携帯用高圧ガス容器
【課題】高熱又は外力が容器に加わっても、爆発する前に容器内部のガスを放出させることによって爆発を防止し得る携帯用高圧ガス容器を提供する。
【解決手段】本発明は、内部に高圧ガスが充填された胴体と、前記胴体の内部に充填された高圧ガスを排出させる弁を備え、前記胴体に結合された上部体と、前記上部体の縁部に沿って形成され、前記胴体の内部に向かって湾曲しているカウンターシンク部と、前記弁を中心にして放射状に前記カウンターシンク部に形成され、前記胴体の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化され、前記胴体が爆発する前に前記高圧ガスの上昇された圧力によって開放される多数の爆発防止部と、を含む。
【解決手段】本発明は、内部に高圧ガスが充填された胴体と、前記胴体の内部に充填された高圧ガスを排出させる弁を備え、前記胴体に結合された上部体と、前記上部体の縁部に沿って形成され、前記胴体の内部に向かって湾曲しているカウンターシンク部と、前記弁を中心にして放射状に前記カウンターシンク部に形成され、前記胴体の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化され、前記胴体が爆発する前に前記高圧ガスの上昇された圧力によって開放される多数の爆発防止部と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用高圧ガス容器(PORTABLE HIGH-PRESSURE GAS CONTAINER)に関し、より詳しくは、高熱又は外力が容器に加わっても、爆発する前に容器内部のガスを放出させることによって、爆発を防止することができる携帯用高圧ガス容器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用高圧ガス容器とは、主に「液化されたガスが内部に充填され、高熱又は外力が加わったとき、爆発の危険性がある容器」を通称するものであり、例えば、液化石油ガスの一種であるブタンガスが内部に充填され携帯用ガスコンロに使用される携帯用ブタンガス容器、又は液化石油ガスを推進剤として使用するヘアスプレー、殺虫剤などのエアロゾル容器などがこれに属する。
【0003】
このような携帯用高圧ガス容器は、流通過程や使用中に周囲から高熱又は外力を受けると、容器内部に充填されている高圧ガスが圧力の上昇に因って爆発する可能性がある。特に、携帯用ブタンガス容器の場合、旅行中に安全規則を遵守せず変則的に携帯用ガスコンロに使用することが度々あるが、この場合、携帯用ブタンガス容器が高熱を受け爆発する可能性があって、周辺の人々に傷害を被らせる恐れがある。また、流通及び保存中においても、火災が発生した場合、携帯用高圧ガス容器の爆発に因る人命被害が懸念され、消火作業においても長時間かかり、その被害が拡散され得る。さらに焼却時においても、容器に残存するガスに因って爆発の危険性があって、焼却作業時にも留意しなければならないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述のような問題点などを解決するためになされたものであり、その技術的課題は、高熱又は外力が容器に加わっても、爆発する前に容器内部のガスを放出させることによって爆発を防止し得る携帯用高圧ガス容器を提供することにある。
【0005】
本発明の解決しようとする技術的課題は、上述の課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の技術的課題は、本発明による、内部に高圧ガスが充填された胴体と、前記胴体の内部に充填された高圧ガスを排出させる弁を備え、前記胴体に結合された上部体と、前記上部体の縁部に沿って形成され、前記胴体の内部に向かって湾曲しているカウンターシンク部と、前記弁を中心にして放射状に前記カウンターシンク部に形成され、前記胴体の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化され、前記胴体が爆発する前に前記高圧ガスの上昇された圧力によって開放される多数の爆発防止部と、を含む携帯用高圧ガス容器によって達成されることができる。
【0007】
ここで、前記胴体と前記上部体とは、前記胴体に備えられたフランジと前記上部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部(double seaming part)又は三重に結合した三重シーミング部(triple seaming part)によって結合されることで、前記胴体と前記上部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることができる。
【0008】
一方、本発明による携帯用高圧ガス容器は、前記上部体に対向する位置に、前記胴体の内部に向かって湾曲され前記胴体と結合する下部体をさらに含んで構成されることができる。
【0009】
ここで、前記胴体と前記上部体及び下部体とは、前記胴体に備えられたフランジと前記上部体及び下部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部又は三重に結合した三重シーミング部によって結合されることで、前記胴体と前記上部体及び下部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることができる。
【0010】
この時、前記三重シーミング部は、前記フランジと前記フックとが密着して重畳された状態で、前記フランジは∪形、∩形に連続して二重に折り曲げられ、前記フックは∩形、∪形、∩形に連続して三重に折り曲げられた後、圧着されることで、前記フランジと前記フックとが結合され得る。
【0011】
また、前記胴体は、前記三重シーミング部によって結合される部分の外周が、前記胴体の他の部分の外周よりも大きくなることを防止するために、前記三重シーミング部によって結合される部分に隣接した前記胴体の一部分の直径が狭くなるようにネック部を備えることができる。
【0012】
一方、本発明による携帯用高圧ガス容器において、それぞれの前記爆発防止部は、外部空気と接する外側面は湾曲されているが、前記高圧ガスと接する内側面は水平になっていることができる。
【0013】
また、それぞれの前記爆発防止部は、外部空気と接する外側面と、前記高圧ガスと接する内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接する一側とは湾曲されているが、前記内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接していない他側は水平になっていることができる。
【0014】
また、前記爆発防止部は、前記カウンターシンク部に同一の間隔又は一定の間隔で形成され得る。
【0015】
また、それぞれの前記爆発防止部は、前記外側面の最低点と前記水平な内側面との間の厚さが全部一定であり得、この時、前記外側面の最低点と前記水平な内側面との間の厚さは0.07mm〜0.09mmであり得る。
【0016】
このような前記爆発防止部は、開放される瞬間、1.5MPaの圧力下で150l/min〜250l/minの流量で前記高圧ガスを排出させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による携帯用高圧ガス容器によれば、高熱又は外力が容器に加わっても、爆発防止部によって容器内部のガスを放出させることで、爆発を防止することができるとの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例を縦方向に切断して示した切断斜視図である。
【図2】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を示した平面図である。
【図3】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を概略的に示した断面図である。
【図4】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部を拡大して示した断面図である。
【図5】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部の変形例を拡大して示した断面図である。
【図6】爆発防止部を製作する前における図3のA部分を拡大して示した断面図である。
【図7】爆発防止部としてのスコア(score)が形成された仮想の携帯用高圧ガス容器を図3のA部分に対応して示した断面図である。
【図8】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部を製作する過程の一部を示した断面図である。
【図9】図8に示された過程を通して製作された爆発防止部を示した断面図である。
【図10】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部の変形例を製作する過程の一部を示した断面図である。
【図11】図10に示された過程を通して製作された爆発防止部の変形例を示した断面図である。
【図12】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部を製作する過程を概略的に示した断面図である。
【図13】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図14】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図15】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図16】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図17】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による破裂圧を測定した結果を比較したグラフである。
【図18】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による変形圧を測定した結果を比較したグラフである。
【図19】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による残量別の作動実験の結果を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の望ましい実施例を詳しく説明すれば、次の通りである。但し、本発明の説明において、既に公知となった機能或いは構成に対する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略することにする。
【0020】
まず、図1〜図5を参照しながら、本発明による携帯用高圧ガス容器の構成について詳しく説明する。
【0021】
ここで、図1は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例を縦方向に切断して示した切断斜視図、図2は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を示した平面図、図3は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を概略的に示した断面図、図4は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部を拡大して示した断面図、そして、図5は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部の変形例を拡大して示した断面図である。
【0022】
図1〜図5に示されたように、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例は、胴体100、上部体200、カウンターシンク部300及び爆発防止部400を含む。
【0023】
胴体100は、内部に高圧ガスが充填され、一般的に、保存された高圧ガスからの内部圧力を均一に受けるために、円筒状に形成される。
【0024】
胴体100の上端には、後述する上部体200が結合されることができ、下端には、下部体900がシーミング加工によって結合されるか、一体に形成されることができる。
【0025】
このとき、胴体100と上部体200との結合方法としては、一体に製作する方法、溶接によって結合させる方法など、多様な方法を適用することができるが、高速生産性及び結合力を考慮したとき、シーミング加工による結合が有利である。即ち、胴体100と上部体200とは、胴体100に備えられたフランジ610と上部体200に備えられたフック630とが結合されたシーミング部600によって結合されるのが有利である。
【0026】
但し、シーミング部600によって結合される場合は、胴体100と上部体200との結合力が十分に保障され得るように、二重に結合される二重シーミング部又は三重に結合される三重シーミング部とするのが有利である。
【0027】
即ち、後述する爆発防止部400が変形する前に胴体100と上部体200とが分離、破裂されてはならないので、胴体100と上部体200との結合力は、爆発防止部400が変形し始める応力よりも大きくなければならない。例えば、爆発防止部400の変形に必要な変形圧力が1.5MPaであると仮定すれば、胴体100と上部体200との分離、破裂に必要な破裂圧力は2.0MPa以上でなければならない。
【0028】
言い換えれば、後述する爆発防止部400が正常作動するためには、胴体100と上部体200との結合力が、後述するカウンターシンク部300が変形して爆発防止部400が開放され始める応力よりも大きくなければならず、これにより胴体100と上部体200とが分離され胴体100が爆発する前に、爆発防止部400が開放され高圧ガスを排出させることができるのである。
【0029】
一方、高圧ガスの種類、後述する爆発防止部400の誤作動確率、周辺環境などによっては、胴体100と上部体200とを二重シーミング部によって結合するか、それとも、三重シーミング部によって結合するかを決定する必要性がある。
【0030】
かかる必要性を考慮して、本明細書では図17〜図19を参照しながら次のような三通りの実験例を提示する。
【0031】
<実験例1>
実験例1は、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による破裂圧を測定した結果を比較するための実験であり、錫鉄板(tin plate)[Top:0.35T、Body:0.20T 、Bottom:0.30T]からなる高圧ガス容器に対して、シーミングタイプ別にそれぞれ用意した耐圧試験機を利用して破裂圧を測定したところ、表1及び図17のような結果が得られた。
【0032】
【表1】
【0033】
表1及び図17に示されたように、胴体100と上部体200とを三重シーミング部によって結合する場合において、缶容器の破裂圧が高く測定されることが分かる。
【0034】
<実験例2>
実験例2は、実験例1との比較のために、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による変形圧を測定した実験であり、同一条件の下で変形圧を測定したところ、表2及び図18のような結果が得られた。
【0035】
【表2】
【0036】
表2及び図18に示されたように、缶容器の破裂圧の場合は、胴体100と上部体200とを三重シーミング部によって結合する場合に高く測定されるのに対して、変形圧の場合は大差がない。即ち、これは、胴体100と上部体200とを三重シーミング部によって結合しても、後述する爆発防止部400の作用には影響を及ぼさないことを意味する。
【0037】
<実験例3>
実験例3は、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による高圧ガスの残量別の作動可否を確認した実験であり、缶容器の内部にガスの残量をそれぞれ異にするように残した後、火炎の中に入れて、それぞれの作動可否を確認した。その結果は、表3及び図19に示した通りである。
【0038】
【表3】
【0039】
表3及び図19から、100%充填されている缶容器よりは、10%〜30%の残量がある缶容器において、二重シーミングされた製品が三重シーミングされた本発明による製品に比べて不利であることが分かる。
【0040】
これは、100%充填されている場合よりは、残量が少ないほど、高温での相対的な加熱速度及び缶容器の内部圧の上昇速度が速くて、瞬間的に変形が開始され、上部体200のフック630と胴体100のフランジ610とが耐えられず展開されて、上部体200が胴体100から分離、破裂され爆発が起こりやすいためである。
【0041】
以上の結果から分かるように、破裂圧が大きく作用する場合や高い安定性が要求される場合には、二重シーミング部よりは三重シーミング部によって胴体100と上部体200とを結合させるのが有利である。
【0042】
ここで、三重シーミング部による胴体100と上部体200との結合方法の一例について詳しく説明すれば、フランジ610とフック630とが密着され重畳された状態で、フランジ610を‘∪'形、‘∩'形に連続して二重に折り曲げ、フック630を‘∩’形、‘∪'形、‘∩'形に連続して三重に折り曲げた後、圧着することで、フランジ610とフック630とを結合させてシーミング部600を形成することができる。
【0043】
かかるシーミング部600の形成方法の一例は、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の製作過程を概略的に示した断面図である図12を参照すれば一層容易に理解できるであろう。
【0044】
即ち、図12に示されたように、まずはカウンターシンク部300の位置する上部体200の周縁から水平方向に延長形成された延長部620の端部分を下方に折り曲げて円弧状のフック630を形成する。このようにフック630を円弧状に形成する理由は、それぞれのシーミングロール720、730、740で加圧した時、フック630が円形に巻かれるようにするためである。
【0045】
次いで、円筒状胴体100の端縁を水平方向に折り曲げてフランジ610を形成する。この時、フランジ610は上向きに傾斜して形成することができるが、これは、フランジ610の端部が延長部620の底面に密着してフック630とともに内側に巻かれるとき、延長部620から離隔されずに密着した状態を維持するためである。
【0046】
以後、フランジ610の端部がフック630に近接するように、フランジ610を延長部620の底面に密着させ胴体100に上部体200を結合させる。そして、上部体200のカウンターシンク部300には、シーミングチャック710を装着させる。
【0047】
シーミングチャック710は、それぞれのシーミングロール720、730、740による加圧時に、シーミングロール720、730、740の加圧方向の反対からこれを支持するためのもので、上部体200から延長形成されたカウンターシンク部300に挿入される。
【0048】
前述の過程を経て、上部体200にシーミングチャック710が装着されれば、フランジ610の密着されたフック630を1次のシーミングロール720によってシーミングチャック710側に加圧する。このように、1次のシーミングロール720によってフック630をシーミングチャック710側に加圧すれば、フック630はフランジ610との重畳状態から円形に1次巻きがなされる。これは、フック630が円弧状として下向に折り曲げられており、1次のシーミングロール720の内側にはフック630が円形に巻かれるようにガイドするための巻きガイド曲面が形成されていることから可能となる。
【0049】
かかる過程によって、フランジ610とフック630とが円形に巻かれ1次結合すれば、この部位を2次のシーミングロール730によって再び加圧する。このとき、2次のシーミングロール730の内側には、一次巻きにより円形となったフック630が巻き込まれるように1次のシーミングロール720の巻きガイド曲面より大きな巻きガイド曲面が形成されていることから、一次巻きがなされた円形のフック630は、もう一回円形に巻かれるようになる。即ち、1次のシーミングロール720によって円形に巻かれたフック630は、2次のシーミングロール730によってもう一回転巻かれるようになり、フランジ610と三重に重なることになるのである。
【0050】
次いで、前述した過程によって2次結合されたフック630とフランジ610とを、3次のシーミングロール740によって加圧する。3次のシーミングロール740によって相互重畳された状態で三重に巻かれたフック630とフランジ610とを加圧すれば、フック630とフランジ610とが圧着されると同時に堅固に結合され、三重シーミング部を形成するようになる。即ち、三重シーミング部は、フランジ610が‘∪'形、‘∩'形に連続して二重に折り曲げられ、フック630が‘∩’形、‘∪'形、‘∩'形に連続して三重に折り曲げられた後、相互圧着されることで堅固に結合され得る。
【0051】
しかし、かかる方法で製作された三重シーミング部によって胴体100と上部体200とを結合する場合、結合部分の体積が大きいことから、各国別に標準化された胴体100の規格から外れる可能性がある。
【0052】
従って、三重シーミング部によって結合される場合には、結合部分の外周が胴体100の他の部分の外周よりも大きくなることを防止するために、ネック部800を胴体100に備えるのが有利である。
【0053】
即ち、ネック部800が胴体100に備えられることで、三重シーミング部により胴体100と上部体200とが結合される本発明による携帯用高圧ガス容器の場合においても、国別に標準化されている胴体100の規格に合せることができ、ひいては、前記規格に適合するように製作された既存の各種装置(例えば、携帯用ガスコンロ)に対しても無干渉で利用することができる。
【0054】
ネック部800は、シーミング部600の位置する部分に隣接した胴体100の一部分の直径が縮小される形態で構成されることができる。このとき、胴体100の直径縮小の度合は、シーミング部600の最外側の外周が胴体100の外周と差がない程度であれば充分である。
【0055】
一方、図示されてはいないが、胴体100と下部体900との結合においても、胴体100と上部体200との結合方法と同様に、三重シーミングによって結合するのが有利であり、これに対する詳細な説明は重複記載を避けるために省略する。
【0056】
一方、上部体200は、前述の通り、胴体100の上端にシーミング加工によって結合され、その中央部には、胴体100内部に充填された高圧ガスを必要に応じて排出するための弁210が備えられる。
【0057】
このとき、弁210は、胴体100内部に充填される高圧ガスの種類に応じて適宜採用することができ、高圧ガスを必要に応じて排出させることができるならば、如何なる構成及び形状のものであっても構わない。
【0058】
また、上部体の縁部には、カウンターシンク部300が形成されるが、これに対する説明は後述する。
【0059】
カウンターシンク部300は、胴体100の内部に向かって湾曲した形状に上部体200の縁部に設けられる。カウンターシンク部300は、胴体100と上部体200とをシーミング加工によって結合する過程で上部体200に形成されるもので、二重シーミング又は三重シーミング加工によって結合する場合、自然に形成され得る。
【0060】
但し、これは、二重又は三重シーミング加工によって結合する場合に限定されない。即ち、結合力不足の理由から、胴体100と上部体200とを単一シーミング加工によって結合する場合は非常に稀なことではあるが、万一、単一シーミング加工によって結合する場合であっても、後述する爆発防止部400が設けられるように、上部体200の縁部に沿ってカウンターシンク部300が形成されることもできる。
【0061】
一方、爆発防止部400は、胴体100が爆発する前に胴体100内部の高圧ガスを外部に排出させるところである。このとき、胴体100の爆発とは、胴体100自体の爆発だけでなく、前述したように、胴体100とそれに結合された上部体200又は下部体900とが相互分離、破裂され爆発することまでを全て含む包括的な意味を有する。
【0062】
このような爆発防止部400は、上部体200の中央部に備えられた弁210を中心にしてカウンターシンク部300に放射状に多数形成され得る。即ち、カウンターシンク部300の形成経路に沿って、所定の間隔を置いて相互離隔形成されることができる。
【0063】
この時、所定の間隔とは、同一の間隔又は一定の間隔を意味する。このように同一の間隔又は一定の間隔で形成される理由は、爆発前に高圧ガスを排出させる爆発防止部400が、特定方向に偏って作動されることを防止するためである。
【0064】
また、爆発防止部400は、爆発前に高圧ガスの上昇された圧力によって開放され得るように、胴体100の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化されることができる。この時、厚さを薄くし且つ材質を硬質化するために、外部空気と接する爆発防止部400の外側面410をカウンターシンク部300の外側面から延長して湾曲されるように形成することができ、高圧ガスと接する爆発防止部400の内側面420を水平に形成することができる。
【0065】
一方、このような爆発防止部400を形成する過程は、図6〜図11に示されている通りである。
【0066】
ここで、図6は爆発防止部を製作する前における図3のA部分を拡大して示した断面図、図7は爆発防止部としてのスコアが形成された仮想の携帯用高圧ガス容器を図3のA部分に対応して示した断面図、図8は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部を製作する過程の一部を示した断面図、図9は図8に示された過程を通して製作された爆発防止部を示した断面図、図10は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部の変形例を製作する過程の一部を示した断面図、そして、図11は図10に示された過程を通して製作された爆発防止部の変形例を示した断面図である。
【0067】
爆発防止部400の製作のために、まず、図6に示されたようなカウンターシンク部300の内側面を、図8に示された爆発防止部製造器具500の水平な受け台510上に配置し、カウンターシンク部300の外側面と同様に湾曲された形状を有する加圧部520によってカウンターシンク部300の外側面を加圧して圧搾することができる。かかる圧搾によって、カウンターシンク部300の一部は、厚さが薄くなり且つその材質が硬質化された爆発防止部400として形成され得る。
【0068】
一方、厚さを薄くし且つ材質を硬質化するために、爆発防止部400は、他の形状に変形して形成されることもできる。即ち、図11に示されたように、外部空気と接する爆発防止部400の外側面410と、爆発防止部400の内側面420のうち胴体100の内側壁に隣接する一側とは、湾曲されるように形成し、爆発防止部400の内側面420のうち胴体100の内側壁と隣接していない他側は、水平に形成することができる。
【0069】
これは、前述したような圧搾過程で発生する変形部(図11のMを参照)が、胴体100と上部体200とのシーミング加工による結合を邪魔し得るため、爆発防止部400の内側面420のうち胴体100の内側壁に隣接する一側は扁平に形成しないのである。特に、図5に示されたように、胴体100がネック部800を備える場合は、変形部(図11のMを参照)が胴体100と上部体200とのシーミング加工による結合を邪魔する可能性がさらに大きくなるので、爆発防止部400をこのように変形して構成するのが有利である。
【0070】
このような爆発防止部400の変形例を形成する過程は、図10に示されたように、カウンターシンク部300の内側面を爆発防止部製造器具500の水平な受け台510上に配置する時、カウンターシンク部300の最低点を、加圧部520の中心とは一致させ、受け台510の中心とは所定距離だけ離隔させることによって可能となる。
【0071】
一方、前述のように爆発防止部400を同一の間隔で多数形成するために、受け台510は、長方形のものが円形のベース(未図示)に該ベースの中心から放射状に4〜20個設けられることができ、加圧部520は、受け台510に対応して円形のものが4〜20個配置されることができる。ここで、受け台510及び加圧部520の個数(4〜20個)は、例示したものに過ぎず、その個数は幾らでも増減が可能である。但し、この場合においても、後述の通り、爆発の前に外部に排出させる高圧ガスの流量を考慮して爆発防止部400の個数を決定するのが有利である。
【0072】
また、多数の爆発防止部400は、外側面410の最低点と内側面420との厚さtが、全て一定に形成され得る。これは、多数の爆発防止部400が同一の間隔でカウンターシンク部300に形成されることと同様な理由である。即ち、爆発の前に高圧ガスを排出させる爆発防止部400が、特定方向に偏って作動されるのを防止するためである。
【0073】
ここで、多数の爆発防止部400における外側面410の最低点と内側面420との厚さtは、上部体200の材質を考慮して決定することができ、爆発防止部400の開放に大きな抵抗を与えないために、0.07mm〜0.09mmにすることができる。
【0074】
このような爆発防止部400は、後述するように、爆発前に高圧ガスの圧力上昇に因って切断(departing)されることで開口440を発生させ、容器内部の高圧ガスを排出させる。
【0075】
これと関連して、携帯用高圧ガス容器の爆発前に容器内部の高圧ガスを排出させる方法としては、図7に示されたように、カウンターシンク部300に切り込み形状のスコアSを形成する方法も想定することができる。
【0076】
このような仮想の携帯用高圧ガス容器において、スコアSは、本発明の携帯用高圧ガス容器の爆発防止部400とは異なり、破裂(tearing)されることで開口を発生させる。従って、スコアSの深さは十分に深く形成しなければならず、その位置も破裂させる位置(図7のa位置)に正確に形成しなければならない。
【0077】
しかし、スコアSを形成する過程において、過度に深く形成される場合が度々あって、これにより、予期せぬ開口が発生してしまい、使用前に高圧ガスが漏出される危険性がある。
【0078】
また、不正確な位置にスコアSが形成される場合、破裂位置が変化するが(図7のb、c位置)、爆発前に排出される高圧ガスの量がスコアSの位置によって異なり得、これにより、高圧ガスを排出させるスコアSが特定方向に偏って作動し得るとの欠点もある。
【0079】
従って、本発明の携帯用高圧ガス容器の一実施例による爆発防止部400は、爆発前に高圧ガスの圧力上昇に因り切断(departing)されることで開口440を発生させるよう、前述の構成を有する。
【0080】
一方、爆発防止部400の外側面410には、腐食防止剤430がコーティングされることができる。これは、調理中にこぼれ出た汁や野外保管中に留まった雨水などのような水分に因り、爆発防止部400の外側面410が腐食することを防止するためである。
【0081】
このとき、腐食防止剤430は、爆発防止部400の腐食を防止できる素材ならば、何でも構わないが、例示的に、エポキシ樹脂が100cm2当り300〜350mgの厚さでコーティングされることができる。
【0082】
このとき、エポキシ樹脂は、25℃及びフォードカップNo.4(#4 ford cup)の条件下で25〜35秒の粘度を有するのが有利である。また、かかるエポキシ樹脂のコーティングは、スプレーコーティングを施した後、200〜220℃で1分間硬化(curing)させるのが望ましい。また、エポキシ樹脂に色を添加すれば、コーティング有無及びコーティング度合を確認することができる。上記のようなコーティング有無及びコーティング度合の確認は、品質管理において有利であろう。
【0083】
このように、爆発防止部400に腐食防止剤430をコーティングすることによって、爆発防止部400の腐食に因る予期せぬ開口の発生を防止することができる。
【0084】
以下、胴体の爆発前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である、図13〜図16を参照しながら、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例の作動について説明する。
【0085】
図13に示されたように、携帯用高圧ガス容器に高熱又は外力が加わる前は、胴体100と上部体200とはシーミング加工によって結合されており、上部体200に形成されたカウンターシンク部300には爆発防止部400が設けられている。
【0086】
しかし、携帯用高圧ガス容器に高熱又は外力が加われば、図14に示されたように、まずは胴体100の内部に向かって湾曲されていたカウンターシンク部300が膨張しながら展開され、次いで爆発防止部400が切断され始め隙間(aperture)が発生し、胴体100内部の高圧ガスが排出され始める。
【0087】
以後、図15に示されたように、カウンターシンク部300はさらに展開され、爆発防止部400に発生された隙間は開口440の形状を有するようになって、より多くの高圧ガスを排出させる。
【0088】
図15のように作用する携帯用高圧ガス容器は、最終的には図16のような形状を有するようになる。即ち、カウンターシンク部300は完全に展開され、爆発防止部400は完全な開口440の形状を有するようになって、さらに多くの高圧ガスを排出させる。
【0089】
ここで、この高圧ガスは、爆発防止部400が開放される瞬間、1.5MPaの圧力下で150〜250l/minの流量で排出されるが、これは、本発明による携帯用高圧ガス容器が、標準技術に合せて製造されたブタンガス容器の場合において必要となる流量、即ち80l/min(空気圧力6kg/cm2)を越える数値と言える。
【0090】
以上、本発明の特定の実施例を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能なことは、本発明の技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明なことである。従って、かかる修正例又は変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例も本発明の特許請求の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0091】
100: 胴体
200: 上部体
210: 弁
300: カウンターシンク部
400: 爆発防止部
410: 爆発防止部の外側面
420: 爆発防止部の内側面
430: 腐食防止剤
440: 開口
500: 爆発防止部製造器具
510: 受け台
520: 加圧部
600: シーミング部
610: フランジ
620: 延長部
630: フック
710: シーミングチャック
720、730、740: シーミングロール
800: ネック部
900: 下部体
S: 仮想の携帯用高圧ガス容器によるスコア
t: 爆発防止部の厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用高圧ガス容器(PORTABLE HIGH-PRESSURE GAS CONTAINER)に関し、より詳しくは、高熱又は外力が容器に加わっても、爆発する前に容器内部のガスを放出させることによって、爆発を防止することができる携帯用高圧ガス容器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用高圧ガス容器とは、主に「液化されたガスが内部に充填され、高熱又は外力が加わったとき、爆発の危険性がある容器」を通称するものであり、例えば、液化石油ガスの一種であるブタンガスが内部に充填され携帯用ガスコンロに使用される携帯用ブタンガス容器、又は液化石油ガスを推進剤として使用するヘアスプレー、殺虫剤などのエアロゾル容器などがこれに属する。
【0003】
このような携帯用高圧ガス容器は、流通過程や使用中に周囲から高熱又は外力を受けると、容器内部に充填されている高圧ガスが圧力の上昇に因って爆発する可能性がある。特に、携帯用ブタンガス容器の場合、旅行中に安全規則を遵守せず変則的に携帯用ガスコンロに使用することが度々あるが、この場合、携帯用ブタンガス容器が高熱を受け爆発する可能性があって、周辺の人々に傷害を被らせる恐れがある。また、流通及び保存中においても、火災が発生した場合、携帯用高圧ガス容器の爆発に因る人命被害が懸念され、消火作業においても長時間かかり、その被害が拡散され得る。さらに焼却時においても、容器に残存するガスに因って爆発の危険性があって、焼却作業時にも留意しなければならないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述のような問題点などを解決するためになされたものであり、その技術的課題は、高熱又は外力が容器に加わっても、爆発する前に容器内部のガスを放出させることによって爆発を防止し得る携帯用高圧ガス容器を提供することにある。
【0005】
本発明の解決しようとする技術的課題は、上述の課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の技術的課題は、本発明による、内部に高圧ガスが充填された胴体と、前記胴体の内部に充填された高圧ガスを排出させる弁を備え、前記胴体に結合された上部体と、前記上部体の縁部に沿って形成され、前記胴体の内部に向かって湾曲しているカウンターシンク部と、前記弁を中心にして放射状に前記カウンターシンク部に形成され、前記胴体の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化され、前記胴体が爆発する前に前記高圧ガスの上昇された圧力によって開放される多数の爆発防止部と、を含む携帯用高圧ガス容器によって達成されることができる。
【0007】
ここで、前記胴体と前記上部体とは、前記胴体に備えられたフランジと前記上部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部(double seaming part)又は三重に結合した三重シーミング部(triple seaming part)によって結合されることで、前記胴体と前記上部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることができる。
【0008】
一方、本発明による携帯用高圧ガス容器は、前記上部体に対向する位置に、前記胴体の内部に向かって湾曲され前記胴体と結合する下部体をさらに含んで構成されることができる。
【0009】
ここで、前記胴体と前記上部体及び下部体とは、前記胴体に備えられたフランジと前記上部体及び下部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部又は三重に結合した三重シーミング部によって結合されることで、前記胴体と前記上部体及び下部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることができる。
【0010】
この時、前記三重シーミング部は、前記フランジと前記フックとが密着して重畳された状態で、前記フランジは∪形、∩形に連続して二重に折り曲げられ、前記フックは∩形、∪形、∩形に連続して三重に折り曲げられた後、圧着されることで、前記フランジと前記フックとが結合され得る。
【0011】
また、前記胴体は、前記三重シーミング部によって結合される部分の外周が、前記胴体の他の部分の外周よりも大きくなることを防止するために、前記三重シーミング部によって結合される部分に隣接した前記胴体の一部分の直径が狭くなるようにネック部を備えることができる。
【0012】
一方、本発明による携帯用高圧ガス容器において、それぞれの前記爆発防止部は、外部空気と接する外側面は湾曲されているが、前記高圧ガスと接する内側面は水平になっていることができる。
【0013】
また、それぞれの前記爆発防止部は、外部空気と接する外側面と、前記高圧ガスと接する内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接する一側とは湾曲されているが、前記内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接していない他側は水平になっていることができる。
【0014】
また、前記爆発防止部は、前記カウンターシンク部に同一の間隔又は一定の間隔で形成され得る。
【0015】
また、それぞれの前記爆発防止部は、前記外側面の最低点と前記水平な内側面との間の厚さが全部一定であり得、この時、前記外側面の最低点と前記水平な内側面との間の厚さは0.07mm〜0.09mmであり得る。
【0016】
このような前記爆発防止部は、開放される瞬間、1.5MPaの圧力下で150l/min〜250l/minの流量で前記高圧ガスを排出させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による携帯用高圧ガス容器によれば、高熱又は外力が容器に加わっても、爆発防止部によって容器内部のガスを放出させることで、爆発を防止することができるとの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例を縦方向に切断して示した切断斜視図である。
【図2】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を示した平面図である。
【図3】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を概略的に示した断面図である。
【図4】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部を拡大して示した断面図である。
【図5】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部の変形例を拡大して示した断面図である。
【図6】爆発防止部を製作する前における図3のA部分を拡大して示した断面図である。
【図7】爆発防止部としてのスコア(score)が形成された仮想の携帯用高圧ガス容器を図3のA部分に対応して示した断面図である。
【図8】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部を製作する過程の一部を示した断面図である。
【図9】図8に示された過程を通して製作された爆発防止部を示した断面図である。
【図10】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部の変形例を製作する過程の一部を示した断面図である。
【図11】図10に示された過程を通して製作された爆発防止部の変形例を示した断面図である。
【図12】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部を製作する過程を概略的に示した断面図である。
【図13】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図14】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図15】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図16】本発明の一実施例による携帯用高圧ガス容器が爆発する前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である。
【図17】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による破裂圧を測定した結果を比較したグラフである。
【図18】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による変形圧を測定した結果を比較したグラフである。
【図19】本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による残量別の作動実験の結果を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の望ましい実施例を詳しく説明すれば、次の通りである。但し、本発明の説明において、既に公知となった機能或いは構成に対する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略することにする。
【0020】
まず、図1〜図5を参照しながら、本発明による携帯用高圧ガス容器の構成について詳しく説明する。
【0021】
ここで、図1は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例を縦方向に切断して示した切断斜視図、図2は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を示した平面図、図3は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における上部体を概略的に示した断面図、図4は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部を拡大して示した断面図、そして、図5は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部及びシーミング部の変形例を拡大して示した断面図である。
【0022】
図1〜図5に示されたように、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例は、胴体100、上部体200、カウンターシンク部300及び爆発防止部400を含む。
【0023】
胴体100は、内部に高圧ガスが充填され、一般的に、保存された高圧ガスからの内部圧力を均一に受けるために、円筒状に形成される。
【0024】
胴体100の上端には、後述する上部体200が結合されることができ、下端には、下部体900がシーミング加工によって結合されるか、一体に形成されることができる。
【0025】
このとき、胴体100と上部体200との結合方法としては、一体に製作する方法、溶接によって結合させる方法など、多様な方法を適用することができるが、高速生産性及び結合力を考慮したとき、シーミング加工による結合が有利である。即ち、胴体100と上部体200とは、胴体100に備えられたフランジ610と上部体200に備えられたフック630とが結合されたシーミング部600によって結合されるのが有利である。
【0026】
但し、シーミング部600によって結合される場合は、胴体100と上部体200との結合力が十分に保障され得るように、二重に結合される二重シーミング部又は三重に結合される三重シーミング部とするのが有利である。
【0027】
即ち、後述する爆発防止部400が変形する前に胴体100と上部体200とが分離、破裂されてはならないので、胴体100と上部体200との結合力は、爆発防止部400が変形し始める応力よりも大きくなければならない。例えば、爆発防止部400の変形に必要な変形圧力が1.5MPaであると仮定すれば、胴体100と上部体200との分離、破裂に必要な破裂圧力は2.0MPa以上でなければならない。
【0028】
言い換えれば、後述する爆発防止部400が正常作動するためには、胴体100と上部体200との結合力が、後述するカウンターシンク部300が変形して爆発防止部400が開放され始める応力よりも大きくなければならず、これにより胴体100と上部体200とが分離され胴体100が爆発する前に、爆発防止部400が開放され高圧ガスを排出させることができるのである。
【0029】
一方、高圧ガスの種類、後述する爆発防止部400の誤作動確率、周辺環境などによっては、胴体100と上部体200とを二重シーミング部によって結合するか、それとも、三重シーミング部によって結合するかを決定する必要性がある。
【0030】
かかる必要性を考慮して、本明細書では図17〜図19を参照しながら次のような三通りの実験例を提示する。
【0031】
<実験例1>
実験例1は、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による破裂圧を測定した結果を比較するための実験であり、錫鉄板(tin plate)[Top:0.35T、Body:0.20T 、Bottom:0.30T]からなる高圧ガス容器に対して、シーミングタイプ別にそれぞれ用意した耐圧試験機を利用して破裂圧を測定したところ、表1及び図17のような結果が得られた。
【0032】
【表1】
【0033】
表1及び図17に示されたように、胴体100と上部体200とを三重シーミング部によって結合する場合において、缶容器の破裂圧が高く測定されることが分かる。
【0034】
<実験例2>
実験例2は、実験例1との比較のために、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による変形圧を測定した実験であり、同一条件の下で変形圧を測定したところ、表2及び図18のような結果が得られた。
【0035】
【表2】
【0036】
表2及び図18に示されたように、缶容器の破裂圧の場合は、胴体100と上部体200とを三重シーミング部によって結合する場合に高く測定されるのに対して、変形圧の場合は大差がない。即ち、これは、胴体100と上部体200とを三重シーミング部によって結合しても、後述する爆発防止部400の作用には影響を及ぼさないことを意味する。
【0037】
<実験例3>
実験例3は、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の種類による高圧ガスの残量別の作動可否を確認した実験であり、缶容器の内部にガスの残量をそれぞれ異にするように残した後、火炎の中に入れて、それぞれの作動可否を確認した。その結果は、表3及び図19に示した通りである。
【0038】
【表3】
【0039】
表3及び図19から、100%充填されている缶容器よりは、10%〜30%の残量がある缶容器において、二重シーミングされた製品が三重シーミングされた本発明による製品に比べて不利であることが分かる。
【0040】
これは、100%充填されている場合よりは、残量が少ないほど、高温での相対的な加熱速度及び缶容器の内部圧の上昇速度が速くて、瞬間的に変形が開始され、上部体200のフック630と胴体100のフランジ610とが耐えられず展開されて、上部体200が胴体100から分離、破裂され爆発が起こりやすいためである。
【0041】
以上の結果から分かるように、破裂圧が大きく作用する場合や高い安定性が要求される場合には、二重シーミング部よりは三重シーミング部によって胴体100と上部体200とを結合させるのが有利である。
【0042】
ここで、三重シーミング部による胴体100と上部体200との結合方法の一例について詳しく説明すれば、フランジ610とフック630とが密着され重畳された状態で、フランジ610を‘∪'形、‘∩'形に連続して二重に折り曲げ、フック630を‘∩’形、‘∪'形、‘∩'形に連続して三重に折り曲げた後、圧着することで、フランジ610とフック630とを結合させてシーミング部600を形成することができる。
【0043】
かかるシーミング部600の形成方法の一例は、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例におけるシーミング部の製作過程を概略的に示した断面図である図12を参照すれば一層容易に理解できるであろう。
【0044】
即ち、図12に示されたように、まずはカウンターシンク部300の位置する上部体200の周縁から水平方向に延長形成された延長部620の端部分を下方に折り曲げて円弧状のフック630を形成する。このようにフック630を円弧状に形成する理由は、それぞれのシーミングロール720、730、740で加圧した時、フック630が円形に巻かれるようにするためである。
【0045】
次いで、円筒状胴体100の端縁を水平方向に折り曲げてフランジ610を形成する。この時、フランジ610は上向きに傾斜して形成することができるが、これは、フランジ610の端部が延長部620の底面に密着してフック630とともに内側に巻かれるとき、延長部620から離隔されずに密着した状態を維持するためである。
【0046】
以後、フランジ610の端部がフック630に近接するように、フランジ610を延長部620の底面に密着させ胴体100に上部体200を結合させる。そして、上部体200のカウンターシンク部300には、シーミングチャック710を装着させる。
【0047】
シーミングチャック710は、それぞれのシーミングロール720、730、740による加圧時に、シーミングロール720、730、740の加圧方向の反対からこれを支持するためのもので、上部体200から延長形成されたカウンターシンク部300に挿入される。
【0048】
前述の過程を経て、上部体200にシーミングチャック710が装着されれば、フランジ610の密着されたフック630を1次のシーミングロール720によってシーミングチャック710側に加圧する。このように、1次のシーミングロール720によってフック630をシーミングチャック710側に加圧すれば、フック630はフランジ610との重畳状態から円形に1次巻きがなされる。これは、フック630が円弧状として下向に折り曲げられており、1次のシーミングロール720の内側にはフック630が円形に巻かれるようにガイドするための巻きガイド曲面が形成されていることから可能となる。
【0049】
かかる過程によって、フランジ610とフック630とが円形に巻かれ1次結合すれば、この部位を2次のシーミングロール730によって再び加圧する。このとき、2次のシーミングロール730の内側には、一次巻きにより円形となったフック630が巻き込まれるように1次のシーミングロール720の巻きガイド曲面より大きな巻きガイド曲面が形成されていることから、一次巻きがなされた円形のフック630は、もう一回円形に巻かれるようになる。即ち、1次のシーミングロール720によって円形に巻かれたフック630は、2次のシーミングロール730によってもう一回転巻かれるようになり、フランジ610と三重に重なることになるのである。
【0050】
次いで、前述した過程によって2次結合されたフック630とフランジ610とを、3次のシーミングロール740によって加圧する。3次のシーミングロール740によって相互重畳された状態で三重に巻かれたフック630とフランジ610とを加圧すれば、フック630とフランジ610とが圧着されると同時に堅固に結合され、三重シーミング部を形成するようになる。即ち、三重シーミング部は、フランジ610が‘∪'形、‘∩'形に連続して二重に折り曲げられ、フック630が‘∩’形、‘∪'形、‘∩'形に連続して三重に折り曲げられた後、相互圧着されることで堅固に結合され得る。
【0051】
しかし、かかる方法で製作された三重シーミング部によって胴体100と上部体200とを結合する場合、結合部分の体積が大きいことから、各国別に標準化された胴体100の規格から外れる可能性がある。
【0052】
従って、三重シーミング部によって結合される場合には、結合部分の外周が胴体100の他の部分の外周よりも大きくなることを防止するために、ネック部800を胴体100に備えるのが有利である。
【0053】
即ち、ネック部800が胴体100に備えられることで、三重シーミング部により胴体100と上部体200とが結合される本発明による携帯用高圧ガス容器の場合においても、国別に標準化されている胴体100の規格に合せることができ、ひいては、前記規格に適合するように製作された既存の各種装置(例えば、携帯用ガスコンロ)に対しても無干渉で利用することができる。
【0054】
ネック部800は、シーミング部600の位置する部分に隣接した胴体100の一部分の直径が縮小される形態で構成されることができる。このとき、胴体100の直径縮小の度合は、シーミング部600の最外側の外周が胴体100の外周と差がない程度であれば充分である。
【0055】
一方、図示されてはいないが、胴体100と下部体900との結合においても、胴体100と上部体200との結合方法と同様に、三重シーミングによって結合するのが有利であり、これに対する詳細な説明は重複記載を避けるために省略する。
【0056】
一方、上部体200は、前述の通り、胴体100の上端にシーミング加工によって結合され、その中央部には、胴体100内部に充填された高圧ガスを必要に応じて排出するための弁210が備えられる。
【0057】
このとき、弁210は、胴体100内部に充填される高圧ガスの種類に応じて適宜採用することができ、高圧ガスを必要に応じて排出させることができるならば、如何なる構成及び形状のものであっても構わない。
【0058】
また、上部体の縁部には、カウンターシンク部300が形成されるが、これに対する説明は後述する。
【0059】
カウンターシンク部300は、胴体100の内部に向かって湾曲した形状に上部体200の縁部に設けられる。カウンターシンク部300は、胴体100と上部体200とをシーミング加工によって結合する過程で上部体200に形成されるもので、二重シーミング又は三重シーミング加工によって結合する場合、自然に形成され得る。
【0060】
但し、これは、二重又は三重シーミング加工によって結合する場合に限定されない。即ち、結合力不足の理由から、胴体100と上部体200とを単一シーミング加工によって結合する場合は非常に稀なことではあるが、万一、単一シーミング加工によって結合する場合であっても、後述する爆発防止部400が設けられるように、上部体200の縁部に沿ってカウンターシンク部300が形成されることもできる。
【0061】
一方、爆発防止部400は、胴体100が爆発する前に胴体100内部の高圧ガスを外部に排出させるところである。このとき、胴体100の爆発とは、胴体100自体の爆発だけでなく、前述したように、胴体100とそれに結合された上部体200又は下部体900とが相互分離、破裂され爆発することまでを全て含む包括的な意味を有する。
【0062】
このような爆発防止部400は、上部体200の中央部に備えられた弁210を中心にしてカウンターシンク部300に放射状に多数形成され得る。即ち、カウンターシンク部300の形成経路に沿って、所定の間隔を置いて相互離隔形成されることができる。
【0063】
この時、所定の間隔とは、同一の間隔又は一定の間隔を意味する。このように同一の間隔又は一定の間隔で形成される理由は、爆発前に高圧ガスを排出させる爆発防止部400が、特定方向に偏って作動されることを防止するためである。
【0064】
また、爆発防止部400は、爆発前に高圧ガスの上昇された圧力によって開放され得るように、胴体100の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化されることができる。この時、厚さを薄くし且つ材質を硬質化するために、外部空気と接する爆発防止部400の外側面410をカウンターシンク部300の外側面から延長して湾曲されるように形成することができ、高圧ガスと接する爆発防止部400の内側面420を水平に形成することができる。
【0065】
一方、このような爆発防止部400を形成する過程は、図6〜図11に示されている通りである。
【0066】
ここで、図6は爆発防止部を製作する前における図3のA部分を拡大して示した断面図、図7は爆発防止部としてのスコアが形成された仮想の携帯用高圧ガス容器を図3のA部分に対応して示した断面図、図8は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部を製作する過程の一部を示した断面図、図9は図8に示された過程を通して製作された爆発防止部を示した断面図、図10は本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例における爆発防止部の変形例を製作する過程の一部を示した断面図、そして、図11は図10に示された過程を通して製作された爆発防止部の変形例を示した断面図である。
【0067】
爆発防止部400の製作のために、まず、図6に示されたようなカウンターシンク部300の内側面を、図8に示された爆発防止部製造器具500の水平な受け台510上に配置し、カウンターシンク部300の外側面と同様に湾曲された形状を有する加圧部520によってカウンターシンク部300の外側面を加圧して圧搾することができる。かかる圧搾によって、カウンターシンク部300の一部は、厚さが薄くなり且つその材質が硬質化された爆発防止部400として形成され得る。
【0068】
一方、厚さを薄くし且つ材質を硬質化するために、爆発防止部400は、他の形状に変形して形成されることもできる。即ち、図11に示されたように、外部空気と接する爆発防止部400の外側面410と、爆発防止部400の内側面420のうち胴体100の内側壁に隣接する一側とは、湾曲されるように形成し、爆発防止部400の内側面420のうち胴体100の内側壁と隣接していない他側は、水平に形成することができる。
【0069】
これは、前述したような圧搾過程で発生する変形部(図11のMを参照)が、胴体100と上部体200とのシーミング加工による結合を邪魔し得るため、爆発防止部400の内側面420のうち胴体100の内側壁に隣接する一側は扁平に形成しないのである。特に、図5に示されたように、胴体100がネック部800を備える場合は、変形部(図11のMを参照)が胴体100と上部体200とのシーミング加工による結合を邪魔する可能性がさらに大きくなるので、爆発防止部400をこのように変形して構成するのが有利である。
【0070】
このような爆発防止部400の変形例を形成する過程は、図10に示されたように、カウンターシンク部300の内側面を爆発防止部製造器具500の水平な受け台510上に配置する時、カウンターシンク部300の最低点を、加圧部520の中心とは一致させ、受け台510の中心とは所定距離だけ離隔させることによって可能となる。
【0071】
一方、前述のように爆発防止部400を同一の間隔で多数形成するために、受け台510は、長方形のものが円形のベース(未図示)に該ベースの中心から放射状に4〜20個設けられることができ、加圧部520は、受け台510に対応して円形のものが4〜20個配置されることができる。ここで、受け台510及び加圧部520の個数(4〜20個)は、例示したものに過ぎず、その個数は幾らでも増減が可能である。但し、この場合においても、後述の通り、爆発の前に外部に排出させる高圧ガスの流量を考慮して爆発防止部400の個数を決定するのが有利である。
【0072】
また、多数の爆発防止部400は、外側面410の最低点と内側面420との厚さtが、全て一定に形成され得る。これは、多数の爆発防止部400が同一の間隔でカウンターシンク部300に形成されることと同様な理由である。即ち、爆発の前に高圧ガスを排出させる爆発防止部400が、特定方向に偏って作動されるのを防止するためである。
【0073】
ここで、多数の爆発防止部400における外側面410の最低点と内側面420との厚さtは、上部体200の材質を考慮して決定することができ、爆発防止部400の開放に大きな抵抗を与えないために、0.07mm〜0.09mmにすることができる。
【0074】
このような爆発防止部400は、後述するように、爆発前に高圧ガスの圧力上昇に因って切断(departing)されることで開口440を発生させ、容器内部の高圧ガスを排出させる。
【0075】
これと関連して、携帯用高圧ガス容器の爆発前に容器内部の高圧ガスを排出させる方法としては、図7に示されたように、カウンターシンク部300に切り込み形状のスコアSを形成する方法も想定することができる。
【0076】
このような仮想の携帯用高圧ガス容器において、スコアSは、本発明の携帯用高圧ガス容器の爆発防止部400とは異なり、破裂(tearing)されることで開口を発生させる。従って、スコアSの深さは十分に深く形成しなければならず、その位置も破裂させる位置(図7のa位置)に正確に形成しなければならない。
【0077】
しかし、スコアSを形成する過程において、過度に深く形成される場合が度々あって、これにより、予期せぬ開口が発生してしまい、使用前に高圧ガスが漏出される危険性がある。
【0078】
また、不正確な位置にスコアSが形成される場合、破裂位置が変化するが(図7のb、c位置)、爆発前に排出される高圧ガスの量がスコアSの位置によって異なり得、これにより、高圧ガスを排出させるスコアSが特定方向に偏って作動し得るとの欠点もある。
【0079】
従って、本発明の携帯用高圧ガス容器の一実施例による爆発防止部400は、爆発前に高圧ガスの圧力上昇に因り切断(departing)されることで開口440を発生させるよう、前述の構成を有する。
【0080】
一方、爆発防止部400の外側面410には、腐食防止剤430がコーティングされることができる。これは、調理中にこぼれ出た汁や野外保管中に留まった雨水などのような水分に因り、爆発防止部400の外側面410が腐食することを防止するためである。
【0081】
このとき、腐食防止剤430は、爆発防止部400の腐食を防止できる素材ならば、何でも構わないが、例示的に、エポキシ樹脂が100cm2当り300〜350mgの厚さでコーティングされることができる。
【0082】
このとき、エポキシ樹脂は、25℃及びフォードカップNo.4(#4 ford cup)の条件下で25〜35秒の粘度を有するのが有利である。また、かかるエポキシ樹脂のコーティングは、スプレーコーティングを施した後、200〜220℃で1分間硬化(curing)させるのが望ましい。また、エポキシ樹脂に色を添加すれば、コーティング有無及びコーティング度合を確認することができる。上記のようなコーティング有無及びコーティング度合の確認は、品質管理において有利であろう。
【0083】
このように、爆発防止部400に腐食防止剤430をコーティングすることによって、爆発防止部400の腐食に因る予期せぬ開口の発生を防止することができる。
【0084】
以下、胴体の爆発前に爆発防止部が作動する過程を示した作動状態図である、図13〜図16を参照しながら、本発明による携帯用高圧ガス容器の一実施例の作動について説明する。
【0085】
図13に示されたように、携帯用高圧ガス容器に高熱又は外力が加わる前は、胴体100と上部体200とはシーミング加工によって結合されており、上部体200に形成されたカウンターシンク部300には爆発防止部400が設けられている。
【0086】
しかし、携帯用高圧ガス容器に高熱又は外力が加われば、図14に示されたように、まずは胴体100の内部に向かって湾曲されていたカウンターシンク部300が膨張しながら展開され、次いで爆発防止部400が切断され始め隙間(aperture)が発生し、胴体100内部の高圧ガスが排出され始める。
【0087】
以後、図15に示されたように、カウンターシンク部300はさらに展開され、爆発防止部400に発生された隙間は開口440の形状を有するようになって、より多くの高圧ガスを排出させる。
【0088】
図15のように作用する携帯用高圧ガス容器は、最終的には図16のような形状を有するようになる。即ち、カウンターシンク部300は完全に展開され、爆発防止部400は完全な開口440の形状を有するようになって、さらに多くの高圧ガスを排出させる。
【0089】
ここで、この高圧ガスは、爆発防止部400が開放される瞬間、1.5MPaの圧力下で150〜250l/minの流量で排出されるが、これは、本発明による携帯用高圧ガス容器が、標準技術に合せて製造されたブタンガス容器の場合において必要となる流量、即ち80l/min(空気圧力6kg/cm2)を越える数値と言える。
【0090】
以上、本発明の特定の実施例を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能なことは、本発明の技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明なことである。従って、かかる修正例又は変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例も本発明の特許請求の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0091】
100: 胴体
200: 上部体
210: 弁
300: カウンターシンク部
400: 爆発防止部
410: 爆発防止部の外側面
420: 爆発防止部の内側面
430: 腐食防止剤
440: 開口
500: 爆発防止部製造器具
510: 受け台
520: 加圧部
600: シーミング部
610: フランジ
620: 延長部
630: フック
710: シーミングチャック
720、730、740: シーミングロール
800: ネック部
900: 下部体
S: 仮想の携帯用高圧ガス容器によるスコア
t: 爆発防止部の厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に高圧ガスが充填された胴体と、
前記胴体の内部に充填された高圧ガスを排出させる弁を備え、前記胴体に結合された上部体と、
前記上部体の縁部に沿って形成され、前記胴体の内部に向かって湾曲しているカウンターシンク部と、
前記弁を中心にして放射状に前記カウンターシンク部に形成され、前記胴体の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化され、前記胴体が爆発する前に前記高圧ガスの上昇された圧力によって開放される多数の爆発防止部と、
を含む携帯用高圧ガス容器。
【請求項2】
前記胴体と前記上部体とは、
前記胴体に備えられたフランジと前記上部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部又は三重に結合した三重シーミング部によって結合されることで、
前記胴体と前記上部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、
前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることを特徴とする請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項3】
前記上部体に対向する位置に、前記胴体の内部に向かって湾曲され前記胴体と結合する下部体をさらに含む請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項4】
前記胴体と前記上部体及び下部体とは、
前記胴体に備えられたフランジと前記上部体及び下部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部又は三重に結合した三重シーミング部によって結合されることで、
前記胴体と前記上部体及び下部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、
前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることを特徴とする請求項3に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項5】
前記三重シーミング部は、
前記フランジと前記フックとが密着して重畳された状態で、前記フランジは∪形、∩形に連続して二重に折り曲げられ、前記フックは∩形、∪形、∩形に連続して三重に折り曲げられた後、圧着されることで、前記フランジと前記フックとが結合されることを特徴とする請求項2又は4に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項6】
前記胴体は、
前記三重シーミング部によって結合される部分の外周が、前記胴体の他の部分の外周よりも大きくなることを防止するために、
前記三重シーミング部によって結合される部分に隣接した前記胴体の一部分の直径が狭くなるようにネック部を備えることを特徴とする請求項5に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項7】
前記爆発防止部のそれぞれは、
外部空気と接する外側面は湾曲されているが、
前記高圧ガスと接する内側面は水平になっていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項8】
前記爆発防止部のそれぞれは、
外部空気と接する外側面と、前記高圧ガスと接する内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接する一側は湾曲されているが、
前記内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接していない他側は水平になっていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項9】
前記爆発防止部は、
前記カウンターシンク部に同一の間隔又は一定の間隔で形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項10】
前記爆発防止部のそれぞれは、
前記外側面の最低点と前記水平な内側面との厚さが全て一定であることを特徴とする請求項9に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項11】
前記外側面の最低点と前記水平な内側面との間の厚さは、
0.07mm〜0.09mmであることを特徴とする請求項10に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項12】
前記爆発防止部のそれぞれの外側面には、
腐食防止剤がコーティングされていることを特徴とする請求項9に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項13】
前記爆発防止部は、
開放される瞬間、1.5 MPaの圧力下で150l/min〜250l/minの流量で前記高圧ガスを排出させることを特徴とする請求項9に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項1】
内部に高圧ガスが充填された胴体と、
前記胴体の内部に充填された高圧ガスを排出させる弁を備え、前記胴体に結合された上部体と、
前記上部体の縁部に沿って形成され、前記胴体の内部に向かって湾曲しているカウンターシンク部と、
前記弁を中心にして放射状に前記カウンターシンク部に形成され、前記胴体の内部に向かうにつれて厚さが薄くなり且つ材質が硬質化され、前記胴体が爆発する前に前記高圧ガスの上昇された圧力によって開放される多数の爆発防止部と、
を含む携帯用高圧ガス容器。
【請求項2】
前記胴体と前記上部体とは、
前記胴体に備えられたフランジと前記上部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部又は三重に結合した三重シーミング部によって結合されることで、
前記胴体と前記上部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、
前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることを特徴とする請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項3】
前記上部体に対向する位置に、前記胴体の内部に向かって湾曲され前記胴体と結合する下部体をさらに含む請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項4】
前記胴体と前記上部体及び下部体とは、
前記胴体に備えられたフランジと前記上部体及び下部体に備えられたフックとが二重に結合した二重シーミング部又は三重に結合した三重シーミング部によって結合されることで、
前記胴体と前記上部体及び下部体との結合力が、前記カウンターシンク部が変形され開放され始める前記爆発防止部の応力よりも大きくなって、
前記胴体が爆発する前に前記爆発防止部が開放され、前記高圧ガスを排出させることを特徴とする請求項3に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項5】
前記三重シーミング部は、
前記フランジと前記フックとが密着して重畳された状態で、前記フランジは∪形、∩形に連続して二重に折り曲げられ、前記フックは∩形、∪形、∩形に連続して三重に折り曲げられた後、圧着されることで、前記フランジと前記フックとが結合されることを特徴とする請求項2又は4に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項6】
前記胴体は、
前記三重シーミング部によって結合される部分の外周が、前記胴体の他の部分の外周よりも大きくなることを防止するために、
前記三重シーミング部によって結合される部分に隣接した前記胴体の一部分の直径が狭くなるようにネック部を備えることを特徴とする請求項5に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項7】
前記爆発防止部のそれぞれは、
外部空気と接する外側面は湾曲されているが、
前記高圧ガスと接する内側面は水平になっていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項8】
前記爆発防止部のそれぞれは、
外部空気と接する外側面と、前記高圧ガスと接する内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接する一側は湾曲されているが、
前記内側面のうち前記胴体の内側壁に隣接していない他側は水平になっていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項9】
前記爆発防止部は、
前記カウンターシンク部に同一の間隔又は一定の間隔で形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項10】
前記爆発防止部のそれぞれは、
前記外側面の最低点と前記水平な内側面との厚さが全て一定であることを特徴とする請求項9に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項11】
前記外側面の最低点と前記水平な内側面との間の厚さは、
0.07mm〜0.09mmであることを特徴とする請求項10に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項12】
前記爆発防止部のそれぞれの外側面には、
腐食防止剤がコーティングされていることを特徴とする請求項9に記載の携帯用高圧ガス容器。
【請求項13】
前記爆発防止部は、
開放される瞬間、1.5 MPaの圧力下で150l/min〜250l/minの流量で前記高圧ガスを排出させることを特徴とする請求項9に記載の携帯用高圧ガス容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−257003(P2011−257003A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126459(P2011−126459)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(511137172)デ リュク カン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(511137172)デ リュク カン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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