説明

携帯用電解水噴霧器

【課題】棚等に設置する電解水噴霧器は存在する。本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適なスリム形態の携帯用電解水噴霧を提供するものであり、特に、板状電極間が電解水の生成領域を形成するように、水タンク部の中心部に電解部を配置することにより、噴霧機構部の作動によって水タンク部の水が噴霧機構部へ流れる水の流通路形成がし易く、コンパクト構成の達成によって小型化を図るものである。
【解決手段】外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、水タンク部内には水タンク部から流入した水を電源部から供給される電力によって電気分解するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、プラス電極とマイナス電極間が、電解水の生成領域であると共に、噴霧機構部の作動によって水タンク部の水が噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被電解水を電気分解して生成した電解水をスプレー部から噴霧する電解水噴霧器に関し、特に、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、任意の部位に電解水を噴霧してその部位を除菌することに適する携帯用電解水噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザ等の流行により、病院や人が出入りする公共施設、または家庭の棚等に設置して手指等を除菌または殺菌する器具があり、その一つとして、被電解水を電気分解して生成した電解水をスプレー部から噴霧する電解水噴霧器の技術が存在する。その電解水噴霧器の一つに、被電解水として容器に収容した塩素化合物の溶液を電気分解し、次亜塩素酸またはその塩の溶液である電解水を生成して、これをスプレー部から噴霧する次亜塩素酸生成噴霧器がある(特許文献1参照)。
【0003】
これは多量の塩素化合物の溶液を容器に収容し、この容器の上端にトリガスプレーヤーを着脱自在に取り付け、この取り付けによってトリガスプレーヤーから延びたディップチューブが容器内の塩素化合物の溶液に浸り、指でピストルの引き金を引くようにトリガを操作することにより、1回のトリガ操作によって、0.1ml〜1mlの塩素化合物の溶液が容器内から汲み上げられてノズルから噴霧されるものである。
【0004】
また、電解水噴霧器の他の形態として、略円筒状の容器本体2Aの上面と下面に2段円筒状のキャップ2Bと円板状のキャップ2Cが取り付けられて容器2を構成し、この容器2の上部に、噴霧機構である手動スプレーポンプ3が取り付けられたものがある。これは、容器本体2Aの上面に形成した隔壁6の上側に、キャップ2B内に電解溶液を貯留するタンク4が形成され、この隔壁6の下側で容器2内に電解槽5が形成され、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置され、手動スプレーポンプ3を押し圧操作するごとに、電解槽5の電解水が所定量、ノズル3aに吸引されて噴霧口3bから噴霧される構成の電解水生成噴霧器である(特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2のものは、容器2の容器本体2A内は、上部に電解槽5が形成され、電解槽5の下方に2本のバッテリとバッテリの電流を制御する基板が背中合わせに配置され、バッテリと基板の下方を下部のキャップ2Cが覆う構成である。
【0006】
即ち、特許文献2のものは、被電解水を入れるタンク4と電解槽5が上下関係の配置となるように、タンク4がキャップ2B内に形成され、電解槽5が容器本体2Aに形成された状態で、容器本体2Aの上端にキャップ2Bがネジ結合される構成である。そして、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置されるために、電解槽5が容器本体2Aの上部の一方に偏った位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−130263号公報
【特許文献2】特開2009−154030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1のものは、図示された全体形態からして、病院や人が出入りする公共施設や病院、または家庭等の棚等に設置して使用するものであり、携帯用として開発されたものではないことが、一見して判明する。
【0009】
また特許文献2のものは、上記のように、被電解水を入れるタンク4がキャップ2B内に形成され、電解水を生成する電解槽5が容器本体2Aに形成されているため、タンク4と電解槽5が上下に分離し、それが結合される関係である。このため、タンク4に被電解水を入れる場合は、容器本体2Aからキャップ2Bを取り外し、タンク4に被電解水を入れた状態で、容器本体2Aを逆さま状態でもって、容器本体2Aとキャップ2Bとをネジ結合することとなり、被電解水の補充操作を行い難いこと、また、容器本体2Aの電解槽5に電解水が残っておれば、この電解水が零れ落ちることが懸念される。
【0010】
特許文献2のものは、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置されるために、電解槽5が容器本体2Aの上部の一方に偏った位置に配置されること、更に、電解槽5の下方に2本のバッテリとバッテリの電流を制御する基板が背中合わせに配置されるものであり、これらの構成によって容器2の直径が大きくなる。これらの点は、携帯用を創造するときの支障となるものである。
【0011】
上記の点及び全体形態からして、特許文献2のものは、病院や人が出入りする公共施設や病院、または家庭等の棚等に設置して使用するものであり、携帯用として開発されたものではないことが、一見して判明する。
【0012】
最近、インフルエンザ等の流行により、手指や出先での便座等を手軽に除菌することが望まれる。このような点に着目して、本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、手指や出先での便座等の任意の部位を手軽に除菌することに適する携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【0013】
本発明は、特許文献2のように、被電解水を入れるタンクと電解水を生成する電解槽が分離し結合される形態ではなく、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適なスリム形態を達成するために、各部の機能部分の構成及びそれらの配置構成に特徴を有し、タンクと電解槽が一体化された状態での水の補給ができる構成とする新規な携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【0014】
また本発明では、板状電極間が電解水の生成領域を形成するように、水タンク部の中心部に電解部を配置することにより、噴霧機構部の作動によって水タンク部の水が噴霧機構部へ流れる水の流通路形成がし易く、コンパクト構成の達成によって、携帯用電解水噴霧器の小型化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記水タンク部内には前記水タンク部から流入した水を前記電源部から供給される電力によって電気分解するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、前記プラス電極とマイナス電極間が、電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成することを特徴とする。
【0016】
第2発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記水タンク部内の中央部には前記水タンク部の水が下部から流入し前記噴霧機構部へ流出する筒状電解部が前記水タンク部の軸方向に配置され、前記筒状電解部はその内部に前記電源部から電力が供給される電極が配置され、前記電極は板状プラス電極と板状マイナス電極が上下方向に略均一な所定間隔で対向配置され、前記板状電極間が電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成することを特徴とする。
【0017】
第3発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、下部に電源部を配置し、上部に噴霧機構部を配置した構成であり、前記水タンク部内の中央部には前記水タンク部の水が下部から流入し上部から前記噴霧機構部へ流出する筒状電解部が前記水タンク部の軸方向に配置され、前記筒状電解部はその内部に前記電源部から電力が供給される電極が配置され、前記電極は、プラス電極とマイナス電極が交互配置となるよう少なくとも3枚の板状電極が対向配置され、中間の板状電極がプラス電極のときは両側の板状電極がマイナス電極となり、また中間の板状電極がマイナス電極のときは両側の板状電極がプラス電極となる配置であると共に、前記板状電極間が電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水路を形成することを特徴とする。
【0018】
第4発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記水タンク部の上部に前記噴霧機構部が下部に前記電源部が配置された筒状形態をなし、前記水タンク部の水が前記電解部の下部から流入し前記噴霧機構部へ流出する際の前記電解部内の水の流通路が、前記電解部のプラス電極とマイナス電極の対向面間のみで形成されたことを特徴とする。
【0019】
第5発明の携帯用電解水噴霧器は、第2発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記板状プラス電極と板状マイナス電極の軸方向長さは、略電解部の軸方向長さに亘る長さであることを特徴とする。
【0020】
第6発明の携帯用電解水噴霧器は、第2発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記板状プラス電極と板状マイナス電極のそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じであることを特徴とする。
【0021】
第7発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第6発明のいずれかにおいて、前記水タンク部は、前記噴霧機構部と着脱自在結合であると共に、前記着脱自在結合部側に前記水タンク部への水補給開口を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、インフルエンザ等の流行により、手指や出先での便座等を手軽に除菌することへの適用のために、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、手指や出先での便座等の任意の部位を手軽に除菌することに適する携帯用電解水噴霧器を提供できるものとなる。
【0023】
本発明では、板状電極間が電解水の生成領域を形成すると共に、噴霧機構部の作動によって水タンク部の水が噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成することにより、水タンク部の水を噴霧機構部へ流す流路形成がし易くなる。また、この構成によって、水タンク部の中心部に電解部を配置するコンパクト構成が達成でき、携帯用電解水噴霧器の小型化を図ることができる。
【0024】
本発明では、電極の軸方向長さは略電解部の軸方向長さに亘る長さであることにより、電解部全体を電解領域とすることができるため、携帯用電解水噴霧器全体の長さを短くすることができる。
【0025】
本発明では、前記板状プラス電極と板状マイナス電極のそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じであることにより、電極のコストが低くなる。
【0026】
本発明では、水タンク部内において、電解部と電解部へ供給する水を溜める水タンク部との区分ができ、電解部で作った電解水の水タンク部への対流を抑制でき、その都度生成した所定濃度の電解水を噴霧でき、所期の除菌効果を得ることができる。
【0027】
本発明では、また、電解部内の水の流通路が電解部のプラス電極とマイナス電極の対向面間のみで形成されることにより、電解部の小型化によりタンク部の小型化が達成され、携帯用電解水噴霧器の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部と電源部の関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成の第1実施形態を断面で示す説明図である。
【図4】図3の第1実施形態のプッシュ部をプッシュした状態の説明図である。
【図5】図3の第1実施形態のプッシュ部をプッシュした状態の電解水の流出部の拡大図である。
【図6】図3の第1実施形態の連通路部材を貫通した空気の連通路の拡大図である。
【図7】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成の第2実施形態を断面で示す説明図である。
【図8】図7の第2実施形態のプッシュ部をプッシュした状態の説明図である。
【図9】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の3枚電極構成を示す横断面図である。
【図10】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の電極の構成を示す説明図である。
【図11】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の5枚電極構成を示す横断面図である。
【図12】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の4枚電極構成を示す横断面図である。
【図13】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部のプラス電極とマイナス電極が同軸配置の円筒形である電極構成を示す説明図である。
【図14】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部のプラス電極とマイナス電極一方が円柱形でありその外側に同軸配置の円筒形である電極構成を示す説明図である。
【図15】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記水タンク部内には前記水タンク部から流入した水を前記電源部から供給される電力によって電気分解するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、前記プラス電極とマイナス電極間が、電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成する構成である。
【0030】
なお、本発明における「除菌」とは、除菌前の菌数に比べて除菌後の菌数が、100分の1以下になることを意味する。
【実施例1】
【0031】
以下、本発明に係る携帯用電解水噴霧器1は、図に示すように、外観が円筒形、楕円形、多角形等の筒状をなし、中間部に上面開口2Aの筒状水タンク部2を配置し、下部に電源部3を配置し、上部にプッシュ式噴霧機構部4を配置した構成である。図のものは、水タンク部2と電源部3の外観が、略同じ直径の円筒形本体部1Aを形成した携帯用電解水噴霧器1を示している。
【0032】
水タンク部2内の中央部には、水タンク部2の水が下部の流入孔5Eから流入し上面開口5Aから噴霧機構部4へ流出する筒状電解部5が水タンク部2の軸方向に配置され、筒状電解部5の周囲が水タンク部2の水溜め部2Aとなっており、水タンク部2の水が下部の流入孔5Eから電解部5へ流入する。このため、携帯用電解水噴霧器1がプッシュ式噴霧機構部4を上にした垂直状態において、電解部5と水タンク部2の水位が同レベルとなる構成である。
【0033】
図3に示すように、電解部5は、その内部の水に浸るように、オゾンを発生させ電解水を生成するための電解水生成用電極6が収容されており、オゾンを発生することにより除菌用電解水としてのオゾン水を生成するものである。電解部5は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向に収容された筒状電解部5を形成している。電極6は、水タンク部2の軸方向に並行に延びた2枚乃至5枚のプラス電極6Aとマイナス電極6Bで構成され、1枚のプラス電極6Aと1枚のマイナス電極6Bの一対で構成することもできるが、除菌用電解水を効果的に生成するためには、電極6の好ましい形態として、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように、少なくとも3枚の板状電極が、所定間隔を存してその板状面が対向配置される。
【0034】
筒状電解部5の構成として、筒状体5P内にプラス電極6Aとマイナス電極6Bが所定間隔で収容された構成であり、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間が水の流通路となる電解室5Sである。プラス電極6Aとマイナス電極6B間の電解室5S以外の部分に水が存在すると、この部分ではオゾンを含んでいない水が発生し、これがプッシュ式噴霧機構部4から噴霧されると、除菌効果が損なわれる。これを防止するために、電解部5は、プラス電極6Aとマイナス電極6B間以外の部分を水が流れない筒状構成である。
【0035】
電解部5の一つの実施構成として、図9に横断面で示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が絶縁材のスペーサ5Bを介して上下方向に略均一な所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置され、中間の板状電極をプラス電極6Aとし、その両側の板状電極をマイナス電極6Bとし、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、この3枚の電極の外周を合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われている。プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極がスペーサ5Bを介して所定間隔に配置された状態のものを熱収縮チューブに挿入し、加熱により熱収縮チューブを収縮させることによって、熱収縮チューブが3枚の電極の周囲に密着することにより、筒状体5Pが形成されることとなる。これによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間で、水の流通路となる電解室5Sが形成され、電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。そして、後述のようにプッシュ式噴霧機構部4の作動によって噴霧されるとき、電解室5S以外の部分を水が流れない筒状構成となる。
【0036】
電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0037】
筒状体5Pは絶縁材が好ましく、上記のように合成樹脂製の熱収縮チューブで構成してもよく、または、円筒形状または非円筒形状に成形した合成樹脂の成形品で構成してもよい。いずれにしても、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間で、水の流通路となる電解室5Sが形成され、プラス電極6Aとマイナス電極6B間以外の部分を水が流れない筒状構成とすればよい。
【0038】
オゾンを発生させるための電極構成の一つとして、図10に横断面で示すように、プラス電極6Aは、厚さ0.5mm〜1mmの平板状チタン(Ti)を基板B1とし、マイナス電極6Bとの対向面を厚さ1000nmの酸化タンタル(TaOx)層T1とする。また、マイナス電極6Bは、厚さ0.5mm〜1mmの平板状チタン(Ti)を基板B2とし、プラス電極6Aとの対向面を厚さ1000nmの白金(Pt)層T2、または白金とイリジウムの合金(Pt+Ir)層T2とする。そして、図9に示すように、絶縁材のスペーサ5Bを介して所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置され、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われている。これによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。
【0039】
また、図9のような3枚の板状電極配置の場合、中間の板状電極がマイナス電極6Bのときは、マイナス電極6Bの表裏両面が白金(Pt)層T2、または白金とイリジウムの合金(Pt+Ir)層T2であり、これに対向するプラス電極6Aのマイナス電極6Bに対する対向面は、上記のように酸化タンタル(TaOx)層T1であり、図9と同様に、絶縁材のスペーサ5Bを介して所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置され、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われる。これによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。
【0040】
電気分解を速やかに行なうため、及びまたは電解水濃度を高めるためには、図11に示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置にて、5枚の板状電極が上下方向に略均一な所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置される形態とすることもできる。この場合、5枚の板状電極のうちのプラス電極6Aは、上記のように、チタン(Ti)の基板B1の表裏両面に酸化タンタル(TaOx)層T1を形成し、マイナス電極6Bは、プラス電極6Aに対する対向面が、チタン(Ti)の基板B2の表面に白金(Pt)の層T2、または白金とイリジウムの合金(Pt+Ir)層T2を形成した構成である。このため、3枚の板状電極配置の場合と同様に、スペーサ5Bによってプラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置され、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われる。これによって、電極6に所定電圧(実施例では、5.5V〜5.6V)を印加することによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。
【0041】
また、図11のような5枚の板状電極配置の場合、プラス電極6Aの位置をマイナス電極6Bとし、マイナス電極6Bの位置をプラス電極6Aとするように配置した場合、マイナス電極6Bの表裏両面が白金(Pt)層T2、または白金とイリジウムの合金(Pt+Ir)層T2であり、これに対向するプラス電極6Aのマイナス電極6Bに対する対向面は、上記のように酸化タンタル(TaOx)層T1であり、図9と同様に、絶縁材のスペーサ5Bを介して所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置され、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われる。これによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。
【0042】
上記において、プラス電極6Aのマイナス電極6Bに対する対向面は、酸化タンタル(TaOx)層T1であるが、この酸化タンタル(TaOx)層T1をチタン(Ti)の基板B1の表面に直接形成すれば、チタン(Ti)の基板B1の表面が腐食によって痩せる現象が生じ、これを防止するために、厚さ0.5mm〜1mmの平板状チタン(Ti)基板B1の表面に、厚さ1000nmの白金(Pt)の層を形成し、この白金(Pt)層の上に、厚さ1000nmの酸化タンタル(TaOx)層を形成する。
【0043】
5枚の板状電極の場合も、電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0044】
上記の場合は、電極6は、水タンク部2の軸方向に並行に延びたプラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように、3枚または5枚の板状電極が所定間隔を存してその板状面が対向配置しているが、図12のように、4枚の板状電極が所定間隔を存してその板状面が対向するように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように構成することも可能である。また、図12において、プラス電極6Aの位置をマイナス電極6Bとし、マイナス電極6Bの位置をプラス電極6Aとするように配置することもできる。このいずれに場合も、マイナス電極6Bに対向するプラス電極6Aの表面は、酸化タンタル(TaOx)層T1であり、プラス電極6Aに対向するマイナス電極6Bの表面は、白金(Pt)層T2、または白金とイリジウムの合金(Pt+Ir)層T2である。
【0045】
2枚の板状電極の場合も、また4枚の板状電極の場合も、電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0046】
上記のように、板状のプラス電極6Aとその両側の板状のマイナス電極6B間が、電解水の生成領域を形成すると共に、噴霧機構部4の作動によって水タンク部2の水が噴霧機構部4へ流れる水の流通路を形成するため、水タンク部2の水を噴霧機構部4へ流す流路形成がし易くなり、水タンク部2の中心部に電解部5を配置するコンパクト構成が達成できる。
【0047】
また、上記のように、電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さであることによって、電解部5全体を電解領域とすることができるため、携帯用電解水噴霧器1の全体長さを短くすることができる。
【0048】
また、上記のように、電極6は、板状プラス電極6Aと板状マイナス電極6Bの対向面が電解水生成作用面であり、非対向面が絶縁材で被覆された構成であるため、対向面での電解水生成作用が効果的に行なわれるものとなる。
【0049】
また、上記のように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じであることにより、電極のコストを下げることができる。
【0050】
また、電極6の他の形態を図13及び図14に示す。図13の形態は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bは、共に同軸配置の円筒形であり、内側の円筒形がプラス電極6Aである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がマイナス電極6Bである。また、内側の円筒形がマイナス電極6Bである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がプラス電極6Aである。いずれの場合も、外側の円筒形の電極の外側面は、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われるか、円筒形に成形した合成樹脂製の筒状体5Pで覆われる。また、他の構成として、外側の円筒形の電極が筒状体5Pを兼用する構成とすることができる。この場合、外側の円筒形の電極の外側面は、絶縁材の層が形成される。
【0051】
また、図14の形態は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのうち、一方が円柱形であり、その外側に同軸配置の円筒形であり、中心部の円柱がプラス電極6Aである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がマイナス電極6Bである。また、中心部の円柱がマイナス電極6Bである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がプラス電極6Aである。いずれの場合も、外側の円筒形の電極の外側面は、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われるか、円筒形に成形した合成樹脂製の筒状体5Pで覆われる。また他の構成として、外側の円筒形の電極が筒状体5Pを兼用する構成とすることができる。この場合、外側の円筒形の電極の外側面は、絶縁材の層が形成される。
【0052】
水タンク部2の上面開口2A周縁部には、水タンク部2内の水を押圧しつつ電解部5の電解水が先端のノズル4Aから噴霧するための噴霧機構部4が、水タンク部2に水密状態に着脱自在結合となっている。噴霧機構部4は、種々の形態があり、市販品を採用することもできるが、図示の噴霧機構部4では、円筒形のプッシュ部4Pが、環状パッキン12によって水密状態を保ちつつ、円筒形の噴霧本体部4Bに上下動可能に組み合わされ、プッシュ部4Pの側面には、小孔のノズル4Aが開口している。噴霧本体部4Bの下端開口部が水タンク部2の上面開口2A周縁とネジ結合部11によって着脱自在結合となっており、噴霧本体部4Bと水タンク部2とは、環状パッキン10によって水密状態である。
【0053】
水タンク部2の上面開口2Aには、水タンク部2内に延びた連通路部材13が、ネジ結合や接着等にて水密状態に取り付けられている。連通路部材13は、中心部に上下に貫通した電解水導出路7Bを形成している。噴霧機構部4の中心部には、ノズル4Aへ通じるように、上下に貫通した電解水導出路7Aが形成されている。プッシュ部4Pは電解水導出路7Aが下方へ延出する延出部4P1を形成している。この延出部4P1は、電解水導出路7Bの上方から、連通路部材13の電解水導出路7Bへ侵入して、連通路部材13に水密状態で上下動可能に組み合わされている。これによって、電解水導出路7Aと電解水導出路7Bが連通状態となって、電解部5からノズル4Aへ通じる電解水導出路7が形成される。
【0054】
電解水導出路7Bには、電解水漏洩防止機構を備えている。この電解水漏洩防止機構は、図3に示すように、プッシュ部4Pが押圧されないときは、コイルバネ40によって上方へ付勢されるボール41によって電解水導出路7Bを閉じている。そして、図4及び図5に示すように、プッシュ部4Pの押圧によって、延出部4P1がコイルバネ40に抗してボール41を下方へ押して電解水導出路7Bを開き、矢印のように電解部5の電解水が噴霧機構部4の電解水導出路7Aへ流れる構成である。この電解水漏洩防止機構によって、プッシュ部4Pが押圧されない状態において、携帯用電解水噴霧器1を上下逆さまにしたとき、電解部5の電解水が電解水導出路7を通ってノズル4Aから漏洩しないようになる。
【0055】
噴霧本体部4B内にはポンプ室16が形成されている。図3の構成では、噴霧本体部4B内にプッシュ部4Pの空気押圧部4P2と、連通路部材13を含む水タンク部2との間にポンプ室16が形成されている。ポンプ室16は空気導入孔9によって外気と連通し、且つ、連通路部材13を貫通した空気の連通路15を通って水タンク部2内と連通している。ポンプ室16に設けたコイルバネ8によって、プッシュ部4Pは本体部4Bから上方へ突出状態に付勢され、この状態でポンプ室16は空気導入孔9によって外気と連通した状態である。図6に示すように、連通路15は、略120度ピッチで周囲3箇所にできるだけ大きく形成されており、後述の水タンク部2内への水の補給開口としても機能する。
【0056】
筒状電解部5は、上記のようにプラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向となるように配置され、筒状電解部5は、下部が水タンク部2の底部に設けた下部支持部17Aに支持され、上部が水タンク部2の上部に設けた上部支持部17Bに支持されている。図に示す形態は、下部支持部17Aが電源部3の後述の筺体23の上面に一体的に矩形環状に形成された構成であるが、筺体23とは別個に形成した下部支持部17Aを筺体23の上面に取り付けた構成でもよい。また、筒状電解部5の上部は、水タンク部2の上面開口2Aに取り付けた連通路部材13の下部に水密状態に連結した上部支持部17Bに水密状態に取り付けられている。上部支持部17Bは、後述の図7に示すように、連通路部材13の下部に一体的に形成した構成でもよい。流入口5Eは、下部支持部17Aを貫通して形成されている。このようにして、水タンク部2内と電解部5内の水の連通は流入口5Eのみである。
【0057】
水タンク部2は上部に水補給開口を備え、この水補給開口を開閉するように、水タンク部2の上部にプッシュ式噴霧機構部4が水密状態に着脱自在結合である。具体的には、水タンク部2は、上記のように噴霧機構部4と着脱自在結合であり、この着脱自在結合部側に水補給開口を形成し、この水補給開口から水タンク部2への水の補給を行なえる。この水補給開口は、上面開口2Aそのものであってもよいが、図示の構成では、主として上面開口2Aの一部分を構成する空気の連通路15が水補給開口として作用し、電解水導出路7Bの上端開口が補助的水補給開口として作用する。水タンク部2への水の補給に際しては、水タンク部2に対して、ネジ結合部11の結合が外れる方向へ噴霧本体部4Bを回転させることにより、水タンク部2と噴霧本体部4Bとの結合が外れるため、水タンク部2の上面開口2A側の水補給開口から水タンク部2への水の補給を行うことができる。このため、水タンク部2と噴霧本体部4Bとの結合を外した状態で、この連通路15と電解水導出路7Bを通して水タンク部2内への水の補給が行なわれる。なお、水タンク部2と噴霧本体部4Bとの結合を外した状態で、コイルバネ8が外れて紛失しないようにするために、コイルバネ8をプッシュ部4Pの空気押圧部4P2の周縁部に保持する構成となっている。
【0058】
噴霧機構部4を水タンク部2に水密状態に取り付けた状態において、図3の状態で電解水導出路7Aの下端部開口7A1は、電解水導出路7Bの側壁によって塞がれている。この状態で、コイルバネ8によって本体部4Bから上方へ突出状態に付勢されているプッシュ部4Pを押圧することによって、ポンプ室16の空気はプッシュ部4Pの空気押圧部4P2が空気導入孔9を通り過ぎた位置から、連通路15を通して水タンク部2内の水面HLの上面空間ASに加圧空気が作用し、それによって水タンク部2内の水が流入口5Eから電解部5内へ押し込まれる。これと共に、電解水導出路7Aの下端部開口7A1は、図4及び図5に示すように、電解水導出路7Bの拡大径部分によって開放されるため、電解水導出路7A、7Bが連通し、電解部5の電解水は電解水導出路7を通って、ノズル4Aから噴出する。
【0059】
携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて使用しないときに、噴霧機構部4から電解水が不用意に噴出しないようするために、本体部4Bには、プッシュ部4Pを覆うノズルカバー18が着脱自在に取り付けられている。このため、本体部4Bの水タンク部2寄りの外周に、環状パッキン19が取り付けられており、プッシュ部4Pを覆うようにノズルカバー18を本体部4Bに被せ、水タンク部2方向へ押すことにより、ノズルカバー18が環状パッキン19に圧接して保持される。なお、ノズルカバー18の下部開口端部を覆うために、水タンク部2の上端には環状の保護体20が設けられている。
【0060】
また、携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて持ち歩くときに、水タンク部2の水が空気導入孔9から流出しないようにするため、及び、水タンク部2内の気泡抜きのために、空気導入孔9には、空気は通すが水は通さない選択膜52を設けている。
【0061】
図7には、図3と異なる形態の電解部5の支持構成を示している。図7には、電解部5の上下方向の長さを長くするために、水タンク部2の上面開口2Aに取り付けた連通路部材13に一体に、上部支持部17Bが形成され、上部支持部17Bに電解部5の上部が支持されている。即ち、連通路部材13が水タンク部2の上面開口2Aに嵌合して支持され、プッシュ部4Pの中心部の電解水導出路7A部分が連通路部材13の中心部の電解水導出路7B部分に、上下スライド可能に嵌合し、電解水導出路7A、7Bによって、電解水導出路7が形成されている。そして、ポンプ室16と水タンク部2内を連通する空気の連通路15が、上部支持部17Bを兼用するた連通路部材13を貫通して形成されている。
【0062】
図7において、図3と同一機能部は同一符号を付しており、電解部5の構成、及びプラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間に存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を生成する構成は同じである。図7の状態で電解水導出路7Bの側壁によって塞がれていた電解水導出路7Aの下端部開口7A1は、プッシュ部4Pの押圧によって、図8に示すように、電解水導出路7Bの拡大径部分によって開放されるため電解水導出路7A、7Bが連通し、電解部5の電解水は電解水導出路7A、7Bへ押し出されてノズル4Aから噴出する。図7の構成は、電極6の上下方向の長さが図3と同じであれば、携帯用電解水噴霧器1の全体の長さを短くすることができる。また、水タンク部2の上下方向の長さが図3と同じであれば、図7の構成では、電極6の上下方向の長さを長くできるため、水タンク部2内の高い水位の範囲まで有効に電気分解を行うことができるものとなる。
【0063】
携帯用電解水噴霧器1の小型化を達成するためには、水タンク部2の大きさを小さくすることが望まれるが、使用性を考慮すれば、水タンク部2の内容積としては、数十回の噴霧ができる水の量を確保する必要がある。
【0064】
携帯用電解水噴霧器1の組み立てのし易さを考慮して、電源部3は、環状パッキン21を介して水タンク部2と相互にネジ結合部22にて、使用者が取り外しできないように固定的に水密状態に結合されている。電源部3は、合成樹脂製の筺体23内に、電源用電池24、制御回路部25、LED26等が収容されている。制御回路部25は、操作部27Pによって電源部3の外面から操作されるスイッチ27によって電源用電池24を電源として作動して、図11に示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bへ電力を供給する。電源部3は、筺体23の外面が装飾のためにアルミニウムなどの金属製装飾体28によって覆われている。LED26は、携帯用電解水噴霧器1の外方から発光が目視できると共に、水が侵入しない防水構造によって、筺体23内に取り付けられている。
【0065】
電源用電池24は、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池であり、筺体23内の電池収容部23Aに着脱自在に取り付けられる。電源用電池24は、筺体23内に形成した電池収容部23Aに収容された後、電源部3の下端に水密状態に取り付けられる電池カバー29の取り付けによって、筺体23内に保持される。この保持状態において、電源用電池24は電池カバー29の内側に設けたバネ30によって押圧されて、電源用電池24を電源とした制御回路部25へ電力が供給され、電極6へ電力が供給可能状態となる。電池カバー29を取り外し、電源用電池24を電源部3から取り外した状態で、電源用電池24を所定の充電器へセットすることにより充電可能である。なお、図2に示すように、電池収容部23Aの側面に電池カバー29Aを着脱自在に設け、電源用電池24を電源部3から取り外すようにしてもよい。
【0066】
電解部2でオゾン水を生成するためには、所定電圧以上の電力がプラス電極6Aとマイナス電極6Bへ印加されることが必要である。このため、電力電源用電池24は、複数の電池を直列接続すれば高い電圧が得られるが、携帯用電解水噴霧器1が大型化するため、本発明では、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池を1個使用し、この電源用電池24の電圧を昇圧回路25Aによって昇圧して電極6に所定電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)を印加する。制御回路部25は、電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するために、電源用電池24を電源として、電源用電池24の電圧を所定の電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)まで昇圧するための昇圧回路25Aを備え、且つ、スイッチ27をONしたときから電池24の電力を電極6へ供給する時間を制限するタイマ回路25Bを備えている。
【0067】
携帯用電解水噴霧器1において、電源用電池24の電力を電極6へ供給する方式として、タイマ回路を設けずに、使用者が携帯用電解水噴霧器1を使用する際にスイッチ27をONし、使用が終わったときスイッチ27をOFFするようにすることも可能であるが、もし、スイッチ27をOFFし忘れたときは、電池24の電力が電極6へ供給され続けるため、所謂電池24切れの状態になり易い。本発明では、このようなことを防止するために、スイッチ27として、操作部27Pを押圧したときONし押圧を解除すれば自動OFFする自動復帰式の押圧式スイッチを採用し、スイッチ27のONからタイマ回路が作動し、所定時間(実施例では10秒)だけ電池24の電力を電極6へ供給するようにしている。
【0068】
上記のように、昇圧回路によって電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するため、電源用電池24は1.5Vの単3電池が使用でき、小型化となる。また、スイッチ27をONしたときから所定時間(実施例では10秒)のみ電極6に通電することによって、除菌の必要時のみ電解水を生成するため、電池24の寿命を数年に亘るように長く保つことができる。
【0069】
本発明の携帯用電解水噴霧器1は、ハンドバッグ等に入れて持ち歩く場合の便利さのために、外観筒状をなす。その一つの実施形態を図15に示す。これにおいて、携帯用電解水噴霧器1は、外形寸法において、透明アクリルで成形した筒状水タンク部2と電源部3が直径22mmの円筒形であり、ノズルカバー18は、直径17mmの円筒形であり、全体の長さが163mmであり、電源部3の長さが78mm、タンク部2の長さが53mm、保護体20の長さが6mm、ノズルカバー18の突出長さが26mmである。
【0070】
そして、図9に示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が対向配置され、中間の板状電極をプラス電極6Aとし、その両側の板状電極をマイナス電極6Bとし、この3枚の電極の外周を合成樹脂製の熱収縮チューブで覆って筒状体5Pを形成する。電極6に印加される電圧は、1.5ボルトの単3電池24を昇圧回路によって昇圧して5.5ボルト〜5.6ボルトとしている。実質的に電解水を生成するプラス電極6Aとマイナス電極6Bの対向する面の面積をそれぞれ1.5平方センチメートルとし、プラス電極6Aとマイナス電極6Bの間隔を0.1mm〜1mmの範囲内での所定の間隔とすることにより、電解部5の小型化を図りつつ、所定の濃度のオゾン水と、1回の所定の噴霧量(実施例では、0.1ミリリットル)を確保している。
【0071】
この場合、タンク部2内に満タンで貯留される水の量は、1回の噴霧量の数十倍の10ミリリットルであり、満タン時に電解部5の電解室5Sに貯留される水の量は、1回の噴霧量よりも少ない0.06ミリリットルである。このため、1回の噴霧操作によって、電解室5S内の電解水の量よりも若干多い量の水が、タンク部2内から流入口5Eを通して電解部5内へ押し込まれ、電解室5S内の電解水の全量が電解室5Sから噴霧機構部4へ押し出される。そのため、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解水が完全に入れ替わると同時に、マイナス電極6Bの表面の気泡も一緒に上方の噴霧機構部4へ流れ、引き続いて行なわれる噴霧では、気泡を含まない正規の電解水をノズル4Aから噴霧することができる。
【0072】
なお、電池24としては、出力が大きく、一回の満充電によって数ヶ月乃至数年に亘って使用可能な長寿命のものであれば構わない。
【0073】
タンク部2の内部に貯留される水の量等を透視できるようにするために、また、意匠効果向上のために、タンク部2内には筒状水タンク部2を取り囲むように通水孔50Aを有する円筒状装飾筒50が収容されている。円筒状装飾筒50は、水タンク部2内の水が自由に流通するための多数の通水孔50Aを形成したステンレスで構成されたパンチングメタル等で構成される。また、円筒状装飾筒50を通して電解部5を透視できるような円筒状装飾筒50とするか、円筒状装飾筒50を設けない状態において、筒状水タンク部2を透明アクリルで形成し、電解部5の筒状体5Pを透明材で形成することにより、タンク部2と電解部5に貯留される水の量等を透視できるようになる。なお、電源部3の外面の金属製装飾体28は、意匠効果のために外面が化学的に梨地処理されたアルミニウムで形成した不透明材である。
【0074】
なお、携帯用電解水噴霧器1は、ハンドバッグ等に入れて持ち歩き可能な形態であるが、タンク部2の外面上部にストラップ係止用のリング51を設けており、使用者が任意のストラップを取り付け可能としている。
【0075】
上記の場合は、電解部5でオゾンを発生してオゾン水である電解水を生成するものであるが、次亜塩素酸発生用の電極を用いれば、電極間に塩化物イオンを含む水を貯留させ、この水を電気分解して次亜塩素酸を発生させて、次亜塩素酸水である電解水を生成するものとすることもできる。次亜塩素酸水を生成する場合は、塩化物イオンを含む上水道水等、使用する水が制限されるため、水の補給場所の制限を受けるが、オゾン水を生成する場合は水の種類は問わないため、水がある場所であればどこでも補給できることとなり、使用上の便利さが向上したものとなる。また、アルコール等の消毒液を使用する場合は、補給用の消毒液を持ち歩く必要があるが、オゾン水を生成する場合はその必要がなく、水がある場所であればどこでも補給できるものとなる。
【0076】
携帯用電解水噴霧器1は、長期間使用しているうちに、電極6の表面にカルシウム等のスケールが付着して、電気分解作用が阻害されるため、時々、噴霧機構部4をタンク部2から外し、タンク部2内をクエン酸によって洗浄することにより、電極6の表面に付着したカルシウム等のスケールを取り除くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る携帯用電解水噴霧器は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0078】
1・・・・・携帯用電解水噴霧器
2・・・・・筒状水タンク部
2A・・・・筒状水タンク部の上面開口
3・・・・・電源部
4・・・・・プッシュ式噴霧機構部
4A・・・・ノズル
4P・・・・プッシュ部
5・・・・・筒状電解部
5A・・・・筒状電解部の上面開口
5E・・・・流入孔
5P・・・・筒状体
5S・・・・電解室
6・・・・・電極
6A・・・・プラス電極またはマイナス電極
6B・・・・プラス電極またはマイナス電極
7・・・・・電解水導出路
7A・・・・電解水導出路
7B・・・・電解水導出路
8・・・・・コイルバネ
9・・・・・空気導入孔
10・・・・環状パッキン
11・・・・ネジ結合部
12・・・・環状パッキン
13・・・・連通路部材
16・・・・ポンプ室
15・・・・空気の連通路(水補給開口)
17A・・・下部支持部
17B・・・上部支持部
18・・・・ノズルカバー
19・・・・環状パッキン
20・・・・保護体
21・・・・環状パッキン
25・・・・制御回路部
26・・・・LED
27・・・・スイッチ
50・・・・円筒状装飾筒
50A・・・通水孔
51・・・・リング
52・・・・選択膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記水タンク部内には前記水タンク部から流入した水を前記電源部から供給される電力によって電気分解するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、前記プラス電極とマイナス電極間が、電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成することを特徴とする携帯用電解水噴霧器。
【請求項2】
外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記水タンク部内の中央部には前記水タンク部の水が下部から流入し前記噴霧機構部へ流出する筒状電解部が前記水タンク部の軸方向に配置され、前記筒状電解部はその内部に前記電源部から電力が供給される電極が配置され、前記電極は板状プラス電極と板状マイナス電極が上下方向に略均一な所定間隔で対向配置され、前記板状電極間が電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成することを特徴とする携帯用電解水噴霧器。
【請求項3】
外観筒状をなし、中間部に筒状水タンク部を配置し、下部に電源部を配置し、上部に噴霧機構部を配置した構成であり、前記水タンク部内の中央部には前記水タンク部の水が下部から流入し上部から前記噴霧機構部へ流出する筒状電解部が前記水タンク部の軸方向に配置され、前記筒状電解部はその内部に前記電源部から電力が供給される電極が配置され、前記電極は、プラス電極とマイナス電極が交互配置となるよう少なくとも3枚の板状電極が対向配置され、中間の板状電極がプラス電極のときは両側の板状電極がマイナス電極となり、また中間の板状電極がマイナス電極のときは両側の板状電極がプラス電極となる配置であると共に、前記板状電極間が電解水の生成領域であると共に、前記噴霧機構部の作動によって前記水タンク部の水が前記噴霧機構部へ流れる水路を形成することを特徴とする携帯用電解水噴霧器。
【請求項4】
前記水タンク部の上部に前記噴霧機構部が下部に前記電源部が配置された筒状形態をなし、前記水タンク部の水が前記電解部の下部から流入し前記噴霧機構部へ流出する際の前記電解部内の水の流通路が、前記電解部のプラス電極とマイナス電極の対向面間のみで形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項5】
前記板状プラス電極と板状マイナス電極の軸方向長さは、略電解部の軸方向長さに亘る長さであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項6】
前記板状プラス電極と板状マイナス電極のそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じであることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項7】
前記水タンク部は、前記噴霧機構部と着脱自在結合であると共に、前記着脱自在結合部側に前記水タンク部への水補給開口を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−92885(P2011−92885A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250339(P2009−250339)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】