説明

携帯端末、入力制御方法及びプログラム

【課題】マルチタッチに対応してないタッチパネルにおけるキー入力等のユーザ操作に応じた処理を適切に実行することが可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末は、タッチパネルと、前記タッチパネルへの1つの接触が行われた場合に、当該接触位置の座標値を出力し、当該タッチパネルへの複数の接触が同時に行われた場合に、全接触位置の中間位置の座標値を出力する座標出力部と、前記座標出力部から順に出力された3つの座標値を、第1座標値と第2座標値と第3座標値とした場合において、前記第2座標値が、前記第1座標値及び前記第3座標値の中間位置を示すときに、前記第1座標値を送出し、前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値を送出する制御部と、前記制御部から送出された座標値に応じた処理を実行する実行部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備える携帯端末に関し、特に、ユーザインタフェースの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル上の接触を検出し、座標値を得るためには、一般的には、このタッチパネルからの出力値を座標値に変換するための構成(以下、「座標出力部」という)が必要である。
また、一般的に、抵抗膜式や静電容量方式の表面型等の所謂マルチタッチに対応してないタッチパネルにおいて複数の接触が行われた場合には、座標出力部からは、各接触位置の中間位置の座標値が出力されることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
例えば、タッチパネルに表示されているソフトウェアキーボードを用いて、ユーザが、文字「A」と文字「B」とを連続して入力しようとした結果、「A」キーの位置Paに接触させた1本の指を離す前に、つまり、この1本の指を接触させたまま、「B」キーの位置Pbにも他の指を接触させてしまい、その後に位置Paに接触させた指を離し、更にその後に位置Pbに接触させた指を離したものとする。
【0004】
この場合、座標出力部からは、位置Paの座標値と、実際には指を接触させていない、位置Paと位置Pbの中間位置Pcの座標値と、位置Pbの座標値とが順に出力されることになる。
このようなマルチタッチに対応してないタッチパネルと、座標出力部とを備え、座標出力部から出力された座標値に基づく処理を行う一般的な携帯端末においては、上述のようなキー入力操作が行われた場合に、位置Paから接触が開始され、その接触を離すことなく接触位置が位置Pcを経由して位置Pbまで移動した(いわゆるドラッグ操作が行われた)ものとして、位置Pbに割り当てられた処理が実行されることになる。
【0005】
位置Pbに割り当てられた処理が実行されるのは、ソフトウェアキー等の所謂ボタンの選択をもって入力を行うようなユーザインタフェースを採用した場合、タッチパネル上において接触が離れた位置に割り当てられている処理を実行する仕様にすることが一般的であるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−206681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の一般的な携帯端末では、位置Paから位置Pcを経由して位置Pbまでいわゆるドラッグ操作が行われたものとして、位置Pbに割り当てられた処理は実行されるものの、位置Paに割り当てられた処理は実行されないことになる。
つまり、上述の例では、ユーザが、文字「A」と「B」とを連続して入力しようとしていたにもかかわらず、文字「A」の入力は行われないことになってしまう。
【0008】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、マルチタッチに対応してないタッチパネルにおけるキー入力等のユーザ操作に応じた処理を適切に実行することが可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、タッチパネルと、前記タッチパネルへの1つの接触が行われた場合に、当該接触位置の座標値を出力し、当該タッチパネルへの複数の接触が同時に行われた場合に、全接触位置の中間位置の座標値を出力する座標出力部と、前記座標出力部から順に出力された3つの座標値を、第1座標値と第2座標値と第3座標値とした場合において、前記第2座標値が、前記第1座標値及び前記第3座標値の中間位置を示すときに、前記第1座標値を送出し、前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値を送出する制御部と、前記制御部から送出された座標値に応じた処理を実行する実行部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備える本発明に係る携帯端末によれば、マルチタッチに対応してないタッチパネルにおけるキー入力等のユーザ操作に応じた処理を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機100の閉状態及び開状態の外観を示す図
【図2】入力画面G1の表示例を示す図
【図3】入力画面G2の表示例を示す図
【図4】入力画面G3の表示例を示す図
【図5】入力画面G4の表示例を示す図
【図6】携帯電話機100のユーザが、ソフトウェアキーボードD4を構成するキーを選択し、文字入力を行う様子を示す図
【図7】携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図
【図8】キー情報テーブル10のデータ構成及び内容例を示す図
【図9】携帯電話機100による制御処理を示すフローチャート(図10に続く)
【図10】携帯電話機100による制御処理を示すフローチャート(図9から続き、図9に続く)
【図11】携帯電話機100によるパネルイベントに対する処理を示すフローチャート
【図12】変形携帯電話機における入力文字の候補41の表示例を示す図
【図13】変形携帯電話機による制御処理を示すフローチャート(図9から続く)
【図14】変形携帯電話機によるパネルイベントに対する処理を示すフローチャート
【図15】変形携帯電話機による確認処理を示すフローチャート
【図16】携帯電話機200の外観を示す図
【図17】携帯電話機300の閉状態及び開状態の外観を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯端末の実施の形態としての携帯電話機について説明する。
≪実施の形態≫
<装置構成>
まず、実施の形態に係る携帯電話機100の装置構成について説明する。
図1(a)は、携帯電話機100の閉状態の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す斜視図であり、図1(c)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す正面図である。
【0013】
携帯電話機100は、図1(a)〜(c)に示されるように、第1筐体1と第2筐体2とが相対的に移動可能な、いわゆるスライド式の端末であり、第1筐体1、第2筐体2、及び第1筐体1と第2筐体2とを連結する連結機構4、4’を備えている。
第1筐体1には、タッチパネル110、スピーカ7及びマイク8が備えられており、第2筐体2には、タッチパネル120が備えられている。
【0014】
第2筐体2の連結機構4が備えられる側面には、図1(a)、(b)に示すようにガイド溝6が設けられている。なお、第2筐体2の連結機構4’が備えられる側面においても、同様に、ガイド溝が設けられている。
連結機構4は、図1(a)、(b)に示すように、第1筐体1の側面と第2筐体2の側面とを互いに連結するための連結駒5とピン30、31とを有している。また、図1(c)に示すように、連結機構4’も同様に、連結駒5’とピン30’、31’とを有している。
【0015】
ピン30、30’は第1筐体1に枢支され、ピン31、31’は各ガイド溝に係合している。ピン31、31’が各ガイド溝に沿ってスライドすることにより、第1筐体1と第2筐体2とが相対的に移動する。
携帯電話機100は、図1(a)に示すように、第2筐体2に第1筐体1が重ね合わさり、タッチパネル120が視認できない閉状態から、連結機構4、4’により、ピン31、31’が各ガイド溝に沿ってスライドすることにより、第1筐体1が第2筐体2の表面に沿って移動し、その後、ピン30、30’それぞれがピン31、31’それぞれを中心として回転することにより、図1(b)、(c)に示すように、第1筐体1の表面と第2筐体2の表面とが略同一平面上に揃う開状態となり、タッチパネル110及び120が視認可能になる。
【0016】
<入力画面>
次に、携帯電話機100において表示される入力画面について説明する。
図2〜5は、携帯電話機100の開閉状態及び筐体の向きに応じた入力画面G1〜G4の表示例を示す図である。
入力画面G1〜G4は、携帯電話機100が所定のユーザ操作を受け付けた際に、表示される画面である。
【0017】
例えば、図2に示す入力画面G1は、携帯電話機100の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」であるときに、所定のユーザ操作を受け付けた際に表示される画面である。
各入力画面(G1〜G4)には、ソフトウェアキーボード(D1〜D4)と、入力欄(D5〜D8)とが含まれており、各ソフトウェアキーボード(D1〜D4)には、特に、それぞれ異なるアルファベットの文字を表す複数のキーが含まれている。
【0018】
なお、図2〜5において、各ソフトウェアキーボード中に実線で表す各矩形範囲は、各キーの範囲を示しており、ユーザが各キーの範囲を視認できるようにするために表示されている。また、以下では、例えば、「Q」が表示されているキーを「Qキー」と表現し、他の文字が表示されているキーについても同様に表現する。
また、以下、ユーザが各キーの範囲に指等を接触させることを、キーへの接触を行う、又はキーを選択するということとする。
【0019】
ユーザがキーを選択することで、携帯電話機100は、選択されたキーが表す文字の入力を受け付け、入力を受け付けた文字を入力欄に表示させる。
ここで、ユーザがキーを選択し文字入力を行う際に、例えば、両手を使って素早く文字入力を行おうとして、1つのキーに指等を接触させたまま、別のキーに指等を接触させてしまう場合がある。
【0020】
図6は、携帯電話機100のユーザが、ソフトウェアキーボードD4を構成するキーを選択し、文字入力を行う様子を示す図である。
同図では、ユーザが、文字「A」と文字「L」とを連続して入力しようとして、左手の小指をAキーから離す前に、つまりAキーに接触させている最中に、右手の薬指をLキーに接触させてしまった様子を示している。
【0021】
ここで、携帯電話機100が備える各タッチパネルは、所謂マルチタッチに対応してないものであり、この各タッチパネル上で同時に複数の接触が生じてしまった場合に、各タッチパネルからの出力値を座標値に変換して出力する各座標出力部(詳細は後述する)は、各接触位置の中間位置の座標値を出力する。
つまり、同図に示すように、左手の小指をAキーに接触させたまま、右手の薬指をLキーに接触させ、その後に、Aキーの接触を離し、更にその後にLキーの接触を離した場合に、携帯電話機100のタッチパネル120の座標出力部からは、左手の小指が接触している位置P1の座標値と、位置P1と右手の薬指が接触している位置P3との中間位置P2の座標値と、位置P3の座標値が順に出力されることになる。
【0022】
このような場合に、キー等の所謂ボタンの選択をもって入力を行うようなユーザインタフェースを採用した場合、タッチパネル上において接触が離れた位置に割り当てられている処理を実行する仕様にすることが一般的なので、従来の一般的な携帯電話機であれば、位置P1から接触が開始され、その接触を離すことなく接触位置が位置P3を経由して位置P2まで移動した(いわゆるドラッグ操作が行われた)ものとして、位置P3に割り当てられている処理(この例では、(図6の例でいえば、文字「L」の入力)だけを実行することになる。
【0023】
つまり、図6の例では、ユーザは、文字「A」と文字「L」の入力を行いたかったにもかかわらず、従来の一般的な携帯端末では、文字「L」の入力しか行われないことになる。
本発明の実施の形態に係る携帯電話機100は、各座標出力部から位置P1の座標値と、位置P2の座標値と、位置P3の座標値とが一定時間間隔で順に出力された場合において、位置P2の座標値が位置P1と位置P3との中間座標値であるときには、位置P1に割り当てられている処理(つまり、図6の例でいえば、文字「A」の入力)を行うため、ユーザが意図した処理を行うことができる。
【0024】
なお、携帯電話機100の各タッチパネルに表示される入力画面に配置されるキーの種類、並び順、及び配置は一例であり、適宜変更することができる。
<機能構成>
図7は、携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
携帯電話機100は、同図に示すように、タッチパネル110、座標出力部113、タッチパネル120、座標出力部123、開閉検出センサ130、加速度センサ131、記憶部140、制御部150及び実行部160を備える。
【0025】
なお、携帯電話機100は、通常の携帯電話機が備える通信部や、図1で示したスピーカ7、マイク8等を備えるが、同図では、図示を省略している。また、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部150及び実行部160の各機能は、上述のメモリに記憶されているプログラムを上述のプロセッサが実行することにより実現される。
【0026】
ここで、タッチパネル110は、表示部111とセンサ部112とを、タッチパネル120は、表示部121とセンサ部122とを備える。
各表示部(111、121)は、LCD(Liquid Crystal Display)を含み、制御部150からの指示を受けて文字やアイコン等の画像をLCDに表示する回路である。各LCDの画素数は、一例として480×800画素であるものとする。なお、LCDの画素数は、480×800画素に限定されるものではなく、適宜、他の画素数とすることもできる。
【0027】
また、各センサ部(112、122)は、所謂マルチタッチに対応していないタッチセンサであり、以下では、一例として、抵抗膜式のタッチセンサであるものとする。
また、各座標出力部(113、123)は、各センサ部(112、122)におけるユーザの指等の接触を検出し、検出している間、一定時間(例えば、25ms)毎に、そのタッチセンサにおける接触位置に比例した電圧を検出することで得られた座標値(x,y)を制御部150に出力するIC(Integrated Circuit)である。
【0028】
ここで、各座標出力部から出力される座標値(x,y)は、1つの接触が行われた場合には、その接触位置の座標値となり、複数の接触が行われた場合には、全接触位置の中間位置の座標値となる。
なお、図4に示すように、各タッチパネル(各センサ部)の左上の頂点の座標値は(0,0)であるものとし、右下の頂点の座標値は(479,799)であるものとする。
【0029】
開閉検出センサ130は、携帯電話機100が開状態と閉状態とのいずれの状態であるかを示す信号を制御部150に出力する機能を有し、例えば、第1筐体1に埋め込まれた磁石の磁力を検知するホールセンサにより実現される。
加速度センサ131は、携帯電話機100に生じる重力加速度を検出し、検出結果を示す信号を制御部150に出力する機能を有し、例えば、3軸加速度センサにより実現される。
【0030】
記憶部140は、キー情報テーブル10、第1座標情報テーブル20及び第2座標情報テーブル21を記憶するためのメモリ領域である。
ここで、キー情報テーブル10は、携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)毎に、各キーの位置を示す情報を登録したテーブルである(図8参照)。
また、第1座標情報テーブル20は座標出力部113から、第2座標情報テーブル21は座標出力部123から、それぞれ一定時間間隔で受領した各座標値を順に登録したテーブルである。
【0031】
制御部150は、一般的な携帯電話機が有する制御機能の他、特に、携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)及び各座標出力部から受領した座標値に基づいて、実行部160に各種イベントを通知する機能を有する。
制御部150は、接触判定部151、状態判定部152、中間位置判定部153、表示制御部154及びイベント通知部155を含んで構成される。
【0032】
ここで、接触判定部151は、各座標出力部から送出された座標値の受領に基づいて、各タッチパネルにおける接触の有無を検出する機能と、各座標出力部から一定間隔で受領した座標値を対応する座標情報テーブル(第1座標情報テーブル20又は第2座標情報テーブル21)に順次登録する機能とを有する。
なお、ユーザがタッチパネル(110又は120)に対し比較的ゆっくり操作を行った場合には、そのタッチパネルに対応する座標出力部(113又は123)から、前回受領した座標値と同じ値の座標値を受領するケースが考えられる。従って、このような場合に、接触判定部151は、その座標出力部から次に異なる座標値を受領するまで対応する座標情報テーブル(第1座標情報テーブル20又は第2座標情報テーブル21)への座標値の登録は行わない。
【0033】
また、接触判定部151は、各タッチパネルそれぞれにおける接触の検出状態の変化に応じて、PRESSイベントとRELEASEイベントとのいずれかの通知を、イベント通知部155に指示する機能を有する。
ここで、PRESSイベントは、各タッチパネルそれぞれにおいて接触が検出されていない状態から接触が検出された状態に変化した際に通知される、タッチパネルへの接触が開始したことを示すイベントであり、その検出に用いた座標値と、その座標値がいずれのタッチパネルにおける座標値かを示す識別情報(以下、「パネルID」という)とが指定される。
【0034】
また、RELEASEイベントは、各タッチパネルそれぞれにおいて接触が検出された状態から接触が検出されていない状態へと変化した際に通知される、タッチパネルへの接触が終了したことを示すイベントであり、最後に接触が検出された際のその検出に用いた座標値とパネルIDとが指定される。
なお、上記イベントにおいて指定されるパネルIDは、そのパネルIDと共に指定される座標値が、座標出力部113から送出されたものであればタッチパネル110を示す識別情報であり、座標出力部123から送出されたものであればタッチパネル120を示す識別情報である。
【0035】
状態判定部152は、開閉検出センサ130及び加速度センサ131から出力された各信号に基づいて携帯電話機100の使用状態を判定する機能を有する。
筐体の向きには、各筐体1、2が、図4に示すように、縦長になる向き(以下、「縦向き」という)と、図5に示すように、横長になる向き(以下、「横向き」という)とがある。状態判定部152は、加速度センサ131から出力された信号に基づいて、縦向きと横向きとのうち、より近い向きに、携帯電話機100の筐体の向きに特定する。
【0036】
状態判定部152は、判定結果が変化した場合に、変化後の使用状態を指定した状態変化イベントの通知を、イベント通知部155に指示する。
中間位置判定部153は、座標情報テーブル(第1座標情報テーブル20又は第2座標情報テーブル21)に座標値が登録された際に、直近に登録された3つの座標値(以下では、登録が先のものから順に第1座標値、第2座標値、第3座標値という)に基づいて、第2座標値が、第1座標値が示す位置と第3座標値が示す位置との中間位置を示すか否かを判定する機能を有する。
【0037】
また、中間位置判定部153は、第2座標値が中間位置を示すとの判定を行った際に、第1座標値とパネルIDとを指定したRELEASEイベントの通知を、第2座標値が中間位置を示さないとの判定を行った際に、第2座標値とパネルIDとを指定したMOVEイベントの通知を、イベント通知部155に指示する機能を有する。
ここで、MOVEイベントは、一旦開始されたタッチパネルへの接触が終了することなく接触位置が移動したことを示すイベントである。
【0038】
また、上記イベントにおいて指定されるパネルIDは、そのパネルIDと共に指定される座標値が、第1座標情報テーブル20に登録されたものであればタッチパネル110を示す識別情報であり、第2座標情報テーブル21に登録されたものであればタッチパネル120を示す識別情報である。
表示制御部154は、実行部160からの指示に基づいて、各表示部への表示を制御する機能を有する。
【0039】
イベント通知部155は、接触判定部151、状態判定部152及び中間位置判定部153の指示に従って、各種イベントを実行部160に通知する機能を有する。
なお、以下では、PRESSイベント、MOVEイベント及びRELEASEイベントのことをまとめて「パネルイベント」ともいうこととする。
実行部160は、イベント通知部155から通知されたイベントに応じた処理を実行する機能を有し、キー特定部161及びパネルイベント処理部162を含んで構成される。
【0040】
ここで、キー特定部161は、パネルイベントが通知された際に、このパネルイベントにおいて指定されている座標値が示す位置に存在するキーを、直近に受領した状態変化イベントにおいて指定されている変化後の使用状態と、記憶部140のキー情報テーブル10とに基づいて特定する機能を有する。
パネルイベント処理部162は、パネルイベントが通知された際に、このパネルイベントに予め対応付けられている処理を実行する機能を有する。
【0041】
例えば、PRESSイベントが通知された場合には、キー特定部161により特定されたキーの表示を、そのキーが選択された状態(以下、「選択状態」という)に更新する。
また、例えば、MOVEイベントが通知された場合には、キー特定部161により特定されたキーの表示を選択状態に更新すると共に、先に通知されているPRESSイベントにより選択状態に更新されている別のキーの表示を、そのキーが選択されていない状態(以下、「非選択状態」という)に更新する。
【0042】
また、例えば、RELEASEイベントが通知された場合には、キー特定部161により特定されたキーを表す文字を入力文字として受け付けて、その入力文字をその入力画面の入力欄に表示すると共に、先に通知されているPRESSイベントやMOVEイベントにより選択状態になっているキーの表示を非選択状態に更新する。
<データ>
以下では、携帯電話機100が使用するデータについて、図8を用いて説明する。
【0043】
図8は、キー情報テーブル10のデータ構成及び内容例を示す図である。
キー情報テーブル10は、同図に示すように、開閉状態11、筐体の向き12、キーID13、パネルID14、左上座標値15及び右下座標値16を対応付けて構成される情報である。
なお、同図に示すx11〜x24は、0から479までの具体的な数値を、y11〜y24は、0から799までの具体的な数値を表しているものとする。
【0044】
ここで、開閉状態11は、携帯電話機100が開状態か閉状態かを示す情報であり、筐体の向き12は、携帯電話機100の各筐体が縦向きか横向きかを示す情報である。
また、キーID13は、キーの識別情報であり、この例では、ソフトウェアキーボードを構成する各キーのキーIDとして、その配置順に1ずつ増加させた数字を用いている。
即ち、図2〜5に示すように、左上に配置されるキー(Qキー)のキーIDは「1」であり、同じ行の最右に配置されるキー(Pキー)のキーIDは「10」、次の行の最左に配置されるキー(Aキー)のキーIDは「11」であり、右下に配置されるキー(エンタキー)のキーIDは「35」である。
【0045】
また、パネルID14は、対応するキーIDが示すキーが配置されるタッチパネルの識別情報であり、この例では、タッチパネル110のパネルIDは「1」であり、タッチパネル120のパネルIDは「2」であるものとしている。
左上座標値15は、対応するキーIDが示すキーの範囲(矩形領域)の左上の頂点の座標値であり、右下座標値16は、そのキーの範囲の右下の頂点の座標値である。
【0046】
同図は、例えば、開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」である場合のキーIDが「1」であるキー(Qキー)は、識別情報が「1」であるタッチパネル(タッチパネル110)に配置され、そのキーの範囲の左上座標値は「(x11,y11)」、右下座標値は「(x12,y12)」であることを示している。
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図9〜11を用いて説明する。
【0047】
<制御処理>
図9、10は、携帯電話機100の制御部150による制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す制御処理は、携帯電話機100が所定のユーザ操作を受け付けて、既に通知されている状態変化イベントで指定されていた変化後の使用状態に対応する入力画面(G1〜G4のいずれか)が表示された際に開始されるものとする。
【0048】
なお、入力画面G1及びG2が表示されている場合には、タッチパネル110からの入力に対して同図に示す制御処理が行われ、入力画面G4が表示されている場合には、タッチパネル120からの入力に対して同図に示す制御処理が行われる。
また、入力画面G3が表示されている場合には、各タッチパネル(110、120)それぞれについて同図に示す制御処理を行う必要があるため、例えば時分割で並列して実行されるものとする。
【0049】
以下では、既に通知されている状態変化イベントで指定されていた変化後の使用状態が、開閉状態が「開」であり、筐体の向きが「横」であることを示し、入力画面G4が表示されており、ユーザが英数字を直接入力する場合を例に、タッチパネル120からの入力に対する制御処理の流れを説明する。
まず、制御部150は、第2座標情報テーブル21を初期化、つまり第2座標情報テーブル21に登録されている全ての座標値を削除する(図9のステップS1)。
【0050】
続いて、接触判定部151は、座標出力部123から座標値を受領したか否かに基づいて、タッチパネル120における接触を検出したか否かを判定する(ステップS2)。
座標出力部123から座標値を受領していない場合、接触判定部151は、接触を検出していないと判定し(ステップS2:NO)、前回のステップS2の処理の実行から一定時間(この例では、25ms)間隔になるように、再びステップS2の処理を実行する。
【0051】
また、座標出力部123から座標値を受領した場合には、接触判定部151は、接触を検出したと判定し(ステップS2:YES)、第2座標情報テーブル21に受領した座標値を登録する(ステップS3)。
また、接触判定部151は、ステップS3で登録した座標値及びパネルID「2」を指定したPRESSイベントの通知をイベント通知部155に指示し、イベント通知部155は指示に基づいて、このPRESSイベントを実行部160に通知する(ステップS4)。
【0052】
また、接触判定部151は、タッチパネル120における接触を検出したか否かを、上記ステップS2と同様に判定する(ステップS5)。なお、接触判定部151は、最後にステップS2の処理を実行してから一定時間(この例では、25ms)間隔になるように、ステップS5の処理を実行する。
接触を検出していないと判定した場合(ステップS5:NO)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値及びパネルID「2」を指定したRELEASEイベントの通知をイベント通知部155に指示する。イベント通知部155はこの指示に基づいて、このRELEASEイベントを実行部160に通知し(ステップS9)、再びステップS1から処理を行う。
【0053】
一方、接触を検出したと判定した場合(ステップS5:YES)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値と、今回受領した座標値とが一致するか否かを判定する(ステップS6)。
直近に登録した座標値と今回受領した座標値とが一致する場合には(ステップS6:YES)、接触判定部151は、前回のステップS5の処理の実行から一定時間(この例では、25ms)間隔になるように、再びステップS5の処理を実行する。
【0054】
また、直近に登録した座標値と今回受領した座標値とが一致しない場合には(ステップS6:NO)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に今回受領した座標値を登録する(ステップS7)。
続いて、接触判定部151は、タッチパネル120における接触を検出したか否かを、上記ステップS5と同様に判定する(ステップS8)。なお、接触判定部151は、最後にステップS5の処理を実行してから一定時間(この例では、25ms)間隔になるように、このステップS8の処理を実行する。
【0055】
接触を検出していないと判定した場合(ステップS8:NO)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値及びパネルID「2」を指定したRELEASEイベントの通知をイベント通知部155に指示する。イベント通知部155はこの指示に基づいて、このRELEASEイベントを実行部160に通知し(ステップS9)、再びステップS1から処理を行う。
【0056】
一方、接触を検出したと判定した場合(ステップS8:YES)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値と、今回受領した座標値とが一致するか否かを判定する(ステップS10)。
直近に登録した座標値と今回受領した座標値とが一致する場合には(ステップS10:YES)、接触判定部151は、前回のステップS8の処理の実行から一定時間(この例では、25ms)間隔になるように、再びステップS8の処理を実行する。
【0057】
また、直近に登録した座標値と今回受領した座標値とが一致しない場合には(ステップS10:NO)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に今回受領した座標値を登録する(図10のステップS11)。
中間位置判定部153は、第2座標情報テーブル21に直近に登録された3つの座標値(登録が先のものから順に第1座標値、第2座標値、第3座標値)に基づいて、第2座標値が、第1座標値が示す位置と第3座標値が示す位置との中間位置を示すか否かを判定する(ステップS12)。
【0058】
即ち、第1座標値を(x1,y1)、第2座標値を(x2,y2)、第3座標値を(x3,y3)とした場合に、x2=(x1+x3)/2と、y2=(y1+y3)/2とが共に成り立つ場合に、中間位置判定部153は、第2座標値が中間位置を示すと判定する。
第2座標値が中間位置を示さないと判定した場合に(ステップS12:NO)、中間位置判定部153は、第2座標値及びパネルID「2」を指定したMOVEイベントの通知をイベント通知部155に指示する。イベント通知部155はこの指示に基づいて、このMOVEイベントを実行部160に通知し(ステップS13)、再びステップS5から処理を行う。
【0059】
また、第2座標値が中間位置を示すと判定した場合に(ステップS12:YES)、中間位置判定部153は、第1座標値及びパネルID「2」を指定したRELEASEイベントの通知をイベント通知部155に指示し、イベント通知部155はこの指示に基づいて、このRELEASEイベントを実行部160に通知する(ステップS14)。
また、中間位置判定部153は、第3座標値及びパネルID「2」を指定したPRESSイベントの通知をイベント通知部155に指示し、イベント通知部155はこの指示に基づいて、このPRESSイベントを実行部160に通知し(ステップS15)、再びステップS5から処理を行う。
【0060】
なお、ここでは、タッチパネル120からの入力に対する制御部150による制御処理の流れを説明したが、タッチパネル110からの入力に対する制御部150による制御処理の流れも同様である。但し、上記説明における「座標出力部123」の記載を「座標出力部113」に、「第2座標情報テーブル21」の記載を「第1座標情報テーブル20」に、「パネルID「2」」の記載を「パネルID「1」」にそれぞれ読み替える必要がある。
【0061】
<パネルイベント処理>
図11は、携帯電話機100の実行部160によるパネルイベントに対する処理を示すフローチャートである。
同図に示すパネルイベントに対する処理は、上記制御部150による制御処理と同様、入力画面(G1〜G4のいずれか)が表示された際に開始されるものとする。
【0062】
以下では、上記制御部150による制御処理の説明と同様に、入力画面G4が表示されており、ユーザが英数字を直接入力する場合を例に説明する。
まず、実行部160は、パラメータを初期化、即ち、FLAGを「0」に、前対象キーに設定されているキーを削除し、現対象キーに設定されているキーを削除する(ステップS20)。
【0063】
ここで、FLAGは、表示が選択状態になっているキーが存在するか否かを示す情報であり、「1」の場合に、表示が選択状態になっているキーが存在することを示すものとする。
また、現対象キーとは、後述するステップS22で、パネルイベントで指定されている座標値が、その範囲に含まれると判定されたキーを示す情報であり、前対象キーとは、前回ステップS22を実行した際に、パネルイベントで指定されている座標値が、その範囲に含まれると判定されたキーを示す情報である。
【0064】
続いて、実行部160は、イベント通知部155からパネルイベントを受領したか否かを判定し(ステップS21)、パネルイベントを受領していない場合には(ステップS21:NO)、再びステップS21の処理を実行する。
また、パネルイベントを受領している場合には(ステップS21:YES)、キー特定部161は、そのパネルイベントで指定されているパネルID及び座標値により特定される位置が、いずれかのキー範囲に含まれているか否かを、既に受領している状態変化イベントで指定されていた変化後の使用状態とキー情報テーブル10に基づいて判定する(ステップS22)。
【0065】
この例では、入力画面G4が表示されているとしている。従って、キー特定部161は、キー情報テーブル10において開閉状態が「開」及び筐体の向きが「横」と対応付けられているパネルID「2」と各キーについての左上座標値及び右下座標値とを取得する。
また、キー特定部161は、取得したパネルID「2」とパネルイベントで指定されているパネルIDとが一致する場合において、取得した各キーについての左上座標値及び右下座標値により特定される各キーの範囲(矩形領域)に、パネルイベントで指定されている座標値が含まれているときに限って肯定的な判定(ステップS22:YES)を行う。
【0066】
ステップS22で肯定的な判定を行った場合に(ステップS22:YES)、キー特定部161は、パネルイベントで指定されている座標値がその範囲に含まれると判定したキーとは異なるキーが、既に現対象キーに設定されている場合には、そのキーを前対象キーに設定した上で、パネルイベントで指定されている座標値がその範囲に含まれると判定したキーを、現対象キーとして設定する(ステップS23)。
【0067】
続いて、パネルイベント処理部162は、受領したパネルイベントの種類が、PRESSイベント、RELEASEイベント及びMOVEイベントのいずれであるかを判定する(ステップS24)。
パネルイベントがPRESSイベントである場合に(ステップS24:PRESS)、パネルイベント処理部162は、表示制御部154を介して、現対象キーの表示を選択状態に更新し(ステップS25)、FLAGを「1」に設定し(ステップS26)、再びステップS21から処理を行う。
【0068】
また、ステップS24において、パネルイベントがRELEASEイベントである場合に(ステップS24:RELEASE)、パネルイベント処理部162は、現対象キーが表す文字を入力文字として受け付け、受け付けた入力文字を、表示制御部154を介して、表示中の入力画面の入力欄(この例では、入力画面G4の入力欄D8)に表示すると共に(ステップS27)、現対象キーの表示を非選択状態に更新する(ステップS28)。
【0069】
また、パネルイベント処理部162は、FLAGを「0」に設定し(ステップS29)、再びステップS21から処理を行う。
また、ステップS24において、パネルイベントがMOVEイベントである場合に(ステップS24:MOVE)、パネルイベント処理部162は、FLAGが「1」であるか否かを判定し(ステップS30)、FLAGが「0」の場合には(ステップS30:NO)、上記ステップS25から処理を行う。
【0070】
また、FLAGが「1」の場合には(ステップS30:YES)、パネルイベント処理部162は、表示制御部154を介して、前対象キーの表示を非選択状態に更新した上で(ステップS31)、上記ステップS25から処理を行う。
一方、ステップS22において、パネルイベントで指定されている座標値が、いずれのキー範囲にも含まれていないと判定した場合に(ステップS22:NO)、パネルイベント処理部162は、FLAGが「1」であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0071】
FLAGが「1」でない場合には(ステップS32:NO)、再びステップS21から処理を行い、FLAGが「1」である場合には(ステップS32:YES)、ステップS28から処理を行う。
<具体例による動作の説明>
上述した携帯電話機100の動作について、図9〜11に示すフローチャートに即して、図6に示す具体例を用いて説明する。
【0072】
以下では、図6に示すように、入力画面G4において、ユーザが、左手の小指をAキーに接触させている最中に、右手の薬指をLキーに接触させ、その後、左手の小指をAキーから離し、更にその後に、右手の薬指をLキーから離した場合を例に説明する。
<Aキーの選択>
まず、制御部150は、第2座標情報テーブル21を初期化し(図9のステップS1)、この例では、ユーザはAキーへの接触を行うため、座標出力部123からその接触位置P1の座標値を受領することになるので、接触判定部151は、タッチパネル120における接触を検出したと判定し(ステップS2:YES)、第2座標情報テーブル21に受領した接触位置P1の座標値を登録する(ステップS3)。
【0073】
また、接触判定部151は、接触位置P1の座標値及びパネルID「2」を指定したPRESSイベントの通知をイベント通知部155に指示し、イベント通知部155は指示に基づいて、このPRESSイベントを実行部160に通知する(ステップS4)。
実行部160は、このPRESSイベントを受領し(図11のステップS20、S21:YES)、この例では、このPRESSイベントで指定されている座標値(接触位置P1の座標値)がAキーの範囲に含まれるので(ステップS22:YES)、キー特定部161は、Aキーを現対象キーとして設定する(ステップS23)。
【0074】
続いて、受領したパネルイベントの種類が、PRESSイベントなので(ステップS24:PRESS)、パネルイベント処理部162は、表示制御部154を介して、現対象キー(Aキー)の表示を選択状態に更新し(ステップS25)、FLAGを「1」に設定する(ステップS26)。
<Aキーの選択中のLキーの選択>
次に、この例では、ユーザはAキーへの接触を行ったまま、Lキーへの接触を行うため、接触判定部151は、座標出力部123から位置P2の座標値を受領することになるので、接触判定部151は、タッチパネル120における接触を検出したと判定し(図9のステップS5:YES)、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値(接触位置P1の座標値)と、今回受領した座標値(位置P2の座標値)とが一致していないと判定する(ステップS6:NO)。従って、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に今回受領した座標値(位置P2の座標値)を登録する(ステップS7)。
【0075】
<Aキーの選択解除>
次に、この例では、ユーザはAキーへの接触を離すため、接触判定部151は、座標出力部123から接触位置P3の座標値を受領することになるので、タッチパネル120における接触を検出したと判定し(ステップS8:YES)、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値(位置P2の座標値)と、今回受領した座標値(接触位置P3の座標値)とが一致しないと判定する(ステップS10:NO)。従って、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に今回受領した座標値(接触位置P3の座標値)を登録する(図10のステップS11)。
【0076】
この例では、第2座標情報テーブル21に登録されている第2座標値(位置P2の座標値)が、第1座標値が示す位置P1と第3座標値が示す位置P3との中間位置を示すので(ステップS12:YES)、中間位置判定部153は、第1座標値(接触位置P1の座標値)及びパネルID「2」を指定したRELEASEイベントの通知をイベント通知部155に指示し、イベント通知部155はこの指示に基づいて、このRELEASEイベントを実行部160に通知する(ステップS14)。
【0077】
実行部160は、このRELEASEイベントを受領し(図11のステップS21:YES)、この例では、このRELEASEイベントで指定されている座標値(接触位置P1の座標値)がAキーの範囲に含まれるので(ステップS22:YES)、Aキーを現対象キに設定する(ステップS23)。
続いて、受領したパネルイベントの種類が、RELEASEイベントなので(ステップS24:RELEASE)、パネルイベント処理部162は、現対象キーが表す文字「A」を入力文字として受け付け、受け付けた入力文字を、表示制御部154を介して、入力画面G4の入力欄D8に表示すると共に(ステップS27)、現対象キー(Aキー)の表示を非選択状態に更新する(ステップS28)。また、パネルイベント処理部162は、FLAGを「0」に設定する(ステップS29)。
【0078】
また、中間位置判定部153は、第3座標値(接触位置P3の座標値)及びパネルID「2」を指定したPRESSイベントの通知をイベント通知部155に指示し、イベント通知部155はこの指示に基づいて、このPRESSイベントを実行部160に通知する(図10のステップS15)。
実行部160は、このPRESSイベントを受領し(図11のステップS21:YES)、この例では、このPRESSイベントで指定されている座標値(接触位置P3の座標値)がLキーの範囲に含まれるので(ステップS22:YES)、キー特定部161は、既に現対象キーに設定されているAキーを前対象キーに設定し、現対象キーにLキーを設定する(ステップS23)。
【0079】
続いて、受領したパネルイベントの種類が、PRESSイベントなので(ステップS24:PRESS)、パネルイベント処理部162は、表示制御部154を介して、現対象キー(Lキー)の表示を選択状態に更新し(ステップS25)、FLAGを「1」に設定する(ステップS26)。
<Lキーの選択解除>
次に、この例では、ユーザはLキーへの接触を離すため、接触判定部151は、座標出力部123から座標値を受領しないことになるので、タッチパネル120における接触を検出しないと判定し(図9のステップS5:NO)、接触判定部151は、第2座標情報テーブル21に直近に登録した座標値(接触位置P3の座標値)及びパネルID「2」を指定したRELEASEイベントの通知をイベント通知部155に指示する。イベント通知部155はこの指示に基づいて、このRELEASEイベントを実行部160に通知する(ステップS9)。
【0080】
実行部160は、このRELEASEイベントを受領し(図11のステップS21:YES)、この例では、このRELEASEイベントで指定されている座標値(接触位置P3の座標値)がLキーの範囲に含まれるので(ステップS22:YES)、Lキーを現対象キに設定する(ステップS23)。
続いて、受領したパネルイベントの種類が、RELEASEイベントなので(ステップS24:RELEASE)、パネルイベント処理部162は、現対象キーが表す文字「L」を入力文字として受け付け、受け付けた入力文字を、表示制御部154を介して、入力画面G4の入力欄D8に表示すると共に(ステップS27)、現対象キー(Lキー)の表示を非選択状態に更新する(ステップS28)。また、パネルイベント処理部162は、FLAGを「0」に設定する(ステップS29)。
【0081】
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯端末を、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りの携帯電話機に限られないことは勿論である。
(1)実施の形態では、制御処理において、第2座標値が、第1座標値と第3座標値との中間位置を示す場合に、中間位置判定部153は、必ず、イベント通知部155を介して、第1座標値を指定したRELEASEイベントを通知するものとして説明した(図10のステップS12:YES、S14)。
【0082】
しかしながら、第1座標値が示す位置をその範囲に含むキーが表す文字を入力文字の候補として表示し、この候補を入力文字として決定する旨のユーザ操作があった場合に、イベント通知部155を介して、第1座標値を指定したRELEASEイベントを通知するよう変形してもよい。以下、この変形に係る携帯電話機を、「変形携帯電話機」という。
具体的には、制御処理の一部(図10に示す部分)を、図13に示すように変形し、図11に示すパネルイベントに対する処理を図14に示すように変形する。
【0083】
変形携帯電話機の制御処理(特に図13参照)は、ステップS12とS14との間に、ステップS16〜S19の処理を含む点で実施の形態に係る携帯電話機100の制御処理(特に図10参照)と異なる。また、図14に示す変形携帯電話機のパネルイベントに対する処理は、ステップS22とS23との間に、ステップS33及びS34の処理を含む点で、図11に示す実施の形態に係る携帯電話機100のパネルイベントに対する処理とは異なる。
【0084】
以下では、携帯電話機100の制御処理とパネルイベントに対する処理との相違点を中心に、変形携帯電話機の制御処理及びパネルイベントに対する処理について説明する。
まず、変形携帯電話機の制御処理について、入力画面G4が表示されている場合を例に説明する。
なお、変形携帯電話機の制御処理のうち、ステップS1〜S11の処理は携帯電話機100と同一であるため(図9、10のステップS1〜S11参照)、説明は省略する。
【0085】
変形携帯電話機の中間位置判定部(以下、「変形中間位置判定部」という)は、第2座標情報テーブル21に登録された第2座標値が、第1座標値が示す位置と第3座標値が示す位置との中間位置を示すと判定した場合に(図13のステップS12:YES)、変形携帯電話機のイベント通知部(以下、「変形イベント通知部」という)を介して、第1座標値及びパネルIDを指定したTMP−RELEASEイベントを通知する(ステップS16)。
【0086】
続いて、接触判定部151は、座標出力部123から座標値を受領したか否かに基づいて、タッチパネル120における接触を検出したか否かを判定し(ステップS17)、接触を検出していないと判定した場合には(ステップS17:NO)、再びステップS17の処理を行う。
また、接触を検出したと判定した場合には(ステップS17:YES)、接触判定部151は、変形イベント通知部を介して、受領した座標値及びパネルIDを指定したPRESSイベントを通知する(ステップS18)。
【0087】
変形中間位置判定部は、変形携帯電話機の実行部(以下、「変形実行部」という)から通知を受領し、受領した通知の種類を判定する(ステップS19)。
受領した通知が、入力文字の候補を入力文字に決定する旨の通知である場合には(ステップS19:決定通知)、ステップS14の処理に進み、受領した通知が、入力文字の候補を入力文字に決定しない旨の通知である場合には(ステップS19:非決定通知)、ステップS13の処理に進む。
【0088】
次に、図14に示す変形携帯電話機のパネルイベントに対する処理について、入力画面G4が表示されている場合を例に説明する。
実施の形態で説明したように、ステップS20〜ステップS22の処理を完了すると、変形携帯電話機のパネルイベント処理部(以下、「変形パネルイベント処理部」という)は、受領したイベントがTMP−RELEASEイベントであるか否かを判定し(ステップS33)、TMP−RELEASEイベントでない場合には(ステップS33:NO)、ステップS23の処理に進む。
【0089】
また、TMP−RELEASEイベントである場合には(ステップS33:YES)、確認処理を行い(ステップS34)、確認処理を完了すると、再びステップS21から処理を行う。
以下、確認処理について、図15を用いて説明する。
変形パネルイベント処理部は、例えば、図12に示すように、ステップS22の処理で、TMP−RELEASEイベントで指定されている座標値がその範囲に含まれると判定したキーが表す文字を表示した入力文字の候補41と、Yesキー42と、Noキー42とを含むウィンドウ40を、表示制御部154を介して表示させる(ステップS40)。
【0090】
ここで、図12は、変形携帯電話機のユーザが、ソフトウェアキーボードD4を構成するキーを選択し、文字入力を行う様子を示す図である。
同図では、ユーザが、左手の小指をAキーに接触させている最中に、右手の薬指をLキーに接触させてしまった場合に、入力文字の候補41として「A」が表示されている例を示している。
【0091】
続いて、変形パネルイベント処理部は、PRESSイベントを受領したか否かを判定する(図15のステップS41)。
PRESSイベントを受領していない場合には(ステップS41:NO)、再びステップS41の処理を行う。
また、PRESSイベントを受領した場合には(ステップS41:YES)、この変形に係るキー特定部は、このPRESSイベントで指定されている座標値が、図12に示すYesキー42の範囲に含まれるのか、Noキー43の範囲に含まれるのかを判定する(ステップS42)。
【0092】
図12に示すYesキー42の範囲に含まれる場合には(ステップS42:Yesキー)、入力文字の候補が入力文字に決定された旨を、変形携帯電話機の制御部(以下、「変形制御部」という)に通知する(ステップS43)。
また、図12に示すNoキー43の範囲に含まれる場合には(ステップS42:Noキー)、入力文字の候補が入力文字に決定されなかった旨を、変形制御部に通知する(ステップS44)。
【0093】
ステップS43又はS44の処理を完了すると、変形パネルイベント処理部は、表示制御部154を介して、ステップS40で表示したウィンドウ40の表示を削除、つまり、ステップS40でウィンドウ40が表示される前の画面を表示し(ステップS45)、確認処理を終了する。
なお、ここでは、入力文字の候補を入力文字として決定する旨のユーザ操作の一例として、ウィンドウ40に表示されているYesキー42の選択操作を用いて説明したが、他の操作であってもよい。
【0094】
例えば、ウィンドウ40のYesキー42とNoキー43の表示に代えて、「YESならYキーを、NOならNキーを選択して下さい」といったメッセージを表示し、Yキーの選択操作を入力文字の候補を入力文字として決定する旨のユーザ操作としてもよい。
(2)実施の形態に係る携帯電話機100は、2つのタッチパネルを備えるものとして説明したが、各タッチパネルの配置は、実施の形態で説明したように、各タッチパネルが略同一平面上に配置される場合に限られず、また、3つ以上のタッチパネルを備えるものや、例えば、図16に示すストレートタイプの端末のように、1つのタッチパネルのみを備えるものとしてもよい。
【0095】
同図に示す携帯電話機200は、1つの筐体に、スピーカ201、マイク202、タッチパネル210を備え、タッチパネル210には、テンキーボタンD9と発信ボタンD10と入力欄D11とが表示されている。
同図に示すように、ユーザが1キーと3キーとを連続して選択しようとして、1キーに左手の親指を接触させたまま、3キーに右手の親指を接触させた場合において、その後に左手の親指を1キーから離し、更にその後に右手の親指を3キーから離すと、実施の形態で説明したのと同様に、数字「1」と数字「3」とが順に入力として受け付けられ、入力欄D11に順に表示されることになる(図9〜図11参照)。
【0096】
なお、携帯電話機100を1つのタッチパネルを備えるように変形した場合、各イベントにおいて、パネルIDを指定する必要はなくなり、1つの座標情報テーブルを記憶部140に記憶しておけばよくなる。また、図8に示すキー情報テーブル10のデータのうち、開閉状態が「閉」である場合の各キーの左上座標値と右下座標値とを登録しておけば足り(「開閉状態」自体は登録不要)、また、開閉検出センサ130も不要になる。
【0097】
また、実施の形態では、筐体の向きに応じて2つの入力画面を選択的に表示するものとして説明したが、いずれかの向き(例えば、「横」)の入力画面だけを表示するようにしてもよい。その場合、加速度センサ131は不要になり、図8に示すキー情報テーブル10のデータのうち、筐体の向きが、例えば「横」である場合の各キーの左上座標値と右下座標値とを登録しておけば足りる。
【0098】
また、実施の形態に係る携帯電話機100はスライド式の端末であり、図16に示す携帯電話機200はストレートタイプの端末であるとして説明したが、折りたたみ式等他の外観を有する携帯電話機であってもよい。
また、図17に示すようなスライド式の端末であってもよい。
図17(a)は携帯電話機300の閉状態の外観を示す斜視図であり、図17(b)は、携帯電話機300の開状態の外観を示す斜視図であり、図17(c)は、携帯電話機300の開状態の外観を示す正面図である。
【0099】
図17(a)、(b)に示されるように、携帯電話機300は、第1筐体301、第2筐体304、及び第2筐体304と第1筐体301とを接続するアーム305から構成されている。
第1筐体301には、スピーカ302、マイク303及びタッチパネル310が備えられており、第2筐体304には、タッチパネル320が備えられている。
【0100】
アーム305は、その基端側が第2筐体304に回転自在に軸支されており、先端側が第1筐体301をスライド移動並びに回転自在に支持している。
携帯電話機300は、図17(a)に示すように、第2筐体304に第1筐体301が重ね合わさり、タッチパネル320が視認できない閉状態から、アーム305により、第1筐体301が第2筐体304の表面に沿って移動し、図17(b)、(c)に示すように、第1筐体301の表面と第2筐体304の表面とが略同一平面上に揃う開状態となり、タッチパネル310及び320が視認可能になる。
【0101】
(3)実施の形態では、ソフトウェアキーボード(D1〜D4)を用いて、英数字を直接入力する場合を想定し、RELEASEイベントが通知された場合に、パネルイベント処理部162は、現対象キーが表す文字を入力文字として受け付け、受け付けた入力文字を、そのまま、表示制御部154を介して、入力画面の入力欄に表示するものとして説明した(図11のステップS24:RELEASE、S27)。
【0102】
しかしながら、現対象キーが表す文字が母音を表す文字(A、I、U、E及びO)である場合に、それまでに入力文字として受け付けているアルファベットと合わせてひらがなに変換して表示したり、その後に所定の操作(例えば、スペースキーの選択操作)が行われた際に、漢字変換するようにしてもよい。
(4)実施の形態では、それぞれ異なるアルファベットの文字を表す複数のキーが含まれているソフトウェアキーボード(D1〜D4)が表示されており、キーを選択することで、選択されたキーが表す文字を入力文字として受け付け、表示する例を用いて説明した。
【0103】
しかしながら、例えば、複数のアイコンを表示し、ユーザがこのアイコンを選択することで、対応するアプリケーションが起動されるようにしてもよい。
即ち、本発明に係るタッチパネルに表示される複数のキーには、アルファベット、数字、記号、ひらがな、カタカナといった文字を表すキーのみならず、shiftキー、スペースキー、リターンキー、ファンクションキー、テンキー、方向キー等も含めることができ、更には、ユーザが選択することで、予め割り当てられている処理が実行される各種アイコンを含めることができる。
【0104】
(5)実施の形態では、図9、10に示すように、新たに受領した座標値が、直近に登録した座標値と一致するか否かを判定し、一致しない場合に、対応する座標情報テーブル(第1座標情報テーブル20又は第2座標情報テーブル21)に、受領した座標値を登録するものとして説明した(ステップS6:YES、S7、S10:YES、S11)。
しかしながら、このステップS6、S10の処理は必須ではなく、この処理を行うことなく、新たに座標値を受領した場合に、直ちに対応する座標情報テーブルに登録するようにしてもよい。
【0105】
(6)実施の形態では、各表示部のLCDの画素数は同一であり、LCDの形状は、略矩形状であるものとして説明したが、各表示部の画素数は異なってもよいし、各表示部の形状は、例えば、円形状、その他多角形状であってもよい。
また、実施の形態に係る携帯電話機100では、入力欄(D5〜D8)がタッチパネルに表示される例を説明したが、このような場合に限定されず、入力欄(D5〜D8)が表示される画面はタッチパネル以外の表示画面、例えば、タッチパネル機能を有していないLCD、有機EL(Electro−Luminescence)等であってもよい。
【0106】
(7)実施の形態に係る各タッチパネルのセンサ部(112、122)は、抵抗膜方式のタッチセンサであるものとして説明したが、抵抗膜式以外の所謂マルチタッチに対応していないタッチセンサを用いるようにしてもよい。
例えば、マルチタッチに対応してないタッチセンサとして、導電膜と基板とを有して構成され、基板の隅に電極を設け、導電膜による均一な電界を形成し、指等の接触による隅の端子の電流量の比率を計測して接触位置を判別する静電容量方式の表面型や、遮光された赤外線により指等が接触した位置を検出する赤外線方式等適宜なものを用いることができる。
【0107】
また、更には、本発明に係る携帯端末は、タッチセンサにおけるユーザの指等の接触を検出し、1つの接触が行われた場合にはその接触位置の座標値を、複数の接触が行われた場合には全接触位置の中間位置の座標値を出力するような座標出力部を備える限り、センサ部(112、122)に代えて、上述した所謂マルチタッチに対応していないタッチセンサ以外のタッチセンサ(今後新たに登場するタッチセンサを含む)を備えるものであってもよい。
【0108】
(8)実施の形態において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
また、実施の形態において説明した各構成要素は、携帯電話機が有するプロセッサと協働することにより、その機能を実現する。
【0109】
(9)実施の形態及び上記(1)において説明した携帯電話機の処理(図9〜11、図13〜15参照)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより実施の形態及び上記(1)で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【0110】
(10)実施の形態に係る携帯電話機に、上記(1)〜(9)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(11)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯端末は、タッチパネルと、前記タッチパネルへの1つの接触が行われた場合に、当該接触位置の座標値を出力し、当該タッチパネルへの複数の接触が同時に行われた場合に、全接触位置の中間位置の座標値を出力する座標出力部と、前記座標出力部から順に出力された3つの座標値を、第1座標値と第2座標値と第3座標値とした場合において、前記第2座標値が、前記第1座標値及び前記第3座標値の中間位置を示すときに、前記第1座標値を送出し、前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値を送出する制御部と、前記制御部から送出された座標値に応じた処理を実行する実行部とを備える。
【0111】
例えば、ユーザが、第1座標値と第3座標値とそれぞれが示す各位置に割り当てられている処理を連続して実行させようと、第1座標値が示す位置に指等を接触させている間に、第3座標値が示す位置に指等の接触を開始させてしまい、その後に、第1座標値が示す位置に接触させている指等を離し、続いて、第3座標値が示す位置に接触させている指等を離したものとする。
【0112】
このような場合に、この携帯端末の座標出力部は、第1座標値と、第1座標値及び第3座標値の中間位置を示す第2座標値と、第3座標値とを順に出力することになる。
この携帯端末によれば、第2座標値が、第1座標値及び第3座標値の中間位置を示す場合には、第1座標値に応じた処理を実行でき、また、前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値に応じた処理を実行できる。従って、上述の例では、第1座標値と第3座標値とそれぞれが示す各位置に割り当てられている処理を順に実行できる。
【0113】
即ち、この携帯端末によれば、ユーザが意図した処理を適切に実行することができる。
(b)また、前記タッチパネルには、複数のキーが表示されており、前記実行部は、前記座標値に応じた処理として、当該座標値が示す位置に表示されているキーに割り当てられている処理を実行することとしてもよい。
例えば、ユーザが、第1座標値と第3座標値とそれぞれが示す各位置に表示されているキーを連続して選択しようと、第1座標値が示す位置に指等を接触させている間に、第3座標値が示す位置に指等の接触を開始させてしまい、その後に、第1座標値が示す位置に接触させている指等を離し、続いて、第3座標値が示す位置に接触させている指等を離したものとする。
【0114】
このような場合に、この携帯端末によれば、第1座標値と第3座標値とそれぞれが示す各位置に表示されているキーに割り当てられた処理を実行でき、即ち、ユーザが意図した処理を適切に実行することができる。
(c)また、前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、前記実行部は、前記座標値に応じた処理として、当該座標値が示す位置に表示されているキーが表す文字を入力文字として受け付け、当該入力文字を、前記複数のキーの前記タッチパネルにおける表示領域とは異なる他の表示領域に表示することとしてもよい。
【0115】
例えば、ユーザが、第1座標値と第3座標値とそれぞれが示す各位置に表示されているキーが表す文字を連続して入力しようと、第1座標値が示す位置に指等を接触させている間に、第3座標値が示す位置に指等の接触を開始させてしまい、その後に、第1座標値が示す位置に接触させている指等を離し、続いて、第3座標値が示す位置に接触させている指等を離したものとする。
【0116】
このような場合に、この携帯端末によれば、ユーザは、第1座標値と第3座標値とそれぞれが示す各位置に表示されているキーが表す文字を入力でき、即ち、ユーザが意図した文字の入力処理を適切に実行することができる。
また、この携帯端末によれば、受け付けた入力文字を表示するので、ユーザは、自らが行ったキーの入力が受け付けられたことを、表示により容易に確認できる。
【0117】
(d)また、前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、前記実行部は、前記座標値に応じた処理として、前記制御部から前記第1座標値が送出された場合には、当該第1座標値が示す位置に配置されているキーが表す文字を入力文字の候補として、前記複数のキーの前記タッチパネルにおける表示領域とは異なる他の表示領域に表示し、当該入力文字の候補を入力文字として決定する旨のユーザ操作がなされた場合に、当該入力文字の候補を入力文字として受け付けることとしてもよい。
【0118】
この携帯端末によれば、第2座標値が、第1座標値と第3座標値との中間位置を示す場合に、第1座標値が示す位置に表示されているキーが表す文字を入力文字の候補として表示し、ユーザ操作を待って、この入力文字の候補を入力文字として受け付けるので、ユーザが入力した文字をより正確に特定することができる。
(e)また、前記携帯端末は、前記タッチパネルとは異なる他のタッチパネルを備え、前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、前記実行部は、前記座標値に応じた処理として、当該座標値が示す位置に配置されているキーが表す文字を入力文字の候補として、前記他のタッチパネルに表示し、当該他のタッチパネルにおいて、当該入力文字の候補を入力文字として決定する旨のユーザによる接触操作がなされた場合に、当該入力文字の候補を入力文字として受け付けることとしてもよい。
【0119】
この携帯端末によれば上記(d)と同様の効果を奏すると共に、ユーザは、他のタッチパネルに表示されている入力文字の候補を、そのタッチパネルへの接触操作というより直感的な操作より、入力文字として決定することが可能になる。
(f)また、前記座標出力部は、接触がある場合に、前記座標値の出力を一定時間間隔で行うものであり、前記制御部は、前記座標出力部から前記一定時間間隔で順に出力された複数の座標値のうち、当該一定時間前に出力された座標値とは異なるものになるように、前記第1座標値と第2座標値と第3座標値とを決定することとしてもよい。
【0120】
ユーザが比較的ゆっくりと操作を行い、座標出力部から、例えば、座標値Aが一定時間間隔で複数回出力され、続いて座標値Bが一定時間間隔で複数回出力され、更に続いて座標値Cが複数回出力されたものとする。
このように、座標出力部から一定時間間隔で出力された複数の座標値の中に、連続して出力された同値の座標値が含まれる場合にも、この携帯端末によれば、座標値Aを第1座標値、座標値Bを第2座標値、座標値Cを第3座標値として、第2座標値が第1座標値及び第3座標値の中間位置を示すときに、第1座標値に応じた処理を実行できる。
【0121】
即ち、この携帯端末によれば、ユーザが意図した処理を適切に実行することができる。
(15)本発明に係る携帯端末のタッチパネル、他のタッチパネルは、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100のタッチパネル110、120に相当し、本発明に係る携帯端末の座標出力部、制御部、実行部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の座標出力部113、123、制御部150、実行部160に相当する。
【0122】
(16)本発明に係る入力制御方法は、例えば実施の形態に示した携帯電話機により実現される(特に、図9〜11を用いて示した制御処理及びパネルイベントに対する処理の手順等参照)。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る携帯端末は、ユーザが、タッチパネルを用いた操作を行う場合に利用される。
【符号の説明】
【0124】
1、301 第1筐体
2、304 第2筐体
4、4’ 連結機構
5、5’ 連結駒
6 ガイド溝
7、201、302 スピーカ
8、202、303 マイク
30、30’31、31’ ピン
100、200、300 携帯電話機
110、120、210、310、320 タッチパネル
111、121 表示部
112、122 センサ部
113、123 座標出力部
130 開閉検出センサ
131 加速度センサ
140 記憶部
150 制御部
151 接触判定部
152 状態判定部
153 中間位置判定部
154 表示制御部
155 イベント通知部
160 実行部
161 キー特定部
162 パネルイベント処理部
305 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルへの1つの接触が行われた場合に、当該接触位置の座標値を出力し、当該タッチパネルへの複数の接触が同時に行われた場合に、全接触位置の中間位置の座標値を出力する座標出力部と、
前記座標出力部から順に出力された3つの座標値を、第1座標値と第2座標値と第3座標値とした場合において、前記第2座標値が、前記第1座標値及び前記第3座標値の中間位置を示すときに、前記第1座標値を送出し、
前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値を送出する制御部と、
前記制御部から送出された座標値に応じた処理を実行する実行部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記タッチパネルには、複数のキーが表示されており、
前記実行部は、前記座標値に応じた処理として、当該座標値が示す位置に表示されているキーに割り当てられている処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、
前記実行部は、
前記座標値に応じた処理として、当該座標値が示す位置に表示されているキーが表す文字を入力文字として受け付け、当該入力文字を、前記複数のキーの前記タッチパネルにおける表示領域とは異なる他の表示領域に表示する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、
前記実行部は、
前記座標値に応じた処理として、前記制御部から前記第1座標値が送出された場合には、当該第1座標値が示す位置に配置されているキーが表す文字を入力文字の候補として、前記複数のキーの前記タッチパネルにおける表示領域とは異なる他の表示領域に表示し、
当該入力文字の候補を入力文字として決定する旨のユーザ操作がなされた場合に、当該入力文字の候補を入力文字として受け付ける
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末は、前記タッチパネルとは異なる他のタッチパネルを備え、
前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、
前記実行部は、
前記座標値に応じた処理として、当該座標値が示す位置に配置されているキーが表す文字を入力文字の候補として、前記他のタッチパネルに表示し、
当該他のタッチパネルにおいて、当該入力文字の候補を入力文字として決定する旨のユーザによる接触操作がなされた場合に、当該入力文字の候補を入力文字として受け付ける
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項6】
前記座標出力部は、接触がある場合に、前記座標値の出力を一定時間間隔で行うものであり、
前記制御部は、前記座標出力部から前記一定時間間隔で順に出力された複数の座標値のうち、当該一定時間前に出力された座標値とは異なるものになるように、前記第1座標値と第2座標値と第3座標値とを決定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項7】
タッチパネルと、前記タッチパネルへの1つの接触が行われた場合に、当該接触位置の座標値を出力し、当該タッチパネルへの複数の接触が同時に行われた場合に、全接触位置の中間位置の座標値を出力する座標出力部を備える携帯端末における入力制御方法であって、
前記座標出力部から順に出力された3つの座標値を、第1座標値と第2座標値と第3座標値とした場合において、前記第2座標値が、前記第1座標値及び前記第3座標値の中間位置を示すときに、前記第1座標値を送出し、
前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値を送出する制御ステップと、
前記制御ステップで送出された座標値に応じた処理を実行する実行ステップとを含む
ことを特徴とする入力制御方法。
【請求項8】
タッチパネルと、前記タッチパネルへの1つの接触が行われた場合に、当該接触位置の座標値を出力し、当該タッチパネルへの複数の接触が同時に行われた場合に、全接触位置の中間位置の座標値を出力する座標出力部を備える携帯端末におけるプロセッサに、入力制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記入力制御処理は、
前記座標出力部から順に出力された3つの座標値を、第1座標値と第2座標値と第3座標値とした場合において、前記第2座標値が、前記第1座標値及び前記第3座標値の中間位置を示すときに、前記第1座標値を送出し、
前記座標出力部から座標値が出力された状態から出力されてない状態へと変化した場合に、直前に出力された座標値を送出する制御ステップと、
前記制御ステップで送出された座標値に応じた処理を実行する実行ステップとを含む
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−203611(P2012−203611A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67035(P2011−67035)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】