説明

携帯用ポンプ装置

【課題】 本発明は、搬送の際に安全且つ安定して持ち運ぶことのできる携帯用ポンプ装置を提供することになる。
【解決手段】 給水ユニット1と、受水槽2とを備えており、給水ユニット1は、駆動部Pと吸水部9と送水部10を有し、受水槽2の上部に設置されており、受水槽2に貯めた水または外部水源から駆動部Pを起動して吸水部9で汲み上げて、送水部10から供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急災害時など屋外活動で使用する携帯用ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外活動や緊急災害時においては、上下水道のライフラインが使用できない状況が多く、この場合、最寄りの水源地から宿舎や水源地まで水を確保しなければならなかった。そのときに水源地から給水する手段が必要となり、主として自家発電装置で起動する携帯用のポンプ装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2011−075233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害時においては、上下水道などのライフラインが分断されて使用できなくなる状態が多々あることから、そういう状況下での水の確保は井戸や貯水池などの水源からの手汲み運搬や、給水車が使用されるものであった。このうち手汲みの場合は、水の確保がなされても水杓やバケツにより順次配水を行うことから、作業効率が悪く大変な労力を要し、また、給水車を使用する場合には、その受水槽としてバルーン型水槽と呼ばれるものが利用されたが、高所に設置して落差を利用するものであったことから、災害時では高所に設置する機材の確保が難しく低地での設置になってしまい、水圧が著しく低くなるものであった。また、発電機を用いて井戸から汲み上げるタイプのポンプが使用されることがあったが、現場での配管作業が必要になることから、緊急性に対応できない問題点もあった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、緊急災害時に効率的な配水が行えるとともに、搬送の際に安全且つ安定して持ち運ぶことのできる携帯用ポンプ装置を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、給水ユニットと、受水槽とを備えており、給水ユニットは、駆動部と吸水部と送水部を有し、受水槽の上部に設置されており、受水槽に貯めた水または外部水源から駆動部を起動して吸水部で汲み上げて、送水口から供給することを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2記載の発明では、受水槽は、上方が開口した有底筒型をなす収容部と、収容部の開口部を着脱自在に塞ぎ且つ給水ユニットを上面に載せる蓋とを有しており、蓋は、その上面に給水ユニットを囲む状態で被嵌合部が配設してあり、収容部の開口部を下向きにすると共に、収容部の周壁先端部を蓋の被嵌合部に嵌合したときに、給水ユニットが収容部の下方に位置することを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3記載の発明では、被嵌合部は、溝状をなすと共に、溝底に向けて次第に溝幅が狭くなるように形成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1記載の発明によれば、給水ユニットと受水槽が一体型となっており、1台で受水槽または外部水源から吸水と送水が行える。これにより、現場に本発明のポンプ装置を搬送して起動するだけで使用できるので、現場での配管設備が不要となり、緊急災害時であっても水の供給が迅速且つ効率的に行えるようになる。
【0010】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、給水ユニットを載置台の一面側に取り付け、さらに、収容部をひっくり返して蓋の上面に配設してある被嵌合部に嵌合することにより、蓋と収容部で給水ユニットを覆うと共に、給水ユニットが低位置に配置される。これによりポンプ装置は、その重心が低くなることで地面や床等に安定して設置されるので、ポンプ装置の搬送時の衝撃等で横転することなく、さらに、他の搬送物に当たり破損することがない。
【0011】
本発明の請求項3記載の発明によれば、蓋の被嵌合部が溝底に向かうに従って溝幅が狭まるように形成してあることにより、被嵌合部に収容部の周壁先端部を落とし込んだときに、周壁先端部が被嵌合部の溝内周部で挟着されるので、ポンプ装置搬送時の衝撃等で収容部が蓋から抜けにくくなり、結果、ポンプ装置の安全な搬送が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施による携帯用ポンプ装置の(a)は、使用時の状態を示す側面図であり、(b)は、搬送時の状態を示す側面図である。
【図2】(a)は、本実施による携帯用ポンプ装置の平面図であり、(b)は、給水ユニットを取り外した状態の平面図である。
【図3】本実施による携帯用ポンプ装置を使用状態から搬送時の状態にするまでの手順を示す縦断面図である。
【図4】(a)(b)は、蓋と収容部の嵌合状態を示す図1中Aを拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面に基づいて本実施による携帯用ポンプ装置の実施の形態を説明する。
本実施による携帯用ポンプ装置は、図1(a)(b)のように、給水ユニット1と、受水槽2とからなっている。給水ユニット1は、商品名:カワエースNF2形(製造・販売:株式会社川本製作所)が使用されており、図2(a)のように後述するが、受水槽2の収容部4の上面に着脱自在に取り付け可能なベース6と、モーター7と、アキュムレーター8と、吸水部9と、送水部10と、電装箱11と、呼水プラグ12と、受水槽吸水ホース13と、サインセンサー25とポンプケーシング24とからなっている。また、モーター7とアキュムレーター8、電装箱11、呼水プラグ12、サインセンサー25、ポンプケーシング24により、本実施によるポンプ装置の駆動部Pを構成している。また、モーター7の駆動は、インバーター発電機14を使用するものであり、さらに、吸水部9には、切り替え三方弁23を介して、受水槽2からの吸水と外部吸水ホース19による外部水源との二元切り替え吸水ができるようになっている。上記のように形成することにより、本実施による携帯用ポンプ装置は、切り替え三方弁23を切り替えて、水が受水槽2から受水槽吸水ホース13を通り、さらに、蛇口16を通じて送水することになる。また、外部水源から水が確保できる状況であれば、切り替え三方弁23をさらに切り替えることにより、外部水源に延ばした外部吸水ホース19を通り、蛇口16を通じて送水することも可能である。
【0014】
受水槽2は、蓋3と有底筒型の収容部4とからなっている。蓋3は、図2(b)のように、平面視して一辺が長い矩形状をなしており、所定の箇所に受水槽吸水ホース13を挿通するための受水槽吸水ノズル用挿通孔15が設けてある。また、蓋3の上面には、給水ユニット1を挟む位置にそれぞれ持手22が設けてあり、その持手22を人が両手で掴んでポンプ装置を容易に運ぶことができるようになっている。さらに、蓋3の内周側にはボールタップ18が設けてあり、そのボールタップ18は、受水槽2内に水を入れる第2給水口20の開け閉めを制御しており、所定の水位になったときに第2給水口20を閉塞するように形成してある。これらボールタップ18によって給水する方法は、水道圧が弱いときや、水の供給量が少ない場合など、そのままでは給水能力が低下する状況下で受水槽2に水を溜め込み、給水ユニット1により加圧して供給するためである。ボールタップ18の使用時には、バルブ部がほぼ水平に保持されて稼動状態になり、また、収納あるいは保管時には、ボールタップ固定蝶ネジ28を緩めて蓋3から取り外すことで蓋3の内周空間30に収容される。さらに、蓋3にはボールタップ18の着脱が容易となるように取付孔板が設けてある。そして、収容部4は、上部が開放した有底筒型をなしており、底板の外周縁部の全周からほぼ垂直に起立した周壁を有し、周壁の開放側端部は、全周に亘って蓋3の上面に設けてある溝(被嵌合部)5に差し込んで挟持されるように形成してある(図4参照)。また、符号21は、受水槽2に緊急的に水を補給するためのマンホールである。
尚、給水ユニット1はインバーター機能が付いているので、電源は、50hzと60hzの兼用であり、どの地域でも使用できるものである。また、回転数が送水量に変化するようになっていることから、インバーター発電機14を使用したときには省エネ運転ができる。また、蓋3及び収容部4の素材については、搬送時を考慮して軽量な樹脂、または金属板で形成されている。
【0015】
次に、本実施によるポンプ装置の保管時や搬送中の状態について説明する。
図3(a)のように、収容部4から給水ユニット1を取り付けたままの状態で蓋3を外し、保管ベース29の上に設置する。次いで、収容部4を上下にひっくり返して収容部4の周壁先端部4aを蓋3の上面縁部の全周に設けてある被嵌合部5に嵌合することにより、図3(b)のように、収容部4と蓋3で給水ユニット1を包囲する状態となる。このようにすると、蓋3の上面に給水ユニット1が位置することから、重心が下方に移ることにより、本実施によるポンプ装置を地面や床に設置したときには安定した状態で設置される。
尚、給水ユニット1に接続してある外部給水ホース19は、本実施によるポンプ装置の搬送時においては、給水ユニット1から取り外すとともに、その給水ユニット1の左右側面とホース保持板27との間に保持する状態にして収容部4内に納めている(図1(b)参照)。
【0016】
そして、蓋3の上面にある被嵌合部5と収容部4の周壁先端部4aとの嵌合については、図4(a)のように、蓋3の被嵌合部5が溝状に形成してあり、その溝(被嵌合部)5に収容部4の周壁先端部4aが落とし込まれて嵌合すると、収容部4の周壁先端部4aが前後左右方向に規制される。また、溝(被嵌合部)5は、溝底に向かって溝幅が狭まるテーパ状をなしており、図4(b)のように、収容部4の周壁先端部4aが落とし込まれたときに溝内周側間で挟着されることで、本実施によるポンプ装置搬送時の衝撃等による蓋3からの収容部4の上下方向の離脱が防がれる構造となっている。また、収容部4を手で掴んで持ち上げて蓋3からほぼ垂直方向に持ち上げれば、比較的簡単に外れる構造となっている。上記した被嵌合部5は、収容部4の周壁先端部が落とし込まれたときに、摩擦により抜けにくくなるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0017】
本発明のポンプ装置は、受水槽2に貯めた水を汲み上げて使用できるものであれば、給水ユニット1の種類や大きさ等は特に限定するものではない。また、受水槽2については、収容部4と、その収容部4の周壁先端部4aに被せる蓋3とからなり、収容部4は、給水ユニット1を収容できる容量を有し、また蓋3は、地面や床に設置したときに不安定に揺動せずに安定設置できるものであればよい。受水槽2の内周側に、使用するごとに新しいビニールシートなどの防水または撥水性のシートを敷き込めば、水槽内を衛生的に保つことができる。
【符号の説明】
【0018】
1 給水ユニット
2 受水槽
3 蓋(受水槽)
4 収容部(受水槽)
4a 周壁先端部
5 溝(被嵌合部)
P 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水ユニットと、受水槽とを備えており、
給水ユニットは、駆動部と吸水部と送水部を有し、受水槽の上部に設置されており、受水槽に貯めた水または外部水源から駆動部を起動して吸水部で汲み上げて、送水口から供給することを特徴とする携帯用ポンプ装置。
【請求項2】
受水槽は、上方が開口した有底筒型をなす収容部と、収容部の開口部を着脱自在に塞ぎ且つ給水ユニットを上面に載せる蓋とを有しており、蓋は、その上面に給水ユニットを囲む状態で被嵌合部が配設してあり、収容部の開口部を下向きにすると共に、収容部の周壁先端部を蓋の被嵌合部に嵌合したときに、給水ユニットが収容部の下方に位置することを特徴とする請求項1記載の携帯用ポンプ装置。
【請求項3】
被嵌合部は、溝状をなすと共に、溝底に向けて次第に溝幅が狭くなるように形成してあることを特徴とする請求項2記載の携帯用ポンプ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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