説明

携帯用ナビゲーション装置

【目的】 表示の必要のないときにディスプレイの電源のみをオフして、電池やディスプレイの寿命を延ばすことができるようにする。
【構成】 携帯用ナビゲーション装置10は、装置本体11の前面に、地図や案内情報等を表示するためのディスプレイ12を備え、装置本体11の一方の側部の下側の位置に、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチ13を備え、装置本体11の両側部の上側の位置に、ディスプレイ12の電源をオン、オフするための2つのディスプレイ電源スイッチ14を備えている。使用者が2つのディスプレイ電源スイッチ14を同時に操作していないときにはディスプレイ12への電力の供給が停止され、使用者が2つのディスプレイ電源スイッチ14を同時に操作しているときにはディスプレイ12に電力が供給される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、目的地までの経路を案内する携帯用ナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、走行前に予め経路を設定し、その設定された経路に従って、音声等により経路案内を行う車載用のナビゲーション装置の開発が行われている。更に、本体をポケット等に収納できるように小型化し、歩行中にも目的地までの経路を案内できるようにした携帯用ナビゲーション装置も開発されてきている。
このような携帯用ナビゲーション装置では、ディスプレイによる表示あるいは音声によって案内を行うようになっており、ディスプレイには一般的に液晶ディスプレイが用いられている。
ところで、小型化された携帯用ナビゲーション装置を使用する場合、移動時等には本装置をポケット等に入れておく場合がある。この場合でも、装置本体の電源をオフにしてしまうと、再使用の際に、経路を設定し直す操作が必要になるので、現在位置の測定や音声による案内等を常時行うために装置本体の電源はオンにしておく必要がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
このように、従来の携帯用ナビゲーション装置では、電源は装置全体としてのスイッチのみであったため、ポケット等に入れておく場合でも、現在値の測定を行う他にディスプレイの表示もオン状態となり、地図などの表示が行われていた。このように、ディスプレイの無駄な表示のために、装置の電源としての電池の寿命が短くなったり、ディスプレイの寿命が短くなったりするという問題点があった。
【0004】
そこで本考案の目的は、表示の必要のないときにディスプレイの電源のみをオフして、電池やディスプレイの寿命を延ばすことができるようにした携帯用ナビゲーション装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の考案では、現在地から目的地への案内情報を発生する案内情報発生手段と、この案内情報発生手段によって発生された案内情報を表示するディスプレイと、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチと、ディスプレイの電源をオン、オフするディスプレイ電源スイッチとを携帯用ナビゲーション装置に具備させて、前記目的を達成する。
請求項2記載の考案では、現在地から目的地への案内情報を発生する案内情報発生手段と、この案内情報発生手段によって発生された案内情報を表示するディスプレイと、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチと、ディスプレイの電源をオン、オフするための2つのディスプレイ電源スイッチと、この2つのディスプレイ電源スイッチが同時に操作されたときにはディスプレイの電源をオンし、他のときにはディスプレイの電源をオフするディスプレイ電源制御手段とを携帯用ナビゲーション装置に具備させて、前記目的を達成する。
【0006】
請求項3記載の考案では、請求項2に記載した携帯用ナビゲーション装置において、前記2つのディスプレイ電源スイッチが、装置本体を持つ手の指で操作できるように、装置本体の両側部に設けられている。
請求項4記載の考案では、請求項2記載の携帯用ナビゲーション装置において、前記2つのディスプレイ電源スイッチとして接触検知式のスイッチを使用する。
請求項5記載の考案では、請求項3記載の携帯用ナビゲーション装置において、前記2つのディスプレイ電源スイッチとして接触検知式のスイッチを使用する。
請求項6から請求項8記載の考案では、請求項1から請求項3記載の携帯用ナビゲーション装置において、前記案内情報発生手段によって発生された案内情報に従った案内を音声によって行うための案内音声信号を出力する案内音声信号出力手段を具備させる。
【0007】
【作用】
請求項1記載の考案の携帯用ナビゲーション装置では、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチとは別に設けられたディスプレイ電源スイッチによって、ディスプレイの電源のみをオン、オフすることが可能となる。
請求項2記載の考案の携帯用ナビゲーション装置では、ディスプレイ電源制御手段によって、2つのディスプレイ電源スイッチが同時に操作されたときにディスプレイの電源がオンにされ、他のときにはディスプレイの電源がオフにされる。
【0008】
請求項3記載の考案の携帯用ナビゲーション装置では、装置本体の両側部に設けられた2つのディスプレイ電源スイッチを、装置本体を持つ手の指で操作することが可能となる。
請求項4および請求項5記載の考案の携帯用ナビゲーション装置では、2つのディスプレイ電源スイッチが接触検知式のスイッチであるため、装置本体を持つ手の指で2つのディスプレイ電源スイッチに触れることで、ディスプレイの電源がオンにされる。
請求項5から請求項6記載の考案の携帯用ナビゲーション装置では、案内音声信号出力手段によって、案内情報に従った案内を音声によって行うための案内音声信号が出力される。
【0009】
【実施例】
以下、本考案の携帯用ナビゲーション装置における一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施例の携帯用ナビゲーション装置の外観を示す斜視図である。
この図に示すように、本実施例の携帯用ナビゲーション装置10は、装置本体11の前面に、地図や案内情報等を表示するための液晶ディスプレイ等のディスプレイ12を備え、装置本体11の例えば一方の側部の下側の位置に、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチ13を備え、また、装置本体11の両側部の上側の位置に、ディスプレイ12の電源をオン、オフするための2つのディスプレイ電源スイッチ14、14を備えている。この2つのディスプレイ電源スイッチ14、14は、使用者が装置本体11を持ったときに、丁度、その手の指(例えば親指と人指し指)が触れる位置に配置されている。また、2つのディスプレイ電源スイッチ14、14は、例えば接触検知式のスイッチである。なお、本体電源スイッチ13は、例えば押しボタン式のスイッチである。
【0010】
図2は本実施例の携帯用ナビゲーション装置の構成をブロックで表したものである。
この図に示すように、携帯用ナビゲーション装置10は、更に、現在地や目的地等のデータを入力するためのキー等からなるデータ入力部21と、GPS(Global Position System)を用いたり、ビーコンからの信号を用いて現在位置を測定する現在位置測定部22と、目的地データ、交差点データ、道路データ等の地図情報を格納した地図情報記憶部23を備えている。
また、携帯用ナビゲーション装置10は、データ入力部21、現在位置測定部22および地図情報記憶部23からのデータに基づいて、現在地から目的地への案内情報を発生する案内情報発生部24と、この案内情報発生部24によって発生された案内情報に従った案内を音声によって行うための案内音声信号を出力する案内音声信号出力部25を備えている。
【0011】
さらに、携帯用ナビゲーション装置10は、この案内音声信号出力部25からの案内音声信号を外部に出力するための音声信号出力端子26、現在位置測定部22、地図情報記憶部23および案内情報発生部24からのデータに基づいて、ディスプレイ30に表示する地図等を描画する地図描画部27とを備えている。
音声信号出力端子26には、ヘッドフォンやイアフォンを接続でき、使用者はこのヘッドフォンやイアフォンを介して、音声による案内を聞くことができるようになっている。
【0012】
なお、案内情報発生部24および地図描画部27は、例えばCPU(中央処理装置)、各種のプログラムやデータが格納されたROM(リード・オンリ・メモリ)、ワーキングエリアとして使用されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を備えたマイクロコンピュータによって実現される。
【0013】
携帯用ナビゲーション装置10は、更に、本体電源スイッチ13に接続され、装置内の各部に電力を供給する本体電源回路28と、この本体電源回路28とディスプレイ12に接続され、ディスプレイ12に電力を供給するディスプレイ電源回路29と、ディスプレイ電源スイッチ14に接続され、ディスプレイ電源回路29を制御するディスプレイ電源制御回路30とを備えている。
【0014】
本体電源回路28は電池を含んでいる。また、本体電源回路28は、本体電源スイッチ13がオンのときには装置内の各部に電力を供給し、本体電源スイッチ13がオフのときには装置内の各部への電力の供給を停止する。ディスプレイ電源制御回路30は、2つのディスプレイ電源スイッチ14の状態を認識し、2つのディスプレイ電源スイッチ14が同時に操作(接触)されていることを認識したときにはディスプレイ電源回路29にオンの指令を出し、他のときにはディスプレイ電源回路29にオフの指令を出す。
ディスプレイ電源回路29は、本体電源スイッチ13がオンのとき本体電源回路28から電力の供給を受け、ディスプレイ電源制御回路30からオンの指令を受けているときはディスプレイ12に電力を供給し、ディスプレイ電源制御回路30からオフの指令を受けているときはディスプレイ12への電力の供給を停止する。
【0015】
次に、本実施例の携帯用ナビゲーション装置の動作について説明する。
本体電源スイッチ13をオンにした状態で、使用者は、予め現在地や目的地等のデータをデータ入力部21より入力する。案内情報発生部24は、データ入力部21から入力されたデータと、現在位置測定部22および地図情報記憶部23からのデータに基づいて、現在地から目的地への案内情報を発生する。
この案内情報に従って、随時、案内音声信号出力部25より案内音声信号が出力され、ディスプレイ12には地図描画部27から地図等を表示するための信号
が入力される。
【0016】
ここで、使用者が、携帯用ナビゲーション装置10をポケットに入れているとき等、2つのディスプレイ電源スイッチ14を同時に操作していないときには、ディスプレイ電源制御回路30からディスプレイ電源回路29にオフの指令が出され、ディスプレイ電源回路29はディスプレイ12への電力の供給を停止している。従って、ディスプレイ12の表示は消えている。
一方、使用者が2つのディスプレイ電源スイッチ14を同時に操作しているときには、ディスプレイ電源制御回路30からディスプレイ電源回路29にオンの指令が出され、ディスプレイ電源回路29はディスプレイ12に電力を供給する。従って、ディスプレイ12には地図等が表示される。
【0017】
このように、本実施例によれば、携帯用ナビゲーション装置10は動作させておく必要はあるが、ディスプレイ12による表示の必要はないときに、ディスプレイ12の電源のみをオフにすることができるので、電池やディスプレイ12の寿命を延ばすことができる。
また、本実施例では、2つのディスプレイ電源スイッチ14、14が同時に操作されたときにのみディスプレイ12の電源をオンにするようにしたので、誤ってディスプレイ12の電源をオンにしてしまう誤操作を防止することができる。
【0018】
また、本実施例では、2つのディスプレイ電源スイッチ14、14が、使用者が装置本体11を持ったときに、丁度、その手の指が触れる位置に配置されているので、使用者がポケットから装置本体11を出そうとすると、装置本体11を持った手の指(例えば親指と人指し指)が自然に2つのディスプレイ電源スイッチ14、14に触れ、装置本体11をポケットから出したときにはディスプレイ12の電源がオンになっており、煩雑な操作が不要である。
また、装置本体11をポケットに入れる際も、手を装置本体11から離すとディスプレイ12の電源がオフになり、煩雑な操作が不要である。
【0019】
なお、本考案は上記実施例に限定されず、例えばディスプレイ電源スイッチ14は、接触検知式のスイッチに限らず、押しボタン式のスイッチ等の他の種類のスイッチでも良い。
また、ディスプレイ電源スイッチ14は、1つでも良く、また配置も任意である。
また、携帯用ナビゲーション装置のいずれかのスイッチを押した後、所定時間内に再度スイッチ操作がない場合、ディスプレイ電源が自動的にオフするように構成してもよい。
【0020】
【考案の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項8記載の考案によれば、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチとは別に設けられたディスプレイ電源スイッチによって、ディスプレイの電源のみをオン、オフすることができるので、表示の必要のないときにディスプレイの電源のみをオフにして、電池やディスプレイの寿命を延ばすことができるという効果がある。
また、請求項2記載の考案によれば、2つのディスプレイ電源スイッチが同時に操作されたときにディスプレイの電源をオンにするようにしたので、上記第1の効果に加え、誤ってディスプレイの電源をオンにしてしまう誤操作を防止することができるという効果がある。
また、請求項3から請求項5記載の考案によれば、2つのディスプレイ電源スイッチを、装置本体を持つ手の指で操作できるように、装置本体の両側部に設けので、上記第2の効果に加え、オン、オフの操作が容易になるという効果がある。
また、請求項6から請求項8記載の考案によれば、案内情報に従った案内を音声によって行うので、携帯用ナビゲーション装置をポケット等にいれたまま経路案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例の携帯用ナビゲーション装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本考案の一実施例の携帯用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 携帯用ナビゲーション装置
11 装置本体
12 ディスプレイ
13 本体電源スイッチ
14 ディスプレイ電源スイッチ
21 データ入力部
22 現在位置検出部
23 地図情報記憶部
24 案内情報発生部
25 案内音声信号出力部
26 音声出力端子
27 地図描画部
28 本体電源回路
29 ディスプレイ電源回路
30 ディスプレイ電源制御回路

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 現在地から目的地への案内情報を発生する案内情報発生手段と、この案内情報発生手段によって発生された案内情報を表示するディスプレイと、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチと、前記ディスプレイの電源をオン、オフするディスプレイ電源スイッチとを具備することを特徴とする携帯用ナビゲーション装置。
【請求項2】 現在地から目的地への案内情報を発生する案内情報発生手段と、この案内情報発生手段によって発生された案内情報を表示するディスプレイと、装置全体の電源をオン、オフする本体電源スイッチと、前記ディスプレイの電源をオン、オフするための2つのディスプレイ電源スイッチと、この2つのディスプレイ電源スイッチが同時に操作されたときには前記ディスプレイの電源をオンし、他のときには前記ディスプレイの電源をオフするディスプレイ電源制御手段とを具備することを特徴とする携帯用ナビゲーション装置。
【請求項3】 前記2つのディスプレイ電源スイッチは、装置本体を持つ手の指で操作できるように、装置本体の両側部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の携帯用ナビゲーション装置。
【請求項4】 前記2つのディスプレイ電源スイッチは、接触検知式のスイッチであることを特徴とする請求項2記載の携帯用ナビゲーション装置。
【請求項5】 前記2つのディスプレイ電源スイッチは、接触検知式のスイッチであることを特徴とする請求項3記載の携帯用ナビゲーション装置。
【請求項6】 前記案内情報発生手段によって発生された案内情報に従った案内を音声によって行うための案内音声信号を出力する案内音声信号出力手段を具備することを特徴とする請求項1記載の携帯用ナビゲーション装置。
【請求項7】 前記案内情報発生手段によって発生された案内情報に従った案内を音声によって行うための案内音声信号を出力する案内音声信号出力手段を具備することを特徴とする請求項2記載の携帯用ナビゲーション装置。
【請求項8】 前記案内情報発生手段によって発生された案内情報に従った案内を音声によって行うための案内音声信号を出力する案内音声信号出力手段を具備することを特徴とする請求項3記載の携帯用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3001075号
【登録日】平成6年(1994)6月8日
【発行日】平成6年(1994)8月16日
【考案の名称】携帯用ナビゲーション装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−1889
【出願日】平成6年(1994)2月15日
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)