閉する(塞ぐ)キャップ82a,82b,82c,82d,82e,82fと、これら各キャップ82a〜82fにチューブ83a,83b,83c,83d,83e,83fで接続された(つながれた)リサイクルタンク84a,84b,84c,84d,84e,84fとを備えている。また、携帯用インク吸引ユニット80は、各リサイクルタンク84a〜84fにチューブ85a,85b,85c,85d,85e,85fを介して接続された真空ポンプ86を備えている。
【0025】
各印字ヘッド12a〜12fのインク吐出面が各キャップ82a〜82fで塞がれた状態で真空ポンプ86を稼動させることにより、各キャップ82a〜82f内(キャップとインク吐出面で囲まれた空間)から空気が吸引され、この吸引した空気を外部に排出することにより各キャップ82a〜82f内が負圧となって各印字ヘッド12a〜12fからインクが吸引される。この吸引されたインクは各リサイクルタンク84a〜84fに貯められる。なお、上記のように真空ポンプ86は外部に排気する。
【0026】
携帯用インク吸引ユニット80を用いて各印字ヘッド12a〜12fからインクを吸引する場合、ポンプなどによってインクを攪拌させずに各印字ヘッド12a〜12fからインクを吸引する。このため、インク供給ユニット50(図1参照)やインクタンクユニット60(図1参照)から各印字ヘッド12a〜12fに供給されるインク内には気泡が発生しない。従って、インクの初期充填の際に各印字ヘッド12a〜12fに供給されるインクに気泡が混入しない。この結果、インクに混入した気泡に起因する画像不良やヘッド故障を防止できる。また、各印字ヘッド12a〜12f内やインク供給チューブ(図示せず)内のインクに気泡が存在している場合に、携帯用インク吸引ユニット80を用いて各印字ヘッド12a〜12fからインクを吸引することにより、この吸引したインクと共に気泡を容易に除去できる。
【0027】
図4から図6までを参照してインクの初期充填について説明する。
【0028】
図4は、インクの初期充填の際の携帯用インク吸引ユニットの配置位置を示す側面図である。図5は、プリンタのインク流路を示す模式図である。図6は、インクの初期充填の手順を示すフロー図である。これらの図では、図1から図3までに示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。図5では、印字ヘッド12aのインク流路を示すが、他の印字ヘッド12b〜12fについても同様のインク流路が形成されている。
【0029】
インクの初期充填に際しては、先ず、図4に示すように、画像形成ユニット20を搭載しているエンジンベース30のうち画像形成ユニット20の対向面に携帯用インク吸引ユニット80を取り付ける。画像形成ユニット20に備えられているヘッド昇降モータ(図示せず)を駆動させて、各印字ヘッド12a〜12fを印字位置まで移動させる。この移動によって、携帯用インク吸引ユニット80の各キャップ82a〜82f(図3参照)が各印字ヘッド12a〜12fのインク吐出面を塞ぐこととなる。
【0030】
印字ヘッド12aに供給されるブラックインクが貯められたインクタンク61を所定の収納部に収容することにより、図5に示すようにインク流路が形成される。インクの初期充填に当たっては、サブタンク100の大気開放弁102を閉じ(図6のS601)、続いて、吸引ポンプ90の供給弁ソレノイド92と吸引弁ソレノイド94を共にオンにする(S602,S603)。このため、供給弁96と吸引弁98は共に開放される。このようにインクタンク61から印字ヘッド12aまでのインク流路をインクが流れるようにするが、このインク流路を外部からは密閉する。その後、真空ポンプ86を駆動してインクの初期充填を開始する(S604)。真空ポンプ86の駆動によって、キャップ82a内(キャップ82aとインク吐出面12asで囲まれた空間)から空気が吸引され、この吸引した空気を外部に排出することによりキャップ82a内が負圧となって印字ヘッド12a内も負圧となってインクタンク61内のインクが吸引されることとなる。インクタンク61内のインクは、針62、チューブ63、及び弁91を通って吸引ポンプ90のシリンダ内に吸引され、続いて、弁93、及びチューブ99を経由してサブタンク100内に補給(供給)される。
【0031】
サブタンク100内のインクは弁104,106及びチューブ108を通って印字ヘッド12aの共通液室12arに供給される。共通液室12arに供給されたインクは、印字ヘッド12aのノズル12anから真空ポンプ86によって吸引されて、チューブ110を通って、リサイクルタンク84aに貯まる。真空ポンプ86が吸引した空気は排気管24を通ってプリンタ10の外部に排出される。なお、サブタンク100には、このサブタンク100の満タンを検知する満タン検知センサ101が取り付けられている。また、サブタンク100と印字ヘッド12aの共通液室12arを接続するインク流路107には弁109が取り付けられている。インクの初期充填に当たっては、この弁109も閉じておく。
【0032】
上記のような状態で真空ポンプ86の動作開始後、リサイクルタンク84aが満タンか否かを判定する(S605)。リサイクルタンク84aには、インクの液面を検知して満タンか否かを検出する液面検知センサ(図示せず)が備えられている。この液面検知センサが満タンを検知したときは、プリンタ10に備えられている操作パネル(図示せず)に「リサイクルタンク満タン」と表示される(S607)と同時に、真空ポンプ86(インクの初期充填の動作)は停止する。なお、リサイクルタンク84aのインクをインクタンク61又はサブタンク100に戻すことによりリサイクルタンク84aを再利用できる。
【0033】
真空ポンプ86の動作開始後に所定時間経過した(S606)ときは、真空ポンプ86の動作を停止させ(S608)、続いて、供給弁ソレノイド92、吸引弁ソレノイド94をオフにし(S609,S610)、サブタンク100の大気開放弁102を開ける(S611)。これにより、インクの初期充填動作は完了する。このインク初期充填が終わった後、画像形成ユニット20のワイパーブレード(図示せず)によって、印字ヘッド12aのインク吐出面12asが払拭されて、画像形成ユニット20のキャップ(図示せず)がインク吐出面12asを密閉する。これらの動作が終了した後、吸引ユニット80をプリンタ10本体のエンジンベース30から取り外して所定位置に戻す。
【0034】
上記したように、携帯用インク吸引ユニット80を用いてインクの初期充填を実施しているときは、吸引ポンプ90及び加圧ポンプ105は停止したままであるので、吸引ポンプ90及び加圧ポンプ105によってインクが攪拌されることはない。このため、この攪拌に起因する気泡がインク中に発生しない。従って、インクの初期充填の際に印字ヘッド12a〜12fに供給されるインクに気泡が混入しない。この結果、インクに混入した気泡に起因する画像不良やヘッド故障を防止できる。また、印字ヘッド12a〜12f内やインク供給チューブ99,108等の内部のインクに気泡が存在している場合に、上記と同様に、携帯用インク吸引ユニット80を用いて印字ヘッド12a〜12fからインクを吸引することにより、この吸引したインクと共に気泡を容易に除去できる。
【実施例2】
【0035】
図7から図10までを参照して、本発明の実施例2について説明する。
【0036】
図7は、実施例2のインク吸引方法の第1段階を示す模式図である。図8は、図7の第1段階における手順を示すフロー図である。図9は、実施例2のインク吸引方法の第2段階を示す模式図である。図10は、図9の第2段階における手順を示すフロー図である。図7と図9では、図5に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0037】
実施例1では、エンジンベース30(図1等参照)に搭載している画像形成ユニット20の対向面側に携帯用インク吸引ユニット80を取り付けてインクの初期充填の動作を実行したが、実施例2では、チューブ108(図5参照)に弁120を取り付けておき、サブタンク100の大気開放弁102に携帯用インク吸引ユニット80を接続する。このようにしても、実施例2と同等の効果が得られる。
【0038】
プリンタ10においてインクの初期充填を行うに当たっては、先ず、図7に示すように、真空ポンプ86の吸引口86aを大気開放弁102に接続しておく。続いて、弁109,120を閉じる(S801)。続いて、供給弁ソレノイド92と吸引弁ソレノイド94をオンにして(S802、S803)供給弁96と吸引弁98を共に開放し、真空ポンプ86を動作(駆動)させる(S804)。真空ポンプ86の駆動によってサブタンク100内の空間は負圧となるので、インクタンク61内のインクは、針62、チューブ63、及び弁91を通って吸引ポンプ90のシリンダ内に吸引され、続いて、弁93、及びチューブ99を経由してサブタンク100内に補給(供給)される。
【0039】
サブタンク100の満タン検知センサ101によって満タンと検知されたときは(S805)、サブタンクインク満タンの表示が操作パネル(図示せず)に表示されて真空ポンプ86の動作は停止する(S806)。続いて、供給弁ソレノイド92と吸引弁ソレノイド94をオフにして(S807、S808)供給弁96と吸引弁98を閉じ、弁120を開放して(S809)第1段階を終了する。
【0040】
インク初期充填の第2段階を開始するに当たっては、先ず、図9に示すように、真空ポンプ86の吸引口86aを大気開放弁102から切り離し、真空ポンプ86の排気口86bを大気開放弁102に接続する。続いて、弁109を閉じ(S1001)、供給弁ソレノイド92と吸引弁ソレノイド94をオフにする(S1002,S1003)。これにより、サブタンク100からインクタンク61にインクが逆流しない。次に、サブタンク100にインクを充填させるときには閉じていた弁120を開放し(S1004)、真空ポンプ86を動作させて(S1005)サブタンク100内を加圧する(サブタンク100のインク液面に正圧を作用させる)。この加圧によって、サブタンク100内のインクは、インク流路108を通って印字ヘッド12aの共通液室12arに供給され、さらに、ノズル12anから画像形成ユニット20のインク溜まり13に吐出されることとなる。
【0041】
上記した動作を所定時間行い(S1006)、その後に真空ポンプ86が停止して(S1007)、インクの初期充填が完了する。このようにしてインクの初期充填が完了した後、弁109を開放し、サブタンク100の大気開放弁102に接続していた携帯用インク吸引ユニット80を取り外す。
【0042】
上記したように、携帯用インク吸引ユニット80を用いてサブタンク100内を負圧にしてサブタンク100にインクを貯め、その後、サブタンク100のインク液面に正圧を作用させて、サブタンク100のインクを印字ヘッド12aに吸引させることによりインクの初期充填を実施しているときは、吸引ポンプ90及び加圧ポンプ105は停止したままであるので、吸引ポンプ90及び加圧ポンプ105によってインクが攪拌されることはないので、この攪拌に起因する気泡は発生しない。従って、インクの初期充填の際に印字ヘッド12a〜12fに供給されるインクに気泡が混入しない。この結果、インクに混入した気泡に起因する画像不良やヘッド故障を防止できる。また、印字ヘッド12a〜12f内やインク供給チューブ99,108等の内部のインクに気泡が存在している場合に、携帯用インク吸引ユニット80を用いて印字ヘッド12a〜12fからインクを吸引することにより、この吸引したインクと共に気泡を容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が適用されたインクジェット方式の画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図3】携帯用インク吸引ユニット80を示す模式図である。
【図4】インクの初期充填の際の携帯用インク吸引ユニットの配置位置を示す側面図である。
【図5】プリンタのインク流路を示す模式図である。
【図6】インクの初期充填の手順を示すフロー図である。
【図7】実施例2のインク吸引方法の第1段階を示す模式図である。
【図8】図7の第1段階における手順を示すフロー図である。
【図9】実施例2のインク吸引方法の第2段階を示す模式図である。
【図10】図9の第2段階における手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0044】
12a,12b,12c,12d,12e,12f 印字ヘッド
80 携帯用インク吸引ユニット
82a,82b,82c,82d,82e,82f キャップ
84a,84b,84c,84d,84e,84f リサイクルタンク
86 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する印字ヘッドが装着される画像形成装置本体に着脱自在であって、該画像形成装置本体に装着された前記印字ヘッドからインクを吸引することを特徴とする携帯用インク吸引ユニット。
【請求項2】
前記印字ヘッドのインク吐出面を覆うキャップと、該インク吐出面を覆った該キャップの内部を負圧にする負圧発生手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用インク吸引ユニット。
【請求項3】
前記印字ヘッドから吸引されたインクを貯めておくリサイクルタンクを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯用インク吸引ユニット。
【請求項4】
前記画像形成装置本体は複数の印字ヘッドが装着されるものであり、
これら複数の印字ヘッドと同じ数のキャップを備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯用インク吸引ユニット。
【請求項5】
前記リサイクルタンクは、吸引されるインクの色ごとに独立して設けられたものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の携帯用インク吸引ユニット。
【請求項6】
前記リサイクルタンクは、該リサイクルタンク内のインクの液面を検知する液面検知センサを備えたものであることを特徴とする請求項3,4,又は5に記載の携帯用インク吸引ユニット。
【請求項7】
インクを吐出する印字ヘッドが装着される画像形成装置本体に装着された印字ヘッドのインク吐出面を覆うキャップ内から空気を吸引して、この吸引した空気を前記画像形成装置本体の外部に排出させることにより前記キャップ内を負圧にして前記印字ヘッドからインクを吸引することを特徴とするインク吸引方法。
【請求項8】
インクを吐出する印字ヘッドに供給されるインクが貯められるサブタンク内を負圧にして該サブタンク内にインクを貯め、その後、該サブタンクのインク液面に正圧を作用させて、該サブタンク内のインクを前記印字ヘッドに吸引させることを特徴とするインク吸引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−167938(P2006−167938A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359501(P2004−359501)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】